2022年5月10日(火) 参議院 経済産業委員会「エネルギー束ね法案」
テーマ:石炭火力延命の新たな仕組みづくりの問題
参院経済産業委員会で10日、政府が2050年に石炭火力発電を最大40基も使う見通しであることが日本共産党の岩渕友議員の質疑で明らかになりました。
政府は、エネルギー使用合理化法等改定案で、製造過程で大量のCO2(二酸化炭素)を排出する化石燃料由来のアンモニアを「非化石エネルギー」として石炭火力に混焼し、「脱炭素型」に置き換えるとしています。
岩渕氏は、2030年のCO2排出削減目標との整合性がとれないだけではなく、2050年にも石炭火力に依存しているなど「国際的に到底認められない」と厳しく批判。萩生田光一経産相は「アンモニア製造方法の速やかなクリーン化を進める」と答弁しましたが、化石由来のアンモニアからいつ脱却できるのか、その時期さえも答えることができませんでした。
岩渕氏は、COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)のグラスゴー気候合意で排出削減対策と明記しているのはCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)だけだと指摘し、「日本独自の解釈は通用しない」と追及しました。
資源エネルギー庁の定光裕樹資源・燃料部長は「気候合意は特定の手法を限定するものではない」と強弁し、石炭火力延命のための新たな仕組みづくりを正当化しました。
日本共産党の、いわぶち友参院議員は参院経済産業委員会(10日)の質問で、政府が進めるアンモニア混焼や石炭火力発電所の活用を取り上げて政府の姿勢を追及しました。ネットで視聴した2人に感想を寄せてもらいました。
製造過程で二酸化炭素を排出するアンモニアを使用した混焼が、いつクリーン化(二酸化炭素を出さないようにする)できるようになるのか、いわぶちさんが質問で何度問いただしても、「なるべく早期に」や「将来的に」というばかりで、具体的な答弁がないのが印象的でした。二酸化炭素の排出削減を理由に進めているのに、いつ削減できるようになるのか分からないままというのは話が通りません。
いわぶちさんの質問が非常に鋭く、それだけに、説明にならない説明を繰り返す政府側の頼りなさが目立ちました。
私が訴訟に参加した仙台港の石炭火発の建設問題でも、事業者は施設がほぼ完成してからようやく住民説明会を開催し、報道陣を会場から退席させようとするなど、説明とは名ばかりの姿勢でした。
被災地の住民の気持ちを逆なでするような発電所建設計画が宮城県で続く中、何が進められようとしているのか、国民に知らせるのが大事です。そういう意味でも、いわぶちさんの質問は非常に重要で、ありがたい内容です。
政府の計画は温暖化の温床 福島県・元高校教師 半澤紘さん
いわぶちさんは「日本政府の石炭火力発電の位置づけでは世界の脱炭素化の流れに逆行するばかりか、国際公約のCO2(二酸化炭素)削減目標も達成できない」と厳しく追及しました。
政府は、アンモニアとの混焼の新技術開発によって2030年以降も石炭火発が「脱炭素型」として使い続けられると強弁しました。
欧米の先進国では、気温上昇を1.5度以内に抑え込む温暖化対策達成のため、2030年までの石炭火発ゼロを決断し、段階的な取り組みを始めています。アンモニアを化石燃料以外から生成する方法については、技術開発の困難さとコスト高のため、取り組む国はありません。日本政府は、新技術開発を口実にして石炭火発を延命させるだけの姿勢をあらわにしました。
日本で建設中と計画と合わせた石炭火発は40基です。そのうち6基が福島県浜通りに建設中です。建設すれば40年稼働として2062年まで運転可能になり、まさに狂気のさたです。浜通りではすでに、いわき市から相馬市まで4カ所で巨大石炭火発が稼働中で、温暖化の温床となり続けます。
石炭火発が福島県に集中する背景には福島イノベーション・コースト(国際研究産業都市)構想による安易な企業誘致があります。自治体が地域循環型の再生可能エネルギー発電などの誘導にこそ取り組むべきです。
質問資料1 アンモニア利用の拡大に向けた道筋(資源エネルギー庁の見通し) 【PDF版】/【PNG版】
質問資料2 アンモニア発電コストの構造 【PDF版】/【PNG版】
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2022年5月10日(火) 参議院 経済産業委員会
「エネルギー束ね法案」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
法案の質疑に入る前に、これまでも質問で取り上げてきた宮城県丸森町耕野地区のメガソーラー設置計画について質問をいたします。
この計画をめぐっては、乱開発による災害の発生や生活用水として活用をする水源の枯渇、こうしたことが懸念をされているとともに、計画をめぐって事業者が贈賄事件を起こしていて、非常に問題があるんですね。
3月29日に地元の振興会や区長会を始めとした5つの団体の皆さんからFIT事業の認定取消しの要望をいただきまして、現地とつないで、経産省への要望を、要請をオンラインで行いました。私も現地に伺ったことがあるんですけれども、2019年の台風19号で甚大な被害を受けて、その復旧の途上の状態だったんですね。住民の方々からは、災害に弱い地域で、これ命に関わる問題だということや、地域の信頼、地域との共生が踏みにじられたということで、怒りの声が次々と出されたんです。全くそのとおりだなというふうに思いますし、FIT認定の取消しは当然だというふうに考えています。
対応をいただいたエネ庁の方からは検討しているというふうに回答あったんですけれども、このままだとなし崩し的に計画が進んでしまうということで、住民の皆さん、非常に不安が高まっているんですよね。
これ、今、検討状況がどうなっているのかということと、一刻も早く認定取消しをするべきだと思うんですけれども、どうなっていますでしょうか。
○政府参考人(茂木正君) 今委員から御指摘ございました丸森町の事案でございますが、丸森町における太陽光発電設備の設置に関しまして、本件事業に関与したとされる会社の代表者が逮捕、起訴され、罰金刑に処されているということは私どもも承知をしております。
再エネ特措法では、認定基準として、事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれることを求めておりまして、この観点から、経産省において、仙台地検が保有しております本件事案に関する記録を閲覧するなどして、現在、事案の精査、分析というのを行っているところでございます。この本件が認定事業、認定基準違反に当たり得るか否かという点につきましては、現時点において一概に評価はできませんが、そうした考えも取り得るというふうに考えております。
ただ、一般論でございますが、仮に認定の取消しといった不利益処分を行う場合にはしっかりとした事実関係の確認を行う必要がございます。必要な手続を行った、取った上で対応していく必要もございます。本件についても丁寧に事実関係を確認した上で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 こうした場合は認定基準違反に当たり得るということですけれども、もちろん検討必要なんですけれども、住民の皆さんたちが反対しているのに事業者がどんどんなし崩し的に事業を進めようとしているというようなことが現地ですごく不安になっているので、そういう意味で事態が非常に切迫をしています。これ、速やかに認定取消しを行うように強く求めておきたいというふうに思います。
続いて、法案について質問をいたします。
本法案は、2050年カーボンニュートラルや2030年度の温室効果ガス削減目標の実現のために我が国のエネルギー構造を需給両面から転換を図る、安定的なエネルギー供給確保のための制度整備を行うとしています。この目的のために、どういう方法、方向で取組を進めていくのか。
4月5日に、IPCCの第3作業部会が遅くとも2025年までにCO2の排出を減少に転じさせる必要があると発表をして、ロシアによるウクライナ侵略による世界的なエネルギー危機の下で真剣な検討が求められています。
本法案における最大の改正内容は非化石エネルギーの定義の変更です。石炭火力の脱炭素化を図るとして、新たに水素、アンモニアを非化石エネルギーに加えて供給側と需要側の両面で推進をするというものです。
化石燃料を使用して製造過程で大量にCO2を大気中に排出をする、あっ、放出をするグレーアンモニアも含めて非化石と位置付けることについて、衆議院の我が党の笠井亮議員の質問に対して大臣も、化石由来のものを非化石と呼んでいいのかと言われると違和感があると、こういうふうに認めています。大臣自身が違和感があると認めざるを得ないような定義変更は、これ説明が付かないんではないでしょうか。本会議では、このこと聞いたんですけれども、この点について明確な答弁がなかったので、改めて大臣にお聞きをいたします。
○国務大臣(萩生田光一君) 2050年カーボンニュートラル時代のエネルギーの安定供給確保に向けては、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠であり、その社会実装は世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であると考えています。
4月22日、衆議院の経済産業委員会で、化石由来のものを非化石と言われると違和感があることは私も認めると申し上げましたが、一方で、足下では水素、アンモニアの需給が立ち上がっていない中で、水素、アンモニアの需給を早急に立ち上げることの政策的な重要性から、まずは由来を問わずに利用を拡大させて、その上でCO2の排出処理ができていないものの割合を下げていくことを結果的にカーボンニュートラルに進んでいく手法の一つとさせていただきたいとも申し上げております。
これまで申し上げているとおり、永続的にCO2を処理していないアンモニアを使い続ける考えはございません。インフラ整備や技術開発、コスト低減などの進展状況を見詰めつつ、速やかにアンモニア全体のクリーン化を進めてまいりたいと思います。
○岩渕友君 今の答弁聞いても何でなのかということがよく分からないというか、説明になっていないというふうに思うんですよ。同時に、今も答弁にありましたけれども、永続的にグレーアンモニアを使い続けることはしないんですと、速やかにクリーン化を進めるんだというような答弁でした。
この速やかなクリーン化というのは、いつ頃の見通しになるでしょうか、大臣。
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
アンモニアの発電分野での利用の実用化の時期は2020年代後半を目指してございます。既に複数の日本企業が、そのタイミングにできる限り間に合うような形で海外でCCUSでCO2を処理したクリーンなアンモニアの製造に関する事業可能性調査を開始しているというところでございます。その上で、グリーンイノベーション基金を通じて2030年までにより効率的なアンモニア製造技術や再生可能エネルギー由来の製造技術を開発しているところでございます。
これらを総合的、並行的に進めることによって、できるだけ早期に燃料アンモニアのサプライチェーンを構築し、同時にアンモニア製造のクリーン化を進めていくという方針でございます。
○岩渕友君 今の答弁にもあったように、結局はグレーアンモニアからいつ脱却できるのかというその時期については答えることができないということですよね。
利用面では、アンモニア20%混焼の導入、より高い混焼率や専焼化のための技術開発を進めるというんですけれども、アンモニア混焼の商用化の時期についての見通しはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
アンモニアの混焼につきましては、昨年度から碧南火力発電所における実機実証を開始しておりまして、2024年度には100万キロワットの実機燃焼炉での20%混焼試験を行うべく取組を進めております。これを踏まえて、設備改修などの期間が掛かりますので、2020年代後半には20%混焼を実用化させる予定でございます。
○岩渕友君 2030年度の商用化の規模の見通しはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
昨年閣議決定しました第6次エネルギー基本計画におきましては、2030年には年間300万トンの発電分野でのアンモニアの需要を見込んでおります。
以上です。
○岩渕友君 今答弁にあったように、2030年度時点で約300万トンの国内需要を見込んでいると。それで、事前に少しレクを受けて聞いている中身でいうと、大規模な石炭火力発電所で20%混焼をした場合、一基、100万キロワットにつき年間約50万トンだと。で、30年時点で6基から10基程度の20%混焼を見込んでいるというふうに回答があったんですね。
資料の1を御覧ください。
これ、経産省の見通しでは、2030年でも、この黄色い部分ですけれども、20%混焼の開始というふうにあります。開始といっても、先ほどお話をしたように、僅か6基から10基程度の見込みだということなんですよね。アンモニアを合成する方法も、製造についても、ハーバー・ボッシュ法に代わる技術の確立を目指しているという段階なんです。これでは速やかにクリーン化を図るというふうにはやっぱり言えないと思うんですね。
さらに、2030年のCO2排出削減目標、国際約束との整合性が取れません。IPCCの報告書のように、遅くとも2025年までにCO2の排出を減少に転じさせなければ1.5度目標は達成できないとする非常に切迫した事態になっているわけですよね。こうした事態に直面しているのに対して整合性がないんではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 日本国内の排出については、既に2013年度をピークに排出量を削減しており、パリ協定の1.5度努力目標とも整合的な形で2030年度46%削減という野心的な目標を掲げ、その一環として国内火力発電の燃焼時のゼロエミッション化に向けたアンモニア利用を推進しています。
こうした日本国内でのアンモニア利用を2020年代後半、つまり2025年以降にも実用化することを目指しており、その際に、化石燃料由来のアンモニアを製造する場合、製造国でCO2を排出することとなりますが、世界全体での2025年以前のピークアウト、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するためにも、より効率的なアンモニア製造技術や再生可能エネルギー由来の製造技術の開発を支援し、その上でブルーやグリーンのアンモニアの割合を増やすといった取組を進めてまいりたいと思います。
○岩渕友君 そもそも、グレーアンモニアは化石燃料由来ですよね。経産省自らが、1トン製造するのに1.6トンのCO2を排出するとしています。アンモニア20%混焼でも、製造過程を含めるとCO2の削減効果は僅か4%にしかならないという試算なんですよね。グレーアンモニアはCO2の排出削減に全く貢献しないものだということです。
改めて確認をしますけれども、COP26のグラスゴー気候合意で排出削減対策として明記されているのはCCUSだけだというふうに認識をしています。水素、アンモニアは記述があるのでしょうか。
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
COP26の成果文書でありますグラスゴー気候合意でございます、お尋ねは。これは、パリ協定の目標に向け各国の努力を促進するものでありまして、いわゆる排出削減措置として特定の手法を限定するものや、委員が御指摘のそのCCUSを含む特定の手法を対象として推奨しているというものではないというふうに私ども現時点で理解してございます。
したがいまして、排出削減手段の一つでありますアンモニアの活用について、グラスゴー気候合意と矛盾するものではないというふうに認識してございます。
○岩渕友君 国際的には排出削減対策と認められていないということなんですよ。
大臣は本会議の中で、当面は化石燃料由来の輸入アンモニアに頼らざるを得ないというふうに答弁をしています。いつまでこの化石燃料由来の輸入アンモニアに依存をするのか。本会議では、将来的には国内でも国産アンモニアの確保にも取り組むと、こういうふうに答弁がありましたけれども、じゃ、この将来的というのはいつ頃のことを予定しているんでしょうか。
○政府参考人(定光裕樹君) まず、アンモニアの発電分野での利用に向けましては、新たに大量かつ安価なアンモニアを確保するということが必要になってまいります。
現在、グリーンイノベーション基金を通じて、2030年までにより効率的なアンモニア製造技術や再生可能エネルギー由来のいわゆるグリーンアンモニアの製造技術の開発を進めておりまして、こうした技術を導入していくことで国産アンモニアの導入をできるだけ早期に実現していきたいと考えております。
○岩渕友君 具体的な時期については言及なかったわけですよね。つまりは、具体的には示せないということなんですよ。
2030年時点と2050年時点のアンモニアの必要量と、それぞれの時期について、輸入と国産アンモニアの割合、量の見通しはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(定光裕樹君) まず、燃料用途でのアンモニアのいわゆる国内での需要の想定でございますが、2030年時点では年間300万トン、2050年時点では年間3000万トンを想定してございます。
それぞれの将来の燃料アンモニアの調達先につきましては、国内、国外を問わず様々な選択肢の中から事業者が経済合理性や安定供給性などを勘案して決めていかれるものだというふうに考えてございまして、現時点では割合の想定は具体的には行っておりません。
○岩渕友君 今答弁があったように、国内の需要想定は示しているけれども、じゃ、その輸入と国産アンモニアの割合がどうだとか量の見通しがどうなっているのかということについては、これも結局具体的な見通し示せないということなんですよね。
2050年の3000万トンは、現在の世界全体の貿易量の約2000万トンを大きく超える量になります。その確保が危ぶまれるのではないかというふうに思うんですね。これでは、将来にわたってエネルギーの海外依存を強めることになります。
大臣は記者会見で、ウクライナの情勢などを踏まえてエネルギー安全保障の確保が更に強く求められているというふうに述べていますけれども、求められていることと逆の方向に進もうとしていると、こういうふうに言わざるを得ません。
政府が示している資料では、2050年にアンモニア等を活用しながら脱炭素型の火力に置き換えていく、できる限り発電比率を引き下げていくとしていますけれども、アンモニア国内需要3000万トンというのは、2050年にアンモニア専焼の場合、高混焼の場合で一体何基になるのか、基数の見通しを示してください。
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
2050年3000万トンのアンモニアを発電分野で活用するといたしましたときには、アンモニアを専焼した場合には、石炭火力に換算いたしますと10ないし20基程度に相当します。また、高混焼、50%ないし60%の混焼を行った場合には、20ないし40基程度に相当いたします。
ただし、これは石炭火力がこれらの数残っているということではございませんで、繰り返し申し上げましているとおり、脱炭素型の火力に置き換わっている状態と、水素、アンモニア、CCS等の活用によって脱炭素型の火力に置き換わっている状態、その上での基数ということを補足させていただきます。
○岩渕友君 今いろいろ答弁いただいたんですけど、結局は2050年に最大40基も使っているという見通しなわけですよね。IEAが公表をした2050年ネットゼロに向けたセクター別ロードマップでは、2030年に先進国でのCCUS対策の取られていない石炭火力の段階的廃止とあります。これ、国際的に到底認められるものではないんだということを指摘しておきます。
水素、アンモニアはコスト面でも大きな課題があります。コストが高いことは、この間の経産省の検討会などでも示されています。例えば、発展途上のエネルギー源、技術であるため、大半の既存燃料と比して当面高い、価格低下が進みにくい、こんなことが書かれています。
資料2を御覧ください。
これは、3月29日に開催をされた総合資源エネルギー調査会の水素、アンモニア関係の小委員会の初回の会合でJERAから提出をされた資料より作成をしてみた、作成をしたものです。これを見ていただいても、非常にコストが高いわけですよね。しかも、再エネのコストは今後どんどん下がっていく見通しだと。一方、アンモニアは逆に上がる見通しです。
同会議では、現状はアンモニアの需要は大半が堆肥用と、多くは地産地消で国際市場は限定的、将来の利用拡大に対応した燃料アンモニアの新たなサプライチェーンの構築が不可欠としています。グリーンイノベーション基金で燃料アンモニアサプライチェーンの構築に上限598億円もの国費負担、大規模サプライチェーンの投資額、供給コストとして日豪褐炭水素プロジェクト、商用アンモニアサプライチェーン、これいずれも総事業コスト2兆円を超えるということになっています。化石燃料由来、高コストで実用化に向けた課題も大きく、多いということです。初期投資等、プロジェクト費用だけでも非常に巨額なものになっているんですね。
JERAからは、アンモニアという新たな燃料の導入のためには、発電、貯蔵設備のみならず、上流段階における燃料製造設備等への大規模投資が必要になる、アンモニア発電の導入、普及に向けて、再エネ電源と同様の政策支援をお願いしたいと、こういうふうにあります。ENEOSは、水素サプライチェーンの構築に向けて、2030年までに1兆円から1.5兆円、2040年までに数十兆円、事業としての不確実性が大きく、民間だけで投資リスクを担い切れない、こういうふうに示しているんですね。
大臣、こうしたリスクが高い事業をJOGMECが引き受けることは国民の理解を得られないのではありませんか。
○国務大臣(萩生田光一君) JOGMECによるリスクマネー供給の支援の目的は、資源の安定供給確保に向けて、投資規模の大きさや地下リスクなどを背景に、民間企業のみで資金調達が困難な場合にリスクを補完することであります。
新たな燃料アンモニアのサプライチェーン構築においては、製造、液化等の設備に巨額の投資が必要であり、回収期間が長期にわたるほか、民間企業のみで投資に踏み切ることは困難なほどリスクが高いことは事実でありますが、だからこそJOGMECが支援を行っていくことが適切であると考えています。
こうした高いリスクのある事業の実施に当たっては、これまでも既にJOGMECは石油や天然ガスなどリスクの大きい資源開発事業を支援しており、そうした支援を通じて蓄積してきたノウハウをアンモニアへも、アンモニアへの支援でも活用することが可能であります。
他方、国費を適切に管理する観点から、JOGMEC内で厳格に案件採択に当たっての審査を行うとともに、経済産業省としても適切に監督を行ってまいりたいと思います。
○岩渕友君 コストが高くても、次の世代や将来世代へのための投資であれば必要ですけれども、国際社会が石炭火力発電の廃止期限を区切って取り組んでいるというときに、排出削減効果も乏しい、次世代にとって負債となる石炭火力発電を使い続けるためにアンモニアへの政策支援をするというのは、国民の理解を得られるものではありません。
衆議院での我が党の笠井亮議員の質問で、JOGMECが繰越欠損金を増やし続けているということが明らかになりました。さらに、今回、座礁資産となるリスクが非常に高い事業への新たな出資、債務保証を追加して巨額の税金を投入するということは許されません。
この関係事業は地方でも進められています。宮城県では、仙台塩釜港を対象に、全体事業費6000万円、これを活用して、水素、燃料アンモニアの貯留、受入れ施設を造るというものなんですね。宮城県内、3つの港に化石燃料由来の水素と燃料アンモニアの貯留施設を造る予算案が県議会に提案をされています。
これ、地方にも座礁資産のリスクを負わせることになるということを指摘して、質問を終わります。