日本共産党の岩渕友議員は25日の参院行政監視委員会で、在日米軍が保有するポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の処理を長年日本政府が肩代わりしてきた問題で、今後も全ての米軍PCBの処理を日本政府が押しつけられる危険について追及しました。
PCBは高い毒性から国際条約で廃絶と適正処理が求められています。政府が今国会に提出したPCB廃棄物処理特措法改定案で「2027年3月末」としていた処分期限を撤廃。中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)が26年3月で閉鎖したことを受け、今後は全国26カ所の民間処理施設のいずれかで処理を行うとしています。
岩渕氏は、米国防総省が公文書で、在日米軍基地内のPCB廃棄物について、米国など海外製は米本国に送り返す一方、日本製は日本政府と協議した上で処分する方針だと指摘し、変更はないかただしました。石原宏高環境相は「米国との信頼関係が損なわれる」などとして答弁を拒否。岩渕氏は、米国は公にしていると指摘し、米国言いなりの姿勢を批判しました。
日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員の質問主意書への答弁書で、防衛省が2003~24年度で計約552トンの在日米軍PCB廃棄物を約7億円かけて肩代わりし、24年度末時点で米軍PCB約4トンを保管していることが明らかになっています。岩渕氏は、政府が処理の肩代わりの根拠に、在日米軍施設の返還時に米軍の環境汚染の原状回復を日本政府が行うとする「米軍再編事業」をあげるが、米軍側は廃棄物の量や保管する基地名を明らかにせず、米軍が返還事業の建物内に密かに移動させれば日本側に処理させることが可能になると指摘。「こうしたことが行われないと断言できるか」と迫ったのに対し石原氏は答えられませんでした。
221-参-行政監視委員会-003号 2026年05月25日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
政府は、今国会にPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の改正案を提出しています。PCBは、最大の食品公害事件と言われるカネミ油症事件の原因物質であり、半世紀以上経過した現在も、被害者救済が大きな課題になっています。PCBの毒性は極めて強く、環境中で分解されにくく、生物に蓄積することから、厳格な管理と確実な処理が必要で、国際条約の義務でもあります。
高濃度PCBを処理してきたJESCOによる処理事業が終了し、今後は民間施設に処理を委ねることになります。JESCOでも、PCBの漏出など、度々事故を起こしてきました。民間処理施設が不適切な処理や漏出などの事故を生じさせた場合、原状回復や被害の補償など、どのように責任を果たさせるのでしょうか。
○国務大臣(石原宏高君) 岩渕委員にお答え申し上げます。
これまで、高濃度のPCB廃棄物は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、JESCOで処理を進めてきたところであります。JESCOでの処理は本年三月をもって終了をいたしました。これにより、PCB廃棄物処理は大きく進展し、高濃度PCB廃棄物の処理はほぼ完了したところであります。
今後、少量かつ散発的に発見された高濃度PCB廃棄物については、廃棄物処理法に定める既存の大臣認定制度を活用し、今後制定する無害化処理の、基準を満たした民間処理施設で安全に処分していく方針であります。
具体的には、認定申請者の能力や経理的な基礎、申請者が持つ無害化処理技術を勘案し、PCB廃棄物の処理技術や作業安全衛生など、多様な分野の専門家から成る技術評価委員会、これ、環境省の中の委員会になりますけれども、確認を受けて許可を行う段取りとなります。これにより、安全に処分を行うことが担保される事業者のみ許可を行わさせていただきます。また、不適正な処理や漏えい等の事故がそもそも生じないよう、環境省として認定事業者に対してしっかりと指導、監督してまいります。
その上で、万が一不適正処理や漏えいが起きた場合には、環境大臣等が廃棄物処理法に基づき不適正な処理の是正や環境汚染の除去等を命じることが考えられます。また、当該事業者については、民法等の規定に従い、損害を賠償する責任を負う場合があるというふうに考えております。
いずれにせよ、そういった事態が生じないように、制度を厳格に運用してまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 二〇〇四年にJESCOが設立した際、政府は、処理施設の安全性を最優先とし、世界でも類を見ない化学処理方式を採用したと強調していました。ところが、二〇〇六年、二〇一〇年、二〇一五年とPCB漏れ事故などを度々起こしています。
低濃度PCBを処理する民間施設は全国に二十六か所あり、どの施設で高濃度PCBの処理を行うことになるのかは分かりませんけれども、JESCOでも深刻な事故を起こしてきたのに、民間処理施設でも大丈夫というふうに言われても、信用するのは難しいということだと思うんですね。一たび事故が起これば取り返しの付かない被害が発生する。国が処理に責任を持つべきです。
高濃度PCBの処理はほとんど終了したということですけれども、実際にはまだ報告されず、市中に保管されているPCBがどれだけあるか分かっていません。とりわけ、在日米軍施設内にある高濃度PCB廃棄物の保有量について、我が党の辰巳孝太郎衆院議員の質問主意書に対し、把握していないと答弁しています。
PCB特措法に基づいて、全ての高濃度PCB廃棄物について、どこにどれだけあるか米軍に調査をさせ、正確なリスト作成、所在地の都道府県知事と日本政府に報告させるのは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石原宏高君) お答え申し上げます。
在日米軍が保管する在日米軍施設・区域由来の高濃度PCBの廃棄物への対応については、その量に関する把握も含め、外務省や防衛省と連携して米側と協議をしているところであります。
米側において適切に対応がなされるよう、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 在日米軍には日本の国内法が適用をされないということなんですよね。だから、どこにどれだけのPCB廃棄物を持っているのかも明らかにできないということです。法の適用外の米軍に改正法で定められた民間処理施設を使わせるというのは矛盾があるというふうに考えています。
一昨年八月の報道によれば、在日米軍は、日本国内の基地に関する環境対策を定めた日本環境管理基準を更新して、在日米軍基地内に未処理で残されているPCB含有機器について、米国製については米本国に送り返す一方、日本製については日本政府と協議した上で日本で処分する方針を明記したとあります。
これからもそういう方針でいいかということを確認したいと思います。
○国務大臣(石原宏高君) 米側とのやり取りについては、これを公にすると米国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあることから回答は差し控えさせていただきたいと思うんですが、何よりも、在日米軍が保管する在日米軍施設・区域由来の高濃度PCB廃棄物への対応については、米側において適切に対応なされるよう、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 今大臣から、米側との信頼関係が損なわれるおそれがあるという答弁ありましたけれども、二〇二四年の四月に、米国防総省が日本環境準拠基準で明らかにしている、公開しているんですよね。これ、大臣は御存じではありませんか。
○国務大臣(石原宏高君) 米側が適切にPCB廃棄物を処理していただけるように、各省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。
○岩渕友君 お答えいただけなかったというふうに思うんですね。米国では公文書として公開されていることに対してもお答えにならないと。日本人の命、安全に直結する、これ重大な問題なんですよね。在日米軍施設のPCBについてどうしようとしているのか、これますます心配だなということなんですよ。
さきの質問主意書の答弁書では、在日米軍からの施設の返還、再編事業に係り、防衛省が二〇〇三年度から二四年度の二十一年間で計約五百五十二トンの米軍PCB廃棄物の処理を約七億円掛けて肩代わりしたことが明らかになりました。さらに、同省が二四年度末時点で在日米軍のPCB廃棄物約四トンを保管しているということも分かりました。
在日米軍の高濃度PCB廃棄物について、どこにどれだけあるか分からないわけですよね。だから、これ、返還、再編事業の建物、区域内にひそかに持ち込んで、日本の負担で日本側に処理させることが可能になるということなんですよ。
こうしたことがないというふうに断言できますか、大臣。いかがですか。
○国務大臣(石原宏高君) 防衛省が行う返還事業、提供施設整備事業及び米軍再編事業に伴い発生したPCBの廃棄物については、防衛省において処理されるものというふうに承知をしているところであります。
在日米軍が所有する在日米軍施設・区域由来のPCB廃棄物への対応については、米側において適切な対応がなされるよう、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいります。
いずれにせよ、PCB廃棄物について適正かつ安全に処理することが重要であり、環境省としてはPCB廃棄物の対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 こうしたことがないというふうに断言できるかという質問については直接お答えをいただけなかったということです。
環境行政を所管する大臣として、こんなことを許してはならないということだというふうに思うんですね。
在日米軍の施設などが日本に返還をされたときに高濃度PCBが発見された場合、その処理及び原状回復に係る費用は、日米地位協定に基づいて防衛省が処理、負担をしています。これ自身が国際社会で徹底をされている汚染者負担原則から乖離をしていて、大問題だということですよね。しかも、このままでは、再編そして返還事業を口実にして、それとは関係のないPCB廃棄物の処分も日本に押し付け続けられるということになってしまいます。米軍施設・区域内のPCBはアメリカに持ち帰って処理させるべきだ、このことを厳しく指摘をして、質問を終わります。