参院国民生活・経済に関する調査会は「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」を3年間のテーマとして、うち2年目となる今年は「豊かな国民生活の実現」について調査を行ってきました。日本共産党の岩渕友議員は9日、子ども、若年者、高齢者をめぐる格差への取組、ユニバーサルサービスへの取組などについて行った5回の参考人質疑を踏まえて意見を表明しました。
岩渕氏は、子どもの貧困対策について「所得や労働対策は国がきちんとやらないと難しい。自治体への財政的な支援をやってほしい」という参考人の要望をあげ、困難を抱えている人へのよりきめ細やかな支援が重要であると指摘しました。また、若年者をめぐる格差への取組について、住まいは基本的な人権であり、労働者にとってまずは安定して住まいを確保することが重要だと強調しました。
その上で岩渕氏は「格差の解消のためには、憲法第25条が定める『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』ことをどう保障していくのかということが国に問われている」「当事者の立場に立つことが重要だ」と主張しました
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」をテーマに、二年目は、「豊かな国民生活の実現」として、子ども、若年者、高齢者をめぐる格差への取組、ユニバーサルサービスへの取組など、現場で実践をされている方々に参考人質疑を行いました。五回の質疑を踏まえて意見表明を行います。
子どもをめぐる格差の取組について、小河参考人から、子供全体への施策をいかに充実させていくか、さらに、困っている人によりきめ細かくどう支援していくかがとても重要、子どもの貧困対策法が施行され大綱が定められていますが、就労、生活、教育の三分野について更なる底上げのために法律と大綱の充実に期待をするという意見がありました。
若年者をめぐる格差の取組については、稲葉参考人から、住まいは基本的な人権であるという観点に立って、住居の喪失は日常的な生活の場を失うことであると同時に、労働者にとっては安定した仕事を見付けることが困難になるという面があり、まずは安定して住まいを確保することが重要だという意見がありました。
竹信参考人からは、働き方法案の問題をめぐって、同一労働同一賃金にすることや、雇う側にとってやりやすい形ではなく、働く側に立った改革が必要になっているという指摘がありました。
さらに、東京都足立区の秋生参考人は、子供の貧困対策に関わって、所得や労働対策は国がきちんとやらないと難しい、自治体への財政的支援をやってほしいと国への要望がありました。
高齢者をめぐる格差への取組については、河合参考人から、今回の生活保護基準の改定に対して、低所得者の生活費が生活保護基準より低いから低い方に合わせていくことは無理があり、おかしいと思っているという意見がありました。憲法二十五条が定める文化的で最低限度の生活という点で、文化的な要素に東京と地方では格差があり、文化的な要素を含めた基準を設けることが高齢者の生活を保障していくことにつながるのではないかと指摘がありました。
ユニバーサルサービスへの取組については、崎山参考人から、障害者基礎年金を上積みして、少なくとも生活保護世帯と同じ基準に引き上げてほしいという要望をいただきました。さらに、このことが最低限度の生活を保障することになるのではないかという意見がありました。
宇野参考人は、当事者の立場から、駅のホームの転落事故対策について、国の予算を集中的につぎ込んでホームドアの整備を行う必要があるのではないか、駅員によるホームの見守りについて国が安全管理のための基準を作る必要があるのではないかと指摘がありました。
参考人の方々から伺った意見を通して、格差の解消のためには、憲法二十五条が定める、全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有することをどう保障していくのかということが国に問われているということを感じました。さらに、当事者の立場に立つことが重要だと感じています。
いただいた御意見を踏まえて、格差の解消、様々な課題の解決に向けて今後更に議論を深めていきたいということを述べて、意見表明といたします。