岩渕氏は、東日本大震災に対する国の第2期復興・創生期間は2025年度が最終年とされ、宮城県気仙沼市など各自治体への支援は原則終了とされているが、被災地は震災で大きな被害を受けた後もコロナ禍や物価高騰にも襲われ、不漁も続くなど何重にも困難な状況だと強調しました。
災害公営住宅に常駐し被災者を見守る生活援助員の配置を今年度も来年度も重視している同市の取り組みにも触れ、復興のあり方や国への要望を質問。同市の菅原茂市長は、震災から14年たって住民も年を取ったため新たな課題も出てきており、26年度からも「何らかの形で国の支援が継続されることが望ましい」と訴えました。
大門氏は、中小企業の賃上げのために大企業の下請けなど立場の弱い企業が人件費などを価格転嫁できる環境を設けることがカギだと述べ、産業別の協約や最低賃金で「どこで働いても賃金はこれだけ払わなければならないと決まっていれば(企業も)価格転嫁せざるを得ない」と指摘。立教大経済学部の首藤若菜教授は「強く同意する」と述べ、最低賃金をもとに価格を決めざるを得ない環境が価格を引き下げる競争の歯止めになると指摘しました。
山添氏は、米国が提案したロシアとの「30日間の一時的な停戦」案をウクライナが受け入れると表明したことに言及。一方でロシアが停戦交渉の条件とする、同国が占領するウクライナ4州からのウクライナ軍撤退などを認めればロシアの侵略を容認することになると指摘し、国連総会が決議する「公正な和平」を実現するために国際社会がとるべき対応を質問しました。東野篤子筑波大学教授は、ロシアの占領や領土の割譲を受け入れれば国際社会の秩序を脅かすことになると述べ、「停戦のハードルを下げすぎないほうがよい」と強調しました。
217-参-予算委員会公聴会-001号 2025年03月13日
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
菅原公述人、西川公述人、本日はありがとうございます。
初めに、菅原公述人に伺います。
冒頭、公述人からも話がありましたけれども、東日本大震災から十四年がたちました。私は福島県の出身なんですけれども、最初にちょっと復興に関わって幾つかお伺いしたいなというふうに思っています。
それで、地震、津波の被災地に対応する復興事業が、第二期復興・創生期間が終了をする、二〇二五年度で原則終了だというふうになっています。けれども、東日本大震災で非常に大きな被害があって、その後、コロナ禍があり、物価高騰があり、そして漁業も不漁が続いているというような状況もあって、やっぱり何重にも困難な状況になってきていると思うんですね。また、時間が経過すれば時間の経過とともに新たな課題にも直面してこられたんだというふうに思うんです。
それで、三月七日付けの河北新報を見ていましたら、被災者の孤立対策についてということで、見守り需要は減っていないという記事が一面に掲載をされていたんです。その記事を見ますと、気仙沼市は災害公営住宅に常駐をしながら被災者を見守る生活援助員を来年度も十五人配置をするんだと。今年度、宮城県内の各市町村を見てみると、最も多い配置数になっていたんですね。こうした実態を踏まえると、財源を含めた国の支援の継続、必要かなというふうに思うんです。
今後の復興の在り方についてどういうふうに考えておられるかということ、そして国への要望について、公述人、御意見があれば伺いたいと思います。
○公述人(菅原茂君) 東日本大震災に関わる御質問、本当にありがとうございます。
令和七年度で第二期復興・創生期間が終了します。その段階で、宮城、岩手の津波被災地につきましては基本的な支援は終了するということになっておりますが、今残っているソフト関係では、県が主体にやっております心のケアの問題、それと市町村が主体にやっております見守りとコミュニティー支援の問題、今御指摘いただいたのは見守りのところだと思います。
LSA、生活援助員を配置して公営住宅を中心に訪問していますけれども、件数が多くなってきているわけではありませんが、一方で、もう十四年、十四歳皆さん年を取りましたので、新たな課題が起きています。そのことについても対応は我々は必要でありますので、令和八年度からの対応につきましては、できれば何らかの形で国の支援が継続されることが望ましいというふうに考えておりますけれども、いつかは私たちがそのことを引き取っていかなくてはいけない。
そういう中で、例えば介護保険の制度の中に組み込むとか、もうそういうことに今かじを切りつつある市町村もありますので、それがいきなりできるかというのは被災者の数とかそういうことにも関わると思いますけれども、令和七年度がおしまいですということについては少し考えていただくと有り難いというふうに思っております。
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて、菅原公述人に漁業に関わって伺いたいというふうに思うんですけれども、気仙沼にとってやっぱり漁業って重要な基幹産業だというふうに思うんですね。ところが、大震災津波の被害があって、今、海水温が上昇していることによって不漁があったり魚種が変化をしてきたりということで漁業に深刻な影響がある下で、その抜本的な対策が必要だと思うんですけれども、ちょっとどんな対策が必要だというふうにお考えかということと、あと、ALPS処理水の海洋放出から一年半がたっているわけですけれども、放出による影響について教えていただけますでしょうか。
○公述人(菅原茂君) 海水温についてはいささか誤解があると私は思っています。要は、プールの中の水が温められたわけではないんですね、まず。そういう側面は一部あります、全世界的には。
しかし、三陸沖については、そのことだけではなくて、いわゆる黒潮の蛇行によって三陸沖を通る黒潮が東にそれるものが北まで上がってしまう、又は接岸してしまうということが課題でありますので、おかげさまでこの三週間ほどすごい西風が吹きましたので、黒潮が少し東に行って冷たい水が入ってくるというようなことがありましたので、そこの海水温の上昇だけに対して何かをするというのは、もしかすると当たるかもしれないし、当たらないかもしれないということがあります。
ただ、長いトレンドで見たときに、漁業従事する人たちの数が減っている、漁船に乗る人が少なくなっている、漁船の数が減っていると。これは、長い間で当然効いてきますので、ここの下支えをしっかりしていくこと。とりわけ、事業者はもちろんのことですけれども、海で働く人たちの環境というもの、例えば遠洋漁業においてWiFiが使えるとかそういうような、あと医療が確実に受けられるとか投票ができるとか、そういうようなことをしっかりやっていくことが私は国としては必要だと思っています。
○岩渕友君 ALPS処理水の影響があれば教えてください。
○公述人(菅原茂君) 今、元々あった輸入、輸出の解除というものが少しずつ進んできていますので大変有り難いなと思っていますし、具体的に何かが、大きな影響があったということではないなというふうに思っていますので、もしあった部分があるとすれば、それは国の方で積んだ基金の方で対応できているし、東電の方でも対応していますので、今後、私は粛々とこのことは進めていくべきだというふうに思っています。
○岩渕友君 続けて、菅原公述人にお聞きをするんですけれども、人口減少は地方の自治体ではどこでも最重要課題になっていると思うんですね。とりわけ、東日本大震災の被災三県の人口減少は全国よりも進んでいるということで深刻だと思うんです。
こうした状況になっているのは、結婚しない若者が悪いとか、女性が子供を産まないからではないと。先ほど、市民会議に参加をされた方が腑に落ちないという意見を述べておられたというお話もありましたけれども、就職氷河期の話も出てきましたが、私もこの世代ですけれども、例えば非正規で働くだとか賃金が低いだとか、あとは子育てに非常に経済的な負担が掛かるだとか、あとジェンダー平等が遅れているとか、こうしたことが原因かなというふうにも考えるんですね。
改めて参考人のちょっと見解を伺いたいなということ、公述人の見解を伺いたいなということと、とりわけジェンダー平等の遅れというところで感じていることがあればお聞かせください。
○公述人(菅原茂君) 先ほど来、ジェンダーギャップの解消につきましては、どちらかというと企業の働く場のところをお話しさせていただきましたけれども、もう一つ、アンコンシャスバイアス、地方においてはなおさらそういうことがあって、一旦都会に出ていった子供たちが帰ってこようとしたときに、地元に行くと、あなた、いつ結婚するんですか、今度、結婚すると、子供はいつ生まれるんですかと、そういうことを、まあ子供たちの言葉を使えばうざいわけですよね。そういうものというのは都会では比較的感じないということがあると思います。
実は私、娘が二人いまして、陳述人としてふさわしくありませんけど、東京に住んでいるんですよ。夫婦で帰ってくるといろいろ感じることがございます。我々の年代とは違って、夫婦間の話も極めて平等になっていますし、うちの妻も今影響を受けております。というような、社会の在り方というものをやっぱり大きく変えていく必要があるんだろうなというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、西川公述人に伺います。
お米が高いという声が私のところにもたくさん寄せられるわけなんですよね。その価格が上がって、今、過去最高になっていると、一年前の二倍になっていると。だから、悲鳴が上がるのは当然だというふうに思うんです。
政府は、需要は減るというふうに見通していると。ただ、二〇二三年度から二四年の需要の実績は七百五万トンだと。これに対して収穫量は六百六十一万トンだと。で、二〇二四年から二五年にかけての需要見通しは六百七十四万トンということで、三十一万トン減るというふうにされているわけですよね。なんですけれども、例えば訪日外国人が増えているとかいろんな要因を考えると、消費や需要が増えるんじゃないのかなというふうに思うんですね。
先ほど、需要の見通し立てるのは難しいんだというお話があったわけですけれども、公述人はこの消費や需要についてはどんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。
○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。
その三十万トンですね、その見込みとして減っているというのは、これまでの経験則に基づいて農林水産省の方で三十万トン減るというふうにしたわけでありますけれども、そうですね、これはやっぱり非常に難しいんですけれども、いろんな小売データ等を見ていますと、結構価格が上がっても需要が強いなというのはちょっとやっぱり印象としては持っています。これは、やっぱり理由は私もよく分からないところなんですけれども、こうやって価格の高騰が起きて騒ぎがなると、逆に買うような動きもあるのかなというふうな気はしております。もしかしたら、なくなったら困るんじゃないかとかいうふうなことで逆に需要が一時的に増えるというふうなことが起こっているのかなというふうに思っております。
ただ、やはり長期的に見ると、高い価格というのはやはり需要を減らす方向に行きますので、例えば、何といいますか、今回備蓄米を放出して、それである程度その消費者のマインドが冷めたら、またその消費が減っていくような方向に向かうというふうなことはあると思います。短期的には案外需要は、今回ですね、一年、この一年ぐらいは強いなというふうには見ております。
もう一点ちょっと付言させていただきますと、二〇二三年から二四年にかけて六百八十万トンから七百万トン、上振れしたわけなんですけれども、私の個人的な意見申し上げますと、これは本当に非常に歓迎すべきことだと思っております。これまでずっと米の需要が減ってきたわけなんですが、それが一年間でも二十万トン増えたというのは非常にポジティブに捉えておりまして、それが今回の米価高騰の原因の一つになっているというのは非常に残念なことではあるんですけれども、その需要が増えたこと自体については私は非常にポジティブに捉えているところではあります。
○岩渕友君 以上で終わります。ありがとうございました。