2019年12月3日(火) 参議院 経済産業委員会「外為法にもとづく北朝鮮への制裁承認案件」
「日韓関係について」
日本共産党の岩渕友議員は12月3日の参院経済産業委員会で、「日韓の関係悪化を食い止め関係改善を進めていくことが重要だ」と指摘し、問題の根本にある過去の植民地支配への真摯(しんし)な反省を土台にしなければ解決の道は開かれないと強調しました。
岩渕氏は、日韓関係の悪化を招いた根本原因は、安倍政権が昨年10月、不法な植民地支配による元徴用工の慰謝料請求を認めた韓国大法院の判決に真摯に向き合わなかったことにあると指摘。さらに7月、世耕弘成経産相(当時)が「韓国との信頼関係が著しく損なわれた」として、韓国向け半導体材料の輸出管理規制を強化し、その影響はさまざまな業界に広がったとして、政府の認識をただしました。
梶山弘志経産相は、この問題の経緯に触れつつ、今月中旬、3年半ぶりに開かれる日韓両政府の局長級の政策対話について「両国の輸出管理について相互に確認する」と答えました。
岩渕氏は、日朝平壌宣言(2002年)と日韓パートナーシップ宣言(1998年)で過去の植民地支配について「反省」と「お詫び」を表明したことをあげ、植民地支配の不法性を認めなかった日韓請求権協定(1965年)との違いを指摘。梶山氏は「協定の解釈が(日韓で)異なる」と認めました。
岩渕氏は「不法な植民地支配によって強制動員された元徴用工の慰謝料請求、人権救済を命じた大法院判決に真摯に向き合うべきだ」と主張しました。
全編版(~12:08まで)
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2019年12月3日(火) 参議院 経済産業委員会
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
本件は、北朝鮮を仕向地とする全ての品目の輸出入を全面的に禁止するという措置について、外為法に基づき承認を求めるものです。北朝鮮に対する貨物の輸出入の全面禁止措置という我が国独自の制裁措置は、二〇〇六年十月に北朝鮮による核実験を契機として、北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題の外交的解決を図るための手段として実施をされているものです。
前回、二〇一七年の制裁措置延長後も北朝鮮は、その年の九月に六回目の核実験を実施、四月から十一月にかけて弾道ミサイルを十回発射するなど、度重なる国連安保理決議違反への対処として、二〇一七年には、北朝鮮への制裁措置を強化するなどとした四つの新たな国連安保理決議がいずれも全会一致で採択をされております。
その後、朝鮮半島をめぐる情勢は大きく変化をしております。二〇一八年の六月には史上初の米朝首脳会談が開催をされて、その後、二回の会談が行われております。昨年四月には南北首脳会談も開かれるなど、北朝鮮の核・ミサイル問題の対話による平和的解決を目指す動きというのは大きく前進をしてきています。
これらの前向きな変化は、いろいろな曲折はありますけれども、朝鮮半島の非核化と北東アジア地域の平和体制構築への一体的、段階的な発展につながるよう期待をしたいと思っております。その上で、本件には、北朝鮮を対話の道に復帰をさせて、核問題などの外交的な解決を図る手段として賛成をするものです。
ところで、朝鮮半島の南、韓国をめぐる問題についてお聞きをしたいと思います。
日本と韓国の間では貿易と人の交流が急減をしております。その発端となったのが、日本が韓国に対して行った、韓国向けの半導体材料の輸出規制の強化です。当時の世耕経産大臣は、元徴用工問題への対抗措置ではないというふうに述べた上で、元徴用工問題について、韓国との信頼関係が著しく損なわれたと指摘をして、安全保障上の輸出管理は信頼関係が前提のため規制強化に踏み切ったと、こういうふうに説明をしました。
財務省の貿易統計によると、十月の日本の対韓輸出は前年同月比で二三・一%減で、十二か月連続で前年同月を下回るということになっています。韓国の十月の日本車の販売は、前年同月比六割減の大幅な落ち込みということになっています。日本のビールが韓国で特に人気だということなんですけれども、日本の九月の韓国向けビール輸出は僅か五十八万円で、前年同月の七億八千四百八十五万円から激減をして、十月について言うと何とゼロ円ということになっているわけなんですね。そのほかにも、観光など様々な業界に影響が広がっていて、日本企業だけではなくて日本経済への影響も懸念をされる事態ということになっています。
こうした下で、輸出管理に関する日韓両政府の局長級の政策対話の開催が発表をされました。この政策対話の開催がおよそ三年半ぶりだということで、そのための準備会合が、まさにあした、四日ですよね、ウィーンで開かれるということになっています。
両国関係の悪化を食い止めて、関係を改善、進めていくということが重要だと考えるわけですけれども、大臣はどのような立場で当たっていくのでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 経済産業省としては、まさに輸出管理の視点から、こういう措置をとらせていただきました。
今委員御指摘のように、十二月十六日の週に韓国との輸出管理政策対話が行うことになったわけですけれども、これ三年半ぶりであります。輸出管理をめぐる情勢認識等について意見交換をするほか、輸出管理の問題の懸案の解決に資するべく、両国の輸出管理について相互に確認をする予定としております。
日本側としては、通常兵器キャッチオール制度の不備や審査体制の脆弱性、そして韓国側の輸出管理制度、運用が不十分である点について議論することを想定をしております。このような対話を通じて、韓国との間で大量破壊兵器等の不拡散に向けた協力が進むことを期待をしております。
カテゴリーをAからBに分けたときの理由というのが、先ほども申しましたけれども、この政策対話がずっと三年ほど、その当時では三年ほど、申し入れてもなかなか実現がしなかったという点が一点、そして先方の輸出管理体制が非常に脆弱な体制、人数も含めて、質も含めて脆弱な体制であったということ、あと、キャッチオール体制が法制化されていない、法に当てはまっていないということもあってさせていただいたわけですけれども、こういった点が解消するようなものであれば将来また回復する可能性はあると思いますけれども、まずはそういった初歩的な確認をさせていただくということがまず第一であります。
そして、三品目につきましても、これは輸出国側としての責任ということで、輸出国側の課題もあるわけですけれども、こういったものがしっかり管理した上で輸出されるように、兵器につながらない用途になるようにということでのやり取りをしっかりとしていくということになると思います。
○岩渕友君 GSOMIAは継続ということになりましたけれども、日韓関係の根本的解決には程遠いというのが実情です。
そもそもの発端は、日本政府が元徴用工をめぐる韓国大法院の判決に対して真摯に向き合わなかったということがあります。二〇一八年の十月三十日、韓国の大法院は韓国の元徴用工への慰謝料請求を求める判決を行いました。これに対して、安倍首相は、その後の十一月一日の衆議院の予算委員会で、この問題は一九六五年の日韓請求権協定によって最終的に解決している、今般の判決は国際法に照らせばあり得ない判断と答弁をしています。
けれども、政府は、請求権協定によって日韓両国間の請求権問題が解決されたとしても、被害に遭った個人の請求権を消滅させることはできないと公式に繰り返し表明をしてきました。
さらに、原告が求めているのは、未払賃金や補償金ではなくて、朝鮮半島に対する日本の不法な植民地支配と侵略戦争の遂行に直結をした日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員への慰謝料の請求です。慰謝料の請求は、政府のこれまでの答弁でも、いわゆる財産的権利というものに該当しないとされてきました。
十一月二十二日に、韓国政府がGSOMIAについて、いつでも効力を終了できるという条件付きで終了通告の効力を停止すると発表したことを受けて、茂木外務大臣が名古屋のホテルで記者会見を行っています。日韓関係の根本にある問題について、これ何と述べているでしょうか。
○政府参考人(田村政美君) お答え申し上げます。
委員御指摘の韓国政府による発表を受けて、十一月二十二日、茂木外務大臣は臨時会見を実施し、その中で、概要以下のとおり発言しております。
本日、韓国政府から日韓GSOMIAの終了通告を停止する旨の通告がありました。北朝鮮問題等への対応のため、安全保障上の日韓、そして、日米韓の緊密な連携が重要であります。現下の地域の安全保障環境を踏まえ、韓国政府としてもこのような戦略的観点から今回の判断をしたものと受け止めております。言うまでもなく、GSOMIAの問題と輸出管理は全く別の問題であります。輸出管理につきましては、韓国側からWTOプロセスを中断するとの通報があったことを受け、今後、関係当局間で対話がなされていくものと承知しています。現下、最大の課題、そして根本にある問題は、旧朝鮮半島出身労働者問題であり、韓国側に対して、一日も早く国際法違反の状態を是正するよう引き続き強く求めていきたいと思います。
以上でございます。
○岩渕友君 日韓当局者の対話が再開をされるということなんですけれども、過去の植民地支配への真摯な反省の立場を土台にしなければ、解決の道は開かれていきません。
二〇〇二年の日朝平壌宣言の第二項では、日本側は、過去の植民地支配によって朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明したとあります。これは、北朝鮮だけではなくて、韓国に対しても言えることですよね。大臣にお聞きします。
○国務大臣(梶山弘志君) 先ほど外務省からありましたように、一九六五年の国交回復時にその問題は終わっているということで、解釈の違いがあると思っております、韓国との間には。
ただ、北朝鮮の件につきましては、この日朝平壌宣言に基づいてこれからの対応方針というものを考えていくという政府の考え方に間違いはございません。
○岩渕友君 今お話があった日韓請求権協定前の過去の植民地支配の認識が北と南で違うというのはおかしいと思うんですね。日韓パートナーシップ宣言でも同じ認識が示されております。日朝平壌宣言は、核、ミサイル、拉致、植民地支配の清算といった問題を包括的に解決をして国交正常化を目指す方向を示しています。
政府は、日朝平壌宣言、日韓パートナーシップ宣言に基づいて外交努力を強めるべきだということを強く求めるものです。同時に、不法な植民地支配によって強制動員された元徴用工の慰謝料請求、人権救済を命じた大法院判決に真摯に向き合うことを強く求めたいと思います。