2022年5月19日(木) 参議院 経済産業委員会「高圧ガス保安法等改正案」
テーマ:事業者まかせでいのち・安全をおびやかす法案
法令違反24件、実は400件超/政府資料に重大誤り/岩渕議員の追及で判明
〝法令違反24件は実は400件超だった〟―。高圧ガス保安法等改定案の策定のもととなった政府資料に、立法事実に関わる重大な誤りがあることが参院経済産業委員会の審議から明らかになりました。日本共産党の岩渕友参院議員の追及で判明したもの。同改定案は高圧ガスなどの保安検査の規制を緩和するもので、ひとたび事故が起これば人命に関わわります。立法過程に誤りがあればその責任は重大です。19日に予定されていた質疑終局は取りやめになり、今後の審議日程は白紙になっています。
同改定案は、電気・都市ガス・高圧ガスの保安検査や手続きを、今以上に事業者任せにするもの。誤りが分かったのは、経産省が規制緩和を進める根拠としてきた、高圧ガス保安法の認定事業所での法令違反について記した資料です。2021年12月に産業構造審議会の分科会に経産省が示した資料で、直近10年で累積わずか24件しか高圧ガス保安法の違反がなかったとし、法令違反は減少していると記しています。
ところが岩渕議員の調査で、2021年の太陽石油四国事業所での67件の法令違反が1件と数えられていたことが判明。認定取り消しされた法令違反も欠落していたことが分かりました。
さらに、岩渕議員が19日の参院経産委員会で追及すると、死亡事故を起こした法令違反も欠落するなど資料の新たな誤りも明らかになり、委員会室は騒然。他党からも「審議の前提が崩れている」などの声が上がり、質疑終局の予定は取りやめになりました。
さらに経産省が20日の経産委理事懇談会で配布した新たな資料からは、2012年に1件と報告されていた東燃ゼネラル(現エネオス)堺工場では130件の法令違反があったことが判明。累積24件としていた法令違反が400を超していたことが明らかになりました。経産省は国会での答弁にも誤りがあったと認めました。
審議の前提崩れ/廃案にすべきだ/岩渕友議員の話
改定案は事業者任せの高圧ガス保安をさらに進めるものであり、国民の命や安全に関わる重大な問題です。その改定案の審議の前提となる資料にこれだけずさんな誤りがあることが明らかになりました。経産省が規制緩和を進めるため、法令違反を少なく見せようと意図していると思わざるを得ません。
改定案をめぐっては昨年の産業構造審議会の小委員会で高圧ガス保安協会の近藤賢二会長が、認定事業所でも10年間で3割弱が法令違反行為をしていると指摘し、「安全性の確保がないがしろにされている」として規制緩和の方針に反対していました。
国民の命と安全をどう考えているのか経産省の姿勢が問われています。審議の前提は崩れており、改定案は廃案にすべきです。
日本共産党のいわぶち友参院議員が、高圧ガス保安法等改定案の根拠となる政府資料の重大な誤りを明らかにした19日の参院経済産業委員会での質問(本紙21日付)に、反響が広がっています。業界専門紙で大きく報じられ、共感や激励の声が寄せられています。
注目されているのは、石油コンビナートなど化学工場の保安検査の規制を緩和し事業者任せにしてしまう高圧ガス保安法等改定案の質問です。19日の経産委員会でいわぶち議員は、同法の違反事例は減少しているとする経産省の資料について、違反件数を実態よりはるかに過少に数えていたり、漏れがあると明らかにしました。
審議の前提である資料の重大な誤りに委員会は騒然とし、すでに決まっていたその後の審議の日程も白紙に。経産省が翌日新たに配布した資料は、直近10年で累計24件とされていた違反が、実際には400件以上あったとしています。
エネルギー分野の専門紙「電気新聞」は25日付で「高圧ガス分野で議論紛糾」と大きく見出しを立てて、いわぶち議員の追及を「1事業者による67件の違反を1件とカウントした点を掘り起こした」と紹介。「法令違反を『少なく見せようとしている』と訴え、人命軽視でいっそうの規制緩和を進めようとしているなどとして、経産省への批判を強めた」と取り上げました。
いわぶち議員の事務所には、コンビナートで40年以上働いていたという市民から電話がありました。安全を軽視する経営者が多い中、安全は何より大事だという思いとともに、「規制緩和するなどだめだ。安全が何よりだ。頑張ってほしい」といわぶち議員への激励のメッセージでした。
この重大な問題の説明のため、経産省は法改正のための議論をしてきた審議会を開き直すという異例の事態になっています。
国民の命と安心を守るため活動を続けている日本共産党のいわぶち友参院議員。データをごまかして規制緩和を進めようとする高圧ガス保安法案の採決日程を白紙撤回させるなど、悪政の横行を許さない党議席の値打ちを存分に発揮しています。
法令違反件数の減少を根拠に石油コンビナートなど化学工場の保安検査の規制を事業者まかせにする法改正の質問で、いわぶち議員の追及をきっかけに、経産省が24件としていた違反件数が実際には400件以上あることなど次つぎとデータの誤りが明らかになりました。経産省の審議会を開き直すという異例の事態で、審議はストップしたままです。
5月28日の秋田市の街頭演説で穀田恵二衆院議員は、規制緩和の根拠を崩したこの追及を取り上げ、「国会にいわぶち友さんあり」と紹介。「命の安全、安心のために〝規制緩和は間違っている〟と言うことができる日本共産党だから、これほどたたかえるんです。福島の原発事故問題で県民の声を届けることが原点であるいわぶち友さんだからできるんです」と訴えました。
29日の仙台市の街頭演説でいわぶち議員は審議について報告し、「日本共産党の議席は、国民の命と安全を守るためにとことん頑張り抜く議席です」と力強く訴えました。
帽子を手に握りながら訴えを聞いていた仙台市青葉区の女性(71)は、「いわぶちさんの訴えがよかったです。国民のために現地を駆けて頑張っていただけているのが伝わってきました」と話しました。
質問資料1 高圧ガス保安協会(KHK)会長の発言 【PDF版】/【PNG版】
質問資料2 高圧ガス保安法認定事業所での法令違反について 【PDF版】/【PNG版】
質問資料3 2011年以降の高圧ガス保安法違反事業所「直近10年では、累積24件」の内訳 【PDF版】/【PNG版】
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2022年5月19日(木) 参議院 経済産業委員会
「高圧ガス保安法等改正案」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
高圧ガス保安法への認定高度保安実施者制度の導入について質問をします。
本法案は、事業者任せの自主保安制度について、更に事業者の裁量を拡大する規制緩和をしようとするものです。けれども、この間の経過を見ても、高度な保安能力を有していると大臣認定を受けた事業者の法令違反が後を絶たないという状況です。これまでに認定を取り消された事業者は20事業所にも達しています。
初めに、高圧ガス保安協会の法的な位置付けについて確認をいたします。
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
高圧ガス保安協会は、高圧ガスによる災害の防止に資するため、高圧ガスの保安に関する調査、研究及び指導、高圧ガスの保安に関する検査等の業務を行うことを目的とし、高圧ガス保安法に基づき設立された民間法人でございます。
○岩渕友君 今答弁にもあったように、法的にも位置付けられている高圧ガス保安の専門機関ということです。この高圧ガス保安協会の近藤会長が高圧ガス小委員会で、協会が把握をしているだけで、この10年間に3割弱が法令違反を、法令違反行為を行っていると、こういうふうに述べているんですね。
この指摘を5月11日の衆議院の経済産業委員会の中で我が党の宮本徹議員が紹介をしたところ、大臣は、この発言の事実関係は分からないと、こういうふうに答弁をされたんです。この答弁聞いて、非常に驚いたんですよね。
それで、2021年10月25日に開催をされた第20回の産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会高圧ガス小委員会の近藤会長の発言について、議事録の23ページの13行目から2段落分の発言を読み上げてください。
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
昨年10月25日に開催された第20回高圧ガス小委員会での近藤会長の御発言を申し上げます。
最近、一流企業と言われるトヨタや三菱電機で検査不正が次々と発覚しております。高圧ガスの世界でも、保安レベルが比較的高い認定事業所でも、高圧ガス保安協会が把握しているだけでも、この10年間で3割弱が法令違反行為を行っております。個別の企業を非難するつもりはありませんが、今年9月には太陽石油が過去10年間に67件の違反をしたとして愛媛県から処分を受けたことは、記憶に新しいところであります。
これらの事実は、今回の制度改正の前提である自律的に高度な保安を確保できる事業者の存在がいかに危ういかを示しているわけでございます。規制を事業者任せにする制度は絵に描いた餅で、保安レベルの低下は確実でございます。
以上でございます。
○岩渕友君 資料の1を御覧ください。
この近藤会長の発言を資料としてお配りをしているんです。それで、2枚目のところの赤い枠で囲ったところが今読み上げていただいた部分なんですよね。
それで、この2枚にわたって発言、ここの部分の発言全部紹介しているわけなんですけれども、非常にどこの部分にも重要な指摘が行われているんですね。是非皆さんにも見ていただきたいと思って配っています。
それで、大臣、この会長の発言なんですけれども、この法案の前提となる議論を行った小委員会の中で行われた発言なんですよね。こういう重要な指摘を知らないまま法案出したということになるんでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 経済産業行政、多岐にわたっておりまして、様々な会議が日々行われております。私は、全ての会議に出席することもできませんし、全ての議事録に目を通す機会もございません。答弁書に、例えば、発言は承知していますがというお答えの仕方ももしかしたらあったのかもしれませんが、私、存じ上げないので、正直にそう申し上げました。
その後、議事録を入手しましたので、それは読ませていただきまして今は理解しておりますけれど、この問題意識は、まさに法案を出す前提でありますので、まさに協会の会長もこういう思いを持っているということは決してそごはないのではないかなと私は思っております。
安全性高めるためにスマート保安を提出させていただいております。
○岩渕友君 この会長の指摘というのは、今大臣もおっしゃったように、やっぱり審議の大前提になる議論の中で出されてきたものなんですよね一番最初に確認をしたように、高圧ガス保安協会そのものは法的にも位置付けられて、この会長の発言って非常に重いわけですよね。
この資料の1の一、1枚目のところの資料を見ていただきたいんですけれども、黄色く線を引いています。近藤会長は、基本制度小委員会が示した案は、国や自治体の規制からの実質的な撤退、効率重視、事業者負担の軽減、事業者の自律性への過度な信頼がベースとなっており、安全性の確保がないがしろにされているとして、このようなずさんな議論を前提とした制度改正には反対だと、こういうふうに述べて、中身について三点述べているわけですね。
一点目は、テクノロジーに名を借りて、これと関係のない手続を緩和するのは筋違いということ。二点目は、事前調査もなしに国が簡易な審査で認定することは制度の根幹として矛盾する。ずさんな審査で認定し、かつ、認定期間を現在の二倍の10年に延ばすことは、保安レベルを大幅に下げるものだ。そして三点目は、新たな認定事業者は自治体の許認可が緩和され、保安人材の配置が少なくなり、定期自主検査がなくなって法的講習は任意になることは、事業者の自律性に過度に依存したもので不適切という、この三点なわけなんですね。
さっき大臣がいろいろあって分からないというふうにもおっしゃったんだけれども、まさかそういう答弁返ってくるというふうにちょっと私も思っていなかったので。これだけ重要な指摘をしているわけなんですよ。
大臣、法案は、高圧ガス保安協会などの事前調査をなくすものとなっていると会長も指摘をしています。高圧ガス保安協会と専門家による現地調査が事前規制として重要な役割を果たしてきました。この重要な役割を果たしてきたのに、何でこれがなくなってしまうのか、なくしてしまうんでしょうか。
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
近藤会長の御発言については御指摘のとおりでございますけれども、その後、審議会で議論を行いまして、現在では我々の改正案について近藤会長から賛成という御意見をいただいているというところは申し上げたいと思います。
御質問の現行の認定事業者制度では、認定審査におきまして、認定要件の適合性を技術的、専門技術的な観点から確認するため、高圧ガス保安協会により事前調査が認められておりました。御指摘のとおりでございます。その結果も踏まえて認定審査を行ってございます。
一方で、改正後の新制度では、認定要件が、を強化をいたしまして、審査項目が、法令遵守の体制やテクノロジー、サイバーセキュリティーなど多角化することを踏まえまして、現行の事前調査制度を発展的に解消いたしまして、国から、高圧ガス保安協会を含め、こうした新たな要件について専門的知見を有する専門機関に意見聴取、調査依頼を行うことができる制度を措置することといたしました。これにより、新制度の下ではより一層保安レベルが向上していくものと、今までの分野に限らず、サイバー、テクノロジーあるいはサイバーアタックとかですね、そういうところに関する保安の観点も含めた上で保安のレベルを上げていくということを考えてございます。
さらに、新制度の下では認定時の審査体制や認定後の監視体制についても強化することといたしてございます。具体的には、認定時の審査体制につきましては、第三者委員会を活用した多角的な視点からの審査を実施をいたします。また、認定後の監視体制につきましても、抜き打ちによる立入検査や高圧ガス保安法の電子申請システムに事業者に対するアラート機能を追加する等などのシステム改善を行うほか、自治体の職員に対する研修期間、内容の確実、内容の拡充を通じた審査の目利き力の向上を図っていくことといたしております。
○岩渕友君 発展的に解消するという答弁でしたけど、結局はなくなるということなんですよ。
資料の2を御覧ください。
これは、産構審の保安・消費生活用製品安全分科会で提出をされたものにうちの事務所で加工したものです。黄色いところに、黄色く線を引いてあるところを見ていただきたいんですが、認定事業所の法令違反について、直近5年において法令違反は減少というふうにあるんですけれども、本当に減っているのかということです。この資料2では、一番上のところに、直近10年では累積24件の高圧ガス保安法の違反だというふうにあります。
資料の3を見ていただきたいんですけれども、実際には、2012年に東ソー株式会社南陽事業所、同じく2012年のJX日鉱日石エネルギー、現在のENEOSですよね、水島製油所B工場、いずれも認定取消しされているんですけれども、この2件については24件に含まれていないんです。
直近10年では累積24件の法令違反とあるんですけれども、実際には少なくとも2件は含まれていないということでいいか、確認をします。
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
昨年12月に公表した産業構造審議会保安・消費生活用品、生活用製品安全分科会の最終報告案におきまして、直近10キンでは延べ24件の高圧ガス保安法違反が認定事業者に確認されたことを報告をいたしました。
今御指摘のあった2件につきましては、これは法令違反ではございませんで、災害を起こしたということで認定取消しを行っておりますので、法令違反ということでは含めてございません。
他方、今般御指摘もございまして改めて報告書の内容を精査しましたところ、結果的には24件の延べ件数自体には変更は生じなかったのですけれども、1件の誤ったカウントと1件のカウント漏れがございまして、結局プラス1、プラス、マイナス1で、延べ件数自体には変更はないのですけれども、そういったことがあることが判明いたしました。
審議会に提出した資料に誤りがあったことは誠に申し訳なく、今後このようなことが決してないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○岩渕友君 これ、法案の審議の前提崩れちゃうと思うんですよ。
そもそもは、昨日の夜、担当者の方から連絡があって、私のところではね、確かに2件含まれていないので、26件だということを確認していたわけですよ。なんだけど、昨日の夜になって、精査したら、この2件については、認定取消しはしたんだけど、ヒューマンエラーで事故が起きた場合は法令違反じゃないと、だから24件のままでいいんだというふうに連絡があったんですよね。でも、今の話だと、それとはまた別に、1件、1件、また別な案件あるという話なわけですよね。
これね、今日時間ないから、それ後でしっかり確認したいというふうに思うんですけど、ヒューマンエラーだからというふうに言うんだけど、非常に重大な事故なんですよね。東ソーの認定取消しは、亡くなられた方もいる、そういう重大な事故なんですよね。なのに、昨日確認して、また間違いがあって、今日また更に間違いがあるって、これちょっと、本当に前提が崩れているということになりますよね。
これだけじゃないんですよ。1件とカウントしている法令違反は1件だけじゃないんです。例えば、今年の3月に認定が取り消された太陽石油株式会社が2021年9月22日に出した当社四国事業所での高圧ガス保安法上の不備に関する愛媛県からの行政処分についてという文書の中で、2011年4月から2021年3月までの10年間において、計67回の高圧ガス保安法に抵触する違反が確認されましたとあります。先ほど近藤会長も紹介したところで、紹介していたとおりなんですね。
この資料3にもそのことを、24番目のところに書いていますけど、67件の法令違反も1件というふうにカウントしていたということでいいか、確認をします。
○政府参考人(太田雄彦君) 法令違反数、先ほどの法令違反数につきましては、事業者単位で1件として法令違反数をカウントしてございます。
○岩渕友君 実は、事前にやり取りした中で、これはもうカウントの仕方の問題なんですって、こういうような話があったんですよ。67件の法令違反、67件もあるのにそれが1件になるということが、これ、カウントの仕方の問題だということで済まされるのかということだと思うんですよね。
さっきの話もそうですし、今の話もそうなんですけど、もう審議の前提となる資料に重要な事実が反映もされていないと。非常にもう命や安全に関わる問題を議論しているにもかかわらず、そういう事態がこの今審議やっている今のこの場でも起きているというの、これ大問題だというふうに言わなくてはならないですよね。
加えて言うと、資料の3の、2012年のコスモ石油に、2011年かというふうに書いてあるんですけど、この24件の法令違反について、この一覧表を作るに当たって、実はいろんな資料を提出してもらったんです。それでいろいろ精査して突き合わせていったら、この2012年のコスモ石油の案件は、実は2011年だったということが後から分かったんですよね。
非常に、だから、昨日、私たちも混乱したし、いや、これ何なんだということで、もうめちゃくちゃじゃないか、ぼろぼろじゃないかということでなったんですよね。もう何を信用したらいいのか本当に分からないなというふうに思いながらこの準備もしてきました。
大臣、今のこういうやり取り見て、まずどう思うのかと。そして、法令違反減っているというんですけれども、こういう実態で本当に減っているって言えますか。大臣、どうですか。
○国務大臣(萩生田光一君) まず、審議会に提出した資料に誤りがあったことは誠に遺憾であります。今後はこのようなことが決してないよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
なお、審議会の最終取りまとめの一任を受けた審議会の分科会長に対して、当省から本件について説明をさせていただきました。修正後の内容を踏まえた上で、審議会の最終取りまとめの結論に変わりはないことについては御了解をいただいております。
いずれにしても、この御指摘は重く受け止めなきゃならないと思っておりますので、これはもちろん、指定の在り方と資料の作り方、両方ミスがあったんだというふうに思いますので、よくここはおわびをしたいと思います。
○岩渕友君 いや、こういうことがないようにと言うんですけど、もうずっと繰り返されてきて、今のこの段階でまで発覚するというので、これ、こういうことがないようにしますと言うだけで、じゃ、それ担保できるのかということだと思うんですけど、どうですか。
○国務大臣(萩生田光一君) お恥ずかしい限りでございますので、今後このようなことがないようにしっかりやっていきたいと思います。
○岩渕友君 例えば、67件を1件にしたり、法令違反を、これ、もう少なく見せようと、そういうふうにしているということなんじゃないんですか。大臣、どうですか。
○政府参考人(太田雄彦君) 認定事業所において複数の法令違反が生じていることについて、こうした事実をしっかり重く受け止め、安全確保に向けて制度の不断に見直す取組を進めていく必要があると考えてございます。
個別の法令違反単位の件数は手元にはございませんけれども、御指摘のとおり、法令違反を個別にカウントすること、すると、事業者単位でカウントするよりも件数が多くなることは事実でございます。
他方、審議会では、新たな認定制度の検討に当たりまして、高度な保安体制を有すると認められる認定事業者のうち、どの程度の認定事業者が法令違反を行っているかに着目して議論したものでございますから、その際、事業所、認定事業所のベースでカウントしたものでございます。
一方で、太陽石油のように、認定事業者において複数の法令違反が生じたことは誠に遺憾でございます。認定取消しを始め厳正な対処を行ってきたところでございます。
こうした点も踏まえ、新たな認定制度では、認定要件にテクノロジーの活用やより効果的に法令違反や事故を防ぐための厳しい要件を追加するなどの要件強化を行っており、新制度の下で事業、認定事業者に法令違反が起こらないようにしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。
○岩渕友君 法令違反の件数についてもカウントの仕方の問題だという話があって、昨日、切取り方の問題だという話もあったんですね。これ、もう法令違反を少なく見せようということを意図してやっているんじゃないかと思わざるを得ないんですよね。でも、結局は、既存の認定制度うまくいっているから、規制緩和して新しい認定制度をつくるんだと、もうゴールありきだと、結論ありきだと。だから、こういうふうになるし、事業者任せの無責任な姿勢がこうした事態招いているということですよね。
実は答弁も間違っていたということが分かって、衆議院の質疑の中で、2011年から2012年にかけてコンビナートで重大事故が相次いでいるということで事故の内容について質問したのに、我が党の宮本議員が質問したのに対して、3件の重大事故について答弁があったんですね。1件目が2011年11月13日の三井化学株式会社岩国大竹工場の爆発事故、2件目が東ソー株式会社南陽事業所における爆発事故だと答弁があったんだけれども、実際には、事故が起きた事業所、工場が逆に答弁されていたということだったんですね。
これ、事実はどうなのか確認します。
○政府参考人(太田雄彦君) 宮本議員の質疑におきまして、事故発生日とその対応する事業者名を逆にしていた発言をいたしておりました。大変申し訳ございません。おわびを申し上げます。
正しくは、2011年11月13日に発生したものは東ソー株式会社南陽事業所における爆発事故、2012年4月22日に発生したものは三井化学株式会社岩国大竹工場における爆発事故でございます。
この二つを、日付をちょっと逆にしてございました。大変申し訳ございません。
○岩渕友君 ただの間違いだとかということではちょっと済まされないのかなというふうに思うんです。それは、これが重大事故で、どちらの事故でも亡くなっている方がいらっしゃるということで、三井化学岩国大竹工場の爆発火災事故では、工場周辺の999軒の住宅にも被害が及んでいるわけですよね。この3件の重大事故のうち、認定を受けていた事業所は2件で、多数は大臣認定を受けた事業所でこうした重大事故を起こしていたということなんですよね。
衆議院の議論で、その事業所任せの自主保安では安全性は確保されないということが証明されたじゃないかと、こういうふうに述べて質問をしたのに対して、実は大臣が、ガス分野における重大事故は大幅に減少していると、2010年代における死亡事故数は1970年代の30%にまで減少しているというふうに答弁をされていたんです。そう、さっきもあったんですけど、これ通告はしていないんですけれども、死亡件数が30%まで減少しているからいいというわけにこれいかないと思うんですね。これが規制を緩める理由にはならないんですよ。1件でもあったら駄目なんじゃないですか。大臣、どうですか。
○国務大臣(萩生田光一君) もちろん、死亡事故に限らず事故は起きてはならないというふうに思っていますので、その点は、今回法案を皆さんにお認めいただく上で、その手続上の簡易になる部分もありますけれど、先ほど来申し上げているように、中身については厳しい審査をするということを申し上げておりますので、しっかり精度を上げていきたいと思っています。
○岩渕友君 この質疑を通じて、今日も含めてですけれども、資料もずさんだし、対応もずさんだし、答弁もずさんだし、正直言って、もう怒りを通り越してあきれちゃうというか、何なんだこれはという思い、正直ありますよね。何を信じていいか分からないし、その根拠データの正確さについてもう疑問を持たざるを得ないと、こういう状況が今回の質疑で明らかになりました。
事業者任せの産業保安と規制の在り方について立ち止まって根本から真摯に検証、総括すべきだし、そもそも審議の前提となる資料がこんなに間違っていて、それが正されないまま、じゃ、これもう採決というふうになるのかということだと思います。
これ、引き続き審議する必要があるということを求めて質問を終わります。