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(特定物質の規制によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案)
岩渕友議員は19日の参院経済産業委員会で、2013~16年の海外石炭火力発電事業への日本の公的金融機関の支援額が約1.1兆円と中国に次いで多く、続くドイツとロシアの合計額よりも多いことを示し、「気候変動の国際合意であるパリ協定の目標と整合性がない」と批判しました。
世耕弘成経産相は「相手国の要請に応じて」との言い訳に終始しましたが、岩渕氏は、インドネシア・チレボンの発電事業拡張計画、ベトナム・ギソンの建設計画に反対運動を起こした地域住民や弁護士から繰り返し建設中止の要請を受けた事実を突きつけ、「環境への重大な影響に加え、住民の生業(なりわい)を壊し、人権侵害も発生している」と告発しました。
ベトナムでの計画への丸紅の出資に対する保証を検討している日本貿易保険(政府全額出資)の板東一彦社長は「現地視察も含めて必要があれば行いたい」と述べ、実態把握の必要性は認めました。
岩渕氏は、政府のインフラシステム輸出戦略(18年改訂)で海外の石炭火力発電所への「公的金融による支援を強化」するとしていることをあげ、「世界の流れに逆行する公的支援は中止すべき」だと主張しました。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、東京電力福島第二原発の廃炉をめぐる問題について聞きます。
六月十四日、東京電力は、福島第二原発を廃炉の方向で検討を進めることを表明しました。第二原発が事故を起こすかもしれないと帰還を諦め、避難先で自宅を購入したという方もいらっしゃいます。非常に遅過ぎた決断だと言わざるを得ないんですけれども、とはいえ、福島県民の声が東京電力を追い詰めた結果です。福島県内では、このことで県民切捨てが進むのではないか、廃炉作業に集中してほしい、こういう声が上がっています。
東京電力は、被害者が生活となりわいを再建させるまで責任を果たすこと、新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働ではなくて廃炉に力を尽くすべきだと考えます。小早川社長、どうでしょうか。
○参考人(小早川智明友君) ただいまの御質問に御回答申し上げます。
福島第二原子力発電所の扱いにつきましては、これまで長い期間にわたり廃炉の御要請をいただいたにもかかわらず、当社の方向性と一致するまでに時間を要したことにつきましては大変重く受け止めております。
六月十四日に内堀県知事を訪問させていただいた際に、福島第二原子力発電所の扱いについて、今後、全号機を廃炉の方向で具体的に検討を進めていくということをお伝え申し上げました。
福島第二原子力発電所につきましては、私が社長就任時よりこの一年間何度も地元にお伺いをさせていただきました。その中で、知事を始め県議会、地元の皆様から繰り返し廃炉の御要請をいただいておりました。また、政府などからも、福島第二原子力発電所の廃炉を含め、復興全体について御心配、御指導をいただいております。
同時に、当該原子力発電所に関わる様々な御意見に加え、昨年春に避難指示の解除区域が拡大した後も帰還率が低迷していること、また風評被害の状況といった福島復興の現状を踏まえ、当社といたしましては、当該原子力発電所は福島第一原子力発電所の廃炉とトータルで地域の安心に沿うべきと考えております。
そうした中で、六月十四日に内堀知事を訪問させていただいた際に、改めて福島第二原子力発電所の廃炉につきまして強い御要請をいただきました。その御要請を受け、私といたしましては、やはりこれ以上その扱いについて曖昧な言い方を続けることは復興の足かせになると考え、全号機廃炉の方向で検討を進めるといった当社の考え方を表明させていただきました。
今後、様々な課題を整理、検討しながら、関係する方々に御説明し、御理解、御協力をいただいた上でしっかりと決定してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
○岩渕友君 私は、被害者が生活となりわいを再建させるまで責任果たせということと、柏崎刈羽の再稼働ではなくて廃炉に力を尽くすべきだというふうにも聞きました。これ、どうでしょうか。
○参考人(小早川智明友君) 福島の復興全体をしっかり取り組むことは、当社の福島の責任を全うするということで、経営の大きな命題でございます。最大の命題でございます。しっかりと取り組む決意を持って表明させていただきたいと思います。
また、原子力につきましては、これはCO2、それからエネルギーセキュリティー、それからお客様に安定な電気をお届けするという電気事業の役割としては重要と考えております。安全最優先で、しっかりと引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○岩渕友君 福島の原発事故を見れば、これほどひどい、環境を壊す、人のなりわいや人生壊す、これはないというふうに思うんですよね。
東京電力は、今も言っていましたけれども、福島への責任を果たすためだ、こういうふうに言って柏崎刈羽原発再稼働しようとしていると。だけど、そんなことを福島県民は望んではおりません。東京電力による相次ぐミスやトラブル、深刻な隠蔽体質、危機意識の欠如、これずっと明らかになってきました。東京電力に原発を動かす資格はありません。同時に、自分たちと同じ思いをする人を二度とつくってはならない、日本のどこにも原発は要らない、これが福島県民の思いです。国民過半数を超える世論にもなっている、原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を政府に強く求めるものです。
あとは法案について聞きますので、東京電力は退席して構いません。
○委員長(浜野喜史友君) 小早川参考人、御退席いただいて結構でございます。
○岩渕友君 気候変動の危機的な状況を回避するために、今世紀末までに一・五度から二度未満に抑えることを目指すパリ協定の目標達成に向けて、CO2の数万倍の温室効果を持つ代替フロンの着実な削減が求められております。日本のHFC排出量は、推計で先進国四十八か国全体の一割以上を占めており、アメリカに次いで第二位となっています。世界有数のフロン排出国になっています。その排出削減に果たすべき日本の責任は非常に重いものです。
二〇一六年度の我が国のHFCの排出量と、前年度比、そして二〇〇五年度比でどのぐらいの増加になっているか、環境省、答えてください。
○政府参考人(小野洋友君) お答え申し上げます。
お尋ねの二〇一六年のハイドロフルオロカーボン類の排出量でございますが、CO2換算で四千二百五十万トンでございまして、前年と比べまして八・三%、三百三十万トンの増加。二〇〇五年と比べまして二三三%、二千九百七十万トンの増加ということでございます。
○岩渕友君 特定フロンからの転換が進んで、代替フロンの排出量は増え続けている状況です。対策を取らない場合、二〇三〇年までのHFCの排出量は六千七百万トンCO2に上る見込みとなっています。
フロン類の市中ストックの二〇〇五年、そして二〇二〇年の推計量と、そのうちHFCの量がどのぐらいか、経産省、お答えください。
○政府参考人(多田明弘友君) お答え申し上げます。
これ、委員が配付していただいているデータかと存じます。こちらの注にも書いてございますが、私ども経済産業省におきましては、日本の冷凍空調機器におけます冷媒の市中ストック量につきまして、国内の冷凍空調機器の出荷台数、あるいは機器の使用時漏えい係数、廃棄の見込み台数、さらには冷媒の回収実績等を基に推計を行っているところでございます。
その推計に基づく市中でのストック量の値でございますが、CO2に換算いたしまして、お尋ねの二〇〇五年でございますと、まず、これ全体の合計が三億七千八百万トンになります。それから、二〇二〇年時点、これは一番右端でございますが、この時点の見込み値は全体で四億二千四百万トンとなっております。この図でも明らかですが、少し増えております。
他方で、お尋ねのその中での内訳としてのHFC、これは青色のところでございますが、二〇〇五年時点で九千四百万トンであったものが二〇二〇年時点では三億九千九百万トンと大幅な伸びになっているのは事実でございますが、これは、御案内のとおり、赤い部分CFC、それから黄色い部分HCFC、これを現行のオゾン法に基づきまして規制対象として規制し、それを青色の方に転換してきた、こういう経緯でございます。
○岩渕友君 二〇一六年度の我が国の温室効果ガスの総排出量は十三億七百万トンCO2になっています。
先ほどもう先に紹介されてしまいましたけれども、資料一を御覧ください。
これは基本的に全量回収されるべきものですけれども、非常に多くの量が市中に存在をしております。キガリ改正に基づく確実な削減義務を果たすためには、生産、消費量の削減と排出量の削減の両方が重要になってきます。排出量削減のためには、フロンの確実な回収、破壊が不可欠です。
政府は、地球温暖化対策計画で、フロン類の回収率を二〇二〇年度に五割、二〇三〇年度に七割まで引き上げることを目標に掲げていますけれども、冷媒の回収率はここ十年、約三割台と非常に低迷をしております。
環境省に答えていただくんですが、フロン類対策の今後の在り方に関する検討会報告書では、今後の方向性として、経済的手法と法制度に係る事項でどのように述べているか、該当部分だけ読み上げてください。
○政府参考人(小野洋友君) お答えいたします。
御指摘のフロン類対策の今後の在り方に関する検討会報告書でございますが、経済的手法については、引き続きフロン税も含めた経済的措置の課題を整理し、具体的な制度の在り方について検討が必要であるとされております。また、法制度でございますけれども、廃棄時における引渡し義務違反を直罰化すべきとの考え方もあるが、まずは、効率的な所在把握の仕組みの検討及び指導監督の徹底を優先し、直罰化については今後の検討課題とする必要があるのではないかとされております。
環境省としては、報告書も踏まえまして、経済的手法については、引き続きワーキンググループを開催して検討を続けております。また、法制度につきましては、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会議におきまして、廃棄時回収率低迷の要因と対策について調査分析を含めてフォローアップを行っているところでございます。
○岩渕友君 先ほど読み上げていなかったですけれども、経済的手法は有効だというふうに書かれてあります。
さきの報告書では、エネルギー起源CO2排出量が省エネの進展や再エネの導入拡大などの取組によって前年度から減少しているのに対して、HFC排出量は冷媒分野を中心に増加しており、このまま増加した場合、エネルギー起源CO2排出削減努力をHFC増加が打ち消しかねないというふうにしています。キガリ改正における日本の削減義務にとどまらない国際的責務を自覚して、生産者責任を果たさせる規制的手法に早急に取り組むことを求めておきたいと思います。
次に、生産量の削減について確認をいたします。
さきの報告書の今後の上流対策としてですけれども、我が国のHFCのマテリアルフローによれば、フロン類が市中に供給される一方で、市中にストックされているHFCのうちの一定量が環境中に放出される可能性があるため、フロン類の排出の抑制を推進するため、できる限り前倒し、深掘りを促していく取組を進める必要があるとしております。
そこで、インセンティブ枠に対する懸念があります。画期的に温室効果の低い冷媒として追加の製造量の配分を行うことで、フロン類全体の消費量、排出量が増えるのではないか。そもそも、フロンを使用した機器の寿命を考えると、この後四十年以上にわたってフロンを使い続けるということになるんですよね。
フロンの排出抑制法に基づく指針では、中長期的に廃絶を目指すということが掲げられています。新しい冷媒の開発よりも、自然冷媒を活用できるようにするべきではないか。大臣にお聞きします。
○国務大臣(世耕弘成友君) 自然冷媒は、自然界に元々存在する物質を冷媒に使用するということであって、その活用が技術的に可能であれば非常に有力な選択肢になるというふうに認識をしています。
しかし、自然冷媒は、例えばCO2というのが有力な自然冷媒なわけですけれども、これは冷凍冷蔵ショーケースといった温度域の低い分野では非常に性能を発揮する一方で、比較的温度域の高い例えばエアコン用途では冷却能力は大幅に低下するという問題があります。あるいは、アンモニアというのも自然冷媒として有力ですけれども、これは毒性を持っているため厳格な管理が可能な大型機器での使用に限定されるなど、それぞれ能力や用途が限定をされるわけであります。
このため、仮に自然冷媒だけに限定をしてそれにだけ依存するということになれば、今見渡せる技術を前提とする限り代替フロンの大幅な縮減は進まないと考えられますので、やはり機器や用途に応じてフッ素系の冷媒の活用も図ることが求められると考えています。
フッ素系冷媒よりも自然冷媒を優先すべき合理的な理由は現状においては存在しないというふうに認識をしておりまして、自然冷媒と同様に、フッ素系冷媒の活用にも力を入れるべきだと考えます。
○岩渕友君 今、可能であればという話があったんですけど、可能になるように手だてを尽くすということかなと思います。
温室効果の低い冷媒については、新しい冷媒の安全性、健康影響などの評価が確定していないという問題があります。スーパーとかコンビニなどからは、新しい冷媒が出ることによって二重三重の投資となると、こういう意見もあります。コストの面では、この間の補助事業で、例えば大型の冷凍冷蔵庫では、二〇一三年度末には約二倍を超えていた価格差が、二〇一七年度末には約一・七倍程度まで低減をしているんだと聞いております。
自然冷媒の今後のコスト低減と普及についてどのように考えているか、環境省、答えてください。
○政府参考人(小野洋友君) お答え申し上げます。
脱フロン化を図る上で、自然冷媒を含むグリーン冷媒を用いた機器への転換、これは重要であると考えてございます。
グリーン冷媒を用いた機器のうち、冷凍冷蔵倉庫やショーケースの分野につきましては自然冷媒機器の技術が開発されておるわけでございますけれども、フロン冷媒を用いた機器に比べて、先ほど委員御指摘ございましたが、導入費用が高いということが課題となっております。
こうした中、去る六月十五日に閣議決定されたいわゆる骨太の方針や未来投資戦略二〇一八におきましても、グリーン冷媒技術の開発、導入、国際展開の推進が位置付けられてございます。
環境省といたしましては、関係省庁と連携いたしまして省エネ型の自然冷媒機器に対する補助事業を進めているところでございまして、今後もこの補助事業を活用いたしまして、自然冷媒機器に一定の需要を生み出し、機器の低価格化を図ることで更なる導入の推進と加速化を図ってまいります。
○岩渕友君 導入時の価格が少し高くても、省エネ性の高い冷媒機器であれば長い目で見て電気代が抑えられる、こういうお話も事前にお聞きしていますし、今後、世界的に普及が見込まれる省エネ型自然冷媒機器の分野を日本のメーカーが牽引をして、地球規模での環境対策に寄与するとともに、世界経済を牽引することが期待されると、こういうような話もお聞きをしました。
本法案の審議を通して、グリーン冷媒の問題、先ほどから何度も出ていますけれども、これが議論になりました。
自然冷媒だけではなくて、人工的な物質の冷媒であるフッ化物冷媒なども含めて、経産省が考え出したというんですけれども、フッ素系の冷媒と自然冷媒を一緒にするべきではありません。明確に区別するべきです。グリーン冷媒の毒性について、長期的な評価は確定をしていませんし、フロンをめぐる歴史を振り返ってみれば、フロンから特定フロン、特定フロンから代替フロン、そのたびに物質の持つ深刻な問題が後になって明らかになって、次々と起こる問題の後追いをしています。化学メーカーの都合ではなくて、人にとっても環境にとっても安心な自然冷媒への転換を改めて求めます。
次に、気候変動対策の観点から、海外の石炭火力発電所への公的支援の問題について質問をいたします。
資料の二を御覧ください。
二〇一三年から二〇一六年のG20各国の海外石炭発電事業の公的金融機関の支援額です。日本は、中国に次いで二番目の支援額となっています。JBICの支援額は、G20中三番目のドイツと四番目のロシアを足した額より多くなっています。また、NEXIはロシアとほぼ同じ額です。国際的に見ても断トツに多いということが分かります。
新たな石炭火力発電の建設支援は、気候変動の国際合意であるパリ協定の目標と整合性がないということは明らかであって、化石燃料関連企業から投資を撤退するダイベストメントが世界では大きな流れになる中で、海外での新規の石炭火力発電所建設を推進する役割を果たしている日本に対して国際的な批判が集まっています。
日本は、海外の石炭関連事業への融資など、公的支援をやめるべきです。大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成友君) この問題は、まさに国際的にOECDという場で、今から三年前ですかね、議論をされて整理が付いているわけであります。当時、公的金融を石炭火力に対しては行うべきではないという国もありましたけれども、当時、OECDで議論をした上でコンセンサスを得て、引き続き公的金融を質の高い石炭火力には当てはめていくという合意がなされたわけであります。
その心は、やはり各国によってエネルギー事情はあるわけであります、特に途上国は。途上国でいきなりLNG火力を導入できればいいですが、LNG火力というのは、非常に出力も高くて、それなりに送配電網が整備されていないと全く設置しても意味もありませんし、非常に設置コストも高いわけであります。また、風力や太陽光といった再生可能エネルギーだけで国のエネルギーを全部賄うわけにもなかなかいかないわけであります。
そういったところに配慮をしながら、しかし一方でCO2はしっかり削減をしなければいけないということで、原則、世界最新鋭であります超超臨界圧以上の発電設備について導入を支援するということが、これは国際的にOECDで確認をされたわけでありますから、我が国もそれに沿った対応をさせていただいているわけであります。
ただ、このままでいいとは思っておりませんので、当然、石炭火力を脱炭素電源にするためには、特に二酸化炭素の回収・貯留技術、CCS、こういったことも非常に重要でありますから、そういった面の技術開発もしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 相手国の要請に応じてということを言っているわけなんですけれども、現地では一体どんなことが起きているか。
インドネシア西ジャワ州チレボンでは、石炭火力発電所の二号機建設計画をめぐって、地元住民やNGOによる反対運動が起きています。運動をされている住民の皆さん、現地NGOの皆さん、弁護士さんが何度も来日されて、毎回直接お会いをして実態を聞いてきました。
一号機の建設によって、地域住民の生活の糧である小規模漁業、農業、塩田などで、漁獲量の減少や塩田の黒ずみなど甚大な影響を受けて、多くの住民が事業前より厳しい生活を強いられています。さらに、拡張計画に反対をする住民グループや支援者に対する嫌がらせや監視といった人権侵害も起きています。
拡張計画の環境許認可をめぐっては、二〇一六年十二月に地元住民による行政裁判が提訴されました。しかし、二〇一七年四月に、JBICはその判決が出る一日前に融資契約に調印、その後、地裁は住民の訴えを認めて二号機の環境許認可取消し判決を行いました。そして、住民、NGOが知らない間に二つ目となる環境許認可が出されて、これに対して住民が訴訟を再び起こすことを知りながら、JBICは拡張計画への貸付を行っています。再び行政裁判が行われて地裁は訴えを棄却しましたが、現在、控訴審中となっています。
資料三を御覧ください。
これは五月十八日に出されたものなんですけれども、日本政府は、チレボン石炭火力発電所への融資を停止するべきだという要請書、これを受け取っています。環境を壊し、地域住民からなりわいを奪って人権侵害まで起きていることは、環境社会配慮のためのJBICガイドラインに違反しているとともに、控訴審中の案件に融資を決定して貸付を行うことのリスク、これは大きいと思うんですけれども、財務省、どうでしょうか。
○政府参考人(宮原隆友君) お答え申し上げます。
国際協力銀行、JBICにおきましては、同行が定めます環境社会配慮確認のためのガイドラインにのっとって融資を行うことになっております。本件におきましても、このガイドラインにのっとった適切な環境社会配慮確認がなされた上で融資が実行されているものと理解しております。
現在、環境許認可に関して訴訟が提起されていること、これは承知しておりますが、判決が出ましたならば、JBICにおいてその内容を精査、ガイドラインに基づき適切に対応がなされるものと考えております。
財務省におきましても、引き続き、所管官庁として、JBICがガイドラインに基づき適切に環境社会配慮確認を行うよう監督していく所存でございます。
○岩渕友君 世界の流れに反して日本が石炭火力への融資を行っていることへの批判がすごく高まっているわけなんですよね。現地の事業者からの報告をうのみにするんじゃなくて、融資を行ったJBICの責任として自ら現地で実態を把握し、そして第三者の意見、情報を求めるように指導するべきだ、そしてこのような状況で二回目の融資実行は許されないということを厳しく指摘しておきます。
JBICは、今年の四月十三日に、ベトナムのギソン2の石炭火力発電所への融資も決定をしました。日本は世界最新鋭である超超臨界以上の発電設備について導入を支援するといっているんですけれども、ギソン2は超臨界になっているんですね。ベトナムでは大気汚染の悪化、住民の健康被害が拡大するということが懸念をされているし、漁民始めとして、地元住民との合意ができていなくて、JBICの融資決定に批判の声が上がっています。
同時に、NEXIが五月三十一日にウエブサイト上で同プロジェクト情報等の情報公開を始めたことで、丸紅の出資に対して付保するんじゃないかという懸念の声が上がっています。
六月八日、NEXIは緊急要請書を受け取っていると思うんですけれども、現地で事業者がどんな対応をしているか、住民がどういう反対をしているのかということを現地に行って実態つかむ必要があると思うんですけれども、緊急要望書を受け取って以降、現地に行っているでしょうか。
○参考人(板東一彦友君) お答えいたします。
ギソン2案件に関しまして、先生御指摘どおり、現在、私ども、環境社会配慮面の審査を含む引受審査中の状況でございます。
本年四月下旬に環境、現地の実査を行っておりますが、六月八日以降については特に行っておりません。ただ、現在、六月八日でございますので、それ以降行っておりませんが、今まさに全体の環境配慮についての審査は行っている最中でございますので、また今後、必要に応じて再度現地実査の実施も視野に入れて検討させていただきます。
○委員長(浜野喜史友君) 時間が来ております。
○岩渕友君 はい。
事業者と住民の関係がどうなっているかということをつかむことが大事なので、現地に行って実態を把握するべきだということを指摘するとともに、ギソン2の石炭火力発電所について付保するべきではないということも指摘をし、さらに、大臣にも、こうした地元の住民のなりわいや生活環境を壊して住民の反対を受けているような石炭火力発電所への公的支援を根本的から見直すべきだ、これが世界の流れだということを指摘して、質問を終わります。
○委員長(浜野喜史友君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(浜野喜史友君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、大野君から発言を求められておりますので、これを許します。大野元裕君。
○大野元裕君 私は、ただいま可決されました特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会、日本共産党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 モントリオール議定書キガリ改正の下で定められたハイドロフルオロカーボン(HFC)(以下「代替フロン」という。)の削減計画に即した確実な削減を実施するため、「代替フロン」の製造事業者等による対応のみならず、機器の製造事業者やその最終消費者も含めた全般的な理解と協力を得るよう努めること。
二 特定物質等が破壊されたこと又は破壊されることが確実であることを証明するための制度を整備するとともに、この制度を活用できる環境の整備に努めること。
三 特定物質等の破壊量を生産量から控除する制度の実施については、我が国における特定物質等の過去の生産量及び使用量と市場に残された量(バンク)の膨大さから、今後地球温暖化係数(GWP)の低いフッ素系ガスの生産量がすべて相殺される事態になりかねず、本来の削減の目的に反するおそれがあることから、本来の目的である削減に資するよう慎重に検討し、運用すること。また、回収破壊量のダブルカウントの懸念、副生ガスなどの破壊による生産量水増しの懸念などについても考慮すること。
四 グリーン冷媒は、その評価に際しては、可燃性にとどまらず、人体及び環境への影響、分解後に拡散された場合の環境影響を客観的かつ多角的に評価するとともに、オゾン層保護及び地球温暖化防止のためにフロン類の中長期的な廃絶を目指して、更なる技術開発を支援すること。
五 特定物質等の生産量及び消費量は、可能な限り物質ごとに開示することとし、削減強化や自然冷媒転換に向けた幅広い議論を促すとともに、転換促進に向けた支援策を講ずること。
六 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律において、フロン類の使用規制強化に向けて指定製品の対象範囲の拡大や、指定製品の製造業者等の判断の基準において長期的な削減目標の設定を率先して行い、フロンの中長期的な廃絶に向けた具体的な削減ロードマップを描くこと。
七 「代替フロン」削減のインセンティブ政策の結果、「代替フロン」の生産総量が中長期的に増加することのないよう、制度の運用に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(浜野喜史友君) ただいま大野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(浜野喜史友君) 全会一致と認めます。よって、大野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。世耕経済産業大臣。
○国務大臣(世耕弘成友君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
○委員長(浜野喜史友君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜野喜史友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。