参院沖縄北方・地方特別委員会は3日、在沖縄米軍基地問題などについての参考人質疑を行いました。1996年の全面返還合意から30年を経ても返還は実現せず、県民の命や暮らしを脅かし続けている危険な普天間基地(宜野湾市)の問題を指摘する発言が参考人から相次ぎました。
日本共産党の岩渕友議員は質疑で、普天間基地への昨年度の外来機の離着陸等は3826回、同市に寄せられた苦情は1134件といずれも過去最多だと指摘し、同基地の現状についての見解をたずねました。
前泊博盛沖縄国際大教授は、米軍機の爆音被害はひどく、人体に有害なPFASによる水汚染で地下水が使用できない状態だと指摘。水汚染は嘉手納基地(嘉手納町など)周辺でも深刻な問題だが、基地への立ち入り調査が許されないとして、「できるような体制をとってほしい」「命の危険をもたらす汚染問題にすら国は何の役にも立っていない」と批判しました。
岩渕氏は、普天間基地の「移設」先で完成が見通せない辺野古の米軍新基地建設に固執する政府が普天間基地固定化を招いているとして普天間基地の運用停止、閉鎖・返還を県民の一致結束と国会の後押しで政府に迫ることの重要性を強調しました。
前泊氏は「県民全体、国全体の問題だ」と述べ、戦争が始まる前に最初に標的になるのが基地だと指摘。沖縄の陸上自衛隊第15旅団を「師団」に格上げし増強する問題にも触れ、沖縄戦のような歴史をいつまで繰り返すのかと問いかけ、「対話によって解決する外交大国を目指してほしい」と強調しました。
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
221-参-沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会-006号 2026年07月03日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
今日は、三人の参考人の皆様、本当にありがとうございます。
初めに、佐喜眞参考人と前泊参考人に普天間基地の現状についてお伺いをしたいというふうに思います。
政府は、普天間基地問題の原点は、世界で最も危険と言われる普天間基地の危険性を一日も早く除去することだということを繰り返し述べていますけれども、昨年度の外来機の飛来は三千八百二十六回で過去最多、宜野湾市に寄せられる苦情の数も千百三十四件で過去最多となっているというのは先ほど佐喜眞参考人が御紹介いただきました。夜十時以降にも多数の苦情が寄せられたということで、先ほど佐喜眞参考人からは、残念だと、これが普通の暮らしなのかという訴えだったというふうに思うんですね。しかも、慰霊の日の前日には陸上自衛隊のオスプレイ三機が普天間基地に飛来をして、宮古空港や石垣空港に展開して、患者や物資を輸送する訓練を行ったということです。
これでどうやって外来機の規制をアメリカに求めるのかということで、本当にひどい対応だというふうに思いましたけれども、この今の普天間基地の現状や政府の対応について感じておられることをお聞かせいただければというふうに思います。佐喜眞参考人と前泊参考人。
○委員長(横沢高徳君) じゃ、先に佐喜眞参考人から。
○参考人(佐喜眞淳君) ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりだと思います。過去三年間は大体三百件ぐらいの推移だったものが、外来機、いわゆるジェット機を含めてですけれども、昨年一年間で一千百超したと。言うまでもなく、日中問わず、昼夜問わずそういう外来機あるいはヘリが飛ぶという現状というものは、我々としては是正してもらいたいと。
とりわけ、外来機、いわゆる普天間所属機以外の飛行機、ヘリやジェット機が来ることについては、我々としてはこれを認めていないということでありますし、そういう意味では、日米両政府においては、そういうようなことを是正する、改善するということが必要ではないかと思いますし、そういうことは私ども機会あるごとに政府に対して要望させていただいておりますけれども、結果としてはまだそれが市民が感じられるような是正にはつながっていないというのが今の現状ではないかと思います。
以上です。
○委員長(横沢高徳君) それでは、前泊参考人。
○参考人(前泊博盛君) 普天間については、本当にこの状況、慰霊の日の前後ですね、まさに六月の二十日から六月三十日までの間にレゾリュート・ドラゴンという演習を実施をしています。まさに沖縄戦が終わったとして、その慰霊の日にまたぐ形で訓練を沖縄で実施するということ自体、日米において沖縄というのはどういう位置付けなのか。
これ、今日のレジュメに少し入れましたけれども、G・H・カーという、戦後の沖縄の統治をする際に、アメリカは沖縄の歴史について徹底的に調べています。「琉球の歴史」という本も出されていますし、アイランド・ピープル・オブ・オキナワという英語の文献もありますけれども、この中で、沖縄は日本にとってどういう地域なのかという、そのことについてストレートに書いています。これが、レジュメにも入れましたけれども、日本はあらゆる手段をもって琉球を利用するけれども、琉球のために犠牲になることは好まないということをアメリカの政治歴史学者が書いています。その状況、これはエクスペンダブルという言葉でまとめられていますけれども、日本にとって、いざというときにはトカゲの尻尾と同じように切り捨てていく、それが琉球の役割だということを書かれているんですね。
エクスペンダブルという言葉は沖縄に向けられていますけれども、今、日本全体がアメリカにとってエクスペンダブルではないかという思いで見ています。この時期を、沖縄戦を戦ってきた相手国とはいえ、同じように沖縄戦で犠牲になった米兵たちも同じように平和の礎に刻んでいます。その慰霊の日に訓練をして、そして平気な国って何だろうというふうに思います。
普天間問題ですけど、普天間については、もう爆音のひどさといったものは市街地の中ですからとんでもない状況でもありますけれども、もう一つ、このPFOSの問題というのは、あの鍾乳洞が百本も広がっている普天間の基地の中で、泡消火剤をずっと使って訓練を行ってきたために、あの豊かな水源が今汚染をされて、その下流にある田芋畑も、それから市民がやっている菜園についても、あるいは水をまくのにも、豊かなこの地下水がもう使えない状態になっていると。
この損害は誰が払ってくれるのかという、この命に関わるような水の汚染の問題、これは実は普天間だけじゃないですね。嘉手納基地の中において、この流れてきたPFOSの問題が三十万人から四十万人が飲んでいる水道水の汚染にまでつながっているのに、その汚染の状況が嘉手納基地の中からというふうなのがもうほぼ断定されているのに、その調査すらさせることができないこの国って何だろうと。
命に関わるような水源の管理すらもアメリカ人に任せ、そして今日も水道料金の問題が出ていましたけれども、アメリカ側はなぜ嘉手納を押さえたか。これは、ペリーが来たときに調査をして、この島の中で水源が豊かな地域だから、嘉手納を迷わずそこを占拠して基地をつくっています。その豊かな水源を自分たちで汚染をして、その上で水道をよこせという話になっています。
きれいにして自分で飲みなさいということをなぜ言えないのかというようなことを政治家として誰か言える人をこの中から出してほしいと思います。せめて、フェンスの内側の調査ぐらいは、もう汚染が外に広がっているわけですから、それの調査権ぐらいは実際にできるような体制を沖北委員会としては取ってほしいというふうに思っています。
これは、普天間問題よりも更に深刻な問題として嘉手納が与えている沖縄県民に対するこれ命の危険をもたらせるような汚染、この問題にすらこの国は何の役にも立っていないという、政治の力をもう少し発揮してほしいというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて、佐喜眞参考人と前泊参考人にお伺いをするんですけど、橋本・モンデール会談から三十年が経過しましたけれども、今なお普天間基地の返還は実現をしていないというのが実態です。
政府は、辺野古への移設工事を進めることが普天間基地の一日も早い返還につながると言いながら、辺野古に固執していることが普天間の固定化を招いているのが現実ではないかというふうに思います。県民が受け入れられるはずのない計画を押し付けて、しかも軟弱地盤の広がる海域を建設場所に選定をして、ここまで返還を遅らせてきた政府の責任というのは極めて重いというふうに思いますし、今そこで暮らしている住民の安全をやっぱり最優先にすべきだというふうに思います。
政府も一度は五年以内の運用停止を約束しました。まずは、速やかな運用停止で、閉鎖、返還を県民が一致結束して、それを私たち国会も後押しをして政府に迫っていくということが重要だというふうに思うんですけれども、お二人はどんなふうにお考えか、お伺いできますでしょうか。
○委員長(横沢高徳君) どちら。
○岩渕友君 お二人に。
○参考人(佐喜眞淳君) ありがとうございます。
まず、本当に、SACO合意から三十年という時間がたったということは極めて遺憾であるということは冒頭でも申し上げてまいりました。そういう意味では、日米両政府に対しては、しっかりとその問題について真摯に取り組みながら、一日も早く返還するということが極めて重要であるということも申し上げてまいりましたし、いろいろとこれプロセスがあったにしても、基本的にはSACO合意というものは日米両政府で決めた約束事だと私は思っております。
その中身としては、何度も申し上げますけれども、普天間を全面返還をいたします、その代わり、代替施設というものが運用可能になったというような状況をつくった後に普天間は返還されるということでありますから、それが唯一の解決策であるということを日米両政府が伝えておりますので、私どもとして、その唯一のものを、さっき申し上げた、破棄や否定することはできないということで申し上げているつもりでございます。
ですから、そういう意味では、一日も早く返還のためのプロセスをスピーディーかつしっかりとその代替施設のことを取り上げていただきまして、政府がやっていただきたいということが私の率直な意見であります。
また、今日も資料として提供してございますが、宜野湾市民は、様々な考え方があるにしても、基本的には原点は早く普天間飛行場は返還するんだと、ここに集約されるものだと思います。いろんな方法やいろんな考え方があるにしても、普天間が返還されない限りは絶対にこれは及第点を取れないと。先ほど前泊先生もお話ありましたけど、ゼロか一〇〇という問題ではなくて、まずは返還をするということの現実的な対応をすべきだろうと。
そういう意味で、こういう大会を開きながら、一日も早く返還に向けての機運を高めていただきまして、政党を問わずいっぱい、これは宜野湾市のみならずですよ、沖縄県のみならず、国があるいは先生方も含めてそういうものを真剣に捉えてほしいということでありますし、唯一というものは、我々として、何というんですか、これを否定やあるいは破棄することは固定化につながっていくと。固定化につながった場合に一番落胆をし、被害を被るのは宜野湾市民であるということをまず考えていただきたいというのが私の率直な意見であります。
○参考人(前泊博盛君) これは、申し訳ないけれども、普天間の、この宜野湾市の問題だけじゃないんですよね。県民全体の問題、そしてこの国全体の問題だというふうに思っています。
それを解決できるかどうかという問いかけをされていますけれども、まず辺野古に新しい基地を造る、その基地がどれだけの機能を持っているかと、冒頭にも申し上げましたけれども、その検証をしてほしいと思いますね。アメリカ軍が駐留することによる利益と、むしろマイナスの部分もあるんですね。
これは沖縄ではずっと言われてきました、標的の島という言葉があります。この基地があるところが最初に攻撃を引き付けるマグネット効果というのがあります。これは、ウクライナ戦争でもそうですし、ガザでもそうですけれども、どこでも戦争が始まる前に最初にたたくのは基地をたたきます。そこをたたくというところで、これも海兵隊の幹部がもう言っていますけれども、最初にたたかれるのは嘉手納と普天間だということをストレートに論文で書いています。だから、そこに家族を連れていくなと書いているわけですね。
そういう中で、我々は攻撃をされる、受ける地域に住んでいる、そこからどうやって逃げるかという話をまたしなきゃいけないんですが、これを政府は一生懸命になってシェルターを造る予算を付けていただいていますけれども、宮古、八重山、果たして六万、七万の人たちをどうやって動かすんだという話です。ミサイル防衛の時代です。
これは、中国の軍事専門家と対話をしたときに、日本国民は中国が核保有国であることを知らないんですかということを言われました。それから、中国大使がこのような趣旨で発言をしています。台湾有事ということは南西諸島だけで終わる話ではないと、そのときは日本中が火だるまになるというような発言、そういう趣旨の発言をして物議を醸したことがありました。戦争というのは局地戦ではないんですよ。
一五旅団が師団に格上げをするということが決定されたようですけれども、沖縄に一万人規模の兵を配備して何をしでかそうとしているのかと。まさに、沖縄戦と同じように三二軍を配備して、そして沖縄戦で戦って、本土決戦に向けて準備をする期間にするのかどうか、まあデジャブのような歴史をいつまで繰り返すのかというのがありますね。そろそろ、対話によって解決をするという外交大国を目指してほしいと思います。
外交官の数が今何人いるか分かりませんが、かつて五千人ぐらい、中国でも八千人、アメリカは二万人を超す外交官を持っています。外交官の数じゃないですよということを外交官から言われたことがあります。質の問題ですと。それをあなたに言われたくないという話をしたことがありますけれども。今、自衛隊の数を増やすことを一生懸命やっていますけれども、もう少し外交官の質を高め、数を増やして、世界中に外交官を配置して、そして情報を取って、自分たちの国は自分たちで守るという外交大国を目指してほしいというふうに思っています。それがまず、この普天間問題も含めて、基地問題全体を見直していく機会になると思います。
仮想敵をつくることではなく、仮想敵を味方にしていくような国の政治を展開をしてほしいというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。
最後に、川名参考人に、ちょっと時間が余りないのですが、在日米軍の存在や駐留の在り方そのものをやっぱり根本から見直す時期に来ているんじゃないかというふうに思っているんですけれども、アメリカであるとか、その在日米軍の現状、どんなふうに見ていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
○参考人(川名晋史君) そうですね、とても一言では足りないわけですけれども、一つ申し上げますと、そのような問題意識というのは恐らく広く国民に共有されているところだと思いますが、そのような問題に対処するそのアプローチが随分と異なっているなというふうに思います。それぞれ立場もありますし、安全保障に関する認識の違いもありますので、それ自体は当然だと思います。しかし、一点押さえておかなければいけないのは、日本の場合は日米安保条約とこの問題が直結しているということです。
地位協定の問題、あるいはその個別の基地、例えば今回であれば普天間の問題とかですね、を我々は十分に知っているところがありますけれども、そのことと日米安保条約、あるいは憲法九条がどういう関係にあるのか、論理的にですね、そのことを法の論理と、それから歴史的な経緯ですね、実際にどうしてこういう形になったのかということを点検しない限り、恐らく上滑りの議論というものを避けられないんだと思います。
端的に一つ申し上げると、NATO、ヨーロッパの場合は、NATO条約に基地の提供というのは入っていませんから、例えばそのNATO軍地位協定だけに手を着けるということができるわけです。NATO条約に影響を与えずにNATO軍地位協定を触るとか、あるいは例えばスペインとアメリカの基地に関する何らかの契約を見直すということができます。
しかし、日本の場合は、それをやろうとすると、例えば地位協定というのは、これ日米安保条約六条の、まあ細則協定みたいなものですから、当然ここを触ると日米安保条約第六条に傷が付くということになりますので、大ごとになるわけですね。日本は、ですから私はユニットバスだと言っています。ヨーロッパの場合はこれセパレートなんだと。だから、トイレとバスどちらかが壊れれば、どちらかだけを取り替えられるのがヨーロッパで、日本の場合はユニットバスなので、トイレを取り替えようと思ったらバスも丸ごとやらなきゃいけないということで大掛かりです。
ですから、日米地位協定や個別の基地を問題だというふうに考える人はほとんどだと思いますが、今、日米安保条約が問題だという議論を提起する人はほとんどいらっしゃらないと思います。しかし、ここは切っても切り離せない不可避の論点だと思いますので、そこを含めて恐らく議論を立て直していく必要があるだろうと思います。
○岩渕友君 済みません。ありがとうございました。
以上で終わります。
