親事業者が下請け業者からの価格協議に応じないことなどを禁止する下請法改正案が15日、参院経済産業委員会で全会一致で可決されました。日本共産党の岩渕友議員は地域の中小事業者の雇用確保と賃上げの直接支援を求めました。
岩渕氏は、建設業が多重下請け構造になっており、岩手県一関市の業者の「原価は上がっているが単価が上がらない」「仕事をして普通に暮らすことも難しい」などの声を紹介。林業でも30年間単価が据え置かれ、単価交渉したら契約を切られるなど深刻な実態があり、「行政の取り組み強化は大事だが実効性があるのか」と指摘しました。
岩手県が2024年度に実施した、1回目の賃上げ直接支援を活用した2889事業所のうち7割が20人以下の小規模事業者だったことを示し、「事業者からは歓迎と支援継続を望む声が出ている。国が直接支援に踏み出すことが必要だ」と強調。武藤容治経産相は「直接支援が効果を発揮するか見極める」と述べるにとどめました。
岩渕氏は「賃上げした場合、社会保険料も引き上がり、地元の福島県では、最賃1500円にした場合、5人の事業所で560万円を超える社会保険料の負担増になる」と紹介。多重下請け構造の頂点にいる発注元大企業の責任を問う抜本的改革を求めました。
また、本田技研やトヨタなど自動車企業のトップによる「自社株買い」が過去1年で21・5兆円に上ることが党の調査で明らかになったと告発。その資金は内部留保から出ていると考えられ、「労働者や下請け業者の賃上げの原資を株主に差し出す行為は許されない」と批判しました。
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
217-参-経済産業委員会-008号 2025年05月15日
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、中小企業の価格転嫁、下請単価の改善と賃上げの原資確保に関わって質問をいたします。
具体的には、自社株買いについて聞いていきたいと思うんですね。
日本の上場企業が過去一年間に取締役会で決議をした自社株買い計画の合計額が二十一・五兆円に上ったということが我が党の集計で分かりました。この額は、前年と比べると、もうほぼ倍になっているんですね。
自社株買いは、企業が過去に発行をした自社の株式を、自らの資金を使って市場から買い戻す行為です。株主還元の一環というふうに位置付けられて、株価をつり上げて、株主の売買差益を増大させるのが目的だというふうに言われています。
この決議した主な企業見てみますと、金額が最も多いのが本田技研工業で一兆五千億円、次いで多いのがトヨタ自動車で一兆二千億円ということで、自動車業界のトップ企業が一位、二位占めているわけです。ティア1でもあるデンソーが四千五百億円など、自動車関連産業が巨額の自社株買いを決議しているんですね。
自社株買いに使われた資金の多くは、内部留保から出たというふうに考えられます。労働者の賃上げに使えたはずのものなんですよね。
武藤大臣に伺いますけれども、大臣が、この間何度もやり取りしていますけれども、自動車業界の各社トップに賃上げの原資の確保を、このことを直接要請している一方で、そのトップの企業が労働者や下請事業者の賃上げの原資を奪って株主に差し出すと、こんなことでいいのかということ問われていると思うんですよ。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 御質問いただきましてありがとうございます。
物価上昇を上回る賃金上昇の実現のためには、企業が過度に内部留保を保有するのではなくて、失礼、設備投資や賃上げ、取引先への価格転嫁等に効果的に活用することが重要だというふうに承知しています。
従業員あるいはまた取引先等のステークホルダーとの適切な協働というものが、持続的に企業価値を高めることにもつながるものと認識をしているところです。企業価値を高めるために収益をどう分配するかは各社の経営判断でありますけれども、その前提の下で、政府としては、設備投資や賃上げ、価格転嫁などに大企業が資金を振り向けるような様々な施策も講じてきているところでもあります。
こうした施策の効果もありまして、足下ではありますけれども、設備投資や賃上げにおいて約三十年ぶりの高い水準が続いており、そして、デフレ経済からの脱却、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現に向けて明るい兆しがやっと見えつつあるところだというふうに思います。
今後とも、こうした施策を講じてまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 前回やりましたけれども、自動車関連産業はもう非常に多重下請で、この下の下のところになかなか届いていないという実態があるわけですよね。
大臣は、ティア1とかティア2以下の中小部品メーカーとの取引適正化、これについても要請をしたというふうに述べているわけですけれども、トップの企業だけじゃなくてティア1の企業もこんなことをしていたら、これ賃上げできないんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 先ほど申し上げましたとおり、上場企業には、賃上げに向けて適正取引を徹底しながら発注者としての責任を果たしていただきたい旨をお伝えしてきているところであります。
中小企業の持続的な賃上げに向けてサプライチェーン全体で取引適正化を進めることが重要でありますし、そのため、今般の下請法改正や、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる取引環境の整備に取り組んできているところです。これらに加え、中小企業の賃上げ原資確保に向けて、中小企業の稼ぐ力を強化するため、生産性向上支援や成長投資支援も行っています。
さっきも村田先生の御質問にちょっと答えたんですけど、いろいろと取組もそれなりに某社はやっていただきながら、そのティア1、ティア2、ティア3、その深いところまで浸透するように新しい試みも始めていただいているようですから、是非こういう形を止めないように、これからも拡大していかなきゃいけないというふうに思っていますので、是非また委員の理解もいただきたいというふうに思います。
○岩渕友君 とりわけ中小・小規模事業者の皆さんの賃上げが求められているときですよね。そのときに、賃上げに使えるはずの原資が減って、一方で経営者含めて株主に回っていくというのは、やっぱりこれ経済停滞させるということになるんだと思うんです。アメリカなんかでは、自社株買いへの課税が行われているんですね。この課税含めて検討必要だということを指摘しておきたいというふうに思います。
次に、建設業の問題について質問をしていきたいと思うんですね。
建設業も、自動車産業と同じように多重下請構造になっていると。建設業法あるので下請法の対象外となっているわけですけれども。
実は、岩手県の一関市というところで建設業の方々から話を伺ってきました。そこで出された声というのは非常に深刻で、原価が三割以上上がっているのに単価は上がってないとか、技術を磨いていいものをつくりたいというふうに思っていると、仕事をして普通に暮らしたいだけなのに、それさえ難しいんだと。こうした実態、次々出されたんですね。
話を伺う中で出された問題について、幾つか聞いていきたいと思います。
まずは、不当な扱いを受けた受注事業者が救済を求める場合、発注事業者が建設業の許可を得ている知事に対して相談をすることになります。ところが、相談や告発を行った時点で受注が切られたと、こうした実態があるというんですね。こうした実態に対して、国交省ではどんなふうに取り組んでいるんでしょうか。
○政府参考人(堤洋介君) お答えいたします。
建設業法では、元請負人が受注者に原価割れ契約を強いるなど建設業法に違反する行為をした場合において、受注者がその事実を国や都道府県に通報したことを理由として取引停止等の不利益な取扱いを行ってはならないと規定をしております。こうした規定を始め、建設業に関連する法令違反の疑いがある場合の情報を収集する上で、通報者が相手方から不利益を被ったり、報復を恐れて通報をためらったりすることがないよう、通報者の保護を図ることが極めて重要でございます。
この点、国の職員で構成されております建設Gメンは、通報窓口として地方整備局に設置している駆け込みホットラインに寄せられた通報を一つの端緒として違反の疑われる建設業者の調査を行っておりますが、通報があった際には必ず通報者が秘匿を希望するかを確認し、希望する場合には通報者が特定されないよう調査方法を工夫するよう努めているところでございます。こうした工夫につきまして、都道府県が立入検査等を行う場合の参考となるよう情報提供を行ってまいります。
また、今し方申し上げました建設Gメンは、大臣許可業者のみならず、都道府県知事許可を受けた建設業者も対象に活動を行っております。こうした活動が地域における中小の専門工事業者にも周知されるよう、併せて努めてまいります。
○岩渕友君 取組はされているということなんですけど、実態はそうなってないという面もあるわけですよね。
次にお聞きしますけれども、建設業でも二次、三次の下請事業者に対する中抜きが横行しているというふうに聞きました。これに対してはどういう対策されているんでしょうか。
○政府参考人(堤洋介君) お答えいたします。
建設業では、多種多様な専門工種を組み合わせて施工する必要があること、また、業務の繁忙期、閑散期に対応する必要があることから、工事の一部を専門工事業者に依頼して施工体制を確保するというケースが多く存在いたします。
こうした中でも、現場で施工を担う専門工事業者において必要経費が適切に確保されるよう、昨年六月に成立した改正建設業法におきまして、国が適正な労務費の基準を示した上で、個々の工事について資材費や労務費等が著しく低い積算見積りや請負契約を禁止すると、こういった制度を創設したところでございます。
また、この改正建設業法では、受発注者間のみならず建設業者同士の取引も対象に、資材費や労務費を転嫁する際の協議円滑化ルールを導入しておりまして、このルールを周知徹底することで資材費等の必要経費の確保を図ってまいります。
これらの取組を通じまして、建設業、建設工事に係る各段階の取引において適正な対価が確保される、そういった環境を整備してまいります。
○岩渕友君 大手ハウスメーカーを頂点にして下請に対する単価が低過ぎるんだと、こうした訴えも寄せられたんですね。
国交省は、国の発注工事における労務単価を基準とした最低価格を設けて、これを守るように各社に指導する、こうした対応必要じゃないでしょうか。
○政府参考人(堤洋介君) 今し方申し上げた答弁と一部重複しますけれども、昨年の改正建設業法におきまして、国が公共、民間問わず適正な労務費の基準を示し、これを著しく下回る積算見積りや請負契約を禁止するという制度を創設するとともに、資材費や労務費の転嫁ルールを導入したところでございます。
こうした措置を通じまして、ハウスメーカーから建築工事を受注するような場合であっても各段階の取引において適正な対価が確保される、そういった環境を整備してまいります。
その上で、建設Gメンが個々の請負契約を実地調査し、違反がある場合には改善を求めることで改正建設業法の実効性を高めてまいります。
○岩渕友君 今いろいろ答弁をいただいたんですけれども、強化されているということは大事だと思うんですけれども、ただ、現場の実態がもう非常に深刻なだけに、これ実効性が問われるんだというふうに思うんですよ。そこは指摘しておきたいなと思うんです。
一関では林業の方からも話を伺ったんですね。ここでもいろんな声が出されて、三十年前から単価が据え置かれているとか、元請から単価の提案があるけれども上げてくれとは言えないと、だから言い値で決まっちゃうんだと。仮に単価が上がっても、ほかの部分が減らされて、受け取る単価は以前と同じ水準にさせられるとか、元請から一日の単価を口頭で言われてそれで決まってしまうと、価格交渉をしたら契約を打ち切られるので絶対にできないと、こういう方もいらっしゃったんですね。
この林業のこうした今紹介したような実態に対してはどう取り組んでいくんでしょうか。
○政府参考人(清水浩太郎君) お答え申し上げます。
木材につきましては、近年の住宅需要の減少によりまして製品価格が下落傾向となっておる中で、原料となります丸太の価格についても押し下げられているという構造にございます。また、昨今、資材費、人件費、あるいは物流費ですね、様々なコストも上昇しておりまして、こうしたことも相まって木材のサプライチェーン全体が利益が出にくいというような厳しい状況にございまして、委員御指摘のような現場の声もこうした中で出てきているものと考えております。
ですので、林業事業体につきましては、元請、下請にかかわらず、経営は非常に厳しい状況にあると考えておりまして、林野庁といたしましては、その林業の収益力の向上、これをしっかり図っていくということが基本であり、喫緊の課題であるというふうに考えてございます。
林野庁といたしましては、この林業の生産性の向上を図るために、高性能林業機械の導入ですとか路網整備、あるいは緑の雇用事業による林業従事者の技能の向上、こうした支援を行うとともに、住宅需要の減少に対応して、木材需要拡大を図るために、輸入材が多く使われております住宅の横架材等について国産材への転換を推進するとともに、中高層や非住宅の建築物でも木造化を推進するといった取組を行っているところでございます。
こうした取組通じて林業の収益力の向上を図って、林業事業体の経営、しっかりサポートしてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 元請も下請も大変だということだったんですけど、先ほどもちょっと触れたように、大手のハウスメーカーなんかがトップにいて、ここが価格決定に関わったりもしているわけですよね。だからこそ、答弁いただいたようなやっぱり対応の実行力というのが問われるということだと思うんですね。
それで、地方ではとりわけ小規模事業者の方々が多いわけですよね。小規模事業者は、地域の雇用を守って経済支える非常に重要な役割果たしているわけです。
小規模企業振興基本法に基づいて小規模企業の振興に関する施策が定められている小規模企業振興基本計画三期の見直しが行われて、三月に閣議決定をされています。事務局案に対してパブリックコメントでは、小企業者等への配慮に関する記述が必要だ、こうした意見が寄せられて、基本計画にはおおむね五人以下の事業者である小企業に対する特段の配慮、これが引き続き盛り込まれたんですね。
それで、武藤大臣に伺うんですけれども、五人以下の事業者は地域、日本経済においてどういう役割を果たしているでしょうか。また、五人以下の事業者に対する特段の配慮の必要性について大臣の認識をお聞かせください。
○国務大臣(武藤容治君) 今委員から御紹介ありました、今回見直しを行いました小規模企業振興基本計画であります。委員御指摘の小企業者を含む小規模事業者の意義として、多様な事業を創出し、地域経済を支える重要な存在であります。また、地域生活に欠かせない生活関連サービスの提供、また地域文化の担い手など、地域コミュニティーに欠かせない存在と位置付けているところであります。
こうした小規模事業者の中でも、特に従業員数が、おっしゃられるよう、おおむね五人以下である小企業者は、事業環境変化に脆弱なため特段の配慮が必要である旨、新たな基本計画においてもしっかりと盛り込んだところであります。
引き続き、地域にとって重要な存在である小企業者を始めとする小規模事業者の振興に全力で取り組んでまいります。
○岩渕友君 今大臣が答弁いただいたとおりだというふうに思うんですね。非常に重要な役割果たしていると。その小規模事業者の皆さんが適正な取引をできるということがやっぱり重要だと思うんです。
それで、本改正案ですけれども、下請という名称を見直して、下請事業者を中小受託事業者、親事業者を委託事業者に改めるというふうにしています。これ、下請という名称が発注企業と下請企業の間で上下関係をイメージさせるからということなんですけれども、これ、名称が変われば関係が変わるということにはならないわけですよね。
これ、かえって実態が見えにくくなるんじゃないかと思うんですけれども、公取委員長、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(古谷一之君) 議員から御指摘がありましたように、今回、用語を変えましょうということになりましたのは、従属的な関係が固定されるような語感を与える用語、これを改めたいという議論を踏まえましてお願いをしているところでございますけれども、御指摘がありましたように、用語を改正したとしても、この法律が独占禁止法の優越的な地位の濫用規制を補完する法律であるという点において変わりはございません。取引上の立場が弱い受注者を保護し、迅速かつ効果的に受注者の利益の保護を図るというこの法律の役割について何ら変わりはありませんので、公正取引委員会の執行方針もこれまでと変わりはございません。中小企業庁や事業所管省庁との連携を更に緊密にしながら、引き続き、この法律に違反する行為に対しては厳正かつ積極的に対応してまいりたいと考えております。
下請という用語、これ、下請法が制定された後、約七十年にわたって使用されてきた言葉でございます。大変訴求力や粘着力はあるんだろうと思います。
改正法案が成立しました場合には、この用語が改正されたことやその改正の趣旨、あるいはこの法律の目的も含めて、改正全体の内容について丁寧な周知広報を行って、改正法の実効的な執行に努めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 名称だけじゃなくて、やっぱり実態変わるということが重要だということを重ねて述べておきたいと思います。
最後に、中小・小規模事業者への直接支援について幾つか質問をします。
岩手県が、物価高騰対策賃上げ支援金ということで、賃上げのための直接支援を行っているんです。岩手県から直接話を伺ってきました。二〇二四年度に実施をされた一回目は、最低賃金上がったことを受けて、時給五十円以上賃上げした中小企業に、一人当たり五万円、一事業者当たり二十人を上限に最大百万円支援するという中身なんですね。二回目も行われていて、時給六十円以上賃上げした事業者に、一人当たり六万円、一事業者当たり五十人を上限に最大三百万円支援するという中身で、一回目より拡充されたんです。
一回目の実績見ますと、事業者数二千八百八十九件に十億一千五百六十五万円が支給をされて、支給対象者二万人を超えているんですね。これ大規模に活用されているんですよ。事業実績、規模を見ると、五人以下が二八%、二十人以下が四二%ということで、二十人以下が七割を超えている。とりわけ小規模事業者に多く活用されているということなんですね。利用をした事業者の方々からは、以前から従業員の給料をもっと出してあげたいと思っていたんだということで、非常に歓迎をされているということです。
岩手県だけではなくて、都道府県レベルで決断している県も出てきています。今後も賃上げは続くことになりますので、これ支援継続してほしいというふうに望む声が上がっているんです。けれども、県も財政的に大変なわけですよ。だから、交付金の引上げ、これ必要だと、やるべきだということですね。
直接支援の効果があるということは、この岩手の取組見ても明らかだと思うんですよ。やっぱり国が直接支援に踏み出すべきではないでしょうか。武藤大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) ありがとうございます。
中小企業・小規模事業者の持続的なかつ構造的な賃上げに向けては、取引適正化や生産性の向上を伴うことが必要であって、これまでもいろいろな形で皆さんに議論をいただいてきているところです。その直接支援がその点に効果を発揮する施策なのかどうか、これは慎重に見極めなきゃいけない必要があるんだというところもあります。
経済産業省としては、中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を向上させて賃上げ原資を確保することが本質的なアプローチだというふうに思っているところであります。まずは、本改正法案の厳正な執行を始めとする取引適正化や生産性向上の支援といったまずは施策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 効果見極めてということですけど、現場の実態見ればもう効果があるのは明らかなので、現場で求められているこの直接支援も是非国がやるべきだということです。
そして、今、社会保険料を納めることができずに倒産する社保倒産が増えています。賃上げを行えば社会保険料の負担も増えることになるわけですよね。賃上げで社会保険料などの事業主負担がどう変わるかというと、従業員五人の場合で見ると、最低賃金から時給千五百円に引き上げた場合、私の地元の福島県では五百六十万円を超える負担増になるんです。一番低い東京は約三百五十万円の負担増なんですね。東京の負担増も大変ですけれども、地方の方が負担がより大きくなるんですね。
武藤大臣に伺いますが、こうした状況で中小企業が、中小事業者が賃上げできるかということなんですよ。社会保険料の負担の軽減必要じゃないでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 所管は厚生労働省になるんだと思いますけれども、中企庁の担当の所管として、経産省として申し上げるならば、中小企業への社会保険料軽減のための直接支援につきましては、社会保険料の負担が医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための事業者の責任であることなどから、これも慎重な検討が必要なことかというふうに思っております。
経産省といたしましては、中小企業の稼ぐ力を、重ねて申し上げますけど、底上げをしながら、賃上げ原資を確保することが本質的なアプローチだと思うところであります。稼ぐ力の底上げは社会保険料の支払原資の確保にもつながると思っております。稼ぐ力の向上に向けて、本改正法案の厳正な執行、先ほど申したとおり、取引適正化や生産性向上の支援に努めてまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 賃上げ支援もしない、社会保険料の負担も軽減しないということでは、これどうやって賃上げしろっていうのかってことなんですよね。なので、直接支援をやっぱりやるべきだということを強く求めたいというふうに思います。
それで、今回の質疑を通して、やっぱりまだまだ問題、課題があるということを感じました。その大本には、やっぱり多重、重層下請構造、ピラミッド構造があって、中小・小規模事業者は非常に弱い立場にある下で、このピラミッド構造の頂点にいる発注元の大企業の責任問うためにも、この下請法の抜本的な改革必要だというふうに思いますし、新たな法制定も検討するべきじゃないかということも述べて、質問を終わります。
