2022年6月14日(火) 参議院 経済産業委員会「高圧ガス保安法等改正案」
テーマ:安全軽視の規制緩和法案(討論あり)
化学工場検査、事業者任せに/違反を恣意的判断
高圧ガス保安法等改定案が14日の参院経済産業委員会で、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。改定案は電気、都市ガス、高圧ガスの保安検査などの規制を緩和し、今以上に事業者任せを進めるものです。
改定案をめぐっては日本共産党の岩渕友議員の指摘で立法事実の前提となった法令違反の根拠データや政府答弁に誤りが発覚し、審議が1カ月近く中断。萩生田光一経産相が14日の委員会冒頭で、岩渕氏への答弁の誤りを訂正し、謝罪。省を挙げての再発防止策を発表する異例の事態です。
岩渕氏は質疑で、データが恣意的にゆがめられた疑念は払拭できないと追及。改定案の審議で、萩生田経産相が同法に基づく過去10年間の重大事故44件のうち認定事業所が6件、非認定事業所が38件だとした資料を示し「認定事業所の方が事故発生頻度が少ない」と答弁したことを取り上げました。
岩渕氏は、認定事業制度は石油精製など巨大企業を対象としたものなのに、非認定事業所の中に飲食店の料理教室の事故なども入っていると指摘。「個人の事故も入ったデータで、認定事業所の方が事故が少ないというのは事実のねじ曲げだ」と迫りましたが、萩生田経産相は「小さく見せようという意図はない」などと述べるだけでした。
岩渕氏は、事故当時に法令違反が発表されたのに、経産省が「極めて軽微」だとして法令違反に含めなかった事案もあると指摘、同省の恣意的な基準で判断していると批判。このままの採決は認められないと主張しました。
重大な誤り次々発覚/国民の命と安全ないがしろ
高圧ガス保安法等改定案の採決が14日の参院経済産業委員会で強行されました。改定案は、石油コンビナートなど化学工場の保安検査の規制を緩和して事業者任せにし、国民の命と安全をないがしろにするものです。日本共産党の岩渕友議員の追及で改定案の政府根拠データに重大な誤りが次々と明らかになり、審議が中断したままになっていました。
岩渕氏が5月19日の同委員会で明らかにしたのは、同法に基づく「直近10年で累計24件」の違反件数が、実際には400件超に上ったことや、死亡事故を違反として数えていなかった問題です。質問の翌日、委員会の運営に携わる各会派議員の懇談会が開かれ、経産省が〝訂正した〟とする資料が配布され、前日の岩渕氏への政府答弁の誤りが新たに判明しました。さらに27日には、法案策定を議論していた経産相の諮問機関・産業構造審議会の分科会が開き直され、同法に基づく重大事故を示したグラフにさらなる誤りが判明する異例の事態となりました。
萩生田光一経産相は採決当日の6月14日の委員会の冒頭で、岩渕氏への答弁の誤りを訂正して謝罪し、経産省全体での再発防止策への取り組みを発表したものの、規制緩和を進めようとする経産省のデータの信頼性は根底から崩れています。
岩渕氏は反対討論で、事業者への自主保安がいっそう丸投げされ、事前調査や自主検査義務の除外などで公的監視、監督を後退させると指摘。「検証データが恣意的に狭められ、ゆがめられた疑念を払拭できず、このままでは到底納得できない」と批判。「事業者任せの認定事業者制度による自主保安と公的規制の在り方を立ち止まって真摯に検証、総括すべきだ」と求めました。
原発事故/責任認め謝罪、賠償を/岩渕氏、東電に迫る
日本共産党の岩渕友議員は14日の参院経済産業委員会で、初当選以来6年にわたり一貫して取り組んできた東京電力福島第一原発事故被害について、東京電力の小早川智明社長に責任を果たすよう強く迫りました。
ふるさとを奪われた被害者による福島原発避難者訴訟(早川篤雄原告団長)での最高裁による東電の賠償責任の確定を受け、東電はようやく5日、初めて社長名の文書で原告団に謝罪しました。これに対して「被害者を甘くみている」と怒りの声が上がっています。
小早川社長が「原告に限らず広く社会のみなさまに謝罪する立場」と言い訳したのに対し、岩渕氏は「納得できない。被害にあった人に直接謝るべきだ」と厳しく批判しました。また、最高裁で、ふるさと喪失への慰謝料など原子力損害賠償紛争審査会が定める中間指針を上回る損害が認められたことを挙げ、「原告に限らず全ての被害者に同じように損害賠償すべきだ」と追及しました。
小早川社長は、原賠審での議論を踏まえ、国の指導も受け真摯に対応すると述べるにとどまりました。
岩渕氏は、政府が「原発を最大限活用する」としていると批判。原発ゼロの実現、省エネと再エネ導入こそ進めるべきだと主張しました。
質問資料1 衆経産委での経産大臣答弁 【PDF版】/【PNG版】
質問資料2 高圧ガス保安法における重大事故「過去10年間で44件発生」の内訳 【PDF版】/【PNG版】
質問資料3 高圧ガス保安法における認定事業者等一覧(2022年4月18日時点) 【PDF版】/【PNG版】
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2022年6月14日(火) 参議院 経済産業委員会
「高圧ガス保安法等改正案」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
本法案において、電気、都市ガス、高圧ガスの産業保安分野に事業者の裁量を一層拡大する自主保安制度の規制緩和を進めることは、老朽化した石油コンビナート事故を始め、労働者の命や地域住民の安全に重大な危険を及ぼしかねないものです。
ところが、前回の質疑で指摘をしたことを契機として、立法事実の前提となった法令違反などの根拠データと国会答弁の誤り、そして訂正が繰り返されると。これは極めて異例で重大な事態だと言わなくてはなりません。経済産業省が示したデータを本当に信頼していいのかと、信頼性が根底から崩れるものです。先ほども答弁修正があると。こんなことで本当に大丈夫なのかということが今日もまた露呈するわけですよね。さらに、その後の対応見ても、本当に信頼回復には程遠い状況だと言わなくてはなりません。事業者任せの認定事業者制度による自主保安と公的規制の在り方について、もう一度立ち止まって検証、総括をするべきだということです。
まず、重大事故をめぐる問題について質問をします。
資料の1を御覧ください。これは、5月11日の衆議院の質疑で我が党の宮本徹議員が、経産省が2018年に行った委託調査の結果を示して、認定事業所の方が非認定事業所よりも高圧ガス事故の発生頻度が高いというふうに分析されたことを紹介して質問をしました。それに対して、萩生田大臣から、この赤線で引いてあるところですけれども、高圧ガス保安法における重大事故は過去10年間で全体で44件発生しているところ、このうち、認定事業所については6件、非認定事業所は38件となっており、認定事業所の方が非認定事業所と比べて事故発生頻度が少ないと、こういう答弁でした。
非認定事業所は38件というんですけれども、じゃ、この38件がどういう事業所なのかということで、資料の2を御覧ください。これは、審議会でも示された資料ですけれども、過去10年間で44件発生したというその重大事故の44件の内訳なんですね。16番と41番のところに黄色くマーカーしていますけれども、これ個人ってあるわけですよ。これ事業所じゃないじゃないかと。
大臣は非認定事業所だというふうに言ったわけですけれども、これ、事業所だけではなくて個人も入っているというのはどういうことなんでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 委員御指摘のとおり、5月11日の衆議院経済産業委員会において、宮本委員からの御質問に対して私から、高圧ガス保安法における重大事故は過去10年間で44件発生しており、このうち、認定事業所は6件、非認定事業所は38件であるとお答えしましたが、この非認定事業所38件のうち2件は個人による事故であります。個人が含まれているのであれば事業所という表現がおかしいのではないかという多分御指摘だと思うんですけれど、非認定事業所という表現は、認定事業所ではないもの、認定事業所以外のものという意味で申し上げたものでありまして、そこは別に間違っているとは思っていないんですが。
○岩渕友君 じゃ、認定事業所というのがどういう事業所なのかということだと思うんです。認定事業所は今84事業所ありますけれども、業種はどういう業種でしょうか。
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
現在認定を受けている認定事業所は、石油精製を行う事業者や石油化学製品、化学製品を製造する事業者の事業所でございます。また、現行の認定事業者制度における認定要件は検査のための組織等に関するものであり、具体的には、当該事業者がリスクアセスメントを実施する、PDCAサイクルによる保安体制の継続的改善、教育訓練の実施、検査組織の設置、保安・運転・設備管理組織の設置を適切に行うことができるか否かだということでございます。
○岩渕友君 資料の3を御覧いただきたいんですけれども、これは認定事業所なんです。今答弁にあった石油精製であるとか石油化学とか一般化学なわけですよね。
それで、さっき非認定事業所だと、認定事業所にあらずだというふうに言ったんだけど、そのこと問題にしているわけではなくて、認定事業所の趣旨とその認定要件を見てみると、高度な保安能力を有するかどうかということが問題で、例えば本社の保安組織の体制であるとか非破壊検査技術10年であるとか、石油精製、石油化学、一般化学工業の巨大企業を想定したものになっているわけなんですよね。
でも一方で、さっき資料の2で示したような41番の個人というのはこれ飲食店の料理教室でベビーカーの事故が起きたということや、16番については二階建て共同住宅のプロパンガスの事故なんですね。線は引いていないですけど17番なんかはカニをゆでる食品加工の事故で死傷者が出たということで、これ重大事故としてこれ自体は重要なデータだというふうに思っていますけれども、問題は、じゃ、これらがその認定事業制度の規制の在り方とその拡大を検証する本法案の根拠データの検証とどういう関係があるのかということなんですよね。それとも、この料理教室を認定事業所にするということなんでしょうか。どなたかお答えください。
○国務大臣(萩生田光一君) 高圧ガス保安法では、高圧ガスを扱う事業者だけではなくて、高圧ガスを取り扱う一般個人、また高圧ガスに関する事故届の届出対象に個人の人たちもなっておりますので、結果として届出のあったものを一覧として資料を作ったということでございます。
○岩渕友君 今言ったように、認定事業所自身は非常に巨大な企業になっているわけですよね。データをねじ曲げているということに、こういう比較の仕方するということはなるんじゃないかということになっていくと思うんです。
そもそも、審議会に、重大事故は過去10年で44件発生している、このうち認定事業所における事故は6件だ、こういうふうな資料を示したその理由についてお答えください。
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
委員御指摘の審議会資料につきましては、新たな認定制度の在り方を検討するため、過去10年間における高圧ガス保安法における重大事故の発生状況、そのうち認定事業所における重大事故の発生状況といった事実関係をお示しする目的で作成したものでございます。
この結果、事実関係として、高圧ガス保安法における重大事故は過去10年間で44件発生しており、そのうち認定事業所については6件、非認定事業所、すなわち認定事業所ではないもの、認定事業所以外のものにつきましては38件であることが確認されてございます。
他方、この点は、認定事業所における重大事故発生の件数が非認定事業所における重大事故の発生件数よりも少ないから問題はないということではなく、むしろ自立的に高度な保安を確保できると厳しい要件の下で国が認定した事業者において重大事故が完全になくなっていないという事実を重く受け止め、安全の確保に向けて制度を不断に見直しすることの取組を進めていく必要があると考えてございます。
このため、今般の法改正で創設する新たな認定制度では、テクノロジーの活用に加えまして、コンプライアンス体制について厳しく審査をするなど、現行の認定要件を更に厳格化することとしてございます。また、これに加えまして、抜き打ちの立入検査、機動的な認定取消処分など、認定後の行政の監督、監視も強化することといたしてございます。
また、新たな認定制度で要件としているテクノロジーやデジタル技術の活用も法令違反や事故の防止につながると考えてございます。具体的には、デジタル情報を収集、蓄積し情報の一元管理を進めることで、履歴管理による改ざん防止等が働くことが見込まれます。あわせて、テクノロジーを活用することにより、センサーにより収集したデータを分析して設備異常の予兆を検知するなど、事故の未然防止を図ることが見込まれます。
このように、今般の制度改正は現行の認定制度よりも安全確保に向けた取組を強化するものであって、これらの取組を通じて、テクノロジーの活用を促進しながら、産業全体での保安レベルの向上につなげてまいりたいと考えてございます。
○岩渕友君 衆議院の宮本議員の質問で取り上げた2018年の委託調査報告書のように、認定対象候補となる石油精製など、その三業界の事業所と比較するべきだと思うんですよ。何でこれを利用しないのかということなんですね。こうした比較をすると、非認定事業所よりも認定事業所の方が事故が多くなるからじゃないのかと、こういうふうにやっぱり疑念持たざるを得なくなるわけですよね。
過去10年に重大事故を起こした件数44件だと、それを認定か非認定か、それを分けただけだというんだけれども、大臣が、認定事業所の方が非認定事業所と比べて事故の発生頻度が少ないという根拠としてこの個人の事故も入ったデータを使って認定事業所の方が事故発生頻度が少ないというのは、事実をねじ曲げているということになるんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) まず、今回の法案で先生から様々な御指摘いただいて、見直す機会をいただいたと私は思っておりまして、それは感謝したいと思います。
この宮本先生とのやり取りは、別段、恣意的に私何かを申し上げたくてこれを引用したんじゃなくて、高圧ガス保安法における重大事故の届出があったものが44件あって、そのうち認定事業所の数を申し上げたまででありまして、小さく見せようとか大きく見せようとかという意図は全くございません。ですから、ファクトに基づいてお答えをしただけでありまして、逆に宮本先生の方は認定事業所の方の事故の方が多かったじゃないかという分母を、自ら作ったものを提示されたんですけど、私はそれはちょっとすとんとこなかったものですから、この報告のあったものの数で言いました。
仮に、今先生が言っているように、この個人のが入っているじゃないか、だから分母が膨らんでいるじゃないかといって、これを逆に抜いたら、えっ、何でその法律上届出のあった重大事故がここから抜けているんだって多分怒られたと思うんですよ。だから、全くその辺は恣意的な作業をしたわけではございませんので、そこは御信頼いただきたいなと思います。
○岩渕友君 重大事故の分類、A級、B級、C級とあるわけですけど、2016年からB1級以上ということになったんですよね。けれども、例えばC1級事故でも、負傷者5名以下かつ重傷者1名以下の事故だと、爆発、火災、破裂、破損が発生していると、毒性のガスが漏えいした事故だというふうになっているんですね。B1級以上にした理由何なのかと聞いても、ここ全然はっきりしなかったんですよね。この間、経産省とやり取りしている中で、切取り方の問題ですとか、そういうことを何度も言われてきているんですけれども、こういう中で、やっぱりその重大事故少なく見せようとしているんじゃないかという懸念払拭することができないんですよね。
次に、法令違反についても聞きますけれども、直近10年で累計24件の法令違反だと。2012年6月29日のプレス発表を見ると、コスモ石油株式会社の四日市製油所で認定完成検査違反があったというふうにされているんです。けれども、経産省にこれが何で法令違反に入らないのかというふうに聞いたら、極めて軽微な事案だから法令違反には含めませんというふうに回答があったんですよね。
これ、軽微な事案と言うんですけれども、この軽微だというふうにする判断基準というのは何なんでしょうか。
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
経済産業省といたしましては、新たな認定制度の在り方を検討するため、審議会資料の作成に当たりまして、高圧ガス分野における法令違反事案のうち新たな認定制度の検討に資する情報として、法律における認定取消し事由に該当する可能性があるとして検討が行われ認定の取消しに至ったものなどを対象としております。
具体的には、死亡事故が発生したもの、100件を超えるような多数の法令違反を伴うもの、国の行政処分が行われているもの、国の行政文書による注意等が行われているもののいずれかに該当する事案でございまして、この要件のいずれにも該当しないものは軽微な案件としております。
今お話のございました2012年のコスモ石油四日市製油所の事案でございますけれども、これは、事業者により完成検査自体は適正に行われたものの、都道府県に対する完成記録の届出前に誤って設備の使用を行った事案でございます。ただし、翌日には事業者自身がその事実を認識をいたしまして、直ちに設備の使用を停止し違反状態を解消していること、加えまして、自ら都道府県に報告をしていること、こうしたことを考慮いたしますれば、形式的に法令には違反しているものの、軽微な事案であるというふうに考えております。
このように、本事案、あくまで形式的な違反であることに加えまして、その内容が軽微であり、先ほど申し上げました四つの要件のいずれにも該当しないため、審議会の資料で、審議会の資料の集計対象には含めなかったものでございます。
○岩渕友君 これはあくまでも経産省が引いた線だということなわけですよね。その法令違反の中に、認定取消しになったけれども、災害で法令違反がなかったから違反件数には含めないんだと、こういうような回答もあったわけなんですよね。つまり、そういうところも、何というか、経産省の基準で法令違反に含まれたり含まれなかったり、恣意的に行われているんじゃないかという疑念が払拭できないわけですね。
今回、文書の保存期間が5年だから資料を出せないということ何度もあったんですよ。文書の保存期間が5年だと言うけれども、26年ぶりの法改定やろうというときに、これ過去のことを検証できないじゃないかということになると思うんですね。これ整備は必要だということなんです。
で、検証データが恣意的に狭められ、ゆがめられているんじゃないかと、そういう疑念払拭できないと、このままでは到底納得できないということで、この重大事故の44件のデータについてもデータそのものを精査する必要があるし、このまま採決するということを私は認めることはできません。
その上で、残りの時間で東京電力福島第一原発事故のことについて質問をします。
最高裁の判決が確定したということを受けて、福島原発避難者訴訟の原告団に対して東京電力の社長名で初めての謝罪が行われました。この謝罪文の中には、かけがえのない生活、ふるさとに大きな損害を与えた、人生狂わせて、心身共に取り返しの付かない被害を及ぼしたという文言があるんです。それはそのとおりなんですけど、社長が直接謝罪をしなかったということに対して、これだけの事故を起こしておいて社長が来ないのは常識的に考えてあり得ないと、被害者甘く見ているんじゃないかという怒りの声が上がっているんですね。
何で社長が直接原告団に謝罪をしなかったのか。当然するべきだったんじゃないんですか。
○参考人(小早川智明君) 東京電力ホールディングス社長の小早川でございます。
福島第一原子力発電所の事故から11年3か月がたちましたが、当社が起こした事故がもたらした影響の大きさは、深さは計り知れず、事故の当事者としてその責任を改めて痛感するとともに、原告の皆様に対し心から謝罪を申し上げたいと思います。誠に申し訳ございません。
当社は福島への責任を貫徹するために存在しており、私自身、事故を起こした会社の社長として、被害者に、被害に遭われた全ての方に対し謝罪の気持ちを一瞬たりとも忘れたことはございません。私といたしましても訴訟ごとに判決の内容等を確認させていただいておりますが、社長である私は、原告の皆様に限らず、広く社会の皆様に謝罪をさせていただく立場にございます。原告の皆様に対しては、社長である私と同様のしかるべき立場の者から会社として誠実に対応させていただいております。
○岩渕友君 いや、今の納得できないですよ。被害に遭った人に直接謝るべきでしょう。何でそんなことができないということなんでしょうかね。
で、確定した最高裁判決では、中間指針にないふるさと喪失による慰謝料や、中間指針を上回る損害が認められています。当然、原告だけじゃなくて全ての被害者に同じように損害賠償をするということでいいんですよね。社長に確認します。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
各高等裁判所で確定した判決内容に関しまして、原告の皆様の御主張の内容や各裁判所が認定した被害の内容などの精査を進めており、それらが訴訟ごとに異なっていることを確認しております。
当社といたしましては、いたずらに時間を掛けることは本意ではございませんが、公平かつ適正な賠償の観点からも、原子力損害賠償紛争審査会における御議論を踏まえ、国の御指導もいただきつつ、また福島県内においていまだに御帰還できない地域があるなどの御事情もしっかりと受け止め、真摯に対応してまいる所存でございます。
○岩渕友君 今行われている訴訟でも、控訴したり上告したりせずに、すぐ自分の責任を認めるべきだということを指摘しておきます。
政府も、事故も被害も終わっていないのに原発を最大限活用するといって再稼働を加速させようとしています。利益を優先させて、必要な対策を取ってこなかったことへの反省もなく、安全神話を繰り返すということは絶対に許されません。原発ゼロを実現して、省エネと再生可能エネルギーの導入を進めることこそ行うべきだということを述べて、質問を終わります。
2022年6月14日(火) 参議院 経済産業委員会
「高圧ガス保安法等改正案」
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、高圧ガス保安法等改正案に反対の討論を行います。
本法案には、頻発、激甚化する災害への対応策として、小規模な太陽光、風力発電事業者への基礎情報の届出等の義務付けや一般導管ガス事業者への災害時連携計画の策定など、賛成できる措置も盛り込まれています。
しかし、電気、都市ガス、高圧ガスの産業保安分野に事業者の裁量を一層拡大する自主保安制度の規制緩和を進めることは、老朽化した石油コンビナート事故を始め、労働者の命や地域住民の安全に重大な危険を及ぼしかねず、容認できません。
反対理由の第一は、石油精製、化学等事業者による自主保安制度を導入した後も法令違反や重大事故が相次いだこれまでの経験と現状を十分に検証しないまま、産業保安を一層事業者に丸投げしようとするものだからです。
高圧ガス保安法に自主保安の認定事業者制度を導入してから26年がたち、本案はおよそ四半世紀ぶりの法改正です。ところが、この間、高度な保安能力を有するとして大臣認定を受けたものの、重大事故や法令違反により認定取消しが220事業者にも及んでいます。
しかも、質疑で指摘したことを契機に、立法事実の前提となった法令違反等の根拠データと国会答弁の誤りと訂正が繰り返されたことは極めて異例かつ重大な事態です。検証データが恣意的に狭められ、ゆがめられているのではないかという疑念を払拭できず、このままでは到底納得できません。
事業者任せの認定事業者制度による自主保安と公的規制の在り方について、一度立ち止まって真摯に検証を総括するべきです。
第二は、認定高度保安実施事業者に対する高圧ガス保安協会による事前調査や自主検査義務の除外、都道府県への検査記録の届出を不要にする規制緩和が、事故を未然に防ぐ機会を失うのみならず、第三者の監視、監督権限を大きく後退させることになるからです。
石油精製、化学等の大手事業者は、この間、会社再編と事業統合を繰り返し、市場の寡占化が一気に進み、短期的利益優先で保安人員の育成や修繕、改修に係る保安防災関連投資を抑制してきました。最新のテクノロジーの活用は当然のことですが、産業保安の土台をなおざりにしたままでは、保安の高度化、自立化は絵に描いた餅だと言わざるを得ません。
以上、問題点を指摘し、反対討論とします。