2020年5月26日(火) 参議院 経済産業委員会
「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」一括議題
法案の対象をただす
参院本会議で27日、5G(第5世代移動通信規格)促進法案およびデジタルプラットフォーム(DP)透明化・公正化法案が可決・成立しました。日本共産党は5G促進法案に反対、DP法案には26日の参院経済産業委員会で修正案を提出した上で賛成しました。
日本共産党の岩渕友議員は26日の参院経産委員会で、DP法案において米アマゾンの直販部分が対象範囲になるかと質問。経済産業省の西山圭太商務情報政策局長は、販売データを使っている場合、同法案に基づいて、「データの内容や取得・使用の条件を直販の部分も含めて取引先事業者に開示する必要がある」と述べました。
岩渕氏は、検索サービスやSNS(交流サイト)が広告収入で利益を得ていることを指摘し、対象にするべきではないかと迫りました。西山局長は対象外としつつ、デジタル広告を展開している場合、同法案のDPの「一般的な定義に入っている」と答弁。公正取引委員会などで検討されていることを取り上げ、「規律対象のあり方を検討していくことが重要だ」と認めました。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、新型コロナウイルスの問題に関わって大臣に質問をします。
先ほど来出ています持続化給付金についてなんですけれども、一日に申請をしたのにいまだに振り込まれないだとか、どこに問合せをしても自分が今どうなっているのか状況が分からない、また、二十五日の支払、月末の支払ができずに絶望感でいっぱいだというような、そうした怒りの声であるとか、悲鳴とも言える声がもう次々と上がっているんですね。それだけ事業者の方々の状況が切迫をしているということで、もう待ったなしの事態になっていると思います。これ、一刻も早い給付が必要です。
先ほど四割が修正が必要だという話もあったわけなんですけれども、これ、また修正となれば、いろんなやり取りがあって時間が掛かるんだと思うんですね。まずは給付を行って、中身についてはその後審査をすると、それぐらいのことをしなければ、業者の皆さんが商売を続けられないということはもちろんなんですけれども、どうやって生活をしていけばいいのかと、こういう先が見えない状況に追い込まれています。
こうした問題に対して、今お話をしたような対応をするべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 先ほど宮本政務官から答弁がありましたけれども、四割程度、申請に何らかの不備や確認が必要な項目が存在をしております。中には口座の番号等についても不明瞭であるものもあるということで、そういった審査をしているということでありますので、ある程度しっかりこちらが補完をしながらやっている部分もありますけれども、全力を尽くしてやってまいりたいと思っております。
○岩渕友君 事業者の皆さんの実態がもう非常に深刻になっているので、先ほどお話ししたように、まずは給付して、中身についてはその後審査すると、これについても是非検討いただきたいというふうに思うんです。一刻も早く給付をされるように思い切った対応を強く求めたいと思います。
あわせて、この間、我が党の笠井亮衆院議員や清水忠史衆院議員の質疑の中で、確定申告の申告書そのものに売上高が記載をされていなくても、代替する書類が確認をされれば給付を認めることはあり得るんだということが確認をされてきています。
けれども、現場ではなかなかそうなっていないという実態もあって、指示が現場に下りていないんじゃないのかと、こういうような声も寄せられているんです。コールセンターに連絡をした方が、国会で経産省に改善求めていると、こういうふうに話をしたら、相手から、そんな話は聞いていないんだと、そういうふうに返ってきたという話もありました。
改善をされたことが現場にしっかり徹底をされること、これ必要だというふうに思うんですけれども、そのためにも体制の強化、これ強く求めたいと思うんですね。この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 千名オーダーの審査体制ということで、今回も千名以上増やしたんですね。コールセンターはまた別にあります。その中で、中身の徹底も含めて、教育も含めて、五月一日以降やってきた方々がやっているということでありまして、最善の手は尽くしているつもりなんですけれども、どうしてもやはり申請書で不備があった場合には少し遅くなるということになっております。
前に、今例を挙げました衆議院の笠井先生から、確定申告書に書いていないものはどうするんだろうと。これはもう本当にレアケースという形になるんですけれども、ほかに証明できるものがあるかどうか聞いて、そういうもので代替できるかどうかは聞いてみましょうという答弁をしたと思っていますけれども、そういったことが全てすぐに審査を通すものには当たらないということで、少し遅れている可能性はあると思います。
○岩渕友君 この問題、非常に重要な問題なので、引き続き質問していきたいというふうに思います。
次に、デジタルプラットフォーム法案に関わって質問をします。
本法案が内外無差別に適用するとされているということで、海外のデジタルプラットフォーマーへの規制について聞きます。
資料を御覧ください。これ、先日の参考人質疑で福家参考人が示した資料をまとめたものを今日お配りをしています。
参考人質疑の中で福家参考人が、GAFAの影響力がいかに大きいかということについて、こうした資料を示しながら話をされました。急速に拡大をGAFAが続けている中で、独占化、寡占化が進んで非常に大きい市場支配力を持っているということがこの資料を見て本当によく分かりました。
さらに、GAFAの事業規模は桁違いに大きいということで、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、潤沢なキャッシュフローを活用してRアンドD、研究開発に力を入れて、サービスを改善するだとか新規サービスの開発などを行っています。この市場支配力から出品事業者であるとか消費者をいかに保護するのかということが重要だというふうに考えています。
本法案の対象範囲について、福家参考人が、法案の規律対象としているのは両面市場におけるデジタルプラットフォームだということで、アマゾンの直販部分、そして検索サービスやSNSは対象から除かれるのではないかと、こういう話をされていたんですね。
そこでお聞きしますけれども、本法案では、アマゾンの直販部分、これは除かれるということでいいでしょうか。確認をします。
○政府参考人(西山圭太君) お答え申し上げます。
このデジタルプラットフォーム取引透明化法案については、まさにデジタルプラットフォームというものがネットワーク効果を用いて非常に大きくなりやすいと、しかも利用が集中しやすいというところに着目をしております。
このなぜネットワーク効果が生じるかといいますと、それは、まさに両面市場とか多面市場というふうに言っておりますけれども、多くの品ぞろえ、様々な事業者の方、中小企業の方々の商品の品ぞろえが多ければ多いほど、消費者の方にとっては利便性が高いのでそれを使うようになり、当然、使われる消費者の方が増えれば増えるほど、そこを利用する出店者、中小企業の方が増えるという、まさにそこにネットワーク効果があるんだということに着目をしておりまして、そういう意味において、このデジタルプラットフォーム法案というのは、まさにそういう両面市場あるいは多面市場というのを対象にしております。
そういう意味では、直接的にその消費者に対して自らが在庫のリスクを抱えて提供するようないわゆる直販の形式については、基本的には業態としては、例えばリアルな場面で申しますとスーパーマーケットのような既存の小売業者と業態としては変わらないという観点から、本法案に言うデジタルプラットフォームには含まれておりません。
ただ、もちろん、形式上直販の形を取っている場合でも、例えば取引先事業者から委託を受けて、実質上、先ほど申しましたような多面市場を形成しているようなものについてはデジタルプラットフォームに当たるということになりますし、また、デジタルプラットフォームに直接当たらない直販形式を採用しているような場合であっても、例えば同じ事業者が、今委員から御質問ございましたとおり、直販と今私どもが申し上げているような多面市場を両方兼ねた市場を運営される場合もございますので、そういう場合に、両面市場で得た販売データを直販に使っているような場合については、この法案に基づいて、データの内容や取得、使用の条件をその直販の部分も含めて取引先事業者に開示する必要があるという考え方になっております。
以上でございます。
○岩渕友君 アマゾンの直販部分の比率は二〇一八年で四二・二%ということで、資料にありますけれども、大きい部分占めているわけですね。けれども、今の話でいけば規制の対象からは除かれる可能性があると。
更にお聞きをするんですけれども、検索サービスやSNSも対象にならないということなんですけれども、法案の規律対象としているのが両面市場ということになれば、例えばフェイスブックやグーグルの検索サービスなどは対象になり得るんじゃないのかと思うんですね。
資料のまた一枚目を見ていただければ分かるように、グーグルもフェイスブックも広告収入の比率が断トツに高くなっていると。デジタル広告市場も対象にするべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(西山圭太君) お答えを申し上げます。
二つに分けてお答えを申し上げますが、委員から今御質問にございましたとおり、まず、このデジタルプラットフォーム取引透明化法案については、一般的にデジタルプラットフォームについて定義をした上で、その中で特に当面規律を導入すべきものについて特定デジタルプラットフォームとして指定するという形を取っております。
その中で、一般的なデジタルプラットフォームについては、インターネットを通じて中小企業者と消費者をつなぐ場を提供し、先ほど申し上げたようなネットワーク効果が著しく働くような場合といったようなサービスということで広く捉えておりますので、定義上は今委員が御指摘のような検索、SNSというのもその定義には入ってまいります。
その上で、この広い定義のデジタルプラットフォームの中で、特に取引の透明性、公正性の向上性の必要の高いものについて特定デジタルプラットフォームとして定めて具体的な規律の対象としておりますが、具体的には、この御審議の中でるる御説明を申し上げておりますとおり、我が国の取引実態を見ますと、公正取引委員会などの取引実態の調査を通じて、特に大規模なオンラインモールやアプリストアにそうした透明性や公正性に課題があるということで、それらを当面の対象とすることとしております。
それで、二番目に、今委員が御指摘の、検索やSNSを使い、なおかつデジタル広告というのをその上で展開しているようなものをどう捉えるかというのは、先ほどのお答えで申し上げましたとおり、検索やSNSについてはまずこのデジタルプラットフォームの一般的な定義に入っているという理解の下で、それらについて取引実態がどうなっているかということについては、今、せんだって中間報告が出されましたけれども、公正取引委員会による実態調査などが行われているところでございまして、今まさにデジタル市場競争会議において競争状況の評価のための検討が行われているところでございます。
こういう観点から、今委員から御指摘のような業態も含めて、デジタルプラットフォーム市場は非常に日進月歩、展開が速うございますので、定期的な調査を行い、取引実態を把握しながら規律対象をどうすべきかと、その在り方について検討していくことが重要だというふうに考えております。
以上でございます。
○岩渕友君 この間の質疑でも取り上げられていますウーバーイーツといったギグワーカーなども含めて、対象を広げるべきだということを指摘しておきたいと思います。
本法案では、指針で、特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者その他の関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者、いわゆる国内管理人の設置を求めています。
そこで、大臣にお聞きするんですが、この国内管理人に代理権、これは求めるのでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 国内代理人の選任を義務付けることにすると、海外の事業者に対する命令等の行政処分は国外の本社に対してではなく、常にこの国内代理人に対して行うことになると理解をしております。
他方、グローバルに運営されるデジタルプラットフォームの取引慣行の是正を求めるためには、サービスの提供主体である国外の本社を命令等の直接の相手とすることが適切であると考えられ、また、同じく公正かつ自由な競争の促進を目的とする独占禁止法においても同様の仕組みが取られていることなどから、デジタルプラットフォーム取引透明化法案では、国内代理人の選任を義務付けるのではなく、国外の事業者に対して命令等の処分を直接行うための方法である公示送達の規定を置くこととしているところであります。
なお、この法案では、関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者の選任を求めることとしておりますけれども、これは、行政処分の相手方の問題とは別に、国内で主体的かつ積極的に関係者とのコミュニケーションを図る体制を明確化することを求めるものでありまして、海外のデジタルプラットフォーム事業者が日本市場における透明性、公正性の向上を継続的に図ることを促すものでもあります。
○岩渕友君 これ、指針に代理権を求めるように書くべきだというふうに思います。出品事業者であるとか消費者の保護ということから考えれば、問題が発生したときにその対応や判断を権限持って、責任持ってできる人がやっぱり必要だと思うんですね。
資料の三枚目を見ていただきたいんですが、この二ポツのところは文書をどう届けるかという話なんです。海外事業者への執行として、国内に文書を受け取る権限を持つ代理人が必要だとしているんです。代理人が設置されていない場合は、先ほど答弁少しありましたけど、領事送達を行って、さらに、領事送達を送ることができない場合には公示送達によって行政処分できるというふうにしているんですけど、書類を一定期間裁判所の掲示板などに掲載するといっても、どれほど有効なのかということだと思うんです。
課徴金が課される違反もあるわけですけど、五十万円以下、百万円以下ということで、参考人質疑でスズメの涙ではないかという話もありました。海外と比べても非常に低いのが実態だということを指摘しておきたいと思います。
最後に、この間、大臣とも議論をしてきたプラットフォーマーの自主性、自律性任せではなくて、それでは違反抑制することはできないということで、未然防止のためにも禁止行為明記することが必要だということを述べて、質問を終わります。
D・P法案 修正案 提案理由・趣旨説明
○岩渕友君 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案に対する日本共産党の修正案について、その提案理由及び趣旨を御説明申し上げます。
急成長を遂げたGAFAと呼ばれる巨大IT企業をめぐって、個人データや税逃れ、労働者の使い捨てなどが深刻な社会問題となっています。世界各国は規制や課税の強化に乗り出しています。
本法案は、デジタルプラットフォーマーの育成の側面とともに、中小事業者への優越的地位の濫用の是正を求める声に応え、取引の透明化と国への定期報告の義務付けなどの規制を導入します。現在規制のない分野に新たに規制を導入することは評価するものです。今般、より実効性のある規制を行うために、本修正案を提出することとしました。
以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、本法案の目的、基本理念において、デジタルプラットフォーマーの自主性や自律性への配慮、国の関与と規制を最小限にする等の文言を削除することで、国が適切な関与と規制を行い、広くデジタルプラットフォーマーに透明性、公正性の向上に責任を果たさせることを明確にします。
第二に、政府自身が検討段階で提示していたにもかかわらず法案から削除された四つの禁止行為類型に加え、公正取引委員会報告書で問題が指摘されている二つの行為類型を法定化します。すなわち、競合商品の拒絶、自社サービスなどの利用強制、最恵国待遇条項、アプリストアの利用制限、自社の商品を有利に表示、条件の不利益変更の六つの行為の明確化により、独禁法違反の未然防止につなげます。
第三に、禁止行為違反の場合は公取委へ措置請求しなければならないものとします。また、特定提供者が優越的地位の濫用違反に当たる場合の課徴金の算定率を引き上げます。繰り返し違反者への加算規定と相まって、抑止力を高める効果が期待されます。
第四に、検討事項として、デジタルプラットフォーマーを監視し、利用者間の紛争を調停する中立公正な機関の設置や、単発で業務を請け負う、いわゆるギグワーカーに対する不当行為を防止するための措置について速やかに検討し、所要の措置を講じます。
なお、本法案の対象にサービスが含まれることを強調するため、「商品等」を「商品役務等」に置き換えるなど、用語の整理を行っております。
以上が本修正案の趣旨であります。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます
<中略>
○委員長(礒崎哲史君) 次に、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案について採決を行います。
まず、岩渕君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(礒崎哲史君) 少数と認めます。よって、岩渕君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(礒崎哲史君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
5G法案 反対討論
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる5G促進法案について反対討論を行います。
我が党は、5Gが国民の暮らしや産業を支える公共公益インフラとして多様に発展することについては支持するものです。ところが、本法案には以下の重大な問題点があり、賛成できません。
反対理由の第一は、本法案が国家安全保障への寄与を目的に掲げ、さらに、安全保障上の懸念を口実としてサイバーセキュリティーを確保しつつ5G促進に関する指針を定めるものですが、その規定は抽象的かつ曖昧であり、政府に白紙委任するものになっているからです。
本法案の背景には、5Gをめぐる米中の覇権争いがあります。米国は、自国第一主義の立場から、国防授権法に基づき、同盟国に対してファーウェイなど中国企業の排除を求めています。日本政府はこれに呼応して、一昨年十二月、IT政府調達に関する申合せを定め、電波監理審議会においてファーウェイとZTEの設備の使用禁止を決めました。本法案はこれと一体に、中国に対する経済的覇権政策を強める米トランプ政権にくみすることになりかねないものです。
第二は、巨額の内部留保を抱える通信大手四社を始め、一握りの大企業に破格の減税を行うものだからです。
本法案は、安倍政権が国家プロジェクトとして進める5Gサービスの早期開始と普及のために設備投資額の一五%もの減税を行うなど、大企業支援のものです。この恩恵を主に受けるのは、大手通信四社と、ローカル5Gを導入するトヨタ自動車、日立製作所、富士通、NECなどであり、大企業だけのためとなる可能性がなきにしもあらずとの声もありました。これでは、大企業の内部留保を更に積み増すことになります。
今緊急にやるべきは、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため、自粛と一体の補償によって国民の命と暮らし、中小企業の営業を支える施策等、そのために財源確保にこそ注力することです。不要不急の財政支出はきっぱり中止すべきです。
以上を指摘し、討論といたします。
○委員長(礒崎哲史君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(礒崎哲史君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
D・P法案 附帯決議
○委員長(礒崎哲史君)
<中略>
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(礒崎哲史君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、浜野君から発言を求められておりますので、これを許します。浜野喜史君。
○浜野喜史君 私は、ただいま可決されました特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲・国民.新緑風会・社民、公明党、日本維新の会、日本共産党及び碧水会の各派並びに各派に属しない議員安達澄君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 特定デジタルプラットフォーム提供者の指定については、市場の変化等に対応して、デジタルプラットフォームの取引慣行等に関する調査を適時に実施し、必要な見直しの検討を速やかに行うこと。その際、デジタルプラットフォームのイノベーションが阻害されないこと、利用者の保護を十分図ること、国内外のデジタルプラットフォーム提供者に同一の規律を及ぼすことに特に留意すること。
二 特定デジタルプラットフォーム提供者が経済産業大臣に提出する報告書の評価に当たっては、利用者又はその組織する団体、学識経験者等から幅広く意見を聴くことで、利用者の保護を図るとともに、特定デジタルプラットフォーム提供者とも十分なコミュニケーションを図り、当該特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の迅速かつ実効的な確保に資するよう、適切な実施に努めること。
三 特定デジタルプラットフォームに係る苦情処理及び紛争解決については、中小企業者等の利用者にとって過度な負担とならない、簡便かつ迅速な体制・手続の整備が図られるよう努めるとともに、当事者間の苦情処理や紛争解決の適切性、妥当性が客観的に評価されるシステムの構築を検討すること。また、特定デジタルプラットフォーム提供者の行為が「独占禁止法」に違反していると認めるときは、速やかに公正取引委員会に対して、適当な措置をとることを求めること。
四 本法の実効性を高め、とりわけ中小企業者等の利用者の意見等について迅速に対応するため、諸外国における取組等を踏まえながら、外部の知見を得るために専門人材等を積極的に活用し、利用者、特定デジタルプラットフォーム提供者等の関係者間の相互理解の促進に向け、課題等を適時共有できる体制整備に努めること。また、デジタルプラットフォームに係る規律の在り方について、欧米などの諸外国の動向等を踏まえつつ国際的な連携の取組を進めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(礒崎哲史君) ただいま浜野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(礒崎哲史君) 全会一致と認めます。よって、浜野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、梶山経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山経済産業大臣。
○国務大臣(梶山弘志君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。