参院行政監視委員会は9日、国と地方の行政の役割分担に関する参考人質疑を行いました。
日本共産党の岩渕友議員は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から15年になるが、原発事故で避難指示が出た福島県の各自治体は「生業(なりわい)や医療・介護などが原発事故前に戻っていないのが現状だ。自治体を維持するのに苦労している」と強調しました。
福島県で新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクト「イノベーション・コースト構想」が進められているが、大企業呼び込み型ではないかとの声もあるとして、「自治体と住民の暮らし、生業の再建が中心の復興が大切ではないか」と見解を問いました。
一橋大学大学院法学研究科の辻琢也教授は、移住する人と残り続ける人などで地域が分散するなか、「将来ビジョンを実効性あるものとして見せることができるのかが大きなポイントだ」とし、住むことと生業の確保の両立が必要だと主張しました。
岩渕氏は、政府の地方自治体支援について質問。追手門学院大学地域創造学部の小野達也教授は、効果の裏付けと工夫が伴う自治体の施策に対し「国が手厚く支援するスタイルができれば全体として良くなっていく」と述べました。
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221-参-行政監視委員会-001号 2026年03月09日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
参考人の皆様、本日はありがとうございます。
初めに辻参考人にお伺いをするんですけれども、私は福島県の出身で、間もなく東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十五年になります。原発事故で今も避難を強いられている地域があって、報道なんかを見ていると、居住人口の回復率は、避難指示解除の時期によって変わるんですけれども、五割を超えているところもあればいまだ数%というところもあって、自治体によって異なっているんですね。商工業や農業など、いわゆるなりわいの再建や、医療や介護、そして買物する場所など、原発事故の前に戻っていないというのが現状です。自治体をどうやって維持するのかということがどの自治体も苦労されています。
こうした下で、地域ではイノベーション・コースト構想という新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトが進められているんですけれども、大企業呼び込み型じゃないかという声も上がっているんですね。
その復興といったときに、自治体、そして住民の暮らしとなりわいの再建が中心の復興というのが大切だというふうに思うんですけれども、参考人のお考え、是非お聞かせいただければと思います。
○参考人(辻琢也君) 福島を始めとして東日本大震災の被害を受けている地域に関しましては、結局、放射能に絡む実害のある部分と、それから風評被害にとどまっているようなところでやっぱり大分考え方が違うんじゃないかと思います。
風評被害のところも含めて、一般の町づくりに関して教訓として言えるのは、それこそよく言われるのは、震災によって時間の経過が早くなったと。結局、三分の一の人がいなくなり、三分の一の人が新しいところに行き、三分の一の人が例えば残り続けるというような形で、本当はもうちょっとまとまればいい町づくりができるんだけど、どうしても分散してしまって住み続けてしまっていると。これがそれぞれ地域に思いがあるんだけど、それうまく生かせないでいるというようなことがあるとしますと、多分教訓として言えることは、本音で将来ビジョンをどのぐらい実効性あるもので見せることができるのかどうなのかというのが一つ大きなポイントじゃないかというふうに思っています。
そうした中で、住んでいくことも、そこの中でなりわいを確保していくことも、多分どちらかというよりも両方うまく両立させていかなきゃならないので、その全体の人数構成や年代構成も併せて適正なビジョンを示し切れるかどうかということが本来一番問われるべきことかなというふうに思いますし、他の団体にとっても多くの教訓や多くの示唆が得られるのではないかというふうに思っております。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、曽我参考人にお伺いします。
自治体情報システムの標準化に関わって、移行期限が今月末というふうになっていたんですけど、間に合わない自治体が五割を超えていると。自治体から国が設定した期限に無理があったんじゃないかと指摘をされているという報道があったんですね。以前からその経費が増えているということが指摘をされていて、中核市長会の調査では、システム移行によって五割以上の自治体の経費が二倍以上に増えると。例えば私が住んでいる福島市では、年間二億八百万円の運用経費が移行後に五億七千六百万円も増えるというふうになっています。
住民の暮らしに役立つデジタル化は否定するものではないんですけれども、今進められているデジタル改革は、その成長戦略の名の下に国や自治体が持つ膨大な個人情報のデータを民間企業が利活用できる形にして開放するもので問題だというふうに私たちは指摘をしてきたんですね。その情報システムの標準化がその自治体の独自施策の抑制につながるというような懸念も指摘をされています。
この自治体独自の施策を維持して拡充できるものとするということが大事だと思うんですけれども、参考人の御所見をお聞かせください。
○参考人(曽我謙悟君) ありがとうございます。
難しい問題だというのは結局二つあるんだと思うんですけれども、その標準化みたいな話というのは、ある種の規模の経済みたいなものを働かせていくというようなことでもあるんだろうと思うわけですね。
そういった意味で、効率性という観点からしたときにというのが一つあり得る標準化のその正統化根拠になり得るんだろうと思います。他方で、それは多様性みたいなところに関して言うならば、やっぱり難しいところがあるということになるんだろうと思います。
そうしたものをどこまでできるだけ両方、二律背反的なものをつくっていけるのかということが問題だったんだろうと思いますけれども、今回のその標準化システムの話に関して言うならば、本来ならその効率化というところが、今のところむしろ経費が上がっていくようなところも出てきているというような話が出てきているわけですね。
そうなると、少なくとも効率化の方すら問題があるんじゃないのという話になるわけですけど、ただ、もう少しここに関して言うならば、長期的に見ないとちょっと分からないところもあるのかなというところは思います。使っていって、どのような形で、まあ自治体で一個一個やっていくよりはどの程度効率化できていくのかというようなところを見た上での判断かなということがあるかなと思いますので、ちょっと現時点では判断しかねるというのが率直なところです。
以上です。
○岩渕友君 ありがとうございます。
じゃ、次に小野参考人にお伺いをします。
地方創生が始まって十年余りになりますけれども、地方の人口減少や東京圏への一極集中など問題は解決をしていません。地方創生がうまくいっているとは言えないというふうに思うんですね。
それを踏まえて、小野参考人が地域の実情に応じた工夫を大切にして、それを政府が支援する仕組みが大切だというふうに述べていらっしゃるのを見ました。ちょっとその辺りを詳しく教えていただきたいと思うんですけれども。
○委員長(芳賀道也君) それでは、小野参考人。
○参考人(小野達也君) 今お尋ねなのは、済みません、自治体ごとの地方創生の枠組みの中でということだったでしょうか。申し訳ないです。人口をそれぞれ、人口対策を自治体ごとにする上での何か自主的な工夫というお話だったでしょうか。
○岩渕友君 地方創生がなかなかやっぱりうまくいかないという下で、地域の実情に応じた工夫を大切にしようとか、それをやっぱり政府が支援する仕組みが大切じゃないかということで参考人がおっしゃっているのを読んだので、ちょっとそこら辺についてお聞かせいただければなと思ったので。
○参考人(小野達也君) そうですね、今お尋ねの点は、まさに自治体ごとにいろいろ工夫をしてその効果があるかどうかという、まさにエビデンスというか、エビデンスまでいかなくても、根拠があってそれをすると。そういうものを国が手厚く支援するというそういうスタイルができれば、全体としては良くなっていくというか、どこまで効果が本当に、特に人口の社会増減の方が、社会増の流出の方はもう本当に難しいと、いろんな策を講じても難しいというのが全体としてはある中で、そういう中でもできることがあるとは思うんですけれども、それがやはり、ただ、限られた財源の中でするとなると、やっぱりある種の立案の段階でのエビデンスというのも欲しいし、途中段階でどうなっているかのモニタリングした結果も欲しいしという、やっぱりそういうものを見ながら国が必要なところに財源を提供していくという、まあそれに尽きると思うんですけれども。
ちょっと具体的に何をというよりも、私の場合はそういう、何というか、どう回すかということに関心があるものですから、そういうお答えになってしまうんですけれども、取りあえず以上です。
○岩渕友君 ありがとうございます。
最後に辻参考人にお伺いするんですが、昨日は国際女性デーということで、日本のジェンダーギャップ指数、特に政治分野は非常に遅れているんですね。
今、地方議会でなかなか女性議員がいないと。女性ゼロ議会もあるという中で、やっぱりなり手不足、問題になっていると思うんですが、女性が立候補しやすい、また議員として続けていける環境を整えることは重要だと思うんですが、解決の方法について参考人の御所見、お伺いします。
○参考人(辻琢也君) 僕の研究室でも女性の地方議会からの議員の人もいて、一緒にその問題、検討したことがあります。
時間は掛かっていますが、以前よりは大分プラスになってきていて、大分働き方改革も進んできていますので、その全般的な雰囲気の中で、女性も活躍しやすいような土俵は着実に開けてきているのではないかと思っています。
ただ、例えば、自治体や政府の中でも、若い人はほとんどもう優秀な女性も男性もほぼ同格でやっているのに対して、どうしても管理職層ですね、の上のような人たちは、従来からの延長で来ていますので、なかなか行かないということですので、議員さんの方は、割と、選挙がありますので、当選回数区切られてきて、公務員に比べると永続期間少ないということもありますので、多分もう少し工夫することによって長いことやっていける女性のリーダーが増えてくるのではないかと。
まあ国政においてもそうですけど、最近むしろ女性の方が活躍する傾向も出てきていますので、時間をもって見れば、今、今のイコールフィッティングをしてやっていくことで効果が出るのではないかと個人的には思っています。
○委員長(芳賀道也君) おまとめください。
○岩渕友君 ありがとうございました。
以上で終わります。

