参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会は6日、TPPと食の安全・安心をテーマに参考人質疑を行いました。参考人から「TPPは、日本の食の安全に対する不安を増幅させるものだ」(天笠啓祐・日本消費者連盟共同代表)など懸念が相次ぎました。日本共産党の岩渕友議員が質問しました。
天笠氏は、TPPで設置される遺伝子組み換え食品に関する作業部会について、「情報共有化」の名目で日本の安全審査が緩められる恐れがあると指摘。「食品添加物については外国の安全審査での代替がすでに行われているが、遺伝子組み換え食品でも同じことが起きかねない」と述べました。
天笠氏はまた、TPPが求めている輸入食品の“通関時間”の大幅短縮や、食品表示などに対する利害関係者の介入についても懸念を表明。「安全審査と表示の厳格化を求めてきたが、TPPによって逆行する動きがでてくるのではないかと心配している」と語りました。
食品添加物メーカーに勤務経験のある鈴鹿医療科学大学の中村幹雄客員教授は、輸入業者と輸出元との対等な関係がTPPで大きく崩れると主張。「海外から認可要求や圧力が強まる一方、データ提供などの協力は得にくくなる。遺伝子組み換え技術が使われている事実を把握せずに輸入することにもなりかねない」と指摘しました。
奈良県立医科大学の今村知明教授も、日本の輸入食品の検疫体制について「全く足りていない」と断言しました。
岩渕氏は、東京電力福島第1原発事故で被害を受けた福島県の農家による安全・安心の回復に向けた努力を紹介し、TPPの影響を質問。天笠氏は、TPPが「聖域」とされたものも含め、大部分の農産物の関税を撤廃するとしていることを挙げ、「復興に向けた努力が無に帰す可能性がある」と語りました。