2019年10月16日(水) 参議院予算委員会「台風19号被害」
(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は16日の参院予算委員会で、台風19号で甚大な被害を受けた福島県内各地で聞き取った住民の声をもとに、避難所の環境改善、断水地域での給水活動に対する国の後押し強化、自治体への人的支援を求めました。
岩渕氏は、「プッシュ型支援」の推進を表明している安倍晋三首相に、「被災者の求める支援が一人ひとりに届くよう、最後まで追求するということか」と確認。安倍首相は「被災者の生活の安定を図るために進める」と答えました。
岩渕氏は、福島県のいわき、郡山、須賀川、福島、伊達各市での聞き取りで、避難所に関して「板張りで寝ているので体が痛い」「温かいものが食べたい」「着替えやタオルがない」「テレビで情報を得たい」「携帯電話を充電できるようにしてほしい」との要望が次々に寄せられたとして、武田良太防災担当相に迫りました。
迅速な対応を
岩渕 内閣府の通達「避難所の生活環境の整備等について」はどのような内容か。
武田防災相 災害救助法が適用された自治体に対し、簡易ベッド、間仕切り、簡易台所等の整備、適温食の提供や栄養バランス等への配慮、福祉避難所の設置と介護員の適切配置、紙おむつ等の消耗品の購入を図ることを通知し、取り組みを促している。
岩渕 現場ではそうなっていない。実行するためにどうするか。
防災相 被災地のニーズや課題を把握し、見直すべきものは見直す。
岩渕 命に関わる問題だ。迅速な対応を求める。被災地では朝晩の冷え込みが増している。被災者が体調を崩さないよう医療や保健師の体制整備も強く求める。
岩渕氏は「断水も深刻で、水の確保対策が急がれる」と指摘。「断水地域では側溝の泥水で雑巾を洗うような状況で、泥出しや片付けに支障が生じ、医療機関でも医療器具を洗うことができず必要な治療ができなくなる可能性がある」と述べました。
住民からは「顔を洗った水をためてトイレに使っている」「給水に1時間も並ばなくてはならず、給水制限もある」「給水は昼間のみで、働いている人はくみに行けない」「給水車に自宅近くまで来てほしい」などと、切実な声が上がっているとして対応を求めました。
岩渕 命と暮らしに関わる重要な問題だ。給水車を増やすなど、国もバックアップをしてほしい。
防災相 命に関わる重要な問題だ。厚生労働省、防衛省などの関係機関と連携し対策を講じている。
人的支援ぜひ
岩渕氏は「被災自治体から人的支援への強い要望がある」とも指摘し、国の支援を要請。武田防災相は「自治体間の応援職員派遣を順次開始している。被災者にきめ細かい支援が届くよう、被災自治体の体制強化に努める」と答えました。
最後に、岩渕氏は「生活と生業(なりわい)の再建のため、補正予算による財政措置をとるべきだ」と強調。安倍首相は「必要なら検討していく」と述べました。
↓質問映像(全編版、ダイジェスト版)
↓質問終了後コメント(全編版、ダイジェスト版)
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2019年10月16日(水) 参議院 予算委員会
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
台風十九号で犠牲となられた皆さんに心からの哀悼の意を表するとともに、被災をされた方々にお見舞いを申し上げます。また、住民の命と暮らしを守るため、昼夜を分かたず対応に当たっておられる皆さんに心からの敬意を表したいと思います。
台風十九号は広範な地域に甚大な被害をもたらしました。東北でも、岩手県や宮城県、福島県など、甚大な被害となっています。日本共産党は、台風十九号が近づく中で対策本部を設置し、国会議員、地方議員を先頭に、被災直後から現地調査や被災された方々の声を直接お聞きしてきました。
私も、福島県のいわき市、郡山市、須賀川市、福島市、伊達市で被災をされた方々から話をお聞きしてきました。いただいた要望を基に、昨日、日本共産党福島県委員会と県議団が福島県へ緊急の申入れを行っております。救命救援活動を最優先にしながら、緊急、切実な要望への迅速な対応をお願いいたします。
政府は、激甚災害に指定する方針、これ明らかにしておりますけれども、福島県からも、激甚災害への指定、これ早くやってほしいという要望が出されておりますので、このことを強く求めます。
総理は、プッシュ型支援を進める、できることは全てやると述べておられます。被災をされた方々が求める支援が一人一人に届くよう最後まで追求をする、プッシュ型支援を進めるということはそういうことですよね。総理の認識を伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このプッシュ型支援とは、災害発生時に現地において被災者の命と生活環境に不可欠な必需品を迅速に調達することが困難になったとき、被災地からの要請を待たずに政府が全国から物資を調達をして被災地に緊急輸送するものであります。プッシュ型支援の実施に当たっては、被災地に派遣した政府職員等が被災自治体とも連携の上、現地の状況や支援物資のニーズ把握に努めることが重要であると考えております。
今回の台風第十九号による災害においても、被災者の生活支援をきめ細かく迅速かつ強力に進めていくために被災者生活支援チームを立ち上げたところでありまして、このチームを通じて、被災地における支援物資のニーズ把握を十分に行った上で、不足している物資についてプッシュ型支援を行っておりまして、昨日までに、食料七万五千点、飲料五万一千本、衣類や生活用品を被災地に届けたところであります。
また、本日中に段ボールベッドを約三千個被災地に届ける予定でありまして、今後とも、被災自治体との緊密な連携の下、刻々と変化をする被災地のニーズを的確に踏まえつつ、被災者の生活の安定を図っていくために、プッシュ型支援を政府一丸となって進めていく考えでございます。
○岩渕友君 被災をされた方々が求める支援にこれしっかり応えてほしいと思います。
幾つかの避難所にも伺って話をお聞きしてきました。どこでも是非聞いてほしいということで、もう次々と実態や要望が寄せられています。いわき市の避難所では、八十代の方が座布団三枚を並べた上に毛布一枚で寝ていらっしゃいました。郡山市の避難所では、ブルーシートを敷いた板張りのところで寝ているから体が痛い、温かい物を食べたい、急いで避難をしてきた上に自宅が浸水をしたので着替えやタオルがない、テレビなどで情報を得たい、携帯電話充電できるようにしてほしい、こうした要望が出されました。ほかの人が気になって昨日の夜は一睡もすることができなかった、このままだと血圧が上がってしまう、こういう方もいらっしゃいました。
昨日行った福島県への緊急申入れでは、温かい食事の提供やプライバシーの確保など避難所の生活環境の改善に取り組むこと、衣服やタオルなど必要な物資を届けて入浴機会を確保すること、テレビの設置や携帯電話の充電器や電源の設置を急ぐ、こうしたことを求めました。
内閣府から避難所の生活環境の整備等についてという通達が出されていると思います。避難所の設置や炊き出し、福祉避難所の設置などについて、この通達ではどういうふうに述べられているでしょうか。
○国務大臣(武田良太君) 御指摘の避難所の生活環境の改善は、政府としても被災者を支援する上で極めて重要であると認識をいたしております。
十九号に伴う災害におきましては、内閣府としても、災害救助法が適用された自治体に対しまして、避難所の開設期間の長期化が見込まれる場合は、簡易ベッド、間仕切り用パーテーション、簡易台所等を整備すること、また食品の給与につきましては適温食の提供、栄養バランスの確保等について配慮すること、また福祉避難所を設置し、介護員等の適切な配置、紙おむつ等の消耗器材の購入を図ることについて通知し、取組を促しております。
引き続き、関係省庁と連携しながら、被災地のニーズを把握しながら被災者へのきめ細やかな支援に万全を図ってまいりたいと思います。
○岩渕友君 今答えていただいたように、通達では先ほど御紹介したようなことができるというふうになっているんですよね。けれども、実際、現場ではそうなってないんです。
これ、実行するためにどうするんでしょうか。防災大臣、お願いします。
○国務大臣(武田良太君) 国としましては、被災自治体に職員を派遣し、又は被災自治体から聞き取りを行い、被災地のニーズや課題を把握しているところであり、これらを通じて見直すべきものは見直してまいりたいと思います。
○岩渕友君 これ、もう命に関わる問題なので、本当に迅速な対応が求められています。さらには、朝晩を中心に今冷え込みが増す中で、被災された方々が体調を崩さないように医療や保健体制の整備、これ欠かせないということも併せて強く求めます。
先ほども出ていましたけれども、断水の被害が深刻で水の確保も急がれています。いわき市では平窪など浸水被害のひどかった地域を含む約四万五千世帯、相馬市、新地町、南相馬市の鹿島区の約二万三千世帯で断水をして、飲み水や食事、トイレ、お風呂など生活に支障が出ています。
十三日にこの平窪という地域に伺ったときには、側溝の泥水で雑巾を洗っている方もいらっしゃったんですね。泥出しだとか片付けにも支障が出ています。乾燥した泥が粉じんとなって健康上のリスクにつながるんじゃないか、こういう心配も出されています。
いわき市では、医療機関でも断水によって手術だとか吸引などに使う器具を洗うことができない、住民が必要な治療を受けられなくなる可能性があるということで、医師会などの関係者が国と自衛隊に水の確保を要請するんだというふうに聞いています。
相馬市の方からは、顔を洗った水などをためてトイレに使っている、井戸水を使ってお風呂を沸かしている民宿などを利用しているんだけれども、お風呂に入ることができない人もいると。閉まっている歯医者や薬局もある。自分はスーパーやっているんだけど、お米を炊くことが皆さんできないので、御飯であるとかお弁当が飛ぶように売れていると。支援物資で水が配られたけれども、一世帯に二リットルのペットボトルが一本だけだったと。こういったお話が次々出されています。
みんな車で給水所に来るので道路が渋滞をしている、しかも、一時間も並ばなくてはならないし、給水の制限がある、で、給水できるのは昼間だけだ、働いている人はくみに行くことができない、こうした声も出されました。住民の皆さんからは、給水車に自宅の近くまで来てほしいんだ、水を自宅に届けてもらうことできないだろうか、こうした要望も出されました。
福島県への昨日の申入れでも、もう一刻も早い復旧、そして給水所の開設や増強など、全面的な支援を求めました。これ、自治体の仕事ということになるかもしれないんですけれども、命と暮らしに関わるこれ重要な問題です。給水車、もっと増やす、こういうことも含めて国にもバックアップしてほしいんです。
国としてどんなことができるでしょうか。
○国務大臣(武田良太君) 水の問題は命に関わる重要な問題であることは認識をいたしております。また、給水支援につきましては、厚労省そして防衛省、そうした関係機関と連携して今積極的にこの対策を講じているところであります。
御指摘のいわき市と相馬市では、本日五時時点で、いわき市が四万五千四百戸、相馬市を含む相馬地方広域水道企業団が二万三千二百五十五戸の断水が続いている。この原因は、いわき市が水道施設の冠水、水没、相馬が道路洗掘に伴う水道管破損というふうに厚労省からの報告を我々は受けております。
特に断水戸数が多いいわき市におきましては、本日には電気設備の試験通電を行い、問題がなければ復旧作業を続ける予定であり、その間は自衛隊等の協力を得て給水作業を継続する予定と、このように伺っております。現地では水道の専門家が少なく、日本水道協会に応急給水、応急復旧の支援を依頼していると聞いております。
昨日の非常災害対策本部では、加藤厚生労働大臣が国として資材の調達等の支援を関係省庁にお願いすると発言されており、内閣府としましても、復旧作業が円滑に進むよう、現地に派遣されているリエゾンを通じて課題解決に向けた取組が進むように全面的に支援をしてまいりたいと思います。
○岩渕友君 本当に命に関わる、暮らしに関わる重要な問題なので、復旧と併せて給水の部分で是非とも国のバックアップを強めてほしいということを重ねて求めます。
被害の実態が明らかになるにつれて、命を落とされた方が増えております。本当に胸が締め付けられる思いです。犠牲になられた方の多くが高齢な方です。台風の被害が大きくなる中で、命を守る行動をと何度も呼びかけられましたけれども、取り残された方や逃げ遅れた方がいらっしゃいました。特に災害時は命を守るためのきめ細かい対応が必要です。そして、高齢な方が多く被災をされています。
命を守るために丁寧な見守りやきめ細かなニーズの把握が欠かせないわけですけれども、そのためにも市町村への人的支援の強化が必要ではないでしょうか。大臣、お願いします。
○国務大臣(武田良太君) 人員支援についての強化の御指摘であります。
この十九号による記録的な大雨等により甚大な被害が発生したわけでありますけれども、今も数多くの被災者の皆さんが避難所で不安なときを過ごされておるわけであります。
我々としては、発災後の十三日には非常災害対策本部を設置しまして、災害応急対策を強力に推進しているところでありますが、極めて広範囲に及ぶ今回の台風被害を踏まえ、被災者の生活支援を更にきめ細かく、迅速かつ強力に進めるため、各省横断の被災者生活支援チームというものを設置をいたしました。このチームを通じまして、被災者ニーズの把握を始め、水、食料、段ボールベッド等のプッシュ型支援、避難所生活の環境整備、被災自治体への職員派遣、住まいの確保など、必要が生じる事柄を先取りし、被災者の生活支援を政府一丸となって進めてまいりたいと、このように思います。
加えまして、政府としては、既に長野、福島、宮城、栃木、埼玉、茨城県の各県に対して内閣府調査チームを派遣しているほか、各省から専門的な知識を有する職員を合計三百六十一名を派遣し、被災地の課題やニーズの把握に努めているところであります。
また、地方自治体の、地方自治体間の人的支援につきましても、現時点で被災した十七の市町に対し応援職員の派遣を決定し、順次活動を開始しているところであり、被災者の皆様にきめ細かな支援が届くよう、被災自治体の体制強化に努めるとともに、国としてできることは全てやるとの方針の下、一日も早い被災地の復興復旧に努めてまいる所存であります。
○岩渕友君 この人的支援の強化はもう現場からの大きな要望なので、これ是非やってもらいたいということです。
最後に総理に聞きます。
○委員長(金子原二郎君) 時間が来ております。
○岩渕友君 生活となりわいの再建のために……
○委員長(金子原二郎君) 時間が来ておりますので。
○岩渕友君 補正の検討ということもあるわけですけれども、そのための財政措置をやるべきだと思うんですが、総理、いかがですか。財政措置。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず予備費を活用することとしておりますが、必要があれば当然検討していくことになろうと、このように思います。