岩渕氏は、世界で最も権威のある医学誌の一つ『ランセット』に超加工食品の日常的な摂取がさまざまな慢性疾患を招くことを示す論文が掲載されたほか、アメリカなど各国が食生活指針に超加工食品の危険性と警告を掲載していると指摘し、日本でも超加工食品の危険性を食育推進基本計画に位置付けるべきだと求めました。
さらに、磯田宏・九州大名誉教授の「私たちの食生活での『選択』は、個々の自律的な選択のように見えてそうではない」との指摘を紹介し、「働いても生活は楽にならず、高い生鮮品より、手軽で安い超加工食品に頼らざるを得ない実態がある」と強調。「企業利益優先の構造自体に目を向けなければ、基本計画の目標はいつまでも達成できず、食生活の改善はできない」と主張しました。
221-参-農林水産委員会-010号 2026年05月19日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
食育基本法の改正に当たって行われてきた超党派の会議に私も参加をしてきました。
今日は、基本計画の策定に当たって幾つか要望をしたいと思います。
食育基本法が成立してから二十年余り、この間に食をめぐる環境は大きく変化をしてきました。その一つが世界的な干ばつ、日本でも災害が相次いで、ウクライナ戦争やイラン戦争など、食料危機のリスクが高まっているということです。
こうした状況を受けて、超党派の会議の中では、ヨーロッパでは幾度の戦争を経て食料難に苦労した経験から、食料難の歴史について教科書に詳細に記載をして授業で教えていることが、食料や農業、農村への理解を促しているということを紹介しました。あわせて、食料自給率の向上、食料安全保障の観点からも、日本と世界で経験をした食料難の歴史を教えることが重要だということを指摘しました。
基本計画にこの点も位置付けることが今こそ必要なのではないでしょうか。
○政府参考人(神山弘君) お答え申し上げます。
学校での食育において、児童生徒が日々の食事や自らが食べる食料に関心を持ち、我が国の食料自給率の現状や食料生産の重要性について学ぶことは重要であると考えてございます。これらについては、現在でも、例えば小学校学習指導要領で生産物の種類や分布、生産量の変化、輸入など外国との関わりなどに着目して食料生産が国民生活に果たす役割を考えること等について指導することとしておりまして、これを踏まえた教科書でも、かつての戦中戦後の食料難の歴史や世界の食料問題、食料安全保障の重要性について写真やデータを交えて具体的に取り上げられているところでございます。
食料推進基本計画は、食育の推進に関する施策についての基本的な方針等について定めるものであるため、特定の指導内容を位置付けることは想定しておりませんが、御審議いただいている改正法案では食料安全保障に資する食育の推進が規定されており、各学校においてその趣旨を踏まえた食育が効果的に推進されるよう必要な取組を進めてまいります。
○岩渕友君 食料難の経験をやっぱり次の世代に引き継いでいくということは、今本当に大事になっているということだと思います。
そしてもう一つ、超加工食品について聞いていきます。
超加工食品は、加工食品より加工度が高く、すぐに食べることができるようになっている製品のことで、大量生産された菓子パンやインスタント食品など、私たちの周りにあふれています。先日質問をした人工甘味料もここに含まれているんですね。
超加工食品について世界各国で研究が進められてきました。フランスでは、独自に行った調査結果を受けて、政府が二〇二一年までに超加工食品の消費量を二〇%削減する目標を掲げました。
昨年十二月、世界有数の医学雑誌であるランセットに超加工食品に関する三つの論文が掲載をされました。第一論文では、大量のコーホート研究などを統合して、超加工食品の摂取増加が慢性疾患や死亡リスクを高めているという事実を示しています。この内容をどう評価しているでしょうか。
○政府参考人(榊原毅君) お答え申し上げます。
二〇二五年十二月のランセット誌では、食品を加工度に応じて分類するノバ分類を提唱している研究者らによる超加工食品、UPFに関する三つの論文として、UPFと肥満や非感染性疾患の関連、UPFの普及抑制に向けた政策的対応の重要性、UPFに対する国際的取組の喚起に関する論文が掲載されたと承知しておりますが、超加工食品の定義は必ずしも定まっておらず、国際的にも様々な意見があると承知しております。
厚生労働省は、食品の安全に関するリスク評価機関ではなく、超加工食品の肥満や非感染性疾患等への影響について政府としての正式な見解を出すのは難しい立場にございます。
厚生労働省としましては、まずはバランスの良い食事が重要と認識しておりまして、その普及啓発に努めております。超加工食品に関する国際的な動向についても、関係省庁等と連携して引き続き注視してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 ベルギーとかブラジルとかカナダなどでは、各国で超加工食品に対する指針が発表されているんですね。WHOでも、超加工食品の摂取に関するガイドライン策定のために専門家を集めて、二年後の策定を目指しています。アメリカでも、昨年、政府が定める食生活指針に初めて超加工食品を位置付けました。
ところが、日本では、食生活指針にも前回の食育推進基本計画にも採用をされていません。超加工食品について評価をして、その問題について食育推進基本計画に位置付けるべきだと思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(坂勝浩君) お答え申し上げます。
超加工食品に関する検討につきましては、先ほど厚生労働省からの御答弁があったとおり、まだ定義も定まっておらず、国際的な動向について引き続き注視していくべき状況であるというふうに理解をしております。
その上で、健全な食生活を実践していくためには、国民一人一人の皆様が食生活や健康に関する正しい知識を持っていただいて、自ら食を選択していくというような形をつくっていくことが必要であると考えております。
このため、国際的な研究を含めた最新の科学知見に基づく客観的な情報の締結が不可欠であると考えております。関係団体などとの連携を深めながら、国内外の調査研究、情報の提供等がなされるよう取り組んでいるところでございます。
このような情報提供の取組を、現在検討中の次期、第五次の食育推進基本計画にも適切に位置付けた上で、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○岩渕友君 この超加工食品の概念は掲載されていないんですけれども、この概念を掲載して、その危険性について具体的に警告することが必要だというふうに思います。
ランセットの第三論文は、超加工食品の普及をもたらしている商業的決定要因について言及をしています。企業の行うロビー活動などによって、人々の健康に影響を与えるという問題よりも、企業による利益の追求が優先をされて規制が妨害をされているということなんですよね。だから、超加工食品がこんなに広がっているということです。
九州大学の磯田宏名誉教授が、私たちの食生活での選択は、個々人の自律的な選択のように見えてそうではないと書いているものを読みました。これがどういうことなのか。一人親のお母さんから聞いた話がまさにこれだというふうに思ったので、ちょっと紹介をしたいんですが、ぎりぎり働いても生活は楽にならず、超加工食品に頼らざるを得ないという声なんですよね、そういう話なんです。超加工食品を選択せざるを得ないというのが実態だということです。しかも、超加工食品は、遠くから運ばれてきた生鮮品よりも安い価格で売っている、手軽に手の届くものとなっています。
超党派の会議の中で食育の議論をする前提として、経済的事情や貧困などによってそもそも食べることがままならない人たちがいるという問題について考える必要があるんじゃないかという問題提起がされました。私もそうだというふうに思います。
そこで、大臣に伺うんですけれども、食育推進基本計画に超加工食品と食をめぐるこの現状についてしっかり位置付ける必要があるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) お答え申し上げます。
先生から御指摘の論文については、私も概要などを今拝見をさせていただいたところであります。この超加工食品も、見てみると、炭酸飲料とか書いてありまして、これ別に政府が定義したわけではないわけですけど、確かにこの炭酸飲料をずっと飲み続ければ良くないんだろうということは何となく、これ程度の問題というのが大事だと思います。
基本的には、政府としては、食品安全基本法にのっとりまして、科学的な知見に基づいて食品安全の確保のために必要な措置を講じてきたところであります。国民の健康保護が最も重要であるとの基本的認識の下で、国民の健康への悪影響が未然に防止されるよう、国際的動向及び国民の意見に十分配慮した施策を講じてきたところです。
引き続き、科学的知見に基づき食品安全の確保を図るとともに、現在検討中の第五次食育推進基本計画におきまして、食品の安全性の確保等について適切に位置付けた上で、何よりもいろんなものをバランス良く食べるということが重要だという、この食育に関する取組を推進してまいります。
○岩渕友君 選択せざるを得ないという構造そのものに目を向けないと、基本計画のKPIがいつまでも達成できないということになりかねません。
それなしに食生活の改善はなし得ないということを指摘して、質問を終わります。