(資料があります)
(反対討論があります)
岩渕友議員は11日の参院経済産業委員会で、新規化学物質の事前審査制度の規制を緩和する化学物質審査規制法改定案では、環境汚染や健康被害の未然防止という同法の目的を果たせないとして、反対しました。
同改定案は、毒性を含む可能性のある新規化学物質の製造・輸入の際の事前審査の基準を「総量規制」から、「環境排出量規制」に変えるもの。岩渕氏は、同改定案によって、審査を免除される新規化学物質の総量が増え続けると指摘。廃棄物段階まで含めた化学物質の環境排出量、複数の種類の化学物質の「複合影響」についてただしました。
環境省の梅田珠実環境保健部長は、「化学物質の複合影響で、廃棄段階まで含めた排出量については、まだ評価方法が確立しておらず、明確な知見はない」と答弁しました。
岩渕氏は、「改定案はとても科学的合理性があるとは言えない」と述べ、規制緩和が産業界や経団連からの要望が、そのまま盛り込まれたと指摘。「一度環境が汚染されれば、人にも自然にも取り返しがつかない被害を出す」と訴え、同改定案を批判しました。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、化審法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
先日の連合審査のあの議論を聞いて、改めて法制定の趣旨、目的に立ち返ることが重要だと考えています。
初めに、法制定時の趣旨説明、法の目的について確認をいたします。
○政府参考人(糟谷敏秀君) この化審法は、昭和四十八年に制定をされたわけでございます。その背景としては、PCBが食用油に混入したことによる健康被害、いわゆるカネミ油症事件などの社会問題が背景としてあったわけでございまして、こうした背景の下、広く産業活動あるいは国民生活に有用なものとして一般に生産、流通されている化学物質のうち、急性毒性はないものの、継続的に摂取された場合に人の健康に被害を生ずるおそれがある化学物質については適切な管理を行う必要があるという認識に立って制定されたものであります。
これについて、昭和四十八年の制定当時の中曽根通商産業大臣の提案理由説明の該当部分を読み上げさせていただきます。
従来の化学物質の安全性に関する考え方に再検討を加える必要のあることを痛感させるものでありました。すなわち、新しい化学物質の開発と利用は、国民生活の充実に多大な寄与を成すものである反面、このような化学物質の中には、その使用に際し、あるいは使用後の廃棄を通じて環境を汚染し、人の健康に被害を及ぼすおそれのあるものがあり、その防止体制の確立を図る必要があることが明らかになったわけであります。このような新しい人体汚染の形態は、化学工業の発展に伴い新たな化学物質が年々生産されていることを考えるとき、単にPCBの問題としてのみではなく、化学物質全般について安全性を確認する必要があること、そしてその結果問題とされた化学物質について環境に放出されないよう、その製造、輸入、使用及び消費にわたりクローズドシステムを確立する必要のあることを強く認識させるものであります。
このように述べられたところであります。
また、制定当時の化審法の目的規定でございますけれども、この法律は、難分解性等の性状を有し、かつ、人の健康を損なうおそれがある化学物質による環境の汚染を防止するため、新規の化学物質の製造又は輸入に際し事前にその化学物質がこれらの性状を有するかどうかを審査する制度を設けるとともに、これらの性状を有する化学物質の製造、輸入、使用等について必要な規制を行うことを目的とするとされておりました。
この目的規定は、平成十五年の改正の際に、「人の健康を損なうおそれ」に加えまして、「動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれ」も追加する形で改正をされたわけでありますが、目的規定のその他の文言は制定当時のものが維持をされているわけでございます。
○岩渕友君 先日の連合審査会で大臣が、国民の健康をしっかり守る、あるいは生物の生態系に影響を与えない、そのことを前提にしながら、一方で化学産業の振興をどう図っていくのか、これがまさに今回の化審法改正の一番大きな根源的な考え方だと思っているというふうに述べています。しかし、先ほど確認をしたように、化審法は明確な規制法になっています。
そこで、大臣にお聞きをいたします。
今回の法改正は、法の趣旨、目的に沿ったものになっていると言えますか。
○国務大臣(世耕弘成君) 先ほど局長から答弁したとおり、化審法は、昭和四十八年当時、PCBのように一般に生産、流通されている化学物質のうち、継続的に摂取した場合に人の健康に被害を生ずるおそれがある化学物質について適切な管理を行う必要があるという認識の下で制定された法律だと理解をしています。
こうした背景の下で、化審法の目的規定、一番法律で重要な第一条に盛り込まれた「化学物質による環境の汚染を防止するため、」というこの文言は現在も変わらず存在しておりますし、今回の改正でもここをいじるというわけではないわけであります。
今回の化審法の改正は、環境汚染を防止するという規制の趣旨を一切変えることなく、事業者の予見可能性を高めて機会の損失を減らすため、制度自身の合理化を目指すというものであります。
具体的には、事業者が新規化学物質を少量製造、輸入する場合に審査を簡素化する特例制度について、化学物質を製造、輸入する量ではなくて環境に排出される量に着目する見直しを行います。その際には、特例制度によって事業者が安全性データの提出が不要となっている場合の上限値は引き続き全国合計で一トンとすることが前提でありまして、環境汚染の防止の目的に沿ったものだというふうに思っています。
その上で、最新の知見を取り入れたより合理的な化学物質の審査制度へと転換することで、事業者の予見可能性を高めて事業機会を失うことを少なくすることでイノベーションの促進にも貢献するものとしたいと思っております。
○岩渕友君 もちろん産業の振興は必要なことなんですけれども、環境が汚染をされて人の健康や生態系に影響を与えるということになれば、法の趣旨にも目的にも反することになります。
本法案では、新規化学物質の製造、輸入に当たって審査の全部又は一部が免除される場合の上限規制について、環境排出量ベースに変更をするんだと、そして数量調整を減らすことが最大の目的になっています。この上限を総量から環境排出量に変えるという要望はどこから出されたものでしょうか。
○政府参考人(佐藤文一君) お答えいたします。
要望についてでございますけれども、今回の改正内容のうち、新規化学物質の審査特例制度の合理化につきましては、平成二十五年五月の規制改革会議創業等ワーキング・グループにおける日本化学工業協会の要望がございますし、また平成二十七年度経団連の規制改革要望、こういったものが出されてございます。
一方、毒性が強い新規化学物質の管理の強化については、これは特に業界からの要望があって行うものではございません。
○岩渕友君 産業界や経団連からの要望がそのまま取り入れられている形になっているということです。
この総量から環境排出量に変えることによって数量調整はどの程度減ると見込んでいるでしょうか。
○政府参考人(佐藤文一君) 平成二十七年度の実績で幾つか数字を御紹介いたしますが、少量新規制度についての申出件数総数は三万五千三百六十件、うち数量調整を受けた件数は四千二百七十六件、低生産量新規制度については申出件数が千六百四十八件、数量調整を受けた件数が二百四十八件でございます。
同じ化学物質を申し出た企業の重複が最も多かったのが平成二十八年度の二十四件でありましたので、二十五社以上の重複は想定されないと、こう仮定して試算いたしますと、排出係数が二十五分の一以下、すなわち〇・〇四以下であれば数量調整は生じないはずであると考えております。
排出係数の設定は今後になるというのは先ほどから御説明しているとおりでございますが、仮に現在の係数を前提とすれば全体の八割、件数で申し上げますと、少量新規では四千二百七十六件のうちの約三千三百件、低生産量新規制度では二百四十八件のうちの約二百件については数量調整がなくなる見込みでございまして、例えばで申し上げると、液晶あるいは燃料電池、半導体の素子、医薬品の材料、こういったものは比較的現在でも係数が小さくなっておりますので、こういったものについては基本的には数量調整がなくなるのではないかなと思っているところでございます。
○岩渕友君 排出係数が〇・〇四以下であれば、二十五社が同一の新規化学物質の申請をしても数量調整は生じないという答弁がありました。
けれども、この場合、最大の製造・輸入量は量換算でいうと二十五トンにもなります。化学物質は少量多品種に移行しているんだ、そんなに大量には製造、輸入することはないといっても、例えば、今も説明ありましたけれども、液晶の排出係数を今のまま〇・〇〇一二とすれば、理論上は約八百トンの製造、輸入が可能になるということです。
いずれにしても、新規化学物質の総量が増えることは間違いありません。これで環境への負荷が増大しないと言えますか。
○政府参考人(梅田珠実君) お答えいたします。
これまでの特例制度では、化学物質の製造・輸入量の全てが全国に排出されたとしても環境への被害が生じないことを根拠として全国上限を設定しておりました。今回の改正において、全国上限について製造・輸入数量を上限とする規制から環境排出量を上限とする規制に見直すということでございますが、見直し後におきましても環境への被害が生じない環境排出量を上限としているため、環境への影響は増大しないというふうに考えております。
また、今回の合理化に当たっては、安全側に立った排出係数の設定、そして用途の厳密な把握、これを実施することとしておりまして、安全の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 資料の①を御覧ください。事前審査を免除された新規化学物質というのはどんどん増え続けているわけです。この種類、そして総量はどのぐらいになるでしょうか。
○政府参考人(佐藤文一君) 少量新規化学物質及び低生産量化学物質の種類及び総量についての御質問でございますけれども、同じ物質構造で異なる化学物質の申出がされることがありますので、対象となった化学物質の種類についてはなかなか正確な量について今申し上げられないんですが、二十七年度の実績で量について申し上げますと、少量新規制度の確認量は約一万四千六百トン。ただし、実際に製造、輸入された量は約千三百トンでございます。また、低生産量新規制度の確認量は約八千七百トン。これも実際に製造、輸入された量は約千七百トン、こういう数字になってございます。
○岩渕友君 大きな量の化学物質があると。そして、種類については正確な量は分からないということだったんですけれども、この化学物質について実態が分からないということはやっぱり問題だというふうに思うんです。
これだけ膨大な種類の化学物質が審査を免除されて、製造、輸入が続けられていると。複合的な影響は評価をされているんでしょうか。
○政府参考人(梅田珠実君) お答えいたします。
化学物質の複合影響の評価方法でございますが、これは確立しておらず、国際的な動向を踏まえつつ、化審法では単体の化学物質を用いて評価を行っているところでございます。
環境省といたしましては、世界各国における検討状況について情報収集を行うとともに、環境リスク評価における化学物質の複合影響の考慮について検討しているところでありまして、これらによる成果が得られれば活用してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 今答弁にあったように、複合影響についてはきちんとした知見がない、確立をされていないということは、人の健康であるとか生態系への影響が出るリスクがあるんだということです。
この排出係数について、化審法の見直し合同会合の中では、廃棄段階まで考慮して排出係数が出されているのか疑問の余地があるという懸念が出されています。こうした懸念に対してどういうふうに対応をするんでしょうか。
○政府参考人(梅田珠実君) 御指摘のとおり、現在の化審法のリスク評価において活用しております排出係数は、化学物質のライフサイクル全体を考慮には入れておりますが、製造段階、調合段階、使用段階を考慮している一方で、廃棄段階について、これは化学物質を廃棄物として処理する段階での排出に関する知見、情報がいまだ乏しいということで数値の設定には含めておりませんが、調査検討を進めているという状況でございます。
廃棄段階における環境汚染の防止につきましては廃棄物処理法等により対応がなされているというところでございますが、今回の審査特例制度の合理化に伴い用います排出係数につきましては、既存の排出係数に安全係数を掛け合わせるなどの安全側に立った設定、運用を行うことによって、安全の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 この廃棄についても知見が乏しいという今状況だということです。これ、適正に廃棄が行われない場合や、例えば東日本大震災でPCB廃棄物が津波で流出をするなど、災害で一般環境に出てしまうといったことがこれまでもありました。こうしたことがあれば、環境排出量というのは桁違いに増えることになっていきます。
この化審法見直し合同会合では、用途の変更があった場合、排出係数が大きくなる場合、正確に把握できなければ制度の合理化の前提が崩れかねないという懸念が出されています。途中で用途が変更になっても必ず把握できるんだと言えるでしょうか。
○政府参考人(糟谷敏秀君) 制度の合理化後は、その用途の情報の正確性が非常に重要になってまいります。したがいまして、現状の申出事項に追加をいたしまして、事業者から追加情報を求めることとしております。化学物質の提供先の川下事業者と交わした売買契約書のコピーなど、用途情報を把握するために必要な書類の提出をいただくことなどを検討をしております。
こうした確認の際のチェックに加えまして、確認を行いました後でも、必要に応じて、確認を受けた製造・輸入事業者に対する報告徴収や立入検査を行うほか、川下事業者に対する任意の調査や行政指導を行うことを考えております。特に、複数の用途で確認の申出がされる化学物質については重点的にこうした事後監視を行うことを検討をしておりまして、そのために必要な立入検査につきましては、従来行ってきた立入検査に加えて追加的に実施をしたいというふうに考えております。
こうした事後監視の結果、万一、審査特例制度に基づき確認された新規化学物質が申出された用途と異なる用途に使われることにより確認された環境排出量を超える量となる場合には、国からの確認を取り消すことも考えております。確認の取消し後に、確認を受けないまま製造、輸入した場合は処罰の対象となるわけでございます。
こうした確認の際の事前の監視、それから事後の監視やチェック、そうした対応によって実際の用途をしっかりと把握をし、必要な対策、措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 検討する、求めると言うんだけれども、これ、義務じゃないわけですよね。廃棄段階まで含めた排出係数も決まっていない、複合影響についても知見がないと、これでは科学的合理性があるというふうにはとても言えません。そもそも、消費者に化学物質の情報が正確に伝わるようになっていません。先ほども出されていましたけれども、例えば同じ化学物質でも名称が複数ある化学物質もあります。
そこで、大臣にお聞きをいたします。
消費者にも事業者にもよく分かるように、名称の統一を図る必要があるのではないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 御指摘のように、化学物質名というのは化学物質のライフサイクルの各段階で変わることがあるわけであります。これは、各段階において化学物質管理を行う法規制の目的あるいは手法が異なることに起因をするんだというふうに考えています。それぞれ各段階のステークホルダー、事業者ですね、にとっては分かりやすい化学物質の名称を付していますので、法律を施行する上での混乱は生じていないというふうに考えています。
ただ一方で、一つの化学物質について複数の異なる名称が付与されるということは、これは消費者にとっては分かりにくいという指摘があることは承知をしております。そのため、NITEにおいて化学物質に関する情報提供サイトであるCHRIPを構築して、あらゆる名称での検索をまず可能とします。これに加えて、化審法のほか、労働安全衛生法、あるいは毒物・劇物取締法、化学物質管理促進法において新たな化学物質の名称を付与する際には、国際的に統一的なIUPACという手法に基づいて行うこととしております。
今後とも、こういった取組を通じて、化学物質の名称を付与するに当たっては事業者や消費者が適切な対応が取れる工夫をしてまいりたいと思っています。
○岩渕友君 ここで、身近にある危険な化学物質の問題について、大臣にお聞きをいたします。
資料の②と③を御覧ください。化審法で規制をされている化学物質の多くが使用域の海底の泥の中にいまだに蓄積をされています。その中には化審法制定と直結をするPCBも含まれています。PCBが海水内に漂うマイクロプラスチックに付着をして、それを魚や鳥がのみ込んでいるということが問題になっています。
東京農工大学の高田秀重教授に話を伺いました。資料④を御覧ください。東京湾のイワシを調べたところ、六十四匹中四十九匹から、一匹平均三個のマイクロプラスチックが見付かっています。二〇五〇年には海中の魚の量とマイクロプラスチックの量が同じになるのではないかと言われるほどだそうです。
資料⑤を御覧ください。二〇〇一年に行った皇居桜田濠での水底の泥をボーリング調査した結果、一八〇〇年代の層からはマイクロプラスチック当然見付からないんですけれども、一九五〇年代から出始めて、二〇〇〇年代には十種類を超えるマイクロプラスチックが大量に見付かっていると。
こうした調査結果を聞いて、大臣の率直な感想をお聞きしたいです。
○国務大臣(世耕弘成君) 化審法は、PCBを第一種特定化学物質として指定をして、その製造、輸入について事実上禁止をしてきているわけであります。この結果、この法律が施行された昭和四十九年以降から現在に至るまで、市場に流通するようなPCBの製造、輸入は全くないわけであります。このように、化審法自体のPCBの規制は着実な成果を上げているというふうに思います。
ただ、今御指摘のようなことが起こっているのはなぜかといいますと、これは化審法の規制対象ではないけれども、昭和四十九年の指定以前に製造、輸入されたPCBについて、それが在庫として存在したり、あるいはもう既にそのとき環境中に出てしまっているものがそのまま環境に残留をするということはあるんだろうというふうに思っています。
こうした海洋環境中に残留したPCBが、御指摘のようなマイクロプラスチックに付着をして食物連鎖を通じた生態系への影響を生じているとの懸念があることから、環境省がマイクロプラスチックに付着しているPCB等の有害物質の量を把握するための調査を実施中だと聞いております。環境省の調査の結果、実際に懸念があり、何らかの対応を経済産業省として取る必要があるというようなことがある場合には、経産省としても関係省庁と連携をして必要な対応を検討してまいりたいと思います。
○岩渕友君 ポリエチレンは残留性汚染物質を吸着しやすいプラスチックということで、基本的には水より軽いので浮いている状態なんですけれども、沈むこともあって、ヨーヨーのように浮いたり沈んだりを繰り返しています。そのために、沈んだときに海底に沈んでいるPCBが付着をして、そのマイクロプラスチックを魚がのみ込むと。
このマイクロプラスチックの大きな原因はレジ袋です。ポリエチレンというプラスチックを使って作られて、薄いフィルム状にレジ袋はなっていると。川や海などに捨てられると紫外線などが当たってどんどん劣化をして小さくなって、マイクロプラスチックになっていくと。室内実験では、プラスチックを通しての人や野生動物への影響も観測をされているということで、人や野生生物への被害、生態系への被害が発生するということが懸念をされます。
未然防止という観点、人や生態系への影響を考えれば、レジ袋の規制を検討するべきではないでしょうか。
○政府参考人(室石泰弘君) レジ袋等を含みます容器包装につきましては、我が国の家庭ごみの約六割を占めております。環境保全と資源の有効利用を図るため、容器包装リサイクル法に基づきまして容器包装を多量に利用する事業者には排出抑制の取組の報告を義務付けておりますし、特定の事業者には容器包装の再商品化の義務を課すなど、3Rの取組を事業者に求めているところでございます。特にレジ袋については、その削減を推進すべく、これまでマイバッグ持参運動を行ったり、レジ袋削減に関する全国の地方自治体等における取組を調査し、効果的な対策に努めてまいっております。
今後とも、環境省としては、レジ袋の削減等の対策を着実に推進するため、プラスチック製容器包装の廃止、抑制に関する企業の取組、レジ袋の有料化等に関する自治体等との協定締結等を更に推進してまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 資料の⑥を御覧ください。世界的には、レジ袋について有料化をする、無料配布の禁止を決める国や州などもあります。例えば、二〇一四年の八月にはアメリカのカリフォルニア州でレジ袋禁止の法案が成立をすると。同じく二〇一四年の十一月、EUが加盟国へレジ袋の削減案策定を義務付けて、二〇二五年までにレジ袋の消費を一人年四十枚まで削減するというのがEUの目標で、日本では年間三百億枚以上、一人に年換算すると三百枚のレジ袋が使われている、こういう実態だと。二〇一六年九月にはフランスでプラスチック製使い捨て容器や食器を禁止する法律が成立をされるということで、世界的には国が先頭に立ってこうした取組を行っているということなんですよね。
化審法で規制をして既に過去の汚染物質になっているはずの化学物質が、今紹介をしたように現代によみがえってくる、こういうことが起こり得る、だからこそ入口でしっかり審査をする、規制をする必要があります。
国際的な合意では、予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを二〇二〇年までに達成することを目指すことが求められています。
大臣にお聞きをしたいんですけれども、こうしたことを踏まえれば、新規化学物質の事前審査について規制を強化するべきではないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 少し整理して考えていただいた方がいいと思うんですが、このPCBについては、昭和四十九年以降、化審法の事前審査がまさにきちっとワークしているから、昭和四十九年以降は環境に出ていっていないわけであります。ですから、そういう意味で、今から事前審査を強化したからといって、今起こっているこのPCBの問題、要するに昭和四十九年以前に環境に出たものが何らかの形で生物の中に堆積しているという問題に関して、幾らこれから事前審査を強化してもこの問題は解決をしないというふうに思っています。
ただ、当然我々は、今回のこの法の精神というのは今までどおりしっかりやっていくというのは先ほどから答弁しているわけでありますから、当然、環境への影響、PCBではなくてほかの物質も含めて環境への影響、生態系への影響がないようにという法の目的に沿ってしっかりと執行していきたいというふうに思っています。
○岩渕友君 先ほど言ったように、既に過去の汚染物質になっているはずの化学物質が現代によみがえってくるようなことが起こり得るんだと、だからこそ入口でしっかり審査する、規制する必要があるんだということなんですよね。
化審法制定時の提案説明では、事前審査制度を世界に先駆けて採用することにした背景について、問題の発生後、諸般の措置を講ずるとしても後手後手になることは否めない、化学物質による環境汚染を未然に防止することができないという深い反省があったからだと明確に述べられています。
カネミ油症事件から四十五年になるにもかかわらず、被害者は今なおPCBやダイオキシン類による身体被害に苦しんでいます。PCBを無害化する処理費用は既に当初想定を上回る約四千四百億円を超えて、さらに三千八百億円の膨大な費用に加えて、処理施設の解体撤去費用も掛かってきます。国民の税金がどんどん投入をされています。
一度環境が汚染をされれば、人にも生態系にも甚大な被害をもたらして、取り返しが付きません。経済的にも大きな負担となります。未然防止という化審法の目的に反するこの本法案に反対を強く表明して、質問を終わります。
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
そもそも化審法は、カネミ油症事件を契機に制定され、国民の健康の保護と生活環境の保全のために、化学物質の製造、輸入、使用について必要な規制を行い、環境の汚染を防止することを目的としています。
国による事前審査制度は未然防止策として法律の要を成すものであるにもかかわらず、化学業界の要望で、特例として事前審査の全部又は一部免除が導入されてきました。その結果、審査を免除された新規化学物質が大幅に増え続け、未然防止のための事前審査という基本的な枠組みに大穴が空いたまま、放置できない状況になっています。
事前審査免除の際に定めている国内総量上限を環境排出換算基準合計量に見直す本法案は、排出係数の定め方次第で、実質的に量の上限なしで、事前審査を経ない新規化学物質の製造、輸入を可能にすることになります。環境負荷の増大は必至であり、人の健康や生態系に悪影響が出ることが懸念されます。これが第一の反対理由です。
化学物質管理に係る国際的合意では、予防的取組方法、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順、科学的根拠に基づくリスク管理手段、化学物質がもたらす著しい悪影響を最小化する方法での使用、生産を二〇二〇年までに達成することが求められています。ところが、本法案は、産業界から提案された総量規制の見直しをそのまま取り入れたものです。審査を免除した新規化学物質が増え続けることは、国際合意に逆行したものであり、人の健康や環境への影響よりも事業の効率化、低コスト化要求を優先しているということが第二の反対理由です。
質疑を通して、本法案は科学的合理性がないことが明らかになりました。人の健康や生態系への影響よりも産業界の要請を優先させる、福島原発事故と同じ論理です。これでは環境汚染の未然防止という法の目的を果たすことはできません。
以上を指摘し、反対討論といたします。