日本共産党の岩渕友議員は18日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故から15年たってもいまだに続く深刻な被害を示し、「原発事故は終わっていない」と強調しました。安全性も保証できない原発の再稼働は許されないとし、原発ゼロを求めました。(論戦ハイライト)
災害関連死は増え続け、2025年12月末時点で岩手県472人、宮城県932人、福島県2350人に上ります。福島県の関連死が多い理由について、復興庁の天河宏文統括官は、避難の影響が大きいと答弁。岩渕氏は「避難は今も続いている。原発事故さえなければ失うことのなかった命がある」と訴えました。
福島第1原発の廃炉見通しもないなか、高市早苗首相は2月の施政方針演説で「原子力規制委員会により安全性が確認された原子炉の再稼働加速」に取り組むと表明しました。岩渕氏は、規制委は原発の安全性を確認しているかとただしました。規制委の山中伸介委員長は、原発が新規制基準に適合しているか審査・検査するとしつつ、規制基準への適合は100%安全を保証するものではないと答弁。岩渕氏は「誰も安全性を保証していない」と批判し、「こんなことで再稼働はできないのではないか」と迫りました。高市首相は、再稼働を進めるのが政府の一貫した方針だと強弁しました。
221-参-予算委員会-004号 2026年03月18日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
私は福島県の出身です。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十五年になりました。総理は、原発事故は終わったと思っていますか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 東日本大震災から十五年を迎えますが、技術的に難易度の高い作業が見込まれる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉ですとか、帰還困難区域の避難指示解除、除去土壌等の最終処分に向けた取組など、福島の復興は長い道のりでございます。復興が成し遂げられるまで、これは事故を風化させるようなことは絶対にあってはいけないと思っております。
○岩渕友君 長い道のりとありましたけれども、原発事故は終わっていないんですよね。今も数万人もの方々が避難をし、避難指示の出た地域では子供の数もお米の収穫量も沿岸漁業の水揚げ量も事故前に戻っていません。
災害関連死も増え続けています。地震や津波で亡くなられた方と災害関連死で亡くなられた方は、岩手、宮城、福島でそれぞれ何人でしょうか。
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
直近の直接死の死者数でございますが、令和八年三月一日時点で、岩手県が四千六百七十五名、宮城県が九千六百三十九名、福島県が千六百名となっております。加えまして、直近の震災関連死の死者数でございますが、令和七年十二月三十一日時点で、岩手県が四百七十二名、宮城県が九百三十二名、福島県が二千三百五十名となっております。
以上でございます。
○岩渕友君 今お聞きいただいても分かるように、福島県の関連死は多いんですよね。これ、なぜ多いんでしょうか。
○政府参考人(天河宏文君) 東日本大震災におきます福島県の震災関連死につきましては、復興庁が平成二十四年八月に公表している報告書におきまして、避難者数が多いことに加えまして、避難所等への移動中の肉体的、精神的疲労を原因とする数が多いと、避難の影響が大きいとされております。
また、同報告書におきまして、市町村等の職員からのヒアリングでも、福島県浜通りでは地域の病院等の機能が喪失したため多くの患者を移動させることとなった影響が大きいと感じた等の意見があったところでございます。
以上でございます。
○岩渕友君 避難の影響が大きいということでしたけれども、この避難は今も続いているんですよね。原発事故さえなかったら失うことのなかった命があるということなんですよ。
二〇一三年六月、総理が自民党の政調会長だったとき、原発事故によって死亡者が出ている状況ではないと発言をしたことに福島県内で怒りの声が上がりました。総理はこのときのことを覚えているでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) よく覚えております。
あの当時の発言については既に撤回して謝罪を申し上げておりますが、当時、自民党女性局、兵庫県の自民党県連の女性局にお招きをいただいた講演の場で、安全確保、安全確保を大前提にということで、原子力政策について御質問にお答えした中で私が申し上げたのは、事故直後に放射線によって亡くなった方はいないという趣旨で申し上げたんですが、実際に私の発言の一部が報道されたことによって、震災関連死として亡くなられた方、またあるいは原子力発電所における労働災害としてお亡くなりになった方、そしてまた、その御家族の皆様を傷つけてしまった、配慮を欠いた発言だったと反省をいたしております。
○岩渕友君 全町避難をした浪江町の議会は、発言に抗議をし、撤回と謝罪を求める決議を全会一致で上げました。今も許せないという方もいます。総理、それはなぜだと思いますか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) それは、今申し上げましたように、やはり震災関連死としてお亡くなりになった方、また原子力発電所における労働災害としてお亡くなりになった方とその家族の皆様への配慮を欠いた発言であったからであると思っております。
○岩渕友君 原発事故さえなかったら失うことのなかった命があるということなんですよね。そして、言葉で言い表せない苦しみと被害を今も受け続けているからなんですよね。しかも、福島第一原発は緊急事態宣言が出されたままになっています。
国と東京電力は、二〇五一年までに廃止措置を終了させるとしています。廃炉作業は今どこまで進んでいるという認識でしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
委員お尋ねの東京電力福島第一原子力発電所の廃炉の状況につきましては、事故直後と比べますと、発生する汚染水の低減や除染による作業環境の改善、使用済燃料の取り出し等、着実に進んでおります。放射性物質を環境に放出するようなリスクは相当低減することができていると認識しております。
一方、廃炉作業における最大の難関とされるデブリ取り出しについては、試験的な取り出しなどの調査にとどまっている現状を踏まえますと、廃止に向けた措置の進捗が目に見えて進んでいない状況にあると私自身認識しているところでございます。先日の記者会見においては、スタートラインに着いたところ、あるいはそのスタートラインの直前にようやくたどり着いたという状態であるという表現を使わせていただきました。
今後の廃炉作業は、デブリ取り出しなど高線量下での技術的難易度が非常に高い作業になりますため、工程ありきで進めるものではなくて、引き続き安全最優先で一歩一歩着実に進めていくことが重要であると考えております。
○岩渕友君 スタートラインにも立っていないということなんですよ。
この燃料が溶け落ちて固まったものをデブリといいますけれども、そのデブリの量と実際に取り出した量はどのぐらいでしょうか。
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所の一号機から三号機にある燃料デブリの総量は、原子炉内の状況が限定的にしか把握できないため、これ推計になりますが、二〇一五年に技術研究組合国際廃炉研究開発機構が実施した推定によれば、約八百八十トンとされております。
なお、燃料デブリの取り出しに当たっては、デブリそのものの固さや放射性物質などの性状を確認しつつ、具体的な取り出し方法を検討する必要がございます。こうした知見を得るために必要となる試験的な取り出し、燃料デブリのサンプルの取り出しになりますけれども、これまで二回実施し、合計で約〇・九グラムの採取に成功したところでございます。
○岩渕友君 取り出せたのは僅か十億分の一ほどなんですよ。毎日百キログラム取り出さなかったら二〇五一年に間に合わないという指摘もあるんですね。本格的取り出しは二〇三七年度以降と、先送りされています。これ更に厳しい状況です。原発事故が終わったなどとはとても言えません。廃炉の見通しも立たない事故を起こすのが原発だということです。
ところが、総理は、原子力規制委員会により安全性が確認された原子炉の再稼働加速と言っています。規制委員会は原発の安全性を確認しているのでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
電力会社は、原子炉等規制法に基づいて原子力発電所を規制基準に適合するよう維持する義務が課されております。これらの基準に適合していない原子力発電所は運転できません。規制委員会は、規制基準への適合性について審査及び検査を通じて確認しております。
規制基準への適合性の確認は、規制委員会として、法律に基づいて原子力発電所を運転するに当たり求めてきたレベルの安全が確保されていることを確認したことを意味しております。したがいまして、総理が施政方針演説で述べられた内容と矛盾があるとは考えておりません。
○岩渕友君 実際には、基準に適合しているかどうかの判断しているだけだということなんじゃないんですか。安全を保証するものではないんじゃないですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
規制委員会の役割は、科学的、技術的観点から規制基準を定めて、専門的知見を有する規制委員会が事務局である原子力規制庁職員とともに、個々の施設がその基準に適合しているか否かを厳正に審査をし、施設の監視等を行うことにございます。
繰り返しになりますけれども、こうした規制基準への適合性の確認は、原子力規制委員会として、法律に基づいて原子力発電所を運転するに当たり求めてきたレベルの安全が確保されていることを確認、監視したことを意味するものだと考えております。
○岩渕友君 まあ、適合しているかどうかということを確認しているだけということなんですよね。安全性判断しているということではないということなんじゃないんでしょうか。これ、結局は誰も安全性を保証していないということになると思うんですよ。
こうした状況の下で、高市首相、再稼働なんてできないんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 原子力発電所の再稼働に当たりましては、高い独立性を有する原子力規制委員会がその審査を経て規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の御理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です。
なお、原子力規制委員会は、同委員会の設置法において、原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務を一元的につかさどるとされております。
○岩渕友君 新規制基準に適合したから安全だということにはならないんですよ。それなのに再稼働なんてできないんじゃないかというふうに聞いています。いかがですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 先ほどお答えをさせていただきましたけれども、審査及び検査を通じて規制基準への適合性を確認することは、規制委員会の役割でございます。その確認ができた原子力発電所については、法律に基づいて運転するに当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認したことになると認識しております。
ただし、規制基準への適合はリスクがゼロになるということを保証するものではございません。一〇〇%安全を保証するというものでもございません。
東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓である、いわゆる安全神話に陥ることのないよう、リスクは決してゼロにはならないという認識の下で、残されたリスクを低減させるべく、継続的な規制の改善に努めることが原子力規制委員会の使命であり、責任であると考えているところでございます。
○岩渕友君 それこそが安全神話だということなんですよ。
適合性を確認しているだけだと。で、安全性を保証するものではないというふうに答弁をしているわけですよね。こんなことで再稼働なんてできないということですよ。
総理が言っている、規制委員会により安全性が確認された原発、再稼働するんだと言いますけれども、これ再稼働の前提は崩れています。再稼働の加速など許されません。原発ゼロ、省エネ、再エネの導入拡大こそ行うべきだということを求めて、質問を終わります。