(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は、14日の参院政府開発援助(ODA)等に関する特別委員会で、参院ODA調査第3班としてアフリカ・ケニア共和国とルワンダ共和国に派遣された(昨年9月下旬)ことを受け、ODAに関わる人権侵害や環境破壊問題への姿勢や、NGOに対する国の体制拡充について認識をただしました。
岩渕氏は、政府が「インフラシステム輸出戦略」として原子力発電や石炭火力発電の輸出を進めていることについて、〝石炭火力などからの資金の引き揚げ〟という世界の流れに逆行すると批判し、「人権侵害や環境破壊が現地で深刻な問題となっていることは重大」と指摘しました。岩渕氏は「再生可能エネルギー分野でこそ日本の役割を発揮すべき」と強調しました。
佐藤正久・外務副大臣は「特別な条件に限り質の高い高効率石炭火発を支援していきたい」としながらも、再エネの重要性への認識をしめしました。また「人権侵害については問題点があれば、改善していきたい」と答えました。
さらに岩渕氏は、NGO予算の増額とNGOからの情報や政策提言を生かす体制整備の必要性を主張しました。佐藤副大臣は、19年度予算案での「一般管理費」の最大15%への引き上げなどをしめし「NGOは極めて大事なパートナーと考えている」と応じました。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
ODA調査派遣の第三班のメンバーとしてケニア共和国とルワンダ共和国に派遣をしていただきました。派遣を通して感じたこと、そして意見を述べた上で、副大臣にお聞きをしたいと思います。
ODAを取り巻く環境の新しい変化の一つに、地球温暖化とその背景にある環境資源問題への世界的な関心の高まりがあります。国連でもSDGs、持続可能な開発目標が全会一致で採択をされて、社会、経済、環境に統合的に取り組むとしております。
今回の調査の中で、ケニアのオルカリア地熱発電所に伺いました。ケニアでは、発電設備容量に占める再生可能エネルギーの割合が約六七%ということで、火力発電所が約三三%なんですけれども、これを大きく上回っています。このうち地熱発電の発電設備割合は約二七%なんですけれども、ケニア政府は、先ほど報告にもあったように、地熱のポテンシャルに注目をしていて、地熱発電による発電設備容量を二〇三〇年までには更に増加させるということを目指して今取り組んでいるところです。
再生可能エネルギーを使った安定的な電力供給確保のためのインフラ整備にODAが役割を果たしていると。そして、発電タービンなどで日本の技術力が役割を発揮しております。世界の流れを見ても、再生可能エネルギーの分野でこそ日本の役割を発揮することが求められていると思います。
一方、政府は、インフラシステム輸出戦略ということで、二〇一〇年には約十兆円だった海外のインフラシステムの受注を二〇二〇年には約三十兆円まで拡大するということを目標に掲げて、原発であるとか石炭火力の輸出に力を入れています。
温暖化対策から、世界では今、石炭火力への新たな投資は減少しつつあることに加えて、機関投資家の間でも石炭火力事業から資金を引き揚げるダイベストメントが起きています。その中で、日本が最新鋭型だから例外だという立場で輸出を進めようとしていることや、日本が関わる案件での人権侵害や環境破壊が現地で深刻な問題になっているということは重大だと考えています。
ケニアのモンバサ港の整備では、港の拡張に当たって地元の人を雇用していると、地元の建設資材を使っていて、漁民の方々が代替地での漁業を継続しているというようなことをお聞きをしました。ODAに関わって人権侵害や環境破壊があってはならないと思うんですけれども、どうでしょうかということが一点です。
また、NGOが果たす役割が今大きくなってきている中で、予算の増額やNGOの情報、そして政策提言などを生かすことができる体制を整える必要があると思いますけれども、どうでしょうかということについてお聞きします。
○副大臣(佐藤正久君) 御質問ありがとうございます。
今回、ケニアの方の御視察いただいて、まさに地熱発電、再エネの重要性というのを確認いただいたと、それにODAの方も関与しているということを評価していただき、本当にありがとうございます。
日本政府としても、再生可能エネルギー、これに対する取組というのは当然、SDGsという観点からも大事ですし、気候の変動への対応という観点も大事だということで、今回のTICADⅦ、この八月であります、に行うTICADⅦにおいても、あるいはG20、六月のG20においても、この気候変動とかあるいは再生可能エネルギー含めてこれは一つの重点分野としておりまして、日本の国内における視察の中にもそういう再生可能エネルギーの実際、現場というものも組み入れているという方向にもありますということをまず御理解いただいた上で、じゃ、ODAの方においても当然、日本の再生可能エネルギーを重視しているという観点からは、当然ODAにおいてもそういう地熱発電とかそういうものについてもしっかり取り組んでいきたいと思っておりますし、また、御指摘のありました石炭火力発電については、これは相手側政府というものの強い要望があったという特別な条件に限って、質の高い、今までとは違った形の高効率石炭火力発電というものについて、OECDのルールを踏まえながらやっているという状況であります。
原則、我々としては、世界最新鋭であります超超臨界圧以上の発電設備についても導入を支援していきたいというふうに思っておりますし、また、人権侵害の話につきましては、我々の基本としては、日本らしさを出すという観点から、できるだけ現地の方で技術を移転するという観点から、現地の方々を雇用して、その中で技術を伝承していくと、魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えるという形で取り組んでいるのが基本であります。
そのやり方については、多くのアフリカの国でも評価されていまして、私自身、タンザニアの方で、ある橋の供与式に大統領と一緒に参加したときに、大統領自ら、日本政府は、大きなプロジェクトだったんですけれども、誰一人の事故もなく、現地の人間を雇ってくれて、それで技術を伝承してくれたということを自ら大統領の口から発表していただいたという、非常に心強く感じた次第です。ただ、その中で、仮にそういう漁の問題点というものがあれば、そういう大きな方向性は維持しながらも、改善というものもしていきたいというふうに思います。
また、NGOについては、河野大臣の下で今回有識者会議というものを開きまして、ODAの中でやっぱりNGOというものについても焦点を当てまして、ODAの中でNGOの団体から要望があったのは、実際のNGOが行うプロジェクトだけではなく、実際その支える組織の事務所とか含めた体制、そういう管理費についての支援というものを強く要望がありましたので、そういう下支えする部分、それについては、管理費の、一般管理費の最大一五%というまで引き上げるという形で財政当局とも話をして、今回予算が認められればそういう方向でやると。実際に、どうしてもNGO支援になると目先のプロジェクトの方に行きやすいんですけれども、実際NGOの方々の要請、御要望の強い一つにそれを支える裏方部分、支える土台の部分についての財政支援というのがありましたので、そういう部分も併せて今回の来年度予算の方には入れております。
いずれにしましても、NGOというのは極めて大事な我々のパートナーというふうに思っておりますので、今後とも連携を強化していきたいと思います。
ありがとうございます。