経済産業委員会

新たな東電救済策 批判、国民に負担押し付け 原賠・廃炉支援機構法改定案(経済産業委員会)

(資料があります)
(反対討論があります)

新たな東電救済策 批判 岩渕氏が反対討論
 参院経済産業委員会は9日、東京電力福島第1原発事故の廃炉費用を託送料金(送配電網の使用料)に上乗せする原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改定案を自民、民進、公明、維新の各党の賛成多数で可決しました。

 日本共産党の岩渕友議員は反対討論で、改定案は新たな東電救済、原発優遇・延命策だと批判し、「株主、メガバンクなど貸し手の責任を問い、原発利益共同体に応分の負担を求め、国民負担の最小化を図ることが必要だ」と主張しました。
 岩渕氏は、改定案は当初11兆円とされながら21.5兆円に膨らんだ原発事故処理費用を法的な根拠のないまま消費者に不当請求するという東電改革提言の具体化の一つだと指摘。国民・消費者に莫大(ばくだい)な負担を押し付けるにもかかわらず、国会の関与や国民的議論の場がないと批判し、4月27日に行われた参考人質疑でも、消費者代表から国民の声を無視した進め方に不満や不安が示されたことを紹介しました。

 岩渕氏は、国の法的責任を認めた前橋地裁判決を真摯(しんし)に受け止めるべきだとして、「損害賠償の打ち切りなど福島切り捨てをやめ、福島第2原発を廃炉にすべきだ」と主張しました。


国民に負担押し付け 岩渕氏が批判
 改定原子力損害賠償・廃炉等支援機構法が10日の参院本会議で自民、民進、公明などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、自由党、社民党、沖縄の風が反対しました。採決に先立ち日本共産党の岩渕友議員は9日の参院経済産業委員会で、同改定は加害者である東京電力を救済し国民に負担を押し付けるもので「断じて認められない」と批判しました。

 岩渕氏は、東電が被害者に支払った2011年度~16年度の賠償額(6兆7491億5000万円)と、国が国債を発行し原賠機構を通じて東電に支払った交付金の額(6兆6513億8000万円)がほぼ同額であることを明らかにしました。「返済義務もない交付金であり、右から左へ資金が流れているだけだ。東電は加害者責任を果たしていない」と指摘した岩渕氏に対し、東電の広瀬直己社長は「損害賠償にかかる額を見通し、交付国債のお金をご用意いただきたいとお願いしている」と答えました。岩渕氏は、機構への交付国債が13.5兆円に膨らむ一方、機構の国への返済額は9050億円にすぎないと強調。「東電に言われたままお金をつぎこんでいる」と批判しました。

 また、広瀬氏が廃炉・賠償費用のために新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働が必要だとしていることについて、岩渕氏は「『福島への責任を果たす』という口実で原発の再稼働を進めることを福島県民は望んでいない」と指摘。株主と金融機関が配当と利息で44年間に約9兆円以上もうけていることを示し、「東電の利害関係者などがまず費用負担すべきだ」と主張しました。


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資料1:東京電力福島第一原子力発電所1~3号機の状態(推定)
資料1:東京電力福島第一原子力発電所1~3号機の状態(推定)

資料2:原子力損害賠償額と機構からの交付金額
資料2:原子力損害賠償額と機構からの交付金額

資料3:東電の株主配当と支払利息(借入金)の合計
資料3:東電の株主配当と支払利息(借入金)の合計



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