2021年5月31日(月) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」準総括質疑 「2019年度予備費」一括議題
日本共産党の岩渕友議員は11日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故で被害者の「ふるさと」を奪った国と東電の責任を追及しました。さらに、不十分な損害賠償が被害者の生活困窮を深刻にしているとして、賠償基準の見直しを迫りました。(論戦ハイライト)
日本共産党の岩渕友議員は31日の参院決算委員会で、東京電力福島第1原発事故で発生した汚染水の海洋放出決定を撤回し、汚染水を減らすための抜本的な対策を強化するよう求めました。
岩渕氏は汚染水の発生量と原発敷地の降水量の推移をまとめた資料を示し、台風や大雨などで降水量が増えれば発生量も増えると指摘。原子炉建屋への詳しい流入経路や流入量をただしました。
東電の小早川智明社長は、1日あたり約140トンの汚染水が流入しているとした上で、「地下水や雨水の流入が考えられるが、正確な流入経路の内訳は評価できていない」と述べました。
岩渕氏は、「建屋流入の原因が分からなければ、対策が立てられない」と強調しました。地下水や地質学の専門家グループの調査で、建屋周辺の地層にでこぼこがあり、水が通りやすい砂や通りにくい泥岩が複雑に分布していることが判明したと紹介。「汚染水を増やさないためのあらゆる手だてをとることなく、海洋放出決定は許されない」と批判し、地層調査も含めた抜本的な対策を求めました。
また岩渕氏は、地元の漁業者や市議会など海洋放出に反対の声が広がっていると強調し、「この声に応えるべきだ」と迫りました。
梶山弘志経済産業相は「懸念を持つ方はたくさんいると認識しているが、懸念に応えるために対応したい」と述べるにとどまりました。岩渕氏は「反対の声に応えて、決定は撤回すべきだ」と強調しました。
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質問資料1 宮城県丸森町メガソーラー事業区域の位置と規模(耕野地区)【PDF版】【画像版】
質問資料2 丸森町メガソーラー事業をめぐる組織体制表【PDF版】【画像版】
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質問資料3 原発汚染水発生量・降水量の推移(2015年4月末~2021年3月末)【PDF版】【画像版】
質問資料4 東電福島第一原発 1~4号機建屋 周辺断面図【PDF版】【画像版】
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2021年5月31日(月) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」準総括質疑 「2019年度予備費」一括議題
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、メガソーラーをめぐる問題について質問をいたします。
再生可能エネルギーは本来、その地域固有の財産であり、地域住民の利益につながるべきものです。大量導入に向けて、安全とともに地域住民との共生が大前提です。ところが、本来の再エネの在り方とは逆行するメガソーラー事業が宮城県丸森町耕野地区で計画をされ、今、大問題となっています。
資料の①を御覧ください。
先日、現地に伺って話をお聞きしてきました。丸森町というところは山と川に囲まれた美しい自然豊かな中山間地です。二〇一九年の十月の台風十九号では甚大な被害が発生をして、死者、行方不明者十一名ということで、単独自治体としては最も多くなりました。
計画地の地盤はもろくて崩れやすい地盤で、地区内では基本的に全ての世帯で井戸水を利用しているところでもあります。生活用水、農業用水が枯渇するようなことがあれば、もうまさに死活問題という状況なんですね。安全や生活に直結する問題として心配が広がっていて、森林を大規模に切り開くような事業はやめてほしいというのが地区の皆さんの一番の願いです。
町議会では建設反対の請願が全会一致で採択をされて、町から県への意見書、三千六百八十一人分の反対署名も提出をされています。この事業については、国会でも衆議院の山崎誠議員が取り上げています。
これ、四万キロワット以上であれば国の環境アセスの対象になるんですけれども、この事業は丸森プロジェクトと仙南プロジェクトというそれぞれ二・八万キロワットの事業で、アセスの対象になっていないんですね。事業名は別なんですけれども、FIT認定日、これは同じ。説明会も同じ会社の人がやっていて、二つの予定地の距離は最短で一キロメートル以内と。どう見ても一体の事業なんです。これ、一連の事業と見るかどうかということで宮城県から経産省に照会が行われています。
これ、環境影響評価法第二条では、実施する事業の一連性の判断について逐条解説でどのように書かれているのか、読み上げてください。
○政府参考人(和田篤也君) お答え申し上げます。
環境影響評価法の対象事業につきましては、特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更及び工作物の新設等とされており、先生御指摘のように、法律の第二条第一項にあるところです。
この法律の逐条解説におきましては、一連性の判断については、事業の目的が同一であり、かつ、構想及び決定の時期が同一か否かなどによりまして総合的に判断するものとされているところです。
また、環境影響評価手続を行う事業の単位が事業の許認可等を受ける事業単位とは異なることもあり得ること、加えまして、事業者が複数であっても事業の目的、構想及び決定の時期が同一であれば一連の事業とみなされる場合があるとされているところでございます。
○岩渕友君 今答弁があったように、逐条解説ではこのようになっているということなんですね。
衆議院の質疑の中で、小泉環境大臣が、本来だったら法アセスの対象となるべきなのに、いわゆるアセス逃れ、こういったものが起きないように、経産省と環境省でも早急に検討をして、考え方を改めて整理する必要があるだろうと、こういった答弁されています。
改めて大臣にお伺いをしたいんですけれども、アセスの判断基準について現状に合った見直しの重要性と、見直しを急いでやるべき必要性について、大臣の認識を述べてください。
○国務大臣(小泉進次郎君) これは、先生が御指摘のとおり、衆議院の方でも質疑になった案件であります。そのとき私は、経産省と連携をして、早急に整理をして、周知徹底を図るように検討すると、そういった答弁をしたと思いますが、事務方にも指示をしたところでありまして、今の状況でいいますと六月、もうあしたから六月ですが、六月にも検討会を立ち上げる予定であります。
引き続き、しっかり対応してまいりたいと思います。
○岩渕友君 今答弁いただいたように、早急に整理をして、周知徹底をして、六月には検討会も立ち上げるということでした。これ、今答弁にあったように、本当に急がれる問題なので、是非早急にお願いをしたいと思います。
ところが、四月の二十七日に経産省は、宮城県の問合せが来たのに対して、この同事業についてアセスの対象外という回答を行っているんですね。その後の国会質疑を受けて、五月の十九日に経産省は、前に出した回答を補足する文書を宮城県に出しています。そこには、工事計画届出の段階で当該事業が環境影響評価法及び電気事業法に基づく環境影響評価の対象事業であると判断された場合において、既に対象事業に着手、森林伐採等をしていた場合には環境影響評価法第三十一条第一項に基づく法令違反となるおそれがあると、こういうふうに書かれています。
これは、仮にアセスが必要だというふうに判断をされた場合に、その時点で森林伐採などの対象事業に着手をしていた場合は法令違反となる可能性があるということでいいかを確認したいんです。さらに、もし法令違反だった場合はFIT認定の取消しということになるのでしょうか。
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
お尋ねのありました宮城県丸森町における二つの太陽光発電プロジェクトに係る宮城県からの経済産業省への照会につきましては、五月十九日に回答いたしたところでございます。その際に、参考情報として、工事計画届出の段階で法に基づく環境影響評価の対象事業であると判断され、かつ既に森林伐採等の事業に着手していた場合には、環境影響法の違反となるおそれがある旨記載したところでございます。
再エネ特措法では、関係法令の遵守を認定基準として定めてございます。関係法令の違反が認められた場合には、指導や改善命令を行うほか、必要に応じて認定を取り消すことといたしております。
○岩渕友君 今答弁があったように、法令違反があった場合は指導、改善求めるんだけれども、その先にはFIT認定の取消しの可能性があると、そういう御答弁でした。
経産省が宮城県にアセスの対象にならないという回答を行った基になっているものがあって、これが二〇一三年四月の経産省のアセスメントの判断に係る目安の文書なんですね。これ、二〇一三年というと、今から約八年前ですよね。太陽光発電がアセスの対象外であっただけでなくて、再エネが大規模に取り組まれる前の文書ということになります。
そこで、梶山大臣にお伺いするんですけれども、この現状に合わない判断基準は直ちに見直しを行って、全国に徹底をするべきではないでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘の宮城県丸森町で計画されている太陽光発電所プロジェクトにつきましては、五月十四日と二十六日の二度にわたり衆議院経済産業委員会で取り上げられ、内容は承知をしております。
御指摘のありました同一発電所の判断の目安については、環境影響評価法は、環境影響評価の対象となる事業について、一連の土地の形状並びに工作物の新築及び増改築と定義しているのみであることから、発電所の特性を踏まえ、その外延を具体化すべく、平成二十五年に経済産業省において策定をしたものであります。
判断の目安において、環境アセスの対象となる、複数の設備を同一発電所とみなす場合としては、同一構内にあること、法的な設置者や事実上の管理主体が同一であることなどの観点を始め、具体的な状況や経緯を踏まえて判断することとしております。
平成二十五年の判断の目安の策定後、令和二年四月より太陽光発電、太陽電池発電設備が環境アセスメントの対象となり、また、その設置形態も多様化していることから、判断の目安を見直すべく、既に有識者とは事務レベルで議論を開始をしているところであります。六月にも検討会を立ち上げ、環境影響評価法の趣旨が十分に踏まえられるように、環境省とも連携をして早急に検討を行ってまいりたいと考えております。
○岩渕友君 早急に検討するということでしたけれども、本当に急がれる問題です。全国的にも本当に波及する問題でもあるので、急いで進めていただきたいと思います。
それで、資料の二を御覧いただきたいんですけれども、この事業をめぐって、当初から住民への説明を行って用地の買上げなどを行っていた株式会社HK―ONEという会社あるんですけれども、ここの社長が行政区長に現金百万円を渡すと、賄賂を申し込んだということで逮捕されて、罰金刑を受けているんですね。
地域住民への説明もまともに行わずに逮捕者まで出すような事業はFIT認定取り消すべきではないかと思うんですけれども、梶山大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 再エネにつきましては、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて最大限導入していくことが基本方針であります。このため、地域に根差した再エネの導入拡大を進め、地域の信頼を確保していくことが重要であると考えております。
このため、FIT制度では、認定事業者が地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務としておりまして、怠っている場合にはFIT法に基づく指導を行います。条例を含む関係法令の遵守を認定基準として定め、認定事業者自身が違反した場合には必要に応じて認定を取り消すといった取組を行っているところであります。
今回の事案については、事業の体制、逮捕者との関係など詳細について確認を行い、必要に応じて適切に対応をしてまいりたいと思っております。
先ほどの検討会ということですが、これ検討会は本年の七月を目途に結論が得られるように議論を進めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 ありがとうございます。
災害リスクが増大をしていて、このような事業では住民間にあつれきが生じてしまうと、住民の方たちも不安を感じているんですね。先ほど大臣が地域の信頼という話されたわけですけれども、町議会の総意として反対が示されていて、これもう地域との共生というのはあり得ないと思います。FIT認定の取消しを強く求めておきたいと思います。
次に、東京電力福島第一原発事故で発生をした汚染水をめぐる問題について質問をします。
四月十三日、政府は海洋放出決定を強行しました。政府と東京電力は、廃炉を着実に進めるためにタンクを減らすんだと言っています。現在、汚染水の発生量は一日平均で百四十トン、朝日新聞が行った試算では、中長期ロードマップに掲げる二〇二五年以内に一日百トン以下、この目標を達成をしたとしても、汚染水の発生量は放出量を上回るというふうにされています。
東京電力にお聞きしますが、汚染水がなぜ発生をするのか、簡潔に答えてください。
○参考人(小早川智明君) 東京電力ホールディングスの小早川でございます。
先生からの御質問にお答えいたします。
福島第一原子力発電所における汚染水は、地下水や雨水が建屋内に入ることで、建屋内の放射性物質による汚染、あるいは燃料デブリに触れた汚染水と混ざることにより発生すると考えております。
○岩渕友君 今答弁いただいたようなことで汚染水増えていくと。これ、汚染水の発生量が減らなければ、タンクを減らすということは当然できないわけなんですよね。
東京電力は、汚染源を取り除く、汚染源に近づけない、汚染水を漏らさないという三つの基本方針に基づいて汚染水の対策を進めていますけれども、この発生量を減らすことは汚染水対策をする上でもう決定的になってきます。
資料の三を御覧ください。汚染水の発生量を抑えられてきてはいるんですけれども、見ていただければ分かるように、台風とか大雨とか、降水量が増えれば汚染水も増えると。天候に左右されている状況でもあるんですよね。
資料の四も御覧いただきたいんですけれども、これは第一原発の一号機―四号機建屋の周辺断面図ということで、建屋の流入量を減らす必要があると思うんですけれども、建屋にはどこからどのぐらいの流入があるのでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
二〇二〇年の汚染水発生量は一日当たり約百四十立方メートル程度でありましたが、建屋流入量につきましてはそのうち約百立方メートル程度と評価しております。
なお、建屋への流入経路につきましては、主に地下水の流入、屋根の開口部からの雨水の流入などが考えられますが、正確な流入経路の内訳につきましては現時点では評価できておりません。
以上でございます。
○岩渕友君 今答弁にあったように、正確な理由や内訳については今把握できていないということなんですよね。ということは、建屋流入の原因は分かっていないということになるわけですか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
詳細な内訳につきましてはまだ判明しておりません。今、評価中、評価が継続中と御理解いただければと思います。
○岩渕友君 これ、原因が分からなければ、じゃ、どうやって止めるのかという対策立てることができないと思うんですね。
建屋流入の原因を明らかにして対策しなければならないわけですけれども、今後どのようにやろうというふうに考えているんでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
先生から御提示の資料にもありましたとおり、汚染水対策が喫緊の課題であった二〇一五年には一日当たり約五百立方メートル程度汚染水が発生しておりました。そのため、地下水の流入を抑制すべく、凍土壁の設置、サブドレーンの稼働、増強、建屋水位、地下水位の低下、また建屋周辺の敷地舗装などを組み合わせた重層的な対策を行ってまいりました。また、雨水が建屋の損傷箇所から建屋内に流入することを防ぐため補修等を行ってまいりました。
これらの対策により、二〇二〇年の汚染水発生量は一日当たり約百四十立方メートルとなり、二〇二〇年内に汚染水の発生量を一日当たり百五十立方メートル程度に抑制するという中長期ロードマップの目標は達成しております。
引き続き、建屋周辺敷地の舗装を進めるなど、二〇二五年内に一日当たり百立方メートル以下に抑制するという中長期ロードマップの次の目標に向け、対策に取り組んでまいります。
○岩渕友君 今の答弁はこれまでのことなんですよね。じゃ、これからどこに原因があってどういう対策取ればいいのかということがはっきりしていないということなんですよ。
それで、今も答弁にあったように、東京電力は、地下水バイパスによる地下水のくみ上げであるとか凍土壁などを切り札としてきました。凍土壁には三百四十五億円もの国費が投入をされたわけですけれども、凍土壁単独の汚染水抑制効果というのは九十五トンで、効果限定的になっているんですね。
梶山大臣に聞くんですけれども、汚染水対策を検討して問題を根本から解決方策を検討している汚染水処理対策委員会ありますけれども、ここが二〇一九年の五月十四日以降開かれていないんです。これ二年も開かれていないということになるわけですけれども、汚染水対策の現状と課題を確認をして、今のような状況ですからね、更に対策を進めるために会議を開催するべきではないでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 汚染水処理対策委員会は、二〇一三年四月に、福島第一原発の汚染水処理問題の根本的な解決や同年に生じた地下貯水槽からの漏えい事故への対処を検討するために廃炉対策推進会議の下に設置をされたものであります。これまで二十二回にわたり開催をし、地下水の流入抑制や雨水対策などの汚染水発生量の抑制対策について議論をしてきたところであります。
二〇一八年に同委員会での議論を踏まえて整備してきた凍土壁が完成をし、応急措置的な対応が一段落して以降は、汚染水の発生状況や対策の効果を確認するために必要に応じて開催する運用となっております。
これ、当初、五百四十立米その汚染水が発生をしていたんですね。今、先ほど東電の社長からありましたように、百四十立米まで抑えてきたと。目標としては百立米までまずは行きましょうということなんですけれども、現在、二〇一九年の四月に改訂した中長期ロードマップでは、汚染水発生量を、二〇一八年時点で一日当たり百七十立米だったところを、二〇二〇年には百五十、二〇二五年には百立米に抑制することを目標として立てております。
これ、凍土壁のほかに屋根を付けたり、あと、いかに回り道をさせるバイパス、地下水のバイパスを造ったりということで様々な手だてを講じているところでありまして、現状ではそういった対策、今までに対策委員会で議論をしてきたことを実行しているということでありまして、必要に応じてまた開催をすることもあろうかと思います。
○岩渕友君 先ほどの東京電力の答弁から考えれば、やっぱり必要だってことだと思うんですよ。ちゃんと抜本的な対策立てなくちゃいけないということだと思うんですね。その抜本的な対策を強化するべきだということを強く求めておきます。
地下水や地質学の専門家がつくっている福島第一原発地質・地下水問題団体研究グループというところあるんですけれども、汚染水の問題で調査や提案を行っているわけですね。資料の四、もう一回見ていただきたいんですけれども、これ、東電の資料で、単純に山側から海側に向かって地層がきれいに並行して滑らかに続く地質断面図、説明されているわけなんですけれども、このグループの検討では、地質に凸凹があったり地質の厚さが場所によって異なっているということで、砂で水が通りやすいところとか、反対に泥岩で水が通りにくいところなんかが複雑に入り組んでいると、分布しているということが分かっています。
地下からのこの流入を防ぐために地層の調査なども行って、それを踏まえて抜本的な対策やるべきだと思うんですね。汚染水を増やさないためのあらゆる手だてを取ることもなく海洋放出が決定されるということは、これ許されないということだと思うんです。
決定後も反対の声が広がっているんですよ。南相馬市議会では海洋放出決定に強く抗議をし、決定の撤回を求める意見書、そして、いわき市議会でも再検討を求める意見書が全会一致で可決されています。県のJA、漁連、森林組合、生協連でつくる地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会というところも共同声明を発表して、さらに、五月二十八日には県内の三つのJAが決定に反対する特別決議を採択しています。
これ、県内だけが反対しているわけではなくて、青森県八戸漁業指導協会の会長理事は、決定に断固反対だ、美しい海と漁業者を守るために海洋放出以外のあらゆる手段を考えてほしいと、こういうふうに述べていますし、宮城県の県漁協の組合長は、怒りを覚える、政府の失敗を漁業者に押し付けるばかりで当事者意識に欠けると、こういうふうな批判されているんですね。
こうした声に応えて、この決定見直すべきではないでしょうか。東京電力と梶山大臣にそれぞれお聞きします。
○参考人(小早川智明君) まず、当社の福島第一原子力発電所の事故により、福島の皆様を始め本当に広く社会の皆様に多大な御負担と御迷惑をお掛けしておりますことを改めておわびを申し上げます。
その上で、今般の決定に伴っての漁業関係者の皆様を始め多くの皆様から、ALPS処理水の処分の安全性への懸念や風評影響への御不安など、様々な御意見がありますことは私としても承知しております。
当社は、福島第一原子力発電所の事故の当事者として、政府の基本方針を踏まえ、風評影響の抑制、また、安全かつ着実な処分の遂行、モニタリングの拡充強化、分かりやすい情報発信などしっかりと取り組み、関係者の皆様からの御理解が得られるよう今後とも努力をし続けてまいります。
私からは以上でございます。
○国務大臣(梶山弘志君) まず、先ほどの地下水の発生についてですけれども、当然私どもも、専門家の会議でやっているということで、地下水のくみ上げも含めてありとあらゆる方策を取っているところでありますので、また、いい方法があればということでしっかりと検討した上で最善を尽くしてまいりたいと思っております。
ALPS処理水の取扱いにつきましては、時間を掛けて丁寧に議論を進めてまいりました。具体的には、二〇一三年以降、六年にわたって専門家による検討を行い、報告書をまとめてきたということ、そして、昨年二月以降だけでも七百回に及ぶ意見交換を行い、また御意見を伺う場等でしっかりと御意見も伺ってきて、書面によるパブコメの意見募集も行ってまいりました。ただ、委員がおっしゃるように、県内の方々を始め海洋放出に懸念を持つ方がたくさんいることは強く認識をしているところであります。
こうした御懸念に応えるために、安全性に係る科学的な根拠に基づく情報を透明性高く発信をして説明を尽くす広報活動を行うこと、また、風評の発生を未然に防ぐための販路拡大などの支援、万が一風評が発生した場合の丁寧な賠償などのために体制づくり、また徹底をしているところでありますので、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 反対の声に応えるのであれば決定は撤回するべきだということを強く求めて、質問を終わります。
2021年5月31日(月) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」準総括質疑 「2019年度予備費」一括議題
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、二〇一九年度一般会計予備費使用総調書(その1)と(その2)に反対、同年度特別会計予備費使用総調書に賛成の討論を行います。
使用総調書(その1)のオマーン湾等の中東地域における自衛隊の情報収集活動です。
日本共産党は、国会での質疑で、自衛隊が中東地域で収集し、米国と共有する情報について、自衛隊が提供する情報がアメリカの武力行使につながる判断材料になる、憲法上許されない武力行使との一体化になる危険性があると厳しく警告しました。
また、米軍普天間基地及び横田基地、嘉手納基地等の爆音損害賠償訴訟において、国側や原告住民側の控訴に伴う国の保証金差し入れと原告に対する巨額賠償が繰り返されています。
問題は、日米地位協定第十八条第五項(e)で、本来その金額の七五%を米国政府が負担するべきなのに、米国側が一円も応じず、地位協定さえ守られていない状況が続いていることです。米国政府に直ちに損害賠償金を求償し、支払うよう強く求めるべきであり、承諾できません。
同調書(その2)の中曽根康弘元総理の内閣・自民党合同葬儀経費について、コロナ禍での八千二百七十四万九千円の支出に対する国民の批判に加え、全国の国立大学や自治体などへの弔意要求が内心の自由に関わるとする批判もあり、この支出は承諾できません。
なお、八月豪雨、十月の台風十五号、十九号による被災地域に対する支援経費、旧優生保護法やハンセン病元患者に対する補償金等の支払は必要な経費であり、承諾します。
次に、特別会計です。安倍前総理によって突如表明された一斉休校に伴う予備費の支出です。
一斉休校は、科学的根拠もなく、子供たちと家族に深刻な問題を引き起こしました。
日本共産党は、予算規模と支援対象が余りにも小さく、学校休業に伴うフリーランスへの所得補償や雇用調整助成金の助成率等の措置が不十分であり、改善を強く求めました。
そもそも、安倍前総理が、一斉休校を決めながら、一方で、感染拡大の初期にヨーロッパや中国からの渡航者の入国禁止を速やかに措置せず国内の感染者を増加させた責任は極めて重大です。
雇用調整助成金の予備費支出は、極めて不十分ではありますが、学校休業に伴い仕事を休まざるを得なかったフリーランスや労働者の休業補償に資するところもあり、あえて反対しないことを表明し、討論といたします。
○委員長(野村哲郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
まず、令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、以上二件を一括して採決を行います。
これら二件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立をお願いします。
〔賛成者起立〕
○委員長(野村哲郎君) 多数と認めます。よって、これら二件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
次に、令和元年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書について採決を行います。
本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立をお願いいたします。
〔賛成者起立〕
○委員長(野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決されました。