日本共産党の岩渕友議員は17日、参院資源エネルギー調査会で、原子力規制委員会が原子力産業界の声を受けた審査の効率化や規制緩和を進めているのは大問題だと批判し、撤回を求めました。
規制委は、新規制基準適合審査のうち地震・津波などのハザード(危険源)審査をプラント審査前に先行実施するよう提案しています。原発関連企業でつくる原子力エネルギー協議会(ATENA)や電力会社が、原発の新設や建て替えに向け、審査のやり直しを少なくするために要望したことを受けたものです。岩渕氏は「規制側が規制される側の意向に追随している」と厳しく批判。山中伸介規制委員長は「規制水準を変更するものではない」と開き直りました。
岩渕氏は、東京電力福島第1原発事故の教訓と反省を踏まえて設けられた人事規制の緩和を政府が検討していることに言及。「朝日」によると、原子力規制庁の全職員は他省庁の原子力推進業務に関わる部署への異動が不可能だったのが、幹部を除く職員の異動を可能にするもので、「規制の独立性が担保できなくなる。原発事故の教訓を投げ捨てるものだ」とただしました。山中委員長は「規制委員会の独立性への懸念を生じさせる。慎重に検討する」と述べました。
岩渕氏は過去にも経済産業省出身者が規制庁の幹部を独占し、原子力政策をゆがめていたと批判。原発事故の最大の教訓は規制側が推進側に取り込まれる構造に陥ってしまったことにあるとして、同じ過ちを繰り返してはならないと強調しました。
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221-参-資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会-006号 2026年06月17日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
四月二十二日の原子力規制委員会で、原子力規制庁が、実用発電用原子炉の許認可制度等の見直しに関する検討状況について中間報告を公表しました。報告では、原発の許認可制度について、規制庁が、原発関連企業などでつくる原子力エネルギー協議会、ATENAですね、電力会社と協議してきた内容がまとめられています。設置変更許可申請の審査には、地震、津波などのハザード審査と原発本体のプラント審査がありますが、現行では一体になった申請を審査しています。規制庁は、審査プロセスを分割し、ハザード申請の審査をプラント申請の審査前に先行して実施することを提案しています。
ハザード審査に係る審査に期間を要し、基準地震動などの評価結果に応じて施設の設計方針に変更が生じるケースを多数経験しているとのことですけれども、ハザード審査において追加的な調査や工事が必要となった例にはどういうものがあるのか、また、基準地震動などの評価結果に応じて施設の設計方針に変更が生じるケースとはどういうものでしょうか。いずれも泊原発三号機についてお答えください。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
昨年七月に設置変更許可処分を行いました泊発電所の三号炉の審査におきましては、審査の過程において、積丹半島北西沖の断層評価における海岸地形の確認のための調査、並びに敷地内断層の活動性の評価における地層年代を特定するための調査といった、自然ハザードに関する追加的な調査が生じました。
また、設計方針につきましては、施設の設計方針につきましては、審査の過程におきまして、津波による敷地全面の最大水位の変動量が増加したことを受けまして防潮堤の高さを見直したこと、また、津波の到達時間の評価結果を踏まえまして、港湾内に停泊するとしていた船舶の入港を制限する方針へ変更した等の事象がございました。
○岩渕友君 泊原発三号機は、二〇一三年に設置変更許可を申請して、許可が交付をされたのは二〇二五年の七月でした。十二年掛かったわけですね。
規制委員会は、事業者が自ら考えて答えを出すことが審査の基本だとしながら、認識のずれを解消するなどといって北海道電力に対して論点を示して、まるでテスト問題を試験官が手取り足取り指し示して教えるような泊スペシャルという前例のない対応まで行ったんですよね。
規制委員会の提案に対して、ATENA、事業者からはどのような意見が出されたでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
先ほどお答えさせていただいたとおり、地震、津波等の自然ハザードに係る審査につきましては、かなりの期間を要しております。その評価結果に応じて施設の設計方針に変更する、変更が生じるケースがございました。
こうした経験を踏まえまして、見直し案として、規制委員会において、まず事業者から自然ハザードの評価について先行して申請をさせ、審査を行い、その評価を確定させた後に施設設計を申請させ、審査する手続の導入について検討をしているところでございます。
ATENAや事業者は、この案について異論がないとした上で、審査の予見性向上の観点からも必要な制度であると発言していると承知しています。
○岩渕友君 ATENA、事業者は、ハザード審査を申請前に実施することに加えて、事前に認定してほしいと、この事前に認定してほしいということを求めています。
これ、認定をするということは、規制委員会がお墨付きを与えるということになるんだと思うんですね。事業者からしてみれば、ハザード審査をクリアすれば、これまでのような手戻りを繰り返すことが少なくなるということになると思うんですよ。
こうした見直しは原子炉等規制法の改正を見越してのものですね。これを確認したいと思います。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 設置変更許可申請に先行して自然ハザードを認定できる仕組みについては、原子炉等規制法の改正も視野に入れて検討をしているところでございます。
具体的な制度設計については、現在検討を進めているところでございます。
○岩渕友君 改正も視野に検討しているという答弁でした。
これ、事業者の要望を聞いた上に、炉規法の改正まで視野に入れて進めているということになるんですよね。ATENA、事業者は、原発の新設や建て替えを進めるためにハザード審査に意見を述べているわけです。
新設や建て替えをめぐって、先日、経産省が具体的な目標案を示しました。結局、今回の見直しというのは、規制側が規制される側の意向に合わせて一体に進めている、むしろ追随しているということになるんじゃないですか。委員長、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
今回の見直しは、本年一月に実施されましたIAEAによる総合規制サービスの受入れに先立ち、規制委員会が行った自己評価の過程で自らの課題を特定して検討を進めているものでございます。今回の制度改正につきましては、規制の水準を変更するものでなく、規制プロセスの改善の一環として検討しているものでございます。
したがいまして、被規制者の言いなりになっているという指摘は当たらないというふうに考えております。
○岩渕友君 そうとは言えないと思うんですよね。やっぱり懸念があるってことだと思うんですよ。
今、規制委員会が、本当に独立した姿勢を貫くのか、反対に原子力産業や原発を運営する電力会社の側に立つのかということが厳しく問われているというふうに思うんですね。このことを述べておきたいというふうに思います。
それで、先ほども話が出ていましたけれども、十四日付けの朝日新聞が一面で、規制庁の異動ルール緩和へという記事を掲載しました。いわゆるノーリターンルールについてはこの調査会でも質疑が行われています。このノーリターンルールというのはどういうものなのか、ルールができた経過と理由について説明をお願いします。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えをいたします。
ノーリターンルールは、原子力規制庁の職員が原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないとすることを定めた制度でございます。この制度は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓と反省を踏まえまして、規制の独立性を確保するため、国会による御審議を経て、原子力規制委員会設置法において規定されたものであると承知しております。
○岩渕友君 今答弁にあったように、東京電力福島第一原発事故の教訓と反省を踏まえて、規制の独立性を確保するためにというところがこれやっぱり原点にあるわけですよね。
それで、報道では、政府は一部を緩和する方向で検討に入ったというふうになっているんです。具体的には、これまでは規制庁の幹部を含む全職員が経産省など原子力の推進部署に異動することができませんでしたけれども、課長以上の幹部を除くその他の職員は原子力の推進部署への異動を可能にするというものです。
これでは規制の独立性が担保できなくなるんじゃないでしょうか。東京電力福島第一原発事故の教訓を投げ捨てるものではありませんか。委員長、いかがですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を基に設置された組織でございます。独立性の確保というのは、委員会の活動原則の最も重要なものの一つであると認識しております。
御指摘の記事で示されたような具体案を検討している状況ではございませんけれども、ノーリターンルールを変更するということは、原子力規制委員会の独立性への懸念を生じさせるものでもございます。IAEAから勧告された事柄でもございますけれども、慎重に検討を進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○岩渕友君 私は、やっぱりこの原発事故が終わったこと、なかったことになっているからこんな話が出てくるんだというふうに思うんですよね。そして、やっぱり独立性が脅かされることになっていくんだというふうに思うんですよ。
二〇二三年三月十五日の予算委員会で、原子力規制庁の長官など幹部が経済産業省出身者で独占されているという実態を明らかにしたことがあります。こうした体制の下で、規制庁担当者が原発の運転期間ルールの見直しをめぐってエネ庁担当者とこっそり事前の調整を行っていたということが当時批判をされました。
あのとき、利用政策の観点からとして、運転期間のルールが、規制委員会が所管する炉規法から、経産省が所管する電気事業法へと移管されたんですよね。そして、運転期間を原則四十年から六十年超へと変えました。当時、規制委員会の委員の中からも、運転期間を炉規法から落とすことは安全側への改変とは言えないという反対意見まで述べられたんですよね。
四月二十二日の委員長の会見で、委員長は、ノーリターンルールの見直しについて聞かれて、IAEAからのレビューを受けて何も検討しないのは申し訳ないので、規制委員会で議論しないのは問題があると思うというふうに答えていらっしゃるんです。私は、こうした発言が出ること自体が原発事故の教訓や反省を忘れてしまったということになるんじゃないかと思うんですね。
六月二日に自由民主党の政務調査会原子力規制に関する特別委員会が高市首相に申し入れた提言では、「おわりに」というところに、原子力規制委員会も規制庁も、設立当初の信頼回復を最優先する行政組織から、限られた行政資源を有効活用する効率的かつ実効的な行政機関へと進化すべき時期を迎えているというふうにあります。けれども、実態は、規制委員会も規制庁も、信頼を回復するどころか原発事故前に逆戻りしているんじゃないかという思いもあるんですね。
信頼は回復されたという認識なのかを規制委員長と山田副大臣にお聞きします。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
信頼を得られているかどうかということについては、国民の皆様が御判断なされるべきことだというふうに考えます。
原子力規制委員会としては、科学的、技術的な見地から、確かな原子力規制を通じて国民の信頼を得る努力を継続することが重要であるというふうに考えているところでございます。
御指摘の自民党の御提言は、独立性と安全確保を大前提に、実効的な規制を追求することによりこの努力を継続していくべきとの御趣旨だと理解をしているところでございます。信頼は、我々がその使命に向けて真摯に行動し続けることで初めて得られるものだと考えております。その取組に終わりがあるとは考えておりません。
今後も継続して業務の改善に取り組み、規制の実効性の向上に努めてまいる所存でございます。
○副大臣(山田賢司君) お答え申し上げます。
まず、原子力の利用に当たっては、安全性の確保を大前提として、国民からの信頼確保に努めなければなりません。
その上で、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を踏まえ、原子力の推進と規制を分離するため、独立性の高い原子力規制委員会が設立されたものと承知しており、原子力規制に対する信頼について、経済産業省としてお答えすることは適当ではないと考えております。
一方で、原子力について様々な御懸念の声があることは承知をいたしております。この状況を真摯に受け止め、国民の皆様の理解を得られるよう、不断に努力を重ねていくことが重要と考えております。
経済産業省としても、引き続き、幅広い層を対象として、ウェブ、SNS等の多様な広報手法を活用した情報発信や住民説明会など、理解醸成に向けた取組を強化してまいります。
○岩渕友君 国民の声を聞かずに、ATENA、事業者、まあ原子力産業界の声で、原発の新設や建て替えに向かって、審査の効率化であるとか規制と推進の一体化などが進められているということは、これ大問題だと思うんですね。
原発事故の最大の教訓は、原発を推進する経産省の中に規制する役割を持った当時の原子力安全・保安院があったこと、規制する側が規制される側、電力会社の論理に取り込まれる規制のとりこの構造に陥っていたということにあります。同じ過ちを繰り返してはなりません。
規制の緩和は撤回することを求めて、質問を終わります。
