テーマ:かつてない苦境下の事業者 抜本的対策が必要
(議事録は後日更新いたします)
岩渕友議員は27日の参院経済産業委員会で、物価高などで苦境に立つ事業者の実態を挙げ、債務返済支援や価格転嫁対策の強化を求めました。
岩渕氏は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や異常円安、物価高騰が重なる中、北海道の中小企業団体から精神的不安を訴える声が上がっていることを紹介。今も「異例の事態」との認識があるかただしました。
西村康稔経産相は「非常に厳しい状況にある中小企業が多くあると認識している」と答えました。
岩渕氏は、政府が創設するコロナ融資など債務返済支援策の「借換保証制度」では、国が損失を全額負担する100%保証をそのまま継続し、追加融資と部分融資も100%保証とするよう求めました。西村経産相は「具体的な制度設計は検討中」と回答。岩渕氏は実現を重ねて強く求めました。
岩渕氏は「一つの工事で120万円の赤字」「大企業は価格転嫁できても中小企業はできない」などの実態を示した上で、親会社と下請け企業間の望ましい取引慣行の順守を目指す「パートナーシップ構築宣言」の登録企業数を質問。経産省は10月時点で1万5500社だが、大企業は6%程度だと答弁しました。岩渕氏は、転嫁対策に実効性を持たせるためにも、公正取引委員会の体制強化を求めました。
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2022年10月27日(木) 参議院 経済産業委員会
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
冒頭、統一協会との関係に関わって大臣に質問をいたします。
午前中の質疑の中で、推薦確認書には署名をしていませんと、さらには選挙支援も受けてはいないというお話でした。
それで、少し調べましたところ、大臣の明石の地元の事務所の隣のビルに、統一協会の関連団体の世界平和統一家庭連合、ここの明石家庭教会というところが入っているんですね。
大臣は、このことは御存じでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 今の私の事務所ですかね。(発言する者あり)はい、はい。全く知りません。初めて知りました。
○岩渕友君 知らないという上で、関係はないということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) もちろん、初めてその存在がすぐ近くにあるということを、今、今、今お聞きして知ったわけですし、もちろん訪問したこともありませんし、恐らくうちの事務所のまあ全員に聞いてみないと分からないですけど、まあ看板が出ているのかどうかも私はよく知りませんが、全く関係はありません。
○岩渕友君 隣のビルだということで、それで関係がないというか、ないのね、どういうことかなという思いもありますけれども。
この間、指摘を受けて、後から関係があったということがいろいろ分かっているということも問題になっているので、やっぱり自己申告ということではなくって、政務三役を始め国会議員や、そして地方議員も含めて自民党と政府が責任を持って全容を調査するということが必要だということをここで述べておきたいというふうに思います。
続きまして、コロナ禍に異常な円安と、そして物価高騰が重なって、中小・小規模事業者を直撃しているということで、この対策について伺っていきたいというふうに思います。
中小企業庁が公表している倒産状況を見ますと、今年に入って中小企業の倒産が増えています。今年は前年同月比を下回ったのは2か月しかないと。直近の9月で、599社、前年同月比18.6%の増というふうになっています。
東京商工リサーチによれば、コロナの拡大に起因をする経営破綻件数が10月20日で累計4500件を超えていると。円安進行による資材高や物価高、人手不足でのコストアップも過剰債務に陥った企業に追い打ちを掛けて、コロナ関連破綻は当面増勢をたどる可能性が高いと、こういうふうに指摘もされているんですね。
北海道で中小企業団体の皆さんから、今の実態どうですかということで、いろいろお話を伺ってきました。精神的不安を訴える事業者が増えている、事業者が抱える不安の質が変わってきている、こういうようなお話があったんですね。
事業者の方々が、いろんな困難が重なる中で、追い詰められるような状況にもなっているんだというふうに思うんです。現在、持続化給付金などのような直接給付というのは行われていませんけれども、こうしたいろんな実態が重なっているという中で、異例の、今も異例の事態が続いているという声が寄せられています。
大臣にお聞きするんですけれども、中小事業者にとって今も異例の事態だという認識はあるでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) まさにコロナで大変苦しい思いをした中小企業の皆さん、たくさんおられると思います。
政府も、持続化給付金などの支援、あるいはゼロゼロ融資などの支援を行ってきたところでありますが、ようやくコロナから需要回復の時期に来る、そのときにロシアのウクライナ侵略があり、様々な物資、燃料が高騰するという中で厳しい状況にある中小企業が多くあるということは認識を、私自身も認識をしております。非常に厳しい経営環境にあるということだと思います。
そうした中で、中長期的に、まず事業を維持しながら、そして中長期的に成長していけるように、先ほど来議論になっております燃料油対策、あるいは電気・ガス代、さらにはサプライチェーン全体で価格転嫁ができるような取組、こうしたことを進めているところでありますし、今回の経済対策の中でもそうした支援策と同時に、事業再構築であるとか、ものづくり補助金とか持続化補助金とかですね、こうしたもので中小企業が何か工夫をしながら更に中長期的に成長していける、そうした支援、そして円安を生かして海外への輸出をこの機会にやろうとする、そうした中小企業への支援などを是非進めていきたいというふうに考えております。
○岩渕友君 厳しい経営環境だということで、やっぱりこれまでにない踏み込んだ対応が必要だということだと思うんです。
その中小企業団体の方からお話を伺ったときに、これまでにない相談対応をしてきましたというお話もあったんですね。どの団体の方に伺っても、事業者の皆さんに寄り添っていかに営業を守るのかという立場で対応が行われているなというふうに感じています。
話を伺った札幌市の商工会議所さんでは、ゼロゼロ融資は終了したけれども、コロナの影響に加えて原材料の高騰などで苦しんでいる事業者の方たちがいるので、その負担を少しでも軽減しようということで、要件を満たした会員事業者の方に、10月3日から来年の1月末までを対象に、基準金利から0.9%を引いた分の金利を負担する制度、これを始めたということで紹介があったんですね。こういう制度を始めたということは、事業者を守るために必要だからだということで、団体の皆さんも考えてやられているわけですね。
こういう実態を踏まえれば、ゼロゼロ融資を継続するべきではないのかということが一つ。そして、この札幌のような制度を行っているところに国が利子補給をして無利子化するべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 日本公庫によります実質無利子無担保、いわゆるゼロゼロ融資につきましては、申請件数がコロナ前、いわゆる平時と同程度になるなど、足下の資金需要を踏まえて9月末に終了することとしたところであります。そして、今御指摘のように、自治体の独自の判断によって利子補給などを実施しているところがあるということは承知をしております。
政府としては、今御指摘の通常よりも0.9%引き下げた公庫による低利融資、来年3月まで継続をいたしますし、その限度額も3億円から4億円まで引き上げているところであります。引き続き、影響を受けている中小企業・小規模事業者の事業継続を支援をしていきたいというふうに考えております。
あわせて、10月から、低い保証料で投資資金を確保できる伴走支援型特別保証、この保証上限を6000万円から1億円に引き上げております。先ほど少し言及しました事業再構築補助金とかものづくり補助金などの支援とともに、事業再構築への前向きな支援も促しているところであります。
足下の様々な事業者の声を踏まえながら、ニーズを踏まえて必要な支援策、しっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 事業者の負担を少しでも軽減しようということでそういう制度をスタートされたということなので、是非検討はしていただきたいというふうに思うんです。
帝国データバンクが行った8月の調査では、新型コロナ関連融資の返済を既に開始している企業が64.8%に上っていると。で、返済が遅れるおそれがある、金利減免や返済額の減額、猶予など条件緩和を受けないと返済が難しいというふうに回答した企業がもう既に一割にも上っているんですね。
政府は、コロナ融資の借換え保証制度を創設するとしています。これ当然、100%保証を継続するということでいいですよねということで確認をしたいのが一つと。部分保証も、そして追加融資をしてほしいという声もあるんですね。この部分保証も追加融資も100%保証にする必要があると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 厳しい経営環境にあるという認識の下、今後、まさにゼロゼロ融資の返済本格化を迎えるわけであります。そうした中小企業を支えていくということも重要な視点だと思っております。
このため、御指摘の借換えの円滑化に加えて、新たな資金需要にも対応できる保証制度を創設をすることとしております。その際、100%保証の融資は100%保証で借り換えられる、できる、その制度を検討をしていきたいと思っております。
なお、資金需要に対する保証割合など、具体的な制度設計、現在検討中でありますけれども、通常の金利よりも0.9%引き下げた日本公庫による低利融資、先ほどのものでありますが、であるとか、あるいは物価高騰対策として実施しているセーフティーネット貸付け、これなども活用しながら追加融資の需要に対応していきたいと思っております。
引き続き、足下の中小事業者のニーズをしっかり把握をして、必要な支援策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 詳細な中身はこれからだということでしたけれども、100%保証を、また100%保証というだけではなくて、部分保証の部分も100%に、そして追加融資も100%保証でということをこれ是非検討いただきたいということで求めておきます。
建設業者の方からも話を伺いました。
資材が以前より4割も上がっていると。4か月待っても資材が入ってこない。このままでは年末に餅を買うこともできない。非常に悲痛な訴えが寄せられているんですね。資材の高騰や資材不足などが重なって、事業者の営業だけではなくて暮らしも直撃をする事態になっています。
資材高騰によって、高齢者の方のお宅で手すりを付けたいというふうに言われたんだけれども、手すりが3割ぐらい値上がりをしていて、こうした改修に補助金が出ているんだけど、その補助金の上限の中に収まらない。で、工事をちゅうちょするお客さんがいるという実態や、資材の遅延で火災報知器のスプリンクラーのヘッドが入ってこないと。保証期間がもう終わっているんだけど取り替えることができない。こういう話も寄せられているんですね。この資材の高騰や資材の遅延、資材不足ということが命に関わる問題にもつながってきているということなんです。大手には資材が入ってくるんだけど、中小には入ってこないと、具体的にどうするんですかという声も寄せられているんですね。
国交省に伺うんですが、その実態をつかんでいるでしょうか。そして、実態をちゃんと調査するべきではないでしょうか。
○政府参考人(笹川敬君) お答えいたします。
建設資材の需給状況でございますけれども、国土交通省では、建設工事に必要な主要な建設資材、具体的には生コンクリートとかアスファルトとか鉄筋でございますけれども、その需給、価格、在庫の変動状況を資材別、地域別に把握する調査を毎月実施しております。
足下数か月の調査結果でございますけれども、全国の需給動向は、大手、中小含めた平均でございますけれども、調査対象資材において均衡となっておりまして、需給状況は落ち着いていると認識しております。
引き続き、建設資材の需給動向につきましては、丁寧な調査を行いまして実態を把握してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 今、大手、中小を含めた平均だということだったんですけれども、中小が特に大変だということがあるので、これ、中小の部分の実態明らかにするために、まあ平均ということではなくて、中小にちょっと特別な何かその調査する必要があるんじゃないかと思うんですけど、何かお考えあれば。
○政府参考人(笹川敬君) 先ほど申し上げましたとおり、主要な建設資材の調査では、大手、中小含めた平均として需給動向を把握しておりますけれども、中小の建設業に絞った形では、そういう意味では把握できておりませんが、ただ、私ども、中小の地場の建設業の業界団体と定期的に意見交換を行う機会を設けておりますので、そのような機会を通じまして、建設資材の需給動向、中小のですね、需給動向につきましては把握してまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 ちゃんと調査するべきだというふうに思うんですね。懇談のときにというふうに言うんですけど、今々本当に切迫しているということがあるので、早急にその実態調査、やるかどうかということも含めて検討を急いでいただきたいと思うんです。
ある建設関係の組合のアンケートでは、納期遅延が4割から5割に上ったということなんですね。資材の納期が見えないから、しようがなくてネットで注文をしたと、そのことによって費用がかさんだというような実態もあるんですね。このことがやっぱり事業者の皆さんを大変にさせているという実態があるんですよね。いろいろ対策をしていると言うんだけれども、実際には、今御紹介したように、改善されていないといったようなのも寄せられているんです。
これ、実効性のある対策というのが必要ですけれども、今のやり取りを聞いて、中小企業庁としてどういうふうに対策を取っていくのでしょうか。
○政府参考人(小林浩史君) お答え申し上げます。
今御指摘いただいた資材の調達のお話でございますが、まずこの世界での新型コロナの感染状況やウクライナ情勢、こういった様々な要因によって状況は変化しているわけでございますが、個別の資材や原材料の実態については、今国交省さんからお話がございましたが、所属の部署で把握をし、必要に応じて業界と連携して増産要請や部素材の融通、海外への調達の働きかけ等の対応を行っているものと認識しております。
その上で、中小企業庁としては、これ、部品等の供給遅延に悩む中小企業との取引というのが当然たくさんあるということを念頭に、要請を、関係の業所管大臣、それから公正取引委員会さんと一緒になって要請を4月にしております。中身としては、取引先との間で在庫の状況や将来的な生産、調達見通し等に関する十分な情報共有をしてくださいということと、納期が長期化せざるを得ない場合には、納品後の一括払い以外にも工程や段階に応じた支払とするなど、こうした下請事業者の資金繰りに特段の配慮を行うことといったことでございまして、これを4月の段階で1700の関係事業者団体を通じて所属する親事業者に要請をしたところでございます。
それから、全国の商工会連合会や商工会議所等の特別相談窓口というのもこの物価対策というのに関しては設置しておりまして、併せて日本政策金融公庫とセーフティーネット貸付けの運用緩和による御支援、こういったことの資金繰り支援もしているところでございます。
引き続き、関係機関が連携することによりまして、資材や原材料の安定的な調達を支援していきたいと思います。
○岩渕友君 要請ということだったんですけど、実効性のある対策というのがやっぱり必要で、もうちょっと具体的に、今本当に大変だというふうに言って、それがずっと続いているので、そこをどうするのかというのを考えてほしいということなんですね。
事業者の困難、これだけではなくて、従業員5人未満、価格転嫁を言えずに一つの工事で120万円の赤字もあった、価格転嫁できずに苦慮している、大企業はできても中小企業はできない、同業他社との競争などで6割が価格転嫁できない、こういった声が寄せられて、とにかく価格転嫁できないんだということがどこでも寄せられるんですね。
政府が行っているパートナーシップ構築宣言について今日もいろいろ議論ありますけど、大企業の宣言はどれぐらい進んでいるでしょうか。資本金3億円を超える大企業の登録について、その数と割合について紹介ください。
○政府参考人(小林浩史君) 御指摘いただきましたパートナーシップ構築宣言については、10月21日時点での宣言企業数は全体で約15500社ございます。そのうち、資本金3億円以上の大企業というのは約1000社でありまして、宣言企業全体に占める割合は6%程度となってございます。
大企業の数は今年3月時点で約600社だったわけですが、そこからは大幅に増えておりますが、この今日の委員会でも御議論いただいていますように、今月11日に開催したその関係の会議において、西村大臣からも、始め、経団連を始めとした経済団体に大企業での更なる宣言拡大に向けた協力要請などを行っていただいておりまして、引き続き継続的に働きかけを行ってまいりたいと思います。
○岩渕友君 まあ数は増えているということなんですけれども、3月の段階では、割合でいえば10%だったんですよね、約一割だったと。それが今6%ということなので、むしろ減っているじゃないかということになるんですよね。
昨年度の下請法の違反行為に対する勧告等は僅か4件だと。価格転嫁対策にこれ実効性を持たせるためには体制の強化が必要だと思うんですけれども、公取委員長、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(古谷一之君) 御指摘にもありましたけれども、今、公正取引委員会は、昨年末に取りまとめました転嫁円滑化施策パッケージに基づきまして、中小事業者などの適正な価格転嫁を実現するということで、独占禁止法上の優越的地位濫用に関する緊急調査を11万件やっております。さらに、下請法上の重点的な立入調査も従来に比べてかなり数を増やして取り組んでおります。
こうしたことに加えまして、その上で、こうした緊急調査等を踏まえまして、更に踏み込んだ対応として、転嫁拒否、特に問題の大きい転嫁拒否事案については独占禁止法に基づいて企業名を公表するという方針を先日表明をさせていただいたところであります。
さらにまた、独占禁止法や下請法に違反する行為などがありましたら、御指摘がありました命令、警告、勧告など法律に基づく強制的な措置を事案の内容に即してこれまで以上に厳正に執行していきたいというふうに考えておるんですけれども、こうした取組を進めていくためには、御指摘がありましたとおり、公正取引委員会の体制強化が必要だと考えておりまして、この令和5年度の概算要求時点で、こうした転嫁円滑化推進のための要員として40人の増員を今政府内でお願いをいたしております。
今後、関係方面の理解を得て、公正取引委員会の事務総局のこうした職員の増員を含めて執行体制を強化をさせていただいた上で、私どもが進めております取組の実効性を高めていきたいと考えております。
○委員長(吉川沙織君) 岩渕君、時間ですのでおまとめください。
○岩渕友君 はい。
今、増員ということでしたけれども、やっぱり大胆に人員も増やしながら体制強化しなければ実効性ある対策取れないということで、そのことを重ねて求めて、質問を終わります。