2022年5月12日(木) 参議院 経済産業委員会「エネルギー束ね法案」
テーマ:化石燃料から省エネ・再エネへ投資の転換が必要(討論あり)
エネルギー使用合理化法等改定案が12日の参院経済産業委員会で賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の岩渕友議員は質疑で、産業部門での実効性あるCO2(二酸化炭素)排出量削減施策の必要性に言及。林野庁の「地域林政アドバイザー制度」の実績を挙げ、特別交付税によって中小企業の省エネを支援する人的配置の検討を求めました。萩生田光一経産相は、従来の施策を説明するにとどまりました。
また岩渕氏は、省エネ基準に適合する住宅は日本ではわずか13%だと指摘。岩手県紫波町の「紫波型エコハウス」での確実なCO2削減効果と地域経済への貢献を紹介。海外からの立ち遅れを示す資料も提示し、断熱基準の引き上げや導入支援を求めました。
岩渕氏は、欧州では温室効果ガス55%削減達成のために、建物のエネルギー性能指令の改正案で3,000万棟の大規模改修が試算されていることを挙げ、世界は化石燃料から省エネ、再エネへと大きくかじをきっていると指摘。反対討論で化石由来のアンモニアを「非化石」とする石炭火力延命の新たな仕組みづくりを批判し、「再生可能エネルギーへの投資は、日本経済の健全な発展にもつながるものだ」と述べ、エネルギー政策の抜本的転換を求めました。
質問資料1 住宅の断熱性能基準の国際比較(2021年、暖房デグリーデー) 【PDF版】/【PNG版】
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2022年5月12日(木) 参議院 経済産業委員会
「エネルギー束ね法案」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
法案の質疑に入る前に、物価高騰をめぐる問題について大臣にお聞きします。
先日、札幌市内で事業者の方々から話を伺いました。内装業を営む方からは、鉄骨やベニヤは1年前と比べて1.8倍になっている、しかも資材不足で工期が延びることもある、心が折れて同業者の廃業も続いている、先が見通せないと、こういうふうに訴えられました。クリーニング業を営む方からは、コロナ禍で売上げは3分の2に減少、重油は去年と比べて1リットル当たり25円増、コスト削減のために、洋服に掛けるあのプラスチックのカバーの厚さを薄くしたりハンガーを回収をして再利用したり、やれることは何でもやっているんだけれども、このままだと二割以上の値上げを検討せざるを得ないという話がありました。
それで、大臣にもう二つまとめて聞くんですけれども、政府が出した緊急経済対策、これでは規模も内容も不十分だという声も併せて寄せられています。深刻な実態に合った更なる拡充が必要だと思うんですけれども、どういうふうにお考えかということが一つ。
そして、内装業の方から、社会保険料が高過ぎると、何とかならないかと、こういう要望もありました。コロナで仕事がないときでも従業員を守るために何とか仕事をということで頑張ってきたと、こういうふうに話もされていたんですね。こうして頑張っている中小事業者の営業を支えるために、社会保険料の事業主負担の減免など負担軽減を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 新型コロナの影響に加えて、足下ではエネルギーや原材料の価格が高騰しており、多くの中小企業が厳しい経営状況、経営環境にあると認識しております。政府としても、厳しい事業者を支援するために、先日決定した緊急経済対策に沿って支援に取り組んでまいります。
具体的には、原油価格高騰に対する激変緩和事業について、基準価格を172円から168円に引き下げ、支給額の上限を25円から35円とするとともに、更なる超過分についても2分の1を支援する制度を設けることで原油価格高騰への備えを万全にします。さらに、物価高騰によるコスト増について、下請の中小企業のみに過度な負担とならないよう価格転嫁対策を着実に実施するほか、資金繰り支援としてセーフティーネット貸付けの金利を更に引き下げます。また、新分野展開などを支援する事業再構築補助金についても、新型コロナに加え原油価格高騰などの影響を受ける事業者への支援を強化するなど、様々な対策を講じてまいります。
まずは、これらの支援策を迅速に実行に移していくことが重要でありまして、その上で、中小企業を取り巻く状況を注視しながら必要に応じ新たな施策を検討するなど、中小企業の皆様をしっかり支えてまいりたいと思っております。
御指摘の社会保険料は、主に厚生労働省により制度が運用されているため、その負担の妥当性について経産大臣の私がお答えすることは差し控えさせていただきたいんですが、経産省としては、中小企業が厳しい経営環境の中にあっても定められた水準の社会保険料を納められる環境を整備するため、中小企業の生産性向上の支援や中小企業に適切に利益が残るよう下請取引の適正化に取り組むことが重要であると考えています。
このため、例えば事業再構築補助金、ものづくり補助金、持続化補助金などにより中小企業の事業再構築や生産性向上を支援するとともに、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言の推進や下請Gメン倍増による体制強化などを通じて下請取引の適正化に取り組んでいるところです。
引き続き、これらの取組を通じて、厳しい状況に直面する中小企業をしっかりと支援してまいりたいと思います。
○岩渕友君 事業者の声、しっかり聞いていただきたいと思うんです。あわせて、強く要望をされたのは消費税の減税なんですね。消費税の減税、そしてインボイスの導入中止を強く求めて、法案の質問に入ります。
今日は、需要側の問題を中心に質問をしていきます。
需要側でも非化石電源の導入を促進するとしていますけれども、化石燃料由来のグレーアンモニアの石炭混焼と純粋な再エネでは電源として全く違います。これ、どのように差別化をするのでしょうか。
○政府参考人(茂木正君) お答えいたします。
2050年カーボンニュートラル時代のエネルギーの安定供給確保に向けましては、アンモニアの大量供給、大量利用というのも不可欠であるというふうに考えています。その社会実装は、世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であるというふうに考えます。
需要サイドにおきまして、この省エネ法においてアンモニアを非化石燃料として位置付けておりますけれども、このアンモニアの供給量の拡大、価格低下というのをいかに進めていくのか、そのためにはまず需要の創出をしっかりしていく必要がございます。
改正法案の非化石エネルギーへの転換に関する措置におきましては、まずは、由来を問わずに非化石エネルギーにアンモニアを位置付けまして、その転換を認めることとしています。ほかの非化石エネルギーと区別するという考え方は今回は取っておりません。
一方で、永続的に、今委員からも御指摘がありましたグレーアンモニア、これCO2を処理していないアンモニアということになりますが、こういったアンモニアを使用し続けるという考え方はございません。
インフラ整備が進みまして、技術開発も進み、コストが下がってくる、こうした進展状況を見ながら、速やかにアンモニア全体のクリーン化を進めてまいりたいというふうに考えています。
○岩渕友君 全く違うものが同じように扱われるというのはおかしいと思います。
石炭にアンモニア20%混焼した場合のCO2の削減効果、僅かだと前回も指摘をしました。結局、化石燃料由来の電源の活用を広げることになるのではないかと思います。
エネルギー消費を減らす省エネはCO2を減らす上で決定的ですけれども、日本の省エネ、世界から大きく立ち遅れています。その分大規模な省エネを進める条件があるということです。今ある技術を使って省エネ、再エネの導入を進めることで、エネルギー起源のCO2の九割を削減することが可能だとする研究者の指摘があります。
2019年度の省エネの実績と今回深掘りをした2030年度の省エネ目標量の差は4545万キロリットル差があるんですけれども、産業部門における省エネの深掘りに向けてどのような施策を考えているでしょうか。
○政府参考人(茂木正君) まず、産業部門における2030年度の新たな省エネ目標でございますが、これは6200万キロリットルの削減という目標設定をしております。これは、それぞれの産業分野の中でも各産業セクターございますので、それぞれの産業セクターにおきまして導入可能な最新の技術を2030年度までにどれだけ投入できるかという個別の積み上げも乗っておりますし、加えまして、共通として、例えば低炭素工業炉のようなより効率の高い工業炉を導入していく、こうした技術を積み上げた上で、省エネ法による規制を行いまして、エネルギー管理と省エネ対策の実施の強化を行います。また、こうした取組を行う企業を省エネ投資は支援するということです。加えまして、新しい技術、革新的な技術を通じまして省エネポテンシャルの開拓を行い、中小企業向けのきめ細かなサポート、支援等も進めていくと。
こうした施策を組み合わせまして、省エネの更なる推進に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
○岩渕友君 日本におけるCO2の排出量は、発電所と産業で全体の六割以上を占めているんですね。産業分野のCO2削減は業界や企業の自主目標に任されていて、その結果削減が進んできませんでした。イギリスと同じように大規模事業所に政府と企業の協定を義務付けて、実効力のある削減施策に踏み出すべきです。
また、業務部門、家庭部門、運輸部門など、いずれの目標も不十分で、目標達成を裏付ける施策が見当たらないんですね。各部門で思い切って予算を付けて推進をするべきです。
中小企業にとっても、脱炭素の取組はコスト面だけでなくて売上げの拡大など事業の成長にもつながります。省エネをどう進めるかというのが重要です。
クリーンエネルギー戦略の策定に向けた検討で、中小企業にヒアリングを行った結果を見てみますと、省エネ設備への更新や専門家による省エネ診断の実施によって大きな排出削減効果を得られる可能性があると、こういう意見があったということで、金属熱処理加工のA社というところは、燃料に特化した専門家に調整を行ってもらった結果、炉のガス使用量が5%減少、自動車部品製造のB社というところは、設備の使い方で無駄が改善できるというようなことは自社だけでは分からないとして、専門家からアドバイスをもらえるのであれば有り難い、こうした意見が紹介をされています。自治体の担当者の方からも伺った話でも、省エネ診断を受けた事業者は省エネの取組効果が上がっているというお話でした。
ところが、先ほど議論もいろいろありましたけれども、省エネ診断事業は、20年度までは全額補助で年間5回まで行われていたんですけれども、21年度から事業者が一割負担をするということになりました。
中小企業の省エネを進めるために、林野庁の地域林政アドバイザー制度のような制度があるというふうにお聞きをしたんですけれども、制度について端的に御説明ください。
○政府参考人(小坂善太郎君) お答えいたします。
地域林政アドバイザー制度は、林地台帳の整備であるとか、森林経営管理制度や森林環境税の創設など、近年、市町村が担う森林・林業関係の業務が増加する中、市町村が森林・林業の知識や経験を有する者を雇用する、あるいは専門の技術者を有する法人に委託することによって市町村の体制を支援する制度であります。平成29年度に創設し、必要な経費は特別交付税措置の対象となっているところでございます。
○岩渕友君 ありがとうございます。
大臣、特別交付税で雇用や委託の経費を措置をして、恒常的に省エネ診断を行う人的配置を行うよう検討するべきではないでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 中小企業の省エネ推進に当たっては、業種や業態、エネルギー使用の状況なども多様な中小企業に対して、委員御指摘の地域林政アドバイザー制度のように、全国各地できめ細かに、身近な立場で省エネに向けた取組について相談に乗り、また適切にアドバイスを行う支援体制を構築することが重要です。
このため、経産省では、地域の中小企業の省エネ取組の推進に向けて、四十七都道府県をカバーする相談窓口を各地に設置する地域プラットフォーム構築事業を実施をしています。相談窓口を担うプラットフォーム事業者は、自治体や金融機関などとも連携しつつ、きめ細かに省エネ取組のための計画策定や資金面のアドバイスなどの幅広い支援を提供しています。
こうした取組に加え、専門家によるエネルギーの使用状況の診断事業や工場等への省エネ設備の導入支援などを通じて、引き続き中小企業の省エネの取組を推進してまいりたいと思います。
○岩渕友君 省エネ効果あったということなので、是非検討をしていただきたいということです。
グリーンイノベーション基金2兆円ですけれども、中小企業、農林漁業でも活用できるような予算、省エネ投資のための無利子、無担保、無保証の融資制度の創設なども必要です。
建築物の省エネについて、改正案がやっと提出されたわけですけれども、今は国の定めた断熱基準を満たさない建物が多くて、ここを引き上げるだけでも大きな省エネ効果につながります。
住宅ストックのうち、省エネ基準に適合している住宅の割合、無断熱の住宅の割合について確認をします。
○政府参考人(塩見英之君) お答えを申し上げます。
我が国の省エネ基準は、昭和55年に最初の基準設定をいたしまして、その後、省エネ用の建材、設備の普及状況などを勘案して、平成4年、11年と段階的に基準を強化してまいりました。
この結果、令和元年度時点におきまして、約5400万戸あります住宅ストックのうち、昭和55年基準を満たすものは全体の71%、このうち平成4年基準を満たすものは35%、このうち現在の基準を満たすストックは全体の13%となっております一方で、55年基準を下回るストックも全体の29%あるというふうに推計しているところでございまして、2050年カーボンニュートラルに向けまして、省エネ性能の高い住宅のシェアを高めていく必要がございますので、令和4年度予算において支援策の強化を図ったところでございます。
○岩渕友君 資料を御覧ください。
日本では、エネルギー基本計画で2030年の新築基準としているゼロエミッションビル、ゼロエミッション住宅の水準でも、欧州レベルより低くなっています。建物が30年以上使われるということを考えますと、新しく断熱建築を選ぶ機会というのは各建物で2050年までにあと1回しかないと、こういうふうに考えられるわけですね。この機会を逃さずに断熱性能の高い建物を選択するということが重要です。
岩手県紫波町の紫波型エコハウスについて話を伺いました。地元産木材の活用、年間暖房負荷、気密性能の3点の数値基準を設けていて、断熱改修をしていない築40年の一般的な住宅と比較をした場合、水光熱費は年間で約20万円安くなるということです。また、既存の住宅についても、リビングなどで、ふだん居住するスペースに絞った局所的な断熱改修だけでも高い省エネ効果が期待されるというふうにしています。地元産木材という条件は地域によって違うわけですけれども、地元の工務店などの仕事づくり、雇用づくりにもなって、地域経済への貢献にもなります。そして、確実にCO2削減効果が出ます。
こうした取組を広げるために断熱基準の更なる引上げと導入の支援、既築住宅の省エネ改修に対する導入支援を強化するべきではないでしょうか。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
新築、それから既存、それぞれへの対応ということでございますけれども、まず新築の住宅の断熱性能につきましては、省エネ基準への適合を義務化しまして底上げをまず図るということが大事でございます。あわせて、省エネ基準よりも高いZEH水準、いわゆるゼロエネルギーハウスに求められます断熱性能への誘導策を強化することで、そうした住宅のシェアを十分に高めまして、2030年度までに義務化の対象となります省エネ基準をZEH水準に引き上げてまいりたいと考えております。具体的な誘導策としては、ZEH水準の住宅への財政支援に加えまして、令和4年度からは、新たに住宅ローン減税におきまして借入限度額の上乗せ等の措置を講ずることといたしましたし、また住宅金融支援機構によるフラット35の金利優遇なども行うことといたしました。
また、もう一方の既存住宅の改修でございますけれども、今年度から新たな促進策として、省エネ改修に特化した財政支援制度を創設いたしますとともに、住宅金融支援機構によります融資制度を創設したいと考えてございます。加えて、リフォーム税制におきましても、全ての窓を改修しなくても、一部の窓だけ改修すれば減税の対象になるというような形で支援策の充実を図っているところでございます。
○岩渕友君 2030年の住宅の省エネ化への投資額は0.9兆円、建築物の省エネ化は0.8兆円を引き出す見通しが示されています。
欧州では、昨年末、2030年の温室効果ガス55%削減を達成するための政策パッケージの一つとして、建物のエネルギー性能指令の改正案を発表しています。EU内の建物全体のエネルギー効率の底上げが柱になっていて、この指令によって改修される建物は約3000万棟に上るというふうに試算をされています。先ほども指摘をしたように、2050年カーボンニュートラルを考えると、一刻も早い断熱基準の引上げと導入支援行うべきです。
紫波町は、民間事業者と協力して熱利用もしているんですね。紫波町は森林が多い町ではないんだけれども、紫波中央駅前エネルギーステーション事業というものでは、町内の松くい虫の被害に遭った木や間伐材で町で製造した木質チップを主燃料として、木質バイオマスを使った循環型の地域熱供給で、町の新庁舎、保育園、体育館併設ホテル、一帯の住宅46軒に熱供給を行っています。新たな事業として特別養護老人ホームでの利用も開始をしています。
重油に支払っていたお金が減って、CO2排出量の削減見込みの施設の規模に、CO2の排出量の削減見込みは、施設の規模にもよるんですけれども、約八割削減、そして導入工事費、木質燃料収入などが地域のメリットになって、これらのお金が20年間に一定割合で循環していく、20年間で約6億円の効果になるというふうに試算をしています。熱利用も各地で条件違うんですけれども、こうした事業の紹介や導入支援なども行うべきだというふうに思います。
それで、脱炭素のもう一つの柱は再エネの導入なんですけれども、再エネの潜在力は、様々な条件を加味しても、現在の国内の電力需要の数倍あるわけですよね。その中でも太陽光発電と農業を両立させるソーラーシェアリングが注目をされています。
このソーラーシェアリングについて福島県二本松市で話を聞きました。6ヘクタールの農地に9516枚の太陽光パネルを設置して、その下にシャインマスカットの苗を植えているんですね。眠っていた土地から600世帯の電気と2人の雇用が生まれたというふうにお聞きをしました。
二本松市は、再生可能エネルギー地産地消100%を宣言していて、エネルギーの自給自足を掲げています。自治体や地元の農業委員会の理解に背中を押されたということなんですけれども、こうした地域と共生をして地域経済に貢献する再エネを増やすために、例えば耕作放棄地の再生のための補助金や導入支援となる予算を検討するべきではないでしょうか。最後にお聞きします。
○委員長(石橋通宏君) 既に時間が来ておりますので、簡潔に御答弁ください。
○政府参考人(川合豊彦君) お答え申し上げます。
農林水産省では、耕作放棄地、荒廃農地やそのおそれのある農地の簡易な整備など、荒廃農地の解消に向けた支援を行っております。これはしっかり予算措置しています。
また、営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する有用な取組であります。営農型太陽光発電の普及に向けましては、発電設備の下で栽培する作物や栽培技術の検討や各地の取組事例や支援制度の周知が必要と考えておりまして、このため、農水省では、発電設備の下にある地域ごとの最適な栽培体系の検討を行うほか、営農型太陽光発電取組支援ガイドブックを作成しまして、取組事例や必要な手続、支援制度などを紹介するとともに、営農型太陽光発電の事業化を目指す農業者に対する相談対応を行うことなどを通じまして営農型太陽光発電の導入を推進しているところであります。
今後とも、優良農地を確保しつつ、地域活性化に資する形で営農型太陽光発電の導入を進めてまいります。
○岩渕友君 終わりますけれども、化石燃料への投資から省エネ、再エネの投資に切り替えるということを求めて、質問を終わります。
2022年5月12日(木) 参議院 経済産業委員会
「エネルギー束ね法案」
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、エネルギー使用合理化法等改正案に対し、反対の討論を行います。
4月5日に公表されたIPCCの報告書では、2025年までに世界全体の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要があると示し、将来の技術革新に頼るのではなく、現状ででき得る対策の総動員を促しています。ところが、本法案はそれに逆行し、最大のCO2排出源である石炭火力発電を延命する新たな仕組みをつくるものであり、絶対に容認できません。
反対理由の第一は、化石燃料を使用し、製造過程で大量のCO2を放出するグレーアンモニアも含めて非化石エネルギーと定義して利用を促進し、2050年時点でも最大四十基もの石炭火力を残すことを前提にしたものだからです。
1.5度目標達成のためには切迫した事態に直面しており、G7各国では日本を除き、石炭火力の廃止時期を決め、取り組んでいます。累積排出量も多い日本が石炭火力の廃止を決断することが、国際的に果たすべき最低限の責任です。
質疑の中で、グレーアンモニアからの脱却の時期も示せず、2050年時点でも、現在の世界全体の貿易量の2000万トンを大きく上回る3000万トンのアンモニアを必要量としていることが明らかになりました。世界の脱炭素の流れに逆行するとともに、将来にわたってエネルギーの海外依存を強めるもので、エネルギー自給率の観点からも重大な問題です。
第二は、石炭火力延命のために、新たに巨額の水素、アンモニア、CCSへの設備投資への出資、債務保証をJOGMECの業務に追加し、国費投入の道を開き、巨大商社、電力大手、資源会社の事業リスクを国民に転嫁することになるからです。
JOGMECは、既に投資先の六割が事業を終結し、2800億円もの繰越欠損金を抱えています。さらに、今回、座礁資産となるリスクが非常に高い事業に対し巨額の税金を投入することは、石油公団の二の舞になりかねず、許されません。
世界の流れは、化石燃料への投資から引き揚げ、再生可能エネルギーへの投資へと大きくかじを切っています。省エネ、再生可能エネルギーへの投資は、産業界、日本経済の健全な発展につながるものであり、若い世代、次世代のためへの投資でもあります。
エネルギー政策の抜本的転換を求めて、反対討論といたします。