改定「GX(グリーントランスフォーメーション)」推進法が28日の参院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民民主などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党とれいわ新選組などは反対しました。
日本共産党の岩渕友議員は27日の参院経済産業委員会での反対討論で、同法は、二酸化炭素(CO2)排出上限を定め、その過不足を売買できる排出量取引制度を柱としているが、確実な排出削減の「肝」である排出総量(キャップ)を定めず、産業界の要望を丸のみして研究開発分野などに追加の排出枠を認めていると告発しました。
欧州連合(EU)などの各国がキャップを定め、削減目標達成の重要な推進力にする一方、政府は同法が排出削減にどの程度貢献するかを示せず、火力発電所増設にあたり無償で排出枠を追加割り当てする仕組みまであると批判しました。
日本の想定炭素価格は、パリ協定の温暖化抑制目標「1・5度目標」に整合する推計価格の10分の1程度にすぎず、必要な排出削減に至らない可能性が高いと指摘。EUなどの各国の「カーボンプライシング」は炭素に価格を付け排出削減を強力に推進することが目的だが、同法は原発推進と化石燃料延命を含むGX経済移行債の財源確保が主な目的だと断じました。
質疑では、GX経済移行債がドイツなどの「グリーン国債」と比べ高い価値がつかず、原子力や化石燃料の延命策が含まれるため投資に二の足を踏む投資家もいると指摘。「市場からも一定の理解を得られている」などと強弁した武藤容治経済産業相に対し岩渕氏は「国際的に通用しないGXに固執せず石炭火力発電廃止、原発ゼロで、再エネの導入を」と主張しました。
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217-参-経済産業委員会-011号 2025年05月27日
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、資源有効利用促進法について質問をいたします。
その前に、今回法案がGX推進法改定案との束ね法として提案をされていますけれども、本来はそれぞれ時間を掛けて議論するべきだということを私からも指摘をしておきたいというふうに思います。
それで、法案ですけれども、法案では、資源法改正の理由として、二酸化炭素の排出が多い素材産業を中心に、再生資源の利用拡大による資源循環の強化を通じて、製品のライフサイクル全体での排出削減を進めるための制度的措置を講じるというふうにしています。
けれども、大前提として、大量生産、大量消費、大量廃棄の問題があります。日本は世界第二位の資源輸入国なんですよね。一人当たりの年間輸入量は中国の三・二倍になっています。資源採取量が急増をしています。このままでは、このまま素材の需要が増え続けると、たとえエネルギー最大効率化とか再エネ転換を実現しても、鉄鋼、セメント、アルミニウム、プラスチックによる温室効果ガスの発生が増加し続けるということになります。資源の大量採取を前提にしたままでは、素材生産だけで一・五度未満の達成に残されたカーボンバジェット超過してしまうんですよね。
大臣にお聞きしますけれども、本法案では資源循環強化のための制度設計を提案していますけれども、大前提である新たな資源の採取の最少化、これを、法の目的を定める第一条、そして第二十九条にこれ明確に位置付けるべきではないでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 委員御指摘の新たな資源採取の最少化ということは、資源法の重要な目的の一つであります。
循環型社会形成の基本方針を定める循環型社会形成推進基本法において、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減する旨が規定されております。これに基づき、資源法では、企業に対して天然資源の投入量の削減につながるリデュース等を具体的に求めているところです。
また、今般の改正で措置します再生材利用義務の強化、また環境配慮設計の促進等も、新たな天然資源の投入量を削減をし、資源採取を最少化することが可能となります。今回の改正を通じて、企業活動における資源循環をより一層強化をし、天然資源の消費抑制に貢献してまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 新たな資源の採取の最少化、大事だというお話だったので、これ明確に位置付けるべきだというふうに思うんですね。
資源循環の強化を目指していますけれども、資源採取、消費は現在年間約一千億トンです。それに対して、リサイクルは約百億トンで、技術的なポテンシャルが完全に活用されたとしても循環されるのは三割から四割というふうにされているんですね。素材のリサイクル、部品の再生だけじゃなくて、第二十六条で製品全体の再生、リユースを対象に含めるべきではないでしょうか。
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、製品全体をリユースしていくことは、脱炭素化の観点に加えましてリデュースなどにもつながるものでございまして、製品の効率的、長期的な利用を通じて資源生産性の向上に大きく貢献するため、極めて重要だというふうに考えております。こうした点を踏まえまして、製品のシェアリングやリユース、さらには修理して使うことにより長期利用を促進するなど、いわゆるサーキュラーエコノミーコマースを促進したいと考えているところでございます。
このため、今回の法改正におきましてサーキュラーエコノミーコマース事業者の類型を新たに位置付けまして、資源の有効活用等の観点から満たすべき基準を明確化することでその健全な発展を促進していくこととしているところでございます。これによりまして、適切な規律の下で製品の長期利用ですとかリユースなどを通じた資源の有効な利用を促進してまいりたいと考えてございます。
○岩渕友君 EUの廃棄物管理政策では、環境保全の視点から、リサイクルよりもリユース、さらに発生抑制を優先するべきだというふうにされていて、これは世界的にも共有をされているわけですよね。
これ、サーキュラーエコノミーを推進するために、解体、分別しやすい設計、長寿命化につながる設計、これが重要です。
第二十九条に、対象事業者が取り組むべき事項ということで、設計段階、この設計段階を明記するべきではないでしょうか。
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
環境配慮設計に係る設計指針、これ法律上は資源有効利用・脱炭素化促進設計指針と申しますけれども、この設計指針は、ライフサイクル全体での環境負荷低減に資する特に優れた製品設計を促進するため、まさに委員御指摘の製品の設計において事業者が取り組むべき事項を定めるものでございまして、設計指針という名称もその趣旨で付けているところでございます。
その上で、実際の設計指針の中では、設計において講ずべき措置であることを明記することを想定してございます。具体的な設計指針の内容につきましては、環境配慮設計の高度化に向けて、関係する事業者と密にコミュニケーションを取りながら検討していきたいと、このように考えてございます。
○岩渕友君 修理可能性も組み込んで長寿命化が可能な設計にすることで資源の流れる速度を遅らせていく、さらに、リユース、リサイクルの優先順位で廃棄と生産をつないでいくということが重要です。
このことを指摘して、ここからはGX推進法の改定案について質問をしていきたいと思います。
前回の質疑で、排出枠の割当ての問題で追加排出枠について質問をいたしました。この排出枠の設定に関わって、石油連盟が、排出量取引制度の制度設計ではエネルギー転換部門としての役割に十分配慮することが必要というふうに要望をして、日本鉄鋼連盟は、今後の指針策定に向けては引き続き業界と丁寧な対話プロセスをいただきたいというふうに要望しています。また、経団連ですけれども、排出枠の割当てに関し、過去の削減努力、カーボンリーケージの防止、GXに関する研究開発投資を勘案する方針に賛同をする、こういう意見を述べているんですね。まさに、この産業界の要望どおりの制度設計が進められています。
排出量の割当ての方法で最も公平になるというふうに言われているのがオークション、オークションです。改定案では、二〇三三年度以降に開始となる発電事業者への排出枠が有償配分ですけれども、それ以外の事業者も早期に有償に移行するべきではないでしょうか。
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘の有償オークションに関しまして、その導入に当たりましては、代替技術の導入可能性等を踏まえつつ、国民生活や産業への影響を踏まえて対象業種等の制度設計を行うことが重要だと考えてございます。有償オークションによりましてカーボンリーケージが発生すれば、国内の産業基盤に悪影響を与えることに加えまして、世界全体の排出量を削減する観点からも望ましい事態とは言えないというふうに考えてございます。
その上で、発電部門、これ対象になります発電部門でございますけれども、排出量の四割を占め、脱炭素の重要性が高く、再エネなどの商用化された代替技術を有しているという特徴がございます。諸外国でも、発電部門において先行的に有償割当てを導入している一方、産業部門におきましては無償割当てが行われているものと承知をしております。
このため、我が国におきましても、発電部門を対象にすることが適切と判断をいたしまして、二年前の現行GX法でそのように規定をしているところでございます。現時点でそれ以上に対象業種を拡大させるとの方針があるわけではございません。
○岩渕友君 EUでも、二〇一二年までは九割が無償割当てだったんですけれども、二〇一三年以降は全体の五七%がオークションになっています。
さらに、外部クレジットの問題について伺います。EUの排出量取引制度でも、クリーン開発メカニズム、CDMですね、から安価なクレジットが大量に流入をしたことが炭素価格が下がることにつながって、温室効果ガスの排出量削減効果を抑えてしまうということになりました。
こうした教訓から、この外部クレジットの扱いについては過度な利用は抑制するべきではないでしょうか。
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
我が国のGX実現のためには、この法案の排出量取引制度の対象者のみならず、中小企業等の幅広い主体が脱炭素投資を行うためのインセンティブを高める観点も重要だと考えておりまして、外部クレジットをこの制度において活用できるようにすることも一定の役割を果たすものであるというふうに認識をしてございます。
このため、この制度では、排出実績の算定に当たって、国が運営する制度に基づき、品質が担保されたJ―クレジット、そしてJCMクレジットという二つの外部クレジットについては活用可能とする方針でございます。
委員御指摘の海外制度におきましても、例えばカリフォルニアや韓国は、一定の範囲でこうした外部クレジットの活用を認めているものと承知をしております。他方で、御指摘のEUにおきましては、制度開始当初は外部クレジットとして京都議定書に基づく国際的なカーボンクレジットの使用を認めていたものの、大規模なクレジットの流入が炭素価格の低下の一因になったとして、その使用を認めない方針に転換したというふうに承知してございます。
我が国におきましては、二つの外部クレジットのみは利用を認める方針でございますけれども、その活用の在り方は、こうした諸外国の状況を踏まえつつ、事業者の脱炭素投資を促進していく観点から検討していきたいと、このように考えてございます。
○岩渕友君 今後検討するということでしょうけれども、過度な利用は抑制するべきです。
今もちょっと答弁ありましたけど、JCM、二国間クレジットの活用を想定しているというふうにしていますけれども、このJCMの事業では、アジアなどで化石燃料を延命するための事業が含まれるなどの問題もあるということを指摘しておきたいというふうに思います。
次に、化石燃料賦課金の問題について質問をします。
この化石燃料賦課金について、減免規定、配慮規定が検討されていますけれども、負担額は政令委任で、これ経産省の裁量に委ねられるということになるわけですよね。結局は、事業者に負担とならない水準に抑え込まれることになるんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) GX実現に向けて、国内の事業基盤の縮小や撤退、また国民負担の過度な負担増大を招かないように制度設計することが重要だと思っております。こうした観点から、化石燃料賦課金における減免措置ですけれども、石油石炭税と同一の扱いとなるよう今後適切に決定をしていく方針です。
仮にこの減免措置を講じない場合ですが、脱炭素に関する代替技術を有しない事業者は海外に製造拠点を移転せざるを得ないなど、我が国経済や雇用への悪影響を及ぼすおそれがあるところです。こうした事業者につきましては、必要な減免措置を実施しつつ、代替可能な技術の開発、実装に向けた投資支援策を講ずることを通じて、むしろ脱炭素のための大胆な投資を可能とすることで排出削減を進めていくことが可能と考えているところです。
なお、減免措置を講じたとしても、我が国における石油燃料利用に伴う二酸化炭素排出の約八割は、引き続き化石燃料賦課金の適用対象となる見込みであります。付け加えました。
○岩渕友君 これ、最小限の負担で化石燃料を使い続けたい財界や大企業の要望に応えるものになりかねないと思うんですね。
審議の中で、我が国は経済成長と両立する形で排出削減に向けた取組を進めていくという答弁がされています。経済成長が強調されているように思えるんですね。ただ、EUなどでは、脱炭素と経済成長が両立するデカップリングという現象が見られています。なので、排出削減と経済成長は対立するものではないわけですよね。
成長志向型カーボンプライシングとして、排出量取引制度と化石燃料賦課金の収入はGX経済移行債の財源としています。この国債で移行債を発行しているのは日本だけなんですね。ドイツやフランスなどが発行するグリーン国債は、銀行や一般企業が発行するESG債よりも高いプレミアムで、グリーニアムが付く場合がほとんどです。一方、GX経済移行債ではグリーニアムが発生しないというふうに報じられているんですね。GX政策に原子力開発や化石燃料の延命策などがあって、ESG投資を重視する投資家の中には二の足を踏むところもあるからだというわけですよ。
こうした指摘を大臣、どう受け止めていらっしゃいますか。
○国務大臣(武藤容治君) グリーニアムの件で御質問いただきました。
通常の国債とGX経済移行債の個別銘柄であるクライメートトランジション利付国債、いわゆるCT国債との利回りの差に関しては、両者が同じ年限、同じタイミングで発行されているわけではないので、単純な比較は困難である点に留意が必要だと思っています。
その上で、CT国債の資金使途でありますけれども、第三者評価機関の評価も得た上であらかじめ国内外の投資家にしっかり説明をしているところであり、市場からも一定の理解を得られているものと認識をしています。また、例えば今委員御指摘の原子力でありますけれども、カナダやフランスのグリーン国債でも対象になっておりまして、日本のCT国債だけが特殊というわけではないということで考えております。
いずれにしましても、引き続き、幅広い投資家に丁寧に説明をしてまいりたいと思っているところです。
○岩渕友君 支援の対象には、脱炭素だけではなくて低炭素も含まれているんですよね。投資がCO2を多く出す産業を延命させるんじゃないかという懸念が示されています。
クライメート・インテグレートという気候政策のシンクタンクがGX経済移行債の資金使途を分析しています。それを見ると、二〇二三年度にはアンモニア混焼事業が含まれていませんでしたけれども、二四年度には水素やアンモニアと既存燃料との価格差支援を、価格差を支援する事業が含まれていること、グリーンイノベーション基金に関する充当額の明細がない事業が十三もあって、情報が不透明だというふうに指摘をしているんですね。こうした実態を見ると、GX経済移行債に対する不信感はより増すんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
そして、二〇二五年度のGX推進対策費、エネルギー予算の分析を見ると、二四年度と比較して、化石燃料と原子力の割合が急増する一方で、再エネ予算は全体の四%と非常に少ないことが指摘をされているんですね。これではエネルギー転換進まないんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) GXの経済移行債の開示情報について御指摘を、民間シンクタンクかな、受けているところであります。
また、昨年末に政府が公開をしたレポートにおきましては、代表的事業について、資金充当状況に加えて削減効果のインパクトを試算するなど、積極的な開示を行ってきているところであります。投資家からも好意的な反応を得ていると認識をしています。GI基金で支援をしています個別事業の予算規模につきましても、産業構造審議会での審議を経て決定をされて、これは順次公開をしております。このように、十分な情報を開示していると認識をしております。
また、予算の使途につきましては、御指摘のシンクタンクは、化石燃料分野に水素、アンモニア、CCUSを含めて定義をされておられるようで、政府とは異なる集計をされているものと認識をしているところです。政府としては、水素やCCSは脱炭素社会を実現する上で不可欠な分野と考えており、予算を増額して対応しているところであります。
また、ガソリン等の価格支援を化石燃料分野として計上していると推測をされますけれども、この事業は、足下の物価高に苦しむ国民の皆さんの現状に対応すべく措置をしているものであります。ただ、脱炭素に向け、いつまでも続けるべきものではないと考えているのはいつも答弁させていただいているとおりです。
今後とも、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を図るため、適切に予算措置を講じてまいりたいと思っているところです。
○岩渕友君 イギリスでは、一九八〇年代、石炭火力発電が電力の七割を供給していたわけですけれども、昨年九月に完全にフェードアウトしたわけですね。この二十年間で再エネが急速に拡大をして、約五割にまでなっています。
これ、脱炭素の移行というのであれば、国際的に通用しないグリーントランスフォーメーションという政策に固執するんじゃなくて、石炭火力発電の廃止、原発ゼロ、再エネの導入こそ目指すべきではないでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 政府としては、GX実現に向けた取組を通じて、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を目指していく方針の下、二〇五〇年ネットゼロに向けて、二〇三五年度六〇%、二〇四〇年度七三%削減という一・五度目標と整合的で野心的な目標を掲げてきております。
その上で、DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、それに見合った脱炭素電源を国際的に遜色のない価格で十分確保できるかがまさに国力を左右する状況にあると。脱炭素電源を拡大をしながら、我が国の経済成長や産業競争力強化を実現できなければ、雇用の維持や賃上げも起こらないようになると思っているところです。
政府としては、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などの脱炭素電源を最大限活用してまいります。また、火力発電についても、水素、アンモニアですとかCCUS等を活用した脱炭素化を進めながら、エネルギー安定供給と脱炭素の両立に向けて引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○岩渕友君 石炭開発を止めるという決断をしないから、使い続ける制度設計になるんですよね。
エネルギー政策の転換求めて、質問を終わります。
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○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、GX推進法及び資源法改正案に反対の討論を行います。
地球の平均気温上昇は、昨年、産業革命前より一・五五度の上昇が報告されました。既に気候変動による災害が多発し、健康への影響も懸念されています。現在どのような対策を取るかが将来世代にも大きな影響を与えることになり、一刻も早い温室効果ガスの排出削減と化石燃料からの脱却が不可欠です。
ところが、本法案は化石燃料を使い続けることを前提としており、パリ協定に基づく排出削減目標と整合性がないばかりか、国際的に見て極めて不十分な我が国の排出削減目標さえ達成できる裏付けがないものであり、容認できません。
反対理由の第一は、本法案の柱である排出量取引制度が、確実なCO2排出削減に必要な総排出量、キャップを定めない上に、産業界の要望を丸のみして、業種特殊性や研究開発分野に追加の排出枠を認めているからです。EU始め各国では、制度の肝であるキャップを決め、気候危機の深刻化に対応する削減目標達成のための重要な推進力と位置付けています。
一方、質疑の中で、本法案が排出削減にどの程度貢献するか不明であるだけでなく、化石燃料の発電所増設に当たり、無償で排出枠を追加割り当てすることまで明らかになりました。排出削減どころか化石燃料延命を後押しするものであり、到底許されません。
第二は、想定炭素価格が一・五度目標に整合する推計価格の十分の一程度にすぎず、必要な排出削減が起こらない可能性が高いからです。EU始め各国のカーボンプライシングは、炭素に価格を付け、排出削減を強力に推進することを目的としていますが、本法案ではGX経済移行債の償還財源を主な目的としています。成長志向型カーボンプライシングとしていますが、カーボンプライシングとは言えないものです。
第三は、化石燃料賦課金の具体化に当たり、政令委任の減額規定を置いていることです。経産省に白紙委任することになり、化石燃料を使い続けたい産業界の要望に応えるもので、脱化石燃料、再エネへの転換を妨害するものにほかなりません。
原発推進と化石燃料延命含むGX経済移行債に対し、国内外問わず不信感が示されています。GXが国際的に通用しないことはいよいよ明らかになっています。
原発ゼロ、石炭火発の全廃を決断し、省エネ、再エネに予算と施策を集中してこそ、世界にも将来世代にも責任を果たせることを指摘し、反対討論といたします。
