2019年3月20日(水) 参議院経済産業委員会 予算委嘱審査
「巨大風力発電集中立地問題、福島第二原発廃炉を」
(議事録は後日更新いたします)
岩渕友議員は20日の参院経済産業委員会で、兵庫県新温泉町に計画されている大規模な風力発電施設の集中立地が地域と共生できないとただし、事業の中止を迫りました。
同事業は、低い山と狭い谷間の地域に、一基あたり出力が4,500㌔㍗、高さ150㍍の風力発電設備を21基建設する計画です。環境アセス手続での環境大臣意見では、従業員がいない会社が全国で同規模の風力発電事業を同時に9件進めていると指摘しており、「求められる環境配慮等が適切に実施されない」懸念を示しています。
岩渕氏は、説明会で事業者が但馬牛への影響を心配する声などに真摯(しんし)に対応していない実態や、町議会が全会一致で採択した「現状では反対せざるを得ない状況」との意見書を示し、FIT(再エネ固定価格買取制度)事業の認定取り消しを求めました。
世耕弘成経産相は「認定取消は法令違反が確認された場合」と繰り返す一方で、「地域無視の事業推進は地元理解が得られているとは言えない」と認めました。
岩渕氏は、福島県いわき市遠野町に計画中の巨大風力発電施設集中立地計画では、遠野地区全域で8割を超える反対署名が集まっていることを示し、地元合意がない事業は中止して、地域主体の再エネ事業こそ推進すべきと主張しました。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
日本の再生可能エネルギーの導入率は、国際的に見て大きく立ち遅れている状況になっています。大量導入は必要ですけれども、一方で、全国で事業者と事業計画地域の住民の皆さん、そして自治体の間で問題が起きております。
大臣は、所信表明演説の中で、再生可能エネルギーの主力電源化を目指し地域との共生の取組を進めると、こういうふうに述べておられます。再エネの大量導入を進める上でも地域との共生が必要であり、再エネが地域活性化に資するものとなるべきだと考えますけれども、改めて大臣の認識をお聞かせください。
○国務大臣(世耕弘成君) 再生可能エネルギーについては、昨年七月に閣議決定をいたしました第五次エネルギー基本計画において主力電源化していくものといたしました。再生可能エネルギーを主力電源にするためには、日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な電源としていくことが重要でありまして、地元住民の御理解をいただきながら発電事業を進めていくことが重要だと考えています。
FIT制度が始まって以降、住民とトラブルになる再エネ発電設備が増加していることは承知をしています。そのため、二〇一七年四月に施行された改正FIT法では、新たに再エネ事業者に対して地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務として求めているところであります。このコミュニケーションを怠っていると認められる場合は、事業者に対して住民理解が得られるよう話合いを進めるべきだと指導を行ってきているところであります。
こういった対策を通じて、発電事業者が地元との関係を構築しながら適正に再エネ発電事業を行っていくよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
○岩渕友君 ところが、実際には、今答弁いただいたこととは逆行した問題が起きております。
兵庫県の日本海側にある新温泉町というところで計画をされている風力発電事業もその一つです。事業規模は全体で九万二千キロワット、四千五百キロワットの大型風車二十一基を建設するという計画です。一月に我が党の大門実紀史参院議員と一緒に現地に伺いまして、町長さんであるとか住民の皆さんから話をお聞きいたしました。
新温泉町なんですけれども、御存じの方もいらっしゃるかなと思うんですが、夢千代日記というものの舞台となったところで、非常に静かで自然豊かな場所です。住民の皆さんとの懇談の場には、平日の日中にもかかわらず百二十人を超える方が参加をされて、それだけ心配、そして関心が高い問題になっているなと感じました。
環境影響評価が今進められているんですけれども、配慮書に対する環境大臣意見で、単機出力四千五百キロワットの大型風力発電設備による環境への影響の懸念について述べている部分あるんですけれども、ここ読み上げてください。
○政府参考人(和田篤也君) お答えいたします。
新温泉風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境影響評価法に基づきます環境大臣意見において、委員御指摘の部分については次のように述べております。
「本事業は、これまで国内の陸域では実績の少ない単機出力四千五百キロワットの比較的大型の風力発電設備を中山間地の尾根沿いに二十一基程度設置する計画であるが、当該尾根付近には急峻な地形が多く、既設の道路が少ないことから、大規模な造成工事や道路工事に伴う土砂崩落及び河川・沢筋等への土砂又は濁水の流出等による水環境及び動植物の生息・生育環境への影響が懸念される。」と。
以上でございます。
○岩渕友君 資料の一を御覧ください。
これ、新温泉町の現地の写真なんですが、現地は、低い山と山の間、狭い谷間に集落があるんですよね。そこに、一基百五十メートル、東京タワーの大展望台ぐらいの高さの風車が二十一基建設されるということなんです。土砂災害、低周波、騒音、生態系への影響、こうしたことを住民の皆さんが非常に心配をされています。
配慮書に対する環境大臣意見では、事業形態についての懸念にも言及をしています。これも該当する部分を読み上げてください。
○政府参考人(和田篤也君) お答え申し上げます。
先ほどの御質問と同様に、委員御指摘の部分については以下のように述べてございます。
本事業者である合同会社NWE―09インベストメントは従業員がいない特別目的会社である合同会社の形態を取っており、本事業は実質的には、合同会社の業務執行社員である日本風力エネルギー株式会社が合同会社NWE―09インベストメントとして実施し、その大部分は他社との委託契約等により行われる予定である。本事業者が合同会社NWE―09インベストメントあるいは同様の形態の別社名で本事業のほかに五件の風力発電事業の環境影響評価手続を並行して進めようとしていることに鑑みると、本事業に求められる環境配慮等が適切に実施されないことが懸念される。また、本事業者は、計画段階環境配慮書の作成に際し、現地確認等による現況把握、計画段階配慮事項の選定、事業実施想定区域の設定等を十分に実施しておらず、計画段階環境配慮書において重大な環境影響の回避、低減に係る検討が十分とは言えない。
以上でございます。
○岩渕友君 資料の二を御覧ください。
今読み上げていただいたところが赤で囲んでいるところです。先ほど読んでいただいたところは緑で囲んでいるところということになるんですけれども、環境大臣意見で事業形態にまで言及をしたというのは初めてのことかなというふうに思うんですけれども、その事実関係と言及をした理由についてお答えください。
○政府参考人(和田篤也君) お答えいたします。
先ほどの答弁でも言及してございますけれども、環境省における審査におきまして、本事業の事業者であるNWE―09インベストメントにつきましては、従業員がいない特別目的会社である合同会社の形態を取っておりまして、実質的には合同会社の業務執行役員である日本風力エネルギー株式会社が合同会社NWE―09インベストメントとして実施し、その大部分は他社との委託契約等により行われる予定であることを確認しているところでございます。
また、本事業者が新温泉風力発電事業に係る計画段階環境配慮書を作成した段階におきまして、本事業者は本事業のほかに五件の風力発電事業の環境影響評価手続を並行して進めておりました。
このように、一般的な事業の形態とは異なるといった状況に鑑みまして、環境大臣意見におきましても、事業の実施形態について言及した上で、環境配慮等が適切に実施されないことが懸念される旨を述べたものでございます。
以上です。
○岩渕友君 今述べていただいたように、こういう状況の中で責任を持ってしっかりやれるのかという懸念があったということだと思うんですね。
資料の三を御覧ください。
これは、単機出力で四千キロワット以上の陸上の風力発電事業の一覧なんです。今問題になっている事業者は黄色で線を引いてあるところになるんですけれども、御覧のとおり、同事業者が並行してアセス手続を進めている事業が今九件まで増えているということなんですね。一件一件がその地域にとっては大規模な土地改変を伴って長期にわたる事業だということで、安全面、人体への影響、生態系も含む環境への影響、そして次の世代にどういう地域を手渡すことになるか、こういうことも含めて懸念を持つというのは当然のことです。
こうした懸念を住民の皆さんや自治体が感じている、不安を感じているその一方で、じゃ、事業者の姿勢はどうなっているのかということなんですけれども、方法書に対する知事意見で、事業者の姿勢について述べている部分があるんです。
ここを読み上げてください。
○政府参考人(福島洋君) 兵庫県知事意見の全体事項の(6)及び(7)において、次のように述べられています。
(6)本事業計画及び環境影響評価の内容について、地域住民に対する説明が不足していることにより、事業計画に対する地域住民の不安と事業者への不信感が高まっている。計画段階環境配慮書に対する知事意見でも指摘したことであるが、適切な機会を捉えて地域住民に対して十分説明を行うとともに、事業を進めるに当たっては地域住民の理解を得るよう、最大限の努力を行うこと。また、インターネットでの図書の公表に当たっては、法に基づく縦覧期間終了後も公表を継続することや、印刷を可能にすること等により積極的な情報提供を行うこと。(7)配慮書に対する知事意見等に対する事業者の見解は具体性に欠けるものであることから、準備書においては、方法書に対する知事意見等を十分に踏まえ、事業者としての考え方や検討内容等について具体的に示すことであります。
○岩渕友君 配慮書で指摘をされたことにちゃんと対応していないということですよね。
大臣に聞くんですけれども、昨年六月に、この新温泉町の議会では知事に特段の配慮を求める意見書を全会一致で採択をしています。地元住民の不安を解消し理解を得ることができなければ、当該事業計画は現状は反対せざるを得ない状況にあるとしています。町長さんとの懇談の中では、将来に禍根を残さないように、事業者には撤退してほしいと伝えたと話しておられました。
FITの事業認定に当たって、地元住民そして自治体の合意を義務化するべきではないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 先ほどもちょっと答弁させていただきましたが、二〇一七年四月に施行された改正FIT法では、新たに再エネ事業者に対して地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務として求めているわけであります。
具体的には、改正FIT法に基づいて策定した事業計画策定ガイドラインにおいて地域住民とのコミュニケーションを図ることを新たに事業者の努力義務として定めておりまして、コミュニケーションを怠っていると認められる場合は、必要に応じて指導を行ってきているところであります。
また、今議員がおっしゃったこの自治体の同意を義務化すべきではないかという点については、これは、地域住民とのコミュニケーションの在り方というのは、それぞれの事案ですとかそれぞれの地域の実態に応じて丁寧に決められるべきだというふうに考えています。仮に国が一律にコミュニケーションを義務化するというようなことをしますと、例えば説明会を何回開催しましたとか、そういった形式的な要件を基準に義務を果たしているかどうかを判断するということに、これ法律というのはそういうものですから、なってしまう可能性もあるわけです。
ですから、したがって、国が一律に義務化をするのではなくて、地域の特性や事情に合わせることにして、例えば自治体が定めた条例に違反をした場合には、これはFIT法が定める関係法令遵守の規定に基づいて必要に応じて認定を取り消すといった形で対処していくことが適当ではないかと考えています。
○岩渕友君 努力義務では不十分な実態があるということですよね。
事業者は地元の説明会の中で、開発ステージを通過した案件は一〇〇%建設を開始、建設完工率一〇〇%の高い達成実績があるんだと書いてある資料を配っているんですね。これを見ると、住民がどんなに反対をしても、もう何が何でもやるんだという宣言のようにしか思えないわけなんですよ。地域との共生だというのであれば、これ、地元の住民や自治体との合意というのを義務化するべきです。
この住民説明会の中では、地元の雇用がどれぐらい増えるんですかと住民の皆さんが聞いたその質問に対して、草刈りで一人あるかどうかという回答があって、失笑が漏れたというふうに聞いています。
この計画自身が地域との共生、そして地域活性化ということと相入れないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 長期的に発電事業を安定的に行っていくためには、やはり地域の理解を得るということが何よりも重要だとは思っています。どのような形で地域の理解を得るかという点については、各地域の実情を踏まえて、それぞれの事業者が考えるべきだというふうに思います。
今お話しになっているこの新温泉町の事業について、どのような計画であれば地元の御理解を得ることができるのか、これは私の立場では個別にコメントをすることは適切ではないというふうに思いますが、いずれにしても、事業者が地域住民と適切にコミュニケーションを行って、そして地域との共生を図って適正に再生可能エネルギー発電事業を行っていくよう引き続き取り組んでいきたいというふうに思います。
地域の人が何を言ってもやるんだなんというのは、これはまさにコミュニケーションをしていないということであろうかと思います。この個別のケース、私は、詳細は分かりませんけれども、やはりコミュニケーションを丁寧にやることが何よりも重要だと思っています。
○岩渕友君 現場では、子供や孫たちにいい環境を残したい、白紙に戻してほしいという声が上がっているんです。それにもかかわらず、実際には早々にFITの事業として認定が行われているんですね。
地域と共生できない事業の認定というのは取り消すべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 地域住民の反対があることだけで認定を取り消すということはできないわけであります。認定の取消しというのは要件が決まっていますので、例えば他の法令ですとか条例に違反をしたという認定基準を満たさないことが確認をされれば、その事業については個別に指導や改善命令を行ったり、あるいは必要があれば認定の取消しを行うということになるわけであります。
今お話しになっている新温泉町の事業については、現時点で自治体の方からは条例に違反しているという報告はいただいておりませんので、現時点では取消しの対象にはならないんではないかというふうに思っております。
○岩渕友君 説明会の中で、事業者は、但馬牛への影響を心配する声に対して対策を取ると、そういう抽象的な答えしかないんですよね。イノシシであるとか鹿が増えるんじゃないかと、こういう懸念に対しては電気柵を設置すると回答したんですけれども、それじゃ効き目がないんだという声が上がって、いいかげんなことするんじゃないと怒りの声が広がりました。地域貢献というんだったらやめるのが一番という声も上がったそうですけれども、これが住民の皆さんの率直な思いだということなんですよね。何でこれが反映されないのかということなんです。
同じように反対がある福島県いわき市遠野の風力発電事業について、昨年四月の経産委員会の中で取り上げました。資料の四を御覧ください。
そのときも出した資料ですけど、遠野では三大明神風力発電事業と遠野風力発電事業という二つの事業、合わせて三十五基の風車を建設する計画が進められています。遠野の風力発電事業をめぐっては、昨年六月に事業者であるアカシア・リニューアブルズが行った方法書の住民説明会で、テレビ局の取材を拒否したということに現地の批判の声が上がって、記者の会場入りは認められたんですけれども、撮影が認められないということで、約一時間半やり取りした後、結局説明会の延期が決められたんですね。
マスコミ取材を認めるかどうかは本社に確認しなくちゃならないというんだけれども、親会社はマッコーリーキャピタルというところで、本社といっても海外にあるわけなんですよ。その後に行われた説明会では、住民との約束があったにもかかわらず、一切のマスコミが排除をされて、参加住民による写真撮影も録音も録画も禁止をされたんですね。事業者への不信がもう更に募っている状況になっているんです。
大臣、こうしたやり取りがあって、事業者が自分たち信用してほしいと言っても、これ無理な話なんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) ちょっと繰り返しになって申し訳ないんですが、再生可能エネルギー発電事業の実施に当たっては、やはり長期安定的に事業を行っていく上では地域住民の理解をいただきながら事業を進めていくことが重要だというふうに思っています。ただ、この地域住民とのコミュニケーションのやり方については、各地域の実情を踏まえてそれぞれの事業者が考えるべきだというふうに思っています。
今御指摘の福島県いわき市遠野での風力発電について、個別の状況についてコメントをすることは控えたいというふうに思います。その上で、いずれにしても、事業者が地域との共生を図って適正に再生可能エネルギー発電事業を行っていくよう引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○岩渕友君 もうコミュニケーションの在り方としては問題ありですよ。こんな事業者を信頼しろといっても非常に難しいと思います。
資料の五を御覧ください。
方法書の知事意見は、対象事業実施区域の大部分が大雨や地震などで土砂災害による被害のおそれがある場所だと。対象事業実施区域の周辺には湯ノ岳断層が存在している、こう指摘をしている。平成二十年八月末の豪雨の際には、対象事業の実施区域内の遠野町入遠野内においては大規模な土砂災害が発生していると指摘しているんですね。住民からも、自宅の横が土石流災害指定地域になっていて、去年の秋に避難訓練をやったのに、その上の山に何で風車を造るのかという声が上がっています。
二月二十三日に、遠野町の環境を考える友の会が行った福島県への要請で、県の担当者からは、住民の合意のないところ、建設に不適切な場所に造るべきではないと、こういう回答がありました。
土砂災害の危険が高い地域や生活用水に影響を及ぼす可能性がある地域、こういったところを事業計画に適さない地域として除いてほしいと、こう求める声があります。これ、国としてゾーニングを行うべきではないでしょうか。
○政府参考人(和田篤也君) お答えいたします。
風力発電の導入促進と環境保全との両立を図るためには、早期の段階から関係者との調整の下で、風力発電の導入を促進し得るエリア、環境保全を優先するエリアなどを設定するゾーニング手法が有効であると考えております。このため、環境省では、平成二十八年度からでございますが、風力発電に係るゾーニングのモデル事業を実施しておりまして、昨年三月にはモデル事業の成果を踏まえましたマニュアルを策定、公表したところでございます。
ゾーニングの取組によりまして、立地段階での環境影響の回避、低減や地域の合意形成が期待されることから、より多くの地方自治体にゾーニングに取り組んでいただけるよう、引き続き実証事業など普及に努めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 再エネ大量導入に係る経産省の小委員会の中でも、自然災害は起こることを前提に、立地・安全規制を国として定めるべきだという意見が出されています。特に危険な箇所については最優先で除く、こうした対応が必要です。
資料の六を御覧ください。
これ、二〇一八年一月から遠野地区全域にわたって行われてきた二つの計画に反対する署名の今集計なんですけれども、最終的には八割を超える世帯、人口の六割に達しているんです。九七%もの世帯から署名が集まった地域もあります。事業計画の地域の全体でこれだけ反対の意思が明確に示されているのに、どうやって地域との共生を図るのかと。
方法書に対する知事意見では、「周辺への重大な環境影響を回避できない場合は、事業計画の中止を含めた抜本的な見直しを検討すること。」と、こういう厳しい意見まで出ているんですね。
FITの事業申請は、これまだ出ていないんですよ。これ認めるべきではないと思いますが、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 個別の事業に対するこの認定の可否について私がこの場で述べることは控えたいと思いますが、FIT制度の認定に当たっては、申請があった事業について、法令で定められた認定基準を満たしているか否かを個別に審査をし、判断することになっています。その認定基準の中には、ほかの法令や地域の実情に合わせて自治体が定めた条例を遵守するということも含まれているため、これに違反していることが確認されれば認定は行わないということになるわけでございます。
○岩渕友君 住民の皆さんの意思がこれだけ明確に出ていると。この意思を受け止めるんだったら、もう中止するしかないということです。
一方で、地域の活性化、地域との共生による再エネの取組もあります。先日、福島県福島市の土湯温泉に行ってバイナリー発電事業を見て、社長さんからお話を伺いました。土湯温泉は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故によって、観光客が事故前二十六万人から十万人を切るところまで激減をして、温泉旅館の約三分の二が長期休業や廃業を余儀なくされるという大打撃を被ったんですね。この危機を乗り越えようということで、土湯温泉町の復興再生協議会を発足して、地域一丸となってバイナリー発電事業、小水力発電事業に取り組んでいます。さらには、温排水を利用したエビの養殖なんかにも取り組んでいるんですね。二人でスタートさせた事業なんですけれども、今二十一人にまで増えていると。地元の雇用が増えているということなんですね。さらに、収益を、七十歳から七十四歳までの方、高校生の通学定期代、こういうバスの支援を行ったり、小学校の給食費の支援を行うなど、地域に還元をさせているというふうにお聞きをしました。
このような地域との共生、地域活性化に資する再エネこそ全国に広げるべきではないでしょうか。大臣に。
○国務大臣(世耕弘成君) 太陽光発電ですとか地熱発電といった再生可能エネルギーを地域で活用するということは、エネルギーの効率的利用やエネルギーシステムの強靱化、エネルギーの地産地消による地域活性化にも寄与するものでありまして、今御指摘の例も含めて極めて重要だというふうに思っています。
地域活性化の観点からは、例えば、太陽光発電の設置工事や保守点検作業を地元の中小工務店が行うというようなことや、地熱発電を行った後の熱水が農業ハウスや旅館に供給されると、こういった地域産業への波及や連携の事例が全国各地でも見られているわけであります。
経産省としても、引き続き、地域社会と共生をして、地域活性化につながる形での再生可能エネルギーの導入を進めてまいりたいと思っています。
○岩渕友君 市民中心、そして地域主体の再エネこそもっともっと広げるべきです。
新温泉町や遠野の事業者はアジア最大の投資会社などとしているんですね。このような大資本による巨大開発が進められています。外国資本が全て問題だと言うつもりはないんですけれども、地域への説明十分にせずに、いずれも事業を強引に進めていると。新温泉町の事業者は、日本における再生可能エネルギー百年構想をつくると言っているんですね。でも、こうしたことは自分たちで決めることです。
FITで長期に買い取ってもらうことができる、税制の優遇措置があると、こういうことで、外国資本を始め大資本による巨大開発、進められています。住民無視のやり方では、地域との共生、地域活性化になりません。こうした在り方に懸念を持っています。これは大臣とも共有できるんじゃないかなと思うんですけれども、大臣がどう考えるか、そして、外資を含む巨大資本の参入状況について調べる必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) まず、改正FIT法に新たに盛り込まれている地域住民との適切なコミュニケーションについての努力義務、これを徹底するということが重要だと思います。そのことを通じて、事業者が地元との関係を構築しながら、適正に再エネ発電事業が行われる環境をつくっていきたいと思いますし、政府としては、再エネを主力電源化していくという方針に揺らぎはありません。今日この質疑で議論をさせていただいた、地域の理解を得た上での長期安定的な事業運営の実現に加えて、コストの低減による国民負担の抑制、系統制約の克服や調整力の確保にしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。
事業者が、これ外資であるかどうかということで、これは我々は差別はしていないわけであります。適正に、今もどういう事業者が参入しているかというのは公開をされておりますので、その点で確認は十分、どういった事業者が展開しているかということは確認できるのではないかと思っています。
○岩渕友君 外資を含む巨大資本の参入状況については調べる必要があるんじゃないかと思うということを重ねて述べておきたいと思います。市民中心、地域主体、地域との共生があってこそ再エネ導入が大量にできるということを重ねて強調しておきたいと思います。
最後になんですけれども、東京電力の福島第二原発の廃炉の問題について聞きます。
今日、東電の小早川社長、来ていますけれども、昨年六月に廃炉の方向で検討すると表明してから九か月、いまだに廃炉の工程が示されていません。一体いつになったら廃炉を決めるのでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
昨年六月十四日に福島県知事訪問させていただいた際に、福島第二原子力発電所の全号機廃炉の方向で具体的に検討していくということを表明させていただきました。その後、同年七月十九日付けで社長直轄のプロジェクトチームを立ち上げまして、現在、福島第一の廃炉作業も含めた人的リソースの確保や、福島第二原子力発電所の安全な廃炉、また経営全般に及ぼす影響などの観点から多岐にわたる課題を整理し、具体的な検討を進めているところでございます。
当社といたしましては、福島第二原子力発電所の扱いにつきまして曖昧な言い方を続けていることが復興の足かせになるというふうに考え、昨年六月に全号機廃炉の方向で検討を進めることを表明いたしましたが、現在もこの方針に何ら変わりはございません。しかしながら、全号機かつ四基の廃炉は国内でも例がなく、また並行して福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実に進めることが必要であることから、多岐にわたる課題を整理し、具体的な検討を進めているところでございます。
昨日、経産大臣からも、廃炉に向けた検討をしっかり進めるよう御要請をいただきました。現時点で決定時期を申し上げることはできませんが、引き続きスピード感を持って検討を進めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 いつまで検討しているのかということですよね。県民が本当に不安を感じています。
一月に福島民報社と福島テレビが共同で行った県民世論調査の結果では、第二原発の廃炉正式決定に向けて国が東電への働きかけを強めるべきだと答えた方が四四・八%に上っているんですね。これ、すぐに廃炉決めさせてください、大臣。
○国務大臣(世耕弘成君) 経営トップである小早川社長が知事に対して廃炉の方向性を明確に示された、これが重いことだと思いますよ。もう逆戻りすることのない大きな方針だというふうに思います。
今、小早川社長が答弁されたように、今いろんな検討を行っておられるわけです。これ、本当に大事業であります。しかも、人的リソース考えて1Fの廃炉がおろそかになるようなことがあってはいけないわけであります。その辺も含めて、入念に計画は作ってもらわなければいけないと思います。
ただ、福島県民の皆さんの気持ちもよく分かります。ですので、私は昨日、小早川社長に直接お会いをして、この2Fの廃炉について、福島復興への貢献という視点から、関係者とよくコミュニケーションを重ねながら廃炉に向けた検討を着実に進めるよう改めて要請をしたところであります。東京電力にはしっかり取り組んでいただきたいと思います。
○委員長(浜野喜史君) 岩渕友君、時間が来ております。
○岩渕友君 はい。
県民の立場に立てば、県民を愚弄しているという怒りの声が上がっていると。今すぐ廃炉の決断が必要だし、原発ゼロの政治決断を求めて、質問を終わります。