2020年3月19日(木) 参議院 東日本大震災復興特別委員会
「2020年度予算 委嘱審査」
災害公営家賃減免を
日本共産党の岩渕友議員は19日の参院東日本大震災復興特別委員会で、2月に行った日本共産党の被災地調査(岩手県、宮城県)で出された要望、被災者の実態を示し、災害公営住宅の家賃低減、被災者見守り事業等を継続するよう強く求めました。
岩渕氏は、国から被災自治体への減免補助を継続するよう要求。災害公営住宅での孤立化や孤独死の深刻な状況をあげ「被災者見守り・相談支援事業など、期限を決めずに継続すべきだ」と強調しました。
田中和徳復興相は「復興・創生期間後5年以内に終了しないものは個別の事業の進捗(しんちょく)に応じて支援のあり方を検討して適切に対応する」と答えました。
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質問資料 東日本大震災からの復興の基本方針(抜粋)【PDF版】【画像版】
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
東日本大震災津波と東京電力福島第一原発事故から九年が過ぎました。住まいを失い、今なお避難生活を続けていらっしゃる方々は復興庁の調べでも約四万八千人にも上っております。
二月に岩手県庁、陸前高田市、宮城県の石巻市に伺ってお話をお聞きしてまいりました。
岩手の達増知事からは、災害公営住宅の整備などが進む一方で、住宅再建や事業者支援、被災者の心のケアや子供たちの心のサポート継続など、復興・創生期間の終了後も中長期に取り組むべき課題があり、十年で終わりと機械的な切り方をせずに、節目の時期だからこそ被災地、被災者に寄り添った姿勢が必要だと、こういった要望を受けました。
陸前高田市では、親が震災によりストレスや不安を抱える中で、震災を経験していない子供たちでも心のケアが必要な子供たちが多いという、こうした実態をお聞きしました。
石巻市では、石巻地方を代表するヤマニシという老舗の造船会社が会社更生法の適用申請を行っていて、さらには、不漁が続いているということも相まって地域の経済が非常に深刻な状況になっているんだと、こうした訴えがありました。
被災による直接の被害に加えて、時間の経過によって新たな課題や困難が生じております。生活となりわいの再建に懸命に努力をしているところに消費税増税や台風、豪雨被害、そして今回の新型コロナウイルスの影響も重なって、被災者、被災地は何重にも苦しめられている、こういう状況になっています。こうした実態や現場の要望に国が応えていかなくてはなりません。
昨年末、閣議決定をされた基本方針では、地震・津波被災地域は、復興・創生期間後五年間で復興事業の終了を目指すと、こういうふうにされております。そこで、大臣にお聞きをするんですが、期限ありきではなくて、被災者の実態に合わせて支援を継続する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中和徳君) お答えをいたしたいと思います。
政府の基本方針でもお示しをしておりますように、地震・津波被災地域については、心のケア等の被災者支援を始めとする課題が残っているものと認識しております。まずは、復興・創生期間後の五年間において、国と被災自治体が連携をさせていただき、全力で取り組んでまいりたいと思います。その上で、被災者支援だとか子供に対する支援で五年以内に終了しないものについては、個別の事情を丁寧に把握し、適切に対応することとしておるところでございます。
今後とも、被災地だとか被災者の実情を丁寧に把握しながら、被災自治体とも連携して復興に万全を期してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今あったように、個別の事情であるとか被災者の皆さんの実態をしっかり見て、期限ありきで支援が打ち切られると、こういったことがないようにしなければならないですし、そうしてはならない実態が現場ではいろいろ起きています。
被災をされた方々の新たな住まいとなっている災害公営住宅では、高齢化による孤立化や孤独死が問題になっています。三月四日付けの河北新報は、災害公営住宅での孤独死が、昨年末現在で、岩手県で四十六人、宮城県で百六十二人、福島県では四十三人に上っているということ、そして、そのうち六十五歳以上の方々が全体の七六・九%を占めているんだと、こういうふうに報道を行っております。
そこで、大臣にお聞きするんですけれども、この災害公営住宅における見守りであるとか、そしてコミュニティーの確立、この重要性について、大臣、どのように認識されているでしょうか。
○国務大臣(田中和徳君) 私も、大臣就任以来、復興公営住宅を直接訪問させていただき、入居者の方だとか支援団体の皆さんから、コミュニティー形成に向けた課題などのお話を伺ってきたところでございます。実際に部屋の中にも入らせていただき、いろいろとお話も聞いてまいりました。
災害公営住宅等に転居された方の中には、震災によって家族を亡くすなどのため独り暮らしとなった高齢者の方がおられますし、また、孤独死の防止のために日頃から孤立防止やコミュニティーづくりは非常に重要でございます。このため、自治会の形成支援だとか交流会の開催などのコミュニティー形成支援をいたしてまいりましたし、生活支援相談員による見守りの実施、生きがいづくり等の心の復興などの自治体の取組を被災者支援総合交付金によって支援してまいりました。引き続き、自治体と連携し、丁寧に状況を伺いながら対応していかなければならないと思います。
いずれにしても、亡くなられた方が大勢いらっしゃるわけでございまして、本当に痛ましいことでございますし、私どももそのことを重く受け止めて努力をしてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 岩手大学の船戸義和特任助教が昨年末に行った災害公営住宅のコミュニティーと生活に関するアンケートによると、震災前に比べて近所、地域の人と関わる機会について、減ったと答えた方が最も多くて三九・七%。災害公営住宅でコミュニティー形成の拠点となる集会所の利用について、一回もないと答えた方が四二%に上っています。
南三陸町では、災害公営住宅の集会所に高齢者生活相談室を設置して、生活相談支援員を常駐する体制を取って、見守りや生活相談、関係機関との連携やイベントの運営などのコミュニティー形成支援を行っています。生活相談支援員の方々が重要な役割を果たしています。
そこで、大臣にお伺いするんですが、この被災者の見守り・相談支援事業を始めとしてコミュニティー形成などへの支援は、復興・創生期間後も期限を定めず継続をされるということでいいですよね。
○国務大臣(田中和徳君) お答えをいたします。
見守り、コミュニティー形成支援などの被災者支援は被災自治体からも継続の強い要望をいただいておるところでございまして、昨年取りまとめた復興の基本方針において、復興・創生期間後も事業の進捗に応じた支援を継続することとしておるところでございます。さらに、基本方針では、個別の事業を丁寧に把握し、復興・創生期間後五年以内に終了しないものについては、事業の進捗に応じた支援の在り方を検討し、適切に対応することとしておるところでございます。
○岩渕友君 神戸新聞社が、兵庫県警の集計を基に阪神・淡路大震災の災害復興住宅で誰にもみとられずに亡くなった方が昨年七十五人に上ったというふうに報道しています。集計を始めた二〇〇〇年以降二番目に多い人数なんですね。発災から二十五年たっても見守りであるとか相談支援は必要だということを、これ示しているんだと思います。
災害公営住宅の高齢化が進んでいる要因の一つに家賃の問題があります。被災者にとって自立再建の妨げとなる、若い世代の退去が進めばコミュニティーの崩壊につながると懸念の声が上がっています。共同通信のアンケートでも、二〇一九年三月末に少なくとも約二千三百世帯、総額約三億一千万円の家賃滞納が発生しているということも明らかになっています。
大臣、自治体独自で家賃の据置きや収入超過に対応する上限緩和などを行っているんですけど、これ、全ての自治体がやっているわけではないんですね。十一年以降も国の事業を続けてほしいという要望あります。こうした声に応える必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中和徳君) 東日本大震災の災害公営住宅の整備に当たっては、激甚災害の場合と比べても、整備費等の補助を大幅に拡充し、自治体の特段の負担軽減を図ってまいりました。これに加えて、特別家賃低減事業によって、入居者が無理なく負担し得る水準まで地方公共団体が独自に家賃減免を実施する場合に要する費用の一部を支援をしております。
この特別家賃低減事業の対象期間十年は、過去の大規模災害における取組事例を踏まえ設定されているものでございまして、対象期間そのものを更に延長する予定はないところでございますが、今後とも、やはり地方公共団体の判断が大切でございまして、家賃の減免を継続することで入居者の負担を軽減することも十分可能と考えておるところでございます。引き続き、入居者の居住の安定が図られるように、私どもも地方公共団体とともに努めてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 これ、現場の実態踏まえれば、国が事業を継続するべきだということを強く求めたいと思うんです。
災害公営住宅の入居については、建設時期や管理開始時期が異なるということもあって、震災二年後から入居できるようになったところもある一方で、来年入居が始まるというところもあるんですね。この管理開始時期がいつからであっても同じように補助が行われるということでよろしいですね。
○政府参考人(石塚孝君) お答え申し上げます。
東日本大震災の地震・津波被災地域における災害公営住宅の家賃の低廉化、特別家賃低減事業につきましては、昨年十二月に閣議決定されました復興・創生期間後の復興の基本方針におきましても、引き続き支援をするとされております。
その際、各被災地方公共団体の災害公営住宅に係る今後の財政運営状況、過去の大規模災害における取組事例、国と地方の適切な役割分担、そして委員御指摘の管理開始時期が異なる被災地方公共団体間の公平性等を踏まえながら、適切に支援水準の見直しを行うこととされております。復興庁では、国土交通省とともに、基本方針に基づきまして、現在鋭意検討を進めているところでございます。
○岩渕友君 今の答弁、資料のとおりなんです。見直しされるということになるわけですよね。
大臣、最後にお聞きしたいんですけれども、同じ補助が受けられないということがあってはならないと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(田中和徳君) 時間が来ておるようでございます。簡単に申し上げます。
今御指摘の点は重要な課題と認識しております。今後、関係省庁と連携してしっかり検討を進めてまいりたいと思います。
○岩渕友君 以上で終わります。