下請代金法・下請振興法改正案が9日の参院本会議で審議入りし、日本共産党の岩渕友議員は、下請け業者の価格転嫁が進まぬ現状を示し、実効性ある価格転嫁と消費税減税を含む中小・小規模事業者への抜本的支援を求めました。
改正案は親事業者側が価格協議に応じないことなどを禁止するもの。岩渕氏は、大企業のもとにある多重下請け構造で、取引段階が深いほど価格転嫁割合が低くなっており、「買いたたき」など不公正な取引が横行していると指摘。群馬県内の自動車部品工場経営者の「工賃が25年上がっていない」「交渉には応じないと言われ、値上げの要求さえできない」などの訴えを紹介しました。
岩渕氏は、全国商工団体連合会付属の中小商工業研究所の下請け事業者緊急アンケート(3月発表)では「取引が停止されると困る」などの理由で、親企業に価格交渉を申し出るつもりはないとの回答が6割を占めたとして、事業者は「協議さえ言えない状況だ」と強調。「下請け事業者が圧倒的に弱い立場に置かれている認識があるのか。協議すれば価格の据え置きや引き下げが起きないのか」と迫りました。
古谷一之公正取引委員会委員長は「改正案はより有利な条件で取引できる可能性が期待される」と述べるにとどまりました。
岩渕氏は、立ち入り調査権など強い権限を持つ下請代金検査官の大幅増員や下請法の禁止行為への罰則導入などを要求。古谷氏は「現行制度の維持が適当だ」として拒否しました。
岩渕氏は中小企業の賃上げのため岩手県や群馬県などで実施している補助金や国による社会保険料軽減などの直接支援を要求。さらに中小企業への負担が重い消費税を5%に減税すれば、平均世帯で12万円の減税となりインボイス導入の口実もなくなるとして減税への決断を求めました。
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217-参-本会議-017号 2025年05月09日
○議長(関口昌一君) 岩渕友君。
〔岩渕友君登壇、拍手〕
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、下請代金法及び下請振興法改正案について質問します。
トランプ関税による影響と不安が広がっています。五月三日、トランプ政権は、自動車関税に加え、自動車部品に対して二五%の追加関税を課す措置を発動しました。自動車部品は自動車に次いで輸出額が大きいことに加え、裾野が広く、サプライチェーンには幅広い事業者が関わっています。
衆議院の審議で武藤経済産業大臣は、取引適正化の取組に影響を与えないようにすることが重要だとして、自動車業界各社のトップに、雇用維持や賃上げの原資の確保のため、直接の取引先の更に先まで価格転嫁が可能となるような価格決定をすることなどを直接要請したと答弁しました。取引先の更に先まで価格転嫁できるように、各社の取組がどう具体化されているのですか。要請どおりの対応が行われているのですか。また、政府自身が雇用を守る責任をどう果たすのですか。
日本商工会議所会頭が中小企業にコストダウンの圧力を掛けないか懸念していると述べているように、取引先へのコストカット圧力、リストラ、非正規切り、賃金抑制などが大規模に起きかねません。こうしたことをさせないよう、どのような対策を取るのですか。不当なトランプ関税の全面撤回を求めるべきではありませんか。以上、経産大臣に伺います。
本法案は、我が国の雇用の七割を占める中小企業が賃上げの原資を確保できるようにするため、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させるとしています。そもそも価格転嫁がなぜ進んでこなかったのでしょうか。また、本法案で大きく進む保証はあるのでしょうか。
以下、法案について三点質問します。
一つ目は、価格転嫁についてです。
大企業の下に中小・小規模事業者がピラミッド状に連なる多重下請構造により、買いたたきなど、親企業が下請企業に不公正な取引を押し付けるやり方が横行している国は世界でも日本だけです。
昨年九月の価格交渉促進月間フォローアップ調査結果では、一次下請企業の価格転嫁率は五割を超える一方、四次請け以上の企業は約三五%程度であり、全く転嫁できなかった、又は減額された企業は四割近くに上ります。取引段階が深くなるにつれて、価格転嫁割合は低くなっています。
本法案では、価格協議を求められた親事業者側が協議に応じないことや、必要な説明を行わずに代金を決定することが禁止されます。
群馬県桐生市で自動車部品の工場を営む下請事業者の方々から話を伺いました。工賃が二十五年上がっていない、交渉には応じないと言われ、値上げの要求さえできないという深刻な訴えがありました。
全国商工団体連合会附属の中小商工業研究所が三月に発表した下請事業者への緊急アンケートでは、自ら親事業者に価格交渉を申し出るつもりがないと回答した事業者は六割に上り、その理由として、取引が停止されると困る、仕事量が減ると困る、交渉しても価格は上がらないと諦めているとの回答が多くなっています。そもそも協議さえ言い出せないのが実態です。
下請事業者が圧倒的に弱い立場に置かれているという認識がありますか。協議すれば価格の据置きや引下げが起きないと言えますか。以上、経産大臣と公正取引委員長に伺います。
二つ目は、執行力がどれだけ高まるのかということです。
二〇二四年度、下請法違反に対する公正取引委員会の勧告件数は僅か二十一件です。この間、下請Gメンが増員されてきました。一方、下請法に基づく立入調査権など、強い権限を持つ専任の下請代金検査官は、経済産業省、公正取引委員会合わせて百八十一人で、直近五年間の推移を見ると、共に僅かしか増えていません。下請代金検査官をなぜ増やさないのですか。検査官も大幅に増やすべきではありませんか。あわせて、下請法の禁止行為違反に対する罰則の導入など、法的規制の強化が必要ではありませんか。以上、経産大臣、公取委員長、お答えください。
三つ目は、下請事業者の振興の実効性についてです。
下請振興法では、下請事業者の振興を目的に、親企業と下請企業が協力して振興事業計画を作成し、国の承認を得ることで、金融支援などの措置を受けることができるとなっています。本法案で、二次、三次といった取引段階の事業者が作成する振興事業計画も、主務大臣が承認、支援できるようになります。下請振興法制定以来、振興事業計画に基づく支援の実績は僅か十二件にすぎません。これで下請企業の振興に効果があったと言えるでしょうか。本改正で実効性あるものになるのでしょうか。以上、経産大臣にお聞きします。
次に、下請法の適用外となっている二つの問題について質問します。
一つは、国や地方自治体が行う公共調達である官公需です。官公需は中小企業にとって重要な受注機会となっていますが、価格転嫁率は五五・八%にとどまっており、価格交渉を申し入れたが予算がないと一蹴されたという声が出されています。官公需の価格転嫁における抜本的な対策、実効性ある措置が必要ではありませんか。
二つは、中小企業同士の取引適正化の問題です。本法案では、資本金による区分だけでなく、従業員が三百人を超える発注者も規制対象となります。しかし、その対象外の事業者が更に小規模の事業者に買いたたきなどを行っているという実態があります。こうした実態をどう規制するのでしょうか。以上、経産大臣に伺います。
中小・小規模事業者の賃上げには、価格転嫁だけでなく賃上げの直接支援が必要です。先日懇談した福島県の商工三団体からは、この四年で最低賃金は二割上がったけれど二割の利益を上げるのは大変だという声が出され、自分の身を削らなければ賃上げはできないという声も聞いてきました。また、東京商工リサーチによれば、中小企業の社会保険料を含む税金滞納倒産が昨年度、過去最高となっています。
岩手県、徳島県、群馬県、奈良県などで中小企業の賃上げへの直接支援、補助金がスタートし、取組を伺った岩手県では大きく活用されています。国こそ、中小企業の賃上げ補助金や社会保険料の軽減など、直接支援を大規模に行うべきではありませんか。経産大臣の答弁を求めます。
最後に、今、国民、中小企業の皆さんの最も強い要求となっている消費税減税について質問します。
特に、自営業者にとって消費税は身銭を切って納めなければならない重い負担となっています。また、インボイス制度も事実上の増税となり、課税業者にならないと取引から排除されるなど、廃止を求める声が大きく広がっています。
物価全体が高騰する下で、食料品の消費税をゼロ%にするだけでは減税効果も少なく、インボイスを温存することになります。一律五%の減税は平均世帯で年十二万円の減税となり、インボイス導入の口実もなくなります。今こそ一律五%への減税を決断するべきではありませんか。加藤財務大臣、武藤経産大臣に伺います。
中小企業憲章と小規模企業振興基本法を生かした政策への大転換を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇、拍手〕
○国務大臣(武藤容治君) 岩渕友議員の御質問にお答えさせていただきます。
米国の関税措置による取引先へのしわ寄せへの対策についてお尋ねがありました。
関税措置が発動される中でも取引適正化の取組に影響を与えないことが重要であります。
そのため、先月、私自身が自動車業界各社のトップと面会をし、関税措置の影響が中堅・中小メーカーに及ばぬよう、適正取引の確保を直接要請したところです。各社からは、サプライチェーン全体での適正な価格転嫁を通じ、成長、雇用、分配に積極的に取り組む旨の発言がありました。
さらに、各社はこれまで、深い取引階層のサプライヤーも対象のセミナーを全国各地で開催をし、積極的に価格転嫁を呼びかけているものと承知をしており、今後も継続するよう要請しております。
加えて、短期の支援策として、特別相談窓口の設置、また資金繰りや資金調達への支援、中堅・中小企業の事業強化のための支援を行っています。
こうした取組を着実に実施することで、国内産業や雇用を守るために必要な支援に万全を期してまいりたいと思います。
続いて、米国による関税措置についてお尋ねがありました。
米国による関税措置については、先般行われました日米協議の場において、赤澤大臣から米国側に対し、米国の関税措置は極めて遺憾であると述べつつ、一連の関税措置の見直しを強く申し入れたと承知をしています。その上で、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、率直かつ建設的な議論を行い、前進することができたと承知をしています。
今回の協議結果も踏まえつつ、引き続き、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいります。
価格転嫁が進まない理由と本法案の実効性についてお尋ねをいただきました。
価格転嫁率は昨年九月時点で、若干ながら上昇するも四九・七%であり、いまだ道半ばです。この理由としては、例えば、価格転嫁を申し出れば取引の減少、失注に至る、あるいは、賃上げ分の原資は合理化努力で賄うべきなどの認識が根強く残り、交渉や転嫁を申し出にくい実態も一因と考えられます。さらには、三十年間続いたデフレ経済下で染み付いた、より安く調達すべきとの商慣習が根底にあると考えています。
価格転嫁がどこまで進むかは事業者同士の交渉で決められるものですが、下請法の厳正な執行や価格交渉サポート等により、コスト上昇分も踏まえた適切な価格交渉を促進し、価格転嫁を後押ししてまいります。
次に、下請事業者の立場の弱さや価格協議の効果についてお尋ねいただきました。
一般論として、受注者が中小・小規模事業者である場合には、発注者よりも規模が小さく、立場も弱くなる場合もあると認識をしております。実際に、議員御指摘のように、協議を申し出ることができない等の声も把握しております。
そこで、改正法案では、受注者からの交渉を後押しすべく、協議や説明に応じない一方的な価格決定の禁止を盛り込みました。さらに、全国四十七のよろず支援拠点に価格転嫁に関する相談窓口を設置し、その活用を促すなど、協議しやすい環境を整備します。
中小企業庁の調査によれば、価格交渉できている業種ほど価格転嫁率が高い傾向があり、価格協議の促進は価格据置きの抑制にも一定の効果があると考えられます。
続いて、下請代金検査官の増員についてお尋ねいただきました。
経済産業省では、全国で百八名の下請代金検査官の定員に加え、三百三十名へ増員した下請Gメンが得た情報の活用も含め、下請法執行に適切な体制を確保してまいりました。
まずは、現在の下請代金検査官による法執行の実効性を最大限に高めることが重要であり、公正取引委員会と連携をし、人材交流による検査ノウハウの普及や定期的な連絡協議により、効果的な執行体制の整備、改善を進めております。
加えて、本法案に盛り込まれました各事業所管大臣との間の情報連携の規定も活用し、各省の情報を下請法の執行にも活用するなど、下請法の執行強化を図ってまいります。
続いて、下請法の規制の強化についてお尋ねがありました。
罰則導入を含めた下請法の制度の在り方は、公正取引委員会からお答えをするため、私からの答弁は差し控えますが、下請法の執行においては、行政指導により簡易迅速に被害回復や取引方針の改善を図っております。
経済産業省としては、下請法の厳正な執行に加え、年二回の価格交渉促進月間の実施、価格交渉、転嫁の状況の社名公表などの取組も含め、幅広い対策により取引適正化を促進してまいります。
続いて、下請振興法に基づく下請事業計画の支援の実効性についてお尋ねがありました。
下請振興法の制定以降、十二の振興事業計画を承認し、金融支援等を実施してきました。認定を受けた発注者や受注者は関連設備の相互利用などを通じて生産性の向上が認められるなど、一定の効果があったと認識しているところです。
一方で、現状ではサプライチェーンの深い層まで価格転嫁が浸透し切れていない状況であります。その点を踏まえ、今般の改正では、複数の取引段階にある事業者が共同で効率化や投資等を行う事業者に対して承認、支援できる旨を盛り込んでおります。
下請振興法の改正を踏まえて、振興基準にも直接の取引先の更に先の事業者との連携の重要性を盛り込み、振興事業計画のメリットと併せて経済界へ周知することで、計画の活用を促し、振興法の実効性を高めてまいります。
続いて、官公需の価格転嫁についてお尋ねがありました。
政府としては、国や地方公共団体が工事や役務を調達する際にとるべき措置として、官公需法に基づく基本方針を取りまとめ、閣議決定しております。今年度の基本方針には、価格交渉を促進すべく、協議の申出があった際には誠実に応じなければならない、少なくとも年に一回以上の協議を行うよう努めるなどを盛り込み、先月二十二日に閣議決定した上で国や地方公共団体へ周知したところであります。
今後は、この基本方針が適切に実行されるよう、総務省を始め各省とも連携し、説明会の開催や実施状況の調査等を行い、実効性を確保してまいります。
下請法対象外の事業者による買いたたきについてお尋ねをいただきました。
下請法上の資金、失礼しました、資本金基準や改正法の従業員基準に該当しない取引であっても、資本金や従業員数に差がある場合は下請振興法が適用される可能性があります。望ましい取引方針を示した振興基準の活用を受注者に促す等により、下請法対象外の取引についても適正化に努めます。
また、自己の取引上の地位が相手方に優越することを利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える場合には、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となり得ると承知をしております。
さらに、年二回の価格交渉促進月間に基づく発注企業ごとの交渉、転嫁の状況の公表や業界全体での取引適正化の推進等により、下請法対象外の取引も含め、サプライチェーン全体での価格転嫁を進めてまいります。
最後になりますが、中小企業の賃上げに向けた直接支援や消費税減税についてお尋ねをいただきました。
中小企業・小規模事業者の持続的かつ構造的な賃上げに向けては生産性の向上を伴うことが重要であり、必要であり、直接支援がその点に効果を発揮する施策かどうか慎重に見極める必要があると考えます。
経済産業省としては、中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を向上させ、賃上げ原資を確保することが本質的なアプローチであるという考えの下、本改正法案の厳正な執行を始めとする取引適正化や生産性向上の支援といった施策に取り組んでまいります。
また、消費税については、政府として、その引下げを図ることは適当ではないと考えているところです。
以上です。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕
○国務大臣(加藤勝信君) 岩渕議員から、消費税減税についてお尋ねがございました。
消費税については、急激な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられていることから、政府として消費税の引下げを行うことは適当ではないと考えております。
なお、物価高については、令和六年度補正予算や令和七年度予算に盛り込んだ施策に加え、今後、ガソリン価格の定額引下げや七から九月の電気・ガス料金支援を行うこととしており、こうしたあらゆる政策を総動員することで、物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いつつ、物価高対策に取り組んでまいります。(拍手)
〔政府特別補佐人古谷一之君登壇、拍手〕
○政府特別補佐人(古谷一之君) 岩渕友議員の御質問にお答えをいたします。
一点目、価格転嫁の状況や改正法案の効果についてお尋ねがありました。
これまでの価格転嫁対策の取組の結果、例えば公正取引委員会が実施した特別調査では、労務費に係る価格協議や交渉も行われるようになってきていることが確認されるなど、価格転嫁が一定程度進んでいることが確認をされています。
一方で、近年の急激なコスト上昇分を取引価格に反映できない要因として、事業者からは、発注者が受注者との交渉力の差に乗じ、価格の引上げに係る協議に応じず、又は対等な協議のために前提となる説明や情報提供を行わない、発注者から結果の回答まで必要以上に長期間待たされるといった声も上がっています。このため、今回の改正法案では、発注者が受注者に対して、協議に応じることなく一方的に価格決定することなどを禁止することとしています。
こうした改正により、取引上の立場の弱い中小の受注者が価格交渉しやすくなり、賃上げをするための原資の確保につながることを期待をいたしております。
二点目に、下請事業者の立場や価格協議の効果についてお尋ねがありました。
下請法は、独占禁止法の優越的地位の濫用規制を補完するものであり、この法律の対象となる受注者は、発注者よりも規模が小さく、取引上の立場が弱いという認識の下、受注者の利益保護を簡易迅速に図ることを目的としております。このため、改正法案では、発注者が受注者に対して、協議に応じることなく一方的に価格を押し付けることを禁止することとしております。
こうした改正により、当事者間で実効的な協議が行われるようになれば、その結果、交渉力の弱い受注者が不利な条件を一方的に押し付けられることがなく、より有利な条件で取引できる可能性が高まることが期待されるというふうに考えております。
三つ目に、検査官の増員についてお尋ねがありました。
公正取引委員会における下請法違反行為に係る検査担当者の人数は、価格転嫁対策が本格化する以前の令和二年度においては百四名であったものが、今年度においては百十九名となっております。近年増加してきております。
こうした、公正取引委員会において、これまでも調査、執行体制の強化に努めてはきておりますが、改正法案では、さらに、各業界に関して知見を有する事業所管省庁に対しても、現行の調査権限に加え、指導、助言の権限を付与することとしております。これによりまして、事業所管省庁との連携強化を進めるとともに、必要な下請法執行体制の更なる強化を図り、適切な価格転嫁、取引適正化の更なる推進に取り組んでまいります。
最後に、罰則の強化についてお尋ねがありました。
下請法では、発注書の交付義務などの手続に関する義務違反に対しては罰則が設けられておりますが、買いたたきや減額など取引の内容に関する禁止行為に対しては、受注者の利益保護を重視して、迅速に違反行為を取りやめさせ、受注者の原状回復がなされるよう、罰則ではなく、被害金額の返還などを勧告あるいは公表するなどの措置によって対処する規制となっております。
加えまして、この法律の勧告に従わない場合には、より強い執行力を有する独占禁止法で対応することとなっております。
このように、この法律は、簡易迅速な事件処理により受注者の利益保護を図るものであり、より厳正な独占禁止法との役割分担がなされていることを踏まえますと、この仕組みを維持していくことが適当であるというふうに考えております。
以上でございます。(拍手)
