参院国民生活・経済調査会は7日、子どもの貧困と格差について参考人質疑を行いました。
日本共産党の岩渕友議員は、憲法25条が保障するすべての子どもの健康で文化的な生活を実現するために政治が責任を果たし、社会的連帯を大きく広げるべきだと主張し、国が果たすべき役割について質問。公益財団法人「あすのば」の小河光治代表理事は「子ども全体への施策をいかに充実させていくかが、とても重要」だとし、「就労、生活、教育の3分野を底上げしていくために、関係法の充実に期待したい」と述べました。
岩渕氏は、日本のひとり親世帯の貧困率が主要国中で最悪だとして、とくにシングルマザーの労働環境の課題と国に求められる対策を質問。特定非営利活動法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は「シングルマザーの就労率は高いが収入は低い。それは非正規が多いからだ」として、残業が求められる正規雇用の仕事を断念する例が多いと指摘。国の「ひとり親家庭等日常生活支援事業」や自治体の関係事業の充実を求めました。
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○参考人(小河光治君) 本日は、このような機会をいただきましたことを心からお礼申し上げます。
今御紹介いただきました、私は子どもの貧困対策センター公益財団法人あすのばの代表をさせていただいております小河と申します。
今スライドがございますので、スライドに沿いながらお話をさせていただきたいと思います。(資料映写)
まず、私どもの団体、まだできて二年半程度の団体でございます。
そもそも私は、このあすのばの前には、親を亡くした子供たちを支援しておりますあしなが育英会に長く勤務をしておりまして、一人親の世帯あるいは障害を持たれている御家庭のお子さんたちに、奨学金だとか心のケアの事業などに携わってまいりました。
もう御存じのとおりですが、この子どもの貧困対策法という法律、議員立法によって全ての国会議員の皆さん御賛成いただいて、二〇一三年の六月十九日に成立いたしました。その際に、あしなが育英会の奨学金を受けている大学生たちがこの子どもの貧困対策の法律を作ってほしいという運動を進めておりまして、その後、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの皆さん方々、いろんな方々が力を合わせてこの運動に携わってまいりまして、私も当時はあしながの職員の一人としてこの担当をしておりました。
そういう経緯の中から、これは親を亡くした子供たちだけの問題ではなくて、一人親でも様々な理由がありますし、又は社会的養護の問題、住民税非課税世帯、生活保護世帯、そういう様々な状況の中で貧困状況に置かれている子供たちのための民間のセンターをつくりたいということで、私どもの団体をつくらさせていただきました。
主に、三つの役割をしております。
まず、少しあすのばの紹介をさせていただきますが、なかなか、まず子供の貧困見えにくいというところがあります。これをいかに見える化するか。今も調査をしております。後で少しお話しさせていただきますが、こういうデータ、エビデンスに基づいた政策提言などをしていくという事業が一つ。そして、今日、栗林さんもいらっしゃっていますが、子供食堂だとか、いろんな地域で子供を支援する民間の取組も大変今いろんなところで充実してきています。こういう活動をいかに支えていくかという中間支援的なもの。それから、直接子供たちにも支えていく事業として、今まさに入学、新生活を迎えるお子さん方に給付金を差し上げる事業だとか、あるいは子供たちのキャンプなどというような事業をさせていただいています。
私たちの事業、小さな団体ですから、最終的には、この右と左の大きな矢がありますが、行政だとかあるいは議員の先生方にお願いをして子供を支える支援をいかに充実させるか。そして、先ほど申しましたように、NPOなどのそういう地域など民間の活動をいかに充実させていくか。支援活動、この両方の右と左の矢をいかに太く大きくするかというのが私どものミッションだというようなことで日々活動をさせていただいています。
私どもの団体、もう一つの特徴は、子供がど真ん中、センターというところで、今ここにも理事六人おりまして、私を含め大人の理事が三人おりまして、あと、この青で書いてある部分は学生が理事になっています。子供たちの声を私たちも運営の中でも生かしたいということで、高校生以下の子供たちについては子ども委員会という組織もつくって、子供たちの声も直接運営に生かしたいというようなことで活動させていただいています。
子供の貧困の今現状について、もう既に御理解いただいていると思いますが、少しデータ等でお伝えさせていただければと思います。
現在の子供の貧困率、相対的貧困率は一三・九%、これ二〇一五年のデータで、その三年前に比べると、こちらに数字がありますように改善されているというものの、まだ七人に一人のお子さんが貧困状況にいるというところです。とりわけ一人親世帯の貧困については、こちらも下がってはいるんですけれども半数以上というようなところで、OECDの中では最悪レベル。この後、赤石参考人からも詳しいお話があるかと思います母子世帯についても、この二つのデータがありますように、今、一人親世帯、母子世帯、父子世帯合わせて百四十二万世帯、二百二十万人以上のお子さんたちがいるという推計ですが、厚労省の一人親の調査でもこういう実態が明らかになっています。
特に母子家庭が大変増えているというような状況があるということ、それで、なおかつ、先ほど申しましたように貧困状況に陥ってしまっている、そういう一人親の母子家庭特に多いというようなところが大きな今の問題、課題だというふうに言えるかと思います。
一方で、御両親がそろっていても貧困状況にあるというような方も少なくないわけですね。非正規の雇用状況、もう御存じのとおりですけど、今四割近くまであって、こちらもかつてに比べると倍近く、三十年前の倍近くになっていると、倍以上になっている。また、外国にルーツを持つお子さんたちも増えている。いろいろな原因がこういう今子供の貧困、深刻な状況になっているんだろうというふうに思います。
このグラフだけを見ると、今回、この三年、ずっと右肩で上がってきたものが貧困率下がっている。このトレンドのままずっと行くんだろうかというところが、これから注目しなければならないところだとは思います。しかしながら、実感として、実際に例えば一人親のお母さんたちが今、非正規だった人たちが正規になっているかというとなかなかそういうような実態はないということで、今まさにいろんな経済政策にもよって今経済の状況がいい中で、最低賃金も上げていただいたりだとかというようなことで、今景気がいい状況の中で所得も上がっている、そういう中での今この貧困率の改善という部分はあるのではないかと思いますが、これが、また逆に不況のような状況、不景気な状況になったときに果たして同じような状況が続いていくんだろうかということはこれからも注目しなければならない。率直に申し上げると、今後景気が悪くなった局面に入ってきたときには貧困率はまた悪い方向になっていくのではないかということをとても危惧しております。
こういったデータのみならず、私どもが独自に行っているものから見えてきた実情を少しお話をさせていただければと思います。
先ほど申しましたように、入学、新生活を迎える小学校に入る方、中学校に入る方、中学を卒業する方、高校を卒業する方などに三万円から五万円の給付金の制度を私ども初年度からやっています。ちょうど今、今度の春進学などをされるお子さんたちの今年度の分の審査の大詰めに来ておりますけれども、ここに書いてありますように、今年度に関しては、二千人の定員に対して六千人を超える、三倍以上の方が全国からお申出をいただいている、これだけニーズがあるということもまず一つあるかと思います。対象になるのは、ここに書いてありますように、生活保護を受けていらっしゃる方、住民税非課税世帯、あるいは児童養護施設などで今いらっしゃって、これから自立をされる方が対象なんですが、そういう方がたくさんいらっしゃるという現状があります。
初年度にやりましたこの給付金の受給者の中で一例を少し挙げたいと思います。ちょっとここに書いてあるのを読まさせていただきます。母は介護施設で調理を担当し、パート勤務をしています、パートの収入と手当で三人の子供を育てているため経済的に厳しく、教育費も食費も大変です、今回二人の子供が入学するためその準備費用が出せない状況ですということで、私どもの給付金をもうわらにもすがるような思いで申し込まれたというようなところです。
この方、この御家庭、お母さんは年収が税込みで七十五万円しかなくて、高二、高一、中一の三人のお子さんを持っている、公営住宅で二万五千円の家賃を払っていて、この方は生活保護を受けていらっしゃらないというような、当然受けられるような状況なんですけど、受けていらっしゃらないというような状況なんです。
このお母さんから事務局に電話が掛かってきたんですね。最終的に非課税証明、この方は内定されたんですけれども、非課税証明の証明書類とか住民票を出してくださいということで、役所に行ってその書類を取っていただく、その手数料については、済みません、ちょっと立て替えていただきたいというふうにお願いしたんですが、そのお母さんから、ここにありますように、お電話が掛かってきて、この六百円が立て替えられないんだと。私ども、三月の末までにお金をお送りしたいので三月二十二日までにこれを送ってくださいと言ったら、二十五日の給料日まで何とか待っていただけませんかというような声があって、その六百円をどなたかにお借りするということもできないような、そういう厳しい状況があるということです。
この方だけではなくて、毎年、これから内定をされた方が決まると、いつこのお金振り込まれるでしょうか、このお金で制服を買いたいんです、当てにしているんですけどというようなお問合せだとかが大変多いというような実態もあります。
今ちょうど、去年給付金をお渡しした方に本格的なアンケート調査を行っています。今回、あすのばが初めて、今、千五百人のお子さんと保護者を対象にした調査をしています。今、子供の貧困の調査についても各都道府県あるいは基礎自治体ではそれぞれ調査をされていらっしゃいます。それは、地域でどのような子供さんが今状況にいるかということは明らかになっている、これは大きなメリットがあるんですが、今、日本全体の子供の貧困がどういうふうになっているかという実態調査はまだ行われておりません。
私どもも、当初から、この給付金をお届けするだけではなくて、その方々が今何にお困りで今どんなことがあるのかということをはっきりさせたいということで、今回、本格的な調査を第一回目やりました。ここの下にありますけれども、今度、来週なんですが、第一議員会館の多目的ホールの方でこの中間報告会、子どもの貧困対策推進議員連盟との共催で行わさせていただくということもございますので、ここで是非また詳しい調査結果も発表させていただきたいと思いますので、是非お越しいただければ有り難いというふうに思います。
子供の貧困ということをちょっと二つの軸で考えてみたいと思います。言葉どおり貧と困ということがありますが、縦軸に貧、横軸に困、困り事というのを取ったときに、まさに貧困というのは、経済的に困っている、貧しい状況で、かつ困り事も多いという、この赤いところというような状況になっているかと思います。
かつて私も、一人親世帯で育ちましたので本当にお金がなくて大変な状況だったんですけれども、私が子供の頃というのは、ここにありますが、どちらかというと貧乏、お金はないけれども地域の方々がいろいろおせっかいをしていただいたりとか、夏休みなんかだったら、うちで御飯食べなよとか海水浴へ一緒に連れていっていただいたりとか、あるいは学校の先生、退職された先生が勉強をうちで見てあげるよというようなことが、いろんな仕掛けがなくても、そういう地域の支え合いだとかで起きていた、あったということですね。なので、困り事は少なかったというようなことが言えるかと思います。
じゃ、これをどうしていったらいいかということだと思いますが、まず貧に対するアプローチ、経済的な部分に対しては、まさに今、先ほど非正規の問題がありましたが、安倍総理ももう非正規という言葉をなくしたいというふうに強くおっしゃっていただいているとおりに、これをいかに安定した、雇用の安定を図っていくかというようなことはとても重要なことですし、世帯の所得をどうやって増やしていくかということも重要です。また、再分配もより強化していくという方向性も大事かと。一方で、お金が掛からないように、住居だとか教育費の部分のアプローチも必要だと思います。
今度、困の方のアプローチですが、これはやはり、先ほど申しましたように、かつて地域ではそういうものが、支援が、支え合いがあったんですけど、なかなかそうはいかない。この後、栗林参考人から、まさに地域でのその困に対してどういうふうにアプローチをしている、具体的なお話があるかと思いますが、そういったものを横展開をどうやってしていくかということも大切なことなのかなというふうに思っています。
具体的に、じゃ、どういったことが求められているかということについてお話をさせていただきたいと思います。
これは、毎年私ども年末に、政府それから各党代表の方をお招きした全国集会を開かせていただいていまして、そのときに要望させていただいたことです。いろいろ今お手元の資料の中に、その要望のものにつきまして、こちらに資料ございますので、その中で、もう既に今、来年度の予算、あるいは今度二兆円の経済政策パッケージの中にも盛り込まれているものもたくさんございますけれども、まだまだ課題と思われるものをピックアップさせていただきました。
今、高等教育に対する支援というのは本当に充実をしていただいていますが、これはとても有り難いことなんですけど、じゃ、高校以下のお子さんに対するいろんな支援は十分かというと、必ずしもそうではないというところがあるかと思います。
高校の問題なんですが、高校生の給付型の奨学金、これも創設していただいているんですが、ここにありますように、非課税世帯に関しては第一子と第二子に格差がある、この格差を是非なくしていただきたいということ。それから、あと、高校に入るお子さん、小中学生のお子さんは就学援助がありまして、入学準備金制度がある。これも今、半数ぐらいの自治体では前倒し支給もしていただくようにもなりました。しかしながら、高校に入るときには、生活保護世帯に関しては入学のための準備金支援がありますけれども、それ以外の例えば住民税非課税世帯に対しては何の支援もないというようなところで、実は山梨県は、単費でこの住民税非課税世帯に五万円のこういう入学を支援する、そういう制度がございます。これを全国展開をしていただくというようなことも大切かというふうに思います。
それから、一人親の問題でいうと、これ一人親の中でも非常に今格差があるということがあります。ここにありますように、婚姻歴のない一人親の方ですね、今、寡婦として認められていないということで、今回、厚生労働省も様々な保育料だとかそういったものをみなし適用するということで、かなり大きな第一歩だと思いますが、そもそも税制上の部分の寡婦控除は受けられない。これによって、今、日本の、給付型奨学金にしても何にしてもですけれども、住民税非課税というところで一つの線が引かれてしまう。本来、もし未婚の一人親の人もこの寡婦控除が受けられたら非課税世帯になるのに、ならないために非課税にならない。いわゆるいろんな恩恵が受けられないというような不利益も今あるというところです。ここも是非なくしていただきたいというふうに思います。
生活保護世帯の世帯分離ほか、ここにも幾つか挙げておりますけれども、こういった内容についても是非前向きに検討していただければ有り難いなというふうに思っております。
それから、最後になんですけれども、先ほど冒頭で申しました子どもの貧困対策法、この法律が成立して今度の六月で満五年というふうになります。それから、その法律に基づきまして、子供の貧困対策大綱、これ閣議決定されてまた五年ということになるわけですね。ですので、それぞれ、法律につきましても、それから大綱につきましても、五年をめどに見直しをするというふうに見直し規定を入れていただいています。
今幾つか申しましたが、しかしながら、私もここにずっと関わってきて、この五年間の間に、実は法律で書かれてあること、あるいは大綱の中で書かれていることよりも、実質的に具体的な施策がもう前に進んでいるということもかなりたくさんあります。五年前に、今度、大学だとか専門学校の給付型の奨学金がこれだけ大きなレベルで充実する、実現するなんということは思ってもいなかった。あるいは、児童扶養手当、一人親の児童扶養手当についても、この大綱の中では検討ということも言葉としてなかなか入れていただけなかったんですが、しかしながら、二人目以降の見直しというのも三十六年ぶりに増額をされたというような事実がもうあるんですね。
むしろ、今の実態よりも、実際の制度よりも大綱だとか法律がまだ後ろ側にいるというような現状もあります。もちろん、更にこれを前に進めていくという意味でも、これは本当に全ての国会議員の皆さんで法律をそもそも作っていただいたというようなこともございますので、是非この見直しということについても今後議論をしていただければなというふうに思います。
具体的なところで少しだけ申し上げますと、今この貧困の連鎖を断ち切るという部分についてはもちろん大切なことなんですけど、今困っていることについては、この法律の中ではなかなかまだはっきり書いていない。今の困り事についてもしっかりと向き合うということについて、是非理念的な部分では入れていただきたいということ。
それから、この法律の中では、教育の支援ということについては大変踏み込んで法律も大綱も両方なんですがあるんですが、四つの柱の中の生活支援、就労支援、経済的支援という部分についてはまだなかなか十分ではないという部分もあるかと思います。
指標に関しても、今有識者会議の中でも検討されていますけれども、ただ貧困率だけではなくて、いろんな分野の多様な指標をしっかりと定めていただいて、それをどうやって良くしていくかというようなことについても是非入れていただきたい。
都道府県の子どもの貧困対策計画、これ自治体ごとの計画というのもすごく重要で、これ努力義務というふうになっていますが、実際、もうこれも実は既に全ての都道府県で計画できています。なので、これは是非義務に上げていただきたいと思いますし、問題なのは、あとはいかに基礎自治体の中で子供の貧困対策を前に進めていただくかというのも重要なポイントになってきますので、こちらについても是非計画を盛り込んでいただきたいというような点についても是非お願いをしたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
次に、赤石参考人にお願いいたします。赤石参考人。
○参考人(赤石千衣子君) しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事長をしております赤石です。
今日はこういった機会を与えてくださり、本当に感謝しております。二十分お話しさせていただきます。
まず、スライドに沿って、私どものしんぐるまざあず・ふぉーらむの活動を少しだけ御紹介させてください。(資料映写)
今、会員数が千百人、これはインターネットを通じてメルマガをお取りになる方が大変増えておりますので、日々一人とか三人とか会員数が増えております。
会員に限らず、電話相談を実施しております。今日も相談日ですので私は駆け付ける予定なんですけれども、本当に地域の中で困り事を抱えている方が、どこにも相談先がなくて、兵庫からも熊本からもいろんなところから御相談が入っております。生活保護を受けることに抵抗があり、御出産を控えて、私どもが赤ちゃんの用品を送ったりしております。こういう中で、グループ相談会というのもやっておりまして、社会的に孤立している方たちが自ら同じ立場の方とお会いすることでエンパワーして元気になられ、その先に進むということで、各地でやっております。
また、お困り事の方には食料支援、お米をお送りしておりまして、年末には二百世帯以上の方にお送りしました。
学習支援は、小規模ながらやっております。
また、交流事業は、クリスマス会とかバーベキューパーティーとか、ここにも写真があります、おいしそうに食べてくれているんですけれども。クリスマス会では、この間は百人規模でやったんですけれども、本当多くてどうしようかと思ったんですが、子供たちからの声として、今日は特別なすごくいい一日だったねとお母さんに言ってくれたということです。私たち、ただ集まってプレゼントを差し上げて、そして企業さんからもお菓子などいただいたので、とてもうれしかったと思います。
このお母さんから後で言われたのは、十二月はインフルエンザに子供が二人ともかかったので就労日数が少なくて、六万円の収入しかなかった、休まなければ十数万の収入があるんだけれども、なので、キャッシングを使ってやっぱりカードでローンをしていると。なので、十二月に入った児童扶養手当は全部返済になってしまい、子供のプレゼントを買うのでやっとであったと。なので、ほかのお祝い何もできなかったのでクリスマスパーティーに参加してとてもよかった、自分が初めて応援してもらえていると実感しましたと言っていただきました。それまでは何か怪しい団体だと思って、なかなか信用していただけなかったみたいなんですけれども、支えていただいているという実感をしましたというふうにおっしゃっていました。
また、支援者養成や就労支援やっております。これが化粧品会社と連携した就労支援のチラシの一部でございます。日本ロレアルという世界最大手の化粧品グループと連携しまして、四か月半のプログラムでお母さんたちに出口のある就労支援、美容部員さんになる、正社員採用につながるんですが、あと、人材会社のスーパーバイザー職の正社員採用のチャンスのある、そういったプログラムを実施しております。お配りした資料の中にも、「シングルマザーに正社員の未来」という、そういう新聞記事を付けておきました。これは有効なんですけれども、ただやはりワーク・ライフ・バランス、土曜日に美容部員さんのお仕事とか入りますので、そういったところで、なかなかやりたくてもやれない方もいらっしゃるのが現状でございます。
また、入学時の支援も、あすのばさんの十分の一ぐらいの範囲で三万円のお祝い金を渡す事業をやっております。
では次、続いて、日本の一人親世帯の貧困の状況というのをお話ししたいと思います。
先ほどもお話があったんですけれども、小河さんから、日本の一人親家庭の相対的な貧困率というのは先進国で最悪となっております。今このグラフの中で赤いところが日本ということになります。なぜここまで日本で一人親が貧困なのでしょうか。それなりに教育も福祉も充実している国なのにという思いに皆さん駆られるかと思います。
一人親の現状は、十二月に平成二十八年のひとり親世帯等調査結果、名前が今回変わったわけですけれども、母子世帯等ではなく一人親世帯になってそれは良かったと思うんですけれども、こういう数になっておりまして、離婚による母子が八割、死別の方は若干減ってきて八%、非婚、未婚の方が九%というふうになっております。
その方の就労状況なんですけれども、非正規で働く方が約五割ということで、母子世帯の就業率自体は八二%と非常に高いわけです。高いにもかかわらず非正規で働く方が多く、その方の平均就労年収百三十三万円。百三十三万円でお母さんと子供、平均で一・五人ですけれども、お暮らしになっています。これがやっぱり貧困の原因ということになります。正規になりますと三百万円ぐらいの年収になるわけですけれども、先ほども、正社員に登用されるチャンスのあるプログラムをやっていて思うのは、そうであっても、なりたいと思っていてもなかなかなれないという方がいらっしゃいます。
母子世帯の収入階層から見た暮らしをちょっと何か円で作ってみたんですけれども、ゼロから百万円の方が二二%、百万円から二百万円の年収の方が、ここに四割近くの方がいらっしゃるんですね。この方たちは、多分、日々の暮らしは何とかなるかもしれない、食べていくだけ。しかし、教育費とか、何かお祝い事とか修学旅行とか高校進学とか、こういうことになると困ってしまう。安定していかれるのは、やっぱり三百万、四百万の収入がないとなかなか安定しないのかなというふうに思っております。
また、親族の御支援がある方は比較的いいわけですけれども、今、御親族の同居率は四割を切っております。ですので、なかなか御親族の支援も受けられない方という方がいらっしゃるかと思います。ちなみに、父子家庭の方は六割が御親族と同居されております。
ということで、例えば、御相談であった方ですけれども、月収十万円のお母さん、こんな方がいらっしゃいます。工場のパートで十万円で暮らしています。そうすると、児童扶養手当は満額支給で四万二千九百九十円今現在入っているわけですけれども、私ども、やはり、中学生のお母さんですので、もう少し収入を上げてみませんかということを御相談のときに言ってみます。でも、この方は離婚のときにDV被害を受けておられて、お子さんにもちょっと学校となじめないような時期があったり、そういうことがあって、職場の人間関係もやっと良いところに就職したし、子供にもお帰りと言ってあげたい、これは親としては普通の気持ちなんですけれども、この両立ができなくて、なかなか仕事を転職というところに踏み切れなそうな感じで御相談が終わったということになりました。
正社員になると長時間働くことになり、子育ての方では次に、ちょっと放置されていますみたいなことにもなりがちと。このはざまの中で苦しんでいるのがシングルマザーあるいはシングルファーザーであるかと思います。
また、お父さんの方はもっと大変でして、男性の仕事というのはなかなか子育てを前提につくられておりません。ですので、私どもがお話聞いたお父さんでも、トラックの運転手で朝五時頃出かけていく、そうすると、もうお子さんが学校に出かける時間には全然いない、だからお子さんはもう忘れ物がちであると、学校ではいろいろ言われてしまうと、それなのにPTAの役員に選ばれてしまって、仕方なく仕事を休んでいたら一番最初に解雇されてしまったというようなお父さんがいらして、本当にお父さんの仕事と子育ての両立ってもっと更に過酷になっておられるな。
また、相談をしていいというお気持ちになられない。やっぱり男性ってなかなか相談ができないので、私ども、明石市でも、御相談のときにはお父さんを狙って必ずお話を聞くようにしていたような状況でございます。
そういう中で、お子さんの進学率も低いということになります。
あと、もう一つの問題が、公的支援制度があるんですけれども、いろいろ変化していたり、数が少ないのでなかなか広報もされていないというような状況がありまして、結果的には周知率が非常に低い制度が多いということがございます。例えば、高等職業訓練促進費給付金というのは、看護学校や介護福祉士学校に三年間通う場合には生活費を住民税非課税世帯には十万円、それから課税世帯七万五百円ということで、かなり助かる制度なんですね。これを三年間、月額出してくださるわけですけれども、知られていないです。チラシがない自治体もありました。こんな状況でございます。また、短期入所生活援助事業なども余り知られていないというような状況がございます。
それから、もう一つ気になることは、無業の母子世帯のお母さん、半数が抑うつ状態であるということです。お仕事をしていない母は二人に一人がうつ、抑うつという指標で測っているんですが、私どもも、来てくださるママたちの中に、うつ傾向があるということで孤立していたり、他人からどう見られているかということを気にされてなかなか御自分の評価が上がらない、自己肯定感が低い、そして子供にもそれが悪い影響があるというようなことが起こっております。
こういうことがございますけれども、では、なぜ日本の一人親世帯は貧困なのかということを少しだけ、今日は根本的な問題も考えていいということでしたので、お考えいただきたいと思います。
母子世帯は就労していないから貧困なのでしょうか。それは、先ほど言ったデータから違うということが分かります。八二%、これは、スウェーデンよりもイギリスよりもアメリカよりも就労率が高いです。では、それは違うとしたら、就労収入が低いということがあります。もう一つは、母子世帯を支えるのはその周りの家族であるべきなのでしょうか。もちろん家族も支え合っているんですけれども、家族だけでは支え切れないのが今の現状でございます。この二つの誤解があってなかなか先に進まないのかなと思っております。
私が思うには、お母さんが働いているパート収入の、先ほどの月収十万円のお母さんのことを考えてみてください。その同じ職場には多分パートの主婦、夫さんがいらっしゃる主婦の方が働いていると思います。そして、そういう方のためのお仕事にシングルマザーも就いておられるということなんです。となると、やっぱり男性の稼ぎ主がいらっしゃる家庭であったらそれでちょうどバランスが取れます。しかし、シングルマザーは、そこに働いていたら貧困に陥るわけです。
ですので、女性の働き方が、やはり男女とも子供を抱えながら働ける社会というのをつくっていかないと、なかなかこの貧困問題というのは解決しないのではないかなというふうに思っております。何かすごい単純な図を作ってしまったんですけれども、やっぱり今、男性が長時間働いて女性は短時間働くというのが主流の社会でございます。これをやっぱり、それ望む方はちゃんと子育てしながら働けて賃金も平等に得られる、こういう社会でないと、なかなか根本的にはシングルマザー、それからシングルファーザーさんも同じです、貧困問題は解決しないだろうと思います。
ですので、長期的なことを申し上げますと、男女が子供を育てながら働ける、同一価値労働同一賃金という原則をきちんと社会の中に定着させることが必要かと思います。また、女性が出産で仕事を辞めなくていい社会、WLB、ワーク・ライフ・バランスが整った社会というのをつくることが必要。これは長期目標ですからなかなかここにすぐには届きませんけれども、それと同時に、充実した子育て教育費の支援、また、養育費の取得率が二割、二四%ということですので、児童扶養手当と引換えではない立替払制度などが充実していくことが必要かと思っております。
しかし、これはちょっと長期の目標を言ってしまったので、もう少し中期的な目標を申し上げます。
それは、私ども、団体としては三十数年の歴史がありますので、一九八〇年代から一人親、母子世帯の支援の変化を見てきて思うことでございます。それは一人親支援の政策に評価検証を入れるということです。やはりなかなかここがきちんと行われていない。思い付きといったらちょっと申し訳ないんですけれども、そういった政策がちょっとぽっと出てきてしまう。この検証が行われていないために、果たしてこれ役に立っているんでしょうかということがございます。在宅就労支援などもその一例でございました。そのほかにもいろいろな就労支援事業の検証がなかなか行われていないので、日本の政策に評価指標の導入というのを必要かと思います。
また、これが中期目標として皆さんの中に定着していただけるといいかなと思っておりますが、短期的には、既にもうあすのばの小河さんも言ってくださったので、それ以外のことを申し上げますと、相談の質の向上、利用者の声を聞く工夫というのをどうやってフィードバックを受けるのか。また、広報、周知、先ほども申し上げました情報が届いていないということがございます。
私ども、児童扶養手当の現況届時に一人親の一斉相談を明石市で受けてまいりました。そういったこともありますし、私ども、現況届のとき、これ全員が役所にいらっしゃいますので、そのときに無料の新聞配布というのを、去年は五万五千部配布することができました。
そのときに窓口に来るママたち、パパたちは、残念ながら窓口は嫌いなんですね。なぜなら、窓口というのは審査するところだからです。あなたの収入は、まあこれはいいですね。男はいないですか、男性とお付き合いしていないですか、やっぱり聞かれるんです、窓口で。そうすると、逃げるように窓口を去っていって、ほかの応援していただける施策に結び付かない、こういう現状があります。なので、窓口の信頼関係をどうやってつくっていくのか、とっても大事なところがなかなかまだ改善がなされていないなと思っております。
そのほか、本当に御努力いただきまして、児童扶養手当の支給回数は、隔月、奇数月になるところですが、毎月になるといいなと思っております。そのほか、児童扶養手当二十歳までの延長などもあるといいなと思っております。そのほか書かせていただきました。
あと、今話題になっております面会交流支援の法律などがありますが、是非、DV世帯に配慮し、親子の交流がいい場合もあるけれども、危険な場合もある、死亡事故もある、こういうことを念頭にした法律を作っていただきたいと思っております。
また、非婚、未婚の母への寡婦控除の適用も是非お願いしたいと思っております。
あとはちょっと読んでいただきたいと思っております。
しんぐるまざあず・ふぉーらむとしては、これからも就労支援、力を入れていきますが、また、エンパワープログラムなど、評価指標を入れたプログラムとして皆さんに御利用いただけるようなものを作っていただきたいと思っております。
以上です。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
次に、栗林参考人にお願いいたします。栗林参考人。
○参考人(栗林知絵子君) 豊島子どもWAKUWAKUネットワークの栗林と申します。
今日は、このような場でお話をさせていただきまして、ありがとうございます。
私は、豊島区という地域で子供の居場所づくりをしています。全ての子供が来れるような居場所、ですけれども、特に困難を抱えた子供たち、この子供たちがつながることによってみんな笑顔で成長してほしい、そんな思いでつながった地域の方と居場所をつくっています。
具体的にどういう居場所をつくっているのか、そしてどんなことをやっているのか、お伝えできればと思います。今日、お手元にパンフレットございますので、そちらも御覧ください。(資料映写)
そもそも豊島子どもWAKUWAKUネットワークは、二〇〇四年に豊島区が子供が外で遊べる広場、プレーパークというのを造りまして、そこで子供たちと関わるところからいろんな居場所が増えていきました。
具体的に言いますと、居場所で子供に出会います、地域の人が。そして、子供の困り事を子供からキャッチしてしまった。そうすると、地域の子供のことは放っておけないよね、じゃ、この子に必要な支援をつくっていこうという中で、地域の中に無料学習支援、そして、一人で御飯を食べている子やおなかいっぱい御飯食べれていない子供がいるということを知りまして、家族の次のコミュニティー、地域で御飯を食べる、そんな場所もできていきました。
今では、特に一人親の豊島区の御家庭の場合は、アパートが八万円、十万円といっても、本当に狭いお部屋で住んでいます。子供が大きくなると、勉強のこととかでいろいろ言い合いになりますよね。例えば、うちだったら、子供は子供部屋に入って、お互い距離を置いてクールダウンすることができるんですけれども、狭いアパートで口げんかになると、子供は外に出てしまいます。徘回してしまうんですね。そういう中、子供が安心して来れる、泊まれる居場所もあったらいいねということで、WAKUWAKUホームという、いつでも子供もお母さんも来ていいよ、場合によっては泊まってもいいよ、そんな場所までできてしまいました。
これが全体像です。食べる場所、遊ぶ場所、学ぶ場所、のんびりできる場所、様々な居場所がありまして、そこに子供やお母さんが行く中で地域のつながりができてきます。先ほど小河さんから政策のお話がありましたが、入学準備金の話、私たちがその親子にそういう情報を届けることによって子供たちのその環境が豊かになります。
これは日本財団が、三年ぐらい前でしょうか、発表したデータをちょっと持ってまいりました。十五歳の子供たちの百二十万人のうちの十八万人というのが一人親家庭、生活保護家庭、そして施設に暮らす子供です。つまり、十分な大人、ねえねえ聞いて聞いてって言ったときに応えてくれるような大人がいない子供たち、この子供たちの将来を試算したわけですけれども、このデータの中に、ヘックマンという学者さんが、就学前の子供たちに対する投資というのはとても成果が高いというふうに挙げています。
そして、こんなグラフを載せているんですね。若者に、今の若者にもちろん支援は必要です。でも、その成果というのがとても低いんだけれども、黄色いゾーンは就学前ですね、青いゾーンでも多分小学生ぐらいまでの子供たち、この子供たちにいろんな人的資本投資をすることこそがとても成果が高いよというふうにこのグラフから読み取れると思います。
実際に私たち、プレーパークに来ている中三の男の子の勉強を教えたことがあります。ですけれども、教えてみたら、掛け算、小数点の足し算でつまずいていたんですね。そこで、中三の学習支援って今とてもいろんな自治体でもやっているんですけれども、もっと早い時点、小学校のそのつまずいた時点で支援をすることの方が成果が高いんじゃないか、そこで支援をすることによって、高校とか、進学高校が変わっていれば就労先も変えることができるんじゃないか、そんな思いで、小学生も来れる学習支援を五年前に立ち上げました。
それがこのグラフの言っている意味だと思います。大きくなった子供の支援も大事なんだけれども、子供たちが地域の中にいるうちに地域の多くの大人が関わって、みんなで育てるような環境をつくるということですね。
これ、福祉の視点でも同じことが言われています。発達期における十分な依存体験というのが基本的信頼感を育み、自立を促すということですね。これはよく愛着形成とも言われていますけれども、やはり全ての子供が大事にされる、多くの大人に褒めてもらったり気に掛けてもらう、これができるのはやはり地域の人なんです。制度ももちろん必要ですけれども、やっぱり孤立しがちな子供やお母さんにこのつながりをつくっていくことは地域にしかできません。
昔と今、昔も子供たち、自分も大変だったというような話をよく聞きますが、今便利になっています。コンビニとかスーパーも二十四時間営業していますので、昔のようにみそを借りたり、もう家でしか御飯が食べれないという状況ではないんですね。もう子育てのお母さんもそうです。人に聞かなくてもスマホで情報が取れてしまうような環境の中、あえて、今、現代のつながりづくりをしていくことが私はとても大事なんじゃないかと思っています。
そういうわけで、私たち、地域に様々な切り口の子供の居場所をつくっています。子供は昔も今も食う、寝る、遊ぶ、食べる、安心して寝る場所、そして思い切り遊ぶ、この体験が必要なんじゃないかなと思っています。
具体的にこれがプレーパーク、遊び場の様子です。こんなふうに異年齢の子供たちが遊んでいますが、この真ん中にいる二人は就学前の母子家庭のお子さんです。まさに、先ほどのグラフでいう黄色いゾーンの子ですね。お母さんは、サービス業ですので、土曜日とかも仕事をしないと収入が足りません。そういう、土曜日って、でも保育園がやっていなかったり、保育園行きたくないってお子さんは言います。でも、地域でこういう場所があることによって、子供をみんなで見守って大事にされるわけですね。ここで子供たちは、人を頼ってもいいとか、何か困ったら相談すればいい、何かやりたい、こんなことを経験して大きくなることが必要なのかなと思っております。
これが、こんなふうに木で何か遊ぶにしても、自分たちでちょっと上のお兄ちゃん、お姉ちゃんのやっている姿を見ながら、まねをしながら大きくなるんですね。こんな泥んこ遊びとか、今なかなかするところがありません。公園は禁止事項の看板だらけです。サッカーが禁止、ボール遊び禁止、自転車乗り禁止です。ですけども、子供がやっぱりやりたい、これをしたいと思うような環境をつくっていくことがとても必要なんじゃないかなと思っております。
これは学習支援です。ここも対象は地域の子供全てです。ですから、小学生も中学生も外国籍の子供も。そして、外国籍のお父さん、お母さんは更に日本語を学ぶチャンスがありません。ですから、手紙を読めないんです。制度につながらないんです。誰にも相談できない。そういうことを知ってしまいましたので、今ではお母さん、お父さんもやってきます。時には高校進学のための準備の説明をしたり、時には教育委員会の窓口に一緒に行くことができます。
もちろん、小学生、つまずいていない子は、ここで勉強、宿題が終わった後、こんなふうに大学生と遊んだり、知っている関係、大事にされる経験をここでするんですね。
これも日常の様子ですけれども、お子さんによっては、親御さんが忙しいと、なかなか持ち帰った作品、こういうものを家で褒めてもらったり飾ってもらう経験がありません。毎回ランドセルをしょったままここに来る子がいます。一週間分の手紙がランドセルの中に入っています。そういうのを私たちが全部チェックをしたり、子供の持ち帰った作品を一時間だけでもここで飾ったり、こういうことだったら私たち地域の多くの人たちがつくることができます。
これも日常の様子です。ここにスーパーの袋があるんですけれども、これは地域のパン屋さんが毎回子供たちのためにおいしいパンを焼いて、こういうふうに提供してくれるんですね。この学習支援、豊島区には今十九か所に増えました。地域の大人が地域の子供たちのための学習支援をしています。そこに、地域の福祉系のパン屋さんですね、皆さん、子供たちのためにということでパンを提供してくださったりお寺からお菓子が届いたり、つまりまさに地域の子供をみんなで支えるつながりをつくることができています。
ここでクリスマス会、家でできなくても、こんなふうにわいわいクリスマス会をやったり、大学生が本物の文化、芸術、そういうものを届けたり、時には博物館に連れていったり、学習支援に来ている大学生、みんな十分な環境の中で育った子が多いです。自分がやった体験を子供たちにさせ、そういう場をつくっているんですね。
これは先日のクリスマス会の様子です。私たちの活動、全て子供は無料です。お金があるなしに限らず全ての子供が地域に大事にされてほしいということでやっていますので、なかなか財源は厳しいです。ですから、近くのスーパーでスポンジを買って、みんなでケーキを作って、でも、みんなであったかいクリスマス会を迎えることができるんですね。
そして、これ、よく今皆さんも聞くことがあるかもしれません、子供食堂です。十分に御飯が食べれないとか、独りぼっちで、お母さんが帰りが遅かったり、普通の核家族でも、お父さんの帰りが遅くて、お母さん、もう夕方になると笑顔がない、そんな中で親子二人で御飯を食べているお宅もあるわけですね。月に一回でもこうやって地域みんなでわいわい御飯を食べる。そこでお母さんも気持ちが楽になることで、子育て全体、楽になったらいいななんて思っております。
ここは就学前の親子がたくさん来ています。ここはお寺を借りてやっていますので、こんなふうな看板も掲げ、こんなふうなにぎやかに、わいわい御飯を食べています。
一方で、ここは九十歳のおばあちゃんが住む一軒家を借りてやっている子供食堂です。地域の方が、この場所、自分のお宅を使っていいよということで貸してくださっています。でも、このおばあちゃん自身が、子供たち、そして私たちおばちゃん、いろんな人たちとのつながりの中、老後も、もう九十ですので、地域とつながりながら楽しく暮らすことができるんですね。で、こんな郷土料理や季節の料理、もちろん、お母さん余裕がなくて家でできることがないなら、親を責めるのではなく、地域でこういう場をつくればいいんじゃないかなと思っております。
これ、フキの煮物なんですけれども、ある若いお母さん、この煮物を子供食堂で初めて食べられました。お母さん自身が十分な環境ではない中で成長されたんですね。そして、未婚のまま出産されてシングルマザーになりました。やはり、こういうお母さんも子供食堂にやってきて大事にされる、そして子供はもっとみんなで大事にしてみんなで育てる、このつながりをつくる子供食堂はいい装置だなと思っています。
手作りのお弁当を学校の運動会に持っていったことがないということを聞けば、こんなふうにお弁当の作り方を教えたり、夏休み、お母さんはお盆休みはいつも別の仕事を入れている、旅行なんて行ったことないとか、不登校のお子さんはそもそも修学旅行も行っていないですよね、そんな声を聞き、農家さんのところにみんなで遊びに行ったり、つまり、本当は親が家族でやる経験ですけれども、できないんだったら地域でやろう、こんな広がりです。
先ほど言いました無料学習支援、豊島区には、私たち五年前に始めたんですけれども、これ、行政とかがいい取組だねと応援することによってどんどん増えていきました。今十九か所です。そして、これ、福祉課さんがこんなふうなマップを作り、毎回、月に一回、区役所に集まって、みんなで情報共有をしています。つまり、地域全体がこういう子供たちをほっておかない、そんな意識が高まってきています。そして、これ、マップですね、マップを作って必要な子供に情報を届けております。
同じように子供食堂も、これ三つ折りのマップなんですけれども、これ三つに折ってあるんですけど、中を開くとこんなふうに、地域の子供食堂、豊島区の中に今十三か所、増えました。こういうところがあるよというのを情報を子供たちに提供したり、時には子供たちを連れてくるのは行政の方だったりします。もちろん、地域の方も連れてきます。
こうやって子供の居場所、食べる場所、遊ぶ場所、そして学習支援の場、いろんな場ができていく中、そこに、そういう場所に子供をつなげる人ができていく中、地域のセーフティーネットの網がどんどん細かくなっています。
豊島区では、今、来年度からおせっかいさんという、地域の方だけではなく、行政に子供生活支援員、コーディネーターを配置をして、更に必要な子供たちにこのような地域の資源につなげる、こんな制度もできてきています。
私たちのこの取組、子供、勉強、本来は学校で先生が教えるべきだろう、子供、親が育てるべきだろう、御飯なんか子供食堂で作ったら親が怠けてしまうんではないか、こんな批判もありました。ですけれども、私も近所の公立の学校に子供通いました。先生、本当に余裕がない中、一生懸命やってくださっています。お母さんもお父さんも、シングルでも何とか頑張っているんです。だったら、そこで見捨てるのではなく、足りないところは地域でサポートするよ、みんなの地域の子供だよね、こんな意識がもっと広がる中、そういう地域は全ての人をほっておかない町になっていくんじゃないかなと思っています。
私たち自身、こういう取組をする中、多くの仲間ができて、私自身、地域のつながりが豊かになりました。特に子供食堂は、今全国に八百から千か所ぐらいあるんじゃないかと言われています。豊島区の中だけで十三ですね。先日、埼玉で「広がれ、こども食堂の輪!」全国ツアーというのがあったんですけれども、埼玉県内にも八十か所以上あるということです。こうやって、地域の子供を地域で何とかみんなで支えたい、こんな意識が広がっています。
子供食堂というのは、やはり子育て支援というのは今までもいろいろ施策はあるんですよ、子育てサロンとか子育て広場とか、親御さんが地域で仲間をつくり、子育てが楽になるようにということであるんですけれども、一人親のお母さん、平日の昼間の広場に行くことはできません。でも、保育園帰り、月に一回でもここに行けば、あったかい御飯作って、今日だけは洗い物しなくてもいい、こんな場というのは、やはり困難な家庭のお子さん、つながりにくい親子がつながりやすい装置なんですね。そして、私たちも子育てのし直しができたり、子供と関わる中、自分たち自身も豊かになっています。
これは、つい先日、お正月にいただいた地域の方からのお手紙です。よかったら後で御覧ください。子供食堂や食料支援もしています、畑に連れていったり、みんなで焼き肉を食べに行ったり、そんなことも、企業さんとかいろんな方たちが今子供の支援をしたいんです、だけども、どこにその子がいるか分からない、支援をしたいけどもということで私たちに相談されてきます。私たちは本当におせっかいにも、その企業と地域の子供をつなぐだけなんですね。フードロスの食材とその親子をつなぐだけです。でも、そのつなぎ手がいることによって子供たちが豊かに育つ、この環境は地域の人たちがやる気になれば全国どこでもできるんじゃないかなと思っています。このお手紙にもありますが、今本当にこの支援があって助かった、でも、自分ももうちょっとしたら今度は支える側に回りたい、こんなお母さんの声をよく聞きます。
こうやって、子供ってその年齢によって必要な支援が違います。小さいうちはやっぱり関係づくりですね、大事にされる。だけど、大きくなってくると、やっぱり今度お金も掛かります。いろんな制度やその居場所、人につなげて、子供たちが成長する、そして地域に戻ってくる、この循環ができることによって私は持続可能な町づくりになっていくと思っております。
子供食堂、五年前はこんな取組、大丈夫なのかなんていう声がありましたが、もっともっとこれが広がったらいいねということで、別刷りで「広がれ、こども食堂の輪!」全国ツアーというのをお配りしていますが、こんな啓発もしております。
長くなりました。以上です。ありがとうございました。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
参考人の皆さん、本日は本当にありがとうございます。
先ほど報告がありましたけれども、日本の子供の貧困率が一三・九%で、七人に一人の子供たちが貧困ラインを下回っています。とりわけ深刻なのが一人親世帯で、貧困率が五〇・八%、主要国では最悪の水準となっているというふうに先ほどお話がありました。
憲法二十五条で、全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めなければならないというふうにうたっています。国と社会の責任で、子供たち一人一人を大切にして、未来に希望を持って生きることができる社会の仕組みをつくることは今世界の流れになっています。この憲法の立場に立って、全ての子供たちが健康で文化的な生活を送ることができるように政治が責任を果たすこと、そして社会的連帯を大きく広げることのできる社会をつくることが必要だというふうに考えています。
そこで、参考人の皆さんにお聞きをするんですけれども、初めに小河参考人にお聞きをいたします。
先ほど、子どもの貧困対策法を作ってほしいということであしなが育英会の学生さんたちから声があって、それが原点になったというお話がありました。こうした声が、そして運動が全国に広がる中で対策法が成立をして、施行から間もなく五年を迎えるということで、今日、見直しについても提案をいただいたんですけれども、子供の貧困対策で国が果たすべき役割についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○参考人(小河光治君) ありがとうございます。
大きく言うと二つあるかなと。一つは、まずこの貧困対策というのを、じゃ、貧困ってどこで線を引くのかというのは非常に難しいんですね。日本の制度というのは、例えば生活保護にしても何でもそうですけど、その中にいる人と外にいる人がもう崖のようになってしまっているという部分があります。そういう意味では、ユニバーサルな制度、子供全体に対する普遍的な制度をいかに充実させていくかというのは漏れないし、どこかで線を引くということはないということなので、やっぱりこれは、まず基本としては、子供全体への施策をいかに充実させていくかというのも一方ではとても重要な視点だというふうに思います。それで困っている人に、よりきめ細かくどういう支援が必要かというところだなと。
先ほども申しましたように、困に対する支援というのは民間側でできる部分が多いと思うんですけど、やはり経済的な問題を支えていくとか就労の問題、生活の問題、ここに書いてありますように、特に教育的な分野についてはかなり踏み込んでいただいている部分があるんですが、法律そのもの、その他の三分野についてはまだまだ不十分なところがありますので、この三分野をどうやって底上げしていくかというようなことが、法律も大綱も今後の充実に期待したいというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、赤石参考人にお伺いをいたします。
日本の一人親世帯の貧困が主要国の中でも最も高い水準になっているというふうなお話でした。母子世帯の場合は、就労率は八割ということで非常に高いんだけれども、就労の収入が低い状態になっていて、その収入が低いのは非正規で働いている方たちが多いからだというようなお話がありました。
そこで、特にシングルマザーの皆さんの働く環境について、改めてということになるかもしれないんですけれども、どんなことが課題になっているのか、そしてどのような対策が国に求められているというふうにお考えかをお聞かせください。
○参考人(赤石千衣子君) ありがとうございます。シングルマザーの就労支援で何が必要かということですね。
まず、先ほど申し上げたように、お仕事をしたい、でも残業があったりする正規の仕事に就くと子供を見てくれる人がいない、なので断念する、こういう方はもう必ずたくさんいらっしゃいます。ですので、今、国も一人親の日常生活支援事業という家庭生活支援員を派遣する制度というのを設けているんですが、実態はなかなか、例えば、ちょっと数年前になるんですが、この実施件数が十件以下の都道府県が十五都道府県、これは甲府放送が情報開示した資料なんですけれども、非常に少ないという状況でございました。東京都内は、ひとり親ホームヘルプサービスというふうに名前を変えてもう少し充実した制度をつくっているんですけれども、これが充実していくことで仕事を支えていく。また、この支えていく方たちは地域の方ですので、そこでの関係ができていくということがあるかと思います。ですので、この日常生活支援事業をファミリーサポート事業、これも地域にありますが、これと一緒にどちらかを選択できるような形で充実していくというのは大変良いかと思います。
また、職業能力開発の分野でも、その方に合った職業相談をしながら職業能力開発をするということがとても必要だと思いまして、私もキャリアコンサルタントの資格取りましたけれども、まだまだその分野も必要なことがあるかと思っております。
○岩渕友君 ありがとうございました。
次に、栗林参考人にお聞きします。
先ほどお話があったように、子供食堂の取組が全国に広がっています。それで、先日、新聞で豊島子どもWAKUWAKUネットワークが地域再生大賞の準大賞を受賞されたというような記事を見たんですけれども、一つは子供食堂が地域で果たしている役割についてお聞きをしたいのと、子供の貧困に関わって国や自治体が果たすべき役割についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○参考人(栗林知絵子君) 地域では、そういう子供たちをほっておいちゃいけないという中で、寄附でつながったり、あらゆる人たちがそういう子供に何か自分も役に立ちたいということで、まさに町づくりになっているというのを実感しています。
自治体とか国に求めるというところは、やはり子供は親が育てるべきというその意識が、やはりもう今これだけ地域が分断されたり核家族が多い中、子供は地域で育てようというようなちょっと前向きな意識改革があると、私も何か関わりたいんだけれども、そんなことするとおせっかいと思われてしまうみたいな、ちょっと一人だとなかなかそういうところに、ファミリーサポートをやってみようとかいうことも含めて何かできるメニューをたくさん用意して、是非地域で支えようというようなもうちょっとその空気感があると各地域でのセーフティーネットの網ができていくのかなと思います。
そこは、そういうことが増えていく中で、自治体ごとに、給食費、子供がお金あるなしにかかわらず、さっき小河さんからもありましたけれども、みんなが給食をおいしくいただけるような、そういうメニューとか政策につながっていくといいのかなと思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。
最後に、時間がないので簡潔に教えていただければと思うんですけど、小河参考人にお聞きしたいんですけど、今日午前中、女性団体の方が部屋に来られて、子供の貧困が広がっている中で重過ぎる教育費の負担に家庭から悲鳴が上がっているということで、教育予算を増額して教育費の無償化を求めたいということで要望をいただいたんです。それで、日本でも給付型奨学金制度始まったんですけれども、本来求められる奨学金制度というものがどういうものだというふうにお考えか、お聞かせください。
○参考人(小河光治君) やはり望めば誰でも大学だとか専門学校に行けるような制度というものをしっかりとつくることが大切だと思いますが、ただ、これ教育だけではなくて、中にはやっぱり高校を卒業して働きたいという人が、じゃ、そこの支援が全くないというのも、これも不十分なところだと思います。あるいは、今実際に若い人たち、今実は奨学金で多額の借金を抱えながら、その利子を払いながらという方もたくさんいるという現状もありますね。
ですから、その辺も、いかに、この子だけに光が当たって、この人たちには光が当たらないというようなものをどうやって制度設計していくかということが求められているんだというふうに思います。
○岩渕友君 以上です。ありがとうございました。