「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」のうち、経済・生活不安の解消について
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
国民生活・経済に関する調査で、「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」のうち、「経済・生活不安の解消」をテーマに行った五回の参考人質疑を踏まえて、意見表明します。
世界経済、金融等の情勢及び国民生活における格差の現状と課題について、水野参考人は、大企業がため込んだ四百兆円に上る内部留保は、正当化できない所得と利潤の分配、本来労働者が受け取るべき賃金であり、税制で是正すべきと主張されました。河村参考人からは、アベノミクスの金融政策について、日本の国債発行額は国家の実力以上のものであり、後の世代への負担のツケ回し、リスクが大きくなり過ぎている、立ち止まって見直すべきとの指摘があるなど、五年目に入った安倍政権の経済政策について、共通して危機感が示されました。
社会保障分野については、軍事費が過去最高となる一方で、社会保障が削減され、このことが国民の生存権を脅かし、将来不安を増大させることになるとの懸念があります。社会保障審議会委員も務めた駒村参考人は、保育士確保のために、賃金のみならず労働条件を早急に改善することが解消の手と発言されました。藤田参考人からは、住まいは人権であり、住宅政策の負担軽減について議論してほしいと述べられました。
労働分野では、非正規雇用の増大や長時間過密労働の常態化、ブラック企業、ブラックバイトの横行など、日本の雇用状態が悪化している下で、森岡参考人は、残業時間の上限規制に関する当時の政府案が過労死の実効的な防止につながらないと批判し、政府の働き方改革実現会議委員でもある樋口参考人からは、社会的なルールとして上限を設けるべきではないかとの指摘がありました。
地域間格差の現状は、大都市一極集中の経済政策の下で中小企業や農林水産業の経営が破壊され、地方の衰退が深刻化し、日本社会に、経済にとって大きな問題となっています。徳島県の飯泉知事からは、地域活性化の取組として、九九%の中小企業のうち、地方では九九・九%が小規模事業者であり、地産地消の担い手である小規模事業者支援に特化した条例改正を行ったことが紹介され、地域経済の要である中小・小規模事業者への支援が重要であるとの認識が共有できました。
教育分野では、小林参考人から、給付型奨学金制度の創設に当たって、給付額、給付対象を広げることが重要と指摘がありました。
私は福島県の出身であり、原発事故をめぐる問題、再生可能エネルギーについて参考人にお聞きしてきました。
水野参考人は、再稼働に反対、余りにもリスクが大き過ぎる、再生可能エネルギーに転換すべきと述べられました。小田切参考人は、原発事故を経験した日本こそ再生可能エネルギーへの転換が必要ではないか、地元の中小企業の仕事や雇用に結び付き、地域に新たな収入が生まれる、農山村でこそ再生可能エネルギーの意義は大きいと述べられました。徳島県の飯泉知事は、地産地消のエネルギーによって地域に経済と雇用をもたらすとして、脱炭素化社会に向けた取組について紹介されました。エネルギーを原発依存から再生可能エネルギーへ転換することは、経済、雇用、地域活性化など、格差と貧困の克服にとっても大きな役割を果たすものであるということが再認識できました。
様々な分野の参考人から伺った御意見を通して、各分野において格差が広がっていることが明らかになりました。格差の解消を始め、様々な課題の解決に向けて今後更に議論を深めていきたいということを述べて、意見表明といたします。