改定種苗法と重要品種育成法(新育苗法)が17日、参院本会議で賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。16日の参院農林水産委員会で反対討論に立った共産党の岩渕友議員は、改定はこれまで進めてきた国内外の種苗企業の参入促進・利益確保をさらに強化し、農家の種に対する権利をいっそう制約するものだと批判。公的研究機関の予算・人員増こそ必要だと訴えました。
同日の質疑で岩渕氏が農作物の遺伝資源は人類共有の財産だとの認識はあるかとただすと、鈴木憲和農水相は「品種は人類全体にとって重要だ」と答弁。岩渕氏は、知的財産権は大事だが、品種育成者が種苗利用を独占できる期間を25年から35年に延長する今回の改定は、農家が新しい種苗を自由に利用できない期間を長期化するもので、地域に根ざした品種の保存や地域社会にとって悪影響があると批判しました。
また、新育苗法は公的研究機関のリソース(資源)を民間企業に提供し、種苗産業参入を促すもので、利益の追求によって種子価格が高騰する危険があると指摘。米国ではバイオ企業による種子の寡占化が進んだ結果、知的財産権の乱用で種苗価格が数倍に高騰し、農家が大企業から自社種子と肥料・農薬をまとめて購入するよう拘束されていると告発しました。
その上で、「農家が望んでいるのは安価な種が安定供給されることだ」と強調。公的研究機関の人員・予算削減を放置したまま品種育成を民間企業に移行させるのは公的役割を放棄するものだと批判しました。
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
221-参-農林水産委員会-016号 2026年07月16日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
前回質問したクビアカツヤカミキリの対策について、大臣の答弁を受けて、早速、山下副大臣に現地に足を運んでいただき、本当にありがとうございました。先ほど進藤委員とのやり取りで、環境省との対策本部を立ち上げるということでしたけれども、予算をしっかり確保していただいて、徹底した対策、是非お願いしたいというふうに思います。
法案の質疑に入るんですが、その前に、環境支払について二問ほどお伺いしたいと思うんです。
環境支払は、その根拠が、いわゆる多面法であれ、みどりの食料システム法に移行するのであれ、市場のメカニズムでは評価されにくい農業の有する自然環境、生物多様性への貢献を評価して支払うものだということでいいのかというのをまず確認したいと思います。
○政府参考人(堺田輝也君) お答えいたします。
新たな環境直接支払交付金は、みどりの食料システム法における環境への負荷の低減と、生産性の向上との両立が不可欠という基本法の理念の下で、みどり法の認定を受けた農業者を対象として施策を講じることで、方向で検討しているものでございます。
○岩渕友君 ちょっと意図した答弁ではなかったのかなというふうにも思うんですけど。
二七年度から同一圃場での同一取組への支援を五年で打ち切るということについて、環境保全型農法と慣行農法との間で収益の差が解消されるという前提に立っているんだけれど、生態系保全の現場の実態とは乖離しているという声が寄せられているんですね。これ五年で打ち切るということは実態に合っていないし、今答弁でははっきりなかったんですけど、やっぱり農業の有する自然環境、生物多様性への貢献を評価するという趣旨と矛盾するものになるんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(堺田輝也君) 失礼いたしました。
新たな直接支払交付金でございますけれども、みどり法の認定を受けた農業者を対象といたしまして、支援期間中に市場評価の向上と生産の安定化の取組を実施していただくという方向で検討しているところでございます。
具体的には、みどり認定者を対象に、掛かり増しコストに加え、減収リスクにも対応した支援とするとともに、市場評価の向上、それから生産安定化の取組を実施していただくことで、五年間で取組の定着と拡大につなげる仕組みとする方向で検討しているところでございます。
このため、同一圃場での同一取組への支援は五年間を区切りとしたいと考えておりますが、これは、みどり認定では五年間で取組を定着させる計画を立てることとしていることと、あと、現行制度において、五年程度で収量が安定し、価格も含め一定の利益が得られるというデータがあること、こういった実態も踏まえまして、取組の定着に必要な期間として検討しているところでございます。
○岩渕友君 五年ということについては、この委員会の中でも、やっぱり実態に合っていないよねということがほかの委員の先生方からもるる出されてきているわけですよね。方針の見直し、そして要件や手続の緩和、あと単価の引上げ、予算の大幅な拡充行うべきだということ強く求めて、法案の質疑に入りたいというふうに思います。
そもそも、種子は誰のものなのでしょうか。私は、知的財産権の保護は重要だというふうに考えています。その一方で、農作物の遺伝資源は、人類が数千年にわたって先祖代々保存、改良してきた人類共有の財産と言えるものです。
その観点から、国連は、農民の権利宣言で、農家は自家採種の種苗を保存、利用、交換、販売できる権利を有するとし、食料・農業植物遺伝資源条約においても同様の規定が設けられています。
そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、この農作物の遺伝資源は、本来、人類の共有の財産だ、こういう認識かどうか、確認したいと思います。
○国務大臣(鈴木憲和君) 品種は、農業生産の基礎となるものであります。我々が日々目にする品種は、登録品種、一般品種の差はなく、全て品種改良を繰り返して開発されたものであり、野生種とは全く異なるものであります。これは、長年の人類のこの努力、努力というか、この英知の結集というか、その結果によるものでありまして、その結果として、現在、この飢餓の克服による人口の増加や地域経済の振興などをもたらしておりまして、この品種は人類の発展にとって欠かせない重要なものであるというふうに認識しております。
現代でも、異常気象や病害虫の広域化など、農業生産の持続性がリスクにさらされている中で、この農業生産のインフラとして、高温耐性など様々な課題に対応した品種を生み出すことは、人類にとってもますます重要になっております。
育成者権は、新品種の開発を促進するために、品種の開発者にその利用を独占させるとともに、育成者権の期間を制限をし、一定期間経過後には誰でも品種を自由に利用できるようにすることにより、独占と共有のバランスを取る制度であることは申し上げておきたいというふうに思います。
○岩渕友君 非常に大事なものだということは共有できるのかなというふうに思うんですけれども、UPOV条約の育成者権の存続期間が二十五年から三十五年に延長されます。現在、存続期間の上限まで登録を維持しているのは全体の約一七%というふうになっているんですね。それを考えたときに、三十五年というのは長過ぎるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 先ほども申し上げましたが、この育成者権のこの期間というのは、育成者の利益の保護と品種の自由な利用の両面の考慮をしながら、バランスを取りながら設定をされるものであります。
育成者権は、権利者が、品種の利用価値を踏まえて、既に後継品種が普及するなど、登録を維持する価値がないと判断する場合には、育成者権者は登録を取り下げるのが通常であります。このため、存続期間の上限まで登録を維持するものは、実際には全体の約一七%にすぎません。
期間上限まで登録が維持される代表的な品種には、都道府県が開発をし、その利用もその地域の農業者に限定されていることが多いと考えておりまして、このような品種は、育成者権を維持することにより地域ブランドが維持されることから、育種を行う県からも期間延長の要望を受けてきたところであります。
ですので、こういったことを総合的に勘案をして、今回この十年間の延長をするということになりました。
以上です。
○岩渕友君 農家の自家採種も許諾制とされて、さらに自由に使えない期間を長期化するということは、地域に根差した品種の保存や、地域社会にとっても影響があるというふうに考えるんですね。なので、ちょっと三十五年というのは長過ぎるのかなというふうに思っています。
それで、次に、重要品種育成法案について聞いていくんですけれども、農研機構や県の農業試験場などの公設試験研究機関と民間企業がコンソーシアムをつくって、公設の研究機関の知見、データ、栽培圃場をより効率的に提供するなど、民間企業による育成者権の取得を後押しするものです。
つまり、旧三井化学アグロが開発した水稲品種のみつひかりのような品種開発を広げよう、民間企業の参入を促そうということです。けれども、みつひかりはどうなったのかということなんですね。品種の混入と産地の偽装表示で種苗法違反となり、今年の三月で三井化学は種子事業から撤退をしました。
種子法違反、種子事業からの撤退の理由は何だったんでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
三井化学クロップ&ソリューション株式会社が販売しておりましたみつひかりの種苗法違反の原因につきましては、同社の報告によれば、種子生産に関する十分な知識を持った従業員が当社内で不足していた技術的側面、限られた従業員で生産から販売まで行っていたことで、社内のチェック機能が働いていなかった管理的側面、従業員に対するコンプライアンスに係る指導が不足していたことによる人的側面が挙げられております。
また、同社は本年三月をもって種子事業から撤退しておりますが、その理由につきまして、昨年十二月に同社が発表したプレスリリースによりますれば、長年にわたりハイブリッドライス種子の生産性向上に取り組んでまいりましたが、技術的、人材的、経済的な要因により、事業の継続が困難であると判断いたしましたと説明しております。
○岩渕友君 技術的、人材的な問題をカバーするということになれば、コストが掛かるわけですよね。この経済的要因というのは、コストに見合わないから撤退するということです。
これ、同じような失敗をしないように、重要品種育成事業計画を作るということになるんですよね。これ、確認したいと思います。
○政府参考人(堺田輝也君) 重要品種育成事業計画につきましては、その審査に当たりまして、研究、育種の執行体制、実現性、そういったものをしっかりと審査をして運用を進めてまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 ちょっと答弁になっていないのかなというふうに思うんですけど、三井化学でさえコストに見合わずに撤退をせざるを得なかったわけですよ。これ、民間企業が参入しやすいように公的なリソース使えるようにしようというのがこの法案なんですよね。
これ、交雑が起きないようにするための圃場の確保が大変だという話も聞いています。事業計画が認定をされれば、生産のために圃場の貸出しなどが行われるのか、生産に協力することもあるのでしょうか。
○政府参考人(堺田輝也君) お答えいたします。
気候変動等対応品種法案では、気候変動等の喫緊の課題への対応に向けまして、重要品種育成事業計画に基づきまして、品種を育成する研究機関に対しまして農研機構による先端的な研究設備の供用を行うこととしております。例えば、高温耐性の検定等が可能な人工気象室等を想定しておりますが、具体的な施設設備については、現在対象については検討しているところでございます。
以上でございます。
○岩渕友君 今検討しているということなんですけれども、県がこれまで農家に委託生産してもらっていた圃場を使えるようにするということもできるわけなんですよね。
品種登録出願の義務化、出願料等の減免ができるとなっています。この枠組みで知的財産権は誰がどんな割合で持つことになるんでしょうか。
○政府参考人(堺田輝也君) お答えいたします。
一般的に複数の研究機関が連携して品種育成を行う場合には、共同研究契約を締結いたしまして、育成者権を始めとする知的財産権の帰属、取扱いについて取り決めるものと承知しております。
それらの知的財産権の保有割合については、共同研究契約の取決めに基づきまして、育種素材の提供や研究への貢献度、こういったことを踏まえて当事者間で決めていただくというのが一般的な内容になってございます。
○岩渕友君 民間企業は当然なるべく高く売りたいというふうに考えるわけですよね。その一方で、公的機関が開発をした品種は、長い時間を掛けて、多額の予算を投入しても安価で提供をされるわけです。民間企業とは真逆というか、そういうことになると思うんですね。それにもかかわらず、一体どういう価格設定にするのかなと、価格にするのかなというふうに思うんですよ。
外国ではどうなっているのかというのを見ていきたいと思うんですけど、例えば米国の小麦と大豆について、公的品種と民間品種の割合はどうなっているでしょうか。民間企業が参入したことで価格は上がったんでしょうか、下がったんでしょうか。
○政府参考人(杉中淳君) まず、米国の小麦と大豆の公的品種と民間品種の推移について説明をさせていただきますけれども、アメリカはかつて公的機関の役割が大きかったわけですけれども、一九八〇年にバイ・ドール法というのができまして、公的品種の特許によるライセンスが認められた。また、一九八〇年代半ばに遺伝子組換え技術が実用されたことによって、大豆、トウモロコシを中心に民間企業の参入が進んだ結果、これらの品種については民間企業による種子供給が大きな役割を占めるようになっているというふうに考えております。
今、小麦、大豆の品種によるシェアというのに関するデータというのは米国の統計でも出ておりませんが、アメリカが公表している特許データ、植物品種保護データによれば、二〇〇五年から二〇四〇年の登録品種のうち、大豆は民間育種によるものが九八・五%、公的品種が一・四%、小麦では民間育種が六五・一%、公的育種が三四・八%となっております。
また、民間育種の割合が変化、増大することに伴う種子価格の変化、これもデータございませんけれども、一般的には、公的育種の品種というのはロイヤリティーが低いことから、民間育種の増加による価格は上昇しているというふうに考えております。
○岩渕友君 民間企業が大きな割合を占めているし、価格は上がっているということです。
少し古いんですけれども、二〇一八年の京都大学、久野秀二教授の研究によれば、バイエルやシンジェンタなどの種子バイオ事業によって、米国の小麦は種子市場の四割前後、大豆は九割前後まで寡占化が進展し、これに伴って種子価格が一九九〇年代後半から二〇一四年までの間に小麦は二倍、大豆は三から四倍にも跳ね上がっているというふうに報告されています。トウモロコシや綿花も大豆と同様のようです。現時点では更に上昇しているというふうに思うんですね。
二〇二三年の米国の農務省、USDAの報告書では、民間企業が特許を持つ遺伝子組換え種子の価格は一九九〇年比で四六三%に暴騰していると報告をし、トウモロコシや大豆、綿花などの主要作物において、知的財産権の濫用が価格を押し上げていると分析をしています。
昨年十月に開かれた米上院の農業資材の競争問題に関する公聴会では、農家は巨大企業から特許付き種子と自社製農薬や肥料をセットで買うよう拘束され、ほかの選択肢を奪われているとの指摘がなされています。これがおとといの印鑰参考人が指摘された米国の動きになっているんだろうというふうに思うんですね。日本でも同様のことが起きるんじゃないかと非常に心配をしているわけです。
みつひかりの十アール当たりの種子代について、みつひかり、全品種平均、それぞれ幾らでしょうか。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
平成二十六年度におけるみつひかりの種子価格は十アール当たり約一万六千円、全品種の平均種子価格は十アール当たり約千六百円となっております。
○岩渕友君 十倍もの差があるわけですよね。
多収なので粗利益が高いと。一般的な普及品種栽培と比べても遜色ない所得確保が可能だというふうになっているんですけれども、多収ということは多くの肥料も必要になるわけですよね。
科学企業が品種開発に参入するということは、種だけでなくて肥料、農薬もセットで販売したいということになります。海外の企業が目指している方向もこういう方向です。それに農研機構などが協力させられるということになるんだということだと思うんですね。
こうして開発された民間企業の稲が奨励品種になるということもあるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(堺田輝也君) お答えいたします。
本法案により育成された重要品種については、都道府県が基本計画の策定の際の参考とできるように国が都道府県に情報提供を行うこととしております。
その上で、各都道府県における基本計画の策定とともに、普及すべき奨励品種として取組を進めていく場合には、位置付けていただくことは可能であると考えております。
○岩渕友君 奨励品種になり得るということですよね。
奨励品種になればそれしか選択肢がないということが起こり得るんじゃないかと思うんです。しかも、高い種と肥料、農薬がセットで販売されるということになります。さらに、事業計画に外国企業が参入することも排除されていないわけですよね。
こうした方向性というのは誰の要望なのかということなんですよ。農家が望んでいることなんでしょうか。農研機構や農業試験場では不十分ということなのでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 今回この気候変動等対応品種法案が目指すのは、要するに、今この種子、種苗の世界でだんだんだんだん、何というか、新しい品種を開発するのが、かなりコストも掛かるし難易度も上がってきていて、そもそもの今の品種のレベルが高いので、更にいいものというと更に難易度が上がってきているわけです。
そういう中で、我々、国内でのいろんな、農研機構はもちろんですけれども、都道府県の試験場なんかもいい品種たくさん持っていますから、全ての力を総合していいものを作っていこうという法案でありますから、あんまりそういう、何というか、しかもそれは、ちゃんとこれから育成者権も守っていこうということでありますから、海外の何か方が入ってきて、それが何かということにはならないというふうに考えております。
○岩渕友君 農家が望んでいるのは、安価な種が安定的に供給されることですよね。それを支えてきたのが農研機構や農業試験場なんですよ。
二〇一六年の規制改革推進会議で農水省の幹部が、みつひかりが奨励品種に指定されていないことに対して、県が自ら種子を開発しているから民間の種子産業の参入をしにくくしているというふうに説明しているんですよ。こうした認識の下で種子法がいきなり廃止をされるということになりました。
農研機構や試験場の予算、人員の問題、今日るる皆さんから出されていますけど、この状況を放置して品種の育成を民間企業に移行しようというのは、公的役割を放棄することになるんじゃないかと思うんです。結局は予算減らしたいってことなのかというふうに思っちゃうんですよね。
そういうことはやっぱり許されないし、本来であれば、農家独自の取組、地域ごとの取組こそもっと進めるべきだし、そこに公的研究機関が農家の独自の取組と一体に取り組んでいくことが大事だということを述べて、質問を終わります。
221-参-農林水産委員会-016号 2026年07月16日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党を代表し、両法案に反対の討論を行います。
両法案は、主要農作物種子法の廃止と、それに続く種苗法の改正に連続するものです。
政府は二〇一八年、各県の農業試験場などの公設試験研究機関を、民間の品種開発を阻害しているとして、その根拠法である種子法を突然廃止し、同時に、公的機関が持つ知見を民間に提供させる農業競争力強化支援法を成立させました。二〇二〇年には、知的財産権の強化を通じて品種開発企業の利益を確保するため、自由だった農家による登録品種の自家増殖を一律禁止とする種苗法の改正を行いました。
しかし、そもそも農作物の遺伝資源は、人類が数千年にわたり保存、改良してきた共有財産とも言えるものです。その観点から、国連、農民の権利宣言においても、農家は自家採種の種苗を保存、利用、交換、販売できる権利を有すると記載されており、食料・農業植物遺伝資源条約においても同様の規定が設けられています。これまでの一連の改正は、こうした農民の権利への配慮を全く顧みず、種苗企業の参入促進、利益確保に著しく傾くものでした。今回の改正も、更に知的財産権を強化、保護しようとするものであり、農民の種に対する権利を一層制約するものです。
現在、国内の育成者権の存続期間は、既にUPOVで求められている二十年を超え、二十五年となっています。今回の種苗法の改正は、これを加盟国で最長の三十五年とし、知的財産権の大幅な強化を図るものです。また、育成者権取得前、登録申請中の差止め請求制度の新設、育成者権侵害に対する損害賠償額の拡大など、育成者権の効力の範囲を拡大する改正も、農民の権利を無視し、農家の自由な育種、採種活動を実質的に制限し、萎縮させるものです。
現在、世界的に種子事業の民営化と知的所有権を強化、植物遺伝資源の囲い込みを通じて、独占バイオ産業が公共種子、農民種子を多国籍企業が開発した特許種子に置き換えようとする状況が進んでおり、農家がこうした独占企業の開発した高い価格の品種を使わざるを得なくなる状況が進展しています。
重要品種法案は、こうした流れに同調し、公的試験研究機関の知見、データ、施設を民間企業に提供させるだけでなく、育種から生産に至るまで全面的に協力させることで、種子、種苗開発に対する公的役割を放棄し、内外の独占企業に移行する足掛かりをつくろうとするものです。
我が国の公的事業による種子、種苗供給は、量的にも質的にも不足が生じているわけではなく、本法案は農家の願いでもありません。優良な品種の開発を促進するのであれば、これまで重要な役割を果たしてきた公的試験研究機関に対する予算、人員増こそ必要だと述べ、反対討論とします。
