テーマ:原発事故避難地域の全域除染こそ必要/海洋放出問題について
全域除染がまず必要
福島特措法可決 岩渕氏が主張
参院東日本大震災復興特別委員会は5月31日、福島復興再生特別措置法改定案を、自民、公明、立民、国民、維新の賛成多数で可決しました。共産党とれいわは反対しました。(2日の参院本会議で成立)
日本共産党の岩渕友議員は採決前に質問し、同改定により行う、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域内での新たな避難指示解除のための除染着手について、「住民の皆さんが求めてきたものであり一歩前進だ」と評価しました。
同除染は、住民の意向に基づき日常生活圏など「特定帰還居住区域」を新設し、帰還に必要な箇所で行いますが一部に限られています。岩渕氏は「自宅に戻るだけではなく、元の暮らしを取り戻すことが重要だ」として、山林を含めた全域の除染が必要と主張。「帰還意向の有無ではなくいつでも戻ることができるように全域除染を」と求めました。
岩渕氏は、除染等の費用が国の負担となっていることについて「東電の責任を免罪するものだ」と批判。「原発事故を起こした東電に責任を果たさせるように求償すべきだ」と主張しました。渡辺博道復興相は「復興を後押しするために実施するものであり、国が国の負担で行うことが適切だ」と答えるのみでした。
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2023年5月31日(水) 参議院 東日本大震災復興特別委員会
「福島復興再生特措法改正案」討論と採決
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
東京電力福島第一原発事故を受けて、2017年の福島特措法の改定によって、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域の中に、避難指示を解除して居住を可能とする特定復興再生拠点区域が定められました。5月1日に飯舘村の復興拠点が避難指示解除されて、6町村にある復興拠点全てが避難指示解除されるということになりました。
そこで、お伺いするんですが、帰還困難区域は七市町村にまたがっています。その総面積と、そのうち復興拠点の面積が幾らか、帰還困難区域全体に占める割合はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(由良英雄君) 特定復興再生拠点区域の面積でございますけれども、27平方キロメートルでございます。帰還困難区域全体でございますけれども、特定復興再生拠点区域を含めて指定をされておりました帰還困難区域の面積が337平方キロメートルでございます。比率としては拠点区域は8%に当たります。
○岩渕友君 答弁あったように、僅か8%にしかすぎないんですよね。
それで、この法案は、拠点区域外について、市町村長が避難指示解除による住民の帰還及び帰還後の生活再建を目指す特定帰還居住区域を設定できる制度を創設するというふうにしています。住民の皆さんが求めてきたその拠点区域外の除染に着手をするということは、そういう点では一歩前進だというふうに考えています。
この浪江町の津島地区の方から話を伺いました。この津島地区は地区の全域が帰還困難区域で、そのうち拠点区域、拠点、復興拠点が1.6%しかないんですよね。その復興拠点に自宅を再建された方は、春夏秋冬の移り変わりを体全体で感じることのできる津島の豊かな自然、年中行事を通じた地域の住民との交流、先祖代々受け継がれる歴史と文化の重み、津島の生活は厳しい面もありましたが、私にとって生きているという実感を日々感じることのできる場所だというふうに話しています。これほどに大切な場所を奪ったのが原発事故だということです。ふるさとに戻りたい、事故前の暮らしを取り戻したいという思いは当然のものです。
政府は、2020年代をかけて、拠点区域外に帰還意向のある住民が帰還できるように、帰還に必要な箇所の除染を進めるという方針を決定しています。そして、この特定帰還居住区域のイメージということで、帰還住民の日常生活に必要な宅地、道路、集会所、墓地等を含む範囲で設定するというふうにしています。
この特定帰還居住区域について伺っていきたいんですけれども、まず最初に、なりわいの問題で、これなりわいを取り戻すということ、非常に重要なんですよね。
浪江町の吉田町長は、この復興について、大きな課題は農業だと、こういうふうに述べているんです。とりわけ山間部の津島地区では農業の再生が不可欠だということで、その田畑を恒久的に維持できるのかということだろうと、一定程度は田畑でなくなるような状況も考えて新しい作物も研究する必要があるだろうと、でも地権者の考えが100%だ、こういうふうに述べているんですね。
帰還をして農業をやりたいという方、当然いらっしゃると思うんです。同時に、帰還はできないんだけれども、先祖代々守ってきた田畑を荒らしたままにできないと、耕したいという方もいらっしゃると思うんですね。
特定帰還居住区域には農地も含まれるということでいいか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(由良英雄君) 繰り返しの御説明になる部分ございますけれども、農地については、地元から、営農は地域における生活と一体であるという御指摘を頂戴をしているという考え方を踏まえて、帰還意向調査においても、帰還の御意向を示していただいた場合に営農再開に関する御意向についてもお伺いをしているところでございます。
一方で、営農の再開については水路等のインフラ整備やその維持管理が必要となりますので、インフラ等の維持管理、主体となります帰還する住民や自治体とも十分に御相談しながら検討を進めていくことが必要と考えてございます。
○岩渕友君 今、水路などのインフラの整備が必要だという御答弁だったんですけど、確かに、水路が使えるのかとか、あとは、ここ山間部なので、その沢から水を引くためにホースがすごく長くなっていて、水引いているという方もいらっしゃるんですよね。だけど、もう事故から12年以上たっているわけですし、じゃ、ホースちゃんと使えるのかとか、農業を再開するのに必要なことがどうなっているのかということがあるわけなんですよ。
そこで、この実態をちゃんと把握するべきだというふうに思うんですけど、大臣、この実態把握、これどうなっているでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 震災前の営農に利用されていたインフラ等の基本的な情報については、自治体や関係者への確認等により把握することは可能と考えております。
一方で、新たに営農を再開するに当たっては、必要となる水路等のインフラ整備やその維持管理の在り方を含めて、インフラ等の維持管理主体となる帰還する住民の方々や自治体とも十分御相談をしながら検討を進めていく必要があると思います。
復興庁としましては、各地元自治体と御相談しながら、営農再開に関する検討を進めてまいりたいと思います。
○岩渕友君 営農再開に向けて、この実態の調査を行うということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(由良英雄君) 震災前に営農の状況としては、私ども役所側としてもいろんな現地の状況を把握をさせていただいております。
その上で、今回の計画を策定し、計画を進めていく中で、水路等のインフラ整備やその維持管理の在り方、こういう今後の進め方については御地元としっかり協議をしていく必要があるというふうに考えてございます。
○岩渕友君 実態は、これちゃんと調査する必要があるわけですよ。
それで、自治体との協議と言うんですけど、これ当然国も責任持って取り組むべきだと思うんですね。そこはいかがですか。
○政府参考人(由良英雄君) 営農の再開、大変御地元でも大切にしておられる取組でございます。
御指摘のとおり、国が御地元、それから自治体、それから住民の方ですね、一緒に議論をしっかり進めていくということは当然のことだろうと思っております。
○岩渕友君 調査は、じゃ、やっていただけるということでよろしいですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(渡辺博道君) 具体的に、まずこの問題につきましては、まず自治体とのちょっと協議を進めさせていただきたいというふうに思います。少なくとも、今回の法案における帰還居住区域の指定に当たっては復興再生計画というものを作っていただくことになります。したがって、その計画にしっかりと載せていかないとこの部分も対応できないというふうになりますので、まず計画を作る際にも自治体との協議が当然必要になってくるというふうに思いますので、まず自治体との協議を進めさせていただきたいと、そのように思います。
○岩渕友君 もう既に意向調査が始まっていて、農地についてもどうするかということで意向調査されているわけですよ。希望をされた方は、そうはいってももう12年以上たっているし、本当に営農再開できるのかということで、そういう思いがあるから、やっぱり調査必要じゃないかというふうに言っているわけですよね。これは当然国が責任持って調査も取り組むということで、一緒にやってほしいということなんです。これ、要望しておきます。
それで、例えば、自宅は拠点区域にあるんだけど農地は拠点の区域外のところにあるという方もいらっしゃるわけで、これ、希望をすれば営農できるということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(由良英雄君) 御質問いただきました特定帰還居住区域の範囲の設定につきましては、まずこれまでの拠点区域外に居住しておられた住民の方々の帰還に関する御意向を踏まえて、その帰還に必要な箇所を設定するということにいたしております。特定拠点区域に居住しておられた住民の方々が所有する拠点区域外の農地の扱いについては引き続き課題と認識をしておりまして、現時点で方針はお示しできておりませんけれども、特定帰還居住区域の設定状況や営農再開に向けた諸条件も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 大臣、営農する、農業やるということは、なりわいであるということと同時に生きがいだという方もいらっしゃるわけなんですよ。これ、農業を再開したい、やりたいという方の希望には全面的に応えるべきだと思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 復興を着実に進めていく、これは我々の仕事であります。今回の法案に基づいて、拠点、復興、特定帰還居住区域というものを新たに設定するわけでありますけれども、その際に、先ほど何人かの先生方も御指摘ありました、農業はある面ではなりわいであるし、ある面では生きがいである、こういった視点もあります。この点も踏まえてしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。
○岩渕友君 希望にきちんと応えてもらうということで進めていただきたいと思います。
それで、この浪江の吉田町長は、さらに、津島地区というところは奥山で、自然としても大事なところだと、川も海も津島からの水のおかげだから、林業にも力を入れる必要があるというふうに言っているんです。
ふくしま森林再生事業という事業があるんですけれども、この事業を使って飯舘村では7000ヘクタールの山林を申請して整備が進められているんですね。この事業期間は2025年まで、第2期復興・創生期間中ということで、避難指示解除が後になった地域とかではこれから事業計画を作りたいというところもあるんですよ。いまだ避難指示解除されていない地域もあるわけで、ここは申請すらできていないんですよね。
自治体が希望をすればこの国の補助は継続するべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) まず、ふくしま森林再生事業についてでございますけれども、森林、林業の再生というのは大変重要だというふうに認識をしております。このため、令和5年度ふくしま森林再生事業の実施に必要な所要額が予算措置されており、引き続き事業の推進に努めているところであります。
また、第2期復興・創生期間後の事業の在り方については、現時点では具体的な方向性をお示しすることは今できませんけれども、国としては福島県の森林・林業の再生にしっかりと取り組んでいく、支援していく、このことが大事だという観点に立ちまして対応してまいりたいと思います。
○岩渕友君 継続するおつもりだということで答弁を聞きました。
それで、あわせてなんですが、やっぱり山の除染やるべきだと思うんですよ。これ、非常に希望も多いし、日常生活の圏内なので、大臣、この山の除染、行うべきではないでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 特定帰還居住区域につきましては、一体的な日常生活圏を構成する区域を対象するという考え方に基づいて設定をすることになります。その際、御指摘の山林の取扱いにつきましては、山林を広範囲で除染することは土壌の流出や森林機能の喪失を引き起こす懸念があることや、除染は生活環境の線量低減を目的としていることから、拠点区域では林縁部から必要な範囲で除染を実施してきたところであります。
こうした考え方を踏まえまして、地元自治体ともよく相談しながら区域設定の検討を進めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 日常の生活というのは、地域での付き合いとか、山に入って山菜やキノコを取ったり、そこを犬を散歩させたりすることだというお話も伺ったんですね。山林は日常生活の一部なので、これ山林の除染もしっかり行うべきだというふうに求めます。
自宅に戻るということだけではなくて、元の暮らしを取り戻すことがやっぱり重要なんですね。帰還を希望する方の家と敷地とか、家につながる道路だけが除染をされても、それだけでは日常生活成り立たないんですよね。そのことが帰還をためらわせるということにもなります。そして、コミュニティー全体の再建があるから帰還しようという思いになるんだと思うんですね。
意向調査の結果だといえば聞こえはいいけれども、そもそも汚染の責任は東京電力と国にあると、帰還しないと言ったからあなたの責任だといって原発事故の責任を本人の責任にするのは違うんじゃないか、除染されないところはどうなるのかという声や、除染なくして復興なし、こういう訴えが寄せられているんですね。帰還をするかしないかで住民間に分断が生じるようなことがあってはならないんですよ。
政府は、最終的には全ての避難指示を解除すると言ってきました。その前提は除染です。一気にやれとは言わないんですけれども、少なくても全域除染の計画示してほしいという声があります。大臣、この声にすぐにでも応えるべきではないでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) 原発の事故から12年がたちました。特定復興再生拠点区域外については、一昨年の夏まで政府の方針をお示しするには至っていなかったところでありますけれども、拠点区域外の自宅に帰りたいという住民の皆様方の切なるお声、そしてまた、拠点区域外への帰還、居住に向けた方針を早急に示してほしいとの地元の強い要望等をいただいてきたところでございます。
こうした状況を重く受け止め、拠点区域外について、まず、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行うという基本方針、2021年8月に決定し、本法案を提出させていただいたところでございます。
政府としましては、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除をして、復興再生に責任を持って取り組むとのその決意は全く揺るぎがありません。その上で、まずは特定帰還居住区域について、避難指示解除に向けた取組を進めつつ、引き続き残された土地や家屋等の取扱いについて、自治体等も、地元自治体等も含めて、関係者の皆様方と関係を、協議を重ねて検討してまいりたいと思います。
○岩渕友君 将来的にというんですけれども、この全域除染はいつかやれればいいというわけではないんですよね。本来であれば全てを除染するのが先じゃないかと、順番が逆だと、これじゃ帰還の判断できないっていう怒りの声も上がっています。帰還意向があるかないかということじゃなくて、いつでも戻ることができるようにする、そういう必要がやっぱりあるんですよね。そのためには全域除染必要だということで、これ強く要望しておきます。
住民の方々は、管理できないから草木に覆われて野生動物に荒らされるなど、家屋が傷んでいると、これが進んでいるということや、このままだったら地域がなくなってしまうんじゃないかと、地図から地域社会そのものが拭い去られかねないという危機意識があると、こういう不安を抱えていらっしゃいます。だからこそ、全域除染の声に応えるべきです。
この本法案は、除染等の費用は国費としていますが、放射性物質汚染対処特措法では、国が財政上の措置などを講じて関係原子力事業者に求償するというふうに規定をしていて、東京電力に負担をする義務があります。除染などの費用を東京電力に求償するべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(渡辺博道君) 帰還困難区域は、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域として設定されたものでありますが、放射線量が低下していることや、地元からの要望等を踏まえて、2016年に、従来の方針から前に踏み出し、住民の居住を目指す復興拠点を整備する方針が示されたところであります。この整備、この整備は復興のステージに応じた新たな町づくりとして実施するものであるため、特定復興再生拠点区域においては、国の負担による除染等の取組が行われてきたところであります。
今回の特定復興再生拠点区域等と一体に、一体的に、復興及び再生を推進する特定帰還居住区域における整備については、人口回復などを通じて復興を後押しするために実施するものであり、特定復興再生拠点区域と同様に、国の負担で行うことが適切であると考えているところでございます。
復興はスタートラインに立ったばかりであります。引き続き、前面、国が前面に立って取り組んでまいりたいと思います。
○岩渕友君 何で復興を後押しするということが東京電力に求償しないということになるのかということだと思うんですよ。東京電力に求償しないということは、これ東京電力の責任を免責することになるんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺博道君) このことにつきましては、先ほども申し上げたとおり、帰還困難区域は、当初、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域として設定されたものでありますが、平成29年、2017年でありますけれども、福島特措法の改正により、特定復興再生拠点区域制度の創設時に、従来の方針から前に踏み出し、住民の居住を目指す復興拠点を整備することとしたところであります。
今回の特定帰還居住区域における整備は、人口回復などを通じて復興を後押しするために実施するものであり、特定復興再生拠点区域と同様に、国が国の負担で行うことが適切であると判断したものであります。
したがって、御指摘のように、東京電力の責任を免責することを目的としているものではございません。
○岩渕友君 復興を後押しすることと、やっぱり求償するということは別なことだと思うんですよね。結果的には、東電の責任免責していることになるわけなんですよ。原発事故を起こした東京電力にちゃんと責任果たさせるべきですよ。東京電力に求償するように、これ見直しするべきだと、検討するべきだということを求めます。
最後に、海洋放出をめぐる問題について質問をします。
今月の18日に相馬双葉漁業協同組合で開かれた意見交換会でも、25日にいわき市漁協と小名浜底曳漁協の関係者が参加をした意見交換会でも、海洋放出には反対だとする厳しい意見が出されました。
5月27日付けの朝日新聞に、福島県漁連の野崎会長のインタビューが掲載をされていました。お読みになられたかもしれないんですけれども、このインタビューの中では、事故後の10年で、流通システムが福島抜きで構築をされ、確立してしまった、私たちは新規参入と同じ状況で、販路を広げるべく今奮闘しているところだと、最近せっかく福島の魚への印象が良くなってきたところなのにとか、漁業は裾野が広い産業で、様々な関連業者がいないと成り立たない、けれども、原発事故後、約10年も本格的な出荷ができなかったので、廃業してしまったところもある、少しずつ戻ってきてもらう努力をしているのに、処理水の放出は新たな不安を彼らに呼び起こして、事業再開をためらわせるおそれもあると、福島の漁業の復興がなかなか進まない要因になりかねないと、こういうふうに述べていらっしゃるんですね。
漁業者が積み重ねてきた努力を踏みにじるのは海洋放出です。海洋放出は凍結をするべきだということを求めるとともに、これ、一旦凍結させて、結論ありきということじゃなくて、復興とか廃炉の在り方について、漁業者だったり福島県民だったり、政府や東京電力だったり、関係者が同じ立場で話し合う場所、円卓会議のようなものを行ってはどうかという提案がされているんですね。こうした話合いの場が必要だと思うんです。
今、福島だけじゃなくて、幅広い方々が反対の声を上げていると。宮城や茨城、そして全国や世界からも反対の声が上がっているということもあるので、この問題についてみんなが同じ立場で話し合える場が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○委員長(古賀之士君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。
○国務大臣(渡辺博道君) まず、廃炉は復興の大前提でございます。この問題につきましては、地元の方々と十分な意見交換を行いながら進めていく大変重要な課題であるというふうに思っております。ALPS処理水の処分のように、処分に、その進め方については、今様々な御意見があるものと承知しておりますが、十分な意見交換が必要というのは御指摘のとおりでございます。
復興庁としましては、帰還困難区域の復興を進めるに当たって、自治体や地元住民の方々と膝を、膝詰めで議論するなど、意見交換の在り方についてできる限りの工夫をして取り組んでいるところでございます。廃炉に関しては、地元自治体の各種団体の代表者等が参加する廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会等を始め、経済産業省を中心に意思疎通を行ってきたと承知をしているところでございます。
引き続き、様々な意見交換の場として、地元の高校の出前授業や、視察、座談会、地元イベントのブース出店等、双方向のコミュニケーションを重視していきたい、今後もしていきたいというふうに思っておりますし、引き続き政府一丸となって、地元の方々と十分に意思疎通を図り、丁寧な説明と意見交換を重ねてまいりたいと思います。
○委員長(古賀之士君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。
○岩渕友君 海洋放出を強行することがあってはならないということを述べて、質問を終わります。
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。
東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から12年余りがたち、今春をもって全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。本法案により、住民が求めてきた拠点区域外の除染に着手することは一定の前進です。
その上で、反対する第一の理由は、本法案は生活のための環境整備としては極めて不十分であり、かつ、住民間に新たな分断が生じかねないからです。
本法案では、帰還の意向を示した住民の自宅周辺にある宅地、道路、集会所、墓地等を含む範囲に限り、除染等やインフラ整備等の環境整備を行うとしています。これまで政府が環境整備を進めてきた拠点区域は、帰還困難区域の僅か8%にすぎません。
本法案により、拠点区域外への帰還が可能となりますが、自宅に戻れればよいのではありません。限定的な範囲の除染では日常生活は成り立ちません。自治体が求めてきた面的除染が行われず、将来が見通せないまま住民に帰還の決断を迫ることになれば、住民間に新たな分断が生じかねません。国がやるべきことは、帰還希望の有無を問わず、避難地域全域の除染、環境整備を行い、いつでも安心して戻ることができるようにすることです。
第二の理由は、特定帰還居住区域の環境整備に係る費用を国が負担することで、原発事故の原因者である東京電力の責任を免じるものだからです。
放射性物質汚染対処特措法では、国が財政上の措置等を講じ、関係原子力事業者に求償すると規定しており、除染等の費用は東京電力に負担する義務があります。ところが、国は、拠点区域を定めた前回の法案改定時、新しい町づくりのため、国費で除染するとしました。本法案で新設する帰還居住区域でもその仕組みは変わっていません。
本来、原発事故の原因者である東京電力が費用を負担すべきであり、国は東京電力に対して求償するべきです。求償しないことは、これまで以上に東京電力の責任を免罪することであり、断じて認められません。
原発事故による被害は今なお続いています。政府が掲げている原発事故の反省と教訓というのであれば、原発ゼロを決断するべきだと述べて、反対討論とします。