テーマ:グループ補助金の返還問題
(議事録は後日更新いたします)
◎グループ補助金柔軟に/倒産し返金苦しむ/岩渕氏/参院復興特委
日本共産党の岩渕友議員は21日の参院東日本大震災復興特別委員会で、被災中小企業などの事業再建・復旧を支援するグループ補助金の返還について柔軟な対応を求めました。
同補助金は東日本大震災に関わって、これまでに計5018億円の交付が決定され、被災事業者に喜ばれてきました。しかし、補助金等適正化法に基づく運用で、倒産した事業者の約4割が返還を求められているとの報道があります。
岩渕氏は「復興のための補助金のはずなのに、倒産を余儀なくされた事業者が返還で苦しむのは、復興と相いれないのではないか」と柔軟な対応を求めました。土屋品子復興相は「実態を目の当たりにしている自治体等ができる限りぎりぎりまで支援していくのが大切だ」と答えました。
さらに岩渕氏は「同じような補助金は能登半島地震でも活用されている。全てを失ったところからの事業再建であり、他の補助金と同じ対応ではなく特例的なことがあってもいいのではないか」と主張。上月良祐経済産業副大臣の「できる限り現場に寄り添った対応をしたい」との答弁に、岩渕氏は国として実態を把握し対応することを求めました。
2024年3月21日(木) 参議院 東日本大震災復興特別委員会
「2024年度当初予算案 予算委嘱審査」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から13年がたちました。私も委員派遣で岩手、宮城に伺って、皆さんの努力が重ねられる中で復興が進んでいる一方、時間の経過とともに新しい課題が出てきているということも感じました。
今日は、その一つであるグループ補助金に関わって質問をしていきます。
グループ補助金は、事業者への直接支援を通して、被災事業者の事業再建、地域経済の再建や雇用の確保などに力を発揮してきています。
先ほどもやり取りがあったんですけれども、ちょっと改めて確認をしたいんです。このグループ補助金の活用の実績はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
グループ補助金でございます。東日本大震災を始めとした大規模な災害により被災した中小企業などがグループを形成して復興事業を実施する場合に、事業に不可欠な施設などの復旧費用の一部を補助するものでございます。
実績でございます。東日本大震災に係るグループ補助金の岩手県、宮城県、福島県の実績といたしましては、これまでに1万34件、国費で3346億円、県費と合わせまして5018億円の交付決定を行っております。
○岩渕友君 事業者の皆さんからは、本当に有り難かったということで非常に喜ばれているわけなんですよね。ところが、その大震災、津波と、その後の災害、深刻な不漁、コロナ禍、物価高なども重なって経営が立ち行かなくなって廃業や倒産をせざるを得ないという、こういう事業者の方たちも出てきているんですね。
そうした下で、グループ補助金を受けた事業者のうち、3月1日までに倒産をした事業者の4割が補助金の返還を求められたという報道がありました。さらに、別の報道では、被災3県で、施設や設備の譲渡、施設の取壊し、設備の廃棄などで、少なくとも575の事業者が合わせて27億3000万円余りの返還を命じられたというふうにも報じられているんです。
補助金で整備をした施設設備は、一定の期間、そして申請時の用途のとおりに使用しなくてはならないということで、それができない場合は返還を求められるということになっているんですよね。
この補助金の返還を求められた事業者の数と金額が、岩手、宮城、福島でそれぞれどうなっているのかということを確認します。
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
東日本大震災に係るグループ補助金の、岩手県、宮城県、福島県の事業者から財産処分に伴って、3県合計です、これまでに526件、県費と合わせて約20.3億円の返納が行われました。
各県ごとの状況でございます。岩手県につきましては、返納件数が97件、国費についての返納額は2.4億円、国費と県費を合わせました返納額は3.6億円。宮城県でございます。返納件数は243件、国費の返納額が6.7億円、国費と県費を合わせました返納額は10.1億円。福島県でございます。返納件数が186件、国費の返納額が4.4億円、国費と県費を合わせました返納額は6.6億円となってございます。
○岩渕友君 今のことを踏まえて、今日は上月経産副大臣に来ていただいているのでお伺いするんですけれども、そのグループ補助金は、大震災と津波で全財産を失った事業者の事業再建の力になったわけですよね。復興のための補助金のはずなんですけれども、倒産した事業者が返還することで苦しむというのは、これ復興というものと相入れないということになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(上月良祐君) 御質問ありがとうございます。
グループ補助金でございますが、グループ補助金も補助金でありますので、補助金等適化法、適正化法に基づいて執行いたしております。他の補助金と同様に、事業者が倒産により当該補助金で取得した財産を処分する場合も含めて、当該補助金で取得した財産を処分する場合には、原則として必要な金額を国庫納付することが求められております。
他方で、当該事業を第三者に譲渡し継続する場合などは国庫納付を求めておりません。また、国庫納付を必要とする場合にも、一定の要件の下ではありますけれども、簿価ではなくて譲渡価格に補助率を乗じた額とするなど、厳しい状況を踏まえることが可能な形で負担の軽減を図ることになっております。
被災事業者の状況は様々でございます。そのことはよく存じております。なので、引き続き、事業の実施主体で、これ間接補助の形でありますので、各県ともよく連携をしながら状況を丁寧に把握して、そして個別の状況に応じてきめ細やかな対応ができるようにしっかりやってまいりたいと考えております。
○岩渕友君 事業を再建すればいいということではなくて、事業を継続するということが大事だと思うんです。更に言うと、その継続することが大変でもあるわけですよね。そこにやっぱり支援が必要だというふうにも思うんです。
今の御答弁だといろいろな対応をしていますということだと思うんですけれども、ただ、ちょっと実態が厳しいということもあるので、ちょっと更なる柔軟な対応が必要じゃないかというふうに思うんですけれども、更に答弁をお願いいたします。
○副大臣(上月良祐君) 私も現場におりましたので、当時副知事をやっておりまして、この補助金にも関わらせていただきました。それで、その後の状況もずっとつぶさに見ております。先生のおっしゃっている意味はよく分かります。
その上で、適化法というものがあることも事実でありますので、現場の状況、一件一件のその状況はもう本当に様々でありますので、その方々ができ得る限り事業を続けていけるように、そしてでき得る限り続けていこうと思ってもできないときにどういう対応をするのかということについては、これは本当区々様々であります。県であるとか市町村であるとか、関わっていただいている主体もありますので、よく連携をしながら、できる限り寄り添った対応をできるようにしっかり努めてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今の議論をちょっと踏まえて大臣に伺うんですけれども、事業者の方々も、復興したいという思いですし、地域で役割果たしたいということで懸命に努力を重ねてこられて、ただ、自分ではどうにもならない事情というのが重なる中で事業をやめざるを得なくなるということで、返還が求められるということになるわけですよね。そうした状況で、やっぱり冷たい対応というのはあってはならないんだというふうに思うんですよ。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(土屋品子君) 今説明があったように、補助金の国庫納付額について、一定の要件の下で、残存簿価相当額ではなく譲渡額に補助率を乗じて得た額とするとか、国庫納付の負担を軽減する措置も併せて講じられているわけでございます。そしてまた、社会情勢の変化等により、補助金によって整備した施設設備を維持する意義が乏しくなった、又は事業者等の資金繰りの悪化等により財産を維持管理することが困難になったと認められる場合においては、当該施設設備を取り壊す場合等には国庫納付条件を付さないことができる特例も定めておりまして、それにのっとった運用がなされているということを承知しております。
冷たいのではないかというお話でございますけれども、本当に事業者それぞれ、どういう事業をやってどういう状況の中で厳しくなった、いろいろあると思います。そこにおいては、これは国が直接ではないので、やはり県それから自治体等とのいろんな意見交換の中で、実態を目の当たりに見ている自治体等がやはりできる限りぎりぎりまで支援をしていくということが大切だと考えております。
○岩渕友君 中には、経営をしていた旅館が津波で被災をして、グループ補助金活用をして旅館を再建させて営業再開させたと。けれども、台風被害で浸水をして休業を余儀なくされて、復興需要が減少したり、コロナ禍があったり、売上げが半分以下に落ち込む中で、仕出しなどにも力を入れて取り組んできたんだけれども、不漁であるとか物価高であるとか、利益が出なくて事業の譲渡や介護への転換も考えたんだけれども、その目的外事業に転用した場合は先ほど来議論しているように補助金の一部の返還を求められるということで、鉄筋コンクリートの建物は最長50年使わなくちゃならないというふうになっているわけですね。その補助金の返還ができずに破産をするしかなかったという事業者の方もいらっしゃるんです。
水産加工業では、これ前から問題になっていますけれども、捕れる魚種が変わって別の機械を買いたいと思っても、元の機械を処分すれば補助金の返還が必要になるということで、決められた期間が過ぎるまで放置をしているという例もあるというふうにいいます。一方で、使わなくなった建物や設備の貸出しや譲渡を望んでいる事業者もいて、有効に活用できないかという声も上がっているというんですね。
こうした実態を受けて、被災した自治体や日本商工会議所なども、補助金を活用して導入した施設設備の処分制限の緩和求めています。こうした要望は御存じだというふうに思うんですけれども、緩和求める声というのはいろんなところから上がっているということなんですよね。
グループ補助金はその後の災害でも活用をされてきています。今回の能登半島地震でもなりわい補助金が活用をされるということになるわけですね。これ、同じような問題起きることになるんじゃないかと、これまでと同じ対応でいいのかということが問われると思うんですけれども、上月副大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(上月良祐君) なりわい補助につきましては、これも基本的に補助金でありますので適化法に基づいて執行する必要がありますので、他の補助金と基本的には同様の対応ということにはなるわけです。
能登半島地震においても、被災事業者の状況は様々であると承知いたしております。なので、これは、石川県始めとして各県とも、あるいは各市町村ともよく連携して状況を丁寧に把握し、個別の状況に応じた対応をどこまできめ細かくできるかということが問われているんだと思います。
先生から今お話があった話なんですけれども、補助金をいただいたとして、その後、返還義務が生じたときに、もらった補助金をそのまま返すわけではありませんので、まあそういう場合もあるかもしれませんが、かなり対応は区々ばらばらでございます。事業承継をするような場合もあって様々でありますので、こういったところは、一件一件都道府県の御担当の方辺りが内容に応じて、しっかり内容を把握していただいて、どういうふうにするか考えていただいて、御相談をいただく中でいろんなケースで対応できるものも出てくるんじゃないかというふうに思いますので、そういうきめ細やかな対応が必要じゃないかと思っております。
○岩渕友君 先ほど来その適正化法の話出ているんですけれども、これ、そもそも復興のための補助金ということなので、全てを失ったところからの再建なわけですよね。なので、ほかの補助金と同じというわけにいかない部分もあるんだと思うんですよ。なので、特例的なことがあってもいいと思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(上月良祐君) そのおっしゃっているお気持ちはよく分かります。
その上で、やはり法律というのはやっぱり大変重たいものもあります。その中でどういう対応ができるかということについては、我々も、現場にでき得る限り寄り添うという気持ちで、それを特例というふうに呼ぶのはどうかとも思いますけれども、でき得る限り現場に寄り添った対応をできるようにしっかり対応してまいりたいと思います。
○岩渕友君 最後に、大臣に1問お聞きしたいんですけれども、経産省とも連携をしてこの問題の実態を国として把握して、やっぱり柔軟な対応を検討していただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(土屋品子君) 我々もある程度はこういう状況を把握しているつもりでございますけど、更に現状把握に努めまして、今後の課題としていきたいと思います。
○委員長(野田国義君) 時間も来ておりますので。
○岩渕友君 以上で質問を終わります。
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