テーマ:漁業者の尊厳傷つける汚染水海洋放出撤回を/東電福島第一原発事故を忘れた原発回帰許さない
(議事録は後日更新いたします)
福島第一/汚染水放出、撤回せよ/漁業者の理解得られず/岩渕議員要求/参院予算委
日本共産党の岩渕友議員は15日の参院予算委員会で、東京電力福島第一原発で発生する放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出に漁業者など関係者の理解は得られていないとして、撤回を求めました。
福島県の沿岸漁業の水揚げは、昨年の速報値で5525㌧、35億円。東日本大震災前の2010年と比べ、量では21%、金額では38%にとどまり、回復には程遠い状況です。
岩渕氏は、漁業者が震災前の5割以上の回復を目指し、本格操業へ向かおうというときに水を差すのが海洋放出だと批判。政府は水産物の需要が減少した場合に買い取りを支援するとしていますが、漁業者からは「取った魚を『おいしい』と食べてもらうことが喜びだ。買い取ればいいということではない」との声が上がっているとして、「漁業者の喜びを奪い、尊厳を傷つけるのが海洋放出ではないか」と迫りました。
岩渕氏は、世論調査では、全国でも福島県内でも賛否が分かれ、理解や説明は不十分で、風評被害が起きるとの回答は9割を超えているとして、「国も東京電力も、漁業者と『関係者の理解なしにはいかなる処分もしない』と約束している。理解は得られたという認識か」と追及。西村康稔経済産業相は放出への理解を「何かある特定の指標のみで判断することは難しい」などと開き直りました。
岩渕氏は「自らの約束をほごにすることは許されない。海洋放出は撤回、少なくとも凍結するべきだ」と主張しました。
規制庁幹部に経産出身者/岩渕氏が厳しく批判/参院予算委
日本共産党の岩渕友議員は15日の参院予算委員会で、原子力規制庁の長官など幹部5人全員が昨年7月以降、経済産業省出身者で独占されている実態を明らかにし、「規制庁が独立しているとは言えない」と厳しく批判しました。
原子力規制庁は、原子力規制委員会の事務局を務めています。規制委は、東京電力福島第一原発事故を教訓に原発推進政策や原発業界に迎合しない厳格な規制行政を目的に設立されたもので、事務局の規制庁の幹部全員を原発推進の経産省出身者が占めるのは初めてです。
岩渕氏は、福島第一原発事故の教訓は原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していたことだとして「規制側が推進側と一体になっていた。その痛切な教訓から規制委員会が設置された。その独立性がおびやかされている」と指摘。規制庁幹部の出身省庁に加え、原発の運転期間の見直しをめぐり規制庁と資源エネルギー庁が7回にわたって事前調整を行っていたことをあげ「9月6日の規制庁とエネルギー庁の顔合わせでは、規制庁の出席者のうち経産省出身の出席者が何人いたのか」とただしました。
規制庁の金子修一次長は「全部で6人のうち4人が経産省出身だった」と明らかにしました。
岩渕氏は、原発の運転期間を原則40年としたルールは経年劣化による安全上のリスクを低減するもので、推進側の経産省が勝手に触っていいものではないと批判。世論調査では、福島第一原発事故のような深刻な事故が起きると思うという回答は84%に上るとして「原発回帰への大転換は新たな安全神話だ。方針の撤回を求める」と訴えました。
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2023年3月15日(水) 参議院 予算委員会
「漁業者の尊厳傷つける汚染水海洋放出撤回を/東電福島第一原発事故を忘れた原発回帰許さない」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から12年がたちました。原発事故は今も多くの方々からふるさともなりわいも奪い続けています。
福島県の沿岸漁業は、震災前と比べて、水揚げ量、水揚げ金額はどのぐらい回復していますか。
○国務大臣(野村哲郎君) お答えいたします。
福島県の地元漁業それから養殖業の水揚げは、令和4年の速報値で5525トン、35億円でございまして、震災以前の平成22年に比べて、量で21%、それから金額で38%にとどまっているところでございます。
このような状況の中で、福島県においては、操業経費の一部を支援するがんばる漁業復興支援事業を活用しまして、震災以前の5割以上の回復を目指して、震災からの復興に取り組んでおるところでございます。
農水省としましては、今後とも、こういう漁業者の方に寄り添いながら、徹底した対策を講じることで復興が進むように支援してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 委員長、山添議員の答弁者は退席いただいて結構です。
○委員長(末松信介君) それでは、高市大臣、総務大臣、御退席いただいて結構です。官房長官も。
ありがとうございます。
○岩渕友君 今答弁いただきましたけれども、震災前の5割以上の回復を目指して試験操業から本格操業へ向かおうというときに水を差すのが放射能汚染水、ALPS処理水の海洋放出です。
政府は、水産物の需要が減少した場合に買取りを支援するとしていますけれども、先日お会いをした漁業者の方からは、捕った魚をおいしいと食べてもらうことが喜びなんだと、買い取ればいいということではないと、こういうふうに言われました。この漁業者の喜びを奪い、尊厳を傷つけるのが海洋放出ではありませんか。農水大臣、経産大臣、そして東京電力に聞きます。
○委員長(末松信介君) それでは、経産大臣から。
○国務大臣(西村康稔君) まず、海洋放出を行うのはALPS処理水でありますので、汚染水ではありません。是非訂正をしていただければと思います。
その上で、ALPS処理水の海洋放出があっても、大変おいしいこの三陸・常磐ものが全国で消費されること、そのために取り組む必要があるというふうに我々も考えております。
このため、ALPS処理水の処分に関する安全性について引き続き丁寧に説明し、発信をしていくと同時に、三陸・常磐ものの魅力を発信し、消費拡大を図る官民連携の枠組みとして、魅力発信三陸・常磐ものネットワークを立ち上げて、既に900社以上の企業などが参加をしてくれております。現在、三陸・常磐ウィークスを実施、ウィークを実施中でありますけれども、この消費拡大に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、また、本年夏に向けてもキャンペーンを実施をする予定でございます。
こうした情報発信、そして消費拡大に向けた取組を通じて、ALPS処理水の海洋放出に関する風評の抑制に全力を挙げていきたいと考えております。
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げたいと思います。
私も、もう2回ほど福島に参りまして、漁業者の皆さんや団体の皆さんとのこのALPS処理水の問題に際しましては御要望を丁寧に酌み取っているところでございますが、漁業を安心して継続できる環境が整備されるように、政府が一体となって万全を尽くしているところであります。
水産関係対策としましては、風評を生じさせないための水産物のモニタリング検査にトリチウム検査を追加するとともに、生産、加工、流通、消費それぞれの段階において各種の対策を講じていこうということでございます。
さらに、今後とも、漁業者に寄り添いながら、経産省を始め各省庁とも連携しながら、関連対策が円滑に実施されるよう、漁業を安心して継続できる環境が整備されるように万全を尽くしてまいりたいと思っております。
○参考人(小早川智明君) 東京電力ホールディングスの小早川でございます。
まず、当社福島第一原子力発電所の事故から12年が経過し、今なお福島の皆様を始め、広く社会の皆様に多大なる御負担、御心配をお掛けしておりますこと、この場をお借りし、心よりおわびを申し上げます。
冒頭御質問がありました汚染水についてですが……
○委員長(末松信介君) 小早川参考人、前の方へ。
○参考人(小早川智明君) 失礼いたしました。途中からでよろしいですか。
○委員長(末松信介君) 途中からで結構です。
○参考人(小早川智明君) ありがとうございました。
まず、御質問のありました汚染水についてですが、海洋放出を行うのは汚染水ではなくALPS処理水である点につきましては、誤解や風評を広げない観点からも、何とぞ御理解をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
漁業に携わる方々には、ALPS処理水の海洋放出に伴い国内外で新たな風評が発生するのではないかとの御懸念があると承知しております。そこで、当社といたしましては、引き続き、広く国内外へ安全性を伝える情報発信や、水産物を中心とする流通促進対策といった取組を積み重ねることで、御懸念を一つ一つ払拭し、御理解を得られるように努めてまいっております。
具体的には、放出する水の安全性を確保するための設備や運用、また海洋生物試験飼育での実験データなど丁寧にお伝えしていくことで、御懸念や御不安の解消を図ってまいります。加えて、新たな風評を起こさせないとの強い決意の下、国内外へ科学的な根拠に基づく情報発信の強化や、国が立ち上げました三陸・常磐ものネットワークへの参加、貢献など、風評対策も全力で努めてまいります。
私からは以上でございます。
○岩渕友君 漁業者の喜びを奪うんじゃないか、尊厳を傷つけるんじゃないか、このことへの答弁はありませんでした。
資料の1を御覧いただきたいんですけれども、先ほど答弁があったように、震災前の水準にはまだまだ回復していないというのが現状です。世論調査では、全国でも福島県内でも賛否が分かれているわけです。理解や説明は不十分だ、風評被害が起きると回答をした方は9割を超えています。
資料の2を御覧ください。
国も東京電力も、漁業者と関係者の理解なしにはいかなる処分もしないというふうに約束をしています。理解は得られたという認識か、経産大臣と東京電力に聞きます。
○国務大臣(西村康稔君) まさにここに書いてございますけれども、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないという方針は遵守をしていきたいと思っております。
関係者の理解について、何かある特定の指標のみで判断することは難しいというふうに考えておりますが、漁業関係者など地元を始めとした方々の理解を得られるよう、漁業者の皆さんのお気持ちに寄り添いながら私も車座集会を重ねております。
引き続き安全対策と風評対策の徹底に取り組むとともに、地元の皆様と十分にコミュニケーション取りながら丁寧な説明と意見交換重ねてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(末松信介君) そちらで結構でございます。失礼しました。
○参考人(小早川智明君) まず、当社といたしましても、2015年に福島県漁連に対し、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないと御回答させていただいております。この方針につきましては遵守しております。
一方、特に漁業に携わる方々には、ALPS処理水の海洋放出に伴い国内外で新たな風評が発生するのではないかとの御懸念が強いと承知しております。そこで、当社としましては、引き続き、広く国内外へ安全性を伝える情報発信、また水産物を中心とする流通促進対策といった取組を重ねることで、御懸念を一つ一つ払拭し、御理解が得られるように努めてまいります。
地域の復興を成し遂げるためにも、福島第一原子力発電所の廃炉を安全かつ着実に実施することが必要と考えております。ALPS処理水処分を含めた廃炉の進捗状況につきましても、御理解を、御理解を深めていただくための活動につきましては、引き続き国とも連携しつつ、中長期的にも継続して実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○岩渕友君 理解を得られたという答弁はありませんでした。
先ほど西村大臣が、指標で判断するのは難しいと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、明らかなのは、皆さんの約束を漁業者は反対していると、理解をしていないということなんじゃないでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 理解の度合いにつきまして、特定の指標や数値によって一律に判断することは非常に難しいと思っております。
漁業者の方々とは、これまでも車座対話など重ねてきております。引き続き、意思疎通を密にしながら、十分にコミュニケーションを取って、丁寧な説明、粘り強く重ねていきたいというふうに考えております。
○岩渕友君 今の答弁でも、結局は理解を得られたということにはならないわけですよね。
自らの約束をほごにするということは、これ許されません。海洋放出は撤回、少なくても凍結をするべきです。経産大臣、東京電力、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 東京電力福島第一原発の廃炉、これは福島復興の大前提であると思っております。最重要課題であります。その廃炉を着実に進めて、そして福島の復興を実現していくためには、ALPS処理水の処分は決して先送りできない、避けては通れない、そういう課題であるというふうに認識をしております。
このため、2021年の4月に、安全性の確保と風評対策の徹底を前提に海洋放出をする方針を決定をしたところでありますが、本年1月には、このALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚会議におきまして、海洋放出の時期を本年春から夏頃と見込むとしたところで、とお示ししたところであります。
引き続き、この安全性の確保とそして風評対策の徹底に取り組むとともに、地元の皆さんと十分にコミュニケーション取りながら、引き続き丁寧な説明重ねていきたいというふうに考えております。
○参考人(小早川智明君) 当社といたしましても、地域の復興を成し遂げていくためにも、福島第一原子力発電所の廃炉、処理水対策を着実に進めることが必要であり、ALPS処理水の処分につきましても決して先送りのできない課題であると考えております。
当社といたしましては、2021年4月に決定された政府の基本方針の着実な実行に向けて、実施主体として安全性の確保と風評対策を徹底してまいります。
他方、先ほどからの繰り返しになりますが、ALPS処理水の海洋放出に伴い、国内外で新たな風評が発生するのではないかという御懸念があることは十分認識しており、引き続き、広く国内外へ安全性を伝える情報発信や水産物を中心とする流通促進対策といった取組を重ね、御懸念を一つ一つ払拭し、御理解が深まるよう努めてまいります。
私からは以上でございます。
○岩渕友君 新たな風評被害、懸念していると。それだけではないわけですよ。そもそも、政府と東京電力が関係者の理解なしにはいかなる処分もしないと約束をして、漁業者たち反対しているのに、結局それ、約束をほごにするという、今の答弁はそういうことですよね。その約束をほごにすることは許されません。幾ら処理をしたというふうに言われても、溶け落ちた燃料であるデブリに一旦触れた水を人為的に流すことは認められない、こういう怒りが漁業者から上がっています。
原発は、一たび事故が起きれば取り返しが付きません。ところが、政府は、原発回帰への大転換、これを進めようとしています。
資料の3を御覧ください。
政府は、GX基本方針で、原発依存度を低減する、それから最大限活用するということで、そして、運転期間は原則40年としていたものを60年超の運転を可能に、そして、新増設は想定しないと言っていたところから次世代炉に建て替えを進めるとしています。原子力緊急事態宣言は発令されたままとなっています。事故は終わったとでも言うのか、本当に怒りの思いでいっぱいです。
原発事故の根源的な原因について、2月15日の衆議院の予算委員会で総理が答弁をしています。この該当部分について紹介をしてください。
○政府参考人(金子修一君) 御指摘の2月15日の衆議院予算委員会での枝野議員から総理への質問に対して、総理は、事故の根源的な原因として、事故後に国会に設置されたいわゆる国会事故調が公表した報告書の中では、規制当局が専門性において事業者に劣後していたこと等から事業者のとりことなり、原子力安全についての監視、監督機能が崩壊していた旨指摘をされていると承知をしておりますと答えていただいております。
○岩渕友君 規制をする側が規制をされる側に取り込まれていた、規制のとりこになっていたということです。
西村大臣もこの総理答弁と同じ認識ですか。
○国務大臣(西村康稔君) 岸田総理と認識は一致をしております。まさに、経済産業省におきまして規制とそれから利用する側と両方行っていたということが大きな原因の一つになったというふうに認識をしております。そのために、この原子力、福島第一原発の事故の教訓として、利用と規制を分けたわけであります。
安全神話に二度と陥らないということも今回の原子力基本法の改正案に盛り込んだところであります。この安全性最優先にこれからも取り組んでいくということでございます。
○岩渕友君 今答弁のとおりで、推進側と規制側、一体になっていたと。その痛切な教訓から規制委員会が設置をされました。
ところが、その独立性を脅かす事態が起きています。市民団体の指摘によって、原子力規制庁は、昨年12月27日、原発の運転期間の見直しをめぐって資源エネルギー庁と7回にわたって事前に調整を行っていたということを明らかにしました。
資料の4を御覧ください。
これは規制庁の資料ですけれども、7月28日、エネ庁から規制庁に、原発の運転期間の見直しに関して炉規制法を含む束ね法案の検討を始めたことが伝達をされています。
原子炉等規制法の所管は規制委員会ではないのでしょうか。西村大臣に確認します。
○国務大臣(西村康稔君) 経済産業省におけます利用側の観点からの検討状況につきましては、日常的な事務連絡などを通じて、原子力規制庁を含む関係省庁への情報提供を行っております。御指摘のやり取りも、そうした情報提供を行った機会の一つというふうに認識をしております。
そして、御指摘の炉規法の、原子炉規制法の改正イメージについてでありますけれども、経産省における電気事業法の改正に向けた事務的な作業、検討作業においてですね、関連する法案が、法令がそれぞれ関連しておりますので、関連する法令の技術的な改正事項についても参考として検討したものと聞いております。
いずれにしても、原子力安全規制の内容は原子力規制委員会において検討されるものでありますので、その在り方について経済産業省から具体的な意見の申入れなどを行っている事実はございません。これについては、原子力規制委員会にも聞いていただければと思いますが、規制庁もその旨を記者会見で説明しているものと承知をしております。何か問題があったとは考えておりません。
○岩渕友君 今国会に提出をされたGX電源法案では、運転期間40年ルールの所管を規制委員会から推進側の経済産業省へ移管するといいます。これ自体がおかしいんですよ。ここが問題の根本です。規制委員会の石渡委員は、運転期間を炉規法から落とすことは安全側への改変とは言えないと述べています。そのとおりです。
事前の調整を受けて、規制庁長官、次長、原子力規制技監を含めた事務方の打合せが行われています。長官、次長、技監の出身省庁はどこでしょうか。
○政府参考人(金子修一君) お尋ねの原子力規制庁の長官、次長及び原子力規制技監の出身省庁は経済産業省でございます。
○岩渕友君 資料の五を御覧ください。
昨年7月以降、長官を始めとした幹部5人全員が初めて経産省出身者で独占をされるということになりました。9月6日の規制庁とエネ庁との顔合わせにおいて、規制庁の出席者のうち、経産省の出身者は何人でしょうか。
○政府参考人(金子修一君) 御指摘の面談の出席者につきましては、関係の職員に聞き取り調査を行いまして確認しました。その範囲では、全部で6名の原子力規制庁の職員が参加し、そのうちの4名の出身が経済産業省、文部科学省と環境省がそれぞれ一名という内訳になってございます。
○岩渕友君 多くが経産省の出身者です。こうした中身を見ても、とても独立したとは言えない状況です。
GXの電源法案では、審査などで停止をした期間を運転期間から除いて、60年超の老朽原発の運転を認めるとしています。そもそも、なぜ運転期間を40年としたのか、その経過について、2012年6月5日、環境委員会での答弁を紹介してください。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
細野元国務大臣の発言、読み上げさせていただきます。
なぜ40年なのかということでありますが、まず一つは、いわゆる圧力容器の中性子の照射による脆化であります。これは、温度が下がった場合に、シビアアクシデントになると水を入れて下げるということになる可能性があるわけですが、そういった場合に、これまで、これが脆化をするのかということについてこれまで様々な蓄積がございますけれども、そのデータの中で一定の懸念というものが生じてくるのですが、この40年という辺りに一つの線があるのではないかと考えられることが一つです。
もう一つは、様々な機器について、いわゆる工事の計画の認可の申請書における、どの程度それを使うのかということについての想定をした回数というのがございます、それぞれの機器について。そういった想定をされる回数というものが、一つのラインとしておよそ40年程度を目安になされているというのがございます。
したがいまして、圧力、原子炉圧力容器の強度の問題に加えまして、発電所というのは、プラントというのはシステムでありますから、いろいろな機器がいろいろな形で当然稼働いたします。作動するそのそれぞれの機器の耐用年数というものを考慮した中で40年というところの数字が導き出されたということでございます。
○岩渕友君 中性子照射で圧力容器はもろくなること、様々な機器の耐用年数はおおむね40年ということでした。日本のほぼ全ての原発は40年で設計をされています。さらに、運転期間の延長については、当時の野田総理も極めて例外的なケースと答弁していますが、なぜ20年なのか、当時の環境大臣の答弁を確認します。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 細野元国務大臣の発言を読み上げさせていただきます。
なぜ20年なのかということにつきましては、これまで、高経年化の技術評価で、運転開始後60年を見通した経年劣化の評価を行ってきていること、これは一つの材料ではございます。米国においても、運転許可の更新を20年を超えない期間としていることも、これも参考とはいたしました。
○岩渕友君 原子力規制委員会設置法案について、自民党議員からも自公原案をほぼそのまま受け入れるというような、受け入れているという発言があって、公明党議員からも、40年運転制限については公明党も修正協議において導入を主張したというふうにあります。
原則40年というルールは、こうした議論の上に議員立法で民自公の合意で成立したものであり、安全のための規制だったのではありませんか、西村大臣。
○国務大臣(西村康稔君) 今も御説明がありましたけれども、当時の法案提出者の答弁を私も読み返してみていますけれども、御紹介しますと、経年劣化等に伴う安全上のリスクを低減する観点ということ、それから、また他の議員立法提出者は、40年という数字の設定が非常に政治的なものであって、科学的な根拠に基づかないといった答弁もあったものと承知をしております。
そして、先ほど御説明もありましたけど、設計寿命を40年と設定したことについては、十分な余裕を持たせた設計になっていることを確認する期間であって、設計、建設段階では運転期間の上限は決めていなかったと説明をされているものと承知をしております。
いずれにしても、一番大事なことは、先ほども申し上げましたけれども、この事故の教訓で利用と規制を分けたことでありますので、利用者側が幾ら、幾ら40年やりたいと言っても、30年のチェックでできないこと、これは規制委員会が駄目だと言われたらできませんし、20年延長も規制委員会の規制を通らないとできませんし、さらにそれを止まっている期間、これは例えば、今回北陸電力が志賀原発の地層について、10年をかけて地層調査を行って、データを提出して、そして断層ではないということを証明をし、これは認められたというふうに聞いておりますけれども、こうしたルールが、規制基準が変わったことによって事業者が取り組んできた期間、止まっていた期間、これは申請期間として認めていいんじゃないかということであります。
ただ、その場合でも、規制委員会が安全基準を満たしていないと、やっぱり劣化しているということでできないということであれば運転はできませんので、独立した規制委員会が厳しい安全基準で最終的には判断をされますので、利用者側が幾らやろうと思ってもできないということも併せて理解をいただければと思います。
○岩渕友君 40年ルールは、経年劣化による安全上のリスクを低減するためのものだと、推進側の経産省が勝手に触って自らの所管にしていいものではありません。いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) 繰り返しますけれども、利用者側として、これまでの40年、そして一回だけ20年という延長を認めるということを基本的に維持しながら、しかし、規制が変わったことなどによって、その間、事業者が取り組んでいる期間、真摯に取り組んでいる期間、これについては申請を認めて、延長の申請を認めていいんではないかという判断、これは有識者の会合を経てそういう判断に立っております。
ただし、幾ら延長を申請しても、厳しい基準で判断する規制委員会がありますので、利用と規制は完璧に分けられておりますので、規制が、規制庁、規制委員会が駄目だと言えばできませんので、そのことを是非御理解をいただきたいと思います。
○岩渕友君 あの原発事故を経験して、推進と規制を分けたわけですよ。それ、今日確認してきたじゃないですか。それを経産省が勝手に触ったら駄目なんですよ。どうですか、もう一度。
○国務大臣(西村康稔君) 私ども、安全基準については一言も、何にも申し上げておりません。利用者側の判断で申請はできるということであります。それを判断されるのは規制委員会でありますので、規制委員会が厳しい基準で判断をされるということであります。利用と規制は完全に分けられているわけであります。
○岩渕友君 規制委員会の石渡委員は、この改変というのは科学的、技術的な新知見に基づくものじゃないと、安全側の改変とは言えないというふうに述べて、60年超の運転容認に反対をしました。ところが、そういう声が聞かれずに、多数決の中であの採決をされるということになっていきました。
日本世論調査会の世論調査では、福島第一原発事故のような深刻な事故が起きる可能性について、あると思うという回答が84%に上っています。原発回帰への大転換は新たな安全神話にほかなりません。方針の撤回を求めて、質問を終わります。