2021年5月24日(月) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」省庁別審査⑥
日本共産党の岩渕友議員は5月24日の参院決算委員会で、DV被害者が居場所を知られないよう住民票などの閲覧を制限する支援措置について、手続きの自動延長や簡素化、措置期間の延長を求めました。
コロナ禍でDV相談が増加し、支援措置の対象者は昨年12月時点で約15・4万人にのぼります。岩渕氏は、昨年4月に当事者の声をもとに畠山和也前衆院議員と連携し、支援措置に必要な本人確認手続きを窓口ではなく郵送などで行うことができるとの通知が出たと紹介。コロナ禍の緊急措置に限らずコロナ後も継続すべきだと主張しました。
岩渕氏は、措置期間が1年間で、毎年手続きが必要だと指摘。当事者には外出への不安や手続きの負担などがあるとして、自動延長を求めました。総務省の阿部知明審議官が「特例的な扱いであり、一定の期間を区切って状況等を確認する必要がある」と答弁。岩渕氏は、措置期間延長の検討を求めました。
岩渕氏は「(DVは)1年で解決するような問題ではない。精神的、経済的にも困難を抱えるDV被害者の負担を少しでも軽減し、安心して生活できるようにしてほしい」と手続きの簡素化を強く求めました。
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質問資料1 住民基本台帳でのDV等支援措置(閲覧制限) 対象者数(2011年~2020年)【PDF版】【画像版】
質問資料2 新型コロナ拡大に伴うDV等支援措置 総務省通知(2020年4月)【PDF版】【画像版】
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2021年5月24日(月) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」省庁別審査⑥
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、コロナ対策に関わって緊急の問題について質問をいたします。
経済産業省は、中小業者支援である一時支援金の書類提出の期限を五月三十一日から二週間程度延長をすると発表をいたしました。これ、期限に向けて連日一万件もの書類提出が続いているというふうにも聞いたんですけれども、こうしたことから見ても当然の決定です。
この一時支援金をめぐっては、登録確認機関に予約が殺到をして、期限まで確認が間に合わないという声や、この事前確認を行政書士に依頼をしたところ、対象にならないと勝手に判断をされて、別の行政書士に依頼をすると、今度は事前確認で一万円、申請まで行けば三万円、こういう提示をされて、市に相談をしたと。で、行政書士会に要請をして、無料で受け付けてもらったのが五月十七日で、申請に間に合うかどうか心配だ、こうした声も寄せられています。
こうした実態を見ても、書類の提出期限を、二週間程度ではなくて、最低でも一か月とか、思い切って延長するべきではないでしょうか。
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
今委員御指摘ございましたけれども、申請に必要な書類の準備に時間を要する方もいらっしゃるため、一時支援金につきましては、五月の十八日に書類の提出期限を二週間程度延長するということを発表させていただきました。
延長を希望される場合は、持続化給付金と同様に延長申込みの手続が必要でございます。五月の三十一日までに申請IDの発行及びマイページ上から書類提出期限の延長申込みと、この二つを行っていただくということにしております。
できる限りお早めに申請いただきたいと思っておりますけれども、まずは、新たに作成した申請延長に伴う手続に関するチラシを全国の登録確認機関を含めた団体に設置することなどによって、必要な方に必要な支援をお届けできるよう、事業者の立場に立って、まず分かりやすい周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 周知は大事なことだと思うんですけれども、これ申請状況を踏まえて柔軟な対応必要だと思うんですね。認識、それいかがでしょうか。
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
具体的な締切りの日程でございますけれども、現時点では確定をしておりません。二週間程度の延長ということでございます。
まずは期限内に申請をしていただくように周知、広報によって促しながら、状況を見て判断してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今、状況を見て判断ということでしたけれども、これ非常に重要だと思います。
冒頭申し上げましたように、登録確認機関の対応というのも問題だということで、もういろんな声がたくさん寄せられているんですね。これ、事前確認を適切に行うように指導もこれ求めておきたいというふうに思うんです。
今、長引くコロナ禍の下で、全ての中小企業、そして個人事業主がもう本当に深刻な打撃を受けています。もう事業を継続できるかどうかと、こうした状況になっていますので、二回目の持続化給付金、家賃支援給付金の支給、これも併せて強く求めておきたいと思います。
次に、コロナ禍のDV等支援措置をめぐる問題についてお聞きをいたします。
厚生労働省と警察庁が三月に公表をした二〇二〇年の自殺者数は、十一年ぶりに増加をして、特に女性が増加をしている、増えているという状況です。
厚生労働大臣指定法人のいのち支える自殺対策推進センターが昨年十月に発表をした緊急レポートでは、女性の自殺の背景には、経済生活の問題や勤務問題、DV被害や育児の悩みなど、様々な問題が潜んでいるんだということで、コロナ禍で自殺の要因になりかねない問題が深刻化、女性の自殺者数の増加に影響を与えている可能性があるんだと、こういうふうに指摘をしております。
大臣、この指摘をどのように受け止めていますか。
○国務大臣(田村憲久君) おっしゃられますとおり、令和二年の自殺者、確定値で二万一千八十一名ということで、前年、対前年比九百十二名増で、四・五%増という形であります。男性は二十三人減少して十一年連続減少となっておりますが、女性は九百三十五人増えておると、一五・四%増加。
そういう意味では、言われるとおり、女性が非常に厳しい環境の下で自殺者が増えているんだろうというふうに推測いたします。もちろん、一般的に表に上がってくるいろんなその要因というのは今までも幾つかあって、例えば経済問題でありますとか、それから家庭問題、それからいろんな生活の問題でありますとか、さらには例えば勤務の問題みたいなものもその中に入ってきておるわけでありますが、今言われましたいのちを支える自殺対策センターのこのレポート、緊急レポートにおいては、DV被害や育児の悩み、こういうものも書かれておりますし、あとは介護疲れ等々も入っておるということであります。
以前からそうなんですけれども、やはりSNS、今、今どきの時代ですから、SNSでありますとか、もちろん電話相談もそうなんですが、そういうものでそういうようなもの、もう自殺を悩んでおられるというような方々を早めに、まあ何といいますか、察知して、そうならないようにつなげていくと。
今、緊急の場合には、全国に、もう民間のネットワーク使って、場合によってはアウトリーチで、これ本当に緊急だという場合には対応いただくというような、そういうような仕組みもおつくりをいただいておったりなんかいたしております。
いずれにいたしましても、きめ細かい対応が必要だと思いますし、さらに、なぜ女性が増えているのかという分析もこれはしっかりしていかなければならないというふうに考えております。
○岩渕友君 今答弁いただいたように、女性の自殺の急増というのは非常に深刻で、その対策はもう急務になっています。
内閣府の調査で、二〇年四月から二一年二月までの全国の配偶者暴力相談支援センターとDV相談プラスに寄せられた相談件数は十七万五千六百九十三件で、前年同期の約一・五倍というふうに急増をしています。被害者の救済と保護、自立支援の充実など、ますます重要な課題となっています。
このDV被害者が加害者に居どころを知られないようにするための措置として、住民票や戸籍の閲覧を制限する住民基本台帳事務におけるDV等支援措置があります。この措置の対象となっている方、現在何人いらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
住民基本台帳事務におけますDV等支援措置の対象者数でございますが、令和二年十二月一日時点で十五万四千三十一人でございます。
○岩渕友君 資料の一を御覧ください。この十年間を見ても、対象となっている方、増え続けているんですね。
昨年四月に、我が党の畠山和也前衆院議員が札幌市内のDV被害者支援団体である女のスペース・おんさんと懇談をした際に、DV等支援措置の実施を求める申出や延長について電話などで簡単に申請できないだろうかと、こうした要望を受けて、私の事務所からも総務省に要請を行いました。その後、二〇二〇年四月二十一日付けで総務省から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う情勢を踏まえたということで通知が出されております。それが資料の二です。御覧ください。
措置の実施を求める旨の申出及び延長の申出については、市区町村の事務所に本人が直接出向くんですけれども、そして本人確認を行うことで受け付けることというふうになっているんですが、コロナ禍という情勢を鑑みて、当面の緊急措置として、郵送などで申出書、本人確認書類の写しなどを送付することで本人確認を行う、それで受け付けることとして差し支えないという内容のものなんですね。こういうシステム待っていたということで、非常に歓迎をされています。
今回の対応は当面の緊急措置というふうになっているんですけれども、コロナ禍続いていますので、これまさに当分継続されるということでいいか、確認をいたします。
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
今お話がございましたように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う諸情勢等に鑑みまして、市区町村の窓口の混雑を避け、感染防止の、感染拡大の防止を図る観点から、当面の緊急措置として、出頭を求めることなく、郵送等により本人確認書類の写し等を送付させ、これにより本人確認等を行うことで申出の受付を可能とする旨、令和二年四月二十一日付けで都道府県を通じ各市区町村へ通知したところでございます。
この取扱いにつきましては、現下の新型コロナウイルス感染症等の情勢を鑑み、当面の間は継続することとしたいと考えてございます。
○岩渕友君 当然、当面の間は継続されると。
これ、そもそも、手続のために市区町村の事務所に足を運ぶことに、出歩くこと自体が安全ではないと。安全に手続できるようにしてほしいというお声や、平日一日仕事を休まなければならないのは負担だという声もあるわけなんですね。
これ、コロナ後も郵送などでの手続を継続するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
今お話のあります郵送等による申出の受付、現在、緊急の措置として可能としているところでございますが、この際には、当該市区町村長は、意見又は関係書面等を付した警察、配偶者暴力相談支援センター、それから児童相談所等又は裁判所に対しまして、DV等の支援措置の必要性を電話等により確認した上で、申出者本人の住所に宛てて、申出を受け付けた旨を通知することとしてございます。
DV等支援措置につきましては、住民基本台帳法に基づく住民票の写し等の交付制度の特例的な取扱いを行うものでございまして、虚偽の申請を、申出を防止する観点から、郵送等による申出の受付の恒久化につきましては慎重に判断する必要があると考えてございます。
○岩渕友君 慎重に判断ということなんですけど、前例ができたということにもなりますので、対応を継続してほしいということを強く求めておきたいと思います。
これ、延長は一年ごとに行うことになっているんですけれども、紹介をしたように、外出への不安、窓口での手続することへの負担に加えて、身の危険を感じるような加害をする者が数年程度で被害者に対する執着はなくなるはずもない、被害者の私がなぜ毎年つらい思いしなくちゃいけないのかと、思い出したくない、状況が変わることなんてあり得ないといった声も寄せられているんですね。
こうしたことから、支援措置の期間を被害者が希望する期間としてほしいとか、自動延長を求める声もあります。こうした声に応える必要あるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
支援措置の期間につきましては、DV等被害者の申出に基づきまして、住民基本台帳法で認められている住民票の写し等の交付制度の特例的な扱いを行うものでございます。やはり、一定の期間を区切って状況等を確認し、適切に対応していくことが必要と考えているところでございます。
○岩渕友君 特例的な扱いだと。でも、一定の期間を区切ってということだったので、これ一年じゃなきゃ駄目だということないんだと思うんですね。
先ほど紹介したように、出歩くこと自体が危険だと、仕事を休んでの手続は負担だと、こうした声も寄せられているんですね。被害に遭われている方からは、最初の手続はせめて五年は有効にしてほしいといった要望も寄せられているんです。支援措置の必要性は最初に確認をするわけですよね。だから、最初の手続は五年は有効にできないかと、こうした声も寄せられるわけなんですけれども、お話を聞いた方は、DVが理由で離婚をされて二十五年たつんだけれども、もういつ刺されるかもしれないという恐怖が今もあるんだと、こういうふうに話してくださいました。
これ、一年ぐらいで解決するような問題ではないということなんですよ。こうした深刻な事態、DV被害者が増加している実態を踏まえて、先ほど一定の期間と言った、だから、一年を超える期間の延長、これを検討するべきではないでしょうか。
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
先ほどの繰り返しになりますけれども、DV等支援措置につきましては、被害者に係るDV等被害の状況がやっぱりケースごとに様々に変化し得ることから、期間を一年と定め、申出がありましたら状況を確認して延長することとしてございます。現時点では支援措置期間の長期化については考えていないところでございます。
○岩渕友君 今は考えていないということですけれども、是非とも検討していただきたいんですよ。
精神的、経済的にも困難を抱えるDV被害者の皆さんの負担を少しでも軽減をして、安心して生活することができるように、手続の簡素化、そして支援措置期間の延長、これ強く求めて、質問を終わります。