2021年4月7日(水) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」省庁別審査①
日本共産党の岩渕友議員は7日の参院決算委員会で、国100%出資の国際協力銀行(JBIC)によるベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業への融資の撤回、今後の石炭火力発電輸出への公的資金支援を一切の例外を設けずやめるよう迫りました。
ブンアン2への融資は、「地球環境保全」を目的とした枠組みを利用しており、国際的に厳しい批判の声が上がっています。岩渕氏は「脱炭素推進の名目で石炭火力発電への支援を行うことは許されない」と批判。JBICの前田匡史総裁、麻生太郎財務相はともに「政府間の約束で実施するもの」「厳格化した輸出要件にも合致している」と強弁しました。
岩渕氏は、昨年末に決定した新方針「脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援」について、「脱炭素」を掲げながら石炭火力輸出支援を続けるものだと指摘。「パリ協定の目標との整合性がとれず、化石燃料の座礁資産リスクも高い」「4月中旬開催の気候変動サミットも控え、石炭火力発電の輸出を続けるのか」と迫りました。小泉進次郎環境相は「国際情勢などを見ながら関係省庁と調整し、不断の見直しは必要だ」と述べるにとどまりました。
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質問資料1 原発除染事業 事業者による「すみ分け」【PDF版】【画像版】
質問資料2 石炭火発輸出への公的支援案件(パリ協定以降)【PDF版】【画像版】
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質問資料3 JBICが融資を行った石炭火発案件(2015年度~2020年度)【PDF版】【画像版】
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2021年4月7日(水) 参議院 決算委員会
「2019年度決算ほか2件」省庁別審査①
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
まず、日本貿易保険、NEXIの黒田社長にお聞きをいたします。
NEXIをめぐっては、法令で禁止されている投資先への資金運用を行っていたという貿易保険法違反の問題が昨年十月に発覚をし、二月に債券売却が行われました。対象となっている外国政府及び国際機関の発行する有価証券ではない、認められていないドイツ復興金融公庫債が二〇一八年十一月から三回にわたって購入をされていました。問題はこれだけにとどまらず、二月に保険料の誤徴収が明らかになっています。
この問題を受けて、貿易保険法改定案を参議院先議で審議することが衆参の議運理事会で決定をしていたわけですけれども、国会への提出を見送るという前代未聞の事態になりました。
今回の問題についてどのように認識をしているでしょうか。
○参考人(黒田篤郎君) 当社が起こしてしまいましたKfW債の保有と保険料誤徴収の問題につきましては大変深刻に受け止めておりまして、誠に申し訳ないと考えてございます。株式会社日本貿易保険の代表取締役社長として心からおわびを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
現在、これらの問題につきましては、既に公表のとおり外部弁護士による調査委員会を設置して徹底的な調査、検証を進めているところであります。今後、調査結果が明らかになり次第その内容を公表するとともに、その結果を踏まえて再発防止策を徹底していく所存でございます。また、当面の対応としては、KfW債につきましては既に二月二十二日までに売却を完了してございます。
保険料誤徴収の問題につきましては、過大徴収で御迷惑をお掛けしたお客様に今月中に全額をお返しする予定でございます。
いずれにせよ、当社が起こしてしまいましたこれら二つの問題によって貿易保険法の改正案の提出の見送りという重大な結果を招くことになってしまったことを心から厳粛に受け止めております。改めてこの場でおわびを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
○岩渕友君 NEXIは、保険の申込みや審査をする社内システム開発の業者選定をめぐる不正入札事件で三十三億円の損失を出して、二〇一九年に事件に関わった元顧問が逮捕をされて罰金百万円の略式命令が出されています。この問題をめぐって、NEXIは三十三億円は特別損失として準備金を減額し補填をしたんですけれども、政府が全額を出資して実質的な税制優遇も受けているNEXIのこの対応に、内部統制に甘さがあった、民間企業なら経営陣に損害賠償請求訴訟が起きる案件だと専門家などが厳しい指摘を行っています。
こうした事件が起きて会社の立て直しが行われている最中に起きたのが、認められていない債券の購入であって、二年もの間見抜くことができなかったということなんですね。社長の責任が問われる重大な問題です。
さらに、今回の法令違反はNEXI内での内部監査を契機に分かったことなんですけれども、疑義の提起を受けて昨年の十月二十八日にNEXIから貿易保険監理官に次のことを文書で照会しているんです。
ドイツ復興金融公庫が発行する債券については、以下の理由により貿易保険法施行規則第十七条の定める外国政府の発行する有価証券の対象として認められるものと考えるとして、対象として適当と考える理由が二つ書かれているんですね。内部監査で疑義が提起をされても、これが法令違反に当たるという認識がなくて、むしろ対象になりますよねって確認をする内容なんですね。
社長、これは法令を自分たちの都合のいいように解釈をしているということになるんだと思うんですよ。こうした姿勢そのものが問題ではないでしょうか。どうですか。
○参考人(黒田篤郎君) お答えいたします。
このKfW債の問題につきましては、おっしゃるとおり内部監査グループの長から私に指摘がございまして、そこについては疑義があるということでございます。
そこで、私としては、この疑義というのは経産省令に違反する疑義ということでございますので、経産省令の有権解釈権のある経産省に直ちに相談をするようにということを指示したところでございます。
○岩渕友君 今そういう答弁だったんですけれども、法令違反という認識がなかったということは事実なわけなんですよね。
徹底的な調査、そして公表はもう当然なんですけれども、それとともに、経済産業省と経産大臣の監督責任も非常に重大なんですね。引き続きこの問題について追及をしていきたいと思います。
次に、東京電力福島第一原発事故による除染をめぐる問題について聞きます。
原発事故から十年がたちました。今もふるさとに戻ることができない方々は少なくとも八万人以上とも言われています。将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域以外の避難指示は解除されたわけですけれども、今も多くの方々が避難生活を強いられています。帰還困難区域の中には、避難指示を解除して居住を可能とする特定復興再生拠点区域、これが定められているんですけれども、帰還困難区域全体でいうと八%しかないんですよね。
そこで、環境大臣にお聞きするんですが、これ、除染をせずに避難指示を解除する方針が決定しているわけですけれども、除染は避難指示解除の大前提であって、こういう方針認められないんですね。拠点以外の除染も今すぐやってほしい、こう被害者の皆さん言っていらっしゃいますけれども、この願いは当然のことです。
拠点外の除染をすぐにでも行うべきだということはもちろんですけれども、本来なら森林始め全面的な除染を行うべきだと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 拠点外の対応と、こういったことについては、各自治体の置かれた状況がそれぞれありますので、しっかり各自治体の意見を尊重しながら、政府内の全体として方針の検討を加速化していきたいと考えています。
○岩渕友君 各自治体ということなんですけれども、やっぱり被害者の皆さんが除染やってほしいと、これがやっぱり大前提だということで、将来どれだけ時間が掛かっても避難指示解除すると約束しているので、その大前提である除染をしっかりやってほしいということを強く求めておきたいと思います。
原発事故の処理費用は膨らんで、政府は約二十一・五兆円掛かるとしています。そのうち除染に四兆円、中間貯蔵施設に一・六兆円掛かるとしています。中間貯蔵に関わる費用は国が負担をして、除染費用は東京電力が負担をするということになっています。原子力損害賠償・廃炉等支援機構から、政府が発行する国債を原資にした資金交付を東京電力受けているわけですね。
除染特措法による土壌等の除染、汚染廃棄物処理事業、中間貯蔵施設事業の三つの事業について、最新の事業実施済額、東京電力への求償額、支払額の総額は幾らになっているでしょうか。
○政府参考人(森山誠二君) お答え申し上げます。
除染、廃棄物処理、中間貯蔵施設事業に係る費用につきましては、令和元年度までに約四兆一千億円を支出しているところでございます。そのうち、東京電力に対しまして約三兆四千億円の求償を行い、東京電力からは約二兆九千億円が支払われているところでございます。
○岩渕友君 今のような実態だということなんです。
そこで、大臣にお聞きするんですけれども、東京電力が支払う分はもうすぐにでも全額求償をするべきだし、これすぐにでも支払わせるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず一点目の御質問につきましては、全て東京電力に求償をしていく。そして、二つ目については、工事関係書類の量が膨大なため、東電において書類の確認に時間を要していることもありますが、この放射性物質汚染対処特措法に基づく措置に要する費用は全て東京電力から支払われるものというふうに認識をしています。
求償の加速化に努めて、東京電力に速やかな応諾を求めてまいります。
○岩渕友君 事故を起こした東京電力がやっぱり汚したものなので、これしっかり求償をすぐにでも、加速化という話もありましたけれども、するべきだし、すぐにでも支払わせるべきだと。東京電力にきちんと責任を果たさせることが必要です。
除染は、かつてない公共事業になっているんですね。除染に関わるお金は除染マネーというふうにも言われていて、ブラックボックスになっています。
資料の一を御覧ください。
これは、しんぶん赤旗日曜版が二〇一八年の六月に掲載をした記事なんです。国が直接除染を進める除染特別地域の工事をめぐって、ゼネコンが自治体ごとにすみ分けるという形で談合していて費用が増大しているのではないかという問題を取り上げたものなんですね。この構造は今も変わっていないんです。
環境省から提出をしてもらった一月三十一日時点の除染工事発注リストを見ると、例えば浪江町は、平成二十五年度から令和二年度までの八事業全てで安藤ハザマが受注をしています。双葉町でも平成二十七年度から令和二年度の五事業全てが前田となっています。しかも、入札参加者数が一者、落札者だけの一者応札もあって、双葉町では五事業のうち四事業が一者応札ということになっているんですね。
そこで、大臣に伺うんですが、これ一者応札ということになると不当に高値になっているということも考えられるんですね。そんなことがあっていいのかということと、不当な高値のままこれ求償をしているということになるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、環境省では、除染事業の実施に当たって、透明性、競争性を確保した入札手続により適正に受注者を決めているところであります。
一者応札の割合が多かったという理由につきましては、線量の高いところで安全性を確保しながら長時間の作業を行うこと、これが一つ目、そして、数千人の作業員を集めなければならず、加えて被災地内で宿舎及び通勤手段の確保が必要であること、これが二つ目、そして三つ目が、被災家屋の個々の状況に応じた手作業の作業であって労務管理に多数の監督員を確保する必要があること、こういった特殊性があって、こうした事業を受注できる事業者は限定されるため、結果として一者応札が多くなったと考えられます。
なお、同じ会社が同じ市町村の除染工事の入札に参加した理由については環境省としては承知する立場にはありませんが、工事実績のある会社が同じ市町村で再び仕事をしたいと考えること自体は不自然なことではないと考えています。
一者応札の多さに関しては、除染という事業の特殊性も勘案しなければならないと考えていますが、一般論としては、やはりより多くの会社が入札に参加することによって競争性が高まった方がいいと考えています。
環境省では、より多くの者の応札を促す観点から、入札参加要件の緩和や分割発注といった改善策を講じてきました。これらにより、二〇一二年から二〇一七年に行われた現在の避難指示解除済地域の除染では約七八%だった一者応札の割合が、二〇一七年から進めている特定復興再生拠点区域の除染では、今年一月末時点で三五%まで低減しているところであります。
引き続き、透明性、競争性を確保しながら、適切な予算執行に努めてまいります。
○岩渕友君 今いろいろ答弁いただいたんですけど、不当に高値になっているかもしれないというやっぱり疑問は晴れないわけなんですよね。
除染をめぐっては、ゼネコン社員による自治体への水増し請求が行われ有罪となる事件があったり、除染作業員の宿泊費をめぐる宿泊人数と宿泊費単価の引上げによって三千万円もの費用が水増しされるなど、様々な問題が起きてきました。除染をめぐる詐欺や申告漏れは少なくても十五件、その総額は四十億円にも上るといいます。
除染をめぐって、現在どのような検査が行われているでしょうか。検査院、お答えください。
○説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。
会計検査院は、令和元年六月十日に参議院決算委員会から、国会法の規定によりまして、福島第一原子力発電所事故に伴い放射性物質に汚染された廃棄物及び除去土壌等の処理状況等について検査の御要請をいただいております。
具体的な検査の内容といたしましては、除染の取組等の状況、放射性物質に汚染された廃棄物及び除去土壌等の処理状況、中間貯蔵施設に係る事業の実施状況、放射性物質に汚染された廃棄物及び除去土壌等の最終処分への取組状況の四事項とされたところでございます。
御要請を受けまして、会計検査院は六月十一日に、会計検査院法の規定に基づきまして、当該検査を実施する旨を参議院議長宛てに御通知申し上げたところでございます。
現在、環境省等を対象として検査を実施しており、検査及びその結果の取りまとめができ次第、速やかに報告することとしたいと考えているところでございます。
○岩渕友君 もう一問お聞きするんですが、先ほど紹介をしたような福島県内で行われている国直轄除染に関わる一者応札の問題など、その除染に関わる不正がないか検査する必要があるんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。
会計検査院は、これまで環境省における除染工事等につきまして、合規性、経済性、効率性等の観点から検査を実施しております。
工事の入札、契約につきましては、競争性、透明性及び公正性に十分留意し、随意契約等の契約方式の適否や契約相手方の選定理由の妥当性等について、また工事の施工につきましては仕様どおりに適正に行われているかなどにつきまして検査を行っております。また、工事費につきましては、その算定が実際の作業に即したものとなっているか、積算基準等に照らして適切に積算が行われているかなどについて検査を行っております。そして、これらについて不適切な事態が見受けられた場合には検査報告に掲記するなどしているところでございます。
会計検査院といたしましては、今後も引き続き除染工事の適正性や工事費が適切かなどについて留意して検査を実施してまいりたいと、このように考えているところでございます。
○岩渕友君 今いろいろ答弁いただいたんですけれども、先ほどお話をしたような福島県内の除染特別地域に関わる検査というのはされていないんですよね。
そこで、委員長にお諮りしたいと思うんですけど、国会法第百五条に基づいて、東京電力福島第一原発事故に伴い放射性物質に汚染された地域における国直轄除染事業等除染三事業の入札、落札、契約額といった受注状況について、会計検査院に対して検査要請をするべきと考えます。
お取り計らいお願いいたします。
○委員長(野村哲郎君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
○岩渕友君 三月十日の「NHKスペシャル」で「徹底検証 ”除染マネー”」という特集が放送をされました。福島環境再生事務所の元所長は、なぜ行政はチェックできなかったのかという問いに、人員体制の拡充を求め続けたが不十分だった、一つ一つの書類を見て確認する体制がなく、元請の責任でやるしかなかったと証言をしています。環境省の元事務次官も登場するんですけど、検証が不十分なまま費用が増えていったとして、事業のやり方自身についても反省点はいっぱいある、結果として、試行錯誤したので大変な事業になってしまったというふうに述べているんですね。
そこで、大臣、環境省として、除染が適切に行われてきたのかどうか検証するべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 結論から申し上げれば、しっかり対応しなければならないと思っています。
もちろん、環境省、福島の原発事故があってから、新たな責務として、除染、中間貯蔵、大変大きな事業を抱えることになって、その中での困難な面というのはやはりあったと思います、苦労も。そして未経験ですから。ただ、そういうことは言い訳になりませんので、不正事案、不適正事案によって復興事業に対する国民の皆さんの信頼が揺らぐということがあれば、それは福島県民の皆さんや復興に対して前向きに取り組んでいる方の思いをくじくことにもなりかねませんので、これはしっかりと対応したいと思います。
環境省としては、平成二十七年度決算、そして平成二十八年度決算に関して参議院より警告決議を受けて、受注業者に対する指導、建設業界に対する企業統治の強化などの要請、事務所組織の見直しなどの措置を講じました。
会計検査院の指摘に対してもその都度対応を行っており、平成三十年、そして令和元年には指摘を踏まえて積算基準の見直しを行いました。
また、平成二十五年から平成二十九年まで、外部有識者を委員とした適正化推進委員会を開催をして除染事業の適正化推進に努めてきたところであって、契約違反や法令違反などの不適正な行為を行った事業者に対しては指名停止を行うなど、厳正に対処してきたところであります。
不正事案、不適正事案は大変遺憾でありますが、引き続き適切な積算基準の設定や不適正な行為を行った事業者に対する厳正な対処によって適正な業務執行を図っていきたいと思います。
○岩渕友君 これ、検証をしっかりやってください。
それで、原賠機構が東京電力に交付する除染費用について、国は東京電力の株式売却益で賄うとしています。けれども、柏崎刈羽原発をめぐって、IDカード不正事件や核物質防護設備の一部喪失が少なくても一か月以上にわたって継続していたというあってはならない大問題が起きているんですね。
これを受けて、原子力規制委員会は東京電力に是正措置命令を出しています。東京電力は不祥事をもう繰り返していて、是正措置ではなく設置許可の取消しをするべきだと、原発動かす資格などないと言わなくてはなりません。
四兆円の費用を賄うためには一株千五百円での売却必要なわけですけれども、現在の株価は三百円台で到底届いていないんですよね。東京電力の状況を見ればもう当然のことです。東京電力の事業計画である新々総特では、新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働が株価を上げるために必要だとしているんですけれども、再稼働など到底見込める状況ではありません。
株式売却益は本来国庫に入れるものです。除染費用に充てるのは筋違いです。国は原発事故に関わる費用を電気料金や税金で賄う仕組みつくってきました。これは、東京電力の責任を曖昧にして東京電力を救済するものであって、国民に原発事故のツケを押し付けることになります。原発事故の反省、教訓というのであれば、原発ゼロの決断こそ行うべきだということを強く求めます。
次に、石炭火力発電の海外輸出を公的資金で進めている問題について質問をします。
気候変動をめぐって、十六日に行われる日米首脳会談でも大きな課題として議論をされる、二十二日からは気候変動サミットが行われます。今年はCOP26が開催をされて、日本ではエネルギー基本計画の見直しも行われます。石炭火力発電を国内でやめることはもちろんなんですけど、海外への輸出もやめる、政策を大本から切り替えるべきです。
石炭火力発電をめぐって、世界的には投資を引き揚げるダイベストメントが広がって、石炭火力に投資、融資はしないと宣言する金融機関も増えています。日本でも、原発事故を受けて、原発や石炭火力発電などをやめて再エネへと転換する国民的な世論の大きな流れが起きています。
国連のグテーレス事務総長が三月二日に行われた脱石炭連盟サミットに寄せたメッセージで、気温上昇を一・五度に抑える目標を達成するためには、石炭火力発電について、OECD加盟国は二〇三〇年までに、それ以外の国も二〇四〇年までに段階的に廃止するということを求めています。さらに、主要排出経済国の指導者に対して、本年中の最も早い機会に石炭への自国の国際的な資金支援の終了を表明するよう求めています。
そこで大臣に伺うんですけれども、小泉大臣は気候変動問題担当も兼務をするということになりました。国連の事務総長からのこうした要請をどう受け止めているのでしょうか。さらに、気候変動サミットに向けてどのように取り組んでいくのでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、私は、国連の指摘は指摘として、要請としても受け止めながら、自国の政策は自国の判断によって決める、これは当然だと思います。
そういった中で、私が安倍内閣で環境大臣になって石炭政策の見直しに進めてきたのは、石炭の批判に覆われて、本来日本が国際的に売れるはずの技術、そして評価をされてしかるべきなことが評価されないということは、日本の国際的なものとして私は不利益の方が大きいと思いました。
そして、政府内の調整は大変でしたが、最終的に、昨年、インフラ輸出の戦略を原則、海外への今後の石炭輸出、これは支援をしないということで経産省等も含めて合意はしたところでありますし、今日はJBICの前田総裁もいらっしゃいますが、JBICの前田総裁におかれましても、まさにその当事者の、一つのプレーヤーですから、そういった中で、今後はないというような発言もされております。
そういった中で、日本の気候変動対策、そしてカーボンニュートラルへの誠実な実効性のある取組というものが評価されるように政府全体の調整を行うと、そういったことが私の担当としての役割です。
○岩渕友君 米国のケリー大統領特使が、二月に小泉大臣との電話協議で政府による支援停止を要求したと、こういう報道もあるわけですね。
ところが、公的機関である国際協力銀行、JBICですよね、NEXI、そして、国際協力機構、JICAによる石炭火力発電の輸出に公的資金投入する流れというのは変わっていないわけなんですよ。
石炭火力発電の輸出支援をめぐる方針について、昨年末に作られたインフラシステム海外展開戦略二〇二五はこれまでの方針とどこが違うのかを簡潔に説明してください。
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
昨年十二月に、まさに経協インフラ戦略会議でインフラシステム海外展開戦略二〇二五が決定されました。この中では、世界の実効的な脱炭素化に責任を持って取り組むという観点から、今後新たに計画される石炭火力輸出支援の厳格化を行っております。
これは大変長いものですが、簡潔にということですので簡潔に申し上げますと、今回の石炭火力輸出支援の見直しでは、世界の脱炭素化をリードしていくため、相手国のニーズを深く理解した上で、風力、太陽光、地熱等の再生可能エネルギーや水素、エネルギーマネジメント技術、CCUS、カーボンリサイクルなどのCO2排出削減に資するあらゆる選択肢の提案や、パリ協定の目標達成に向けた長期戦略など、脱炭素化に向けた政策の策定支援を行い、途上国の実効的な脱炭素化を促していくといったことを基本方針としております。その上で、石炭火力の部分については対象を厳格化しております。
いずれにしましても、相手国のエネルギー政策や気候変動政策に関与を深めることで脱炭素化を促していくというこの基本方針を踏まえて、脱炭素社会の実現をリードしていきたいというふうに考えております。
○岩渕友君 脱炭素を掲げながら、でも結局は石炭火力を支援するという部分では変わらないわけなんですね。
今回、その戦略の中には、日本の最先端技術を活用した環境性能がトップクラスのものでIGCCなど導入支援するということなんですけれども、国内で今後商用運転開始を予定しているところ、どこかあるかというと、勿来のIGCCパワーと広野のIGCCパワーが二〇二一年から運転開始予定だと。で、実証中のところで広島県の大崎クールジェンが実証中だということで、これ稼働もしていないということなんですよね。
昨年の決算委員会で、ベトナムのブンアン2の融資決定、これやめるべきだというふうに質問をしました。資料の二を御覧いただきたいんですけれども、ところが、そのブンアン2のところを見ていただくと、昨年末の十二月二十八日に融資が締結されているんですね。
ここでJBIC総裁に聞くんですけど、なぜ融資の決定を行ったんでしょうか。
○参考人(前田匡史君) 私どもは政府関係金融機関ですので、常に融資に当たってはその政府の方針との整合性というのを確認しながらやっております。
このブンアン2石炭火力発電事業は日越の首脳会談において二度取り上げられておりまして、いわゆるBOT三案件と言われているものの最終的な案件なんですが、二〇一七年六月と二〇一八年五月ですが、いずれも協力を確認するということで両首脳で合意されています。
ベトナムは高い経済成長でございまして、二〇一六年から二〇二〇年までも六%台の経済成長と、向こう二〇三〇年までにも六・五%を目標とするということで、そういうことで、電力需要は年率一〇から一一%程度増加していく見込みでございます。
ベトナム政府は、国民生活に必要な喫緊の電力需要に応えるべく、電力供給能力の拡充を国家の優先課題としておりまして、本事業をベースロード電源として経済社会発展に貢献するものと位置付けております。
先ほど経済産業省からも答弁ございましたけれども、脱炭素化に向け着実な道をたどるためには、相手国のエネルギー政策や気候変動政策に深くエンゲージすると、単にダイベストするだけではなくてですね、エンゲージして、長期的な視点を持ちながら実現可能なプランを提案するということで相手国の行動変容や気候変動問題へのコミットメントを促していくことが必要だと考えております。
私自身も二〇一九年五月にハノイに行きまして、当時のグエン・スアン・フック首相、現在国家主席、それからファム・ミン・チン共産党の中央組織委員長、現在首相等にお会いいたしまして、ガス火力への転換であるとか再生可能エネルギーなど、環境負荷の低い、より高い技術、電源への転換を強く促しまして、フック首相、それから、あっ、フック当時首相ですね、今国家主席も強く賛同しておられました。
こういう経緯もございまして本事業に対する融資を決定したものでございますけれども、先ほど御答弁のありました経協インフラ戦略会議で決定されましたインフラシステム海外展開戦略二〇二五、これにおけます厳格査定要件、これの下でもこのブンアン2はこの厳格査定要件に適合しているというふうに判断をいたしております。
こういうことで本事業に対する融資を決定したわけでございますけれども、今後とも、相手国のニーズに応えながら、環境負荷の低い、より高い技術の方に誘導するということは引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 ブンアン2は、これまでも国際的な批判を受けている事業で、環境影響評価の不備、気候変動対策との整合性など多くの問題が指摘をされてきました。
一月二十五日には、三十九か国百二十八の団体がJBICに対してブンアン2への融資決定の撤回を求める要請書を提出しています。JBICだけではなくて、総理、財務大臣始め関係省庁に対しても公的支援の撤回求めています。
さらに、ブンアン2めぐっては、JBICが成長投資ファシリティーの質高インフラ環境成長ウインドウを通じて融資を行うこととしています。このファシリティーは麻生大臣が創設をしたもので、大臣は環境保全に貢献する幅広いインフラプロジェクトを支援するとしています。
これ、質高インフラ環境成長ウインドウの実施要領骨子では、対象案件について、温室効果ガス等の排出削減又はその他地球環境保全目的に資する案件というふうにしているんですね。この対象に何で石炭火力発電が入るのでしょうか。
○政府参考人(神田眞人君) お答え申し上げます。
二〇一八年に閣議決定されましたエネルギー基本計画におきましては、低炭素型インフラ輸出を積極的に推進する一環として、石炭火力発電の輸出に関する支援要件が定められてございました。二〇二〇年一月から本年一月まで運用されていた御指摘の質高インフラ環境成長ウインドウにおいては、こうした政府全体としての方針に従いまして、途上国を中心に質の高いインフラ整備を支援する観点から、同計画が定める全ての要件を満たす石炭火力発電事業に限って支援対象としてきたところでございます。
他方、昨年七月におけるインフラシステム海外展開戦略二〇二五、何度か答弁が既にございましたが、この骨子の策定以降におきましては、この骨子に従いまして、厳格化された石炭火力発電の輸出支援の要件を満たすことが支援要件とされてきたものでございます。
○岩渕友君 地球環境保全目的としながら、石炭火力発電排除されていないということなんですね。これについては、国際的にも厳しい批判の声が上がっています。
このウインドウは廃止になって、一月にポストコロナ成長ファシリティーというのが新しく新設されたんですけれども、この新設のファシリティーに設けられた脱炭素推進ウインドウの実施要領骨子の対象案件も全く同じ中身になっているんですね。対象案件同じなんですよ。だから、脱炭素推進ウインドウといいながらも石炭火力発電事業への支援が行われていると。こんなことあってはならない、世界中から批判されることになります。
昨年の決算委員会で、JBICが融資しているインドネシアのチレボンの拡張案件について取り上げましたけれども、この問題でも、現地の皆さんが環境問題を抱えていたり、なりわいに影響があったり、本当に非常に重大な問題があったわけですね。石炭火力発電所、一度建設をすれば三十年以上稼働することになります。
グテーレス国連事務総長が求める、石炭火力発電をOECD以外の国でも二〇四〇年までに段階的に廃止しようという提案、これ実現しようと思えば、座礁資産となって相手国の国民の重い負担になるということになります。
資料三を御覧ください。JBICが融資を行った石炭火力発電の案件は、二〇一五年度以降だけでもこれだけあるわけですよね。
JBIC総裁にお伺いしますが、世界の流れから考えても、ブンアン2の融資を今からでもやめるべきではないでしょうか。
○参考人(前田匡史君) お答えいたします。
今委員の御示しなされた費用は非常に正確な資料でございます。ここにありますブンアン2、先ほども答弁いたしましたけれども、超超臨界圧ということで、これ厳格化されました要件にも適合している案件ということで、本来であれば技術的ですとか経過措置ということが言えたんですけれども、これは新要件にも適合している案件ということでございます。
あくまでも、その日本政府の方針との整合性を確認し意思決定したものでありますし、それから両首脳間で合意されているという点もございますので、現段階でどうこうするということについては特段考えておりませんけれども、引き続き、環境負担低減技術等に関する具体的なプランを提示しながら、相手国の行動変容やコミットメントを促していくと。
これは、そうすることによって相手国の方も新しい技術へのアペタイトというのは湧いてくるというのもこれは事実でございますので、実際、ベトナムの方は、政府の働きかけ、私の方の、私からの提案を受けて計画を変更したと、全体の計画をですね、そういうこともございますので、やはりエンゲージメントというのは有効であると私は考えております。
○岩渕友君 国内外の環境団体からは、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言して気候変動対策すると言いながら、海外に石炭火力発電輸出するのは深刻なダブルスタンダードだと、こういう厳しい批判の声が上がっているわけですね。
麻生大臣に伺うんですが、ブンアン2の融資、こうした世界の流れから見れば、今からでもやめるべきではないでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、JBICの総裁、その前、神田国際局長の方から話があっておりましたけど、このブンアン2の石炭火力発電所のJBICが融資というのは、これは日越の両国の首脳で、少なくとも合意を踏まえて、昨年の十二月にいわゆる現地事業会社との間で融資の契約を締約をしたんだという具合に承知をいたしております。
少なくとも、両国間の首脳で合意に基づいた、でき上がったものを私どもの話で一方的に破棄をしろというお話ですけれども、相手国とのこれは信頼関係の基本にもなりますので、十二月に契約したものを四月になって破棄するという、常識じゃ考えられぬとも思っておりますし、今の、今の上では、私どもは、極めて合法的な話になっているものを一方的に私どもの理由で破棄するというのはいかがなものかと正直思います。
○岩渕友君 石炭火力発電が座礁資産になり得ると、相手国のやっぱり負担になり得るということなんですね。これ、やめるべきだと思います。
こうした問題があってもなお石炭火力発電の輸出進めるのかと、気候変動担当大臣としてそれでいいのかということを最後に環境大臣に伺います。
○国務大臣(小泉進次郎君) インフラ輸出の在り方については、国際情勢なども鑑みて、不断の見直し、検討が行われているところでもありますので、環境省としても、関係省庁と必要な意見をしっかりと言っていきたいと思いますし、今後十分に議論していきたいと考えています。
○岩渕友君 石炭火力発電の輸出ではなくて、相手国が望む再生可能エネルギーへの支援こそ行うべきだと、このこと強く求めて、質問を終わります。