2017.03.30

福島大学行政政策学類教授・塩谷弘康  

 「友ちゃん」よりも、僕にとっては、「ぶっちー」「ぶち子」のニックネームのほうが親しみがわきますが、国会議員にはちょっと失礼な呼び名かもしれませんね。

大学時代 卒業旅行先にて 右端が塩谷氏

 プロフィール欄にも紹介されているように、1995年、福島大学内に学生団体「薬害エイズを考える会」が立ち上がり、なぜかその顧問を引き受けることになったのが、ぶっちーと出会うきっかけでした。署名・カンパ活動や学習会の開催に取り組み、厚労省前で一緒に座り込んだことが懐かしく思い出されます。2月の寒さはさすがに身に堪えましたが、菅直人厚生大臣(当時)が国の責任を認めたときの喜びはいまでも忘れることはできません。
 そうした縁があってか、3年生のとき、彼女は僕が担当する法社会学演習を選びました。ゼミのポリシーは、「現場主義」と「議論重視」。係争中だった博士山イヌワシ訴訟の現場を訪ねて当事者から話を聴いたり、地域づくりや環境と開発のあり方について夜遅くまで議論をしたり。学生6人の少人数ゼミでしたが、いつもニコニコして話をじっくりと聴いてくれるぶっちーは、ゼミの長女、いやお母さん的存在でした。卒論のテーマは、「転勤・単身赴任にみる性別役割分担」。詳しい内容は忘れてしまいましたが、当時から、女性の社会参画や差別に対する強い問題意識をもっていたように思います。

 卒業後はなかなか定職が決まらず、この先どうするのか案じていたところ、政治の世界に飛び込んだときは驚きました。在学時代から活動していたことは知っていましたが、まさか政治家をめざすとは。ここ数年、立候補者としてぶっちーの名前が出るたびに声援を送ってきましたが、2016年7月の参院選で当確が出たときには、早朝にもかかわらず思わず喜びの声を挙げてしまいました。
 一昨年来、僕自身が、安全保障法案に反対する福島県大学・短大研究者の会やふくしま市民連合に関わるようになり、集会やイベントでぶっちーと会う機会が増えましたが、久しぶりに会った彼女の姿は見違えるようでした。ベテラン議員にも引けをとらない弁舌の滑らかさ、堂々とした立ち振る舞い。初登院の際の鋭い質問も実に見事なものでした。民青県委員長以来の地道な活動の賜物に違いありません。でも、彼女の一番の長所であり今も変わらないのは、どこにでも駆けつけ人の話をじっくりと聴くことができる力だと思います。そこに、弁論や議論の力を身につけたのですから、頼もしい限りです。ゼミでの経験も少しは役立っているのかもしれませんね(笑)。

 福島原発事故から6年が経ち、事故をなかったことにしようとする風潮が高まるなか、原発再稼働も福島の切り捨ても許さないという、ぶっちーの決意は、いまだに復興の道筋が見えない福島県民の願いでもあります。若者、女性、被災者など、立場の弱い者の声を受け止め、それを国会に届け、政治を変えていく。ゼミOG「ぶっちー」、国会議員「友ちゃん」のこれからの活躍に大いに期待しています。