2021年6月8日(火) 参議院 経済産業委員会
「産業競争力強化法等改正案」
大企業のリストラ・事業再編と中小企業の淘汰(とうた)を促進する改定産業競争力強化法が9日の参院本会議で採決され、自民、公明など各党の賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。
共産党の岩渕友議員は反対討論で「コロナ禍に乗じてリストラを推進するものだ」と批判。8日の参院経済産業委員会で、コロナ禍の今こそ大企業がため込んだ内部留保を活用して雇用を守り、地域経済・社会を支える中小企業への抜本的支援が必要だと迫りました。
岩渕氏は委員会で、企業の事業再編計画を認定して減税する優遇措置を受けたシャープが2015年6月から20年3月までで従業員を6667人も減らしていると指摘。経産省の新原浩朗経済産業政策局長は、シャープだけで約4億円、法施行以降で計42・6億円が減税されたと答えました。岩渕氏は「リストラを減税で支援するものになっているのではないか」と批判し、実態調査を求めました。梶山弘志経産相は「痛みがまったく生じないわけではない」と答えました。
岩渕氏は、中小企業の実質労働生産性の伸び率は大企業と遜色ない水準だが価格転嫁力で名目上劣っているとの20年版『中小企業白書』の指摘を確認。不公正な価格転嫁・下請けいじめへの規制強化が必要だと迫りました。
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質問資料1 「価格転嫁は重要な要素」(中小企業白書 2020年版)【PDF版】【画像版】
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2021年6月8日(火) 参議院 経済産業委員会
「産業競争力強化法等改正案」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、コロナ対策に関わって質問をします。いわゆるウッドショックの問題です。
新型コロナウイルスによって米国や中国で住宅需要が増加をして木材の需要が急増していることで、国内の木材流通量の減少と価格高騰が続いています。これによって、住宅の建設で基礎を造ってもらってもその先の作業を進めることができないということで、悲鳴が上がっています。
事業者の方々からは、四十五年やってきたけれどもこんなこと初めてだと、材木屋さんに駆け回ってもらって一棟分何とか確保してもらわないと何にもすることができない、期限までに家が建たなければ施主に土下座をしてでも謝らなければならないとか、材木屋に発注をしたんだけれども、納入期日が示されずに、値段が幾らになるか分からないというふうに言われた、とんでもない請求書が来たらどういうふうに帳尻を合わせて施主に請求するかを悩んでいる、こうした声も寄せられています。
入荷の見通しが立たないという声があります。これ、木材の国内での流通状況を随時調査を行って公表するべきではないか、そして木材の流通量の適正化、便乗値上げや買占めなどの監視を行う必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(前島明成君) お答えいたします。
我が国の製品等需要の約五割を占めます輸入木材につきましては、米国や中国の木材需要増大等を背景に、原産国における産地価格が高騰し、輸入量が減少しております。
また、輸入材の代替といたしまして国産材製品の引き合いも強くなっておりまして、国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、品目によっては製品市場で価格が競り上がるなど、原木も含め全体的に木材価格が上昇しているところでございます。
こうした状況におきまして、正確な情報を把握し需給の変動に適切に対応することが重要と考えております。
四月十四日に、川上から川下までの関係団体による意見交換を実施いたしまして、情報共有を図るとともに、四月三十日には、関係団体に対し、実需に基づいた適切な発注や過剰な在庫保有の抑制、これらに関連した木材流通に係る情報提供、こういったことに対する協力要請を行ったところでございます。
さらに、需給の状況は地域によって差異がありますことから、川上から川下までの関係者から成る全国七地区における地区別需給情報連絡協議会を五月二十七日以降、九州地区から順次開催しているところでございます。
輸入材の動向や国産材の需給動向につきまして情報共有を図りつつ、不足する材を代替するために生産品目を転換する事例を共有するなど、関係事業者間における対応策の検討を促しているところでございます。
さらに、輸入材からの転換も含めた需要の拡大に向けまして、更なる国産材の安定供給体制を構築することが重要と考えております。川上から川下までの信頼関係の下、効率的なサプライチェーンの構築を推進していく考えでございます。
○岩渕友君 建築現場の関連業者というのは非常に多いわけですよね。なので、家が建てば関わる業者がみんな潤うんだけれども、作業が止まればその影響が広がって、地域経済にも甚大な影響を及ぼすということになります。
この林野庁や国交省との連携って非常に重要だというふうに思うんですけれども、同時に、これコロナによって中小の建築関連事業者が苦境に立たされているということから考えれば、経済産業省としても対策重要だと思うんですね。大臣に伺うんですが、どのような対策が行われているでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 新型コロナウイルス感染症の影響で、米国での郊外の住宅産業が、住宅需要が高まるとともに、世界的な物流の制限による木材流通の逼迫等が生じた結果、ウッドショック問題と呼ばれるように、輸入木材の価格が高騰しており、木材のユーザーである国内住宅メーカー等の調達にも影響が及んでいるとの報道があることは承知をしております。経済産業省としては、木材の需給を担当する林野庁や住宅施策の担当をする国土交通省と連携して、輸入木材の流通の状況やその影響について情報収集に今努めているところであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による木材流通の逼迫等を通じて売上げが減少するなど苦しい環境にある中小・小規模事業者に対しましては、雇用調整助成金の特例の延長、政府系金融機関による実質無利子無担保融資の上限枠の引上げ及び延長、ビジネスモデルの転換等に活用いただける持続化補助金といった各種支援策を講じているところでありますけれども、こうした施策を活用しながら、新型コロナウイルスの影響を受ける国内関係事業者に対して必要な支援をしてまいりたいと思っておりますし、先ほど申しましたように、国土交通省と林野庁と連携を取りながら、今後どういった形の支援が必要なのか、また、どういった、地域ごとの状況というものもしっかりと調べてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 事業者の方々からは、その中小建設関連事業者を月次支援金などの支援策の対象に加えてほしいとか、地方創生臨時交付金の事業者支援枠の使途として住宅リフォーム助成制度など中小建設関連事業者向けの施策に活用できないかとか、あと、工期の遅れとか原材料の高騰によって経営の見直しなど、施主との、その契約額の見直しなどで施主との合意を取り付ける上での助言を行うための相談窓口を設置してもらえないかとか、いろんな要望来ているんですね。なので、従来の対策だけではなくて、コロナでこうした事態になっているということで、こうした要望も踏まえていろいろ検討をしていただきたいというふうに思っています。
次に、法案に関わって聞きます。
産業競争力強化法は、産業活動における新陳代謝を促すための措置を講じるということで、事業再編の取組について計画を策定し、認定をされれば登録免許税の減税といった税制優遇などの措置を受けることができます。
産競法施行以降の事業再編計画認定件数は何件か、そして認定計画を受けた企業の従業員数は計画の開始前と終了後でどう推移しているか、教えてください。
○政府参考人(新原浩朗君) 本制度開始、二〇一四年の一月二十日施行でございますが、それから二〇二一年三月三十一日までの事業再編計画の認定件数は八十四件でございます。また、これらの事業再編計画における従業員数の計画値の変化でございますけれども、これちょっと、個社のものがちょっと若干企業秘密に触れるものがありますので、昨日の委員の御指摘を踏まえまして、同僚に合算をしてもらいました、数字をですね。それで、ちょっと急遽しましたのでチェックが十分でないかもしれませんけれども、計画開始時点で三十八・五万人、合計値ですね、それから計画終了時点で四十・四万人で、これ全体値としては一・四万人の増加となっております。
ただ、これ増加しているからいいというふうに、という議論ではないと我々思っていまして、計画値が増えているからいいとか減っているから悪いとかいうことでもなく、事業再編が行われなかった場合にどうなったのか、つまり、行われなかったら、もし企業存続が危うくなったとすれば、これ元も子もないということでございますので、そういう中での議論だと思っています。
ちなみに、増加している要因をちょっとざっと見てみますと、新規採用を予定している場合とか、それから統合、計画上の統合があるような場合があるということで、必ずしも、そこのところはそういうものがあるということをちょっと御認識いただきたいと思います。
○岩渕友君 増えているという話だったんですけど、実態はどうかということを見ていきたいと思うんです。
シャープを例に見ていきたいと思うんですけど、シャープが認定を受けているのは二〇一五年の六月二十三日なんです。実施期間は一五年の六月から一八年の三月までなんですけれども、計画では従業員数を一万七千五百二十九人から一万四千七百四十人に削減するところなんですけれども、実際には、終了時期には一万三千二百六十一人になって、二〇年の三月期には一万八百六十二人まで従業員数が大きく減っているんですね。
この計画の登録免許税の減税額の試算は幾らになっているのか、そして八十四件の認定計画に対する登録免許税の減税額試算は幾らになっているでしょうか。
○政府参考人(新原浩朗君) 一点、私、引き算のときに、さっきちょっと間違って申して、計画開始時点で三十八・五万人、計画終了時点で四十・四万人でございますので、差が一・九万人の増加ということで、一・四と申し上げたのを訂正させてください。
今の御質問でございますが、平成二十七年六月に認定を受けたシャープの事業再編計画に関わる登録免許税の軽減額、これ公表資料から推計できる資本金の額の増加に関わる登録免許税の軽減額を試算したものでございますが、三・九億円でございます。
これに対して、全体ですね、全企業についてこの登録免許税の軽減額、これは二〇一四年一月二十日から二〇二一年三月三十一日まででございますが、これも同じように推計をいたしますと、四十二・六億円でございます。
○岩渕友君 減税されているのはこれだけではないわけですよね。
大臣は、衆議院の質疑の中で、事業再編計画の認定に当たって、従業員の地位を不当に害するものではないことを要件にしていると、こういうふうに答弁をしているんですけれども、出向とか転籍などによって賃金や労働条件は悪化していないのかなど、実態をどのようにつかんでいるでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘のとおり、事業再編計画の認定に当たっては従業員の地位を不当に害するものでないことを確認することとされています。
この認定基準に基づいて、事業再編に関係する事業者の労働組合等と協議により十分に話合いを行うことや、事業再編計画の実施に際して雇用の安定等に十分な配慮を行うことを求めております。具体的には、主務大臣は、厚生労働省と連携した上で、事業再編計画の申請の際に、経営陣から労働組合等に対して事業再編計画の内容を説明した結果など、従業員に対する通告や形式的説明ではなく、労働者側との調整状況を記載した書類や事業再編計画の実施期間中における採用、退職計画などを整理した表を添付していただき、それらを主務大臣が確認することとしております。
このように、従業員の地位を不当に害するものではないことについては複数のプロセスを経た上で判断をすることとしておりますけれども、具体的な例かな、あとは、具体的な例についてはちょっと参考人から。(発言する者あり)
○岩渕友君 計画のときに書類を添付してもらうということだったんですけれども、実態がどうなっているかということをやっぱりちゃんと調査しなければ、従業員の地位を不当に害するものではないということをどうして言えるのかということになってくると思うんですね。これ、しっかり実態つかむ必要があると思います。
結局は、そうはいったって、従業員の数減っていると。これ、リストラを減税で支援するというものになっているんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 競争環境や需給構造の変化などに伴って、企業の事業には栄枯盛衰が生じること自体は避けられないことであると思っております。個々の企業が必要な事業構造改革を先送りし経営不振の事業を放置し続ければ、そうした事業に張り付いている資金や人材といった経営資源の価値が大きく毀損をし、更に取引先企業などのステークホルダーも含めて経済全体に悪影響を及ぼすおそれがあります。
事業再編計画を含む産業競争力強化法の施策は、企業が成長の期待できる事業分野に資金や人材等の経営資源を振り向けていくことを支援することで、国全体での産業構造や就業構造の転換の円滑化を目指すものであります。事業再編の過程で個別企業の従業員数が削減されることもありますけれども、個別企業のリストラ自体を支援する政策ではないということであります。
なお、企業が事業構造改革を行う過程において、個別の状況によっては失業の発生など痛みが全く生じないとは言えません。このために、政府全体として、失業保険や職業訓練の実施など、必要なセーフティーネットの確保も行ってきているところであります。
経済産業省としては、引き続き、企業の事業構造改革を推進することで労働生産性を引き上げ、賃金を引き上げられる環境を整備し、成長と分配の好循環の実現に全力を傾けてまいりたいと思っております。
労働移動は必ずやはりあると思っております。そういったときに、しっかりと職業訓練、またリカレント教育等ができて、そしてそれに対するセーフティーネットがあるような形にしていく、今後これからのその社会もそういった形での整備、制度整備をしてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今いろいろ答弁いただいたんですが、結局、事業再編の裏でリストラが行われている下でリストラ支援策を講じるということは、更なる人減らしを加速させるということにつながるわけですよね。
労働者がリストラされる一方で、大企業は巨額の内部留保をため込んでいるわけです。コロナ禍の今こそこの内部留保を活用をして労働者を守れということを大臣からも大企業に強く求めてほしいということをここでも述べておきたいというふうに思います。
次に、中小企業に関わって質問をします。
安倍前首相の下で閣議決定をされた骨太方針二〇二〇に基づいて、昨年十二月に成長戦略会議は本法案の基になった実行計画を取りまとめています。菅首相が設置した成長戦略会議には、中小企業再編論を展開するデービッド・アトキンソン氏が首相から任命された委員として加わっています。
中小企業再編論というのは、中小企業の低生産性の原因はその規模にあると、規模拡大が見込めない小規模企業は退出するべきだというものです。けれども、中小企業の生産性が低いのは規模が小さいからだというんだけれども、中小企業の生産性、果たして低いのかということで、中小企業政策審議会基本問題小委員会制度設計ワーキンググループの中間報告書で中小企業の生産性について何と述べているか、該当している部分を読み上げてください。
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
御指摘いただきました中小企業政策審議会制度設計ワーキンググループ中間報告、該当箇所を読ませていただきます。
中小製造業の実質労働生産性の伸びは、年率三から五%を記録しており、大企業の伸びと遜色ない水準である。しかしながら、価格転嫁力指標の伸び率がマイナスであるがゆえに、中小企業の労働生産性(一人当たり名目付加価値額)の伸び率が一%程度に低迷していることが分かると書かれております。
○岩渕友君 製造業ということなんですけれども、実質労働生産性の伸びは大企業の伸びと遜色のない水準だということです。
そこで、資料を御覧いただきたいんですけれども、この資料は二〇二〇年版の中小企業白書なんですけれども、ここにも同じこと書かれているんですね。中小企業の生産性向上を妨げているのは、大企業に比べて価格転嫁力が弱くて利益を確保することができないことに原因があるというふうにしています。
中小企業家同友会全国協議会が三月三十一日に発表した会長談話を見ると、国際的に見て必ずしも付加価値生産性が高くない大企業からのしわ寄せもあって、低工賃での取引を余儀なくされているケースも多く、名目の労働生産性は伸び悩んでいるのが実情だということで、実行計画にも織り込まれている大企業の対応も含め、あるべき取引条件を目指していく必要があるというふうにしています。
中小企業がきちんと価格を転嫁できるように大企業への規制を強化するべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 中小企業の生産性を上げる中で、今委員がお話になったようなこと、価格の転嫁ですね、例えば人件費が上がる、また、税が上がったときにそれを転嫁できるかどうかということ、それは非常に大きな課題だと思っております。
価格決定方法の適正化、型取引の適正化、支払条件の改善、知的財産、ノウハウの保護、働き方改革に伴うしわ寄せの防止、こういった課題についてしっかり議論をして解決を図っていくという中で、今、中小企業とまた大手企業のトップも集まってもらって、こういった形でしっかり話合いの協議の場を持つというような、そして、これらそれぞれの課題の解決方法について宣言をしていただくというような取組をしております。
二千社を目標に、その大手企業の方で、親事業者という方で宣言をしてもらう努力を今しているということで、現場でいろんなことが起こっているんですね。やはり経営者がそれを把握する、又は経営者がしっかりと認識するという点で、この宣言は非常に効果があるものだと思っておりますし、今挙げた五項目を改善することによって中小企業の生産性というものも上がってくるものだと考えております。
○委員長(有田芳生君) 岩渕さん、おまとめください。
○岩渕友君 下請振興法の改正、これは当然、強化は当然だと思うんですけれども、あくまで振興法なので、不公正な下請いじめとか不公正な価格転嫁に対する強制力がないということで、下請代金法の改正など、公取との連携した下請構造の実態に即した規制の強化を求めて、質問を終わります。
2021年6月8日(火) 参議院 経済産業委員会
「産業競争力強化法等改正案」
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に対し、反対の討論を行います。
産競法は、その前身である産活法以来、株主資本利益率、ROEの向上を最優先とした大企業のリストラ、人減らしを支援することで、株主資本主義、株価資本主義を推し進めてきました。
本法案は、この間の構造改革と規制緩和、そしてアベノミクスによって多国籍企業の競争力が強化される一方、国民の暮らしや雇用を破壊してきた実態に何の反省もないばかりか、更にコロナ禍に乗じたリストラを推進するものであり、断じて容認できません。
反対理由の第一は、グリーン社会への転換、脱炭素を名目に原発の永久活用を進め、再生可能エネルギーの導入を阻害するものとなるからです。
東京電力福島第一原発事故から十年ですが、原子力緊急事態宣言は発令中であり、被害はなお深刻かつ継続し、拡大しています。今政治がなすべきは、原発事故の痛苦の反省と教訓を踏まえ、原発ゼロの道に踏み出すことです。老朽原発の再稼働や新型原発の開発など、いつまで原発にしがみつき続けるのでしょうか。来年、ドイツは全基廃炉にしますが、なぜ日本にはできないのでしょうか。省エネ、再エネ中心のエネルギー政策への大転換を強く求めます。
第二の理由は、コロナ禍を奇貨とした大企業のリストラ、事業再編、MアンドAの促進が一層の雇用破壊と中小企業、地域経済の切捨てを招くからです。中小企業の足腰を強くするといいながら、規模拡大を目指し、中堅企業に成長する事業者への支援の重点化によって、地域経済の担い手、雇用の支え手として必死に踏ん張る小規模事業者の淘汰をもたらしかねません。今やるべきは、誰一人取り残さないために中小企業・小規模事業者への支援を拡充強化することです。そして、コロナ禍のしわ寄せが集中するフリーランスが人間らしく働く権利を保障することです。
反対理由の第三は、規制のサンドボックスの恒久化が将来にわたり国民の日々の暮らしの場を企業の実験場とし、際限なき規制緩和をもたらすことになるからです。雇用や労働に関わる労働法制の規制緩和や国民の安心、安全、命に重大な危険を及ぼすことにもなりかねません。
以上、反対討論といたします。
○委員長(有田芳生君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(有田芳生君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。