2019年3月19日(火) 参議院東日本大震災復興特別委員会 予算委嘱審査
(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は19日の参院東日本大震災復興特別委員会で、東電福島第一原発事故による避難指示区域外避難者の仮の住まいについて、追い出しをやめるように政府に迫りました。岩渕氏は、国家公務員宿舎の貸付け期限が3月末までとされるもとで、約半数が次の住まいが決まっていないことや、避難者が経済的に困難な中で退去を迫られて精神的に追い詰められている実態をしめし、「(3月末までに)住まいさえ決まればあとはどうなってもいいということにはならない」と追及。避難者への対応の実態を福島県に聞くよう求めたのに対し、渡辺博道・復興相は「早速話を聞きたい」と答えました。岩渕氏は「追い出しはあってはならない。期限や帰還ありきではなく、国はどんな選択も保障すべき」と強調しました。
続いて岩渕氏は〝原発事故後に福島県内の除染で生じた汚染土を公共事業などで再利用する〟という環境省方針についてただしました。同県南相馬市での実証事業計画に対する多数の反対署名などをしめし、「これだけ住民の反対がある計画は進めることはできない。断念すべき」と迫りました。渡辺復興相は「まずは住民の理解が一番大事」「反対であるということをしっかりと受け止めていかなければならない」と述べました。岩渕氏は『より丁寧な説明を行ったとしても理解を得ることは困難』という自治体の声をあげ「再利用する方針をやめるべき」と主張しました。
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2019年3月19日(火) 参議院東日本大震災復興特別委員会 予算委嘱審査
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三月八日の予算委員会で、東京電力福島第一原発事故による避難指示区域外避難者の住まいの問題について質問をいたしました。この問題が引き続き切迫した問題になっているのでお聞きをいたします。
まず、区域外避難者の住まいの確保について、国の対応はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(末宗徹郎君) お答えいたします。
国の対応ということでございますけれども、その前提といたしまして、二年前の三月末で応急仮設住宅の提供が終了して、県の方では生活再建への支援策に移行しております。その際、県の方で、二年間に限って国家公務員宿舎の貸付け、併せて民間賃貸住宅について二万円から三万円の家賃補助という措置を講じているところでございます。
こうした方々に対しまして、福島県が今、避難先の自治体、社会福祉協議会等々と連携をして戸別訪問、相談対応などの取組をしておるところでございまして、復興庁といたしまして、県と連携をして、国土交通省と連携した公営住宅への入居円滑化、それから相談、戸別訪問に対します人材面、財政面での支援、さらには避難先自治体への協力要請を福島県と一緒に行うなどの支援策を講じているところでございます。
○岩渕友君 今、国家公務員宿舎の話も出ましたけれども、三月末で終了だということで、四月以降の住まいが決まっていない世帯が今どれだけありますか。
○政府参考人(末宗徹郎君) お答えいたします。
今の時点で住居の未確保の方が七十一世帯と承知をしております。
○岩渕友君 今お答えいただいたように、福島県では百四十九世帯中確保しているのが七十八世帯だと、未確保が今答弁あったように七十一世帯だというふうに聞いております。つまりは、約半数の世帯で次の住まいが決まっていないという実態があるということなんですね。
これ、大臣にお聞きをするんですけれども、何で住まいを決めることができないのかと、その実態をどのようにつかんでいるでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 先ほど政府委員が説明ありましたけれども、経過措置としての二年のうちに転居先を見付け、生活再建を果たしていただけるよう、これまで福島県においてきめ細かなサポートを行ってきたところであります。それによりますと、行き先が決まらない主な理由としては、場所や家賃など物件についての条件面によるところが大きいものと認識をしております。また、福島県は避難先自治体や住宅関連企業とも連携しながら現在精力的かつ丁寧に取り組んでいるところであり、引き続き連携を密にして取り組んでまいりたいと思います。
○岩渕友君 今、条件に合わないという答弁があったんですけれども、何で条件に合わないような実態になっているのかということが重要だと思います。
避難者を受け入れている山形県や新潟県では独自の調査を行っているんですね。昨年の九月に山形県が発表をした避難者アンケート、この中で、困っていること、不安なこと、これはどんな結果だったでしょうか。
○政府参考人(末宗徹郎君) お答えいたします。
その調査によりますと、上から順番で申し上げますと、一番目が生活資金のこと六四%、二番目が自分や家族の身体の健康四九%、三番目には住まいのこと四〇・五%、四番目には自分や家族の心の健康三六%、五番目には仕事のこと三一%といったような順番になっております。
○岩渕友君 今、生活資金に困っている、不安だとお答えの方が六四%にも上っているということで、この結果見ても分かるように、経済的に困難を抱えている、住まいの問題も四割を超えているということなので、住まいの問題でも困っているんだということです。新潟県の調査でも、区域外から避難する方の困っていること、不安なことのトップは生活費の負担が重いと、こういうことなんですね。
避難による二重の生活であるとか、避難の長期化で今暮らしが本当に大変になっています。ほかに住まいを求めようと思っても、家賃が高いであるとか、あとは公営住宅という話、先ほどもありましたけれども、競争率が非常に高い、だから次の住まいを見付けることが難しいという状況があります。
これ、三月末まであと二週間ないわけですよね。その中で約半数の世帯が決まっていないと。心配なのは、住まいが決まらずに路頭に迷うような人が出るのではないかと、出かねないのではないかと、こういう状況です。
先日の予算委員会の中で、大臣から、追い出しはないというふうに私は思っておりますという答弁がありました。
大臣にお聞きするんですけれども、今もこの考えに変わりはないということでいいでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 現在、区域外の避難者で国家公務員に入居をしている人は七十一世帯ございます。
福島県が住まい確保をできるように全力で今取り組んでおります。あと二週間余りでありますけれども、その二週間の中でこの七十一世帯が新たな居住が確保できるような今努力をしているところでありまして、その努力の仕方というのは、それぞれのところにお伺いをしまして戸別訪問をしております。また、相談対応をきめ細かに把握をしております。またさらに、避難先自治体や、福祉、就労、住宅等の関係機関とも連携して、今対応しているところでございます。
復興庁としましても、福島県と連携しながら対応してまいりたいというふうに思います。
○岩渕友君 私、大臣が、以前答弁をいただいた追い出しはないというふうに私は思っていますと、その認識に、考え方に変わりはないかというふうにお聞きをしたんです。もう一度お願いします。
○国務大臣(渡辺博道君) 住まいが一番大変重要だという話を私はしました。私は追い出しはないと申し上げたところでありますが、その考え方に変わりはございません。
○岩渕友君 今、大臣の答弁の中で努力の仕方という話もあったんですけれども、追い出しがあってはならないということと同時に、追い出すようなやり方もあってはならないということだと思うんですね。
福島県から毎日のように電話が掛かってくる、退去しなければ二倍の家賃が請求をされるということで、精神的につらい、耐えられない、こういう中で、家賃の高い住宅を無理やり決めるという方や、借金をしてまで住まいを決めたという方もいらっしゃるんですね。病気の人にまで、追い出そうと、そういうようなやり方がされているという声も届いています。
避難者の支援をしている方たちが、退去を迫られている方から精神的に追い詰められて静かな暮らしをしたいと、こういうようなSOSを受けて、一緒に物件探しを行っております。職場を変えなくても済むように、家賃が収入の三割を超えないように、また初期費用を抑えられるように、こうしたいろいろな問題に気を付けながら、こういうことを考えながら七か所の物件回ったというんですね。
先ほど、大臣、住まいは非常に重要だとお話ありましたけれども、住まいを決めるということは、先ほど見たように経済的に非常に困難な状況にある中で、簡単なことではないということだと思うんです。これ、住まいさえ決まれば、あとはどうなってもいいということにはならないと思うんですね。無理やり高い家賃のところに入っても、その後、当然行き詰まるということになりますし、借金するということになれば、それもやっぱり行き詰まるということになると思うんです。だから、住まいさえ決まればそれでいいということにはならないと。
必要なのは、三月末までに住まいを決めるということではなくて、一人一人の事情に寄り添った対応をするということなのではないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 私は、先ほど申し上げたとおり、戸別訪問、それから相談対応、これ丁寧にかつ誠実に取り組んでいると私はお伺いしているわけでありまして、そういう今委員がおっしゃったような状況を私はお伺いしておりません。
そしてまた、その後、住居が新たに決まった、そういったところも、やはり私はフォローしていく必要はあるというふうに思っております。これは、全国に現在二十六の生活支援拠点というのがございますけれども、そういった人と連携しながら対応をしてまいりたいというふうに思います。
○岩渕友君 大臣はそういう実態はあるとは聞いてないというお話だったんですけれども、現場ではそういう声が上がっているということがあるんですよね。
是非、福島県にどういう実態になっているのかということを聞いていただきたいと思うんですけれども、そして併せて、そんなやり方がもしあるんだとすればそれは駄目だということを言っていただきたいと思うんですけど。
○国務大臣(渡辺博道君) 密に連携するということはそういうことでございますので、早速ちょっとお話を聞きたいというふうに思います。
○岩渕友君 是非ともお願いしたいと思います。
改めて、追い出すようなやり方も、そして追い出しもあってはならないということです。期限や帰還ありきということではなくて、国はどんな選択も保障するべきです。家賃の二倍請求、追い出し、絶対あってはならないということを重ねて申し上げたいと思います。
次に、除染による汚染土壌の再生利用に係る問題についてお聞きをいたします。
環境省は、東京電力福島第一原発事故の後、福島県内の除染で出た汚染土について、八千ベクレル以下の汚染土について、公共事業で再利用する方針を今進めています。しかし、この再利用については、不安であるとか懸念の声が上がっているんですね。
福島県内では、除去土壌を用いた再生利用実証事業について、これまで四つの事業が計画、実施をされています。このうち、二本松の事業と南相馬市常磐自動車道に係る事業について簡潔に御説明をお願いします。
○政府参考人(森山誠二君) お答え申し上げます。
二本松市における実証事業は、同市内の市道におきまして、除去土壌を再生資源化し、市道を造成するものでございます。本事業につきましては、現在、事業計画を再検討しているところでございます。
また、南相馬市常磐自動車道に関する実証事業につきましては、同市東部仮置場の再生資材を用いまして、高速道路の仕様を満たした盛土を造成するものでございます。本事業につきましては、今月上旬から地元の皆様に御説明を開始したところでございます。
○岩渕友君 二本松の事業なんですけれども、再検討することになったと今答弁がありました。これ、再検討することになった理由をお答えください。
○政府参考人(森山誠二君) お答え申し上げます。
当該実証事業につきましては、地元の皆様に対する御説明の機会を通じまして様々な御意見をいただいたところでございます。昨年六月の時点で地元の皆様の御理解が十分得られず、農閑期に施工を行うこと等を計画しました期間内に事業を終わらせることが困難となったため、事業計画を再検討することとしたところでございます。
○岩渕友君 今、理解が十分に得られなかったという答弁ありましたけれども、二本松の事業は、住民の皆さんから、除染した土を道路の下に埋めるということで、これ事実上の最終処分になるんじゃないかと、こういう反対の声が大きく広がって、約五千名分の署名が短期間に集まって環境省に提出をされて、再検討と言うけれども、事実上凍結ということになったわけなんですね。
南相馬市小高の計画についても、原発事故でさんざん苦しんだのに何でなんだと、孫やひ孫の代まで苦しめられるということで反対の声が広がって、二月末には三千五十五名分の反対署名が南相馬市に提出をされているだけではなくて、今も集まっています。これ、計画地があるところは西部地区というところなんですが、そこの区長さんたちも反対の声を上げています。
これだけ住民の反対がある計画を進めることできないということだと思うんですね。これ、小高の計画、断念するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(あきもと司君) お答えします。
委員御指摘の再生利用に対する実証事業につきましては、この事業の実施に当たりましてまず一番必要なのは、住民の方々の御理解だというふうに思っております。そのため、再生利用に必要な、再生利用に対する、この事業に対する必要性、又は放射線に関わる安全性等の丁寧な説明をしながら、当然、住民の皆さんに寄り添いながらこの事業を進めさせていただきたいと、そんなふうに思っております。
○岩渕友君 住民の理解だと言うんですけれども、住民の皆さんはとんでもないことだということで怒っているわけなんですよね。計画を断念するまで反対の声を上げ続けると、こういうような声もお聞きをしています。それだけの覚悟で住民の皆さんたちが反対の声を上げている事業なわけですね。
これもう断念するしかないと思うんですけれども、大臣、今このやり取りを聞いていて、こういう小高の皆さんのやめてほしいという声、受けていかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) この再生の関係につきましては、まずは住民の理解、これが一番大事だというふうに思っています。住民の皆さん方がやはりそれの事業に対して理解を深めていく、そのために丁寧な説明をしていって、その結果としてどうなるか。それは、住民の皆さん方が了解するなら了解、でも、反対であれば、反対であるということをしっかりと受け止めていかなければならないというふうに思いますし、それはなぜかといいますと、実はやはり風評というものの広がりは私は一番怖いと思っています。福島の問題についての中核的な問題は、風評をいかに食い止めていくか、これが大変重要だと私は認識しております。
そういった観点から、私は、風評被害に、これをその一つの拠点となって広がることは恐れているということでございまして、これは、やっぱり住民の皆さん方への丁寧な説明と、それから理解が必要だと、そのように思っています。
○岩渕友君 理解が必要ということでしたけれども、現場の皆さんは理解できないというふうに言っているというのが実態です。
これ、汚染土の再利用については、自治体からも反対の声が上がっているんですね。三月九日に放送された「報道特集」の中では、汚染土を管理する八県八十三の自治体に行ったアンケート結果を報道していました。汚染土の再利用を検討していないと答えた自治体は七十九にも上っています。
この汚染土の再利用という方針そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。
○副大臣(あきもと司君) お答えします。
福島県内の除去土壌につきましては、最終処分量を低減するため、除去土壌等の減容、再生利用を進めていく方針を、これまでも閣議決定等でお示しをさせていただいているところでございます。
また、今月八日に閣議決定いたしました復興・再生期間における東日本大震災からの復興基本方針におきましても、福島県内の除去土壌等の県外最終処分量を低減するため、政府一体となりまして、除去土壌等の減容そして再生利用等取り組む旨示されているところでございます。
また、平成二十七年二月に国と福島県及び大熊町、双葉町との間で結びました中間貯蔵施設に関わる安全協定においても、国は、福島県民その他の国民の理解の下に除去土壌等の再生利用の推進に努める旨定められておりますので、我々といたしましては、福島県外最終処分に向けて、引き続き、再生利用の推進、最終処分の方向性などの検討など、また取組についても着実に進めさせていただきたいと、その思いであります。
○岩渕友君 改めて、住民の納得は得られないということだと思います。「報道特集」の自治体アンケートでは、生活圏での再利用は言語道断だと、より丁寧な説明を行ったとしても理解を得ることは困難だと、こういう声が寄せられました。
この汚染土を再利用する方針やめるべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。