日本共産党の岩渕友議員は21日の参院農林水産委員会で、宮城県の塩釜港に停泊していた宮城海上保安部の巡視船「ざおう」からの1万5000リットルもの重油の流出事故によって、養殖ノリやワカメ、昆布が全滅し受けた収入を突然失った漁業者への一刻も早い全額補償を求めるとともに、事故原因の詳細な公開を求めました。
岩渕氏は「今年の七ケ浜のノリやワカメは高値がついており、近年まれにみる品質の良さだった。本来なら出荷できていた場合の市場価格で補償すべきだ」と要求。海上保安庁の澤井俊総務部長は「早急に調査を行い、適切に賠償額を算定する」と答弁しました。
さらに岩渕氏は、「収穫できず成長してしまったノリの重さでノリ網が破損するなど、資材にも被害が出ている。国家賠償に当たっては、減価償却するのではなく、新品の購入費用を全額補償すべきだ」と要求。さらに、海上保安庁が対応できないなら、農林水産省が対応すべきだと述べ、「国全体として、漁師の皆さんの負担が生じないようにすべきだ」と求めました。
鈴木憲和農水相は「漁業者にとってはありえないこと。その観点から適切に対応する」と答弁しました。
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221-参-農林水産委員会-006号 2026年04月21日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三月二十五日の早朝、宮城県の塩釜港に停泊をする宮城海上保安部の巡視船「ざおう」から重油が海に漏れているということが明らかになりました。宮城海上保安部は、船内のタンクに重油を移すポンプが止まらず、満杯のタンクから重油があふれたためだというふうに発表をしていますが、第二管区海上保安本部による捜査が今も続いています。漏れ出た重油は一万五千リットルに上り、養殖ワカメやノリ、昆布などが甚大な被害を受けました。重油の付着が確認をされたことで全ての廃棄処分が決定し、漁業者が処分のための作業を行っています。
現地に行きまして、宮城県漁協七ケ浜支所、塩釜地区支所、塩釜市漁業協同組合、そして宮城海上保安部第二管区海上保安本部から話を伺ってきました。漁業者の方々は、全ての被害について補償をしてほしい、養殖漁業を継続できるようにしてほしいという思いを強く持たれています。現地では夜中から臭いがしていたとか、重油を移すポンプは自動に止まる仕組みになっていなかったのか、例えばガソリンスタンドなんかでは自動に止まったりするわけですよね、そういう仕組みになっていなかったのかといったことも含めて、何でこんなことになっているのか全然分からないという声が出されたんですね。
そこで伺います。なぜこんなことになっているのか、原因の詳細をすぐに公表するべきではないでしょうか。
○政府参考人(澤井俊君) お答えいたします。
まずは、この度、海上保安庁の巡視船が油を流出させ、漁業関係者の皆様を始めとしまして、地域の皆様に多大な御迷惑と御心配をお掛けしたことにつきまして、改めて深くおわびを申し上げます。
本件につきましては、三月二十五日五時四十九分頃、塩釜港におきまして操業を行っていた漁業者の方から、海上に油が漏れていると、流れているという旨の通報を受けまして、巡視船艇、航空機により調査した結果、同港に係留中の巡視船が油の流出源であることが判明いたしました。
油の流出した経緯につきましては、燃料、これ巡視船の中に複数のタンクがありまして、その幾つかのタンクで保存しておるんですが、そのタンク間の間で燃料を移送するためのポンプが稼働し続けておりまして、先ほども先生から、委員からお話ありましたとおり、移送先のタンクからあふれまして、それが、タンクには必ず空気穴というのが付いておるんですが、外に出るようになっておるんですけど、そこの空気管を通じて甲板上にあふれまして、それが海に流れていたということが判明しております。
その詳細につきましては現在捜査中ということでございます。
○岩渕友君 現地で話を伺ったときも、今答弁にあったように、詳細は捜査中だと言ってお答えなかったんですよね。漁師さんたちや地域の方々からしてみれば、何でこんなことになっているのか知りたいと思うのは当然のことですよね。これ、一刻も早く原因を明らかにして公表するべきだということです。
現在分かっている被害の全体について教えてください。
○政府参考人(澤井俊君) お答え申し上げます。
今回、油の流出によりまして、ノリやワカメなどの海産物に被害が生じているというふうに伺っております。
被害の全容につきましては現在調査中でございますが、いずれにいたしましても、賠償に向けて早期に被害状況を確認するため、損害査定の専門家であるサーベイヤーの支援も得ながら、海上保安庁において具体な調査を進めておるところでございます。
○岩渕友君 全容を調査中ということなんですけれども、今言われているだけでも、例えば養殖のノリで言えば、少なくても二千万枚の被害だと、被害額になれば三億円に上るじゃないかというふうにも言われていますし、ワカメと昆布の廃棄量は一千トンに上るというような報道もあるんですね。甚大な被害になっているんですよ。
被害に対する補償はどんなふうになるんでしょうか。
○政府参考人(澤井俊君) 現在、賠償に向けまして、早期に被害状況を確認するため、被害のあった海産物等の調査を実施するとともに、漁業者の皆様へ説明会を実施したところでございます。
いずれにいたしましても、海上保安庁は、損害を発生させました原因者として誠意を持ってお話を伺い、被害に遭われた皆様の生活を守るため、可能な限り早期に賠償ができるように努めてまいります。
○岩渕友君 今査定が進められているということなんですけれども、お話にあったように、漁師さんたちに責任ないわけですよ。全額補償というのはこれ当然行われるべきだというふうに思っています。
県はですね、宮城県は、一人五百万円を上限に無利子の融資を行うということを決めています。けれども、今コロナ倒産が続出しているわけですよね。有利な条件で融資を受けたとしても、漁師の方々、返済できるのかという不安な思いを持たれているわけなんですよ。これ、査定が終わるまで補償をされないというふうに今なっていますけれども、そうじゃなくて、概算払とか一時金支払うとか対応してほしいんだという声寄せられたんですね。こうした対応必要だと思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(澤井俊君) 今御指摘いただきましたように、収入を断たれた漁業者の皆様の生活を守るためには、一刻も早く賠償金をお支払いすることが重要だというふうに認識しております。そのためには、できるだけ早期に被害状況を調査し、確認することが必要であります。
このため、海上保安庁では、本庁、管区本部、保安部に対策チームを設けまして、さらにサーベイヤーの人数も増やしまして、総力を挙げて被害に遭った海産物等の調査を進めておるところでございます。また、できるだけ効率的、効果的に調査が行えますよう漁業者の皆様への補償についての説明会も実施しまして、御協力をお願いしたところでございます。
いずれにいたしましても、海上保安庁が損害を発生させた原因者といたしまして、可能な限り早期に賠償ができるように努めてまいります。
○岩渕友君 一刻も早く、できるだけ早期にと言うんですけど、収入が断たれるわけなので、それ待ってほしいということでは、じゃ、その間の生活どうすればいいのということになるんですよね。これ、本当に素早い対応、そして早急に、とにかくもう概算払でも一時金でもいいから払って生活支えていくということがやっぱり求められているんですよね。
補償について具体的に確認をしていきたいというふうに思うんですけど、七ケ浜町では、ノリの養殖すごく盛んなんですよね。ブランドのりとしても知られています。現在、休漁になっていますけれども、今年は近年まれに見る品質の良さだったというふうにおっしゃっているんですよ。この時期は、例年であれば良くても等級は二Aだそうなんですけれども、今年は品質の低下が見られずに、事故があった三月末というのは優A、まあ優れたAということで、最もいい等級だったというわけなんですよね。それだけに、漁師さんたちが本当に悔しいって、そういう思いをされているんですよ。
しかも、今、諫早湾の干拓事業によって有明のノリが取れずに、昨年からノリの価格高騰しています。ノリに高値が付いているということは、漁師さんたちの励みにもなっていたんですよね。
塩釜では、養殖のワカメ、メカブ、昆布などに被害が出ているわけですけれども、今年はメカブも高値が付いていたというんですね。十日ごとに浜値が変わるということなんですけれども、昨年はキログラム当たり六百円ぐらいだったものが、今年は八百円超えになっていたということなんですね。
本来であれば出荷できていたときの市場価格で補償されるということ、これ必要だと思うんですけれども、それでいいですか。
○政府参考人(澤井俊君) 今年のワカメやノリの出来が非常に良かったという話は、私どもも地元の皆様から伺っておるところでございます。
そうしたことも含めまして、本件に係る被害をどのように算定するかということにつきましては、地元の漁業者の皆様からよくお話を伺った上で、油の流出によって生じました損害について、早期かつ適切に賠償ができるように努めてまいります。
○岩渕友君 早期かつ適切にというのは、やっぱりそのときの市場価格でちゃんと補償されるということなんですよ。
それで、浜に揚げた大量のノリは塩が付着しているということもあって、焼却炉が傷むということで、一日にトンパック三袋分しか焼却できないというふうに現地でなったそうなんですね。だけど、仮置きをする場所もないし、もう一日たてば臭いが発生をするということなど、いろいろな問題が発生をしたということで、さらに、このままだと次のシーズンに響くということもあって、製品にして焼却しようじゃないかということになったそうなんですね。
でも、そうなると、油が付着したノリを機械に通すということになるわけなんですよ。今のところ機械のトラブルはないということなんですけれども、メンテナンスが必要だとか、のりすといってノリを干すために必要な巻きすみたいなものがあるんですけど、必要なものなどは、交換が必要なものがあるというふうに言っているんですね。
こうしたものも当然補償されるということでいいですよね。確認をしたいと思います。
○政府参考人(澤井俊君) 今御指摘いただきましたように、ノリを一旦乾燥させて、製品にしてから焼却処分をする必要があって、それに伴ういろいろな様々な費用が掛かるという話も伺っているところでございます。
そうしたことも含めまして、繰り返しになりますが、本件に係る被害の状況をしっかり皆様からお話を伺って、早期かつ適切に賠償ができるように努めてまいります。
○岩渕友君 私も何度も言いますが、適切というのは、そういったものも全部含めて当然補償されるべきということなんですよね。
こういう問題の対応をしている間にノリが成長をし続けて、成長すればするほどノリが重くなって、網が破けたり破損するということになっているんですよね。これ、新しい網を購入する費用も当然補償されるということでいいですね。
○政府参考人(澤井俊君) お答えします。
成長したノリの重みでノリ網が、あるいはやぐらが破損するという話も地元の皆様から伺っておりますので、そうしたことも含めまして、被害の状況につきましてよくお話を伺った上で、早期にかつ適切に賠償ができるように努めてまいる所存でございます。
○岩渕友君 先ほど答弁になかったんですけれども、この補償の仕方、どういうふうになるかというと、国家賠償法での補償ということになるわけですよね。そうなると、減価償却ということになるんですよ。
漁業者の皆さんが持ち出しする、そして負担が掛かるということは、これあってはならないと思うんですね。そもそも損害を発生させた原因者は自分たちだというふうに先ほどから何度も答弁されているのでね。なので、これ当然全額補償するべきじゃないですか。
○政府参考人(澤井俊君) 御指摘いただきましたように、ノリ網の損害、非常に漁業者の皆様、心配されているという話は私どもも伺っております。そういった被害に遭われた方々からしっかりお話を伺いまして、個別の状況に応じて、一つ一つ誠意を持って、できる限り寄り添った形で対応してまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 今問題にしているのはノリ網のことだけじゃないんですよね。もう全てのことなんですよ。それで、今聞いていただいたように、これ全額補償されないということが起こり得るということなんですよ。
大臣ね、だけど、そうなったら養殖を続けることができない漁師さん出てきかねないということになると思うんですね。こういうときこそ農林水産省の出番だというふうに思うんですよ。これ、農水省として何らかの対応必要じゃないでしょうか。何かこれできることないかってことなんですけど、いかがですか。
○国務大臣(鈴木憲和君) お答え申し上げます。
まずは、先ほど海上保安庁の方からの答弁にもあるとおり、国家賠償が迅速に行われることが、迅速かつ、先生おっしゃるように適切に行われることが重要であるというふうに考えております。
農林水産省としても、県とも緊密に連絡を取りながら、被害の状況や漁業への影響の把握に取り組んでいくとともに、まずはこの海上保安庁による対応が円滑に行われるように協力してまいります。
○岩渕友君 網なんかは、買い換えるとしても、もう数百万円掛かるというふうに言うわけですよね。ノリの養殖のシーズンというのは決まっていて、次のシーズンに向けて、八月中に種付けが行われて、九月二十日以降に育苗が始まって、十月二十日にはもう網持ってくるってことになっていると、そういうスケジュールで進んでいくわけなんですよ。
今、石油製品の入手が困難になっていて、網は話を伺った時点でもう二割値上げになっているというお話だったんですね。これ、イラン戦争による資材の高騰も深刻なんですけれども、網が入手できない、資材が入らないということになったら、次のシーズンに影響出てくることになるんですよね。これ、次期作に間に合うように資材を入手するための対応必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 一般的に、宮城県におきましてはノリの種付けが八月頃から開始されますことから、それまでにノリ網の資材が調達されていることが必要です。現時点では、具体的にノリのこの網の入手が困難になるとの情報には接しておりませんが、我々としても、関係する県や漁協などから積極的に情報を入手させていただいて、資材が円滑に手配できるように経済産業省と連携をして対応させていただきます。
○岩渕友君 現地ではそういう心配も既に出ているんですよね。これ、何とかならないかということなんですよ。しかも、漁師さんたちだけではなくて、もう様々なところに影響及んでいるんですね。休漁になって船が出せない、機械が動かないということになって、例えば給油所というんでしょうかね、そこが困っているとか、卸や流通に関わる事業者にも影響してくるんですよね。
これ、関連する事業者の被害に対する補償も必要です。被害の実態調査やるべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(澤井俊君) 御指摘の卸業者や流通業者の皆様への影響も含めて、本件に係る被害に遭われた方々からの相談には、まずは個別の状況に応じて一つ一つ丁寧に対応してまいります。
そのため、現在、宮城海上保安部等のホームページに被害に遭われた方々への相談窓口を掲載し、詳細な被害状況の把握に努めておりますが、今後更にこの周知を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○岩渕友君 私、相談窓口設置していればいいってことにならないというふうに思うんですよ。皆さんの側からもう実態調べに行って、どうなっているのかって聞きに行くべきだと思うんですよ。その上で、ちゃんと補償をやるべきだというふうに思うんですね。
ノリやワカメが出荷できない状況がずっと続くことによって、棚を失うというんでしょうかね、代わりの商品に取って代わられる、取り戻すことができないということが起きかねないわけですよね。こうした事態にどういうふうに対応するんでしょうか。
○政府参考人(澤井俊君) 今回の被害の将来的にどういう影響が生ずるかということにつきましては現時点で必ずしも見通せないところがございますが、その時々の状況に応じまして誠意を持って丁寧に対応してまいります。
いずれにいたしましても、海上保安庁といたしましては、まずはできるだけ早期に漁業者の皆様が海産物の生産を再開し、商品の出荷ができるよう、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えてございます。
○岩渕友君 先ほど紹介しましたけど、今年はノリもワカメも生育がいいと、品質がいいということで、漁師さんたちすごく喜んでいたところに、今回の重油の流出なんですよね。浜では漁師さんたちが作業をしていたわけですけど、これ出荷のための作業じゃないわけですよ。廃棄のための作業をしているわけなんですよね。それがどれだけつらいかということなんですよ。重油漏れがなければ発生することのなかった損害に対して全て補償する、対策取るというのは当たり前のことだと思うんですね。
それで、通告していないんですけど、大臣、今日聞いていただいたような状況なんですよ。関連事業者も含めて、漁師さんたちの負担がないように、持ち出しがないようにするべきじゃないかと、是非そうすると言っていただきたいと思うんですけど、いかがですか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 国家賠償に関わることなのであれなんですけれども、我々としても、ちょっとこれは事態の発生から含めて、漁業者側の立場に立てばあり得ないことが起こっているということでありますから、よくその観点を持って適切に対応させていただきます。
○岩渕友君 是非、国交省とも相談いただいて、これもう国として対応してほしいということなんですよ、漁業者に負担がないようにね。漁業者が納得できる補償と対策してほしいということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。