ラピダス社など一握りのAI・半導体関連企業に10兆円以上の公的資金を投入するラピダス・半導体産業支援法案が24日、参院経済産業委員会で自民党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
反対討論で共産党の岩渕友議員は、かつて政府が出資した半導体メーカー・エルピーダメモリが破綻し、公的資金277億円が毀損(きそん)した責任を誰ひとりとっていないとし、「同法案は恒久的な仕組みとして青天井で税金を投入する」と指摘。ラピダスに出資するトヨタ自動車など大企業8社は73億円しか出資しておらず、量産開始までに必要とする5兆円の大半を国民負担に依存するなど、「究極のモラルハザードだ」と批判しました。
岩渕氏は、同法案が中小企業向けの予算をラピダス・半導体事業向けの財源に振り向ける仕組みで、「商工中金の政府保有株式の売却収入やゼロゼロ融資のための経営安定保証基金などをAI・半導体に活用している」と指摘。また「ラピダスの半導体が軍事利用される危険性がぬぐえない」と強調し、「今必要なことは、憲法の非軍事の立場から日本の強みである半導体装置、素材産業、それらを支える中小企業をきめ細かに支援する政策に転換することだ」と主張しました。
同委の質疑で岩渕氏は、2022年度の700億円のラピダス支援の審査が、外部有識者の名簿を公表せず、審査資料のほとんどが黒塗りされていると批判。武藤容治経産相は「国民の理解を得てすすめる」と繰り返しました。岩渕氏は「ラピダスには兆円規模の公的資金を投入しているのに、説明責任を果たしているとはいえない」と厳しく批判しました。
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217-参-経済産業委員会-006号 2025年04月24日
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、トランプ関税による中小企業への影響と対策に関して質問をします。
先日、群馬県桐生市で、スバル、そして山田製作所といった自動車部品の大手に関わる孫請、更にその先で関わる中小業者の方々からお話をお聞きしてきました。
トランプ関税でリーマン・ショックよりもひどくなるんじゃないか、そもそもトランプ関税の前からもう自分たち大変だったんだと、中堅どころが地域でもう何軒も廃業をしている、どうやって生きていけばいいのか教えてほしいくらいだ、こういうふうに話をされた方や、電気代、工具代など何でも値上がりをしているのに工賃は上がらない、機械の修理も何百万円も掛かると、だから廃業を決めたんだという、若手の方ですよ、この若手の方など、実態は本当に深刻だなというふうに思いました。こうした声を大臣にしっかり受け止めてほしいというふうに思うんですね。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
それで、経産省の相談窓口には約二千件の相談が寄せられているということですけれども、関税措置でどうなるのかという不安が広がっているということだと思うんです。
中小業者の経営、そして雇用、地域経済を守るために、直接支援を含めてより踏み込んだ対策に踏み出すべきではないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) ありがとうございます。
群馬県のスバルの子会社、孫請、我が省でもこの前から、お話ししましたけど、相談窓口、全国一千か所つくったりという等々、プッシュ型で現状把握をしているのが今の状況で、国内産業の影響を精査しています。
スバルについては、たしかこの前は副大臣が行っていただいたと思います。車座もやってきているんですよね。その中にちょっと入れなかったので、多分、残念だと思いますけれども、一応情報収集はそのような形でやってきております。
直接的な影響、さっきもちょっと申し上げたと思いますけど、影響があるというものはそう多くないというのが今の実態で掌握しているところです。ただ、おっしゃられるとおり、将来に対する不安、一体どうなるんだというところのものは大変大きいものと正直感じているところであります。
短期の支援策としては、特別相談窓口の設置、あるいはセーフティーネット貸付けの利用要件の緩和を含む資金繰りや資金調達への支援ですとか、もの補助等への優先採択を含む中堅・中小企業の事業強化のための支援を既に講じてきているところでありますけれども、引き続き、現場の声を丁寧に、これ以上にまた実態に即した形で追加の対応を考えていかなきゃいけないと思っています。
先生がおっしゃられる直接支援というものが、それが本当にいいのかどうかというのは、これはいろんな形で、財源の問題もありますし、今後の対応として、先生の意見として受け止めさせていただきたいと思います。
○岩渕友君 トランプ関税での不安広がっているというのはそうだと思うんですけど、もうその前からやっぱり大変だったんだというような声が本当に皆さんから出されて、それそのとおりだというふうに思うんですよ、コロナがあり、物価高がありということなので。それで、やっぱり踏み込んだ対策を行ってほしいということで強く求めて、法案の質疑に入っていきたいと思います。
本法案ですけれども、二〇二四年度補正予算を起点として、二〇三〇年度までに十兆円以上もの公的支援を行うとしているAI・半導体産業基盤強化フレームの財源確保を行うものです。補助や委託等に六兆円程度、金融支援に四兆円以上、合わせて十兆円以上の財源確保をするというふうにしています。
補助や委託等の財源として、財政投融資特別会計からエネルギー対策特別会計に複数年度にわたって繰り入れることで二・二兆円、基金等からの国庫返納金、基金の執行残額の活用、商工中金の株式売却収入により一・六兆円、GX経済移行債等の活用に加え、基金の点検、見直しによる国庫返納金の活用により二・二兆円程度を確保するというふうになっています。
まずは、商工中金の株式売却に関わって質問をしたいと思うんです。
法案では第七十二条で、半導体・AI措置に要する費用の財源のために、財投特会の投資勘定からエネ特会の半導体・AI勘定に二・二兆円を上限に繰り入れることができる、ただし商工中金の株式売却益がある場合は、その収入を加算した額を繰り入れるというふうにあるわけですね。
二年前の商工中金法の改定で、商工中金の政府保有株式の処分期限は公布から二年以内というふうに定められました。その二年の期限が今年の六月十五日というふうに迫っていて、現在三回目の入札受付期間が終わったところということです。
財務省に確認をするんですけれども、政府が保有をする商工中金の全株式の数、全株式数、現在売却されている株式数、残っている株式数、教えてください。
○政府参考人(石田清君) お答え申し上げます。
政府が保有する商工中金株式の売却状況につきまして、三点御質問いただきました。
一つ目の全売出し株式数につきましては、一回目の入札前に政府が保有していた全ての株式であります十億一千六百万株でございます。このうち、一回目と二回目の入札における売却株式数は合わせて一億一千五百五万株、現在の残余株式数は九億九十五万株となっているところで、この残余株式数については現在三回目の入札を行っているところでございます。
○岩渕友君 今答弁いただいたとおり、二回目の入札を終えても九割近くの株が売却されずに残っていたということなんですよね。
一回目の入札が不調だったということを受けて、商工中金は、自己株式を取得するということを決めて、最大で発行済株式の四六・六九%を取得して一千五百八十億円とする、こういう方針を示しました。この一千五百八十億円は、商工中金が蓄積をした利益剰余金、内部留保ですよね、これを活用するということになるんですよ。
それで、商工中金の関根社長は、これを全部使うというわけではないんだと、自己資本比率やほかの株主への影響なども踏まえながら入札価格を決定していくと、適正な株価で入札に参加するというふうに述べているんですけれども、先ほど答弁いただいたような現状ですから、これ千五百八十億円全部使う可能性というのもあるんだと思うんですよ。もうそれに近い額になる可能性あると思うんです。
それで、二〇二三年度の商工中金の有価証券報告書、これを見ると、利益剰余金は二千五百六十五億円で、千五百八十億円とこれ比較をしますと六割を超えるような状況なんですよね。この利益剰余金は、中小企業が努力して蓄積してきたものです。そもそも、商工中金そのものが中小企業のための金融機関ですよね。それで、この経過を、こうした実態をちょっと改めて見ていて、これでいいのかなというふうに思ったんですよ。
それで、大臣、通告していないんですけど、この千五百八十億円といいますと、これ中小企業対策費とほぼ同じぐらいの額になるんですよ。これだけの大きな金額が半導体、AIに使われると。これ、中小企業のためのお金ですよ。それがAIや半導体に使われる、こういうことでいいんでしょうか。大臣、どんなふうにお考えですか。
○国務大臣(武藤容治君) 中小企業が生産性向上と成長を加速する上で、やっぱりDXの推進というものは、これは大変重要であると思います。その要がやっぱり半導体であって、また今日のお話のとおり、AIというものがまた新しく出てきていると。これらを支援することで中小企業にも裨益するということで、今回その商工中金のものを使うということで承知をしているところであります。
なかなか御納得いかないかもしれませんけれども、経済を回すという意味では、今回そういう財源の一つとして、何とかこれを成功させて、いわゆる中小、小規模の方々にも是非利益を裨益する形の中でこれからも元気を付けてもらわなきゃいけないという思いだというふうに思っています。
○岩渕友君 中小企業に裨益すると言うんですけど、じゃ、いつになったら届くんだという話だと思うんですよ、もう今本当に大変な実態の中で。
それで、商工中金法を改定したときの附帯決議をちょっと改めて見てみたら、商工中金の政府保有株式の全部処分に当たっては、公正な価格及び方法による売却が行われるよう、十分配慮することというのがあったんです。これ、利益剰余金を使って自己株式を購入するという方法が公正かというと、これ私、非常に疑問に思ったんですよね。
それで、ちょっと大臣にまたもう一問お聞きするんですけど、商工中金が利益剰余金、内部留保を吐き出してまで自己株式を購入をするというその一方で、その売却収入は中小企業向けの予算には使われないと。で、半導体に使われるわけですよね。この間ずっとやっているラピダスですけれども、内部留保が七十三兆円もある出資企業八社のラピダスなわけですよ。
これ、半導体産業にこの商工中金の利益剰余金、内部留保が振り替えられて投資補助されるというのはおかしいんじゃないかというふうに思うんですよ。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) なかなか難しい御質問だというふうに思います。
繰り返しになると思いますけど、やはり今回の財源の一つとしてその商工中金のものを使うということは、やはり、この商工中金そのものがやっぱり中小企業を育成すると言った方がいいのかな、そういう意味で支援をする商工中金としてつくったわけですから、そういう形の中でやっぱり裨益をさせていくということの中でも合理性はあるのかなという気はしますけれども。
委員の御指摘もよく分かるところですけれども、大変疲弊をしているというのか、中小企業、小規模、様々な業界で今苦労しているのも、これもう正直我々も承知をしているところで、もの補助だったりIT補助だったり、様々な形でこれまでも支援を続けてきているところであります。今回、またそこに加えて、本来、価格転嫁をしてしっかり利益を上げていただいて、それを賃金に回してもらわなきゃいけないというこの時節柄の中に、また関税が出てきて将来不安を持ってきているという、そういう実態も踏まえながら、非常に厳しい中ではありますけれども、しっかりと中小企業も支援しながら、今回は商工中金の財源というものを考えさせていただければというふうに思っています。
○岩渕友君 今大臣が答弁いただいたような状況だからこそ、余計にいいのかというふうに思うわけなんですよね。
それで、基金についても同じような仕組みがあるわけなんですよ。特会法の第九十一条の二で、経産省に設置された基金について、国庫返納金がある場合、一般会計から半導体・AI勘定に繰り入れることができるというふうにあるわけですよね。
資料の一を見ていただきたいんですけれども、この資料の一の一番上の基金、これ経営安定関連保証等特別基金というものを例えばということでちょっと見てみるんですが、この基金の事業概要を見ると、民間ゼロゼロ融資からの借換えに加え、ほかの保証付融資からの借換えや、事業再構築等の前向き投資に必要な新たな資金需要にも対応するコロナ借換え保証等利用時の保証料補助を行うというふうにあるんですよ。
それで、物価高騰やトランプ関税の影響で、今、国会の中でもゼロゼロ融資を再開するべきじゃないか、復活するべきじゃないかという声が上がっているわけですよね。こういう声が上がる下で、このゼロゼロ融資に関わる基金をAI、半導体に充てる、これおかしいんじゃないかと思うんですよ。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) このゼロゼロ融資といいますか、この半導体・AI分野への支援は、中小企業を含めたこの我が国全体の産業力、競争力強化、また経済基盤の強化につながる、維持につながるものであるということでありまして、今のゼロゼロ融資に活用されてきた基金を含めて、これまで経済基盤の維持等を目的として予算措置を行ってきた基金等の残余の国庫納付金についても、同じ目的につながる半導体・AI分野への支援に活用することが適当であると判断をしたところであります。
ゼロゼロ融資のお話が出ているのも承知しています。ただ、このゼロゼロ融資は、コロナのときもそうだったんですけれども、まさに、何といいますかね、この危機的な状況で資金繰りを支援するという役割を果たしてきた一方で、借入れが過大になったり、金融機関側からの経営支援に対する動機が弱くなるといった面もゼロゼロ融資の側面で持っているということは今までのコロナのときもそうだったわけで、現在、様々な現場を訪問しながら、プッシュ型でいろんな情報を収集しながら、このゼロゼロ融資というものも含めて、今後の関税措置の影響、どういう程度なのかも掌握しながらしっかりと対応して、これを冷静に見極めた上で対応していきたいというふうに今思っているところであります。
○岩渕友君 ゼロゼロ融資の話は与党の議員の皆さんからも出ているわけですよね。それぐらい大変だという実態が目の前にあるということなんだと思うんですよ。
それで、今日、冒頭、中小企業の皆さんの経営本当に大変になっているというお話ししましたけれども、本来、中小企業のための基金は中小企業の経営を支えるためにこそ使うべきだと思うんですよね。大臣、そう思わないですか。
○国務大臣(武藤容治君) また先ほどの質問になってしまいますけど、やはりいろんな意味で中小企業関係の今までの基金関係、これはもう今度のラピダスも始め、ラピダスというのかな、を始めとしたいわゆるもの、そして半導体そのものに対する基金、それぞれがやはり中小企業にも裨益をさせてしっかり経済活動を日本に興していくということが大変貴重な、非常に大事なことだと思っていますから、そういう意味で今回のものを是非適用させていきたいというふうに思っていますので、御理解をいただきたいというふうに思っているところです。
○岩渕友君 ラピダスなどに巨額の公的支援が入るわけですよ。その一方で、中小企業のためのお金がこういう半導体だったりAIに回っていくというのは、私もう納得いかないんですよね。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕
それで、先ほどお話しした商工中金の株式売却益を半導体、AIのための財源に充てるために繰り入れるんだと、で、今お話をしてきた中小企業の経営を支えるための基金を半導体・AI勘定に繰り入れることができるようにするんだ、こういう仕組みですよね。こういう仕組みそのものがおかしいんじゃないかと思うんですけど、大臣、いかがですか。
○政府参考人(野原諭君) 例えば、財源に活用している経営安定関連保証等特別基金でございますが、これは、返納で財源使われている部分というのは、コロナ支援を目的に措置をされ、コロナ関連の信用保証付融資が貸し倒れた場合に限定して支出する予算のうちの不用額を特定して、財源として活用させていただいております。そういう意味では、これは財務省あるいは会計検査院も、この部分に区分経理して使うというふうに充てて、予算として配分されてという認識をされているわけでありまして、不用だったら一般会計に返るだけでございまして、流用できるわけではないんです、先ほどの議論と一緒でございますが。
そういう意味で、必要な部分があれば必要なものをまた予算としてどういうふうに手当てするかというのは、それは別の議論としてあると思いますけれども、ここに、コロナで、この不用で返納された分が別にほかへ流用できるというものではないものですから、そういう意味で、不用の分は一般会計へ返ると、それを財源として同じく中小企業対策にも、中小企業にとっても裨益するAI、半導体の投資に財源として活用させていただいていると、そういう関係でございます。(発言する者あり)
○国務大臣(武藤容治君) また繰り返しになっちゃいますけど、今局長からもお話があったように、そもそも論の中で、このラピダスといいますか、この情促の関係で議論してきたことというのは、やはりこの資金というものを、財源というものも相当、そういう意味ではこれだけの巨額なものを扱うわけですから、それなりにいろんなところで協議をしながら、我が党でもそうだったんですけど、いろんな形で協議を重ねてまいりました。
そういう中で、しっかりとにかく国民の皆さんに御理解をいただかなきゃいけない、そしていろんな意味で、衆議院の方でも御指示、御指摘いただきましたけれども、公開性と、しっかりした形で皆さんに御理解をいただきながら進めなきゃいけないですよねというところが一つの方向性として示されたわけで、先生おっしゃられるように、これ中小企業に使うべきじゃないのというところもそれは正直分かりますが、中小企業対策としては私どもまた別に、先ほど申したとおり、いろんな支援をまだ継続してやらせていただいておりますし、とにかく経済を回すということを考えると、こういう形で、いろんな、パラレルで、方向でとにかくこの解決をしていかなきゃいけないんだろうと。
半導体はやっぱり、先ほど来申し上げているとおり、次の世代、次の将来のまさに産業の本となる新しいものでありますので、そういう意味でも、ここもしっかりこれ対応していかなきゃいけないということで今回こういう法案を作らさせていただいていますので、御理解をいただけたらなと思っております。
○岩渕友君 中小企業のための予算をやっぱり半導体、AIに回す仕組みというのはおかしいと思うんです。中小企業の予算はもう、そもそもすごくすごく少ないですから。そういう意味でも、こういう仕組みはおかしいということ、指摘しておきたいというふうに思います。
それで、ラピダス支援についても質問をしていきます。
資料の二を見ていただきたいんですけど、ポスト5G基金事業によるラピダスへの支援です。次世代半導体の研究開発プロジェクトに採択されて、二〇二二年度は七百億円の支援が行われました。採択に当たっては、ステージゲート審査が行われています。このステージゲート審査を行うのは外部有識者ということですが、外部有識者とは一体誰なんでしょうか。
○政府参考人(野原諭君) これは、研究開発、半導体関連の研究開発プロジェクトについて審査をするための委員会でございますので、この分野の専門家の先生方でございます。
○岩渕友君 具体的にどういう方がいらっしゃるのかとか、例えば学者の方がいらっしゃるのかとか、それはいかがですか。
○政府参考人(野原諭君) この分野の、大学の半導体分野の専門家の研究者の方々が中心でございます。
○岩渕友君 そういう大きな枠は分かるんだけれども、具体的にどういう人が入っているかというのは分かんないわけですよね。こういう状況の下で、本当に説明責任果たしているのかとか、透明性の確保と言えるのかということをやっぱり問われると思うんですよ。
それで、資料の三、見ていただきたいんですけれども、これはステージゲート審査の中身なんですが、経産省にステージゲート審査の資料出してくれというふうに求めたら、分厚い資料出てきたんですよ。だけど、ここの資料のように、ほとんど黒塗りで何も分かんなかったんですよね。この右側の方を見ていただくと、事前書面検査の結果、平均七十七・三点だったと書いてあるんですけど、そう言われても確認のしようがないわけですよね。何が評価されたのか、もうまるで分からないと。委員のコメントってあるんですけど、どんなことがコメントされたかも分からないわけですよね。外部有識者から研究開発は順調に進捗しているとの評価をいただいている、こういう答弁、国会でされているんですけれども、その確認できないわけなんですよ。
先日の参考人質疑で黒田参考人に、最先端の微細半導体を作るよりも、ICチップを高度化する集積化技術に重点を置くべきだという意見があるけど、どう考えるかというふうに聞いたんですよ。そうしたら、参考人が、微細化を進めることも、様々なチップを組み立てる、特に3Dに実装するという技術は日本に強みがあって、投資効果も高いので、今後はそこに投資することも同様に重要だというふうにお話があったんです。
ほかの参考人からも同じような意見があったと思うんですけど、つまり、専門家の中でもいろんな意見があるということなんですよ。だから、外部有識者の方々からもいろんなコメントあったはずなんですよ。だけど、真っ黒で何にも分かんないわけですよね。
大臣、これで透明性の確保と言えるのか。大臣、言えると思いますか。
○国務大臣(武藤容治君) これは、委員の要求を受けて提出させていただいた資料、これステージゲート審査で使用された資料そのもので、黒塗りになっているということだろうというふうに思います。
これもなかなか難しいなと思いますけど、ラピダス社が取り組んでいる技術の詳細な内容など、事業上のやっぱり機密事項に該当する情報が多数含まれているので、こういう黒塗りになってしまっているということだろうと思います。
この前の参考人質疑でそういう御意見があったということも、私は出ていなかったんですけど、多分あったというふうに承知をしているところです。この辺は、役所としてというのかな、そういう、経産省として、やはりそういうものが、事業性の、事業計画ですとかその進捗情勢を、技術的なこと等云々かんぬん、やはり秘匿性が高いという判断を多分されているんだと思います。
透明性の確保、これがまさに個社の競争上の優位性に係る機微情報とのバランスになるんだと思いますが、できるだけそういう意味で適切な内容を公表してまいると、これが、先ほど来申しているとおり、国民のいわゆる御理解を得て進むという意味ではこれも必要なことかと思っていますので、今回はこういう形で資料をいただきまして、真っ黒になっていますけれども、今後もまた参考にさせていただければというふうに思います。
○岩渕友君 適切に明らかにすると言うんですけど、もうほとんどこれですから、ほとんど真っ黒ですから。
それで、今答弁にあったように、企業秘密にせざるを得ないところはあると思うんですよ。だからといって、もうこのほぼ黒塗りというのはちょっと余りにもひどいと思うんです。
しかも、これ、提出されたステージゲート審査はこれ二〇二二年度のものだけで、二〇二三年度、二〇二四年度のステージゲート審査のこの資料も提出してほしいと言ったんですよ。そうしたら、数か月掛かると言われたんです。今法案の審議しているのに、出てくるの数か月後というの、これ余りにもおかしくないかということなんですよ。しかも、仮に出されてきたとしても、こんな真っ黒な状況なわけですよね。こんなひどい話ないじゃないかということなんですよ。
これ、国会や国民に中身を明らかにしようとか説明しようという気がないということを示しているんじゃないかと思うんですよ。大臣、どうですか。
○政府参考人(野原諭君) 資料要求が、ステージゲート審査で使用した資料そのものを提出せよというリクエストだったものですから、そうすると、ステージゲート審査は技術についてどこまで来ているかを審査するわけなので、そういう意味では、実際、すごく、それぞれの、そのビジネス上の技術としても機微なところを、どこまで来ているかを議論しているわけですから、出せないという、そういう出せない、そのそれぞれ、その企業のその営業秘密あるいは競争上の地位に非常に影響があるところのものを、そのものを出せという要請だったので、それは出せないので、これ黒塗りになっているということだということでございます。
○国務大臣(武藤容治君) 今事務方からお答えさせていただいたとおりです。
○岩渕友君 ラピダスには、何度も言いますけど、兆円規模の公的資金が投入されているのに、これもう説明責任果たしているとはとても言えないし、国会や国民に明らかにしようという気がないというふうにしか思えないんですよね。
同じように、実は軍事利用についても黒塗りなんですよ。二〇二二年十月十日から十六日の日程で経産省の幹部が訪米をし、IBM、米国防総省との懇談についても、この間の国会の質疑を通していろいろ聞いていますけど、全く明らかになっていないんですね。
参考人質疑で、ラピダスが作る半導体の軍事利用について小池社長に尋ねたところ、小池社長としては、永遠にノー、軍事利用はないと思っているという回答だったんです。ところが、東会長は、二〇二三年十月の講演の中で、重要な部分は国防の領域だと、そういう半導体を我々はまずアメリカのお客さんに届けることをやっていかなければならないと、小池社長とは真逆の発言をされているんですね。これに対して、この東会長の発言に対して、小池社長にどう理解していますかというふうに参考人のときに尋ねたら、その詳しいいきさつはよく分かりませんと言って、急に曖昧な答えというか、答えなかったんですよ。
一番懸念のある質問について答えなかったというのは私もどうなのかなというふうに思っているんです。ラピダスという会社として、軍事利用のための半導体の販売を現時点だけではなくて将来にわたってやらないと考えているのかということについて疑問が残りました。
この間、軍事利用はやるべきでないと、軍事利用だけじゃなくて、軍民両用技術、デュアルユースについてもやるべきじゃないというふうに質問をしてきました。軍事利用、デュアルユース利用の歯止めがないということは本当に大問題です。国際社会の平和及び安全の維持を期するというのであれば、ラピダスの半導体の軍事利用、デュアルユース利用はやめるようにということを求めて、質問を終わります。
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岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、情促法及び特会法改正案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、本法案はいわゆるラピダス・半導体産業支援法案と呼ぶべきもので、ラピダス社など一握りの企業に十兆円以上もの公的支援を行うものだからです。
八六年の日米半導体協定の押し付けと九九年の産活法の大企業のリストラ、人減らし支援策を契機に、我が国半導体産業は衰退してきました。とりわけ、半導体メーカー、エルピーダメモリに対し緊急異例の措置として政府が出資しましたが、同社は破綻し、公的資金二百七十七億円が毀損しました。
ところが、政府、経産省の誰一人責任を取らず、真の総括がなされないまま、本法案は恒久的な仕組みとして青天井で税金を投入するものです。既に一兆七千億円にも及ぶ政府のラピダス支援の根拠となっている審査は、その外部有識者の名簿も審査内容も全くのブラックボックスであり、国民と国会が検証することすらできません。
ラピダスに出資するトヨタ自動車など大企業八社の内部留保は七十三兆円にも上りますが、同社への出資は僅か七十三億円、同社が量産開始までに必要とする五兆円の大半を国民負担に依存するなど、究極のモラルハザードです。
反対理由の第二は、本法案が中小企業向けの予算をラピダス、半導体事業向けの財源に振り向ける仕組みとなっているからです。
石破政権は、AI・半導体産業基盤強化フレームの財源確保のため、商工中金の政府保有株式の売却収入やゼロゼロ融資のための経営安定保証基金などをAI、半導体に活用しています。しかし、これらの予算は本来、トランプ関税や物価高騰で深刻な苦境にある中小企業業者のためにこそ活用すべきものであり、到底、中小業者の理解を得られるものではありません。
第三は、ラピダスの半導体が軍事利用される危険性を拭えないからです。
同社の小池社長は、軍事利用は将来もノーと言いますが、同社の東哲郎会長は、重要な部分は国防の領域、まずはアメリカに届けると真っ向から矛盾する発言をしています。同社の半導体が軍事利用される歯止めがなく、絶対に容認できません。
今必要なことは、経済安保の名の下に特定国を敵視する政策をやめ、憲法の非軍事の立場から、日本の強みである半導体装置、素材産業、それらを支える中小企業をきめ細やかに支援する政策に転換することです。
以上を申し述べ、反対討論とします。
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