2021年3月22日(月) 参議院 経済産業委員会
「2021年度予算」委嘱審査
日本共産党の岩渕友議員は22日の参院経済産業委員会で、新型コロナの影響に苦しむ青森市や北海道函館市、福島市、岩手県一関市の実態を示し、中小事業者への直接支援が必要だと迫りました。
岩渕氏は、営業時間短縮や休業・撤退している函館市内の朝市など緊急事態宣言対象外の地域でも深刻な実態であり、事業者への支援が不十分だと強調しました。梶山弘志経産相は「(給付金や補助金、融資など含め)さらなる支援を行き渡らせたい」としつつ、交付金支援を言い訳に都道府県の個別支援を強調しました。
岩渕氏は、「うちの店なんてなくなってもいいのでしょうね」という青森市内事業者の悲痛な訴えを紹介し、「事業者にこんなことを言わせてはならない」と指摘。福島県商工会連合会や一関民主商工会による調査結果を示し、持続化給付金、家賃支援給付金の再給付を求めました。梶山経産相は「(再給付は)現時点では想定していない」と答えました。
岩渕氏は、人格なき社団(みなし法人)も一時支援金の対象に加えるべきだと求め、梶山経産相は「(事業実態の)確認が現実的でない」「給付は困難」と従来の姿勢に終始しました。
(赤字部分のリンクから別ウィンドウで開きます)
質問資料1 新型コロナの影響が長引いた場合の事業活動の方向性/国や県に要望したい支援策(福島県商工会連合会 2021年調査)【PDF版】【画像版】
質問資料2 新型コロナ流行下 必要とする支援制度。/支援制度の活用状況(一関民主商工会 2020年調査)【PDF版】【画像版】
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
2021年3月22日(月) 参議院 経済産業委員会
「2021年度予算」委嘱審査
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
貿易保険法改定案の問題、産業競争力強化法等改定案の誤り等、前代未聞の事態が相次いで起きています。厳しく抗議をするとともに、NEXIの不適切事案については、現在調査中とのことですけれども、徹底した解明を冒頭求めておきたいと思います。
それでは、質問に入ります。
新型コロナウイルスによる中小・小規模事業者への影響が非常に深刻になっています。青森市内では、四月で店を閉めることになった飲食店、三十年も続けてきた店でもこういう選択をせざるを得ない状況という実態。事業者の方からは、先が見えないのがつらい、いつまで頑張れというのか、電気代が払えなくなり、融資も受けられず、電気が止められた、こうした訴えが寄せられています。
二月に函館市内のホテル経営者の方から、うちのホテルは朝食をホテルか朝市かを選ぶことができると、朝市から毎月請求が来るんだけれども、ふだんだったら五十万円から百万円ぐらいの請求が来ると、ところが、一月は二万二千円しか請求が来なかったと、こういった訴えもお聞きをしました。実際に朝市に行ってみたんですけれども、休業をしている店、営業時間を短縮している店、撤退している店もあったんですよね。でも、いつもの活気はなかったです。
福島市内では、隣の店でクラスターが起きた、自主的に休業したけれども家賃の支払も大変というスナックや、住宅街にある美容室では、座席は二つあるんだけれども一人ずつ対応をしていると、冠婚葬祭も老人会もなくなっておしゃれをする場がないからお客さんが来ないという声もお聞きをし、昨年の売上げは持続化給付金をもらったんだけれども赤字だったという豚カツ屋さんからも話をお聞きしました。
今日から緊急事態宣言が解除というふうになりましたけれども、宣言が出ていなかった地域でも、今御紹介をしたような非常に深刻な実態あるんですよね。宣言が出ていない地域での中小事業者の実態について、大臣、どのように認識しているでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 新型コロナウイルス感染症の影響により、中小企業の景況感は全体として依然厳しい状況にあり、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られます。さらにまた、地域であるとか業種によって濃淡が違うと思っております。
地域によって新型コロナウイルス感染症の影響は様々でありますけれども、緊急事態宣言が発出されていなかった地域においても、自動車やデジタル関連業種など一部の業種において改善の傾向がある一方で、宿泊、飲食業を中心に、依然として厳しい状況が続いていると承知をしております。
宿泊業では、緊急事態宣言の発出に伴って年末年始の帰省や旅行の取りやめが増加したことにより、売上げが大きく減少した事業者がいると承知をしております。例えば、北海道ではスキー旅行客のキャンセルが相次いでいると聞いております。
また、飲食業においては、テークアウト販売や通信販売などにより一部持ち直しているものの、新年会や成人式の中止などの影響もあり、大変厳しい状況が続いているという声も聞いております。
そういったことのために様々な対策というものを打っているわけでありますけれども、これらの状況を見ながら、今後ともしっかりと検討してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今の答弁でも分かるように、緊急事態宣言が出ていなくても影響は深刻だということなんですね。これが皆さんの訴えでもあるんですよ。
国は、昨年のうちに持続化給付金の打切りを決めて、二度目の緊急事態宣言を受けて一時支援金の給付を決めました。支援金は宣言が出ていない地域の事業者も対象になっています。けれども、緊急事態宣言の影響をどういうふうに証明をすればいいのかとか、手続が難しいとか、売上げの五〇%以上減という要件はハードルが高いと、こういった声も上がっています。
持続化給付金の対象にもならない、一時支援金の対象にもならない、こういう事業者の方もいらっしゃるわけなんですよね。それで、国からの直接支援がないと。先ほどのやり取りの中で、足りないところは地方自治体だという話もあったんですけど、自治体の支援もばらばらなんですよね。結局、直接支援を受けることができない事業者がいると。
大臣、この事業者への支援というのは十分だというふうに認識しているでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) この一年、戦後最大と言える危機の中、コロナの影響を受ける中小企業・小規模事業者の皆様の事業継続を前例のない規模で講じてきたわけであります。
国民の皆様に納めていただいた税金を原資とするものであり、一定の制約はありますが、その中で、極めて多くの中小企業・小規模事業者に支援をお届けしていると認識しております。
具体的には、持続化給付金としてこれまでに約四百二十四万件、五・五兆円、家賃支援給付金として百四万件、約九千億円の現金をお届けしてきました。資金繰り支援についても、実質無利子無担保、最大五年据置きという前例のない融資制度を創設し、政府系金融機関、民間金融機関合わせて二百五十万件、四十七兆円を超える融資を決定をしてきました。さらに、緊急事態宣言再発令に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛により影響を受けた事業者に対しまして、法人六十万、個人事業者三十万円を上限に一時支援金を給付することとしております。
一時支援金のほかにも、雇用調整助成金の特例の延長に加えて、実質無利子無担保の延長、上限枠の引上げ、新分野展開、業態転換を支援する事業再構築補助金、さらにまた、その特例の創設、事業承継を契機とした販路拡大などを支援する事業承継・引継ぎ助成補助金、ビジネスモデルの転換等に活用いただける持続化補助金などの政策を通じて、コロナ禍で厳しい状況に置かれた事業者に更なる支援を十分行き渡らせてまいりたいと思っております。
ただ、全部の事業者がこれで満足かということに関しましては、それぞれの思いがあると思います。ですから、これ、一律でやるのは国の政策で、どうしてもやはり迅速にということになると一律という形になるんですけれども、先ほど来お話ありますように、地域でやはりしっかりと見ていただくということも重要でありまして、そういう視点で、第三次補正で一兆円、これは協力金とは別の形です。それぞれに地方創生臨時交付金というものを設定をし、例えばこういう場合でお支払をしている他県の例がありますよということも含めて文書を発出して、それぞれの都県に、都道府県に由来する状況であるとか、また、そういった個別の企業であるとかということを細かい目で見ていただくためのこういう交付金も出しているわけであります。
○岩渕友君 いろいろ今御説明あったわけなんですけど、この間この委員会で、いわゆるみなし法人のことについてやり取りしているんですね。このみなし法人も、持続化給付金そして一時支援金の対象にもなっていないんですね。
対象にしてほしいということを持続化給付金のとき何度も求めてきたんですけど、事業の実態確認できないということで対象にされてきませんでした。けれども、一時支援金、一時支援給付金の方では、登録確認機関が申請する事業者の事業の実態を事前に確認をするということになっています。
この一時支援金の対象にみなし法人加えることができるんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 一時支援金におけますその事前確認スキームは、あくまでも不正防止を目的として、書類や宣誓内容の確認を形式的に行うものであります。申請者の事業活動を実地で直接確認するものではありません。
他方、人格なき社団等の実態は極めて多様であるとともに、外形的にその事業性を識別することはできないことから、個々の活動内容を直接個別に確認することは現実的ではないと考えております。
また、所管省庁においても実態把握の状況は異なり、各々の活動内容を分類し給付の是非を判断する統一的な基準を作ることも困難だったことから、持続化給付金の給付対象外としていたところであります。
一時支援金についても、給付の是非について統一的な基準を設定する必要があるという点において持続化給付金から事情変更が生じるものではないと考えており、また、数十万以上に上る申請が想定される一時給付金において、こうした実地、直接の確認が現実的ではないという点は変わらずに、人格なき社団等への給付金は困難であると考えております。
○岩渕友君 これまでのやり取りで、例えば道の駅なんかでは公の制度で把握することができると。だけど、実態をやっぱり確認することがなかなか現実的じゃないんだという答弁があったわけですよね。
今回、その登録確認機関が、あくまでも不正防止のためだと言うんですけれども、せっかくそういう確認機関があって、より身近なところで事業の実態確認できるということになるんだと思うんですよ。だから、せっかくこういうことがあるんだったら、事業実態確認をしてもらってみなし法人も対象に入れるというような検討必要なんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) あくまでも不正防止の書類上の確認でありまして、現地に赴いてこれを確認するというスキームには現時点ではなっておりません。そして、全国でかなりの数のあるみなし法人について一つ一つ現地確認というのは、現実的、事務的には不可能であると思っております。
○岩渕友君 時間がないのでこの議論これ以上はしないんですけど、道の駅なんかは非常にごく一部だというふうに言っているんですよね。だから、確認しようと思えばできるということあると思うんですよ。それで、現時点ではということなので、こういう要望もあるので、引き続き、できるだけ多くの事業者救うということで、検討を是非お願いしたいんです。
青森市のスナック経営者は、貯金を取り崩して融資で店を回しているけれども、コロナが収まらずに借金だけ残ると。いつまでこんなことしなくてはならないのかというふうに悲鳴上げています。返済できないかもしれないと、融資を受けずに踏ん張っている事業者もいるんですよね。で、年度末を乗り切れるか、うちの店なんてなくなってもいいんでしょうねと、こんな声も上がっているというんですよ。こんなことを事業者の人たちに言わせたら駄目だと思うんですね。
資料の一を見ていただきたいんです。これ、福島県の商工会連合会が一月に行った調査なんですけど、新型コロナウイルスが長引いた場合の事業の方向性として、事業を継続する、苦しいが再起に向けて取り組むと合わせると八七%、約九割が事業継続に意欲を示しているんですよね。この意欲をやっぱり支えるのが直接支援なんですよ。さらに、国、県への要望する支援策で最も多いのが持続化給付金の追加実施で、六四%に上っています。これが事業者の方々の願いなんですよね。
資料の二も御覧ください。これは岩手県の一関民主商工会が行った一関市内の小企業調査なんですけれども、既に活用をした支援制度で最も多いのが持続化給付金、必要とする支援制度でも最も多くなっています。
この持続化給付金、家賃支援給付金の再給付行ってほしいという声にどう応えますか。
○国務大臣(梶山弘志君) これまでの持続化給付金に関しましては、御党の委員からも御評価をいただいたという、予算委員会で御評価をいただいたところであります。
持続化給付金は、今回の緊急事態宣言時よりもより広範な業態の事業者が全国にわたって幅広く経済活動を自粛する中、事業の種類、形態によって感染拡大のリスクが大きく異なるという知見も全くない中で、先行きが見えない厳しい状況に直面する事業者に給付したものであります。
今回の緊急事態宣言は、これまでの経験に基づく飲食につながる人の流れを制限する対策等に重点があるわけでありまして、支援策についても昨年との違いを踏まえる必要があると思っております。
こうした観点から、コロナ本部の取りまとめを踏まえて、新型コロナウイルス感染症の影響により売上げが減少した全国全業種の幅広い事業者を対象とする持続化給付金ではなく、緊急事態宣言地域における飲食店の時短営業や外出、移動の自粛の影響を受ける事業者を念頭に一時支援金を給付するという対応を政府として新たに取ることとしたところであります。
○岩渕友君 三月三日、青森県議会は、全会一致で採択した意見書があるんですけど、新型コロナウイルス感染症対策に対する意見書ということで、ここの中にも持続化給付金や家賃支援給付金の支給を再び行うことを求められています。再支給は知事会の要望でもありますし、先日、三十四道県の知事による緊急要望が私のところに届けられて、そこの中にも盛り込まれているんですよね。
ちょっと改めて聞きますけど、やっぱり再給付、検討するべきじゃないですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 陳情のことにつきましては承知をしております。そういった中で、先ほど申し述べました理由等により一時支援金という形にさせていただいております。
再給付ということについては、現時点では想定をしていないというのが政府からの答えであります。
○岩渕友君 時間が来ましたので終わりますけど、再給付、これ強く求めて、質問を終わります。