(資料があります)
(反対討論があります)
新たな東電救済策 批判 岩渕氏が反対討論
参院経済産業委員会は9日、東京電力福島第1原発事故の廃炉費用を託送料金(送配電網の使用料)に上乗せする原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改定案を自民、民進、公明、維新の各党の賛成多数で可決しました。
日本共産党の岩渕友議員は反対討論で、改定案は新たな東電救済、原発優遇・延命策だと批判し、「株主、メガバンクなど貸し手の責任を問い、原発利益共同体に応分の負担を求め、国民負担の最小化を図ることが必要だ」と主張しました。
岩渕氏は、改定案は当初11兆円とされながら21.5兆円に膨らんだ原発事故処理費用を法的な根拠のないまま消費者に不当請求するという東電改革提言の具体化の一つだと指摘。国民・消費者に莫大(ばくだい)な負担を押し付けるにもかかわらず、国会の関与や国民的議論の場がないと批判し、4月27日に行われた参考人質疑でも、消費者代表から国民の声を無視した進め方に不満や不安が示されたことを紹介しました。
岩渕氏は、国の法的責任を認めた前橋地裁判決を真摯(しんし)に受け止めるべきだとして、「損害賠償の打ち切りなど福島切り捨てをやめ、福島第2原発を廃炉にすべきだ」と主張しました。
国民に負担押し付け 岩渕氏が批判
改定原子力損害賠償・廃炉等支援機構法が10日の参院本会議で自民、民進、公明などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、自由党、社民党、沖縄の風が反対しました。採決に先立ち日本共産党の岩渕友議員は9日の参院経済産業委員会で、同改定は加害者である東京電力を救済し国民に負担を押し付けるもので「断じて認められない」と批判しました。
岩渕氏は、東電が被害者に支払った2011年度~16年度の賠償額(6兆7491億5000万円)と、国が国債を発行し原賠機構を通じて東電に支払った交付金の額(6兆6513億8000万円)がほぼ同額であることを明らかにしました。「返済義務もない交付金であり、右から左へ資金が流れているだけだ。東電は加害者責任を果たしていない」と指摘した岩渕氏に対し、東電の広瀬直己社長は「損害賠償にかかる額を見通し、交付国債のお金をご用意いただきたいとお願いしている」と答えました。岩渕氏は、機構への交付国債が13.5兆円に膨らむ一方、機構の国への返済額は9050億円にすぎないと強調。「東電に言われたままお金をつぎこんでいる」と批判しました。
また、広瀬氏が廃炉・賠償費用のために新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働が必要だとしていることについて、岩渕氏は「『福島への責任を果たす』という口実で原発の再稼働を進めることを福島県民は望んでいない」と指摘。株主と金融機関が配当と利息で44年間に約9兆円以上もうけていることを示し、「東電の利害関係者などがまず費用負担すべきだ」と主張しました。
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資料1:東京電力福島第一原子力発電所1~3号機の状態(推定)
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
世耕大臣は、所信で、福島の復興と安全かつ着実な廃炉・汚染水対策は経済産業省が担うべき最重要課題だと述べて、本法案の趣旨説明でも、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施は福島の復興再生の大前提だと述べています。
事故の収束、廃炉・汚染水対策を着実に進めていくためには、そこで働く労働者の皆さんが安心して働き続けることができるように、健康管理に対して万全の体制で臨んでいくことが欠かせません。
そこで、初めに、東京電力福島第一原子力発電所で廃炉・汚染水対策に携わる労働者の問題について、厚生労働省にお聞きをいたします。
国は、福島第一原発構内に健康相談窓口を設置しましたけれども、この設置の経緯、相談件数、そして主な相談内容についてお答えください。
○政府参考人(田中誠二君) お答えいたします。
健康相談窓口の設置の経緯でございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所での廃炉作業に従事される方が作業中や作業時間外に体調を崩されたり、あるいは持病を悪化させたりする事例が少なからず発生いたしまして、現場で働く方々の健康管理を強化する必要があるというふうに認識し、厚生労働省として平成二十八年七月から設置をしたものでございます。
〔委員長退席、理事石上俊雄君着席〕
この健康相談窓口では、毎週一回、労働衛生専門の医師による対面の相談を実施しておりまして、相談件数は平成二十八年度で四十一件となっております。主な相談内容ですが、労働者とそれから事業場の健康管理担当者の双方からの相談を受け付けておりますが、労働者からは体調不良に関するものがありまして、また、事業場の健康管理担当者からは、医療機関によってその労働者が就業可能かどうかの判断が異なるがどう対処したらいいかとか、あるいは健康診断の有所見者に対してどのような措置をしたらいいのかといった健康診断結果に関するものなどがございます。
これに対して、相談を受けた医師が問診とかアドバイスを行っているところでございますが、現在のところ、ほとんど事業者の健康管理担当者からの相談となっておりますので、労働者本人からの相談についても今後強化していく必要があると考えております。
○岩渕友君 東京電力が責任を果たすというのは当然のことなんですけれども、廃炉・汚染水対策がこれからも長く続くということを考えると、国がこの健康相談窓口を継続していくということが大切だというふうに考えます。
次に、東京電力にお聞きします。
東京電力が福島第一原発構内に設置をしている救急医療室について、この救急医療室の受付件数、そして主な相談内容についてお答えください。
○参考人(廣瀬直己君) お答えいたします。
緊急医療室というのは、その名のとおり、けがをされたりあるいは熱中症といったような緊急の患者さんの初期の治療を行うこと、また、その後病院に搬送される場合がございますので、それまでの状態を安定させるというような目的でつくられておりますが、元々、そうした大きなけがや病気でなくても気軽に、ちょっと今日は調子が悪いというようなことでも是非治療室に訪れてほしいということを我々積極的に呼びかけております。それは、元請さんを通じて広くお一人お一人作業員の方々にとにかく行きなさいというようなこと、あるいはウエブサイトが1Fの中にございますので、そこでも積極的に呼びかけているところでございます。
そうしたことをやってきたわけですけれども、事故当初はやはりかなりの患者さんというか、方が訪れておりまして、平成二十三年から二十六年までは百五十人とか六十人、百七十人、百九十人、そのぐらいの、毎年百人台の後半の方々が治療されております。
ところが、この二年ぐらい随分減ってきまして、平成二十八年度、終わった二十八年度は全体で六十八名の方が訪れておりまして、月間で見ましてもゼロの月もございましたし、一番多い月でも九名ということがありました。
これは、随分減ってきたのは、御存じのように、大分場所の線量を下げまして、全面マスクの要らない区域が随分広がったり、それから熱中症対策も、当初随分ありましたですけれども、随分休憩所を、出前の休憩所を置くとか水の補給ができるようにするといったようなことをやってきた結果で少しずつ減ってきているのかなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
〔理事石上俊雄君退席、委員長着席〕
○岩渕友君 大きなけがや病気じゃなくても何となく体調が悪いと、そういうことでも気軽に来てほしいというようなお話で、来室がない月も最近ではあるということでしたけれども、会社から労働者の方が、救急医療室に行けばどこの会社かなどと聞かれるから行くなと、こういうふうに言われている方、会社に迷惑が掛かるので行くことができないという方もいるんだというふうにお話もお聞きをしました。
四月の二十三日に全日本民医連がいわき市の小名浜生協病院で行った原発労働者への健康相談会の中では、免疫力が落ちた気がする、風邪を引きやすく、だるくて疲れやすい、頭痛もある、休んでも疲れが取れない、こういう方や、元々高血圧など持病があったけれども、症状はなかった、ところが、だるさや虚脱感があって休日は全く動けない、こうした相談が寄せられています。
先ほど、持病が悪化しているというようなことも答弁の中にありましたけれども、この持病が悪化したということも含めて、健康管理をしていくということが重要です。
また、東京電力が行ったアンケートでは、救急医療室について、風邪や頭痛など軽い症状で受診すると作業に影響が出てほかの方に迷惑が掛かるので受診しづらい、移動などは団体行動のために立ち寄る時間が取りづらい、場所が分からないといった意見も出されています。
国が設置した健康相談窓口は週一回ということでしたけれども、週一回の四時間ということなんですよね。東京電力と国が福島第一原発で働く労働者にとって利用しやすい救急医療室、そして健康相談窓口に改善をしていくということが必要だというふうに考えます。
この健康管理には健康診断が欠かせないわけですけれども、会社に在籍をしていなければ健康診断にお金が掛かるということで、受けることができないという方もいらっしゃいます。原発事故後、一度でも福島第一原発で働いたことのある労働者の健康診断を無料で受けられるようにする必要があるのではないでしょうか。また、健康診断の結果、要精密検査、こういうふうな結果になる方もいらっしゃいます。精密検査を無料で受けられるようにする必要があるのではないでしょうか。これ、厚生労働省にお聞きします。
○政府参考人(田中誠二君) 健康診断の結果で要精密検査とされた方が確実に医療機関を受診することは非常に重要であると認識しております。
このため、厚生労働省で定めたガイドラインにおいては、東京電力に対しまして、元請だけでなく下請も含めた全ての関係請負人の作業員について安全衛生管理体制を構築することを求めております。東京電力においては、ガイドラインに従い、昨年の夏より健康診断の結果で要精密検査とされた方が医療機関を受診しているかどうかを元請事業者経由で報告させ、受診状況を確認、フォローする取組を行っており、これを通じて精密検査等の受診の徹底を図っており、一定の成果が出ていると聞いております。今後とも、廃炉作業従事者について必要な精密検査が確実に行われるように、東京電力等に対して指導してまいりたいと考えております。
なお、労働安全衛生法上、事業者に実施が義務付けられている定期健康診断の費用については、当然事業者が全額負担すべきものでございますが、健康診断結果を踏まえた精密検査につきましては、一般的には事業者に実施を義務付けておらないため、事業者に対して精密検査費用の負担を求めることは難しいと考えております。
○岩渕友君 廃炉作業が非常に重要だということ、そして労働者の皆さんがやっぱり特別な作業の中で大きなストレスを感じながら仕事をしているというふうに考えると、確実な受診ということはもちろん大切なんですけれども、無料で安心して受けられる、働き続けられるということが必要だということを指摘をしておきたいと思います。
この長く働いている労働者の皆さん、長く働いていれば分かることがあるんだというんですね。例えば、原発構内で図面と実際の配管が違うということがしょっちゅうあると。でも、そういった違いにも気付くことができるし、使用済核燃料をキャスクに入れて蓋をする作業など非常に技術が必要だというふうに思うんですけれども、経験ある労働者が行ってもプールのへりに少しだけぶつけることがあって、ほんの少しぶつけただけでも大きな衝撃、扱っているものが大きいので衝撃も大きいと。
廃炉作業がどのくらい掛かるか分からないといった状況の中で、熟練した経験のある労働者の力と同時に、人材を育てていくということが必要です。そのためにも、経験ある労働者が長く働き続ける環境をつくることが必要です。
先日、大臣はチェルノブイリに行かれていますが、チェルノブイリでは、原発で働く労働者に対して家族で住める住宅が用意をされているとか、十分に事前の研修が行われていたり、給料も多く払われる、年金も優遇されるということで、労働者が国の役に立っている、そういう使命感を持って働いているということだそうです。こうした対策が福島原発の廃炉に携わる労働者にも必要だと考えます。
この長く続く廃炉・汚染水対策に携わる労働者の健康管理と人材確保の重要性について、大臣はどのように認識をしていますか。
○国務大臣(世耕弘成君) 先日、私もチェルノブイリを見てまいりました。そこでも作業員の方々が整然と働いておられるお姿も非常に印象的でしたし、作業員の方々の、あそこはもう三十キロ圏内全部強制移住という形になっていますので、その移住された後の住宅を活用して作業員の宿舎のようなものが確保されているということでありました。
福島第一原発については、幾ら立派な法律や制度を整備しても、あるいは資金の確保をしても、最終的に廃炉作業をやっていただくのは一人一人の働く方々でありますので、そういう方々をしっかりと確保をするということ、そしてその方々の健康管理をしっかり行っていくということは非常に重要だというふうに思っております。その観点から、東京電力では全作業員の健康診断及びその結果に基づく検査、治療についての受診確認体制の構築を行っておられる、あるいは一人一人に確かに長く働いていただくといろんな経験値が積み上がっていくという点がありますので、協力企業の人材育成確保に配慮をして、発注期間を長期化するといった取組をやっていただいているところであります。
委員の皆さんにも1Fを御視察をいただいた、私も行きましたけれども、本当に線量の管理ですとかそういったものも徹底していますし、もう今九五%でほぼ作業服と防じんマスクだけで作業が可能になるという状況になっていますし、食堂があったり大きな休憩所があったりして、大分働きやすい環境の整備もしっかりと進んできているというふうに思っております。今後とも、作業員の健康管理を始め、人材の安定的な確保に向けて、東京電力が取組をしっかり行っていくよう指導をしていきたいというふうに思っております。
○岩渕友君 先ほど紹介をした健康相談会の中では、たった三分間でアラームが鳴った現場もある、自分は退避をしたけれども残って作業をする同僚もいた、自分は使い捨てにされた、危険手当をピンはねされていたことにも怒りが沸いてくる、危険手当のピンはねが問題になったときに一回だけきちんと支給をされたけれども、文句を言うと首になる、こうした実態も併せて寄せられています。
厚生労働省が今年の三月に発表をした東電福島第一原発で廃炉作業を行う事業者に対する監督指導結果の中では、労働基準関係法令違反があった事業者は四六%、そのうち安全衛生関係が二割、労働条件関係が六割というふうになっています。健康管理が適切に実施されているとは言えない実態、危険手当がピンはねをされているという実態が今もあります。長く続く廃炉・汚染水対策を着実に進めるための人材確保という意味でも、健康管理、労働条件についても大臣が実態を把握して、必要な指導を行うべきです。
次に、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップについてお聞きをいたします。
この中長期ロードマップでは、二〇一一年十二月のステップ2の完了から、二〇一三年十一月十八日に四号機の使用済燃料プールから燃料の取り出しを開始したことをもって第一期を終了したとして、その第一期終了から初号機の燃料デブリ取り出し開始までを第二期として、ステップ2完了から十年以内を目標としています。今年の夏には号機ごとの燃料デブリの取り出し方針を決定して、二〇一八年度の上半期には初号機の燃料デブリ取り出し方法を確定するとあります。
この取り出し方針の決定というのは具体的にどういうことを決めるのか、経産省、お答えください。
○政府参考人(平井裕秀君) お答え申し上げます。
御説明ありました本年夏頃をめどに決定することを予定しております燃料デブリの取り出し方針ということにつきましては、今後の取り出し工事のための具体的なエンジニアリング作業の基本とするべく、取り出し工法の大まかな考え方を示すことを考えているところでございます。具体的には、先ほど石上委員の御質問に対して山名理事長が号機ごとに詳細に方向を御答弁申し上げたとおりでございまして、原子炉のどの方向からどのように燃料デブリにアクセスするのかといったことですとか、水位管理をどのようにするのかといったようなことについての考え方を示すことを考えているところでございます。
この考え方の検討は、現段階における研究開発成果や調査結果、そして原賠・廃炉機構における実現性評価等を踏まえて行われることになりますが、できるだけ早い段階であらかじめ大まかな考え方を示すということが以後の作業を具体化していく上で非常に重要なプロセスであるというふうに我々重く受け止めているものでございます。
○岩渕友君 第一原発の二号機にカメラと線量計を搭載したロボットを投入した調査の中では、デブリの実態を把握できないままにロボットが途中で走行できなくなるということがありました。こうした状況で、今年の夏までに取り出し方針決めることができるというふうに考えているのか、経産省。
○政府参考人(平井裕秀君) お答え申し上げます。
燃料デブリの取り出しに向けましては、中長期ロードマップに基づきまして、原子炉格納容器内の状況把握に取り組むということをまず第一に考えまして、この工法の実現性評価を進めているところでございます。
炉内状況の把握ということにつきましては、御指摘のありました一月から二月にかけて実施された二号機における調査、ここにおきましては、先ほど山名理事長からもお話がありましたけれども、原子炉圧力容器の直下の状況を初めて直接確認することができましたとともに、三月に実施されました一号機における調査におきましては、燃料デブリが存在すると想定されております格納容器底部付近の多くの地点での放射線量等のデータを取得することができております。こうしたところで着実に成果、データの取得ができているところでございます。
三号機におきましても、今月初めから宇宙線ミューオンを活用した調査を開始したところでございます。遠隔操作ロボットを活用した調査も今後実施する予定にしておりまして、順次そうしたデータが集まってくることを想定しております。
また、現在、原賠・廃炉機構におきまして燃料デブリ取り出し工法の実現性評価を進めているところでございまして、こうした調査検討結果を踏まえて、本年夏頃をめどに、号機ごとの燃料デブリの取り出し方針、これは予定どおり決定するということの考え方でいるところでございます。
○岩渕友君 中長期ロードマップでは、二〇二一年内には第二期を終了させて、廃止措置終了までを第三期としています。ステップ2完了の後三十年から四十年後を目標としているので、二〇四一年から二〇五一年ということになります。
燃料デブリを取り出してから廃止措置終了までというんですけれども、この廃止措置終了とはどういう状態のことでしょうか。
○政府参考人(平井裕秀君) 廃止措置終了の状態というところについての御質問でございますが、この燃料デブリ取り出し開始後の第三期に、燃料デブリ取り出しや廃棄物の処理、処分についての検討結果を踏まえながら、規制当局の御意見も伺って、この在り方を決めることとしているところでございます。
○岩渕友君 現段階では決まっていないということですよね。
これ、確認をするんですけれども、通常炉の廃止措置終了というのはどういう状態のことをいいますか。
○政府参考人(青木昌浩君) お答えいたします。
現行法令上、発電用原子炉施設を廃止しようとするときには、施設の解体、保有する核燃料物質の譲渡し、核燃料物質による汚染の除去、そして核燃料物質によって汚染されたものの廃棄等の原子力規制委員会規則で定める措置を講じなければならないとされております。
具体的に御質問のありました廃止措置を終了したときの確認ですが、その確認項目の一つとして、廃止措置対象施設の敷地に係る土壌そして当該敷地に残存する施設について放射線による障害の防止の措置を必要としない状況にあること、そういったことを含めて確認することとしております。
以上でございます。
○岩渕友君 レクの中では、これまで廃止措置計画が認可された原発は全て更地にすることになっていますというような話もありました。
日本ではこれまで廃止措置を完了させた原発があるかないか。あるかないかで答えてください。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
我が国におきましては、いわゆる商業用原子炉の廃止措置が終了した事例はございませんけれども、試験炉では、日本原子力研究開発機構のJPDRという動力試験炉がございまして、これは運転開始が一九六三年、運転終了が一九七六年でありますけれども、このJPDRの廃止措置が一九九六年三月に終了しているところでございます。
○岩渕友君 国内で廃止措置中の実用原子炉は、廃止措置計画認可日から廃止措置完了までにそれぞれどれぐらいの期間が掛かるのか、どういう見込みになっているのかということで、玄海原発なんかは二十六年だと、島根は二十八年ということで、通常炉でも大体三十年ぐらいは掛かるというふうになっているんですよね。
過酷事故を起こして放射線量が非常に高い福島第一原発が三十年から四十年でこの廃炉終了できるのか、これ本当に疑問だなというふうに思うわけなんです。
資料一を御覧ください。これ、二〇一一年十一月に東京電力が公表した福島第一原発の二号機、三号機の炉心の推定状態になっているんです。この二〇一一年の状態と二〇一六年の状態、このデブリの状況が大きく異なっているわけですよね。先ほども言ったように、二号機にロボット投入して分かったのは、圧力容器の下に大きな穴があって、黒い塊があって高濃度の放射線量になっていたということで、原子力デコミッショニング研究会会長の石川迪夫氏は四月二十四日付けの電気新聞で、ロードマップは事故直後の混乱期に作られた、これまで三度見直されたけれども、まだ工程上の議論はない、無駄な費用と被曝を伴うなら工程を延伸すべきだというふうに述べています。
そこで、大臣にお聞きするんですけれども、ロードマップの工程を早急に見直すべきではないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘の中期ロードマップは、三から四十年後の廃止措置完了を目標として、これに向けた対策や工程をお示しをしているところであります。
廃止措置完了期間もだから十年ぐらいの幅があるわけです、三十年から四十年後ということでありますから。ですので、全体として見て、現時点で一部の工程に遅れはありますけれども、着実な進捗も見られているわけでありまして、この廃止措置完了の工程を直ちに見直すことは考えておりません。引き続き、三十年から四十年後の廃止措置を確実に成し遂げるべく、廃炉・汚染水対策をしっかりと進めて、福島の皆様の復興、安心につなげてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 これまで聞いてきた状況から考えると、廃炉まで時間も費用もどれだけ掛かるか分からないということです。廃炉費用については東京電力が負担するといいますけれども、送配電事業の合理化で捻出した費用は、本来なら託送料の値下げに充てて、東電の利用者に還元するべきものだと。
この問題については、四月二十七日の参考人質疑の中で消費者代表の大石参考人がいろんなことを述べられていますけれども、経営合理化分を廃炉費用に充てるということは託送料金の不正使用であって、違法とも言えるのではないかと思っていると、このように厳しく批判をされています。
政府は、原発事故の処理費用の多くは東電が責任を持つんだと言っているけれども、実態はどうなっているのかと。
ここで廣瀬社長にお聞きします。
東京電力が被害者に支払った二〇一一年度から二〇一六年度までの賠償金について、東電の決算で特別損失の原子力損害賠償費として計上された総額が幾らなのか、金額をお答えください。
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
先生のお配りいただいた資料をちょっと使わせていただきます。申し訳ございません。
二枚目ですけれども、下の赤字で原子力損害賠償費で六兆七千四百九十一億五千万というのがございますけれども、いわゆるこれが特別損失でございます。これまで東京電力としてこのぐらい損害賠償に掛かるのだろうということを見通し、そして交付国債のお金をこれぐらい御用意いただきたいというふうにお願いしていただいている金額で、これは特別利益でございます。
一方で、真ん中辺にあります六兆六千五百十三億八千万円というのは、それを受けて国から今お金が交付国債という形で入ってきているわけですが、それを特別利益として計上しておりまして、これが六兆六千五百十三億八千万円ということでございます。
○岩渕友君 加えて言うと、機構から資金の交付された回数は六十三回だというふうに伺っています。
この資料二の表を見ていただいても、損害賠償に必要な資金は機構から東京電力に交付されていると。お金の流れを見ると右から左へ資金を流すだけで、東電は事故の加害者である責任を果たしているとは言えません。しかも、機構からの資金は交付金であって貸付金ではない、返済義務はありません。機構は支払った交付金の原資として国債を充てています。
国民負担を避けるために機構は利益を国庫納付して返済することにしていますけれども、これまで国庫に納付された金額は幾らになっているでしょうか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、原賠機構法では、毎事業年度、機構の損益計算において利益が生じました場合にはこれを国庫に納付しなければならないと、こういう規定になってございまして、これに基づきまして、二〇一一年度から一五年度にかけまして、一一年度に八百億円、一二年度に九百七十三億円、一三年度に二千九十八億円、一四年度に二千五百四十億円、二〇一五年度に二千六百三十九億円、総額で約九千五十億円が原賠機構から国庫に納付されております。
○岩渕友君 交付国債は、当初の五兆円から九兆円へ、今では十三・五兆円に膨らんでいます。東電に言われるままにお金つぎ込んでいる状況です。
東電改革提言は、東電自らの経営改革で毎年廃炉、賠償のために五千億円の資金を準備するとしています。廣瀬社長が再稼働なしで年五千億円を生み出すのは難しいというふうに述べている柏崎刈羽原発の再稼働が前提になっています。けれども、新潟県では、この柏崎刈羽原発の再稼働について、福島原発事故の原因も究明されていないのに再稼働などできないと米山知事が述べています。福島の責任を果たすためといって柏崎刈羽を再稼働させるなどということを福島県民は望んではいません。
廣瀬社長自身が東電は破綻処理を免れているというふうに述べていますけれども、普通の会社ならとっくに潰れている状況です。東電は、法的に整理をして一時的に国有化をし、賠償と廃炉の主体を再構築することが必要です。
資料三を御覧ください。
賠償のための過去分としている一九六六年度から二〇一〇年度までの株主の配当収入は合計で二兆五千六百三十三億円、メガバンクなど金融機関の借入金の利息収入は六兆七千二百三十億円になっています。この社債の利息を含めると約十六兆円になります。
東電を救済して国民に負担を押し付けるのではなくて、東電の利害関係者、株主、メガバンク、原子炉メーカーなどがまず費用負担を行うべきなのではないか、大臣にお聞きします。
○国務大臣(世耕弘成君) 当然、ステークホルダーも一定の責任は果たしていただいていると考えております。株主については、やはり株価が震災前に、事故前に比べて大きく下がっているわけであります。また、金融機関についても、借換えの対応など、東電がしっかりと事業を成り立つようにサポートしているという意味で責任を果たしていただいているというふうに考えております。
○岩渕友君 東電に出資をしている巨大銀行が、原発事故後も東電から累計約二千億円もの利息を受け取っていると。本法案は、福島原発事故の加害者である東京電力を救済して、福島への責任を果たすためという口実でそのツケを国民に押し付けるものであり、断じて認めることができない、このことを指摘して、質問を終わります。
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案に対し、反対の討論を行います。
政府は、原発事故の加害者である東京電力を債務超過させずに何度でも資金援助するとして、原賠機構法により、この間六十三回、約七兆円にも上る機構からの資金交付を行い、東京電力の虚構の黒字決算をつくり出して、救済、延命させてきました。
反対の第一の理由は、本法案が機構に廃炉積立金制度を創設し、事故炉廃炉の実施責任は東京電力が負うとしながら、実際は巨額の廃炉費用を東京電力の利用者から託送料金に上乗せする形で回収し消費者に転嫁するもので、新たな東電救済、原発優遇、延命策だからです。
第二の理由は、原発事故処理費用は十一兆円から二十一・五兆円に膨れ上がり、賠償費の過去分として法的な根拠もないままに消費者に不当請求するなど、国民、消費者に莫大な負担を押し付けるものであるにもかかわらず、一切の国会の関与、承認も、国民的議論の場もないものだからです。
参考人質疑では、電力システム改革貫徹小委員会の委員であった消費者代表から、国民の声を無視した拙速な進め方であったこと、託送料金で回収することになれば青天井で転嫁されることになるのではないかと懸念されること、原子力を使わない電気を選択した消費者にも負担を求めることは選択権を奪い、電力システム改革の目的に大きく反する内容であることなど、消費者が大きな不満と不安を持っていることが述べられました。
第三の理由は、本法案の土台にある東電改革提言が、財界人を中心とした非公開、密室の結論を、事故費用を国民にツケ回す仕組み、柏崎刈羽原発の再稼働、原発輸出という三段階の改革として国民に押し付けるもので、福島への責任を果たすといいながら、原発事故の反省もなく再稼働や原発輸出に突き進むものであり、容認できないからです。
福島原発事故の原因は究明されず、いまだに炉心の状態すら把握できておらず、廃止措置までどのくらい掛かるか分かりません。廃炉の見通しを含む総合的な検討が不可欠です。
東京電力は法的整理をして一時的に国有化し、賠償と廃炉の主体を再構築して、株主、メガバンクなど貸し手の責任を問い、原発利益共同体に応分の負担を求めて、国民負担の最小化を図ることが必要です。
福島への責任を果たすというのであれば、国の法的責任を認めた前橋地裁判決を真摯に受け止め、損害賠償の打切りや仮設住宅からの退去を迫るなど福島切捨てをやめ、福島第二原発を廃炉にするべきです。そして、原発との決別を政治決断することを求め、反対討論とします。