青森県六ケ所村にある日本原燃の廃棄物管理施設で海外から返還された高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の一時貯蔵が始まってから今年で30年になります。県、村、日本原燃が結んだ協定で貯蔵期間は30~50年間とし、電気事業者が期間終了後に搬出するとしています。日本共産党の岩渕友議員は12日の参院経済産業委員会で、搬出期限の約束を守るめども立てずに、核のゴミを増やす「原子力の最大限活用」はありえないと、政府の姿勢をただしました。
同村の廃棄物管理施設には、全国の原発から出た使用済み核燃料をフランス、英国で再処理して返還された「ガラス固化体」が1830本貯蔵されています(表)。
岩渕氏は、市民団体「核のゴミから未来を守る青森県民の会」が先月の集会で「搬出の期限を守れ」「約束を守れ」と国と事業者に求めたことを紹介。「なし崩し的に貯蔵期間が延長され、結局、青森県が核のゴミ捨て場にされるのではないかと(参加者が)懸念を持っている」と指摘しました。武藤容治経産相に事業者各社にどんな指示をしているかを質問すると、武藤氏は「搬出期限の順守と、必要な取り組みの検討を要請し、電気事業連合会会長は『必要な具体的な取り組みを検討する』と回答した」と答弁しました。
岩渕氏は「事業者まかせではだめだ。30年をすでに過ぎているのに、これから検討するというのは何もしていないということ」と強調。武藤氏は「期限順守のため、取り組みを検討させることを守らせたい」と答えるのみでした。岩渕氏は「約束を守らせるのは国の責任」と重ねてただしました。
岩渕氏は「何の見通しもないにもかかわらず、『原子力の最大限活用』などありえない」と述べ、原発ゼロを求めました。
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217-参-経済産業委員会-014号 2025年06月12日
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
本承認案件は、二〇〇六年七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射及び同年十月の核実験を契機に実施をされた日本独自の北朝鮮に対する制裁措置です。
防衛省に確認をしたところ、前回措置が実施をされた二〇二三年の四月の十四日から今年の四月十三日までの二年間に北朝鮮による弾道ミサイル等の発射回数は二十三回に上ります。これは、弾道ミサイルを含め核兵器関連のあらゆる活動を禁じた累次の国連安保理決議に違反をし、航空機と船舶の安全を脅かすのみならず、地域と世界の平和と安定に逆行する暴挙だと言わざるを得ません。
拉致、核、そしてミサイルといった諸懸案の包括的な解決にとって重要なのは、二〇〇二年の日朝平壌宣言だと考えます。我が党は、この制裁措置が、いわゆる制裁のための制裁ではなく、北朝鮮を六か国協議に戻して日朝平壌宣言に基づく対話の道に復帰をさせて、問題の平和的、外交的解決を図るための手段としてとられた措置であることから、延長に賛成をしてきました。
初めに、日朝平壌宣言の意義について伺います。
○政府参考人(大河内昭博君) お答え申し上げます。
日朝平壌宣言の意義ということでございますけれども、まずもって、日朝平壌宣言、これ、日朝双方の首脳の議論の結果として日朝関係の今後の在り方を記したと、こういうものでございます。さらに、両首脳により署名をされた文書であると、このような意義も指摘できると思います。
○岩渕友君 更に付け加えて言いますと、この日朝平壌宣言では、日朝間の不幸な過去を清算して、国交正常化を早期に実現させるためにあらゆる努力を傾注することというふうにもしているんですね。この宣言は、現在に至るまで北朝鮮側も否定をしていません。宣言を踏まえた働きかけこそ、北朝鮮を対話の道に復帰させる上で重要だというふうに考えます。
本承認案件に関してなんですけれども、人道目的に該当をするものについては輸出入の禁止措置の例外というふうにされています。具体的に、経産省は、国連、国際赤十字等の機関に対して無償で輸出される医療品、食料、衣料等などというふうにしているんですね。この例外に基づいて、二〇一六年の夏に北朝鮮で発生をした大規模水害、このときには、日本赤十字社が被災者支援のために国際赤十字・赤新月社連盟に一千万円を拠出したというふうに報道をされています。これについて承知をしているでしょうか。
○政府参考人(大河内昭博君) 御指摘の報道、承知してございます。
今委員から御指摘ございましたとおり、二〇一六年に北朝鮮の北東部で発生した水害被害に対して、日本赤十字社が国際赤十字連盟等を通じまして一千万円の資金援助を実施したと、こういうことにつきましては我々も承知しているところでございます。
○岩渕友君 今承知しているというふうに回答ありましたけれども、人道上の配慮が講じられているということです。
それで、大臣にお伺いをするんですが、北朝鮮による軍事的挑発のエスカレーションを抑えて、この日朝平壌宣言に基づいて長年の懸案を解決するためには、この北朝鮮との対話に向けた努力こそ重要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 北朝鮮に対する基本方針でありますけれども、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものであります。
石破総理は、日朝平壌宣言の原点に立ち返り、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国、そして北朝鮮との諸問題の解決に向け、断固たる決意の下、総力を挙げて取り組んでいくことを述べられています。こうした総理のお考えを踏まえて、北朝鮮側に対しても様々なルートで様々な働きかけを行っているものと承知をしています。
同時に、我が国は北朝鮮に対して非常に厳しい措置を講じており、経済産業省としては、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、北朝鮮との間の輸出入禁止などの措置を厳格に実施してまいりたいというふうに考えています。
○岩渕友君 対話の努力がやっぱり重要だということと、北朝鮮との外交ルートの確立に向けた努力こそ急務だということを述べておきたいというふうに思います。
次に、この核に関連をして、高レベル放射性廃棄物をめぐる問題について質問をしていきます。
青森県の六ケ所村にある日本原燃株式会社の廃棄物管理施設に、フランス、英国から返還をされた高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体が搬入をされてから四月二十六日で三十年ということになりました。
青森県と六ケ所村、日本原燃の三者による協定書では、第三条で、管理期間について、ガラス固化体の一時貯蔵管理期間は、ガラス固化体を貯蔵管理センターに受け入れた日から三十年間から五十年間として、管理期間終了時点でそれぞれのガラス固化体を電力会社に搬出させるものとするというふうにしているんですね。
この六ケ所村の日本原燃高レベル放射性廃棄物貯蔵センターに貯蔵をされているガラス固化体の総数と電力会社ごとの本数、内訳ですよね、これがどうなっているか教えてください。
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターにおきましては、本年五月現在、合計千八百三十本のガラス固化体が貯蔵されております。
このガラス固化体について、電力会社別の内訳を申し上げますと、北海道電力が六本、東北電力が二十本、東京電力が三百七十二本、北陸電力が六本、中部電力が百九十五本、関西電力が七百九十六本、中国電力が七十本、四国電力が百十一本、九州電力が百八十七本、日本原子力発電が六十七本と承知しております。
○岩渕友君 今答弁があったように、総数でいうと千八百三十本だと。今答弁があったように、関西電力と東京電力がもう突出して多いという状況になっているわけですよね。
五月十三日に、核のゴミから未来を守る青森県民の会の方々が国会内においでになって集会を開いて、国と事業者に対して、この搬出の期限を守れ、約束を守れということを迫っています。この集会に私も同席をしました。皆さんは、なし崩し的に貯蔵期間が延長をされて、結局、青森県が核のごみ捨場になるんじゃないのかという懸念を持っていらっしゃるんですよね。皆さんがおっしゃる青森を最終処分地にするなという要求は、これ当然のことだというふうに思います。
それで、大臣は、この日本原燃を始めとする原子力事業の各社の社長に対して搬出期限を守るようにという指示を行っています。どのような指示を行って、それに対してどういった返事があったのでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 御指摘の高レベルの放射性廃棄物についてですが、日本原燃と青森県及び六ケ所村の協定によりまして、先生御指摘のとおり、管理期間は受け入れた日から三十年から五十年間とされております。その後は、電気事業者に搬出させるものと承知をしております。
本年四月に開催をしました使用済燃料対策推進協議会において、私から各事業者のトップに対し、搬出期限の遵守、そして必要な取組の検討を要請したところであります。これに対して、電気事業連合会の会長から、提出期限を遵守するために必要な具体的取組について検討していく旨回答がございました。
引き続き、国としては、事業者が地元との約束をしっかり遵守するよう、しっかりと指導してまいりたいと思って考えております。
○岩渕友君 今の大臣の答弁から考えると、大臣が指示した中身を電気事業連合会の会長がそのまま返してきたということになると思うんですね。それで、約束の期限は、もちろん五十年ということはありますけれども、三十年から五十年なので、既に過ぎているわけなんですよ。だけど、その返事を聞くと、具体的な取組についてはこれから検討だというわけですよね。これ、結局は、期限迎えているんだけれども、何もしていないということになるんだと思うんですよ。
実際、その集会の中で参加者の皆さんから、どういうロードマップになっているんだと、一体どういう計画になっているんだということが質問されたわけですけれども、実際、事業者はこのロードマップを示すことができなかったんですよね。根拠もないのに、根拠も示すことができないのに、この搬出期限を遵守するためなんだと、遵守するんだというふうに言われても、それ本当に約束守れるのかと、守るつもりがあるのかと、そういうふうな思い持たれて当然だというふうに思うんですね。大臣もそう思いませんか。
○国務大臣(武藤容治君) 先ほどお答えさせていただきましたけど、まずは、地元に搬出期限をお約束した事業者自身が、この期限遵守のためにどのような取組が必要か、まずは検討する必要があろうかというふうに考えているところです。
したがって、先ほど申したとおり、電気事業連合会の会長からの回答もありましたけれども、これはもう必要な具体的取組について検討していくとの発言がございましたので、これを引き続き、国としてもしっかりと検討を進めていただけるように指導してまいりたいというふうに考えているところであります。
○岩渕友君 国としても守らせるようにということなんですけれども、国も事業者任せじゃ駄目だと思うんですよ。だって、もう国も当事者そのものだというふうに思うんですよね。だけど、その参加をした集会の中では、経産省は、事業者に対して要請しています、指導していますというふうに回答を繰り返すだけで、もう当事者は事業者だと言わんばかりの他人事の対応に終始したんですよ。
これ、大臣に伺いますけれども、約束は守らせるということでよろしいですね。
○国務大臣(武藤容治君) ありがとうございます。
繰り返しになりますけれども、もうとにかく期限遵守のために、どのようなまず取組が必要かを検討していただくことをしっかり守らせていきたいというふうに思っています。
○岩渕友君 取組と検討ももちろん守らせるんですけど、期限を守らせるというのが約束なので、この約束を守らせるということでよろしいですね。
○国務大臣(武藤容治君) まずは結果を出していただけるように、しっかり対応していきたいというふうに思います。
○岩渕友君 結果は何で出すかというと、期限を守らせるということで出すわけですよ。なので、これやっぱり期限守らせなくちゃ駄目だということなんですよね。
大臣、もう一言、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) 引き続き、検討、指導してまいりたいと思います。
○岩渕友君 搬出期限を守らせるというのは国の責任だということなんですよね。
そもそも、この核のごみの最終処分場をどこにするかということも決まっていないわけですよ。約束の五十年に当たる二〇四五年までに最終処分場への搬出開始、とてもできないんじゃないかと思うんですけど、大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) これも、搬出期限について、日本原燃と青森県及び六ケ所が結んだ約束の上で成り立っている話だと思います。
事業者がこれ遵守するように、国としてはしっかり、引き続きしっかりと指導していきますが、可能な限り早期に最終処分地に関するめどを付けられるよう、全国の自治体を、これも今まで先生にもお話ししてあると思いますけど、個別訪問する全国行脚など、全国の自治体に向けていろんな活動をしてきておりますし、文献調査地域の拡大に向けて、ここも国が前面に立って取り組んでまいりたいというふうに考えているところであります。
○岩渕友君 まあ、搬出など到底できないというのが現実です。現実を直視しない姿勢で住民の理解など進むはずないという声が上がっています。
核燃料サイクルの政策、破綻は明らかなわけですけど、その見通しもないにもかかわらず原子力の最大限活用というのはあり得ないということで、原発ゼロを求めて、質問を終わります。