日本共産党の小池晃書記局長と岩渕友、白川容子両議員は、2026年度予算案の委嘱審査が行われた参院の各委員会で、米・イスラエル両国の対イラン攻撃による国民生活や経済への深刻な影響の実態を示し、徹底した緊急対策と支援を要求しました。同時に直ちに両国に攻撃中止を迫り、事態打開に向けてイランと交渉するよう求めました。
農業
岩渕氏は農林水産委員会で、日本共産党国会議員団の「イラン攻撃下の国民生活影響アンケート」に寄せられた「資材の高騰や入荷の見通しが立たない」「(資材高騰で)赤字となり、生産できなくなる恐れがある」などの農林水産業者の切実な声を紹介し、緊急対策や支援制度の抜本的な見直しを政府に迫りました。
農林水産省の山口靖農産局長は、化学肥料のうち天然ガスが原料で中東が主産地の尿素の主要輸入先はマレーシアなどで影響は限定的だと説明しました。岩渕氏は「争奪戦が既に始まり、このまま戦争が続けば、価格が高騰するのは明らかだ」と指摘し、マレーシアの尿素輸出元に追加発注を断られたという資材業者の話を紹介。実態把握とともに、肥料には価格安定制度がなく値上げ分は農家の負担になるとして「緊急対策が必要だ」と迫りました。
燃料や資材などの値上げで野菜の生産価格が高騰しても、現行の野菜価格安定制度では「コストが参照される仕組みになっていない」として制度の見直しを求めましたが、鈴木憲和農水相は「現状では困難」だと背を向けました。
岩渕氏は制度の抜本的な見直しなしには国産の食料は食べられなくなりかねず、何よりも生産者の不安に応えられないとして、緊急支援を重ねて求めました。
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221-参-農林水産委員会-005号 2026年04月02日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
アメリカとイスラエルのイラン攻撃による農林水産業への影響について質問をします。
日本共産党国会議員団として、SNSを通してイラン攻撃下の国民生活影響アンケートに取り組んでいます。三月二十七日から昨日、四月一日までで四千六百九十九件の回答が寄せられています。短期間にこれだけの声が寄せられたというのは、今後が不安だという回答が七割に上っているんですけれども、先行きへの不安が非常に強くなっているからだというふうに思うんですね。さらに、既に影響が出ているというような回答も寄せられています。
このアンケートの中には、農林水産業を営む方々からの切実な声も寄せられているんですね。燃料、肥料、資材などの高騰に加えて、今後入手できなくなるんじゃないかという不安の声が多くなっています。これ、当然の不安だというふうに思います。同時に、資材の高騰や入荷の見通しが立たないとか、肥料や資材が上がっているとか、多目的網の予約注文ができなくなったなど、実際に影響が出ているという声も寄せられているんですね。
さらに、コロナ禍以降、肥料や農薬、種子、袋などの農業資材代は既にかなり上がり、これ以上高騰すると赤字となり生産できなくなるおそれがあるという声や、ここまで耐えてきた分、心折れてしまう方も少なくないと思うといった声も寄せられています。
イラン攻撃下の影響が日に日に深刻になる下で、動向を注視するというだけでは済まない状況になってきているというふうに思っています。今日は一つずつ確認をしていきたいというふうに思うんですけれども、まず燃油についてお伺いします。
A重油は、一月時点でリッター当たり百十六円でしたけれども、その後高騰をしています。対策を取ってどのぐらい下がったのでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
中東情勢の影響によりまして足下で原油価格高騰する中、十九日から燃油価格の緊急的な激変緩和措置を実施しております。この措置によりましてガソリン価格が全国平均で一リットル当たり百七十円程度に抑制されるということを狙っているわけでございますが、これが抑制される場合、一定の仮定において計算しますと、農業用A重油の価格の全国平均は一リットル当たり百三十五円程度に抑制されるものと考えております。
○岩渕友君 百三十五円程度に抑制ということなんですけれども、一月時点で百十六円ということなので、対策を取っても高騰前の価格に抑えることができないということになるわけですよね。
それで、アンケートでは、酪農をされている方から、我々の業界はボイラーや重機を日常的に使います、出荷乳量は変わらないのにほとんど電気代や灯油、軽油代に消えていきますという実態が寄せられているんですね。毎日のことなので、やっぱり負担が大きくなるということだというふうに思うんです。
次に、肥料について確認をしていきたいと思うんですが、肥料全体への影響というのはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) 済みません、先ほど委員から御指摘ありました百三十五円以下の話をさせていただきますと、例えば重油高騰による施設園芸農家への経営影響の緩和の観点から補填金を交付することとされております。補填金が増額する急騰特例というのを措置しておりまして、仮にA重油が全国平均で百三十五円となった場合には、既に措置している急騰特例というのが発動されるということになるということでございます。
あと、肥料の関係でございますが、肥料のうち、特に中東から影響を受けますのが、尿素が、これが主産地が中東でございますので、ここのところが懸念されるわけでございます。ただ、我が国の調達につきましては、マレーシア、ベトナムなどからの輸入が大半を占めており、中東であるサウジアラビアからの輸入は全体の五%ということで限定的なため、直ちに肥料の安定供給に影響がある旨の報告は受けておりません。
また、今年の春作業に必要とする肥料につきましては、原料調達後、製品化され、昨年十一月に設定された価格で既にほとんどの農家が調達済みと考えられますことから、当面は肥料の供給及び価格の面で農業経営に及ぼす影響は小さいものと考えております。
○岩渕友君 春肥は既に行き渡っていると、確保、今の段階ではされているということで、直ちに影響はないということなんですけれども、あと、更に言えば、輸入先は中東がメインではないということなので、直ちに影響はないということなんですけれども、だから、直ちに影響ないというか、今後も大丈夫だということにはやっぱりならないわけですよね。
争奪戦がやっぱり既に始まっているんだというふうに思うんですよ。このまま戦争が続いていくということになれば、高騰するということも含めて明らかなんだというふうに思うんです。
この肥料についてなんですけれども、いつ頃から影響が出始めるというふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) 委員おっしゃるとおり、中東が主産地の尿素につきましては、天然ガスを原料とするために、今般の中東情勢により価格が上昇傾向ということでありますので、我々として、現在予断を持ってお答えすることができませんが、影響というものが出る可能性もあるということで、緊張感を持って注視をしているところでございます。
それで、いつ頃からということでございますが、なかなかこれも、いつ、どの程度肥料価格に影響が生じるかというのを正確に予測するというのは困難でありますが、例えば、全農さんが輸入される化学原料肥料の、あっ、化学肥料原料のですね、調達価格だけでなく、様々なコストが反映された肥料製品の小売、卸売価格というのを公表するということとされておりまして、これが農業者が購入する小売価格を見通す上で重要な指標になると考えております。
この卸売価格につきましては、例年五月末に六月以降販売される秋作業に使用する肥料を、肥料の価格が公表されると、十月末に十一月以降に販売される春作業に使用する肥料の価格が公表されるという形になっておりますので、まずはここの数字をしっかりウォッチしていくということかと思っております。
○岩渕友君 四国の資材販売店の方からお話を聞いたんですけど、取引しているメーカーがマレーシアの尿素の輸入元に追加の発注をしたところ、断られたということだそうなんですね。
農水省ではこうした実態というのはつかんでいるんでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) 議員御指摘のそのマレーシアのところからの輸入のところは、申し訳ございませんが、現時点でそういう輸入業者の方からそういうことがあるということを情報として我々としては入手できてないというか、把握できておりません。
ただ一方で、おっしゃられたとおり、マレーシアからの輸入というのは、もう本当に大規模に生産されている世界的な企業がありまして、そこから調達をしてきているわけでございますが、その企業が現在我が国の供給へ抑制するという動きはまだ出ておりませんので、そういう意味で、この件についてもしっかり見ていかなきゃいけないと思っております。
○岩渕友君 現場ではいろいろなことが起きているわけですよね。そして、日ごとに状況変わってきているというふうに思うので、実態細かくつかんでいただきたいなというふうに思っているんです。
それで、JA全農が今後値上げは避けられないという見通しも示していますので、この中東産の尿素というのは国際価格全体への影響が大きいということだと思うんですよね。
それで、ホルムズ海峡を通過する尿素は世界のどれぐらいの量を占めているのかということと、どの国がどれだけ輸出をしていて、どの国がどれだけ輸入をしているのか、教えてください。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
化学肥料のうち中東が主産地域である尿素は、国連機関の統計によりますと、二〇二三年で全世界で一億九千五百五十万トン製造されているところでございます。
また、これとはちょっと出典が異なりますが、二〇二三年の世界全体の輸出入量は五千三百九十九万トンでございまして、輸入国は多い順にロシア、カタール、輸出国は、ごめんなさい、輸出国は多い順にロシア、カタール、イラン、エジプト、中国、輸入国は多い順にインド、ブラジル、アメリカ、トルコ、オーストラリアとなってございます。
○岩渕友君 尿素については日本はほぼ輸入に依存をしているという状況ですけれども、今答弁があったように、世界の国々から見ると、例えば輸入量は小規模だということだと思うんですね。いただいた資料でもトップテンの中に入っていなくて、もっと更に下なんだというお話もあったんです。これ、大量に輸入をしている国との関係で見ると、これ買い負けるということがあるんじゃないかというふうにやっぱり懸念されるんですよね。
国内産肥料への代替、そしてみどり戦略に基づいて化学肥料の低減を早急に進める必要があるというふうに思うんです。家畜ふん尿や下水汚泥など、国内資源の利用を拡大するというふうにおっしゃっていますけれども、これでどれだけの肥料をカバーすることができるんでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
尿素を始めといたしまして、リン安、塩化カリといった化学肥料の原料はその多くを輸入に依存しているという状況ですので、国際情勢に影響を受けづらい構造転換をしていくということから、化学肥料使用量の低減対策と、あとは堆肥などの国内資源を活用した肥料への展開対策というのを実施しているところでございます。
具体的に、食料・農業・農村基本計画におきまして、二〇三〇年までに、家畜排せつ物等の使用量を倍増し、肥料の使用量に占める国内資源の利用割合をリンベースで二〇二一年の二五%から四〇%に高めていくという目標を掲げて、ペレット加工する施設の整備などを行っているところでございます。
これ、まだ、数字で今あるのが二〇二三年ということで、二〇二一年からするとまだ二年しかたっていませんので、これからというところではありますが、ただ、それでも現在、こういう取組を一生懸命やっておりまして、国内資源の利用割合は三割程度まで伸びているという状況にございます。
○岩渕友君 これからということでもあるので、もちろん進めてはいただきたいと思うんですけど、なかなか対応し切れない、国内産でカバーし切れないということになると思うんですね。そうなると、高い価格で買わざるを得なくなるということになると思うんですよ。ところが、肥料には価格安定制度がないということで、価格が上がれば農家の負担になるわけですよね、コストアップになるということです。
前々回の質疑で緊急の対策必要じゃないかというふうに求めましたけれども、やっぱり緊急の対策必要だと思うんですよ。そのほかの資材も既に価格高騰、不足の情報が寄せられています。
岩手県の方からは、独自の米袋を使っていると、米袋を発注したところ、五月以降は対応できないと言われた。袋だけでなく、袋に印刷するための塗料が石油由来になっていて、五月以降はこのままだとお米出せなくなると、死活問題だというふうに訴えられたんですね。
先ほど紹介をした四国の資材販売店の方からは、梱包する袋、容器、段ボール、ビニールの値上がりが確実で、物自体がなくなる可能性が日増しに高まっていると不安な思いがするというふうなお話だったんですね。
現行制度でこうした事態に対応できる仕組みというのはあるんでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) 今委員御指摘のような、マルチのようなものにつきまして、これは石油から精製されるナフサを原料としているわけでございますが、これは三月二十六日から国家備蓄の放出が開始されておりまして、そういった、こういう取組をまずは進めて、供給の安定が図られて、結果として供給が行き届くという形を我々としては期待しているところでございますし、また、この農業資材、そもそも高騰に関しましては、重点支援地方交付金の支援が可能ということになっておりまして、実際に、これまでもマルチの生産資材に対する支援などを措置している自治体もあるというふうに承知をしていますので、引き続きそういう状況も注視しながら、業者の皆様に影響が出ないように対応してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 重点支援交付金というけれども、まあ影響は全体に及ぶわけなのでね。
で、野菜の生産価格も激しく変動をしています。生産コストは、国際価格の上昇、円安の影響を受けて上昇しているということです。
二〇二〇年と比べて昨年はどれだけコストが上がったのか、光熱動力、肥料、農業生産資材はそれぞれどれぐらい値上がりしているんでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) 農業物価統計調査によりますれば、農業資材の資材価格につきましては、二〇二〇年を一〇〇とした場合、二〇二五年は農業に係る資材全体で一二四・二、そのうち御質問の内訳でいうと、燃油や水道などの光熱動力は一三四・八、肥料は一四〇・四、マルチなどの諸資材は一二〇・一となっておりますが、野菜という品目別の資材のデータはないというところでございます。
○岩渕友君 いずれにせよ、価格が上がっていくということになっていくと思うんですね。
野菜価格安定制度によって、基準価格を下回った場合は九割が補填をされるということになっています。けれども、基準価格が過去六年の平均となっていて、コストは参照をされないわけですよね。
大臣に伺うんですが、これ、コストが参照されるように見直すべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) お答え申し上げます。
野菜は、天候によって作柄が変動しやすく、保存性も乏しいため、供給量の変動に伴い価格が大幅に変動する特徴があります。
こうした中で、主要な野菜を消費者に安定供給するため、野菜価格安定制度において、出荷期間における卸売市場の平均価格が過去六年間の平均価格に基づく保証基準額を下回った場合に、その差額である補給金を生産者へ交付することとしております。
ちょっとこれ難しいのは、野菜は、同じ品目であったとしても、露地物、施設物、露地物であっても青果用と加工業務用、また施設物であったとしても加温が必要なものと不必要なものがあるなど、この産地によって生産形態やコスト構造が全く異なるため、野菜の価格安定制度に生産コストを反映させるということは、ちょっと事実上なかなか困難ではないかというふうに考えております。
ただ一方で、四月一日から食料システム法が全面施行されておりますが、野菜についても合理的な費用を考慮した価格形成がなされるよう、バレイショ、タマネギ、キャベツを対象に、コスト指標の検討を進めているところであります。
○岩渕友君 米も野菜も、マルキン以外のセーフティーネットはこうしたコストアップに対応していないわけですよね。抜本的な見直しをしないと国産の食料を食べることができなくなってしまう、輸入に頼らざるを得なくなってしまうと。けれども、このままいけば輸入そのものができなくなるというような状況になっていくわけですよね。
アメリカでは、トランプ大統領が、まあ国際法違反のイラン攻撃しながら、自国の農家と食料供給事業者に新たな支援策を行うということを発表しています。日本でも、野菜価格安定制度だけでなく、ほかの制度の見直し、そして、少なくとも不足分に対する緊急支援必要だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鈴木憲和君) やっぱり大事なことは、こういう農業者の努力では、まあ努力でというか、どうにもならない、これ国際情勢の変化によって資材価格が振れるわけですから、そういうときにいかにして経営をしっかり支えていけるかということが肝腎かというふうに思っております。
現状で、様々な、ナラシまた収入保険など様々な制度がありますが、確かに、先生御指摘のように、この生産コストが急激に上がったときに、じゃ、どのぐらいそれが本当にちゃんと機能ができているのかということについては様々に考えていかなければならないというふうには思っていますが、ただ、その制度をどうつくるかということを考えると、実はすごい難しい点もたくさんあるわけですね、このコストを見るということについて。そういったこともちょっと慎重に考える必要があろうと思います。
一方で、今回、食料システム法、これで皆さんのおかげで全面施行ということになりましたから、やはりいろんなコストが上がっていくときに、いかにしてそれをしっかりと市場で御理解をいただくかという努力も同時にしなければならないというふうに思いますので、そうしたことを我々としては後押しをしていきたいと思っております。
他方で、農水省としても、これまでも、これ燃油価格の高騰については、補填金を交付する制度もありますし、セーフティーネット資金もあるわけであります。ですので、またこの中東情勢に対応するこの燃油対策については激変緩和措置が政府全体で行いますので、ちょっとこれ、政府全体でしっかりと対応できるように努力させていただきます。
○岩渕友君 農家の皆さん、本当に不安な思い持たれていますので、制度の見直し、緊急支援、そして何より外交で戦争を止めることが必要だということを強く求めて、質問を終わります。