テーマ:発電ゼロの原発に1兆円支払いやめ、電気料金値上げ中止を
(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は18日の参院経済産業委員会で、一切発電していない日本原子力発電(日本原電)の原発に大手電力会社が巨額の基本料金を支払っている問題を取り上げ「契約を見直すべきだ。電気料金の値上げなど許されない」と追及しました。
日本原電がもつ東海第二原発、敦賀原発2号機は2011年に停止し、12年以上発電していません。この間も電力供給の契約をしている大手電力5社は基本料金を支払い続け、11~21年度の総額は1兆2700億円に上ります。
岩渕氏は、とりわけ東京電力が支払った基本料金は全体の42%を占めていると指摘。23~25年には年間550億円もの支払いを見込む一方、東電福島第一原発事故の損害賠償の原資「特別負担金」の22年度の支払いを赤字を理由に免除されたとして「基本料金の支払いをやめるべきだ」と迫りました。
東電の山口裕之副社長は「福島の責任を全う」する責務があるとしながら「原発はカーボンニュートラル社会の実現に必要な電源だ」などと支払い続ける姿勢を示しました。
岩渕氏は、大手電力が日本原電への巨額の支払いをしているにもかかわらず、政府が電気料金の値上げを了承したと批判し、「国民の理解は到底得られない。日本原電への支払いをやめさせるべきだ」と要求。西村康稔経済産業相は「丁寧に説明する」との答弁を繰り返しました。
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
2023年5月18日(木) 参議院 経済産業委員会
「原発推進等5法案(GX電源法)」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
今日は午後から、この委員会として、日本原子力発電が保有をする東海第二原発の視察に行くことになっています。
この日本原電ですけれども、大手電力会社が出資をする原発専業の卸電力会社で、東海第二原発が発電をした電気を東京電力と東北電力が、そして敦賀原発2号機が発電した電気を関西電力、中部電力、北陸電力が買うという契約になっています。
ところが、この東海第二原発は2011年の3月11日から、もう12年2か月たっていますよね、そして敦賀二号機は2011年5月7日から12年、停止をそれぞれしているわけですね。どちらももう12年以上、一切発電をしていないということなんですよ。この発電をしていない期間も、日本原電と電力受給の契約をしている大手電力5社ですよね、は、契約に基づいて基本料金の支払、これを行っています。
そこで伺うんですけれども、2011年度から2022年度に支払った総額と、電力会社ごと、まあ個社ごとですよね、の支払総額はそれぞれ幾らになっているでしょうか。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
日本原電は、保有する全ての原子力発電所が停止した状態であるわけでございますが、同社では現在、東海第二発電所及び敦賀発電所二号機の再稼働に向けて、原子力規制委員会による適合性審査を進めているところでございます。
ここで必要となります発電所の安全を維持するために必要な費用の分につきましては、電力会社との契約に基づいて収入として得ているところでございますけれども、今御質問を頂戴しました2011年度から2021年度までの11年間の総額といたしまして、約1兆2700億円、これは日本原電が有価証券報告書において公表している数字でございますけれども、収入を得ているところでございます。
各社ごとの内訳につきましては、公表されている範囲でお答え申し上げますけれども、東北電力が2018年度までで約800億円、東京電力が2019年度までで約4100億円、中部電力が2019年度までで約2100億円、北陸電力が2019年度までで約1500億円、そして関西電力が2019年度までで約2300億円支払っているものと承知してございます。
○岩渕友君 今答弁にあったように、まあ私は2022年度というふうに聞いたんですけど、2021年度までしか取りあえず出ていないということなので、2011年度から2021年度までの総額ということでいえば、1兆2000億円を超える額になっているわけですよね、この総額で。日本原電が一切発電もしていないのにこの1兆2000億円を超える収入を得ているんだということになるわけですよ。
この2019年度までで見ると、東京電力が支払っている基本料金は全体の約42%占めているんですね。東京電力は、日本原電に2023年から25年までに支払う金額、これを年間幾らというふうに見込んでいるでしょうか。
○参考人(山口裕之君) 東京電力ホールディングスの山口でございます。
福島第一原子力発電所事故から12年が経過してございますけれども、今もなお、福島の地元の皆様、広く社会の皆様に御迷惑、御心配をお掛けしておりますこと、改めておわびを申し上げます。
お答えをいたします。
現在の規制料金の補正認可申請におきまして、日本原電東海第二原子力発電所等を安全に維持管理する費用等として、年間550億円を原価算入させていただいてございます。
以上でございます。
○岩渕友君 今答弁あったとおり、年間550億円支払っていく見込みだということなわけですよね。
これ、東海第二原発は、2022年12月に完了予定としていた安全対策工事について、24年の9月までに延期をするというふうにしています。結局は、発電していない原発にこれまでも支払をしてきたし、今後も毎年550億円もの支払続けるということなんですよ。
この東京電力をめぐって、おとといの委員会の中で、西村大臣に、国は原発事故の法的責任認めるべきだというふうに求めたことに対して、大臣が、被害者の方々に対する賠償が迅速かつ適切に行われるように責任持って対応していきたいというふうに答弁をしたんです。でも、この被害者への損害賠償というのは、これ東京電力は迅速にも適切にも行っていないんですよ。しかも、東京電力は、この福島第一原発事故の損害賠償に充てる特別負担金、この支払を2022年度は免除をされました。
資料を御覧いただきたいんですけれども、東京電力が支払うべき賠償金は、この資料を見ていただければ分かるように、政府が出資をする原子力損害賠償・廃炉等支援機構、ここがまず肩代わりをして、東京電力が機構に返済をするという仕組みになっているわけですよね。この返済するのが特別負担金ということになるんですけれども、これは税金なわけですよ。東京電力の支払が遅れれば利息が増えていくし、それが国民の皆さんの負担増になるということ、負担増につながるということなんですよね。
そこで、大臣に伺うんですけれども、この免除された額というのが幾らになるのかということ、そしてなぜ免除をされたのか、その理由についてお答えください。
○国務大臣(西村康稔君) まず、原子力損害賠償法の規定に基づいて、万が一事故が発生した場合には、事業者に責任を集中し、無限責任を負わせることとしているわけであります。その上で、必要な賠償力、賠償資力の確保を行って、繰り返しになりますが、迅速かつ適切な被災者救済が行われるように、原賠制度を適切に運用することで国全体として責任を持って対応していくということでございます。
そして、御指摘の点でありますが、この第一原発事故に伴う被災者の賠償費用を賄うために、全ての原子力事業者は一般負担金を原賠機構に対して納付しており、東京電力はそれに加えて特別負担金を納付しているということであります。そして、これらの金額は、毎年度、原賠機構の運営委員会において原子力事業者各事業者の収支状況などを踏まえて決定をしているところであります。
2022年度分としては、東京電力が支払う金額は、一般負担金は676億円でありますけれども、特別負担金は今回ゼロということであります。これは、特別負担金の金額については、原賠機構法上、法律上ですね、収支の状況に照らして経理的基礎を毀損しない範囲でできるだけの、できるだけ高額の負担をするものと定められておりますので、この規定に基づいて、東京電力の収支が大幅な赤字が見込まれていたことを踏まえたものと承知をしております。
このように特別負担金は毎年度決定するものでありますので、過去には1100億円負担、回収をしていた実績もあります。東京電力には福島への責任を貫徹してもらうと、そのために非連続的な経営改革も含めて進めてもらい、十分な利益を捻出することで、引き続き賠償、廃炉に必要な資金の安定的な捻出に努めてもらいたいというふうに考えております。
○岩渕友君 赤字だというふうに言いながら、発電もしていない日本原電に今年度も550億円支払うということを見込んでいるわけですよね。これ、そんなことしている場合じゃないということだと思うんですよ。
それで、東京電力に聞きますけれども、この日本原電に基本料金を支払うのをやめるべきではないでしょうか。
○参考人(山口裕之君) お答えいたします。
当社は、福島の責任を全うするとともに、低廉で安定的かつCO₂の排出が少ない電気をお客様にお届けするという2つの責務があるというふうに考えてございます。
その中で、原子力発電は、準国産エネルギー源として優れた安定供給性を有するベースロード電源であり、加えて、発電時にCO₂を排出しないことから、カーボンニュートラル社会の実現に向けて必要な電源と考えてございます。そのための電源の調達先として、日本原電の東海第二発電所からの受電を期待しているというところでございます。
以上でございます。
○岩渕友君 福島の責任ということを口にしながら原子力使い続けようというのは、これ、福島の皆さん聞いたら怒りますよ。
そして、低廉な電気を提供すると言うけれども、発電もしていないところに基本料金払っているわけじゃないですか。そのことが電気料金を上げることにもつながるわけじゃないですか。
この事故の直後、資料見ていただければ分かるんですけれども、事故の直後も特別負担金ゼロになっているわけですよね。でも、この事故直後ということと今とは状況全然違うわけですよ。発電もしていない日本原電に多額の基本料金を払っていると。しかも、東京電力に対して、これだけじゃなくて、東京電力に対して、三井住友銀行やみずほ銀行などが4000億円もの緊急融資、これ行ったばっかりなんですよね。
その一方で、東京電力は、特別負担金ですよね、この原発事故の賠償金の返済も行わないと。さらに、おととい、16日ですけれども、6月からの電気料金の値上げ、これを政府が了承をするということになりました。
東電にもう1回聞きますけれども、こんな状況の下でこの電気料金値上げをする、こういうことを消費者が理解すると、消費者の理解を得られるというふうに考えますか。
○参考人(山口裕之君) お答えいたします。
料金の値上げに関しましては、本意ではございませんけれども、電気の安定供給を果たすということに万全を尽くすためには我々の財務基盤というものも一定程度必要だというところで料金の見直しをお願いをさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○岩渕友君 大臣に伺いますけれども、これ東京電力に対して稼働してない原発に基本料金を支払い続けるということを見直しさせるべきじゃないですか。
○国務大臣(西村康稔君) 今回の電気料金の改定申請につきましては、電力・ガス取引監視等委員会の有識者会議におきまして、中立的、客観的かつ専門的な観点から厳格かつ丁寧に審査が行われました。また、消費者庁との協議を経て、査定方針を取りまとめたところであります。
その査定方針におきまして、東京電力エナジーパートナーにおける日本原子力発電からの購入電力料、御指摘のこの点につきましては、次のように査定方針にされております。
すなわち、契約の相手方との共同開発と認められ、人件費、修繕費や減価償却費等の原子力発電所を安全に維持管理する費用や、将来の稼働に向けた投資に要する費用についても、自社電源同様、負担する義務があると査定方針でされたところであります。契約書原本等を確認した結果、原価に算入することを認めることが適当とされたところであります。これは過去の料金改定における査定方針と同じものであります。
いずれにしましても、査定方針を踏まえた料金改定につきましては、消費者の皆さんの理解をいただく、理解を得るために、分かりやすく丁寧な情報提供、説明、引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 大臣、今、理解を得るためというふうにおっしゃいましたけれども、これ、見直しを求めることもしないで、電気料金値上げするということが国民の理解得られるというふうにお考えですか。
○国務大臣(西村康稔君) 査定方針におきましては、今申し上げたように原価に算入することを認めることが適当とした上で、東京電力EPは契約の相手方に対して効率化努力を求めていくべきであり、また既設分の減価償却費や固定資産税などといった効率化努力が見込めない費用を除く人件費や修繕費などについて、東京電力EP自身による効率化努力分と比較し、既に織り込まれている効率化努力分では足らざる部分について料金原価から減額することと、などとされておりますので、こうした方針に沿って厳格に査定を行ったところであります。
いずれにしても、こうしたことも含めて丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。
○岩渕友君 物価が高騰をして、暮らしや営業に本当に深刻な打撃になっているわけですよね。これ、命と暮らしに関わる重要なインフラである電気料金の値上げというのは更なる打撃になるわけですよ。しかも、当委員会でこれ質問してきましたけれども、この間、大手電力によるカルテルや不正閲覧などの実態が相次いで明らかになっていると。国民の理解、到底得られませんよ。
電気料金の値上げの公聴会では、稼働してない原発に係る費用まで払うのおかしいじゃないかと、こういう厳しい意見まで出されているわけですよね。これ、契約を見直すとともに、電気料金の値上げは許されないということを述べて、質問を終わります。