2019年3月8日(金) 参院予算委員会
(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は参院予算委員会で8日、東京電力福島第一原発事故から8年を迎えるなか、東電とともに国の賠償責任を認める地裁判決が続く一方、裁判外紛争解決手続き(ADR)の和解案の拒否、賠償打ち切りが相次いでいる問題を追及しました。
岩渕氏は、商工業者への営業損害賠償として、事故の影響で失われた利益の「2年分」が将来分として一括で支払われているが、避難指示区域外の被害者には合意件数の半分以下しか支払われていないと指摘。さらに、一括支払い後の追加賠償は、請求約900件のうち合意はわずか9件であり、拒否理由がブラックボックスだと厳しく指摘しました。
福島県浪江町で営業再開をめざす生鮮食品業者が追加賠償を求めたが、東電が「避難先での営業再開」や「他の事業への転換」をすれば賠償は必要ないと拒否した事例を告発。営業再開できない原因は原発事故であり、避難先での営業再開後も営業利益が減少した業者は7割(県商工会連合会調査)だと紹介し、「加害者が賠償するかどうかを一方的に決めるなど許されない」と厳しく批判しました。東電の小早川智明社長は「個別の内容は回答を控える」、世耕弘成経産相は「東電を指導する」と繰り返すだけでした。
岩渕氏は、事実上、東電が賠償の上限基準とする中間指針について、実態とかけ離れており、地元首長も見直しを求めていると強調。「直ちに見直せ」と迫り、「国と東電が被害者の生活と生業(なりわい)の再建に最後まで責任を果たすべきだ」と求めました。
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2019年3月8日(金) 参議院予算委員会
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。福島県の出身です。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から八年たつ今も、余震と停電が続き眠れなかった日々を、原発が爆発したときの言葉にできない不安を忘れることはできません。南相馬市小高の方から、避難後初めて帰った自宅は動物のすみついた跡があり、とても住める状況じゃなかった、あんなに帰りたいと思っていた気持ちがどこかに行ってしまったと言われたときの悔しさと怒りを忘れることはできません。ふるさとに戻っていない人は、少なくても十一万人に上ります。八年たっても十一万人がふるさとに戻ることができない、これが原発事故です。
二月二十日、福島原発神奈川訴訟判決は、国と東電の法的責任を認めました。横浜地方裁判所で平成三十一年二月二十日に判決が言い渡された福島第一原発事故損害賠償請求事件の判決、第三文冊、百十一ページ九行目から十五行目までを読み上げてください。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 委員御指摘の判決の該当部分を読み上げます。
当裁判所の判断の結論。当裁判所は、福島第一原発の津波対策が省令技術基準に適合するとした原子力安全委員会ないし保安院の判断の過程には看過し難い過誤、欠落があったと言うほかなく、被告国(経済産業大臣)は、これに依拠して規制権限を行使しなかったと認められるから、このような国(経済産業大臣)の判断には不合理な点があり、ひいては、その不行使は許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものとして、国賠法一条一項の適用上違法と認めることができると判断する。
以上でございます。
○岩渕友君 これだけ厳しい判決が下されて、更に避難指示区域内避難者にふるさと喪失慰謝料が、区域外避難者にも慰謝料が認められました。原告からは、八年間は本当につらい時間だったという声が上がっています。
ところが、三月五日、国も東電も控訴をしました。被害者の苦しみをどう思っているのか。許せません。国も東電もなぜ控訴したのですか。
○国務大臣(世耕弘成君) お尋ねの横浜地裁における判決につきましては、福島第一原発の敷地高を超える津波の予見可能性を認めたことや中間指針を超える賠償を一部認めたという点で国の主張と異なる点がありました。こうしたところから、関係省庁とも協議の上、国として控訴をさせていただいたところであります。
理由の詳細については、今後、控訴の理由書等で明らかにしていくものと承知をしております。
○参考人(小早川智明君) 東京電力ホールディングスの小早川でございます。
福島第一原子力発電所の事故から間もなく八年が経過いたしますが、今なお福島の皆様を始め広く社会の皆様には大変な御負担と御心配をお掛けしておりますことを改めて深くおわびを申し上げます。
ただいま岩渕先生より御質問いただきました横浜地裁における判決につきましては、判決内容を十分精査した結果、賠償額の認定に当たって当社の主張と異なる点が見られた内容であったことなどから総合的に判断し、控訴を提起することといたしました。
○岩渕友君 これ、被害者の気持ちが分かっているのかということだと思うんですよ。控訴する、裁判続けるということは、被害者の気持ちを踏みにじる、そういう行為です。裁判したいなんてことを思っている人はいませんよ。自分たちに責任がないのに、ふるさともコミュニティーもなりわいも奪われて、こんなことおかしいじゃないか、国と東電は法的責任認めろ、やむにやまれぬ思いで裁判しているんですよ。
資料の一を御覧ください。
これ、同様の訴訟で東電の責任を認めた判決は八件全て、国の責任は六件中五件で断罪をされています。これ、何だかんだの問題じゃないんです。国と東電は責任を認めるべきです。どうですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 同じお答えになるんですけれども、敷地高を超える津波の予見性を認めたことや、中間指針を超える賠償を一部認めたという点で国の主張と異なる点があったわけであります。
これまでも、今、一覧表に出ている各地裁における判決については、その判断について受け入れ難い点があるとの結論に達したものについては控訴審の判断を仰ぐということにしているため、控訴することにしたわけであります。
いずれにせよ、東電による福島第一原発事故に係る事故賠償、事故処理や賠償の対応については、事故の当事者である東京電力が最後まで責任を持って行うという大原則の下、国も、原子力災害からの復興について前面に立って対応してまいりたいと思っています。
○参考人(小早川智明君) 福島第一原子力発電所の事故により被害に遭われた方々に対しましては心より深くおわびを申し上げます。
本件の詳細につきましては控訴審の場で申し上げるものと考えており、この場での回答は差し控えさせていただきますが、引き続き控訴審においても御請求内容や御主張を詳しく伺い、丁寧に対応してまいる所存でございます。
○岩渕友君 これ、大臣、国だって責任あるんですよ。そして、やっぱり被害者の気持ち分かっていませんよ。こんなこと認められません。全てを奪った原発が憎い、毎日を笑って暮らしていたあの頃の私を返してください、富岡町から避難をする方の思いです。皆さん、こういう思いで裁判しているんですよ。控訴なんてとんでもないことだと、こう言わなくてはなりません。
そして、訴訟だけではないんです。東電は、集団ADRの和解案を拒否しています。これは大問題で、国の責任が問われています。浪江町は町民の七三%に当たる約一万六千人がADRを申し立てました。しかし、東電は和解案を六度も拒否して、仲介が打ち切られました。
ADRとはどういう仕組みでしょうか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 原子力損害賠償紛争解決センターは、原子力事故により被害を受けた方の原子力事業者に対する損害賠償請求について、円滑、迅速かつ公正に紛争を解決することを目的として設置された公的な紛争解決機関であります。
具体的には、中立かつ公正な立場の仲介委員が当事者双方の意見を丁寧に伺って、和解案を提示するなどして当事者の合意による紛争解決を図る、そうした仕組みでございます。
○岩渕友君 これ、迅速どころか、打切りによって裁判になるケースまで出てきているんですよね。
東電に聞きますけれども、三つの誓いがあるじゃないですか。これ、何のために誓ったんですか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
当社は、二〇一一年十月の緊急特別事業計画の策定において、被害者の方々に対し、親身、親切な賠償を行うため、五つのお約束をお示しいたしました。その後、二〇一三年十二月の新・総合特別事業計画において、これまでの五つのお約束を包含し、更に充実、拡充していくことにより、明確な意思を示すことを、明確な意思として示すため、最後のお一人まで賠償を貫徹します、迅速かつきめ細かな賠償を徹底します、和解仲介案を尊重しますという三つの誓いを掲げ、全社を挙げて取り組んでまいりました。
引き続き、被害を受けられた方々に寄り添った賠償を進めるとともに、個別の御事情を十分にしんしゃくしながら、三つの誓いを遵守し、迅速かつ適切な賠償に取り組んでまいる所存でございます。
○岩渕友君 誓いなんて守られていないじゃないですか。
これ、ADRにどんな思いが込められているか。ふるさともなりわいも奪われて、家族がばらばらにされて、自分たちの被害はこんなもんじゃないと、この被害を認めてほしいという思いがあるからこそ町民の七三%が参加をしています。和解案が出たとき、和解案を聞けてよかった、早く解決してほしいと高齢な方たちが喜びました。和解案に完全に満足しているわけじゃないし、不満もあるけど、和解案を受け入れようとなった。
東電が被害者の訴えに耳を塞ぎ続けている間に一体どれだけの方が亡くなったか。当時の馬場有町長は、東京電力は加害者としての意識が一かけらもないと怒りをあらわにしました。
東京電力、今の話を聞いてどう思ったのか。この思い、どう受け止めていますか。
○参考人(小早川智明君) 当社といたしましては、和解仲介案の尊重というお約束に沿って誠実に対応してきたつもりでございます。その考えに変わりはございません。また、ADR手続が簡易な手続により早期解決を目指す場であることは十分認識しております。
他方、ADRでは個々の申立人の御事情に基づき審理が行われているところ、当社といたしましても熟慮を重ねてまいりましたが、一部の案件におきまして和解案に基づく賠償を行うことが困難であるとの結論に至るものもございました。例えば、申立人様の主張される個別事情が既に中間指針で考慮されている場合など、また、個別事情を考慮してもなお困難である場合などがありました。
日頃より国からも御指導いただいているところでございますので、ADR手続につきましては、引き続き、被災者の方々の個別の御事情を丁寧にお伺いしながら適切に対応してまいる所存でございます。
○岩渕友君 どこが誠実なんですか。中間指針は上限ではないですよ。
大臣、大臣ね、今の東電の話聞いていたと思いますけれども、和解案の尊重を誓いながら和解案を拒否し続けている東電をそのままにしておくんですか。
衆議院の予算委員会で安倍首相が、和解案の尊重は当然の責務、経産省からしっかり指導させると答弁したことを福島の地元紙は一面で紹介しました。被害者を切り捨てる東電を容認している国に怒りの声が広がっています。
大臣、いつになったら東電指導するんですか。
○国務大臣(世耕弘成君) これまでも、東京電力の現在の経営陣が着任される際や東京電力改革を話し合う東電委員会において、福島への責任を果たすことが原点であるということを経営陣にはるる直接お伝えをしてきているところであります。
当然、東京電力は中間指針に沿って、そして個別の事情をよく伺いながら、被災者一人一人に寄り添ってしっかりと賠償の責任を果たしていくということは非常に重要だというふうに思っています。
集団ADRであることを理由に一律に受け入れられないということではなくて、実際に集団ADRであっても、個別具体的な事情に応じて相当因果関係がある損害と認められる場合には受け入れたものもあるというふうに聞いております。また、東京電力がこの和解案の受入れを拒否した後にこの集団ADRの中で個別にお話を伺うことで、その中で個別個別で和解に至った申立てのケースもあるというふうに承知をしております。
そのため、東京電力が和解案を受諾拒否したことによって打切りになったこの集団ADRの案件について、被害者の方に個別事情に応じた損害については適切に対応する旨徹底的に周知をするとともに、別途お申出があった場合には、改めて事情を丁寧にお伺いしながらきめ細かく適切な対応をするよう、東京電力を指導してまいりたいというふうに思います。
衆議院での答弁の後、私の考え方の内容については事務方を通じて東京電力の社長まで伝達をしているところでありますし、私もできるだけ早いタイミングで直接経営陣にお伝えをしたいというふうに思っています。
○岩渕友君 大臣ね、これ、ついでにやればいいという問題ではないんですよ。ついでにやればいいという問題ではありません。
ADRセンターは、個別の事情を見て和解案出しているというふうに言っているんですよね。実は、経産省に確認もしたら、これまでどおり折に触れて伝えていくというふうに言ったんだけれども、ついでじゃなくて、事務方じゃなくて、大臣から直接指導してほしいということなんですよ。大臣、どうするんですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 私、ついでになんて一回も言っていませんよ。
これ、経営陣が着任するときの大臣の話というのは極めて重要なタイミングなんですよ。福島への責任をしっかり貫徹してくれということを、決してついでではなくきっちりお伝えをしていますし、しかも、この間、衆議院の答弁において、私は、集団ADR申立て案件であっても個別で救済、和解に至ったケースもあるということですから、もう一度、集団ADRで拒否をしたとしても、もう一度個別のお話をしっかり伺って和解に持っていきたいという意思を、もう一度残っている方々にしっかり連絡を取るべきだと、そういう考え方を、私は答弁をした上で、できるだけ早く伝えた方がいいですから、私はまず事務方を通じて東京電力に伝えましたし、私自身ももう一度東京電力の経営陣を経産省に呼んで、落ち着いた雰囲気の中でしっかりとそのことを伝達をしたいというふうに思っています。
決してついでに伝えるつもりなんて毛頭ありません。
○岩渕友君 和解案の尊重は当然の責務だと、経産省からしっかり指導させるという、こういう答弁があったわけですよね。
現場の皆さん本当に、もう何でこれが認められないのかと、何で拒否されたのかという、そういう思いでいるわけですよ。事務方がやったんじゃなくて、大臣にすぐやってほしいということなんです。今日、東電の社長もいるし、この質問終わったらすぐやってくださいよ。
○国務大臣(世耕弘成君) できるだけ早く伝えたいと思います。それは、この場で立ち話というわけにもいきませんから、これはちゃんと私がしかるべきタイミングで呼んで伝えるということが重要だと思います。
しかも、私は、ある意味、衆議院の予算委員会で、立憲民主の枝野代表に対してテレビ中継の場でも答えているわけであります。その重みは、もう既に東京電力には私の言葉としても十分伝えていると思います、伝わっていると思っています。改めて、一連の国会などが落ち着いた後に、落ち着いた環境でしっかり呼んで、今後のことも含めて話し合っていきたいというふうに思っています。できるだけ早いタイミングにやりたいと思っています。
○岩渕友君 大臣の発言というのは非常に重いわけですよね。それをすぐにやってほしいって思っている人がいるんですよね。だから、もうこれ直ちにすぐにやってくれっていうことですよ。
これ、打切りはADRだけじゃないんですよ。損害賠償の打切りも進められています。商工業の営業損害賠償に関わって、二倍相当一括賠償の実績について、受付件数、合意件数、二倍賠償の件数が避難指示区域内と区域外でそれぞれどうなっているでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
商工業の営業損害賠償につきましては、避難指示区域内は二〇一五年三月より、避難指示区域外は同年八月より、事故と相当因果関係のある損害を被られている方を対象に、将来にわたる損害として逸失利益の二倍相当額を一括してお支払いしております。
その上で、やむを得ない特段の御事情により事故と相当因果関係が認められる損害が一括賠償額を超過した場合につきましては、個別に御事情をお伺いした上で適切に対応させていただいております。
○岩渕友君 二倍賠償の実績について。
○参考人(小早川智明君) 実績につきまして御回答申し上げます。
二〇一九年二月末時点における商工一括賠償の受付件数の総数は約一万六千二百件あり、そのうち合意件数の総数は約一万五千件となります。避難指示区域内の受付件数は約七千六百件あり、そのうち合意件数は約七千三百件となります。合意いただきました約七千三百件は全て逸失利益、年間逸失利益の二倍相当額での合意となります。避難指示区域外の受付件数は約八千六百件あり、そのうち合意件数は約七千七百件となります。合意いただきました約七千七百件のうち、年間逸失利益の二倍相当額での合意件数は約三千三百件となります。
○岩渕友君 資料二を御覧ください。今の答弁の中身をグラフにしてあります。これを見ると、区域外では、一倍しか支払われない人、全く支払われない人もいるということです。
追加賠償の実績についても、受付件数と合意件数、合意に至った理由を述べてください。
○参考人(小早川智明君) 一括賠償後の追加賠償は、二〇一九年二月末時点で約九百件の御請求をいただいており、そのうち九件合意しております。
合意した理由につきまして御説明申し上げます。
当社といたしましては、追加賠償を御請求いただいた場合には、お一人お一人個別の御事情を丁寧にお伺いしながら対応させていただいております。九件、ただいま申し上げました九件につきましても、各事業者様の個別の御事情を詳細にお伺いした結果、事故との相当因果関係がある損害が一括賠償額を超過していることを確認し、お支払いさせていただいたものでございます。
なお、個々の合意内容の詳細につきましては、事業者様が特定されることなどで御迷惑をお掛けするおそれもあることなどから、回答を差し控えさせていただきます。
○岩渕友君 今の答弁のとおり、合意はたった九件しかないんですよね。事業者の皆さんは何と言っているかというと、何で自分が賠償されないのか分からないと、ブラックボックスだということで、怒りの声が上がっているんですよ。
昨年の七月、追加賠償を請求したAさん。浪江町で生鮮食品店を営んでいて、息子さんを含めた正社員五人、複数のパートさんがいました。二〇一七年三月末で避難指示が解除されましたけれども、居住率は約六%です。主力商品だった地元の肉や青果が手に入りにくい。地元で商売続けたいという息子さんのために請求をしています。ところが、東電からは、避難先での営業再開、ほかの事業に転換するなど損害を軽減することができると、損害が継続しているとは認められない、こういう回答が昨年の十二月にあったんですよね。これ、Aさんは、原発事故の影響はないと、以前のように商売できるというんだったら、どうやったらできるのか教えてほしいと言って怒っていますよ。
これ、何で賠償されないのか、商売なんてやめちゃえってことなんですか、東京電力。
○参考人(小早川智明君) 本当に、福島第一原子力事故によりまして被害に遭われた方々、事業者の皆様には改めて深くおわびを申し上げたいと思います。
ただいま岩渕先生より御紹介のありました事案につきまして、個別の御請求者様との協議に関わる詳細につきましては、この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
当社といたしましては、商工業者様に対する将来一括分賠償実施後も可能な限り事業者様に寄り添い、対応に当たっております。しかしながら、現時点で事故との相当因果関係がある損害額が一括賠償を超過していない場合などもあり、追加賠償に至る件数は限定的となっております。
いずれにしましても、事故と相当因果関係の認められる損害がある限り賠償させていただくというスタンスに変わりはなく、引き続き、個別の事情を丁寧にお伺いし、適切に対応してまいる所存でございます。
○岩渕友君 居住率が戻らないとか地元の食品が手に入りにくいとか、これ、原発事故以外に原因ないんですよね。なのに、何で相当因果関係がないと言えるんですか。もう一回。
○参考人(小早川智明君) 繰り返しになりますが、個別の御請求者様との協議に関わる詳細につきましては、この場で申し上げることは差し控えさせていただきたく存じます。
○岩渕友君 じゃ、聞きますけど、地元での営業再開はするなというふうに思っているんですか、東京電力。
○参考人(小早川智明君) 私どもといたしましては、地元の復興に関しましては、この損害賠償というお支払のスキームとは別に、例えば官民合同チームであるとかいろいろな、様々な場面を通じて、地元の復興に対しては最大限の協力を惜しまない所存でございます。
○岩渕友君 これね、復興と言うけど、営業再開できないと言っているんですよ。そんな答弁ってありますか。
これね、大臣、東電のやり方というのは、ふるさとに戻って商売したいと、ふるさとの役に立ちたいと思っている事業者の思い、踏みにじるものですよ。こんな賠償の打切り、許すんですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 商工業の営業損害については、平成二十七年に閣議決定をされました福島復興指針を踏まえて、一括賠償後も、損害が一括の賠償額を超過した場合には、個別事情をよく確認した上で、事故との因果関係が確認されれば追加賠償するということになっているわけであります。
避難指示解除区域の小売・サービス業などのように事故前の商圏が失われているような場合には、個別に事業再開時の事業規模や移転再開の状況などの事情も考慮した上で、事故との相当因果関係が確認されれば追加賠償するということになるわけであります。
被害者の皆さんが置かれた状況は、これは様々でありまして、経産省としては、東京電力が個別の状況をしっかりと踏まえて丁寧に対応するように指導をしておりまして、東京電力においても、個別の請求者への電話連絡や御訪問等を自ら行って、直接御事情をお伺いする取組を強化しているものと認識をしているわけであります。一括賠償後の追加賠償に関しても、今、九件合意ということでありましたが、協議中のものもまだたくさんあるというふうに聞いております。
今後も、こうした取組を通じて、被害者の皆さんに寄り添った取組を東京電力が行うよう指導してまいりたいと思っています。
○岩渕友君 寄り添っていないから言っているんですよ。損害が超過しているから追加賠償を請求しているわけじゃないですか。
それで、資料の三と四を御覧ください。これ、福島県の商工会連合会が行った避難区域内事業者の調査です。この調査では、営業を再開できない最大の理由は、震災時商圏の喪失で約四割です。休業事業者の五割以上が廃業を検討しています。営業を再開した事業者の七割は営業利益は減少して、多くの事業者が苦しんでいます。これ、追加賠償が行われれば営業再開できるという事業者もいるわけですよ。
事業者をこのまま廃業させるのか。大臣、東電にちゃんと対応させてくださいよ。
○国務大臣(世耕弘成君) 東京電力に対しては、個別の事情をよくお伺いをして丁寧に対応していくということはしっかりと指導してまいりたいと思いますし、経産省としても、官民合同チームなどを活用して、事業を再開できるように、これはもう我々も極めて粘り強く取り組んでいるところであります。
○岩渕友君 これ、事業を再開できるだけじゃなくて、事業を継続できなかったら意味がないわけじゃないですか。
それで、何回同じ答弁しているのかと。指導する、指導すると言うんだけれども、さっきADRのときも指導するって言っていましたけれども、指導をするだけで改善されないわけじゃないですか。改善されるどころか悪くなっているわけですよ。
もう一回、どういうふうに指導しますか。
○国務大臣(世耕弘成君) 個別に対応した結果、ADRもそうですし、この営業損害の賠償もそうですけれども、解決に至っているケースもあるわけであります。そういったことを参考にしながら、一人一人、一件一件、丁寧に対応していくことが何よりも重要だというふうに思っています。
○岩渕友君 これ、事業者にとってはもう本当に命の懸かった、生活の懸かった重要な問題なんですよね。本当に冷たい答弁だなというふうに思います。
加害者が賠償のやり方決めて、賠償するかどうかを一方的に決める、こんなことは許されません。賠償基準を決めた中間指針はあくまでも目安です。けれども、東京電力は、指針を事実上上限だということで根拠として、裁判の判決も和解案も拒否する、賠償の打切りもしています。
福島の実態、被害の現実と指針が乖離をしているんですよ。毎日新聞の福島県内首長アンケートでも、指針が実態より低いということで、八割が見直しが必要というふうに答えています。指針を直ちに見直すべきではないですか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 誤解のないように申し上げますと、中間指針等は、先ほど世耕大臣からも答弁がありましたように、類型化が可能で一律に賠償すべき損害の範囲や項目の目安を示した上で、さらに個別具体的な事情に応じて示された考え方以外の損害や異なる賠償額が認められることがあり得るということを基本的な考え方としております。
原子力損害賠償紛争審査会においては、おおむね年二回開催されているこの同審査会の場においてこの賠償状況の把握を行うとともに、おおむね年一回実施している福島県内の被災市町村への現地視察において、被災市町村の実態の把握や地元関係者との意見交換を行っております。
これらを踏まえた上で、紛争審査会では直ちに中間指針などの見直しを検討する状況にはないということが確認をされておりますけれども、引き続き、紛争審査会における審議や被災地の現地視察等によって、この賠償状況や被災地における実態の把握を通じてしっかりとフォローアップをすることが重要であると考えております。
○岩渕友君 東電が指針を事実上上限としていて打ち切っているから見直しが必要だと、直ちに必要だって言っているわけですよ。それが、首長アンケートでも八割の皆さんが見直しが必要って答えていることに表れているということなんですよ。
いまだに立ち直れない人がどれほどいるのか計り知れない、安心して生活できるようになるまで国と東電は責任持って完全賠償してほしい、これが福島県民の思いですよ。こうした思いに応えるのは当然のことです。国と東電は、被害者の生活となりわいの再建に最後まで責任を果たすべきです。
次に、期限が迫っている緊急の問題があるので、質問をします。住まいの打切りの問題です。
二〇一七年三月末、区域外避難者への住宅無償提供が打ち切られました。その後の家賃補助も今月末で打ち切られます。国家公務員宿舎への入居も今月末で打ち切られるんですけれども、四月以降の住まいが決まっていない世帯は何世帯あるでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) お答えいたします。
福島県が今戸別訪問や相談会等を通じて把握した結果によりますと、平成二十九年四月の国家公務員宿舎の貸与開始時の入居者の約百五十世帯のうち現時点で約八十世帯が住居を確保していると聞いております。残り七十世帯について、福島県は、避難先の自治体や社会福祉協議会などと連携しながら、戸別訪問や相談対応などにより今年度内に住まいを確保できるよう全力で取り組んでいるところでございます。
○岩渕友君 今年度内と言うんですけれども、もうあと一か月ないわけですよね。そのうちで約半数は住まいが決まっていないという状況なわけですよ。四月以降も退去しない場合は二倍の家賃を請求するということになっているんですよね。
避難者の暮らしは、二重生活や長引く避難生活で経済的に困難になっています。追い打ちを掛けるように福島県からは毎日のように電話が掛かってきて、精神的に参って、家賃の高い住宅を無理やり決めた方、借金をしたという方もいます。これ、追い出し以外の何物でもないと思います。直ちにやめさせてください、大臣。
○国務大臣(渡辺博道君) この退去の問題については福島県が主体として取り組んでいるところでありまして、避難指示区域外からの避難者が仮設住宅から安定した住居に移って生活再建を果たしていただけるように、平成二十九年から二年間の経過措置として国家公務員宿舎の貸与等を支援して行ってきているわけであります。
福島県は、避難先の自治体や社会福祉協議会と連携しながら、まず個別に相談をしております。あと僅かでありますけれども、今年度内にできるだけ避難者の方がそれぞれの住まいを確保できるように今全力で取り組んでいるところでございます。
いずれにしましても、復興庁としては、福島県と密に連携をしながら対応をしてまいりたいというふうに思います。
○岩渕友君 福島県がと言うんですけど、国の責任があるわけじゃないですか。これ、追い出しするなと。二倍の家賃を退去しなかったら請求するなんということもやらないと言ってくださいよ。
○国務大臣(渡辺博道君) 繰り返しになりますけれども、役割として、福島県が主体となって避難者の住まいを確保できるよう、現在全力で個別の人と向き合ってやっているところでありまして、仮に住居が確保できなかった場合の仮の質問についてはお答えを差し控えたいというふうに思っております。
いずれにしても、復興庁として、福島県と密に連携を取って対応をしていきたいというふうに思います。(発言する者あり)
○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(渡辺博道君) 住まいについては大変重要なことでありますので、退去先においても住まいに困らないように、これからも福島県と連携してまいりたいというふうに思います。
○岩渕友君 福島県がということじゃなくて、国の責任で、追い出しはあってはならないと。もう一回どうですか、大臣。
○国務大臣(渡辺博道君) 基本的には、これは今までの流れでありますけれども、福島県が主体となってこれは取り組んでいることはこれ事実でございますが、それに対して国が側面で支援していくという体制でございます。
追い出しはないというふうに私は思っておりますけれども、しっかりと移転先の確保できるように今努力しているところでございますので、御理解をひとついただきたいというふうに思います。
○岩渕友君 そこまで言ったら、もう、じゃ、追い出しはあってはならないって明言してくださいよ。
○国務大臣(渡辺博道君) 国として福島県をしっかりとサポートするわけでありますので、福島……(発言する者あり)いや、追い出しと、福島県がこれから移転先についても今全力で個別に対応しているということでありますので、その対応を私どもはしっかりとサポートしていきたいと、密に連携をしていきたいと、そういうことでございます。
○岩渕友君 追い出しはあってはならないという一言も言えないのかなと、そういうふうに思うんですよ。
避難者の相談受けている方たちからは、病気の人まで追い出そうとしているって、そういう訴えが届いています。これ命の懸かった問題なんですよ。
期限や期間ありきじゃなくて、どんな選択も保障するのが国の責任なんじゃないんですか。もう一回、大臣。
○国務大臣(渡辺博道君) もう何度も答弁することになってしまいますけれども、基本的には福島県自らの住民のやっぱり避難先、そして、これからの住宅の安定化については福島県が主体となって対応している、これは現実でございます。
これを連携しながら国としてしっかりと応援をしていく、福島県と連携していきたいというふうに思います。
○岩渕友君 国には責任があるんだということなんです。避難者を追い出すようなやり方は絶対に認められない、そういうことですよね。
本当は福島第二原発のことも質問したかったんですけれども、時間があるので、この問題については後日また質問をしたいと思います。
今日は質問の中で福島の被害の実態をずっと見てきましたけれども、福島の現実を見てもなお再稼働を進めている、これとんでもないことです。日本世論調査会の調査では、政府が再稼働を進めているけれども、福島原発事故のような深刻な事故が再び起きる心配が残ると答えた人が八五・七%にも上りました。再稼働反対、この声はどの世論調査でも国民過半数の声です。
昨年、野党が共同で国会史上初めて原発ゼロ基本法案を提出しました。原発ゼロの政治決断、強く求めて、質問を終わります。
○委員長(金子原二郎君) 関連質疑を許します。武田良介君。
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
福島第一事故を経験して、人類は原発と共存できないということが多くの国民の皆さんが共通に経験したことだというふうに思うんです。
東京新聞が三月三日付けで報じた世論調査では、原発について、即時ゼロと、そして将来ゼロというのを合わせて七五%になっています。一方で、エネルギー基本計画では原発をベースロード電源と位置付けています。二〇三〇年の電源構成で、原発を二〇%から二二%使うと。これをやろうと思ったら、原発は再稼働することになります。しかし、世論は原発ゼロということです。原発はなくさなければならないというふうに思うんです。
この世論をしっかりと受け止めるのであれば、世耕大臣、原発ゼロの政治決断をするべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(世耕弘成君) これは、もう既にエネルギー基本計画という形で閣議決定をされているとおり、原発への依存度はできる限り下げますけれども、一方で、CO2を減らす、電力のコストの問題、そういったこともあります。ただそれを安全最優先でしっかりと取り組んでいくということに尽きるというふうに思っています。
○武田良介君 先ほどの質問でも福島の実態をあれだけ突き付けられて、まだ原発をやめるというふうに言えないということは、本当に許されない態度だというふうに私は言いたいと思います。
経団連の中西会長が看過できない発言をしております。中西会長は、二月十四日、静岡県の御前崎市の浜岡原発を視察した際に、原発と原爆が結び付いている人にこれを分けて理解していただくのは難しいという発言をしています。
再稼働が進まないのは住民が原発と原爆を勘違いしている、同一視しているからとするような発言であって、これ絶対に看過できないというふうに思うんですが、これ、経産大臣として中西会長のこの姿勢、どのようにお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 御指摘の中西経団連会長の御発言については、先月二十五日、御自身が会見において、表現自体が不適切だったと発言をされたというふうに承知をしています。もうこの御自身の発言に尽きるんではないかというふうに思います。少なくとも私は、そのような、最初の発言でおっしゃったような感覚や認識は全く持ち合わせておりません。
○武田良介君 不適切だったというふうに表明しているのは私も承知をしております。ただ、そうだといって陳謝している程度であって、中西さんのこの発言そのものは撤回しているわけでもありませんし、それではやはり本質が分かっていないというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うんです。住民が再稼働に反対しているのは、これ、同一視しているからではありません。福島の原発事故の被害を見ているからであって、同一視しているからではないということだと思うんです。そのことが理解できない中西氏は、福島の事故の反省がないというふうに私は言わざるを得ないというふうに思いますし、そういう人物に再稼働を論じる資格はないというふうに私は言っておきたいというふうに思います。
中西会長の言わんとすることは明白だと思うんです。一月十五日の会見を見ますと、安全性の議論が尽くされても地元の理解が得られない状況に立ち至っていると、こういう発言もされております。
結局これも、地元の理解が得られないから再稼働が進まないということのいら立ちを表しておられると思うんですが、世耕大臣にお聞きしたいと思うんですけど、この発言の中にあります安全性の議論が尽くされた状況というのはあるんでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 安全性というか、我々は、過去その安全神話に陥って大きな事故を起こしたわけでありますから、そういう意味では安全性について終わりはないというふうに思っています。常にチェックをし、常に安全性を高めていくという姿勢が私は重要だというふうに思っています。
○武田良介君 安全性が尽くされたという議論はないということでよろしいですね。
○国務大臣(世耕弘成君) 少なくとも、安全性が尽くされたという感覚を私は持つつもりはありません。常に更に高い安全性を求めていく姿勢こそが重要だというふうに思います。安全神話に陥ることが二度とあってはならないというふうに思っています。
○武田良介君 今日は東京電力の小早川社長にも来ていただいておりますが、東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働を進めようということで、六号機、七号機設置変更許可を出し、今、再稼働に向けてやられておられるところですが、東京電力で安全性の議論が尽くされた、そんな状況はあり得ますか。
○参考人(小早川智明君) 当社は福島第一原子力発電所の事故の当事者として、安全に終わりがないと考えております。事故の反省と教訓を基に、昨日よりも今日、今日よりもあしたと、日々安全の向上に努めてまいる所存でございます。
その上で、現在、柏崎刈羽原子力発電所六号及び七号機につきましては、規制委員会による適合性審査が継続中でございます。また、新潟県におかれましては、県による三つの検証が進められております。当社といたしましては、審査に真摯に対応してまいるとともに、三つの検証に対しても最大限協力してまいる所存でございます。
○武田良介君 安全性の議論が尽くされたという状況なんてあるわけないんですよ。あるわけないんです。それは政府だって、先ほど大臣もおっしゃったとおり、安全対策に終わりはないと政府は一貫して言ってこられました。
でも、仮に中西さんが、安全性の議論が尽くされている状況と、本当にそういうふうに考えているとしたら、それこそ新たな安全神話じゃないですか。
この発言の撤回求めていただけますか、世耕大臣。
○国務大臣(世耕弘成君) いずれにしても、このエネルギー政策を進めていくのは、これ国の責任の下であります。そしてまた、現場で進めるのは電力事業者なわけであります。我々経産省も電力事業者も、安全対策に終わりはないという明確な考え方を持っております。それに尽きるんではないでしょうか。
○武田良介君 いや、私がお聞きをしたのは、中西会長が安全性の議論が尽くされているというような発言をされているので、撤回を求めてはいかがですか、撤回求めていただきたいと聞きました。
○国務大臣(世耕弘成君) いずれにしても、私、中西会長のその発言の前後とか文脈がちょっとはっきり言って分からないわけであります。中西会長も、これは日立というまさに原子力に関連する産業に従事されている方でありまして、安全対策に終わりはないということはよく御理解だと思いますよ。これ、どういう文脈で、どういう含意があっておっしゃっているかというのは、これちょっと、私、今この場では何とも判断いたしかねる。
いずれにしても、経済産業省も電力業界も安全に終わりはない、安全対策に終わりはないという気持ちで今後もしっかり取り組んでまいりたいと思っています。
○武田良介君 中西さんもよく考えて、そういうふうに考えていないと思いますという話では、これいけないと思うんですよ。
だって、経団連の会長さんですし、日立の会長さんでもあられます。原発のプラント造っているわけですよね、原子炉造っているわけですよね。仮に、本当に安全性の議論が尽くされている、そういう状況なのに、住民の皆さんが原発と原爆を同一視しているから再稼働が進まないんだと、本当にそういうふうに考えているんだったら、これ一大問題じゃないですか。
やっぱり撤回求めるという、それぐらい言っていただけないですか。そういうことだと確認できれば、それは撤回求めるべき発言だとお思いになりませんか。
○国務大臣(世耕弘成君) ですから、どういう、今のお話もちょっと一か月ぐらいまたいだ二つの発言を結び付けられていますよね。ですから、そういう意味で、どういう含意で中西会長がおっしゃったかというのは、これは今私は分かりません。
ただ、少なくとも、常識的に考え、中西さんも日立という原子力の炉のメーカーのトップを務めてこられた方という感覚でいけば、安全に、安全対策に終わりはないという考えは当然お持ちだというふうに思っています。議論を尽くされたとかその辺の、どういう意味でおっしゃっているのか、これちょっと私も現場にいたわけではありませんので分かりません。
○武田良介君 一か月たっているからこそ、私は中西さんの考えが一貫しているというふうに思いますし、それは大丈夫だろうという話だったら、それはやっぱり国だって安全性に対して新たな安全神話に陥っていくということになるというふうに私は本当に思います。
絶対にそれでは許されないというふうに思いますし、この発言された、視察行った先、静岡県の浜岡の原発ですけれども、あそこだって東海地震の震源域の真上にあるというふうに言われているわけですから、住民の皆さんは原爆と同じように考えているから反対しているんじゃないと思いますよ。やっぱり福島の事故があって、同じように原発事故が起こってしまったらどうなるのかということを考えているから反対しているのであって、再稼働は絶対に許されないということを重ねて言っておきたいというふうに思います。
経産省にお伺いしますけれども、東京電力の柏崎刈羽原発、規制委員会から新規制基準に適合すると、いわゆる合格をもらったのはいつですか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
平成二十九年十二月二十七日に、柏崎刈羽原子力発電所六、七号機につきまして、原子力規制委員会より設置変更が許可されたわけでございます。
○武田良介君 その後、世耕大臣が、年明けてすぐの二〇一八年一月九日付けで、東京電力柏崎刈羽原発六、七号炉の再稼働に向けた政府の方針についてという世耕大臣名の文書を当時の米山隆一県知事に宛てて出しておられます。
この文書にある原子力政策が直面している最大の課題とは何であると記述しているのか、大臣に該当部分を読み上げ御紹介いただきたいと思うんですが。
○国務大臣(世耕弘成君) 私が当時、米山知事に宛てた御指摘の文書の中では、ここからがその文書の中の表現になりますが、「原子力政策が直面している最大の課題は、原子力に対する社会的信頼の回復にあります。エネルギー・原子力政策に責任を有する経済産業大臣として、原子力に対する社会の信頼が回復するよう、先頭に立って最善を尽くします。」というふうに書かれています。
○武田良介君 御紹介をいただきましたように、大臣が先頭に立って社会的信頼の回復に努め、この文書そのものの結論は、再稼働を進めてまいりますと、御理解を賜りますようお願い申し上げますという文書が出されております。
しかし、この一年で東京電力柏崎刈羽原発をめぐって起きたことは何なのかということなんです。あのフィルターベントの装置がその基準地震動に耐えられないということの隠蔽という問題が起こりました。ケーブル火災も起こりました。原子力安全に関わる不適合事案の再発防止対策を放置していたという問題も最近でも取り上げられております。次々と問題が明るみに出ているわけであって、新潟県民の皆さんの怒りは本当に頂点に達しているという状況なんですね。
これ、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、設置変更許可、いわゆる規制委員会による合格が出された後も様々な問題が起こって、新潟県の皆さんは本当にそのたびに怒りに震えておられます。現実は信頼が広がっているとは言えないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 先ほどのように、原子力の安全向上の取組には終わりはありませんので、このレベルまで行けば十分適格性があるといったような基準は持つべきではないというふうに思っています。
その上で、福島第一原発事故の当事者である東京電力に関して申し上げれば、今、柏崎でのいろんなケースをお話しになりましたので東京電力に関して申し上げれば、東京電力が自らの行動を通じて原子力事業に対する信頼を高めて地元や社会の理解を得ていくことが、今後も原子力事業を遂行していく上での大前提になっているというふうに考えています。
東京電力は、福島事故の反省を踏まえて、外部の専門家の監視の下、原子力安全改革の取組を進めてきましたけれども、今御指摘があったような、例えば今年二月にも保安規定違反が発覚するなど、安全性向上に不断に取り組む組織文化が定着したとはまだ言い難いと私も正直思っています。改善すべき点はまだまだ多いというふうに思っています。
東京電力は、経営陣のリーダーシップの下、改めて安全改革の原点に立ち戻って、経営や現場の意識改革を始めとした取組をしっかり進めてもらいたいというふうに考えています。
○武田良介君 理解が得られるような、信頼が広がるような状況にないということでした。
やっぱり、先ほど御紹介いただいた経産省の世耕大臣名の文書からしても理解広がっていないわけですから、これはもう再稼働は認められないというふうにはっきりと言っていただくのが一番いいんじゃないかと思うんですけど、世耕大臣、いかがですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 再稼働に関しては、これはもう国で閣議決定されている方針もありまして、これは独立した規制委員会が新規制基準に照らして適合すると認めたものは再稼働させていく、あくまでも安全最優先で進めていくというのが国の方針でございます。
○武田良介君 国の方針だから再稼働は進めるというふうに言われた。本当に新潟県民の皆さんの怒りを、更にその怒りに火に油を注ぐような答弁だったというふうに私は思いますが。
じゃ、世耕大臣、改めてお伺いしますけど、東京電力に原発動かす資格はあるというふうにお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) これは、あくまでも規制委員会が判断すべきことだというふうに思っています。これ、経済産業省が再稼働について判断をするということを我々は三・一一の教訓としてやめたわけであります。独立した規制委員会の判断を待ちたいというふうに思います。
○武田良介君 大臣の所見としていかがですか。東京電力はまだまだ十分だというふうに言えないということをおっしゃいましたよね。資格あるというふうにお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) ですから、再稼働できるかどうかとか再稼働する資格があるかどうかについて私が言及することは、これはもうできないんです。これはまさに三・一一の反省であります。
その上で私が申し上げたのは、今年二月に保安規定違反が発覚するなど、安全性向上に不断に取り組む組織文化が定着したとは言い難いという点ははっきりあると思います。改善すべき点はまだまだ多いというふうに認識をしています。今、おととしに経営陣が替わったばっかりでありますから、新しい経営陣の下で組織文化を根っこから変えるということが重要だというふうに思います。
再稼働の資格があるかどうかについては、これは規制委員会の御判断を待つしかないと思っています。
○武田良介君 規制委員会が適格性の審査をやっているというのは私も知っていますよ。ただ、東京電力のその体質というのをやっぱり改めて考えなきゃいけないと私も思うんです。先ほどはこの一年間ということも言いましたが、それ以前のこともたくさんありましたね。原子炉の炉心の壁のところにひび割れが見付かったけれども、それを改ざんしたという問題もありました。臨界事故の問題もあったけれども、それも隠されていたということもありました。いろんなことがずっとあって、そういう体質ということが言われていた。
しかも、そもそもこのやっぱり福島の事故を起こした当事者なんですね、東京電力は。そういう東京電力がまた新潟で原発を動かそうということに対して、新潟の皆さんが本当に強い怒りを持っているということだというふうに思うんです。
そもそも再稼働に対する住民合意はありませんので、再稼働は非現実的だというふうに思うんです。新潟県がやっております三つの検証、これどういうものか御紹介いただけますか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
新潟県が行っておられる三つの検証につきましては、三つのテーマがございます。第一に、福島第一原発事故の原因を検証する技術委員会における検証。二つに、健康と生活への影響を検証する健康・生活委員会における検証。三つに、安全な避難方法を検証するための避難委員会における検証。この三つの検証を行って、総括するということで取り組まれていると承知してございます。
○武田良介君 福島第一原発事故の原因の総括ということが目的にちゃんと含まれているということを私強調しておきたいと思うんですが、この三つの検証が必要だということは一貫した世論になっていますけど、世耕大臣、それはなぜだとお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) やはり福島第一原発事故の原因、そして原発事故による健康と生活への影響、そして安全な避難方法、この三つの検証をしっかり総括をして、県の原子力行政に資するために設置をされて、そのために行われている検証だというふうに理解をしております。
○武田良介君 お認めいただいたと思うんですが、福島のその原発事故の原因究明が必要だということをやっぱり福島の皆さん思っておられるということだと思うんですね。(発言する者あり)あっ、失礼しました、新潟の皆さんが思っておられるということだと思うんですね。
その上で、もう一つ、その規制基準だとか原子力規制委員会そのものに対しての信頼もされていないんじゃないかというふうに思うんですが、最後に、更田委員長、設置変更許可が申請されて不合格になったものってありますか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
原子力発電所本体に係るいわゆる新規制基準に対する適合性審査において不許可となったものは、これまでのところございません。
○武田良介君 そういう状況があるからこそ、本当に国に対しても、本当に原発動かして安全だなんて誰も言えないというふうに多くの国民の皆さんが考えている。だからこそ原発の再稼働は許されないということを考えているということだというふうに思うんです。
原発ゼロの政治決断こそ必要だというふうに思いますし、野党が提案した原発ゼロ法案、審議いただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。