2020年6月4日(木) 参議院 経済産業委員会
「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」参考人質疑
個人情報の保護重要
参院経済産業委員会は4日、災害時以外の電力データ活用の解禁などを盛り込んだ電気事業法等改定案について参考人質疑を行い、日本共産党の岩渕友議員が質疑に立ちました。
岩渕氏は、個人情報である電力データの目的外利用や第三者提供などを懸念する声が上がっているとして「個人情報の保護、消費者保護が重要ではないか」と質問しました。
大橋弘東京大学公共政策大学院院長は「非常に重要な論点だ。悪用される懸念を払しょくしない限り個人情報を使うのは難しい。個人の意思が反映されるよう利用を考え続けないといけない」と指摘。ジャーナリスト・環境カウンセラーの崎田裕子氏は「(電力データ活用を)これ以上は抑えるか(基準)を明確にして発信すべきだ」、大山力横浜国立大学大学院工学研究院教授は「電力会社や政府が国民にいかに信用してもらうかが重要だ」と述べました。
岩渕氏は、同改定案に盛り込まれている地域分散型の電力システム推進について、実現にむけた課題を質問。崎田氏は「地域経済に還元する影響力が高い再エネは良いやり方だ。地域社会に定着させるには技術的に分かる人、関係者をつなげる人などが必要だ」と語りました。
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東京大学公共政策大学院院長・大橋弘参考人 意見陳述
○参考人(大橋弘君) 東京大学公共政策大学院で院長をしております大橋弘と申します。経済学を専門としております。
本法律案との関わりですけれども、総合資源エネルギー調査会に設置された基本政策分科会持続可能な電力システム構築小委員会という会議体にて委員を務めさせていただいた御縁がございます。また、電力広域的運営推進機関及び電力・ガス監視等委員会においても委員を務めさせていただいております。
本日は、このような貴重な機会をいただきましたので、今後の電力システムにおける課題やそれへの対応策について愚見を申し述べたいと思います。
東日本大震災と福島第一原子力発電所事故という国民の記憶から決して消え去ることのない惨事をきっかけにして始まった電力システム改革も、今年の四月の法的分離をもって貫徹を見ました。
従来の我が国の電力供給システムは、各供給エリアを担う大手電力事業者が、実質的に垂直一貫の責任を持ちながら国民に電力を届けるものでした。この日本型垂直一貫システムを解体し、発電と小売に新たな競争を導入しながら消費者にメリットを還元するという大事業を電力システム改革で成し遂げたと評価できると思います。この間、小売事業者の登録者数は六百社を超え、また、販売電力量に占める卸電力取引所での取引量も四〇%に迫るレベルになりました。
多くの消費者にとって小売事業者の選択肢が増えただけでなく、大手電力事業者は少しずつ供給者目線から顧客目線に切り替えて事業に取り組めるようになったというふうに思います。まさに、これは電力システム改革がもたらした大きな改革の一つではないかと思います。
自由化とは、経済性を追求するということです。市場が開放されて様々な事業者が自由に参入するようになると、大手といえども事業者は経営の効率化、合理化に努めるようになります。採算性の悪い設備は休廃止する、余剰設備は持たないようにするといったことが効率化の一例です。
そうした取組が自らの事業コストを低減し、消費者に価格の低下やサービス品質の向上としてメリットが行き届くというのが標準的な経済学の教える自由化の内容になります。
ところが、標準的な経済学が十分に考察できておらず、他方で、電力にとって重要な側面があります。それは、安定供給という概念です。安定供給とは、何か事故があっても電力が支障なく供給されるべきという考え方です。
我が国では、電力システム改革が始まる前から安定供給を何よりも重要な柱と据えてきました。発電の源を海外に依存し過ぎることのないよう、できるだけ国内で賄おうとか、国内でつくられた電気を消費者に届けるために電力系統をしっかり維持、敷設しようとかということが電力政策において重要な位置付けを占めてきました。
特に、現時点の技術では、電力を在庫として大量にため込むことが困難な中、供給が逼迫しているときも、だぶついているときも、電力の需要と供給を瞬時瞬時に一致させて停電を防ぐことが重要とされています。
一言で安定供給とは、有事のために供給体制に余裕を持っておくということになります。一見すると、経済効率性と安定供給とは対立関係にあるように見えます。経済効率のためには余分な設備を持つべきではないですが、安定供給のためには何か起こったときのために余分な設備を持っておくべきということになるわけです。
しかし、電力システム改革が始まったとき以来、経済性が強く打ち出されてきました。そこにはいろいろな理由があると思いますが、それまでの総括原価方式の下で安定供給に十分な設備量を保有していたために、強く経済性を打ち出しても安定供給にひびが入ることは当面ないという現実的な判断もあったのではないかと思います。
例えば、料金に対しては、電力・ガス取引等監視委員会において厳しい査定を行い、電力システム改革が目指す低廉な電力料金をともかくも実現しようとしました。そして、実際に、自由化の中で大規模電源等が稼働しなくなっても、価格が大きく上がることもなく、また停電することもなく今日があるのは成功であると評価できると思います。
しかし、こうしたやり方を何年も続けていくと、余分な人材や設備も削られていきます。そして、安定供給と経済効率性との間のリバランスを考えざるを得ない時点が来ます。そして、まさにその時点が到来したのが二〇一八年夏の北海道胆振東部地震であり、昨年の台風十五号、十九号による大規模停電だったのではないかと思います。
それぞれの停電には固有の原因がありますので一般化はできませんけれども、度重なる大停電の経験は、安定供給を誇りにしてきた我が国の電力システムが盤石ではなくなったのではないかと国民に印象付けるに十分な出来事だったのではないかと思います。
改正案の電事法の箇所では、電力システム改革において平時には競争する電力事業者が、自然災害において互いに連携協力すべきという精神が見られます。安定供給のためには競争を超えて協力し合うことを災害時連携計画として義務化したのは評価できると思います。
災害においては、配電を中心とした現場の人たちが時に自らの危険をさらしながら復旧作業に取り組みました。本来、市場経済が骨の髄まで浸透しているのであれば、対価に見合わない復旧作業には応じないという事業者がいても不思議ではありません。しかし、現場の方々が、お金のためだけでなく、早くお客様に電力を届けたいという一心で昼夜を問わず復旧作業に携わっていただいたと感じています。
本改正案の運用においては、こうした現場のやる気を後押しすることが重要です。間違っても彼らの思いをくじくことがあってはならないと思います。
新型コロナウイルス感染拡大の中で、電気は生活の上でますますなくてはならないものになっています。経済効率性も重要ですが、安定供給は人の生命にも関わります。平時において安定供給の重要性は忘れられがちであり、経済効率性が先に立つこともしばしばあります。電力システム改革が一応の貫徹を見る中で、事業者間の競争が従来よりも活発化する中にあっては、行政の規制の在り方も変わっていくべきと考えます。
今回、託送料金についてはレベニューキャップ制の導入がうたわれています。自由化においては事業者のやる気を引き出すことが大切であり、コスト効率化に努めればその分だけ努力に報いるということは大切な視点です。しかし、こうした良い制度も、厳しい料金単価の審査とセットとなれば実質的に骨抜きになります。レベニューキャップ制を生かすためには、料金審査とセットで考える必要があります。
料金審査は経済効率性に基づいてなされるのが現行のやり方だと思います。こうしたやり方は、電力・ガス監視等委員会が発足した当初の社会的背景においては正しいやり方だったと思います。しかし、システム改革が貫徹し、経済効率性が電力システム全体に浸透しつつある現時点においては、安定供給にも目配りしたバランスが求められると思います。安定供給は監視等委員会ではなく資源エネルギー庁にて管轄しているということを鑑みれば、今後の料金審査は少なくとも監視等委員会と資源エネルギー庁との共同作業で行われるべきと思われます。
いずれにしても、安定供給の重要性をいま一度本法案の運用上しっかり御議論いただければというふうに願っております。
再生可能エネルギーについても一言申し上げます。
さきにも申し上げたとおり、電力システム改革においては経済効率性の議論が強く表に出ており、安定供給だけでなく、環境適合性についても余り意を払われていなかったというのが現実だったと思います。二〇〇九年秋に住宅用太陽光発電の余剰買取り制度ができ、二〇一二年には固定買取り制度ができましたが、共に総括原価方式を採用しており、市場の中で価格が変化するという電力システムの自由化の議論とは切り離されていたというのが実態だったと思います。
再生可能エネルギーの普及が少なかったときにはそれでもよかったのですが、再エネの存在感が高まるにつれて、再エネの出力変動を既存電源が支えられなくなってきました。具体的には、日射や風などの天候の不確実性がある中で、事前に日が照ると予測していたのに突如曇りになって太陽光発電からの出力が見込めなくなったときに、電力需要を賄うために誰かが供給を肩代わりする必要があります。
そうした何かあったときのために肩代わりをする電源を調達するのは送配電部門になりますが、再エネの設備量が増えると肩代わりする電源も増えることから、送配電部門の負担も重くなります。この場合、送配電部門が支えられなくなると、再エネの成長に足かせになることも考えられます。また、調達価格等算定委員会という行政のさじ加減で再エネの成長率を決めるという行政主導のやり方も、再エネの着実な成長には不合理になりつつあると思います。
電力システム改革において、市場を中心として投資判断がなされるようになる中、市場で伸び伸びと再エネが自律的に成長する状況へと一歩近づけるのがFIP制度だと思います。ある意味で、これまでの再エネ政策は量を求めてきましたけれども、これからは国民が求める質を追求する時代に再エネ政策も入ったと言えるのではないかと思います。
最後に、将来の電力システムについて、思うところを一点申し上げます。
今次、新型コロナウイルス感染防止対策の中で、私たち国民は、都市における過密、職場における長時間労働など、これまでの暮らしや働き方に伴うリスクや不健全さを改めて認識したと思います。ポストコロナでは、こうした不健全な世界へはもはや戻らず、個を中心として新たな価値観を模索する時代になるのではないでしょうか。
そうした中で、これまでほかの公共インフラとは独立に民間の取組で整備が進んできた電力を、地域政策の中にしっかり組み込んでいくことが必要だと思います。今後、地域を核とした経済活動を進めていく必要がある中で、例えば電力データを活用してビジネスを行ったり、あるいはそうしたデータを町づくりに生かしたりということも検討していくべきと思います。
改正法案では、配電網の独立運用や社会課題解決のためのデータ利用が定められており、正しい方向性と感じております。この改正法案を機に、電力政策が公共インフラ政策としっかり連携をして、地域経済の活性化に資するようになればと強く願っております。
以上でございます。この度は貴重な機会、ありがとうございました。
ジャーナリスト・環境カウンセラー・崎田裕子参考人 意見陳述
○参考人(崎田裕子君) ありがとうございます。崎田裕子です。よろしくお願いいたします。今日は、こういう機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
私は、このお出しをしましたレジュメを基に意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、今回関連するエネルギーの法案に関しては、全体的なエネルギー基本計画の審議、そして再生可能エネルギーに関する審議、水素・燃料電池に関する審議、そして電力レジリエンスに関する審議、この辺に関係をさせていただいてまいりました。
私は、これまで市民や地域の目線から、環境やエネルギーを大切にした持続可能な地域づくりを目指して歩んでまいりました。特に、私はジャーナリストとして仕事をしておりますが、単に伝える、発信するというだけではなく、環境カウンセラーとして実践を地域の方々とともに広げるということを重視してまいりました。
具体的に申しますと、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットという長い名前なんですけれども、五月末まで理事長を務めておりましたが、今世代交代をいたしましたが、ここでは、市民が事業者や行政と連携をして地域づくりを進める全国の多様な動きを支援するような活動を長年続けてまいりました。
私、もう一つは、自らの事務所があるのが東京の新宿という町なんですが、ここで環境NGOを運営し、公設の環境学習情報センターの指定管理者を務めております。温暖化対策や3R、自然共生など、こういう啓発するような事業を学校と連携をし、あるいは区民、事業者と連携して広く参加型で展開するというような事業を運営しております。私は、運営の責任、運営というか、指定管理の責任者として職員を派遣しております。
このような取組を進める者として、今回の法案に関して意見を申し上げたいというふうに思っております。
私は、気候変動対策を重視する視点と持続可能な地域づくりを目指す視点、そして安定供給の備えの視点、この三つの視点からお話をしたいというふうに思っております。
まず、気候変動対策を重視する視点から申し上げますと、再生可能エネルギーの主力電源化と大規模自然災害対策というこの両者は車の両輪だというふうに感じております。
昨年九月、台風十五号は本当に観測史上最大の風台風というふうに言われまして、関東地方で大規模な停電を起こしました。その直後の台風十九号は今度は記録的な大雨ということで、中部地方、関東から東北にかけて大規模な川の氾濫を起こし、各地で停電が発生いたしました。このように、地球温暖化による気候変動の影響と考えられる大規模な災害が年々増えてきているというふうに感じておられる方は多いと思っております。
このような現実の中で、日本の目標として、二〇三〇年にCO2の排出量を二〇一三年度比マイナス二六%というのが今の目標なんですが、これで満足することなく、二〇五〇年度にはマイナス八〇%、そして、長期成長戦略で示しておられるように、二〇五〇年以降の早期に、日本もパリ協定が求めるCO2排出ゼロを目指すということは大変重要だと思っております。
そのためにも、脱炭素社会を目指して再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、今回の再エネ特措法の改正、そして災害などの増加を見越した、大規模自然災害の増加を踏まえた強靱な電気供給体制の確立を目指す今回の電気事業法の改正、これは日本の今後を牽引する大切な車の両輪、大きな契機になるというふうに考えております。
まず、再生可能エネルギーに関して申し上げますと、これまで価格を一定にして支える固定価格買取り制度というので応援してまいりました。もちろん、賦課金あります。暮らしの中では電力に費用がプラスされますけれども、再生可能エネルギーの促進のためということで社会は応援をしてきたというような流れがありますが、これをもう少し電力市場と連動して、電気の需要の多いときの発電にインセンティブを与えるという、この新しいプレミアム上乗せ制度、こういうものも今回入っております。こういうものに関して、再エネの急増に対応する送電網の費用をどういうふうに支えていくのかという制度も今回入っております。
それだけでなく、太陽光パネルの廃棄時を見据えた費用もきちんと考えてくださいというふうになっていたはずですけれども、なかなか進んでいなかったということで費用の外部積立てを明確にするなど、急激に増やしてきた再生可能エネルギーを社会の中にしっかり定着させるということを大事にした様々な視点が入っており、こういう動きを総合的な視点で迅速に進めようとしておる今回の見直しの方向性には賛同したいというふうに考えております。
次に、災害時の連携強化と情報発信に関してなんですけれども、先ほど申したように、非常に台風などあったわけですが、昨年の台風十五号の停電復旧後に招集された電力レジリエンスワーキンググループに委員として参加いたしました。お隣の大山先生が委員長を務めておられましたが、その中で、私も、送配電事業者はそれぞれが災害対応の備えをして、大規模停電の際は人員とか作業車を交換して派遣し合って協力しようという流れはできていたというふうに思います。
ただし、実際には、仕様が違う工具とか設備、これをそういう派遣、集まった様々な会社の職員の皆さんがきちんと生かし切れたか、工具、設備、人材、全てを生かし切れたのかという、こういう現実の課題も見えてきたというふうに感じております。
今後、地震も含めて大規模災害の多発を念頭に、送配電事業者の皆さんが連携して災害時連携計画を策定するということ、今回のこの義務化は大変意義があることと考えております。
今後、被害状況や復旧の予定など、社会への適切な情報発信、これに関してはなかなかまだうまくいっていなかった事例もありますので、こういう情報発信をどういうふうに社会にちゃんと伝えていくかという、こういうところから、きちんと事業者が迅速に計画を作り、取り組んでいただければ有り難いというふうに思っております。
また、仮復旧に係る費用を事前に積み立てる相互扶助制度や、災害復旧に必要な電気の使用状況の情報収集を可能にすること、そして電源車の燃料を迅速に調達する仕組みなど、実際の災害復旧での苦い経験を踏まえた審議の下に出てきた内容だというふうに考えております。是非、今後の災害復旧時に迅速に生かしてほしいというふうに考えております。
次に、持続可能な地域づくりの視点から申し上げたいと思います。
今回の法案には、分散型電力システムの定着に向けた内容も多く含まれております。地域づくりの視点からもこの改正案を評価したいというふうに考えております。
環境、経済、社会課題を統合的に解決する持続可能な社会づくり、地域社会づくりというのが大変期待されているわけですが、特にその解決には地域資源を活用することが重要というふうに考えております。その際、どこの地域にも、例えばエネルギー資源となる太陽光、風力、水力、木質バイオマス、家畜ふん尿、廃棄物エネルギー、地熱発電、温泉など、個性豊かな資源があると思います。このような地域資源から生成した再生可能エネルギーを活用して地域経済の活性化を実現する、そして、そのエネルギーを活用して、例えば地域で少子高齢化など社会課題を解決するためのコミュニティー交通の電源に活用するなど、再生可能エネルギーの地産地消の動きも多くの地域で始まっていると感じております。
今回、ふだんは系統と接続し、災害時は独立運営を行うマイクログリッドの実証事業、そういうものも北海道から沖縄まで多様な再生可能エネルギーの生産地域で始まっているというふうに感じております。そのほか、分散型電源を束ねて提供するアグリゲーター、こういう存在もきちんと位置付けるなど、災害時に力を発揮するということを評価しておりますけれども、この分散型電源の発展に非常に重要な視点が入っており、今回の分散型電源の導入促進を目指した様々な視点も重要なことだというふうに考えております。
三番目といたしまして、安定供給の備えの視点から、この法案に関して意見を申し上げたいと思います。
災害などを経験し、停電を経験すると、ふだん当たり前のように電気を使っていることの便利さが身にしみます。日本はエネルギー資源の自給率が先進国の中でも非常に少ない国であるということも、日常生活の中で思い出すことはほとんどありません。
けれど、日本にとって重要なエネルギー資源の供給先での有事の際はどうするのか。そういうことに関しては、国が前面に立ってまず考え、行動できるように、制度の上で担保しておくというのは当然のことと考えております。ですから、今回、災害時の発電用の燃料調達とともに、エネルギー資源の確保に向けたJOGMEC法の改正というのも入っておりますが、重要な判断だと受け止めております。
最後に一言。東京二〇二〇大会の持続可能性に関して一言申し上げたいというふうに思っております。
私は、この東京二〇二〇大会組織委員会の外部専門家として、大会の持続可能な運営計画作りに参画してまいりました。SDGsの実現ということを明確に発信しながら準備を続けてまいりましたが、新型コロナウイルス対応で一年延期になりました。この期間を活用して、より質の高い成果を目指してほしいというふうに願っております。
持続可能性の面からいって、例えば都市鉱山メダルプロジェクトのように、全国から使用済みの携帯電話などの小型家電を集めて金、銀、銅メダルを再生金属一〇〇%で作り上げる資源管理の取組もあります。
そのほか、新しい施設には再生可能エネルギー一〇〇%で運用する設備を導入をするということを明確に定めているなどありますけれども、福島の太陽光で発電された再生可能エネルギーを水素としてためて、作るときも使うときもCO2を出さないCO2フリー水素として選手の送迎用の燃料電池自動車あるいはバスなどに活用する。それだけではなくて、選手村地区を水素社会のモデル地区として開発するなど、将来のエネルギー活用のショーケースとなるよう多様な取組を進めております。
こういうような流れの中で、今、一人一人、私たち市民もエネルギーをもっと身近に感じていくということが重要だと思いますが、この電力システム改革という大きな動きの中で、そういう一人一人の役割も感じながら、そして持続可能性、持続可能な未来に向かって社会全体が大きくかじを切っていくという、こういう時代を共に歩んでいくことが大切だというふうに思っております。今回の法案がそのようなきっかけになるのではないかというふうに願っております。
どうもありがとうございました。
横浜国立大学大学院工学研究院教授・大山力参考人 意見陳述
○参考人(大山力君) ありがとうございます。横浜国立大学の大山と申します。よろしくお願いいたします。
私の専門分野は、電気工学、特に電力システム工学といったものになっております。私、電力広域的運営推進機関、いわゆる広域機関の電力レジリエンス等に関する小委員会の委員長、それから、先ほど崎田委員からも御紹介ありましたけれども、国の電力レジリエンスワーキンググループの座長を務めておりましたので、その関係でこちらに呼ばれたものと考えております。そういった経緯がありますので、私としては安定供給に焦点を当ててお話ししたいというふうに考えております。
最近起きた大きな停電、いろいろ起きておりますけれども、大きく二つに分類できると思っております。一つはブラックアウト、もう一つは主として配電系の、配電系というのは電圧の低い方の系統ですけれども、主として配電系の設備損傷による停電というふうに分類できると思います。
まず、ブラックアウトですけれども、ブラックアウトというのは大きな地域が停電することということですけれども、じゃ、どこまで大きければいいんだとか、そういうところについてはちょっと定義的にはっきりしないところがあるかと思いますけれども、北海道は一応ブラックアウトになるだろうということには皆さん異議がないと思いますし、北米のブラックアウトなんかもあったかと思います。
この停電、ブラックアウトというのは、突き詰めていけば需要と供給、供給というのは発電のことですけれども、そのバランスが取れなくなることによって起きる停電である、バランスが取れなくなったときに、ほかの手当てがうまくいかなかったときに起きる停電というふうに思っていただければいいかと思います。
北海道のブラックアウト、記憶に新しいかと思いますけれども、設備損傷もありましたが、非常に多くの設備が損傷を受けたというわけではなくて、損傷の後に需給バランスが取れなくなることによって一気に全県が停電したという事象でございます。
ブラックアウトについてよく分析されているケースとしては、二〇〇三年八月十四日の北米大停電などがございます。北米大停電は、電力自由化の後だったものですから、その影響というのがよくいろいろ話題になっておりますけれども、自由化によってメンテナンスにお金を掛けなくなって、樹木の管理が適切に行われなくなった、伸び放題になってしまった。そのために、電線が温度上昇して少し垂れたときに樹木に接触してしまってというのが直接の原因というふうに言われています。ただ、復旧したときには、隣接した健全系統から電力を供給されるということによって発電所を復旧させていきました。
北海道の場合は、樹木接触ではなくて、地震によって発電所が損害を受けたことが原因でございますけれども、本州とは直流送電という特殊な設備で連系されていたために、復旧しようとしたときには全くほかから助けが得られないで、ブラックスタートということをした珍しいケースでございます。
ブラックスタートというのは、ほかからの電力の供給を受けずに、自分だけで発電所が起動できることをいいます。自動車なんかはセルモーターを持っているかと思いますけれども、普通の発電所はセルモーターを持っていませんで、ほかから電気を受けることによって初めて自分を動かすことができると。限られた発電所のみがそのブラックスタート機能を持っているという状況です。
ある程度以上の大きさの系統がブラックスタートしたというのは、広域機関の調べではハワイのオアフ島、ジャマイカに次いで三例目だということで、非常に珍しいことが起きてしまったということかと思います。
なお、電力系統の運用者は、北海道は以前からブラックアウトだけは起こしてはいけないという教育を受けてきていて、系統運用者は皆さん非常にショックを受けたという状況だったかと思います。
もう一つの、主として配電系の設備損傷による停電ですけれども、次のような特徴を持っているかと思います。
まず初めに申し上げなきゃいけないことは、配電線の亘長、線路の長さですけれども、それは送電に比べて桁違いに長いということになります。したがって、全ての配電線を強靱に造ることは現実的ではありません。ということで、設備損傷をゼロに持っていくというのは難しいというか、できませんということになります。経済合理的な範囲でどうやって設備損傷を減らすかというのはもちろん考えなきゃいけませんけれども、いかに早く復旧するかということを考えることが重要になってきます。
なお、昨年の台風十五号、配電設備だけではなくて送電鉄塔も倒壊しましたけれども、こちらについては設備の強度を上げる必要があるというふうに思いますし、その検討は別途行われているものと承知しております。
ということで、ブラックアウトという起こしてはならないと教育されてきたことが起きてしまったこと、それから、気象激甚化によって設備損傷による停電が今後増加すると、既に増えてきていると思いますけれども、今後更に増加することが予想されるということから、今回の電気事業法の改正は必要だと思っております。
まず、設備損傷に起因する停電に対する対策ですが、先ほども申し上げましたけれども、配電設備を合理的な範囲で強化することはもちろん必要ですけれども、設備損傷はゼロにはできないので、いかに早く復旧するかが重要でございます。
今回の法律の改正案というのは、台風被害時の教訓があって、電力会社間、電力会社と自治体や自衛隊の間の連携強化が提案されているものと思っております。
今回盛り込まれていることですけれども、一般送配電事業者が災害時にこれまでよりスムーズに連携すること。先ほど崎田委員から仕様の異なる工具だとかそういう話がありましたけれども、そういったことも含めて、そういう連携をうまく取っていく必要があるんだと。
それから、仮復旧ということを導入して復旧を早くする相互扶助制度、応援要請や仮復旧がしやすくなるためにそういう制度が必要であると。
それから、平時も含むデータの活用、そして発電用燃料の調達といったことが盛り込まれておりますけれども、これらは全て、先ほど申し上げましたとおり、最近の台風災害時の教訓からきているものというふうに思っております。
次に、ブラックアウトに対する対策ですけれども、ブラックアウトからの復旧、まず原因ですけれども、先ほども申し上げましたとおり、需要と供給のアンバランスというのが最終的な原因になると。ただし、どこのエリアでアンバランスになるかと考えていきますと、エリアが広い方がアンバランスが起きにくくなりますので、ネットワークの脆弱性、どこかで容量がいっぱいになってしまうというようなボトルネックの存在も問題となってまいります。
ネットワークがより強靱になれば、周囲の系統から電力の融通を受けることができ、需給のバランスが取りやすくなり、また復旧もしやすくなってきます。そこで、必要な設備投資を着実に実施することができる制度が重要になってまいります。どこに発電所が造られるか分からない状況でも対応できるマスタープランに基づいた広域系統整備、それから設備投資がしやすくなる制度といったことが今回の改正案に盛り込まれております。
なお、小分けされた地域ごとに需要と供給がほぼバランスしていれば、非常時に系統を分離することによって一部の系統が生き残り、ブラックアウトは避けることができるということが電力システム工学の分野では昔から言われております。ただ、それをやるためには、常に系統分離あるいはアイランディング、島となって生き残るという意味ですけれども、アイランディングができるように発電電力を調整していくことが必要になります。地域ごとにほぼ需要と供給がバランスしていれば切り離せるということでございます。
そのためには、発電が足りない地域にある発電所は、もし燃料費が高くてもたくさん発電する必要があって、これは経済運用とはちょっと異なってきまして、燃料費の増加を招いてきてしまいます。この費用をどのように負担するかということも重要になるかと思いますけれども、今回の法律案、改正案では余り明示的には含まれていないかと思いますけれども、今後検討する必要があろうかと思います。大橋委員の方から送配電に対するインセンティブのお話がありましたけれども、これもそのうちの一つになるかと思います。
もう一つの対策としては、初めから系統分離、アイランディングができるように、まとまりの良い分散型電力システムを構築しておくことです。
今回の改正案では、配電事業者の創設、それから遠隔地における配電網の独立化といったことも取り上げてあります。遠隔地の配電網の独立化は平常時のコスト面からもメリットが期待できると思いますが、配電事業者の創設、これは直接的なコストメリットはないかもしれません。でも、非常時に備える手段を多様化するのは評価できるというふうに考えております。
以上で私が申し上げたいことはほぼ終わりですけれども、配電線地中化あるいは無電柱化について一言だけ補足しておきたいと思います。
配電線を地中化しますと、大ざっぱに言うと、費用は倍から、経産省の資料によれば十倍ぐらいというデータもありますけれども、故障は起きにくくなります。ただ、一旦故障すると復旧時間が長くなります。それから、台風、風には強いと思いますけれども、水害には弱いです。
というわけで、実は台風十五号のときは、一部の地域が停電しているけど長く停電したというのが非常に問題だったわけで、そういうことから考えると、コストを掛けて本当にその停電確率は減るけど一旦起きたら長くなることを求めるのがいいかというと、それが効く場所もあると思いますけれども、全体的な話とすれば、レジリエンスだけでは配電線の地中化ということを正当化するのはちょっと難しいかなと思っております。
ただ、配電線の地中化には美観を良くするという効果がありますので、そちらを狙っていくというのはもちろん必要だと思っておりますので、今回の改正案に含まれている無電柱化の推進を含め、計画的な更新を求める制度というのはもちろん意義があるものだとは思っております。
ちょっとレジリエンスだけからは難しいところはあるかということを一言だけ補足いたしました。
以上でございます。どうもありがとうございました。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三人の参考人の皆様、本日は本当にありがとうございます。
まず、三人の参考人にお聞きをしたいと思います。
今回の参考人質疑に当たって、事前に配付された資料があるんです。その資料を読んでおりましたら、崎田参考人の資料の中に、北海道で開催をされた環境シンポジウムの概要が掲載をされていたんです。
それで、このシンポジウムなんですけれども、テーマが「自立・分散型エネルギーシステムの形成と地域社会の活性化」ということで、シンポジウムの中で、バイオガスプラントを導入した鹿追町の町長さんが導入の効果について報告をするなど、その北海道のいろんな取組が報告をされていました。
それで、私は、北海道の胆振東部地震の直後にまさにこの鹿追町に伺って、バイオガス発電の取組についてお聞きをしてきたんです。
それで、この鹿追町というところは、畑作農家が百戸あると。酪農家が百戸あるんですけれども、乳牛、育成牛、肉牛合わせると三万頭もの牛が町内の中にいるということで、その家畜のふん尿を発酵させて発生したバイオガスを活用して発電も行うし、売電も行うし、そして余剰熱を使ってチョウザメの飼育を行ったりですとか、マンゴーの試験栽培まで行われていたんですよね。それで、廃棄物の処理も行って、エネルギーが生産されて、二酸化炭素を削減するから温暖化対策にもなるし、できた肥料は畑に活用するということで、お話を聞いたときに一石何鳥にもなる発電方法だということで、私も実際現場を見て、ああ、そのとおりだなというふうに思ったんです。
それで、東京電力の福島第一原発事故があり、北海道胆振東部地震でのブラックアウトがあって、さらには、先ほど来話があるように、台風などで長期停電があるということで、大規模な集中電源から再エネ中心の分散型の電源への転換というのが今非常に重要になっているというふうに思うんです。
その中でも、とりわけ今お話をしたような地産地消で小規模分散型電源の重要性について参考人がどのようにお考えになるかというのをお聞かせいただきたいというのが一つ。
加えて、関連して、おとといの本法案の質疑の中で、同じく十勝管内の上士幌町というところの取組について私、質問をしたんです。この上士幌町では、経済産業省のマスタープラン作成事業で既に行っているバイオガス発電を活用して、停電をしたときに町内の電力を自前で供給するマイクログリッドを構築しようというふうに計画をしていたんですけれども、非常時のためだけに町単独で膨大な投資を行うのは困難だというような判断があるというようなことを地元の議員さんからお聞きをしたんですね。
そういうこともあって、地産地消の再生可能エネルギーだとか小規模分散型電源の実現に向けた課題について参考人がどのようにお考えになるか、この二点についてお聞かせください。
○委員長(礒崎哲史君) まず、そうしましたら、大橋参考人からお願いいたします。
○参考人(大橋弘君) 御質問ありがとうございます。
最初に、ふん尿等を使ったバイオマスのお話をしていただいて、これ、うまく回ると非常に、先ほど多面的なメリットがあるとおっしゃったとおりで、非常にうまく回るとふん尿の処理もできるし、電気も出るし、あと熱も使える。これを地域の異なるプレーヤーをつないでいく人が重要で、ちょうどその地域のサイズに合ったものを入れるということなので、多分、将来の成長の見通しも立てながらそうしたものがうまくつくれる人材がいるところは、おっしゃった鹿追町だけじゃなくて、例えば熊本にもそういうふうな地域あると伺って行ったことありますけれど、あるんだと思います。
ただ、全ての地域でこれが満遍なくできるのかというと、これは多分、人と、あとそれだけのリソース、異なるリソースをうまく組み合わせて、その地域に合ったものを提案できる物と人がいないといけないので、ここの辺りというのをどうやって政策で後押しするのかなと。全てにやると、これは無駄な施設入れて野ざらしになっちゃったというケースも多分過去にあるんじゃないかと思いますので、そうしたことのないような形で、ただ、その地域にそうしたリソースがあって人もいれば、きちっと後押しするようなことというのは地域活性化に非常につながるというふうに思います。
ありがとうございます。
○委員長(礒崎哲史君) 続きまして、崎田参考人。
○参考人(崎田裕子君) ありがとうございます。
今の大橋委員、かなり大事なキーワードをしっかりとお話しいただいたなと思って伺っています。
私も、地域づくりを応援しているときに、地域のいろんな環境あるいはエネルギーの様々な資源を活用してというときに、エネルギー資源というのは大変重要な、地域経済に還元する影響力が高いので、大変再エネをつくっていくというのはいいやり方だというふうに感じています。
ただし、それが地域社会の中でしっかりと定着していくためには、それの技術的にそこをちゃんと読める、分かる、技術的に計画できる人と、人を、その関係者をつないで、この地域にとってどういうふうな将来が描けるのかをきちんとストーリーを描き、話を持っていけるという、そういうようなハードとソフトと両面の人が非常に必要なんだなとこの頃考えています。
今お話しの鹿追町は非常に事例としては有名なところですけれども、あそこは最近バイオガスで活用するという、そのバイオガスをまたやっぱり水素に変換をしたものを水素として入れるような実験も町でやっていただいていたりとか、やはりそういうチャレンジもやっていますので、そういう意味でいろいろな実証事業の場としてやはり先進的に取り組んでいただいているところの役割というのは大きいし、そこにいろいろな研究費や何かを投入するということも大事なのではないかなというふうに思っています。
ただし、先ほど最初に申し上げたような、地域に本当に定着させるときの課題というのがありますので、その辺が描けない場合にはやはりここまで投資ができるのかというような議論になってしまう、そういうことはあると思います。
ですから、つくったエネルギーをどう地域に活用するか、地域の人にとってどう喜びをもたらすのかとか、そういうことをちゃんとふだんから話し合っていけるような場をつくっていくという、その辺が、地域でのメリットをちゃんと考える。そしてその上で、もちろん災害のときにそこが役に立つんだという、そういう両面をちゃんと話していけるような、そういう流れをつくっていくことが大事なんではないかなというふうに思っています。
○委員長(礒崎哲史君) 大山参考人、お願いします。
○参考人(大山力君) 私は電力ネットワークが専門ですので、その立場から申し上げますと、電気というのはやっぱり広域にネットワークを使うメリットが非常に大きいものだというふうに思っています。例えば、熱を供給するとか、そういうのはもっと狭いエリアで回すというのが当然ですし、そういうことを考えると、ちょっとエリアの切り方が違ってくるんだろうなというふうに思っています。
地産地消というのも重要な考えだと思いますけれども、熱や何かで考えているようなエリアを考えた地産地消にこだわると、非常に高いものに付くんじゃないかなという気がします。
ですから、電気も含めて考える場合には、どういうところを考えて電気の地産地消をするのか、それから熱の地産地消をするのか。水素なら水素に関してもあるかもしれませんけれども、そういったところの考え方がまだちょっとはっきりしていないんじゃないかなという気がしまして、そこを含めて、電気については常時はここまでほかに頼りますよ、だけど、非常時についてはこういうふうにするので常時と同じ時期は使えないかもしれないけど頑張りますとか、いろいろあると思います。
ちょっとエリアの切り方ということで、余り狭いところでこだわらない方がいいかなというのが私の感覚でございます。
以上です。
○岩渕友君 貴重な御意見ありがとうございました。
次も三人の参考人にそれぞれお聞きをしたいんですけれども、今回の法案で、災害時などにおける電力データの提供義務化と併せて、これまで禁止されていた平時の電力データの活用も解禁するということになっています。
それで、電力データの活用に当たっては、大橋参考人もメンバーになられている持続可能な電力システム構築小委員会が二月に中間取りまとめを行っていますけれども、この中でも、支持する意見があったその一方で、消費者は自分たちの個人情報がどういうふうに活用をされるのかということで不安に感じていると、こういった意見もあったと。このために、電力データの活用に当たっては、消費者保護に万全の仕組みづくりが重要であるというふうにそのまとめの中でもあります。
個人情報の利用に同意をしたその結果、当初の目的以外に個人情報が利用されるんじゃないかということだったり、別の第三者に情報が提供されているようなことにならないのかということだったり、高齢者の方たちから同意を得るといったときに不招請勧誘のようなそういった行為が生じないかとか、いろんな懸念の声が、意見が出されているわけですよね。
こうしたことから考えて、個人情報の保護であるとか消費者の保護ということが非常に重要になっていると思うんですけれども、参考人がどのようにお考えか、お聞かせください。
○委員長(礒崎哲史君) それでは、今回は、崎田さん、大山さん、大橋さんの順にお伺いいたします。
まず、崎田参考人。
○参考人(崎田裕子君) 個人情報のお話ですけれども、実際のその審議の方には参加をしていないんですけれども、今回、災害対応のところの情報を活用するとか、そういうところにはいたので、そういうところからお話をしますと、いろいろなデータ、今きちんとそれを活用しながら取り組んでいくというのが進んでいますけれども、やはりそこはしっかり管理をして個人情報を保護をしないといけないということで、今法律はしっかりと強く掛かっていると思うんですけれども、災害時に余りにもそこが強く掛かっていたので、停電が起こったときに、そこにどういうような家庭、家庭というか施設があって、先ほどのトリアージではないですけれども、どういうふうに災害復旧をしていったらいいのかを考えるときに全くデータがなく、そのときに個人情報保護が大事だからということで提供をしていただけなかったとか、そういう事例が非常にあったということで、そういうときにしっかりと使えるようにということに災害の方ではなったんですね。
そういうような意味を込めて、どういうときにはしっかりと使える、これ以上はやはりきちんと抑えなければいけないという辺りを明確にしていただいて、それを社会にしっかりと発信していただくという、その辺の全体のバランスなんではないかというふうに考えております。
よろしくお願いいたします。
○委員長(礒崎哲史君) 続きまして、大山参考人。
○参考人(大山力君) ありがとうございます。
私も緊急時の話についてはいろいろ伺っていました。緊急時については、もうこれはやるしかないのかなというふうに思っております。本当に被害を早く復旧するということにとっても非常に大事なことだというふうに思っております。
常時のことについては、これももし使えれば非常にいいことがいろいろあるというのは確かだと思いますけれども、最近話題になっているコロナウイルス対応でも、韓国ではこうやったけど日本はできませんよというようなことがいろいろあったかと思います。
結局は、利用する方の、電力会社が最初はそうかもしれませんし、それを全体を見ている政府に対しても、いかに国民に信用してもらうかということが非常に大事かなというふうに思っています。それがなくては使えないんじゃないかなという気がしております。
以上です。
○委員長(礒崎哲史君) 大橋参考人、お願いいたします。
○参考人(大橋弘君) ありがとうございます。
非常に重要な論点だと思います。これ、電力にかかわらず多岐にわたる論点、個人情報のまさに論点だと思っています。
非常時については、今、両参考人からいただいたとおりと思います。
平常時については、おっしゃるとおり、個人情報が悪用されるということに対する懸念を払拭しない限り、やはり個人情報を使うということは非常に難しいというふうに考えざるを得ないわけですが、ただ、ここは、個人情報だから使えないというふうなゼロか一かの発想になっちゃうと、なかなか、全然先へ進めないことになるのかなというふうなことを非常に危惧をしています。
やはり個人情報だとはいえ、ある程度一定のしっかりとした使い方の中で、やはり、消費者はどう使われているのか分からないけれども信じて託せる、信託するような感じだと思いますけれども、信じて託せるような形を持っていく、そして、それ提供したことによってメリットが自分に返ってくることが見えるということをしっかりつくっていく、丁寧につくっていくことで、信頼をしていただく努力をしないといけないのかなと。
個人情報だから一切使えませんというふうなことにはしないように、常に技術は進歩していっていますので、そうした進歩する技術については世界から取り残されないように、ただ、個人情報の重要性というのは、おっしゃるとおり個人の意思は大事にしないといけないので、その意思がきちっと反映されるように、利用を我々考え続けていかなきゃいけないし、そうした検討も加速させなきゃいけないんだろうなというふうに強く思っております。
ありがとうございます。
○岩渕友君 以上です。ありがとうございました。