参院国民生活・経済調査会は21日、高齢者をめぐる格差について参考人質疑を行いました。日本共産党の岩渕友議員は、高齢者世帯の4割が年収200万円以下で、生活保護受給者の半分が高齢者だとして、安倍政権が狙う生活保護の生活扶助基準の最大5%引き下げについて見解を求めました。
明治学院大の河合克義教授(社会学)は、憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活に言及。国家的に設定する最低限の生活水準に向けて各制度を調整していくフランスの例を挙げ、「今回の制度改定は基本的にはおかしい。(最低賃金などが)生活保護より低いから、そこへ向けて下げていこうというのは無理がある」と批判しました。
同氏は、地方・東京間で「文化的な要素には非常に格差がある」と指摘。文化的な要素を含めた基準を設けて年金や生活保護の制度を積み上げていく発想がないままばらばらに検討している今のやり方では「高齢者の生活を保障していくことにならない」と述べました。
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○参考人(河合克義君) 明治学院大学の河合と申しますが、社会学部の中に社会福祉学科という学科がありまして、福祉系の大学での福祉の教育ということでは最も古い大学の一つであります。その中で、中心的には高齢者の生活実態を地域調査の中で考えているんですが、同時に住民のいろいろな組織あるいはNPOとか住民の主体的な活動等も研究領域に入っておりまして、このところは総務省の都市部のコミュニティーの在り方に関する研究会の座長とか、それから、今、内閣府で現在、昨年からやっているんですが、男女共同参画局で、これも少し狭いテーマですが、町会、自治会における女性会長の割合が現在五%であるものが、これ政策目標として一〇%というのを掲げて閣議決定されているんですが、それを実現するための検討会の座長も仰せ付かっております。あと、それから、厚生労働省の関係の高齢支援課関係の在り方検討会の委員長も仰せ付かっております。
今日与えられたテーマは、「豊かな国民生活の実現」というこの大きなテーマの中での格差の問題、高齢者の問題、高齢者の格差ということで検討されるということで、本日、ここにありますように高齢者の貧困と社会的孤立の現実ということで、二十分という限られた時間ですが、お話をさせていただきたいと思います。(資料映写)
今日、お手元に資料、二種類ありますが、パワーポイントのデータがこれだけ大きく印刷されていれば、もう一つの二種類目のはパワーポイントの方ではデータが小さくて読めないんじゃないかと思いましてこちらを用意したんですが、このパワーポイントの方が大きいので、これだけでもいいかと思います。特に国勢調査のデータ、少し細かいものですから別に用意させていただきましたが、主にこのパワーポイントのデータ、見ていただければと思います。
私、研究領域としては高齢者の領域で調査をやってきておりますが、自己紹介的にまず私のスタンスといいますか、研究の視点ということでお話しさせていただきたいんですが、それは、科学の出発点がそうですが、対象論といいますか、高齢者でいいますと高齢者自身がどういう課題を抱えているのかという、高齢者というその対象の属性、特徴、そういうものを調査の中で明らかにするという、そういうスタンスでここ何十年も調査をやってきています。
その際、この格差問題が今回テーマになっているということで、非常に私うれしく思いました。ここ四十年の日本の、私自身の研究生活の中でも、高度成長期は日本は世界でも有数の豊かな国で、こういう格差の問題というのは余り注目されないでずっと来ておりました。しかし、現在、この格差問題というのは非常に大きな課題になって、参議院でもこういう形で格差問題を取り上げていただけるというのは、非常に私自身うれしく思います。
この格差を取り上げる際に考えなければいけないのは、私は、高齢者の生活水準というものを幾つかのグループに分けて、自分でできる安定している層から非常にハンディを抱えていて不安定な方々まで、後ほどお示ししますが、幾つかのグループに分けてそれぞれの生活の特徴を見、そこから制度、政策の在り方というものを考えるべきではないかという立場で研究をしてきておりました。
社会福祉学科だからではありませんが、その際、私は出発点は、一番底辺で苦しんでいる方々の問題をきちっと捉えて、どうその生活をきちっと安定的なものにするか、この作業は、その上に連なるグループの生活、学問的には社会階層という言い方がありますが、ソーシャルクラス、階層、上に連なる階層の方々の生活の予防にもなるんじゃないかということで、かなり底辺の部分を見てきております。
当然、ということでこの貧困問題というのが一つのテーマになるわけですが、この貧困問題は、貧困状態になると孤立問題を伴うということで、七〇年代から私、この貧困問題プラス孤立問題にこだわって研究調査をしてきておりました。
それからもう一つ、大切なのはこの四番目ですが、地域の高齢者を見ていますと、なかなか自分で困っていることが言えないとか、制度の知識がない、制度を利用しようとも思わない、そういう存在が気になりまして、制度はあるけれども利用しない、あるいは制度がなくて困っている方々、そこら辺のもう一つこだわりがありまして、一つは、制度はその時代時代で対象とする領域というのは変わってきております。例えば生活保護でいうと、かつては冷蔵庫は駄目な時代もありました。それが今は一般的に認められておりますが、政策による対象の切取り、余りいい表現ではありませんが、その時代時代で制度がカバーする領域というのは違っていると。そういう中で、声を上げない、そういう対象の方々にこだわっている。その意味で、潜在化しているなかなか見えない問題、そこもきちっと見たいということで、その一つの手法として、私は地域調査、基礎自治体単位の地域調査をやってきております。
ここに挙げているのは一部なんですが、地域調査というのは、その地元の行政とか調査に関わる組織とかあるいは当事者、そういう人たちの理解を得なければできないんですが、非常に幸いなことに、資金も含めまして、沖縄の宮古島から、ここには入っていませんが北海道まで、あちこちで調査をやってきております。
特に今日は、自治体財政では日本一豊かと言われる東京港区と、それから農村地域を含むということで山形県、ここで全市町村の独り暮らし高齢者の調査をやることができまして、この二つのデータを主に紹介しながら、私の今日、貧困と孤立問題、この現実というところでお話をさせていただきたいと思います。
皆様方も御承知のように、二〇一〇年からNHKがかなり意図的に無縁社会ということで孤立問題をテーマにした番組作りをしてきております。
一番最初が、「無縁社会」、行旅死亡人が自治体で把握されているので、全自治体に電話をして葬祭執行したその数を把握しようということで、それをベースにした番組が一〇年の一月三十一日に放映されました。一時間ぐらいの番組ですが、NHKによれば三万二千人いた、遺体が引き取られないので自治体が葬祭執行費を出したという数ですね。しかし、この時点では私関わっていないんですが、その後、NHKと一緒にいろいろな番組を作りましたが、この三万二千人というのは、まず調査の回収率が七割ということで、三割は分からない、それから、引き取った部分かなりあるわけですが、引き取られた方々はこの数に入っていないということで、この三万二千人というのは氷山の一角ではないかというのがNHKの言うことです。
この年の十月に、視聴者参加型の三時間番組で、無縁社会を解決する方策というそういうものを中心にした番組を作りました。私、シナリオから関わりまして、最後にはその三つの提案の一つを提案させていただいたんですが。
それと、それから三番目にあります、今もやっていますが、「老人漂流社会」の一環で、一四年九月に「老後破産の現実」という番組ですが、五十分番組ですが、これは独り暮らし高齢者の貧困問題を扱ったものですから、シナリオ作り、企画段階から関わり、そしてデータも提供し、事例も三人の方が登場しているんですが、二人は私が紹介したものです、そういうもの。
それから、最後の八番目ですが、昨年の八月二十日の朝七時からの「おはよう日本」で、十分ちょっとぐらいの特集番組なんですが、ニュースですけど、孤立死というものが高齢者ではよく言われている、しかし、現役世代もこの孤立死が起こっているということでニュース番組が作られました。これも私関わって、いろいろ助言もしたんですが。
その最初の一〇年の十月の無縁社会をどう克服するかということで、三人、解決方策の提案をいたしました。一人目が湯浅さん、生活困窮者自立支援法という形で成っていますが、できる前、まだ実験段階のときの発言。それから、二番目は結城さん、地域の支え合いというレベルでの提案。それから三番目、これが二〇一〇年時点では非常に、何という時代遅れなという、公的ヘルパーというものを私、提案させていただきました。ちょっと、こういう画面ですが。
なぜこの公的ヘルパーというものを提案したかというと、先ほど言ったこととも関わるんですが、自分から声を上げない高齢者というものが制度に結び付いていないと。ところが、政策的には二〇〇〇年の介護保険以降、制度の基本が自分から制度を利用選択する、それから契約制、自己選択、契約制という、そういうシステムにシフトしてきまして、自分から利用しようという気持ちのない、気が付かない、そういう人たちが、高齢者が地域に潜在化していると。そこへ向けて権限を持ったヘルパーがアウトリーチをしていく、そういうシステムを提案させていただきました。これ、後ほど具体的にお話しさせていただきたいと思います。
それから、二〇一四年の「老後破産の現実」、これは非常に反響がありました。とても暗い三人の事例を積み重ねたものですが、港区からももうごみの山に暮らしている男性の高齢者の事例が紹介されたんですけれども、非常に暗いテーマでしたけれども、人ごとではないという電話、ファクスがNHKに殺到いたしました。そういう番組作りをして、この映像は私の研究室で鎌田さんと三時間ぐらい議論して、そこから番組に一部分使われたものです。本当はお見せすればよろしいんですが、時間がありません。
それから、昨年の八月二十日のものは、これは六十五歳以下の若者、二十歳代から孤立死が発生しているということで、NHKがそういう番組を作りました。私のコメントも載ったんですが、そのときにディレクターとの話で、私も知らなかったんですが、日本少額短期保険協会という組織がありまして、二〇一一年から孤独死保険というものがあるということで、それが、ここ二〇一五年から一七年までで千件を超えるこの保険が支払われた。賃貸住宅の家主に払っているものですが、そういう保険まで出てきていると。
東京都のデータですが、東京都は変死体は全て監察医務院に送られますが、ちょっと時間が余りないので飛ばしますが、非常に一人で亡くなっている高齢者が多い、既に三千人を超えているというデータです。後ほど御覧ください。
全国的に、私、独り暮らし高齢者の出現率というものを計算しておりまして、ここにあるのは都道府県単位ですが、東京都が一番独り暮らしの割合が多い、鹿児島、高知と、こうなるんですが。低い方ですけれども、山形が一番低いんですが、福井とか石川、ここにマークしたのはちょっと訳があるんですが、福井新聞社から二〇一五年の秋に連絡がありまして、福井は今データをお見せしたように独り暮らしも少ない、同居率が高い安定した県と言われてきたけれども、遺品整理会社が大繁盛している、なぜかということですね。これは私、地域調査もやっていますが、大都市のみならず、同居率の高いそういう地方でも孤立死が発生していると。石川県でもしかりということですが。
孤立問題発生の背景としてよく言われるのは、独り暮らしが多くなっている、夫婦のみが増えている、それからもう一つは、親と未婚の子、八十歳代の親と五十歳代の男性の、働いていない、親の年金で暮らしている親子世帯というのも一つ最近問題になっています。こういう問題の背景を、私、一つは日本の家族というものが大きく、家族関係が変わってきているんじゃないか。
私の調査では、お正月三が日一人で過ごした人というのを把握しています。都市、地方を超えて三割前後、お正月一人で暮らしている。それから、一番下ですが、国際統計で一か月に親、子供と食事をする回数というものの比較したものがあるんですが、日本の場合はこれなかなか、食事をする、一か月単位では回数が出てこないですね。
昨年の夏にパリの自治体国際化協会というところで職員研修がありましてちょっと話してきたんですが、ここにフランス人の職員がいるんですが、あなたは一か月に食事、何回親としますかと聞いたら、もう普通に二回から三回ぐらいは親と食事をしていると。日本の場合は月単位では出てこないということで、この家族関係というのが非常に日本の場合大きく変わってきているんじゃないか。それから、地域社会もそうでして、非常に地域の関係が希薄化している。
そして、私、独り暮らし高齢者の、国勢調査で、多い、自治体単位で計算しているんですが、ちょっとこのパワーポイントでは小さいので後ほどお手元で見ていただきたいんですが、一つは、大都市が一九九五年には、これ上位三十自治体だけ選んでいるものなんですが、大阪の二つだけだったんですが、今や大都市が十四自治体までに増えている、都市部で独り暮らしが急速に増えている。それから、実は農村部、島も同じでして、増えてきているんですが、町村合併でちょっと見えなくなっている面はあるんですが、そういうものです。パワーポイントでは見えませんが、これは一番高い青ケ島から始まって上位の自治体のリストを載せさせていただいております。東京都分もデータありますが、ちょっと時間がありませんので。
私、港区で一九九五年から全数調査、二〇〇四年、二〇一一年、一一年も全数調査をやっているんですが、もう一つ、山形で全市町村の調査、九五%の回収率ですけれども、この生活保護基準相当額の方、港区で五割半、山形でも同じぐらいの割合、五割半という、私の調査から出てきております。
港区の調査で、これはちょっと最後に載せております参考文献読んでいただきたいんですが、安定層から不安定層まで五つの生活類型に分けてそれぞれの指標を見ますと、例えば社会参加率などは、一番下のは三割程度ですけれども、安定層は七割をしている、健康の格差も非常に大きいということで、こういうそれぞれの生活階層ごとに生活の状態を把握する必要があるのではないか。
公的ヘルパーというのを提案しましたが、私、港区の政策創造研究所というところの初代所長を仰せ付かって調査をやりました。その調査結果から、制度を利用していない、声を上げない高齢者を把握するということで、ふれあい相談員というのを提案させていただきました。政策になっているんですが、これは「老後破産の現実」で実際に登場して訪問しているものですが、介護保険、福祉サービス、病院へ行っていない人をリストアップして、港区で四千人ぐらいなんですが、そこを全数訪問するという、そういうシステムです。
政策的に、一言だけ申し上げますが、社会保障というのはいろいろな構成要素がありまして、社会保険、社会手当、公的扶助、福祉サービスあるんですが、日本の場合は社会保険が中心になってきて福祉サービスが非常に軽んじられていると、そこから起こる問題がしっかり把握できないという問題もあるのではないか。
ここに挙げている養護老人ホームの一般財源化とか、それから二〇〇七年には国家予算から老人福祉費という費目がなくなっているということで、私、もう一度この福祉サービスというものの意義というものを考える必要があるんじゃないか。それは、声を上げない、潜在化している、そういう問題にどうアプローチするか、社会保険システムではカバーできない問題があるのではないか、そこら辺がこの貧困問題、孤立問題の日本の非常に厳しい現実を醸し出している、つくっているんじゃないか。
フランスの私の恩師一緒なんですが、何で日本でこれだけ孤立死多いのか、フランスであり得るとしたら、用意周到な自殺以外考えられない、意図的に関係を切って自分から命を落とすということ以外、一週間、何か月も発見されないということはフランスでは考えられないというふうに言われて、非常にショックを受けました。
○会長(増子輝彦君) 河合参考人、大変恐縮でございますが、大分時間が超過しておりますので、おまとめいただきたいと思います。
○参考人(河合克義君) はい、終わります、一言で終わります。
フランスではモナリザという国民的な孤立問題を解決するそういう組織ができています。それから、御承知のように、イギリスではついこの間、孤独担当相という大臣が新設されて、日本よりも、孤立問題、かなり様相違いますが、フランス、イギリスでもこういう形で政府も含めて重視しているということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。
失礼しました。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
次に、緒形参考人にお願いいたします。緒形参考人。
○参考人(緒形憲君) 株式会社高齢社の緒形憲と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
それでは、高齢社の概要と課題ということでお話し申し上げますけれども、皆様へ、何か今後のお仕事上、国政にお役に立てることができれば大変幸いでございます。
それでは、パワーポイントと、お手元には弊社のパンフレット、そして概要を書いたものと私のプロフィール等がございますので、御覧いただければと思います。パワーポイントの方で説明申し上げます。(資料映写)
タイトルはこのようなことで、一人でも多くの高齢者に働く場と生きがいをという会社でございますが、大変まだまだ小さい会社であります。その辺についても御紹介いたします。
高齢社は、六十歳以上の高齢の方を、定年を迎えてもまだまだ元気、気力、体力、知力があるのに家にいるというのはもったいないじゃないかということでつくった会社でございまして、上田研二、後ろにおりますけれども、東京ガスのOBでございます、私もそうなんですけれども、二〇〇〇年の一月に創業いたしまして、ユニークな名前とちょっと変わった仕事のやり方で始めておりまして、現在に至っております。資本金は一千万円でございます。今、五億五千万ぐらい、昨年度決算ですが、本年度、今期三月は六億四千万ぐらいになるのではないかということで、右肩上がりでおかげさまで成長してきております。東京ガスさんのいろいろ御支援いただいておりますけれども、資本関係はございません。関係の企業との取引が六割になっております。当初はもうほとんど、九五%東京ガスさんのお仕事でございました。
私どもで働いているのは、派遣という形で働いていただいております。平均年齢、今は七十歳を超えているという形でございまして、今現在就労率は四割ぐらいで、本社で働いている方は二十六名で、こちらは六十三歳でございます。
創業の上田ですけれども、一九三八年生まれということで今年八十歳になります。進学を断念と書きましたけれども、いろいろ苦労されまして、東京ガスの赤字の子会社も立て直しまして、二〇〇〇年のときにこの高齢社を起業いたしました。二〇〇二年には関係会社ユメニティだとか、それから、パンフレット入れてありますけれども、かじワンという家事代行会社、この辺もつくって、女性の活躍支援も始めております。現在はユメニティという社長、そこに専念しておりまして、パーキンソン病でございましたので、いろいろ身体障害者の雇用拡大ほか取り組んでおります。いろいろやっておるというところで。
高齢社の企業のテーマでございます。こちらは、基本方針としましては元気な高齢者がたくさん働く高齢社会、これはもうどうしたって高齢社会になりますので、そういった方が活躍するというのはどうしても必要であるということが基本にございます。
我々の社員は生き生きと明るく元気に働いておりまして、目標、目的をきちんと定めて前進しておるわけでございます。我々の目標というのは、労働者活用の一翼を担って、シニアの人が元気に安心して働ける会社として存続して、社会貢献に資するということを目指しております。社会に必要な仕事を確実、丁寧にしっかりやっていくということをビジョンとしてやっておりまして、現場で働く人、この皆さんを中心に活動している、人本主義、資本主義じゃなくて人が財産の会社を目指しております。一人でも多くのシニアの方に働く場と生きがいを提供するというコンセプトでございます。
考え方、重ねて申し上げますけれども、日本の都会では特に人手不足、今現在本当に人手が足らなくて困っておりまして、現役の方々は時間外、休日出勤、休みも取れない、余裕がないということで、これを収拾しなきゃいけませんということで、政府でも働き方改革ということでいろいろ御検討されているというふうになっておりますが、一方で、現実は定年した方が暇を持て余しているとか、経験がたくさんあるのに、気力、体力があるのにもったいないと。しかも、奥様の生活リズムを乱している。俺の御飯はどうなっているのとか、どこ行くのというような実態があろうかと思います。そういった皆さんに仕事をしてもらおうじゃないかということで、上田が九〇年代に橋本龍太郎さんの講演を聞きまして、これからはシニアの働く時代が来るというような講演があったそうでございまして、なるほどということで起業、創業したと聞いております。高齢者が活躍する時代という到来があるので、労働者不足を補うのは、ちょっと大変失礼ですけれども、女、老、外、ロボット、ロボットというのはAIかもしれませんが、こういう時代が到来しているということかと思っております。
私たちの事業の推移です。これ、二〇〇〇年が一番左でございます。ちょっと小さくて恐縮ですが、紙の資料もございますので後で御覧いただければと思います。最初は二十人、三十人で年商も一千万に満たなかったわけでございますが、右肩上がりで人数そして売上高も増えてございます。これが二〇一六年で、二〇一七年では更にこの上、六億円を超えております。
こちらの次のグラフは、現在の登録されて働いている方でなくて、登録されている方の状況でございまして、ここは九百二十四人ですが、本日現在九百三十九人になっておりまして、どんどんどんどんおかげさまで増えてはいます。その方々にお仕事をどうやって提供していくかということを考えてやっているわけです。
このグラフを御覧いただくとお分かりいただけますように、六十から六十四歳はほとんどいないんです。我々の会社では、ここは若手と呼んでいます。若手の人はこれしかいません。したがって、六十五歳以上の方が皆さん元気に働いているというのが実態でありまして、まさに六十五から六十九は働き盛り。そして、こちらにありますように、就労率は四二%で、七十・三歳が働いている方の平均でございます。
働き方なんですけれども、どうやって働いているかということであります。条件は、今言ったように六十歳以上、中にはちょっとお若い方もいらっしゃいますけれども、七十五歳未満で定年退職された気力、体力、知力のある方、まあ前向きな方と書きましたけど、基本的に仕事を好きな方ですよね、仕事に対してもう嫌だからしようがないとか、そういう方ではなくて、仕事に生きがいを求めてしっかりやっていく方、そういう方が我々に登録をしていただいております。
勤務形態なんですが、働く人の都合優先になっておりますので、どうしても、まあ九百人以上いますけれども、働いている方は四百人弱ということになります。週三日程度の働き方で、一つの仕事をワークシェアということでやっていただいていまして、週四日は、残りの四日は御自身のやりたいこと、旅行とか趣味だとか御家庭の用事だとか病院だとか、そんなボランティア等々、働きますので、お仕事と生活が非常にバランスよく保てて大変結構かなと思っております。
収入は八万―十万です。大体一日一万と思っていただければいいと思います。この辺もいろいろ問題、課題がございます。本当はもっと欲しい人はもちろんいます。生活のためには倍以上働かなきゃいけないんですが、そこまでやりますと、また後で申し上げますけど、いろんな、社会保険制度に入らなきゃいけないとか、年金をまた払わなければいけない、又は年金が減らされるといったようなことがございまして、この辺が課題と思っております。私どもは、毎月のお手当のほかに、年度末にある程度の経常利益が出ます、それについては社員とそれから我々のスタッフで期末手当という形で分け合っております。
働いている方には定年制度はございません。本人と、皆さんと働き先の皆さんの都合で、七十五歳以上で働いている方もいらっしゃいます。この辺も後で写真で御覧いただければと思います。ここには、また一つ、今話題になっておりますけど、無期雇用、有期雇用という問題があります。これも本当は全然シニアの方には余り関係ないんですよね。でも、それが全て派遣ということで一からげになりまして適用されることになりますので、対応に会社側としては苦労しております。
派遣の事例等については、東京ガス関係がおかげさまで今は六割ぐらいになりまして、いろんな仕事がございます。これ、ちょっと後で写真で御覧いただきます。東京ガス以外は三五から四〇になりました。これ、売上げベースでございまして、いろんな仕事ございますので、これもちょっと後で御覧いただきます。
働く皆さんの様子は写真でこれから御紹介いたします。元気だから働くのではなくて、働くから元気ということで、皆さん頑張って働いていただいていると。
こちらは、東京ガスライフバルさんというお店がございまして、こちらでガスメーターの閉栓ということで、自転車で、又はバイク等で皆さん元気にこうやってにこやかに働いています。
お手元のパンフレットがございますけれども、このパンフレットに登場しているモデルは全部我々で働いている皆さんでありまして、にこやかに働いていただける様子がお分かりいただけるかと思います。
こちらの仕事をしているのは、ライフバルのやはりお店で倉庫管理、倉庫のいろんな物品や製品、ガス器具等々を出し入れします。若い人が、朝来て、出し入れします、帰ってきます。そういうときに、いろんな、まだちゃんとできない人もいます、そういう人にきちっと注意をするというようなこともやっていただきまして、お店からは大変喜ばれておりますし、この真ん中の方はもう八十三歳になって、これ最初から八十三じゃなくて、もちろん、二〇〇五年ぐらいから働いていて、いつの間にか八十三になったという山崎さんであります。
こちらの仕事もライフバルさんのお仕事で、これは制服をきちんと管理しているんですね。東京ガスの制服というのは、お客さんの中に入れちゃうんです、自宅に入れてしまいます。したがって、それはきちんと管理をしなきゃいけません。ところが、若い社員はなかなか持って帰ったりしませんので、それはもうお店の中で洗いましょうと、管理もそんなに、そうすれば助かりますし、お互いにそれでいいでしょう、きれいな制服でお客さんも大変喜びますしということで、お店の中で一日六十着とかそういう数の制服を洗濯して、乾燥して、アイロン掛けをしていると、こういうお仕事をしている方もいらっしゃいます。これは女性の方ですね。
またこれもマンションの内覧会という仕事で、年末だとか年度末に集中いたします。マンションは今大変首都圏で多くなっています。新築マンションで説明をするのに、ガスの床暖房ですとかサウナだとか新しい機器がございますので、それの説明をするというために一生懸命勉強をして、内覧会のために備えているということでありまして、こちらで一生懸命勉強した後、一杯やるというのも楽しみでやっておるという写真でございます。
これも創業当時からやっている仕事でありまして、最初はこの仕事でやっていたわけです。ガス給湯器が、これもマンション等に付いておりますので、その性能を試験をいたします。現場に行って、湯沸器が朝行って性能が出ているかどうかを火を付けて測るということをやるわけですね。この仕事も、若い方はなかなか仕事を休日とかできませんので代わりに我々がやっておりまして、こんな研修会をやっております。
こちらはまた全然変わった仕事でありまして、東京ガスは、LNG、これ液化天然ガスですね、この右側にありますこういうローリーで三百六十四日、一日につき六台ぐらい、御殿場の工場に行き来しております。その受入れのとき、高圧ガス取扱主任という資格がないとこれは危険ですから、そのときに立ち会う必要がございますので、四人の方がワークシェアで毎日遠方まで行って立ち会っている仕事でございます。七十五歳とかいう方も中にはいらっしゃいます。
これ、東京ガス以外の仕事であります。東京ガスのライフバルさんでもやっていますけれども、機器修理等で家電のメーカーさんがお客様のところに行くときに、東京都内ではどうしても次々にお客さんの時間が守らなきゃいけませんので、そこに車、なるべくお客さんのそばに置きたいんですね。駐車場に置いて、そして道具や部品を持っていってまた帰ってというと時間が掛かって仕方がありませんし、じゃということでお客さんの横に置きますと必ず駐車違反で捕まりますので、横に乗っているだけなんですけれども、こういった仕事をいろんなお手伝いしながら高齢の方がやっているという現場であります。ただ座っていればいいということではなくて、また多少のお手伝いもしますし、若い修理の方といろんなお話をしながら、いろんな経験談やマナーの話とかいろいろされているということで、大変喜ばれております。もちろん余り重い器具を持ったりなんかというのはできませんから、その辺は逐次若いアルバイトの方を採用したりということでやっている仕事でございます。
ということで、我々は高齢者が元気に働く社会の実現を目指しておりまして、働けば元気になるということで、適度な緊張感と責任感が健康を維持いたしますので、健康寿命が延びます。そして、健康寿命が延びれば社会保障費が軽減されて現役世代の負担軽減に結実いたします。働く高齢者が多くなれば消費も活性化されて税収も伸びるということでありまして、高齢者が働きやすい環境づくりを進めて、高齢者が働くことは特別じゃないというふうに変えていきたいと思っております。ただ、ここにはいろいろあって、こういうことが前提で働いているわけではありません。
次に、じゃ、働く方はどんなメリットがあるかということであります。これは、もう簡単に申し上げますけど、週の中で働く場所があるということは今日行くところ、今日用があるということでありまして、教養、教育ではなくて行く場所、用があるということであります。これはもう本当に切実でありまして、定年になったらいろいろできるなと言っているんですけれども、しばらくいたしますとこれでいいのかなと。じゃ、お金が掛からない居場所はどこかというと、なかなかそこには、いつも図書館は、昔は受験生ですけど今はシニアの方でいっぱいであります。今日行くところも、いろんな趣味、行けばお金が掛かりますので、ばかにならない交通費ということでありまして。また、本当に大事なのは奥様との生活、もうどうしても二人の生活になりますので、こういった旦那の面倒をずっと見ている、一日中、三百六十五日見ていくのもなかなか大変かなということでありまして、八割近い奥様が働いているのを喜んでいるということで、亭主元気でやっぱり留守がいいのかなと。そして、三日程度でございますし、ワークシェアリングでありますので、その残りの四日間はいろんなことができますので、そして、その費用というのは会社で働くことで得られますし、会社、家庭でも感謝されますし、つながりがあって頼られて期待されてと。役立つ喜び、達成感もあると、自分に収入があるということでございまして、八万―十万ではありますけれども、現役時代のお小遣い三万円程度かなと思えば、それに比べてずっと高いということは言えるのではないかと思います。
じゃ、お客様と高齢社のメリットなんですけれども、こちらも、派遣のメリットということなんですけれども、期間変動に対応できます。労務管理も軽減できます。コストも社員よりは安いと。即戦力です、これが大きいと思いますね。人生の先輩ということでいろんなアドバイスもできると。
我々のメリットなんですけれども、これは本当に皆さんが真摯に働いていただいておりますので、この真摯に働いていることが信用につながって、そして次の仕事増えていくということで、どんどんどんどん今はおかげさまで仕事が増えているのかなと、本当にこれは実感しております。派遣の方、そして派遣先からも感謝されるということが我々の大きな喜びであります。高い評価が次の御用命につながっております。口コミでいろいろ業容拡大しております。社会奉仕をしておりますので、まあそういうこともあるかなと思っております。
課題を最後に申し上げて、終わりにしたいと思います。
やはり、高齢者ゆえの健康問題がございます。これは日頃、管理をしなきゃいけませんので、我々も健康チェックは必ずしてくださいねということはしております。
それから、マッチングはやはり難しいです。内容といろいろ適合しなきゃいけませんし、いろんな条件も必要なお仕事もございます。それから、自分の都合があります。
あと、登録者の確保も問題ございます。
あと、一番大きいのは認識のずれでありまして、こんな年寄りが働けるのということがありますので、どうしてもそこは変えていきたいなと思っております。
あと、法規制です。これは社会保険の問題、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、どうしても長く働いて週何時間、三十時間とか働きますと社会保険に入らなきゃいけなくなりますので、そこは負担が増えます。それから、無期転用の話もちょっと申し上げましたし、あと有給休暇や在職老齢年金、これも働けば働くほど給料増えますと厚生年金は減らされるということがございます。
あとは再掲になりますので、いろいろ書いてございますが、御参考にいただければと思っております。
以上で私の方の説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
次に、佐久間参考人にお願いいたします。佐久間参考人。
○参考人(佐久間裕章君) 佐久間です。よろしくお願いいたします。(資料映写)
私は、ふるさとの会と申しまして、元々、東京の山谷地域で、一番最初、一九九〇年ですね、ホームレス支援の団体としてスタートしました。ですから、一番最初は炊き出しとか、そういう本当の生活困窮者の支援からスタートしました。九九年に法人格を取りまして、その後、宿泊所等をつくってまいりました。
一番最初は私も炊き出しとかやったりしていたんですけれども、現在はむしろ、路上生活とかを経験していないような身寄りのない単身の高齢者の地域生活をどうするかということが一番大きな問題というか課題になってきています。
ですから、山谷なんかですと、高度成長の頃ですよね、だから前回のオリンピックぐらいになるかと思うんですけれども、北関東とか東北、北海道も含めて大量の金の卵というか、そういった方々が恐らく上野駅とかに着かれて、そうした方々ももう七十、八十というふうなお年になられて、単身で、恐らく、河合先生がおっしゃったような都市部の中の単身の高齢者の中の少なくない割合が私たちが支援させていただいている方々だと思っています。ですから、もう人生の晩年になられて、御家族をつくるというほどの経済的な基盤をつくることもできず、現在七十、八十ぐらいで身寄りがないような状態で老いていく、そういった方々を地域でどうやって支援していくのか、それが一番大きな問題になってきています。これが冒頭の問題提起です。
一番最初は台東を中心にやっていたんですけど、現在、墨田、荒川、それからぐるっと回って豊島、新宿と、区内の五つのブロックで事業を展開いたしております。この五か所で支援させていただいている対象者が一千百三十三名になります。地域の特徴なんですけれども、これはいわゆる生活保護の保護率が比較的やっぱり高い地域ですね。東京の中ですと、先生方は全国からだと思うんですが、東京ですと、一番保護率が高いのがやっぱり台東区ですよね、山谷を控えている、墨田、荒川というのも軒並み高いです、新宿も元々三〇パーミルを超えるような高い地域です、で事業展開をしています。
じゃ、ふるさとの会ではどういう人が利用しているのかということで、利用者像の御説明をいたします。
共同居住といいまして、職員が夜間も含めて常駐しているような、施設のキャパが大体三百ぐらいあります。そういったところ、そういった住まいの場所についてなんですが、実は一番多いのは、前居所といって、どこから来るのかというと、病院から来るケースが一番多いんです。大体三〇%ぐらい。これはなぜかといいますと、私もこの仕事をして初めて知ったんですが、身寄りがない単身の方とかが、恐らく脳梗塞とか、典型的な例では、急性期の病院に運ばれて、それから転院をして病状が安定します。ただし、家族とか、退院した後、その方を迎えに来て、住居とか生活支援をする場所を確保できないということで、実際にはいわゆる社会的入院ですよね、いっときぐるぐる病院とかと報道されたんですけれども、私もこの支援やるまで全然知らなかったんですね。
お付き合いのある親しいケースワーカーの方から、佐久間さん、何とか受けてもらえませんかと。いや、でも介護必要な人ですよね、うちは介護施設でもないし、ちょっとそれは厳しいと思いますよと言っていたら、やっぱりこういう転院、転院で、病状的にはもう固定はしているんだけれども帰来先がない、その人を迎え入れて家族若しくは家族代わりのような形で支援してくれるような場所、そういったところがあれば全然退院はできるんだけれども、できないんだということで、そういう話合いをしていって、私たちは、だったら単なる居所の提供ではなくて、介護とか地域のヘルパーステーション、在宅の往診の先生方も入ってくれるような、そういった地域の資源を取り込んでやっていくような高齢者向けの宿泊所をつくりましょうといって、それが一番最初の頃の大きな転機でした。実際やってみたんですけど、やっぱり大変でしたよね、やっぱり介護を要する人とか御高齢の方とか。
ただ一方で、内部で議論したんですけれども、僕らは現にテラスとか公園で本当路上生活をしている人の支援から始めたんだけれども、現にやっぱり三か月単位ぐらいで転院を繰り返すというのはすごい苦痛ですよね。そういった方々も含めて広義、広い意味でのやっぱりそれはホームレス問題ではないかと。それにぶつかった以上は、やっぱり甘んじてというか、その矛盾を引き受けていこう、その代わり新しい解決策、従来の形でやるのは無理があるからということで、行政の方ともお話ししながら新しい類型というものをつくってきました。
あともう一つあるのが、刑事施設、これはいわゆる高齢受刑者ですよね。私たち、入所の際に連絡票といって、役所の方からフェースシートといって生活歴とか既往歴とか書いたのをいただくんですけれども、時々、例えば前科二十犯とか書いてあって、現場のスタッフに緊張が走るんですね、どんな人だろうと。いらした方が腰の曲がった八十代くらいの方で、かくんとするような感じで、結局貧困の問題だったんですよね。窃盗なんです、コンビニでおにぎりをちょっと拝借したとか。それもだから、おなかすいたとか、炊き出しとそれだけではやっぱりもう生活できないから、もう一度戻ろうと思ったんだとか。
そういうのがあったので、私たち、関連の法人で更生保護法人同歩会というものをつくりまして、路上とかそういう状態になってから相談をいただくんではなくて、出所の際に先に連絡をいただいて、台東区とかそういうところで生活歴長かった方ですから、ふるさとさんの方で地元の福祉事務所の方に事前につないでおいてもらえますかといって、ああ分かりましたと。で、担当の相談係長とかに事前にお話しして、もう八十歳でお一人、ああもうそれは保護要件満たしますよね、分かりました、じゃ、その朝連れてきてくださいみたいな。そういうふうにすると、その方は直接福祉サービスにつながって、再犯をすることもなく地域で普通の介護サービスを受けたり、認定を受ければデイサービスに行ってお風呂入って帰ってくるとか、そういった生活につなげようというのをやっています。
あと、この間増えているのが、どのような人がということで、自宅、これはだから低年金の問題ですね。私たちは、基本的には山谷系というか日雇とかを経験された方が多かったんですけれども、この間の入所依頼はそういった経験はない人が増えてきています。アパートの立ち退きとかで、もう例えば何十年もお住まいになったところを出ないといけない、低家賃アパートはどんどん減っていますから、その後はなかなか確保できないんですよね。一番安い年金だとやっぱり六万とかそれぐらいですよね。六万六千円で、しかも賃貸、持家じゃないという方、切り詰めて切り詰めて、貯金を。で、もう無理だというふうな形で役所の方に御相談、申請においでになって、そこからの御相談というのがこの間は増えてきています。ですから、これは低所得、低年金の方の住まいと生活支援をどうしていこうかというテーマに恐らくつながるかと思っています。
一千百三十三、実際どれぐらいの利用者像かということで御紹介いたします。
共居というのは共同居住を略して、これは施設系ですね、三百六十一。独居、これはアパートとかで独り暮らしをされている方、この方が大体七百名ぐらいですね。
全体を通して言えるのが、高齢化率、六十五歳以上が六〇%を超えている。やっぱりすごい高齢化が進んできています。全体の中でも一番多いのがやっぱり七十歳以上ですから、もうこれからどんどん後期高齢者になっていく方ですよね、これが全体の中の四百五十三名。全体の中でも要介護、介護認定とかを受けている方が二百七十四、だから二五%ぐらいですよね、四分の一ぐらいは使っている。
そこに、一番難しいのは独居なんですよね。共同居住は職員がいるので、救急車も呼べますし、病態悪くなれば早めに気が付いたり、いろんな手が打てるんですが、独居の方ですよね。独居が一番七百七十二で多くて、かつ、七十歳以上の方ももう四百名近い。その上で、介護が必要になったり、重ねて認知症、あと、独りで身寄りがなくて、かつ、がんの方、こういった方々も増えてきています。でも、共同の居住とかってそうそう簡単には増やせられないんですよね。物件確保も難しい。そうなってくると、地域の中でどうやってこういった身寄りがない、かつ、低所得で低年金の人も含めての、そこに疾病であったり認知症、認知症になるとやっぱり更新がなかなかできないとか大家さんからも拒絶されてしまうというふうな、そういった方々を地域で支え続けるための取組、これが喫緊の課題になっています。
これは私たちのミッションです。認知症になってもがんになっても、あと、家族やお金がなくても、地域で孤立せず最期まで暮らせるように。ですから、最も弱い人が地域で最期まで暮らし続けられるようにということがミッションになっています。
ふるさとの会の支援スキームなんですけれども、まずはハウジング。元々居所をお持ちでない、若しくはアパートの立ち退きとかで居所が不安定な低所得の高齢者を対象としておりますので、まず住まいの提供から始まります。あと、生活支援。これは単身で身寄りがない、家族若しくは家族に類するような方がいらっしゃらないということで、食事の提供であったり、シンプルに言えば日々のその人の変化に気付くような、家族代わりの支援ということをやっています。次は、仲間づくり。これは、支援するされるという関係だけではなくて、そこで暮らすほかの利用者さん、仲間同士の関係をつくっていって、互いに支え合うというふうな関係をつくっています。そして最後に、在宅みとり。これはやっぱり、もうこれ以上転院とか、病院とかもう入りたくない、最期までここで暮らさせてほしいというふうな要望を受けて、これまで十名以上の方のみとりも行ってきています。
この構造をもう一つ、雇用の方から御説明いたします。
住まいで二百から三百近い方々のキャパとしてやりますと、そこに生活支援として実はいろんな仕事が生まれます。例えば、一番規模の多い施設は定員が八十名です。そうすると、そこで配膳とか清掃とか、いろんな仕事が生まれてきます。このことが思わぬ副産物といいますか、高齢で要介護の方も大勢いらっしゃるんですが、もう一方で、まだまだ働く意欲も持っていらっしゃる高齢の方、あとメンタルとかうつとかいろんな事情があってフルタイムでは働けないけれども、こういった支援付き就労であれば働ける若者も大勢いらっしゃいます。そういった方々のここは雇用の場になっております。
私含めて、ふるさとの会、常勤、非常勤、パート合わせて二百八十九名が働いております。この中のうち百八名、ですから約四割強はこういった支援付き就労、現に生活保護等の公的な支援を受けていたり、かつて路上生活等を経験された方が支援される側からする側に転換して、今百八名の方が働いています。
あと、これは地域マップです、台東区の。ちょっと時間の関係で割愛しながら話しております。
今度、独居の方を支えるために、こういったサロンをつくっております。あと、独居の方、なかなか物件確保が、契約できないんですね、保証人いませんとかと言うと。そのために賃貸保証の事業、株式会社ふるさとというものをつくって、ここと連携してやっています。
あと、実際上、独居の利用者さん、どんな形、どんな利用者像なのかということで少し具体例を用意いたしました。
例えば、ここの上から三番目の七十代の方。介護保険でヘルパー入っているんですが、認知症でやっぱりADLもどんどん落ちてきている。服薬も忘れている。こういった方は、アパートで在宅でぎりぎり公的なサービスも入れて支えているんですけれども、やっぱり行く行く難しくなってきている。
あと、この上の八十代後半の方。八十後半だから元々あれなんですけれども、下肢に障害があって介護保険を使っている。アパートが老朽化してきて生活しづらくなってきている。役所のケースワーカーの方からもやっぱり御相談多いんですが、やっぱり古いアパート、もうどんどん取壊しが進んでいっています。古いアパートだから生活保護基準内の住宅扶助で入れていたんですけれども、建て直したときにはやっぱり住宅扶助基準より絶対高いアパート造りますよね。今、風呂なしのアパートを新築で造るようなところってまずないですから。そうなってくると、生活支援だけじゃなくて居所をどうするのかということがある。僕らも一生懸命探しても、老朽アパートから老朽アパートに転宅するんだと、これは何の意味があるんだというのもあるので。
それを考えていった際に、住まいと生活支援が合わさった、そういったものがやっぱり必要だろうということで、私たち、行政の方とも御相談して自立援助ホームというものをつくっています。
例えば、これは山谷地域にあったホテルを改装して、二〇〇五年につくりました。この頃はやっぱり療養型病床の再編とかあったりして、社会的入院を余儀なくされていった方々がどっと地域に、ただ、地域での受皿がない。福祉事務所の皆さんもすごい苦慮されて、何とかこういった人たちが地域で介護とか生活の支援とか受けながら暮らせるようなものをつくろうということでつくりました。
とともに、私たちだけではなくて、地域の団体で、急性期の地域の救急病院とか地域包括支援センターの方とかいろんな方と連携して、地域ケア連携をすすめる会というのをつくりました。末期の人があるのでちょっと訪問介護入れますかといったら大丈夫ですよとか、今急性期なんで入院大丈夫ですかといったら医療相談の人がうちで一床用意しますよとか、そういった具体的な連携もしています。
こういった形で既存の住宅をリノベーションしたり、あと新築するような形で、こういった資源を地域につくってまいりました。これなんかは晃荘といいまして、左側にあるのはビフォー、アフターですね。アパート晃荘といって、地元のオーナーさんも、建て直そうと思ったんだけれども、便も余りいいところじゃないので、恐らくがら空きになってしまうだろうと。昔からお付き合いがある地元の不動産屋さんが、だったらふるさとさん向けに高齢者施設用途で造ったらどうですかと。これを私たちの高齢者施設用途で造っていただいて、NPOで一棟借りですよね、だから一括リースみたいな形です。そうすると、地域の老朽物件、オーナーさんも困っていたというのが逆に地域の福祉資源と変わっていくと。こんな感じですね、お風呂があって新築で、リビングも設けてという。
あと、こういう形で、基本、住まいなんですね。施設というよりかは基本、住まいで、必要な介護とか医療とかというのは地域の往診とかそういうので支えていただく、地域の資源で支えていただく。職員は地域に出ていっていろんな顔の見える関係をつくっていったり、コーディネート、生活支援をするというのが仕事になります。
さっきの支援付き就労なんですけれども、例えばこんな感じですよね。一方では介護とか生活支援を要する高齢の方が地域にはたくさんいる、一方ではまだ働く意欲も能力もある高齢及び若年の困窮者がいる、この両方をリンクさせていって、地域の中でお互いに助け合う、かつ、そこで雇用もつくっていく、そして社会的入院の受皿として地域移行を可能としていく、こういったことを事業として取り組んでおります。
あとは、そのための職員育成ということをこのスライドのように実施しております。
時間の関係で残りのスライドは参考までとさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。
今、六十五歳以上の高齢者が三千万人に上るような状況になっておりますけれども、老人福祉法で、高齢者は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者、豊富な知識と経験を有する者だとして、敬愛されるとともに、生きがいが持てる健全な安らかな生活を保障されるというふうに明記をされています。ところが、高齢者世帯のうち年収二百万円以下の層が四割を占め、国民年金だけを受給する人の平均受給額は月五・一万円。厚生年金でも女性の平均受給額は、基礎年金分を含めて月十・二万円にすぎないという状況になっています。生活保護受給者の半分は高齢者で、自殺される方の中に高齢者が占める割合も日本は世界のトップクラスになっているということで、高齢者が安心して暮らせる社会をつくるということは政治の重要な責任だというふうに考えています。
そこで、参考人の皆さんにお聞きをしたいんですけれども、初めに緒形参考人にお聞きをします。今回のテーマが高齢者をめぐる格差への取組ということもあるので、現場から見える格差の実態で御存じのことがあればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(緒形憲君) 格差については、弊社の場合はそれほど見受けられないということもございます。つまり、私どもで九百人ほど登録されている方いらっしゃるんですけれども、東京ガス関係の方というのも多かったりするということがございますので、正直なところ私どもでは、それほど格差というのは弊社では分からないところでございます。
○岩渕友君 ありがとうございます。
では次に、佐久間参考人にお聞きします。
先日、福島県の磐梯町というところに伺ったときに、百歳で独り暮らしをされているという方にお会いをしたんです。地域の皆さんに助けられて暮らしていますというお話をお聞きしました。そして、昨年伺った団体の中に北海道生活協同組合連合会というところがあったんですけれども、非常に高い高齢化率の中で高齢者が安心して地域で生活できるようにということが最大のテーマだということで、市町村と協力をして宅配であるとか配食事業で見守りを進めている、こうした取組なんかについても話をお聞きしました。独り暮らしの高齢者が今増える中で、安心のネットワークづくりというのが大きな課題になっているかなと思います。
このネットワークづくりの現状と課題、そして国に求められることについてお考えのことがあったらお聞かせください。
○参考人(佐久間裕章君) 分かりました。なかなか大きいテーマですね。
地域包括ケアづくりとかでいろんなネットワークづくりとかというのは私は結構されているんじゃないかなというふうに思うんですよね。ただ、そのときに、一つは先ほどの回答と一緒になるんですけれども、やっぱり孤立した世帯がどこにいるのか、大抵は何か一週間たってからとかそういうふうになっていってしまうので、アウトリーチというか、そういった世帯がまずどこにいるのかということを知るための方策というのがやっぱりあった方がいいと思っているんですね。
私たち、もうクローズしたんですが、以前新宿の方でコミュニティーカフェをやっていて、それはカフェというよりかは相談しやすいから。だから、今相談するところって困窮者自立支援室とかいろんなたくさん一時相談支援とかあって、ただ、本当にぎりぎりまで生活保護の申請に来ないような年金の人とか、あとお亡くなりになるような方というのは、多分、来所申請的な支援だと難しいと思うんですよね。むしろ、何らかの形で訪問していったり、あとは喫茶店みたいなインターフェースでお茶飲んでいって、お近くの人ですかとか、最初からずばっと聞かずに、二、三回話している間に、いや、実はちょっと電気も止められて困っていてといって、ああ、それは大変ですねといって、取りあえず一杯お茶飲みますかとか言いながら、何かそういった仕掛け。具体的なお答えになっていないかもしれないんですけれども、最もそういった行政の支援とかから離れていってしまう人にこちらからアウトリーチする仕組みと、あとその人が相談に来やすいような、ちょっとくつろげるような場所とか、商店街の中の一つでもいいんですけれども。
あとは、周囲の人から情報をもらえるという、どうも隣のあの人何かおかしいんだよねというふうな、で、見に行ってもらえないかとか、お茶に誘うとかというふうな、すごい細かい話になってくるんですが、リスクが高い層をどうやってアウトリーチだったり発見していくのかということを一つ主眼に置いてもいいのかなというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、河合参考人にお聞きします。
先日、新しい高齢社会対策大綱が閣議決定をされました。公的年金の受給開始を七十歳超えても可能だということにする制度改定の検討などが盛り込まれています。年金をめぐっては、年金が減り続けているということであるとか、先ほどどなたかのお話にもあったんですけど、低年金や無年金が問題になっています。また、その受給者の半分が高齢者だというふうになっている生活保護も五年に一度の生活扶助基準の見直しの年になっていて、生活扶助基準の引下げの方針が決められるということで、こうした政策をどのように見ていらっしゃるのかということと、あと高齢者の生活にどのような影響が出るというふうに考えられるか、お聞かせください。
○参考人(河合克義君) 難しい質問ですけれども。
私は、これは制度間調整とも関係するんですけれども、やっぱり日本の高齢者なら高齢者の、憲法で言う例えば健康で文化的な生活水準というものを具体的にどういう線で設定するのか。通常は、例えばフランスなんかでいいますと、済みません、私、フランスとの比較しているのでフランスの例ばかりなんですが、最低賃金というものがあって、それよりちょっと低いところで国家的なミニマム保障の生活水準というのを設定するという、そこへ向けて各制度が調整するという、そういうシステムになっているんですが、今回の生活保護基準の改定に関しては、私は基本的にはおかしいと思っています。つまり、低所得の実際の生活のところが生活保護よりも低いから、そこへ下げていこうという、そういうことはやっぱり無理があると思っているんですね。
もっと大きく国民的な、私、地方調査やってつくづく思いますのは、最低生活という、食べていく、特に地方へ行くと、家が持家で、周りに畑があって、もらい物があって、実質四万でやっているというところが多いわけですけど、ただ、山形なんかで見ていても、およそ文化的な要素というのは非常に格差があります。東京港区の独り暮らしの高齢者と山形の独り暮らしの高齢者を比較しますと、地方ほどこの文化的な要素がない、そういう生活をしている。その意味では、私は、文化的な要素も含めた基準というのをきちっと設けて、そこへ向けての年金とか生活保護とか、そういうものを積み上げていくという発想がないと、今の日本のこの各制度ばらばらなところで検討されるようなやり方ではやはり高齢者の生活をきちっと保障していくということにはならないんじゃないかと。その意味で、まさに健康で文化的な最低限度の生活の中身をどう客観的に組み立てるのかという、そういう作業が必要ではないか。
私も今、母数は三百六十万世帯の生活実態調査をやろうと準備しているんですが、四月からスタートしますが、全数はやりませんが、抽出しますけれども、その際に重視しているのは、文化的な生活とは何か、その国民的合意というものをどう構築するか、その材料をつくる調査を今やっております。
○岩渕友君 ありがとうございました。