2020年3月18日(水) 参議院 経済産業委員会
「2020年度予算 委嘱審査」
負担強制 楽天とめよ
日本共産党の岩渕友議員は18日の参院経済産業委員会で、インターネット通販大手・楽天市場での、送料など出店業者への一方的な負担押しつけをやめさせるよう求めました。
18日実施の送料「無料」制度は出店者の反対が強く、楽天が「出店者自らの判断で選択できるようにする」と発表しています。
岩渕氏は、実施する店舗の商品のみ検索上で優遇すると楽天が発表していることなどを批判。「独占禁止法違反(優越的地位の乱用)ではないか」とただしました。
杉本和行公取委委員長は「出店事業者が強制されていないかも含めて検討し、事実関係を発見、審査したい」と答弁。岩渕氏は、「楽天が一方的に不利益や負担を強いるやり方をやめさせるように厳正な審査を」と強調しました。
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質問資料 楽天市場の「送料無料化」を巡る経緯【PDF版】【画像版】
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
楽天が運営する通販サイト、楽天市場では、今日三月十八日から、三千九百八十円以上購入した場合、一部地域を除き送料が原則無料となりました。
資料を御覧ください。この送料無料化をめぐる経緯をまとめたものですけれども、一月二十二日には出店者でつくる楽天ユニオンが公正取引委員会に調査を求め、それを受けて公正取引委員会は、二月十日には楽天への立入調査、二月二十八日には東京地裁に緊急停止命令の申立てを行って、三月十日にはその申立てを取り下げました。
そこでお聞きをしますけれども、なぜ申立てを行って取り下げたのか、その理由を説明してください。
○政府特別補佐人(杉本和行君) 楽天は、今お話がございましたように、オンラインモールでございます楽天市場におきまして、一回の合計の注文金額が一定金額以上の場合に商品の販売価格とともに送料無料と表示し出店者が一律に別途送料を収受しないこととなる施策、いわゆる共通の送料込みラインと称する施策を導入することを予定しておりました。
この施策がこの三月十八日から楽天の方針どおり実施されることになりますと、当該出店事業者とその競争者との競争に重大な影響を及ぼすなど、公正かつ自由な競争秩序が著しく侵害されることになりまして、排除措置命令を待っていれば、侵害された公正かつ自由な競争秩序が回復困難な状況に陥ることとなるのではないかということを考えまして、この施策の実施を一時停止することに緊急性の必要があると考えまして、二月二十八日に東京地裁に対して公正取引委員会としては緊急停止命令の申立てを行ったところでございました。
その後、楽天は、三月六日、出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようにすること等を公表しまして、東京地方裁判所における緊急停止命令の申立てに係る手続においてもその旨を表明したものでございます。
これを受けまして、公正取引委員会といたしましては、出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば、当面は一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断いたしまして、三月十日、東京地方裁判所に対しまして緊急停止命令の申立てを取り下げたということでございます。
○岩渕友君 出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようにする、言わば選択制ということなんですけれども、じゃ、この中身が一体どういうものかというと、三つのステップがあると。そもそも一律送料無料が前提となっていて、無料化を拒否するためには店舗として申請手続が必要となると。三月十八日までに商品ごとに無料化の適用対象外申請、さらには適用対象外とする商品の送料を設定しなければなりません。出店者の中には一万点前後の商品を扱う事業者もいて、余りにも非現実的だと怒りの声が上がっています。
楽天市場には新たな商品検索コーナーを設置すると発表されているんですけれども、これは無料化を選択した商品だけを検索することができるものです。利用者の目に留まらなくなれば売上げが落ちる可能性がある、泣く泣く無料化したという声が出店者から上がっております。
無料化を導入した出店者は、四月一日から六月三十日まで、メール便なら百円、宅配便なら二百五十円支援をされるんですけれども、全面無料化を導入しなかった出店者は対象外ということになっているんですね。無料化を選択した出店者への優遇というのは、一方で、選択しなかった出店者への報復措置となっています。これ、事実上の強制導入ということになるわけなんですよね。
それで、お聞きをしたいんですけれども、この一部の出店者に不利益を強いる、こうした楽天のやり方は、独占禁止法における優越的地位の濫用や差別的取扱いに当たるのではないでしょうか。
○政府特別補佐人(杉本和行君) 楽天が三月六日に、出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようにすること等を公表いたしまして、東京地方裁判所に対する緊急停止命令の申立てに係る手続においてもその旨を表明したことを受け、公正取引委員会は、当面は一時停止を求める緊急性が薄まるものと判断して緊急停止命令の申立てを取り下げたところでございますが、今後とも、しかし、実際に出店事業者の参加が強制されていないかという点も含めて、引き続き、本件違反被疑行為について審査を継続することとしているというところでございます。
○岩渕友君 審査を継続するということでした。
ちょっと改めて確認をしたいんですけれども、三月十一日の公取事務総長の会見の中でも、楽天が当初の予定どおり一律かつ強制的な形でこの施策を実施する可能性というのは依然として全く消えたわけではない、三月十八日以降、本当に出店事業者が参加するかしないかを自らの判断で選択できる形になっているか確認する必要があると述べています。先ほど御答弁いただきましたけれども、この考えに変わりはないということでよろしいでしょうか。
○政府特別補佐人(杉本和行君) お答えしたとおり、現在の時点では、楽天の表明を受けまして、私どもは、緊急に停止する必要性はないということで、薄れたということで、緊急停止命令の申立てを取り下げたところでございますが、引き続き審査は続行しておりまして、その審査の続行の中で、繰り返しになりますけれども、出店事業者の参加が強制されていないかという点も含めて検討していくといいますか、事実関係を発見して、それで審査を行っていきたいということを考えているところでございます。
○岩渕友君 確認をするということです。
これ、自分の意向に沿わない、従わない店舗を徹底的に不利にして競争で淘汰しようというやり方なわけですよ。これ、本当に卑劣極まりないという声が上がっています。売上げの多くを楽天に頼る店にとっては死活問題だということで、怒りの声が上がっています。
これ、楽天は数か月後には強行する可能性があるわけですよ。楽天市場には約五万社が出店をしていて、その多くは中小、そして小規模の事業者です。巨大企業である楽天が出店者に一方的に不利益や負担を強いる、こういうやり方を直ちにやめさせるように厳正な審査を強く求めたいと思います。
こうした問題は楽天だけの問題ではないんですよね。今国会にはデジタルプラットフォーマー取引透明化法案が提出をされています。この法案では、オンラインストアやアプリストアを展開する巨大プラットフォーマーであるグーグル、アマゾン、アップル、楽天、ヤフーが対象となる見込みです。巨大プラットフォーマーを監視をして規制することは必要なことです。アマゾン、グーグル、アップルは海外の事業者ですよね。国内外問わず規制を適用して執行していく必要があります。
そこで、公正取引委員会での執行体制がどうなっているかということをお聞きします。審査専門官、ITタスクフォース等、そして増員を要求しているデジタルプラットフォーマー担当の専門官の人数は、それぞれ何人になっているでしょうか。
○政府参考人(山田弘君) お答えをいたします。
公正取引委員会におきまして、審査専門官の定員は令和元年度末時点で三百四十五名となっております。また、そのうちITタスクフォース等の審査専門官は二十五名となっております。
○岩渕友君 公取が増員要求しているプラットフォーマー担当の専門官の人数もお願いします。
○政府参考人(山田弘君) 令和二年度予算案におきまして、デジタルプラットフォーマー関連の増員が十五名でございますが、そのうち三名がこの担当の審査専門官というふうな内訳になっております。
○岩渕友君 デジタル経済の発達に伴って審査、執行体制の強化が非常に重要になっておりますし、必要になっています。
そこで、衛藤大臣にお聞きをするんですけれども、この人員を増やす、とりわけ海外事業者への審査をする人員をもう大胆に増やすべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(衛藤晟一君) 我が国の経済の健全な発展を実現していくためにも、国際化、デジタル化が進展する経済実態に即応した競争政策を展開していく必要があるというふうに思っています。
そうした観点から、このデジタルプラットフォーマーに関するルール整備に取り組んでいるところですが、先ほどからも御論議いただいておりますとおり、海外事業者も含め、今後、こうした事件に対する執行体制をしっかりと確保し、独禁法に違反する行為があれば公正取引委員会において厳正に対処していただく必要があるという具合に考えています。
○岩渕友君 そのためにも、やっぱり人員の強化は必要だと、体制の強化を強く求めたいと思います。
次に、浄化処理汚染水をめぐる問題について聞きます。
二月十日にいわゆるALPS小委員会が浄化処理汚染水の取扱いについて報告書を公表しました。提言をされた海洋放出、大気放出案に小委員会でも懸念の声が繰り返し上がって、そして各地でも反対の声が上がっています。処理水の八割にトリチウム以外の放射性物質が放出基準を超えて残っていたということも明らかになりましたけれども、東京電力への不信というのは依然として根強いものがあります。
一月末に福島県漁連の野崎会長とお会いをしたときに、あの小委員会の取りまとめ案は残念だと、反対という立場は変えようがないと、こういうお話をお聞きしました。
先日、福島県沖の魚介類の出荷制限が全て解除されました。漁業者がやっぱり血をにじむような努力を重ねてきたと、それを踏みにじるようなことがあってはならないと思います。茨城県知事や全漁連なども反対を表明していて、もうこれ福島県だけの問題ではありません。
菅官房長官は、この方針を決める時期について、二〇二二年の夏までにタンクが満杯になると、処分開始まで二年程度要するということで、今年の夏頃を一つの目安として可能な限り急ぐんだと、こういう意向を示しています。
そこで、大臣、スケジュールありきで結論を出すことがあってはならないと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) スケジュールありきではありません。そして、二月十日に小委員会の報告書が公表をされました。そして、関係者に今説明を始めたところでありまして、こういった説明プラス、あと複数名集まっていただいた形で、複数名というか、ある程度の人数に集まっていただいた形で説明会を四月六日以降行っていく予定であります。
しっかり説明をした上で皆さんにも理解をしていただく、そういったことを胸に対応を取り組んでまいりたいと思っております。
○岩渕友君 説明会始まるということなんですけれども、もう日本全体の問題として議論を深めてほしい、国民全体の議論を行ってほしいという、こういう意見が上がっているわけですね。
だから、今後スケジュール決めるということだと思うんですけれども、全国各地でこうした説明会を行っていく必要あると思うんですけど、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) まずは福島で四月六日に行うことになっております。二回目以降はまた発表させていただきたいと思いますけれども、その検討を今しているところであります。
○岩渕友君 やっぱり十分な議論が必要だと思うんですよ。そうでなければ、スケジュールありきということになるじゃないかというふうに言われるんだと、そういうことになっちゃうんだと思うんですね。
浪江町の議会は、昨日、海洋放出に反対する決議を全会一致で採択をしました。決議は、海洋放出について、地域住民の感情を無視して被災者に更なる苦痛を強いる、こういうふうに批判をして、漁業の全面再開を目前にしたこの時期に、保管が限界に近づいたという理由で安易に海洋放出をすれば更なる風評被害を招くんだということで、タンク保管を継続してトリチウムを除去する技術開発を急ぐべきだと、こういうふうに訴えています。茨城県知事も、結論ありきの取りまとめを行うことは容認できるものではない、より影響の出ない方法がないか更なる検討を強く期待する、こういうふうに述べていらっしゃいます。全くそのとおりだというふうに思います。
海洋放出をしないためにあらゆる方法を検討するし、やっぱり国民的議論を行ってほしい、このことを強く求めて、質問を終わります。