テーマ:電気料金の低減策、延長・拡充を
(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は15日の参院経済産業委員会で、電力大手7社の規制料金値上げが「命と暮らしを脅かしている」として、9月まで実施予定の電気料金軽減策について、延長と拡充を求めました。
岩渕氏は、北海道での「年金が電気料金で吹き飛ぶ」「難病患者にとって命にかかわる問題」などの切実な声や、小売業では年間186万円も光熱費が増加したとの調査も示し、「軽減策を打ち切れるような状況ではない」と西村康稔経産相に迫りました。
西村経産相は、電気は国民生活、経済にとって不可欠で、値上げは大きな影響があるとしたうえで、「10月使用分以降については、物価や燃料価格の動向などを踏まえて適切に対応していく」と答弁しました。
岩渕氏は、個人情報閲覧問題やカルテルなど電力大手の相次ぐ不正問題も解決しないまま電気料金の値上げを認めた対応を批判。電力大手との資本関係を保ったまま送配電部門を別会社とする法的分離では中立性が確保できないと指摘しました。
この問題をめぐっては、首相の諮問機関「規制改革推進会議」のもとで定める「規制改革実施計画案」で、電力大手との資本関係を認めずに送配電部門を別会社とする所有権分離の検討を今年初めて明記しました。岩渕氏は「いよいよ所有権分離に踏み出すべきだ」と主張しました。
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2023年6月15日(木) 参議院 経済産業委員会
「外為法にもとづく北朝鮮輸出入経済制裁の承認案件」
○岩渕君 日本共産党の岩渕友です。
北朝鮮制裁承認案件について質問をします。
本件は、2006年7月の北朝鮮による弾道ミサイル発射及び同年10月の核実験を契機に実施をされた我が国独自の北朝鮮に対する制裁措置です。前回、2021年4月の延長時、我が党は、北朝鮮の国際社会の批判を無視した挑発姿勢に鑑みれば、輸出入を全面禁止する本措置は、北朝鮮を6か国協議などの対話の道に復帰させ、問題の平和的、外交的解決を図るための手段として引き続き必要だとして賛成をしました。
延長後も北朝鮮の弾道ミサイル発射は増えています。これは、弾道ミサイルを含め、核兵器関連のあらゆる活動を禁じた累次の国連安保理決議に違反し、航空機と船舶の運航の安全を脅かすのみならず、地域と世界の平和と安定に逆行する暴挙だと言わざるを得ないもので、延長には賛成をするものです。
同時に、岸田総理が一昨日の会見で、日朝間の懸案を解決するために、日朝首脳会談の早期実現に向けて、対話の重要性を強調して北朝鮮に働きかけている、今後更に北朝鮮への働きかけをしていきたいというふうに述べています。これは重要なことだと思います。
大臣、この日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、過去の清算という両国間の諸懸案解決のために、内閣を挙げて対話の努力を強める必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、北朝鮮との関係は、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算をして国交正常化を目指すことが日本政府の方針であります。
とりわけ、拉致被害者の御家族が大変高齢になっておられます。時間的制約があります。この拉致問題、いっときもゆるがせにできない人権問題でもあります。私の地元の有本恵子さん、被害者のお母様も亡くなられ、お父様も大変御高齢になられております。この全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現しなければならないと思っているところであります。
私も、安倍政権時、官房副長官として取り組んでまいりました。まさに、北朝鮮に対しては、厳しい制裁を掛けながら、その中で対話の道も探っていく、このことが必要であるというふうに考えております。そのときの経験で申し上げると、トランプ前大統領、アメリカ大統領も北朝鮮に対して大変厳しい姿勢で臨んでいたからこそ、北朝鮮との対話も実現したものと考えております。
先日、岸田総理、まさに、日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点からの総理の決意をあらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと、旨を述べられ、考えているという旨を述べられました。
私も、この岸田政権での政府の方針の下、私自身のできることを全力で取り組んでいきたいと考えております。
○岩渕君 対話の努力を強めるということが非常に重要なので、そのことを指摘しておきたいというふうに思います。
次に、電気料金について伺います。
大手電力7社による規制料金の値上げ申請が認可をされて、6月1日以降の使用分から適用をされます。政府は、厳格な審査で値上げ幅を圧縮したというふうに言うんですけれども、14%から42%の値上げということになります。激変緩和措置も勘案すると、全ての電力会社でロシアによるウクライナ侵略前の2022年2月水準を下回るか同等の水準というふうにしているんですけれども、激変緩和措置は9月までというふうになっていて、打ち切られれば値上げ分が家計の負担増ということになります。
激変緩和措置によって標準家庭で1か月当たり2800円の負担軽減と試算をされていますけれども、措置がなくなれば電気料金どのぐらい高くなるのでしょうか。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
規制料金の値上げ後の6月使用分の電気料金につきましては、激変緩和事業といたしまして、標準的な家庭で月に2800円の値引き支援を現在実施しておるところでございまして、これに加えまして、規制料金の認可プロセスにおける厳格な査定、2023年度のFIT賦課金の低下分、燃料調整費、燃料費調整額等を加味いたしまして試算しますと、委員からも御指摘がございましたが、値上げ後の料金についても、ほぼ全社でロシアによるウクライナ侵攻前である2022年の2月を下回る水準となっているところと認識してございます。
このうち、激変緩和事業につきましては、9月使用分に対する値引きにつきまして、その引上げ単価を半額に縮小することとしておりまして、これによりまして標準的な家庭における支援額は1400円減少することとなります。
10月以降分、あっ、10月使用分以降については現時点においては特に決まっていないところでございますけれども、その上で、仮にこの激変緩和事業での支援がない場合の電気料金の水準についてのお尋ねでございますけれども、現在、燃料費が相当程度下がってきてございます。
この燃料調整費の下がり分の、ついての影響を加味する必要があるわけでございますが、一定の仮定での試算で申し上げますと、ウクライナ侵攻前と比較いたしまして、値上げをしていない地域を中心にその時点よりも低くなる地域がございます。同程度となる地域もございます。上昇する地域もございまして、数千円から千数百円程度の上昇となる地域もあるわけでございますが、ある程度地域によるばらつきが生じる、こういった状況になるものということが一定の仮定の下では考えられるところかと考えてございます。
○岩渕君 もちろん、いろいろな仮定があるし、下がるところもあるんですけれども、私もいろいろ計算してみると、3000円以上というところもあるんですよね。
当初、政府は、燃料費高騰などが落ち着けば電気料金も下がってくるというふうに説明をしていました。けれども、大手電力以外、例えばソフトバンクといった大手でも6月から新たな料金体系を導入して値上げということになっているんですね。電気料金は、落ち着くどころか全体が引き上がる方向に向かっているんじゃないかということなんです。
電気料金の値上げが命と暮らしを脅かしています。北海道電力は、平均23.22%の値上げになるんですね。道内では、年金が電気料金で吹き飛ぶという声や、難病を抱えた皆さん、難病連の皆さんからは、在宅酸素や人工呼吸器などを使う難病患者にとって電気料金値上げは命に関わる問題だと、こういうふうに訴えがあるなど、10月以降も激変緩和措置の継続を求める強い要望の声が届いているんですね。また、その電気代の高騰が格差を拡大させているわけですよ。
総務省の家計調査では、高収入の世帯では収入に占める電気代の割合が1.3%なのに対して、最も収入の低い世帯は3.5%という結果になるなど、電気代の負担が家計に重くのしかかっているんですよね。この電気料金の激変緩和措置は、命と暮らしに関わる問題だと、とても打ち切れるような状況じゃないということです。
大臣、これ延長はもちろんなんですけれども、拡充もするべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、電気は国民生活及び経済活動に不可欠なものであります。料金の値上げ、国民生活に大きな影響を与えるものというふうに考えてきております。
昨年時点で、規制料金の値上げも念頭に急激な料金の値上げが見込まれたため、昨年10月の総合経済対策に基づきまして、激変緩和のための値引き支援を電気使用量が増える冬場の1月の使用分から前倒しをして実施をしてきたところであります。
そして、この激変緩和措置の扱いについてでありますが、10月使用分以降のことについては現時点においては何か決めているわけではございません。足下ではLNG等の燃料の輸入価格が相当に下がってきているものというふうに認識しておりますが、引き続き、物価の動向、経済動向、また国際的な燃料価格の動向などを踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えているところであります。
○岩渕君 あわせて、事業者の皆さんの実態も非常に深刻なんですよ。
帝国データバンクが4月に行った調査では、22年度の光熱費は企業の8割で増加となっていて、業種別の平均増加額を見ると、小売業が年間186万円で最大ってことになっているんですね。
あるスーパーの社長さんが、電気代の値上げは従業員1人分の給料になる、首にでもしろということなのかということで怒りの訴えを行うなど、電気料金の値上げが中小・小規模事業者の経営を圧迫しています。先ほど大臣が、動向を見ながら検討すると、決めていないと、10月以降のことについてはというお話だったんですけれども、地域の経済にとって欠かせない中小・小規模事業者の皆さんからも怒りの声上がっていると、助けてほしいという声上がっていると。
この地域経済やその経済全体のことを考えても、激変緩和措置の延長、拡充、必要じゃないでしょうか。もう一度お願いします。
○国務大臣(西村康稔君) 中小企業あるいは小規模事業者もこのエネルギー価格の高騰によって物価高に直面しておりまして、厳しい経営環境にあるというふうに認識をしております。
現在行っております激変緩和措置では、御家庭への支援を最優先をして低圧需要家に対して手厚い支援を行うということに加えまして、中小企業の方が多く含まれる高圧需要家についても値引き支援、キロワットアワー当たり3.5円を行ってきているところであります。
あわせて、政府として、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金として7000億円を地方自治体にお配りをしておりまして、これを通じて、地域の実情に応じて、特に需要量の多い特別高圧などの中小企業向けの支援も行ってきております。
さらに、このエネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できる環境をつくっていくということが重要でありまして、今年3月の価格交渉促進月間についての現在フォローアップ調査を、約30万件調査を実施しております。これに基づいて情報公表あるいは指導助言などをしっかり行っていきたいと思いますし、300名の下請Gメンも情報を集めてくれておりますので、業界別に作成しております自主行動計画の改定、徹底への取組も実施したいと思っております。
また、大企業に対しては、経団連始め大手の企業に対してですね、このパートナーシップ構築宣言、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すと、転嫁をしっかり受け入れていただくという、こうした働きかけを行っておりまして、足下で25000社まで拡大をしてきているところであります。
こうした取組を通じまして、価格転嫁ができる環境整備、しっかり図っていきたいと思いますし、資金繰りなど中小企業への支援、しっかりと行っていきたいと考えております。
○岩渕君 とりわけ小規模事業者の皆さん本当に大変なのでね、10月以降もこれ、措置は継続するべきだということを求めます。
そもそも、不正閲覧であるとかカルテルといった大手電力会社の相次ぐ不正問題も解決しないで電気料金の値上げが認められたということに怒りの声が上がっているわけですよ。
不正問題の根幹に関わる発送電分離について、我が党は、電力システム改革の議論の当初から、法的分離では中立性が確保できないと、規制なき独占になる、所有権分離が必要だというふうに主張をしてきました。いよいよその必要性が明らかになってきています。
6日に行われた規制改革関係府省庁連絡会議で、大手電力会社による不正問題を受けて示された規制改革実施計画案に所有権分離の検討が初めて盛り込まれました。計画案には、所有権分離についてどのように書かれているでしょうか、紹介してください。
○政府参考人(野村裕君) お答え申し上げます。
お尋ねの令和5年度の規制改革実施計画につきましては、現在、閣議決定に向けて調整中ではございますけれども、関係府省庁連絡会議で取りまとめました現時点での計画案中の御質問の該当箇所の記載は以下のとおりでございます。
電力システム改革に係る見直し中、電気事業者の組織の在り方の検討。経済産業省は、電気事業者の組織の在り方について、新電力の顧客情報の情報漏えい・不正閲覧事案やカルテル事案等を踏まえつつ、2013年の電力システム改革報告書に基づき、次のような点について引き続き検討する、旧一般電気自動車の送配電部門の所有権分離についてその必要性や妥当性、長所、短所を含めて検討するとの記載としております。
○岩渕君 この計画案に所有権分離を盛り込まざるを得ないような状況になっているということなんですね。大臣に、所有権分離に踏み出すべきだということを求めておきます。
この電気料金の値上げに当たっては、政府が、原発が稼働している電力会社は電気料金が安く抑えられているというふうにしていますけれども、先日、委員会でも取り上げたように、大手電力が発電もしていない日本原電に巨額の支払を行っていること始め、原発に巨額の投資を行っているということが電気料金を底上げしているということです。原発事故後、原発に掛かっているコスト約33兆円、1人当たり約27万円の負担になっているという試算もあります。
脱炭素を妨げて将来世代にツケを回す原発はやめて、省エネ、再エネ中心のエネルギー政策に転換することを求めて、質問を終わります。
<中略>
○委員長(吉川沙織君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
外国為替及び外国貿易法第10条第2項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川沙織君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。